あらすじ
古いひな人形が、記憶の中の春とともに、母の面影を思い起こさせる「めぐりびな」、子どもが生まれたばかりの共働きの若い夫婦が直面した葛藤と、その後の日々を鮮やかに描き出した「ツバメ記念日」など、美しい四季と移りゆくひとの心をテーマにした短篇集「季節風」シリーズの春篇。別れと出会いに胸震わせる、春の物語12篇を収録。
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重松清、四季シリーズの「春」
出会いだったり別れだったり、季節の中でも切り替わりの季節。人生の節目は春ともいわれている。こういう季節だから色々な出来事があって、重松の筆でその人間模様が描かれるのだから間違いないわけで。
「ジーコロ」と「目には青葉」は間違いなく好き。「島小僧」はなんとなく千鳥大吾を思い出す。「せいくらべ」はちょっと卑怯やけど泣ける。
「ツバメ記念日」は考えさせられたなぁ。子供を可愛く思えない夫婦の問題は、個人の資質もあるけど社会環境にもあるってことか。
「子育て支援」って言うけど、育児はもっとプライオリティが高いものでどっちかというと「子育て世代の就業支援」という立ち位置で考えていかないと、少子化は解消されないのかも。
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季節風シリーズを順番に読んでいます。
私のお気に入りは「めぐりびな」です。
子供の頃の感覚的な感情を理由をつけて説明しようとする妻に対して、夫が
それは後出しジャンケンのようなものだから、
わからないものはわからないままでいい、
と励ますシーンが好きで、なるほどそうだなと励まされました。
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桜前線を追いかける旅に出ると会社の先輩に話したらおすすめされ旅行前に購入し読みました。
どの話もとても良かった。3月から梅雨のはじまりまでの春のお話。人によって好きなお話は変わると思います。短篇集のためとても読みやすくいので本が苦手な人におすすめ、自分にとっての春のかたちを探すきっかけに読んでみてはいかがでしょうか?
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春夏秋冬に合わせて出された短編集の「春」。
ひな人形やツバメ、柏餅にさくら‥と春らしいキーワードがそれぞれのストーリーの中核として生きていて、読み終わったあとは温かい気持ちになった。
1本目を飾る「めぐりびな」、ラストの「ツバメ記念日」は産まれたばかりの子どもがいる自分にはとても感情移入ができたし、「さくら地蔵」は悲しい背景があっても前向きな気持ちになれる。「お兄ちゃんの帰郷」のクスッと笑える娘の描写、「目には青葉」の何とも言えないドキドキさ‥どれも素晴らしい作品。
どの作品を読んでも思いますが、なぜこんなにも老若男女の気持ちを書き分けられるのか、重松清さんには脱帽。
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重松清の「季節風」シリーズ・春バージョン。
季節を待って読んでよかった。
どのお話もしんどいけれど、一歩前に踏み出したくなる。
地方出身東京住まいの方は心攫われること間違いなしです。
「めぐりびな」より
—寒の戻りに三寒四温、季節が変わるのはちょっとずつで、そのちょっとずつのペースが、わたしは好きだ—
うん、私も好き。
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とても寒い4月に読みました。
通勤中に半分は涙をこらえ半分は涙を流しながら読みました。
涙のあとは人にやさしくしたくなる気持になる心地よい短編集でした。
最新式の橋により廃止されるフェリー「しまっこ丸」、時代とともに移り変わる島の姿に出てゆくものと去るもの、現実に向き合う中で改めて島の素晴らしさに気づいてゆく『島小僧』
土いじりの懐かしい土の匂いで女手一人で土木作業をしながら子供を育てた母を思い出す主人公。大好きな母なのに、母を恥じ、おにぎりを土くさいと言ってしまった幼いころの悲しい思い出。よもぎだんごの味は思い出せなくても大人になるにつれ母の気持ちが痛いほどわかるようになりせつない話『よもぎ苦いか、しょっぱいか』
事業の失敗を理由に転居した幼い姉弟、環境の変化に戸惑いながらも小さな背中にたくさんの不安を背負い込む姉、絶望の寸前で迷子事件から突破口が生まれ、さまざまな思い込みが解かれ明るい暮らしが見えてくる爽快なお話「せいくらべ」
名シーンがたくさんの心温まるお話です。
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いや、困った本です。
私の読書時間はほとんどは通勤電車の中なのですが、この本を読んでいて涙腺に猛烈な刺激を受けまして。。。。
来たのは真ん中頃の短編「せいくらべ」。
弟想いの主人公(小学5年生の女子)が健気なんだ。それを見守る隣家の若奥さんも暖かいし。
ベタだとか青臭いとかの批判もありそうですが、やっぱり良いです。
重松さんの真骨頂という気がします。
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季節風シリーズの「春」
別れの春、旅立ちの春。不安や希望に胸を膨らませながらそれぞれの春を迎える人を描いた短編集。
都会に旅立つ息子へのメッセージをポンカンに記してそっとカバンへ忍ばせる両親、
その両親の最期の旅立ちへ向けて同じようにポンカンへメッセージを残す息子を描いた「拝復、ポンカンにて」と、
変わってしまった故郷の風景に切なくなりながらも、公衆電話のダイヤルの音を蘇らせる「ジーコロ」に心を揺さぶられた。
私にとっても懐かしい昭和の情景は、二度とは帰って来ないけど、思いはいつでも心に残しておくことができるんだ。
そして、時々それに浸るのも良いなと感じた作品でした。
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普段はミステリーばかり読んでいる私には新鮮な作品でした。
家族のエピソードには自分も親を大切にしないといけないな…とほんのり心が痛くなりました。
1番好きだったのは【せいくらべ】でした。
自分も長女なので、子どもなのに大人みたいに気を遣うお姉ちゃんの気持ちは私もよく分かったし、だからこそ隣のお姉さんの優しさに涙が溢れた。
優しい気持ちになれる素敵なお話ばかりでした。
もう少し季節が進んだら、夏編も読んでみたいです。
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短編集なので、通勤時間に読みやすいなと思って読み始めましたが、、、涙涙で、電車で読むには向いてません。
この作家さんの本は他にも読みましたが、主人公の気持ちや感じ方、考え方が私自身の気持ちと重なり合う部分が多く、感情移入してしまいます。
この短編集では『目には青葉』という物語が私のお気に入りです。主人公と私自身が似ていて、何度も読んでしまいました。
春らしい素敵なお話がたくさん入っているのでおすすめです。
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2010年文庫発売。短編集です。何を読もうかなと思う時、読んでみるのは著者の作品。まず裏切られません。この作品も、そうでした。著者の登場人物たちは、市井の人ばかり自分と重ねる人が出てくるように思います。どの作品も泣きそうな気分になります。いつも思うのですが、どうして著者は子供の心で作品を書けるのかなあ。女性目線で書けるんだろうかなあ。作家だから当たり前かもしれませが、長けている方だと思います。「夏」「秋」「冬」とあるようなので読みたいと思います。
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最近ゆるゆるになった涙腺が、「ジーコロ」あたりから崩壊した。重松清と私は同じ時代、同じ青春を歩んできたんだなと改めて思った。移りゆくもの、変わってしまったものを、年々忙しくなる世の中で時には立ち止まって感じてみたい。青葉の匂いやポンカンの香りが風に乗ってやってくるのを感じてみたい。
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季節の話が書かれている本なのかな〜これはまとめて春夏秋冬と読んでいきたいなと思っている。
めぐり雛、の話は私も子供を産んで雛人形を買いに行った4年前を思い出した。父母が健在なので子供も連れて楽しく探した記憶があるんだけど、お雛様ってその家族ごとにいろいろな思い出をたくさん持っていくものなんだなぁ、と思った。我が家にはパパはいるにはいるけどなかなかそういうことにパパの思い出がない家かも。
最後の「つばめ記念日」の話もお母さんがワーキングママだと共感できるのかなと思った。子供がいながら保育園から30分電車で揺られるってちょっと壮絶すぎて気が狂いそう(笑)私なら無理です。
島小僧、の島の男の人たちの上下関係も私にはあまり馴染みがなくて面白かったな。
世の中には小説がたくさんあってずっと聴いてても飽きないな。
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春は年度の変わり目であり、人生の転機を季節の移り変わりに重ねて感じやすいタイミングである。
それぞれのストーリーを読んで、私も沢山思い出した。大学受験失敗、不本意な異動、喧嘩別れした友人、肉親の死別、年度末の繁忙、実家を離れた時の寂しさなど。。
辛い出来事の後は、良いことに向かうものだが、私の場合は、春風が悲しみを一気に吹き飛ばすというより、三寒四温の気候のように、時間をかけて緩やかに変化していくものだった。春風は事態が好転するきっかけなのだろう。
第一話から胸を打たれ、涙が出た。そして最後まで読み終えた後は、レミオロメンの「3月9日」が頭の中を流れ続けた。(笑)
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出会い、別れ、故郷、旅立ち。色々な思いを抱えてうきうきしたり憂鬱になったりする季節である春を生きる様々な人間模様を繊細に書いていて、とても心を洗われたような気がした。「さくら地蔵」と「めぐりびな」は泣いた。
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別れと新しい始まりの春。そんな季節にちなんだちょっと切ない短編集。季節外れの夏に読み返してみたけれど、やっぱり心がジンと温かくなる。「さくら地蔵」では、何故か急に某トラックメーカーのCMソング~いつまでも いつまでも 走れ走れ~とシンクロしてしまった。
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季節風シリーズ。春ももうすぐ終わるけど,季節に合わせて読んでみた。
春にちなんだ短篇集。
どの物語も,ちょっぴり,じんわり切ない。けれどそれがいい。
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◾️サマリー
・春は出会いと別れの季節。
・短編12個で構成
・寂しさと哀しさ、楽しさの入り混じった春を描く
◾️所感
別れと新たな出発は紙一重であることを12の物語が伝えくれる。
春は不安や期待がいつも心にモヤモヤと湧いてくる。
不安定な季節である。
「霧を往け」はどこか毛色が異なる内容である。
ある男性が酒に酔ってよろつき、線路に落ちて電車に轢かれ亡くなる。その男性を助けようとした青年も巻き込まれて亡くなる悲しい話である。酒に酔って亡くなった男性の実家へ赴くある取材記者の話だ。
その内容には短いながらも様々な人々が描写される。
もっとも違和感を感じるテーマなのに、もっとも春らしい悲しい内容だった。
皆、なにか悲しみを胸に抱いて生きている。
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ほわっとした、優しい雰囲気がした。
実際にはこんなにも心温まるストーリーを体験する事なんて無いんじゃないかと思うけど、この本を読んで、心がほわっとしたのがなんか嬉しかった。無気力に生きてるとまでは言わないけど、ただ毎日をなんとなくでやり過ごしてる私は、心を使えてないような気がした。
「変わりゆく「四季」の風景と「ひと」の心」
帯に書いてあった言葉が一番響いた気がする。
特に良かったのは、
せいくらべ
ツバメ記念日
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12のストーリーが収められた「季節風」シリーズの春。どれも重松さんらしい、愛情いっぱいで心温まるストーリーでした。中でも、さくら地蔵とせいくらべが、よかったです。季節にあわせて、次は夏を読んでみようと思います。
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ツバメ記念日
そんなにいい話かな。
パパの行動にイライラした。
ママが働きやすいように、ママの職場近くに引っ越すことはできなかったのかな?
夜にパパが帰ってきてから仕事にでることをなぜ止められなきゃいけないの?無理かどうかはママが判断すればいいんじゃないの?体調を心配するならパパの仕事をセーブして、ママが働きやすくすればいいんじゃない?
娘に熱が出た時も、羽田についたら娘のところに直行しないの?なんでパパだけちゃっかり仕事片付けてるの?それでママの仕事の邪魔する。
離婚してパパ1人に娘を育てさせたらよかったんじゃない?
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時期的にはまだ早いが、出会いと別れの季節「春」をテーマにした『季節風 春』は、四季シリーズの一冊。
多様で多彩な小話集に、小説家のたくましい創造力そして想像力に、畏敬の念を改めて抱いてしまう。
第一話『めぐりびな』で涙の誘惑に勝てず、最終話『ツバメ記念日』でもまたもその誘惑に負けてしまった(老化現象ー笑ー)。
『さくら地蔵』に描かれているようなトラック運転手ばかりなら、交通事故もきっと減ることだろう。
『島小僧』には、地方の疲弊化に思いを致し、『球春』『目には青葉』では、男のしち面倒くささに何とも言えない共感を感じた。
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短編集。著者得意の家族や子供の細かな感情、想いの描写は安心感あり。短いながらもしっかりした筋。
ただし、著者の作品を読み慣れていると目新しさはない。
タイトルどおり、春にちなんだ小話。