人類学作品一覧

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  • ガラテヤ共同体のアイデンティティ形成(関西学院大学研究叢書)
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 これまでガラテヤ書研究とパウロ研究一般は思想史研究という領域に限定されて行われてきた。本書は、アイデンティティ形成の文脈と実践的諸相に着目し、パウロとユダヤ教あるいはユダヤ人キリスト者のあいだで共同体アイデンティティの形成に関する期待がいかに異なっていたかを分析し、またバプテスマ、聖霊顕現体験、遺物としての書簡が共同体アイデンティティ形成に果たした役割を明らかにする。アイデンティティ理論と境界性理論を積極的に用い、また種々の歴史的宗教共同体との類例的比較をとおして、いかにパウロが独自の共同体アイデンティティ形成を試みたかをテクストの内から読み取り、宗教の実体に注目する社会科学的批評学を通してガラテヤ書を考察した画期作。 【目次より】 緒言 叢書・雑誌等の略語 序論 第1部 共同体アイデンティティ形成 第1章 社会学・人類学的理論的枠組み 第2部 ガラテヤ共同体におけるアイデンティティ形成の文脈 第2章 パウロとインストゥルメント型の共同体アイデンティティ形成(ガラ1.11-24) 第3章 第二神殿期ユダヤ教における異邦人編入 第4章 エルサレムとアンティオキアにおける対立関係と共同体アイデンティティ形成(ガラ2.1-14) 第3部 ガラテヤ共同体におけるアイデンティティ形成の実践的諸相 第5章 アブラハムと共同体アイデンティティ形成:サラ・ハガル物語の読み直し(ガラ4.21-31) 補遺 ガラテヤ信徒の宗教的感性とアイデンティティ形成 第6章 バプテスマと共同体アイデンティティ形成:定式文三対構成の発展と機能(ガラ3.27-28) 第7章 聖霊と共同体アイデンティティ形成:アイデンティティの二面性に関する考察(ガラ5.1-6.16) 第8章 書簡と共同体アイデンティティ形成:アイデンティティの場としての文書共有(ガラ6.11) 結論 参考文献 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 浅野 淳博 1960年生まれ。宗教学者。関西学院大学神学部教授。明治大学商学部商学科卒業、フラー神学校にて神学修士号取得、オックスフォード大学にて博士号取得。 著書に、『新約聖書の手引き』(共著)『聖書的宗教とその周辺』『ガラテヤ共同体のアイデンティティ形成』『古代世界におけるモーセ五書の伝承』(共著)など、 訳書に、J.D.G.ダン『使徒パウロの神学』リチャード・ボウカム『イエスとその目撃者たち目撃者証言としての福音書』『イエス最後の一週間』『ヨセフスと新約聖書』 などがある。
  • カイエ・ソバージュ[完全版] 人類最古の哲学 熊から王へ 愛と経済のロゴス 神の発明 対称性人類学
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    21世紀の「第三次形而上学革命」を迎えるにあたり、旧石器人類の思考、国家の誕生、貨幣の発生、神の創造と一神教の成立まで、「超越的なもの」について、人類が考え得た全領域を踏破することをめざした伝説の講義録が、愛蔵版として装いも新たに登場! ※『カイエ・ソバージュ(合本版)』と同一の内容です。 第一部では、「神話」とは、人類が最初の考え出した、最古の哲学です。今日の「哲学」は、神話が切り開いた領土で、自然児の大胆さを失った慎重な足取りで進められた後追いの試みでしかないのではないかと思われるほど、神話には根源的な問いに対する人類の果敢な試みが保存されています。 第二部では、「国家=野蛮なるもの」はいかに誕生したか? 熊をカミとする狩猟民たちの「対称性の思考」とは? 「哲学」と「権力」が共存する冬の祭りの秘密とは? 王を戴く国家が「無法の野蛮」と結びつく根源へと遡行して、国家というものが持つ、本質的な問題に迫ります。 第三部では、 本当の豊かさとは? 資本増殖の秘密とは?貨幣と魔術。愛と資本主義の不思議な関係を探る。全体性の運動としての経済と精神の構造は同一だろう。資本主義の彼方に出現する「未知の贈与論」を探究し、 モース、マルクス、ラカンを超えて、21世紀の贈与論へ! 第四部では、「宗教的思考」の3万年を語りつくします。内部視覚、瞑想、夢の時間(ドリーム・タイム)……「宗教的思考」の根源、そして精霊(スピリット)が超越を生む飛躍を探ります。さらに、高神から唯一神への道のりとは? <精神の考古学>が、神々の基本構造をあざやかに解き明かします。 【目次概要】 はじめに カイエ・ソバージュCahier Sauvage)について 第一部 人類最古の哲学 第二部 熊から王へ 第三部 愛と経済のロゴス 第四部 神の発明 第五部 対称性人類学 第五部では、神話、国家、経済、宗教を旅してきた私たちは、新たな知の営み「対称性人類学」へと向かいます。「圧倒的な非対称」が支配する世界の根源を問う冒険が、ここに堂々完結します。抑圧された無意識の「自然」は甦るのか?「対称性の論理」が切り開く新たな世界とは? 野生の思考としての仏教を媒介に、来たるべき形而上学革命への展望は私たちの未来をを示しています。
  • 人類学的認識論のために
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    現代世界の急速な変貌のなかで,人類学はどのような可能性をもつのか.本書は,民族,文化,地域などの基本概念を再検討し,人類学の記述や方法を根底から問い直すことで21世紀における理論的枠組みを示すものである.研究者のみならず,多元化する世界の中で「異文化」を考える読者にも必読の書.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 歴史民俗学資料叢書II 人喰いの民俗学
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    縄文人は人喰い人種か? モースは1877年大森貝塚を発掘し、そこに食尽の痕跡を発見した。この「衝撃」はその後の日本の人類学・考古学・歴史学の方向を決定した。ある者はモースの発見を否定し、ある者は「例外的」事例として黙殺した。そして大多数の者は縄文人を「日本人」に非ざる「先住民族」と位置づけたのである。 [解説] 『蘭学事始』と腑分/千住骨ヶ原にて/腑分の目的/山田浅右衛門の丸薬/食人の分類/モースと大森貝塚/食人の跡を示す人骨/人々の受けた衝撃/人類学に及ぼした影響/先住民族説/食人を例外的とする説/食人説の許容/寺石正路説と西南戦争/八重山列島の伝説/野口男三郎事件の真相/人体臓器取引き根絶のキャンペーン/人肉食タブーとその解除/近現代人と人肉食タブー/文明国における食人または文化としての食人 1.「支那人人肉ヲ食フノ説」神田孝平 『東京学士院会雑誌』(一八八一)より 2.「人肉ヲ食スルノ説」入沢達吉 『東京人類学会報告』(一八八七)より 3.「食人風習ニ就テ述ブ」寺石正路 『東京人類学会雑誌』(一八八八)より 4.「沖縄県八重山列嶋見聞余録」田代安定 『東京人類学会雑誌』(一八九〇)より 5.「食人風習論補遺」寺石正路 『東京人類学会雑誌』(一八九三)より 6.「常陸吹上貝塚調査報告」大野延太郎 『東京人類学会雑誌』(一八九九)より 7.「常陸吹上貝塚より発見の人類大腿骨に就て」鳥居龍蔵 『東京人類学会雑誌』(一八九九)より 8.「野口男三郎事件『予審終結決定書』」 『男三郎自筆獄中之告白』(一九〇六)より 9.「日本古る人肉食」田中香涯 『医事雑考 妖。異。変』(一九四〇)より 23.「臓器に関する薬効的迷信と犯罪」田中香涯 『医事雑考 妖。異。変』(一九四〇)より 24.「死刑囚の血染饅頭」ほか 米田祐太郎 『生活習慣北支那篇』(一九四一)より 25.「人肉食事件」関 之 『徳川・明治・大正・昭和 著名裁判録』(一九四八)より

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  • 歴史民俗学資料叢書IV 刺青の民俗学
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    入墨の図柄に、「桃の実」が好まれるのは何故だろうか? 桃太郎説話が「桃の実」入墨を誘発したのだろうか? むしろ「桃の実」の図柄は、東アジアの人々が共有する「桃の呪力」に対する信仰に由来するのではないか。瓜子姫説話を桃太郎説話に変容させたのは、この「桃の呪力」だったのではないか。 [解説]白川静氏の文身論/加入儀礼と身体装飾/入れ墨とかかわりをもつ諸学/「いれずみ学」は成立しえないか/ベルツの入墨論/入墨=着物代用説/ベルツと安田徳太郎/和歌森太郎の批判/マサキ=南方語説 1.「石器時代の遺物遺跡は何者の手に成たか」抄 坪井正五郎 『東京人類学会雑誌』(一八八八)より 2.「アイヌの婦人」坪井正五郎 『東京人類学会雑誌』(一八八九)より 3.「アイヌの入れ墨」坪井正五郎 『東京人類学会雑誌』(一八九三)より 4.「琉球ノ入墨ト『アイヌ』ノ入墨」宮島幹之助 『東京人類学会雑誌』(一八九三)より 5.「琉球大島群島婦人の黥」吉原重康 『東京人類学会雑誌』(一九〇〇)より 6.「北千島アイヌの入墨に就て」鳥居龍蔵 『東京人類学会雑誌』(一九〇三)より 7.「黥面土偶に就て」大野延太郎 『東京人類学会雑誌』(一九〇四)より 8.「台湾のツァリセン族に見らるゝ尊長表示の標榜」伊能嘉矩 『東京人類学会雑誌』(一九一〇)より 9.「犯罪者ノ文身ニ就キテ」抄 古瀬安俊 『国家医学会雑誌』(一九一〇)より 10.「アイヌの黥について」吉田 巖 『人類学雑誌』(一九一七)より 11.「倭人の文身と哀牢夷」鳥居龍蔵 『人類学雑誌』ケル犯罪者ノ文身ニ就テ」有住左武郎 『行刑衛生会雑誌』(一九三六)より 28.「文身」田中香涯 『医事雑考 妖。異。変』(一九四〇)より  29.「日本のイレズミ風俗」ほか 安田徳太郎 『人間の歴史2』(一九五二)より

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  • プシコ ナウティカ――イタリア精神医療の人類学
    5.0
    1巻6,380円 (税込)
    なぜ精神病院を廃絶したのか?精神病院から地域への移行で何が生じたか。地域精神保健サービスの現場でいま何が行なわれているのか。イタリア精神医療の歴史と現状を展望し、「人間」を中心にすえた、地域での集合的な生のかたちを描く。
  • 知的所有権の人類学――現代インドの生物資源をめぐる科学と在来知
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    知識は誰のものか?豊富な薬草資源をもつインドに「知的所有権」という概念が持ち込まれたとき、現地で何が起こるのか。緻密なフィールドワークにもとづき解明。過去の労働への対価ではなく、未来への責任としての所有という概念を提示する、異色の所有論。
  • 万物の黎明~人類史を根本からくつがえす~
    5.0
    『負債論』『ブルシット・ジョブ』のグレーバーの遺作、ついに邦訳。「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラー。考古学、人類学の画期的な研究成果に基づく新・真・世界史! 人類の歴史は、これまで語られてきたものと異なり、遊び心と希望に満ちた可能性に溢れていた。
  • 歴史民俗学資料叢書I 糞尿の民俗学
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    「時鳥、厠なかば出かねたり」これは時の総理大臣西園寺公望から自邸に招待された時、漱石が葉書に書いた断りの句である。この句の解釈には一応の定説があるが、厠や糞尿についての俗信をとおして解釈すると、全く違った趣になる。 [解説]厠なかばに出かねたり/ホトトギスについての伝説/漱石の句の新解釈/糞尿の民俗学とは/窃盗犯の脱糞/古代インドの呪法/日本における事例/糞にまみれた老王/ミッキー安川の賭け/ヘーシオドスが記録する俗信/古代インドに見られる俗信/厠神は虚像か?/ハイヌウェレ神話と食物起源/ハイヌウェレ型神話と縄文文化/糞尿の利用法と糞尿観とのかかわり/「糞食」は存在したか 1.「小児と魔除」出口米吉 『東京人類学会雑誌』(一九〇九)より 2.「厠神」出口米吉 『人類学雑誌』(一九一四)より 3.「厠神」南方熊楠 『人類学雑誌』(一九一四)より 4.「老女化石譚」抄 川村杳樹 『郷土研究』(一九一四)より 5.「南紀特有の人名」南方熊楠 『民族と歴史』(一九二〇)より 6.「糞尿奇聞」宮武省三 『習俗雑記』(一九二七)より 7.「パリコキ石」ほか 出口米吉 『原始母神論』(一九二八)より 8.「紙上問答」南方熊楠ほか 『民俗学』(一九二九)より 9.「琉球の厠」金城朝永 『民俗学』(一九三〇)より 10.「拭ふ習俗」金城朝永 『犯罪科学』(一九三〇)より 11.「屎尿雑記」金城朝永 『犯罪科学』(一九三一)より 12.「厠に関する習俗」金城朝永

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  • 民主主義の人類史――何が独裁と民主を分けるのか?
    3.0
    「政治体制にかんする、近年でもっとも重要な書だ」スティーブン・レビツキー(ハーバード大学教授|『民主主義の死に方』)「民主主義の長い歴史を学ぶために……この魅力的な本は最良の選択肢だ」ダロン・アセモグル(MIT教授|『国家はなぜ衰退するのか』)「刺激的な説得力が、本書の魅力の一つだ」『エコノミスト』誌「わたしたちが今どこにいて、これからどこへ向かうのかを理解するためには、視界を広げてデモクラシーのディープ・ヒストリー deep history に目を向ける必要がある……わたしが疑問に思ったのは、なぜヨーロッパは中国や中東と比べて根本的に異なる政治軌道をたどってきたのか、ということだった……皮肉なことだが、ヨーロッパの後進性こそが、近代デモクラシーの起こる基盤となったのである……」(本文より)ヒューロン族や中央アフリカなどの初期デモクラシー(民主)を、古代中国、メソポタミア、アステカのオートクラシー(専制)と比較することで、民主主義が生き残る条件を探求。さらには、なぜ初期デモクラシーがアングロ-アメリカにおいて近代デモクラシーに変質したのかを明らかにする。壮大な人類学的スケールで民主主義の変貌を定量的に分析し、デモクラシーの未来をも描き出す。
  • 音と耳から考える 歴史・身体・テクノロジー
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    1巻5,500円 (税込)
    音楽学者・細川周平が国際日本文化研究センターで主宰したプロジェクトの成果を刊行。 「音楽」にとどまらず、自然や人、機械などが発するありとあらゆる音を対象に、 音を受ける聴覚器官(耳)から発想しながら、音と耳の文化・歴史を問い直す意欲的な論集です。 執筆陣には、音楽や音響はもとより、文学、映画、映像、メディア、ゲーム、アート、 美学、歴史、人類学など幅広い分野から内外の気鋭の研究者たちが集い、 ゲストに大友良英らのアーティストや評論家などを加えた総勢44人が参加しています。 「響きを聴く──認識と思索」「聞こえてくる音」「戦前期昭和の音響メディア」 「音が作る共同体」「芸能化の文脈──ラッパと太鼓」 「鼓膜の拡張──音響テクノロジーの考古学」「ステレオの時代──聴く、録る、売る」 「物語世界論への挑戦」「サウンドの表現者」「デジタル・ミュージッキング」の全10部で構成。
  • ギニア湾の悪魔――キリスト教系新宗教をめぐる情動と憑依の民族誌
    5.0
    神と悪魔の憑依は、いかにして現実の〈もの〉になるのか? ――苦難を癒し、興隆するアフリカの新宗教。その核心は、モノや情動、環境の中に現れる霊的存在にある。写真や映像、エッセイを交え、霊と呼応する人々の生に迫る、マルチモーダル人類学。 ❖序章より 「悪魔」とは、多くの場合、アフリカの在来の神格や霊的存在、または妖術師である。…… 人々に憑依してその姿を現し、現実へと介入してくる。その中で人々の身体は、悲鳴を上げ、汗を散らし、目に見えない鞭で打たれ、涙を流す。手足を震わせ、身体を反らして、叫び、倒れ込む。立って走り、暴れつくした後に、床に寝そべり、うめき声を上げる。 それは、「人々は悪魔や妖術師を信じている」という記述にはとても収まらない、情動や身体など様々なものが絡まり合う中で起こっている出来事だ。神や悪魔といった人ならざるものたちが、いかに人々の間に立ち現れ、複雑に呼応しながら生が紡がれるのか。本書は、出来事が生起する場を起点として、このような問いを探究していくものである。 ※本電子書籍にはカラー写真が含まれます。
  • 先秦の社会と思想(中国学芸叢書) 中国文化の核心
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 秦に先行する夏殷周の時代(BC.2000頃~.BC220年頃)とは、中国独自の文化が形成された「原中国」であった。本書は、諸子百家の系譜を辿るという従来の手法を排し、最新の考古学的資料と伝来文献を有機的に結びつけ、原中国の社会の全体像と人びとの日常的な心のあり方を、明確なイメージをもって共感的に描き出す。彼らの強固な祖先観念と血族意識は一族や国家の長存、「天地長久」を願う熱い思いの現れであった。当時の支配層の意志決定に参与した史官は文字を独占する最高の知識人であり、天地人についての歴史の知識を蓄積する過程で万物の運行を司る天道を見出した。そして『老子』とは、天地長久の統治と処世を実現する教訓、格言、警句を、天道をも越える「道」の立場から編集整理したものに他ならなかった。豊富な史料と明快な論証により、中国文化の本質解明に一石を投じる画期作。 【目次より】 はじめに 本書の目的と立場 第一節 先秦とはいかなる時代か、いかに理解すべきか 第二節 史料について 第一部 血族社会の世界観 問題の提示 第一章 古代人と髪 第一節 髪と刑罰・兵士俑の髪型 第二節 髪の機能 第三節 髪の意味 第四節 原中国における髪の意味 まとめ 第二章 人間と植物の類比的認識 第一節 土毛・不毛 第二節 文王孫子、本支百世 第三節 『詩経』と類比的認識 まとめ  第三章 血族の長期的存続 第一節 世という文字 第二節 生命の継起的連続 第三節 舜の子孫 第四節 血縁の長期存続と祭祀 第五節 世系・世本 第六節 世の意識 第七節 不死鳥の陳国 第八節 祭祀継続の理由 まとめ 小結 戦国時代へ 第二部 『老子』思想の歴史的研究 問題の提示 第一章 『老子』思想の本質とその背景 第一節 『老子』の本質 第二節 再読「鄭伯、段に〓に克つ」 第三節 『老子』的処世の遍在 第四節 范氏一族の処世 第五節 支配層の意志決定 まとめ 第二章 歴史と『老子』 第一節 歴史とは 第二節 他族の歴史の教訓 第三節 鑑としての歴史・のっとるべき善 第四節 敬の処世 第五節 敬と『老子』 第六節 敬の具体化 第七節 歴史の事実の抽象化と『老子』思想 第八節 『老子』的思想の遍在 まとめ 第三章 天道と道 第一節 史官なるもの 第二節 道と『老子』 第三節 史官の直筆 第四節 シャーマンから史官へ 夏后啓とその子孫 まとめ おわりに あとがき ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 高木 智見 1955年生まれ。 中国哲学、中国史学者。山口大学名誉教授。名古屋大学文学部史学科卒業、同大学院文学研究科史学地理学満期退学。博士(歴史学)。専門は中国先秦文化史・中国古代思想。 著書に、『先秦の社会と思想 』『孔子 我,戦えば則ち克つ』『内藤湖南 近代人文学の原点』など、 訳書に、楊寛『中国都城の起源と発展』(共訳) 黄石林, 朱乃誠『中国考古の重要発見』鄭振鐸『伝統中国の歴史人類学 王権・民衆・心性』朱淵清『中国出土文献の世界 新発見と学術の歴史』などがある。
  • 所有と分配の人類学――エチオピア農村社会の土地と富をめぐる力学
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    人びとは、富をいかに分け与え、「自分のもの」として独占しているのか? エチオピアの農村社会を舞台に、「所有」という装置が、いかに生成・維持されているのか、緻密に描き出す。「私的所有」という命題へ人類学から挑戦するデビュー作。 第30回発展途上国研究奨励賞、第37回澁澤賞受賞。
  • 満洲スポーツ史 帝国日本と東アジアスポーツ交流圏の形成
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    スポーツは近代以降、国民や文化を統合する役割を果たす一方で、身体を鍛える手段として、あるいは国民を養成する手段として、はたまた娯楽として人々の生活に根づいていった。 1932年に成立して、日本人、中国人、朝鮮人、ロシア人、モンゴル人など、多様な民族が交差した満洲国では、どのようにスポーツが実践され、どんな役割を果たしていたのか。 企業スポーツ、女子スポーツ、朝鮮人や台湾人のアスリート、武道界、明治神宮大会やオリンピックなど各種競技会をめぐる動きに光を当て、満洲と内地・中国・台湾・朝鮮の各地域との力学も視野に入れながら、「労働」「民族」「移動」「国際関係」という視点から満洲のスポーツの諸相を明らかにする。 帝国日本の外縁に位置し、資料の制約から研究が進んでこなかった満洲のスポーツの実態を歴史学や社会学、人類学などの学際的な視点から検証する。満洲スポーツ史から帝国日本や東アジアの近代史を描き出す貴重なプロジェクトの成果。
  • 新・全訳 須恵村―日本の村
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    1935年、熊本県須恵村に居を構え、約1年間調査した米国人社会人類学者による、協同活動「かったり」、任期制の世話人「主どうり」など自治の仕組み、家族や教育、生活史、宗教、葬祭など戦前農村の克明な記録。
  • 病いは物語である 文化精神医学という問い
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    なぜ臨床場面に民族誌(エスノグラフィー)が必要なのか? 著者は文化精神医学や医療人類学の方法論を精神科の日々の臨床にいかに蘇生させるかということを,ライフワークにしてきた。本論集はその集大成ともいうべき労作である。 かつてA・クラインマンは,台湾をフィールドとする著作のなかで,憑依状態で治療にあたる現地の童ケイ(タンキー)を,癒しにおいて間違いなく西洋医にまさるものと結論づけた。ここで作動しているローカルな知を現代医療において生かす方法は何かと著者は問う。現代精神医療の変容(「大きな物語の終焉」),物語論の始原へと遡るジャネの心的治療論,民俗学への架橋,そして医療自身のもつ文化をたどりながら,読者は対話場面で偶発的に溢れるように語りだされる患者や家族の「もう一つの物語」を聴くことになるだろう。 精神療法は文化とどこで出会うのか? 心的治療の多様性とは? 臨床民族誌という方法を理論にとどまらず身体技法として身につけるにはどうしたらよいか?……本書(本論集)はこれらを模索する試みである。

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  • ウォークス 歩くことの精神史
    4.5
    アリストテレスは歩きながら哲学し、彼の弟子たちは逍遥学派と呼ばれた。 活動家たちはワシントンを行進し、不正と抑圧を告発した。 彼岸への祈りを込めて、聖地を目指した歩みが、世界各地で連綿と続く巡礼となった。 歴史上の出来事に、科学や文学などの文化に、なによりもわたしたち自身の自己認識に、 歩くことがどのように影を落しているのか、自在な語り口でソルニットは語る。 人類学、宗教、哲学、文学、芸術、政治、社会、 レジャー、エコロジー、フェミニズム、アメリカ、都市へ。 歩くことがもたらしたものを語った歴史的傑作。 歩きながら『人間不平等起源論』を書いたルソー。 被害妄想になりながらも街歩きだけはやめないキェルケゴール。 病と闘う知人のためにミュンヘンからパリまで歩き通したヘルツォーク。 ロマン主義的な山歩きの始祖・ワーズワース。 釈放されるとその足でベリー摘みに向かったソロー。 インク瓶付きの杖を持っていたトマス・ホッブス。 ラッセルの部屋を動物園の虎のように歩くウィトゲンシュタイン。 刑務所のなかで空想の世界旅行をした建築家アルベルト・シュペーア。 ヒロインに決然とひとり歩きさせたジェーン・オースティン。 その小説同様に大都市ロンドン中を歩きまわったディケンズ。 故郷ベルリンを描きながらも筆はいつもパリへとさまようベンヤミン。 … 歩くことはいつだって決然とした勇気の表明であり、 不安な心をなぐさめる癒しだった。
  • 市場の経済思想(現代経済学選書)
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 市場活動をルールの下での競争というゲームとして統一的に考察。古代以来の反市場思想を歴史的・批判的に分析した問題作。各務賞受賞。 【目次より】 まえがき 1 経済と市場 1 稀少性の出現 2 余分なものとしての経済 3 稀少性への挑戦 4 稀少性に対処するための社会システム 5 競争 6 市場 7 市場をめぐる経済思想 2 交換・貨幣・市場ゲーム 1 交換 2 交易と市場の起源 3 交換ゲーム 4 交換に先立つもの 5 交換の正義 6 貨幣 機能主義的アプローチ 7 貨幣 経済人類学的アプローチ 8 貨幣 情報システム論的アプローチ  9 貨幣と市場ゲーム 3 反市場思想および経済的自由主義のプロトタイプ 1 アリストテレスの正義論 2 利得は不正であるという説 3 マネー・ゲームは不自然であるという説 4 利子の否定 5 司馬遷の経済的自由主義 6 国家独占をめぐる問題 4 市場ゲームと正義 1 トマス・アクイナスの正義論 2 「交換の正義」再論  3 「公正価格」 4 中世の商業 5 商業利潤の根拠 6 利子をめぐる議論 7 「分配の正義」 8 ゲームの 「公正」 と初期条件の問題 5 「搾取」と「剰余」 1 市場ゲーム と利得 2 マルクス的「搾取」の概念 3 「剰余」の概念 4 「剰余」としての人間 5 交換システムにおける「剰余」 6 マネー・ゲームと「利潤」 6 「見えざる手」 の世界と 「ユートピア」 1 『蜂の寓話』 のパラドックス 2 自生的な社会的秩序  3 「見えざる手」 4 自然的秩序形成のメカニズムと「共感」 5 「見えざる手」の失敗 6 「市場の失敗」 7 反市場社会としての「ユートピア」 7 市場と国家 1 国家とその経済的役割  2 プラトンの「国家」 3 市場ゲームの抑制者としての国家 4「富国強兵ゲーム」 のプレーヤーとしての国家 5 経済的自由主義と国家 6 再分配ゲームの仲介者としての国家 7  国家による市場の制御 8 資本主義というゲーム 1 「マネー・ゲーム」としての「資本主義」 2 「資本主義」は不公正なゲームか 3 「搾取」についての再論  4 「反資本主義」のモデル 5 「社会主義」という名の「国家独占資本主義」 6 資本主義の否定がもたらす「国家の失敗」 7 非資本主義的市場経済としての「市場社会主義」の可能性 8 資本主義の「精神」 9 経済思想のドラマ 1 古代・中世の反市場の思想 2 「重商主義革命」と「アダム・スミス革命」 3 正統・異端・無神論 4 「ケインズ革命」以後 5 主要なパラダイムの比較 6 市場の擁護と資本主義の擁護 参考文献 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 竹内 靖雄 1935~ 2011年。経済学者。成蹊大学名誉教授。東京大学経済学部卒業、同大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。専門は、経済思想史、経済倫理学。 著書に、『マルクスの経済学』『経済学の認識』『経済学とイデオロギー』『競争はなぜ必要か』『日本型市場社会の知恵』『父性なき国家・日本の活路』『経済倫理学のすすめ』『市場の経済思想』(東京海上各務記念財団最優秀図書賞受賞)『正義と嫉妬の経済学』(山本七平賞受賞)『迷信の見えざる手』『国家と神の資本論』『イソップ寓話の経済倫理学』『世界名作の経済倫理学』『ミステリの経済倫理学』『経済思想の巨人たち』『「日本」の終わり』『諺で解く日本人の行動学』『「脱」宗教のすすめ』『チームの研究』『国家という迷信』『得する生き方 損する生き方』『衰亡の経済学』『法と正義の経済学』『あなたも「リーダー」になりなさい』『戦争とゲーム理論の戦略思考』など、 訳書に、D・ジョナス、D・クライン『幼稚化の時代1・2』G・ハーディン『サバイバル・ストラテジー』などがある。
  • リビア 戦争
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    2011年、カダフィはなぜ殺されたのか? 〝人道的介入〟の嘘を豊富な資料で解き明かす 大量破壊兵器の開発計画を放棄し欧米と和解していたはずのリビアの革命指導者ムアンマル・カダフィ。2011年、そのカダフィが〝アラブの春〟の反乱と欧米諸国の〝人道的介入〟を受け、残虐に殺害されるに至った背景には何があったのか。 本書は、カダフィが生まれ最期を遂げた地であるシルテを出発点に、豊富な資料を駆使して欧米の〝人道的介入/保護する責任〟の虚構を暴き、リビアに現在まで続く混乱をもたらしたNATOの軍事介入の本当の目的を明らかにする。 【目次】 はじめに リベラル帝国主義と新たなアフリカ争奪戦 第一章 シルテ―リビア独立の要石 第二章 シルテ―帝国主義の試金石 第三章 リビアの汎アフリカ主義とそれへの不満 第四章 アフリカに対する戦争―AFRICOM、NATO、人種差別 第五章 人道主義と緊急事態の創出 おわりに 余波―アフリカとの新しい戦争 【著者】 マクシミリアン・フォーテ カナダ・ケベック州モントリオールのコンコルディア大学社会・人類学部教授。大学では政治人類学を教えており、おもに帝国主義/ナショナリズム/(脱)グローバリゼーション/先住民族運動の理論と歴史を研究している。 山田文 英語翻訳者。英国の大学・大学院で社会政治思想を学ぶ。訳書にダレン・マクガーヴェイ『ポバティー・サファリ イギリス最下層の怒り』(集英社)、ヴィエト・タン・ウェン編『ザ・ディスプレイスト 難民作家18人の自分と家族の物語』(ポプラ社)、ムハマド・ユヌス『3つのゼロの世界 貧困0・失業0・CO2排出0の新たな経済』(早川書房)、J・D・ヴァンス『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(共訳、光文社)などがある。
  • ライブハウスの人類学
    4.0
    1巻4,620円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 閉鎖的で非合理な「場」として語られるようになったライブハウス。社会の周縁へと押しだされながらも、その場へ集う人びとの実践を考察することで、協働的な「自分達にとっての価値」が生まれる道程を捉える。
  • 津波――暴威の歴史と防災の科学
    -
    「世界のあらゆる場所や時代から津波の例を収集した本作は、ある意味では、津波生存者たちへのオマージュであり、そして別の意味では、変化に富んだ津波の世界へのふたつとないのぞき窓でもあるのだ」(「はじめに」より)ハワイとオーストラリアを拠点に世界各地で長年調査に携わるふたりの研究者が、古今東西の事例をもとに、この地球規模の現象を解き明かす。登場するのは、約250万年前の小惑星衝突で起きたメガ津波から、2004年のインド洋大津波、2011年の東日本大震災まで。海洋学、生物地理学、地質学、歴史学、考古学などの科学的な知見、日本の「稲むらの火」やアイヌの言い伝え、400名を超える津波生存者へのインタビューを組み合わせ、さまざまな津波のメカニズムと防災の心得を生き生きと説く。「われわれにできることはあるし、実際に行なわれていることもあるし、科学は前に進んでいる。自分自身や弱い人々を世話する義務は全員にある。だから、備えよう。(中略)津波は過去に起きてきたし、これからもまちがいなく起きるのだから」(「おわりに」より)「現在、筆者らは国難災害として発生が心配な南海トラフ巨大地震による大津波に警鐘を鳴らし続けているが、多くの国民に〝ひとごと″意識がつきまとい、深刻さが伝わらないというもどかしさを覚えている。(中略)この災害がきっかけとしてわが国は先進国から脱落し、衰亡する恐れさえあるのだ。このような社会的背景が存在するわが国で、本書が翻訳され出版されることは、誠に時宜を得たことと称賛されよう。本書は、地質学と考古学、人類学を駆使した長年の研究成果を基礎として、世界で発生した巨大津波災害を歴史的に復元しただけでなく、同時に、現在の津波力学に関する自然科学的知識に立脚した解説を含み、素晴らしい内容となっている」――河田惠昭(本書解説より)
  • 構造人類学ゼロ
    -
    目 次 序文――編者による解説 歴史と方法 第1章 フランス社会学 第2章 マリノフスキ追悼 第3章 エドワード・ウェスターマークの業績 第4章 ナンビクワラの名称について 個人と社会 第5章 五つの書評 第6章 幸せのテクニック 互酬性とヒエラルキー 第7章 南米インディオにおける戦争と交易 第8章 未開部族における首長権力の社会的および心理学的側面――マト・グロッソ州北西部のナンビクワラ 第9章 互酬性とヒエラルキー 第10章 未開社会の外交政策 芸 術 第11章 インディオの化粧 第12章 アメリカ自然史博物館の北西沿岸部の芸術 南米の民族誌 第13章 ブラジル・インディオ諸部族における親族語彙の社会的用法 第14章 南アメリカにおける双分組織について 第15章 トゥピ・カワイブ族 第16章 ナンビクワラ族 第17章 グアポレ川右岸のインディオ諸部族 地図 注
  • 妖怪の誕生 超自然と怪奇的自然の存在論的歴史人類学
    -
    カッパ、カマイタチ、くねくね……私たちはなぜ、それらを妖怪と呼ぶことができるのか。私たちにとっては実在しない・超自然的である・俗信だから、だろうか。だが、ある時代や別の社会にとってみれば、妖怪はそのようなものではなかった。この食い違いは、どうすれば和らげられるだろうか。妖怪の概念をどのように書き換えていけばいいのだろうか。 妖怪を超自然的で実在しないものだとしてきた妖怪研究の存在論的前提を問い直すために、主に18世紀末から現代までの自然/超自然、宗教、近代/非近代をめぐる議論、日本の知識人の言説や思想、学知を渉猟して、それらと絡み合うなかで現代の妖怪概念が生成してきた過程を丁寧に分析する。 さらに、主要な妖怪を題材に、自然と文化、科学と俗信などの区分の構築とその限界を検証し、現代の私たちが想像してきた「非近代的存在論」に収まらない妖怪の記述の仕方を模索する。 妖怪と妖怪研究の関係性を存在論的転回の人類学の視点から批判的に検証する。そして、妖怪を超自然や非実在なものに還元せず、状況に応じて適切な概念でそのつど捉えていくことの重要性を指摘する。妖怪研究の再構築を試みる野心的な研究成果。
  • 多元世界に向けたデザイン ラディカルな相互依存性、自治と自律、そして複数の世界をつくること
    -
    デザインが引き起こした問題を見つめ直し、デザインを通じて変容するには? 持続可能な世界へのトランジションに向けて、「デザイン」の再定義/方向転換を図る人類学者アルトゥーロ・エスコバルの『Designs for the Pluriverse』、待望の翻訳。 デザインと人類学を中心に、開発学、哲学、生態学、ラテンアメリカ研究、フェミニズム理論、仏教、音楽など様々な分野を横断しながら、西洋近代資本主義的な単一の未来ではなく、場所に根ざした複数の未来をつくるための手立てを模索する本書は、これからのデザインのあり方に大きな問い直しを迫ります。世界中の多くのデザインスクールで課題図書として挙げられる、必読の一冊です。 気候変動や生態系破壊、あるいは経済的不平等や文化的抑圧など、社会生態学的危機が蔓延する現状に対して、我々はどのように存在し、思考し、実践できるのか。エスコバルが本書のタイトルに掲げた「多元世界」のためのデザインとは、危機の原因とされる「(近代的世界観に依った)一つの世界=OWW」に対抗するものだが、はたしてデザインは多元世界への移行の手立てとなりうるのか。本書は以上のような問いに立ち向かうべく、各二章からなる三部構成の本論と、序文、序論、結論、そして注釈で構成された野心的な著作である。(「監訳者あとがき」より)

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  • 精霊に捕まって倒れる――医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突
    4.6
    生死がせめぎ合う医療という場における異文化へのまなざしの重さを、感性豊かに、痛切に物語る傑作ノンフィクション。ラオスから難民としてアメリカに来たモン族の一家の子、リア・リーが、てんかんの症状でカリフォルニア州の病院に運ばれてくる。しかし幼少のリアを支える両親と病院スタッフの間には、文化の違いや言語の壁ゆえの行き違いが積もってしまう。モン族の家族の側にも医師たちの側にも、少女を救おうとする渾身の努力があった。だが両者の認識は、ことごとく衝突していた。相互の疑心は膨れ上がり、そして──。著者は、医師たちが「愚鈍で感情に乏しい、寡黙」と評したリアの両親やモンの人びとから生き生きとした生活と文化の語りを引き出し、モン族の視点で見た事の経緯を浮かび上がらせる。その一方で医師たちからもこまやかな聞き取りを重ね、現代的な医療文化と、それが医療従事者に課している責務や意識が、リアの経過にどう関わっていたかを丹念に掘り起こしている。本書の随所に、異文化へのアプローチの手がかりがある。原書は1997年刊行以来、アメリカで医療、福祉、ジャーナリズム、文化人類学など幅広い分野の必読書となった。医学的分類の「疾患」とは異なる「病い」の概念も広く紹介し、ケアの認識を変えたとも評される。全米批評家協会賞受賞作。
  • 獄中記(新版)
    -
    1巻4,395円 (税込)
    東京外語大を出て8か月で入獄するや、看守の目をかすめて、エスペラント語にのめりこむ。英・仏・エス語から独・伊・露・西語へ進み、「一犯一語」とうそぶく。生物学と人類学の大体に通じて、一個の大杉社会学を志す。21歳の初陣から大逆事件の26歳まで、「頭の最初からの改造」を企てる人間製作の手記。
  • 臓器移植の人類学――身体の贈与と情動の経済
    -
    無償で臓器を提供した家族の背後に見え隠れする苦悩、部品化した身体の行方、脳死論争の現在……。制度と実践を緻密に分析することで、身体への技術的介入の先に現れる、生と死の姿を浮き彫りにし、社会と経済の秩序再編のプロセスを描き出す
  • 野生のエンジニアリング――タイ中小工業における人とモノの人類学
    -
    第二次世界大戦後、独自に発展してきたタイの機械技術。そこに関わる人とモノとは、どのような関係を結んできたのか。マルセル・モースの技術論、アクターネットワーク理論を駆使して文化/自然の二元論を乗り越える、テクノロジーの人類学。
  • ロボットの人類学――二〇世紀日本の機械と人間
    -
    ロボット神話を解体する、ポストプルーラル人類学の挑戦! マンガやアニメのなかで活躍する一方、人間の生活を支える新技術として研究されるロボット。ロボットをめぐる文化/科学的実践を分析し、機械と生命、欧米と日本、過去と未来をつなぐ機械人間と日本人の密やかな関係を描き出す。
  • 歴史民俗学資料叢書 第二期 I 厠と排泄の民俗学
    -
    読書趣味と学問道楽と猟奇癖! 糞尿の〈呪力〉と〈汚穢性〉にみる近代日本人の糞尿観とは? 三島由紀夫の『仮面の告白』によれば、主人公の「私」は、五歳の時に道で〈汚穢屋・おわいや〉(糞尿汲取人)に出遭い、「汚穢屋になりたい」という憧れを抱いたという。三島由紀夫の出自の秘密にかかわる汚穢屋に対する過剰な思い入れは、汚穢屋に〈賤民性〉を見出す大正期以降の近代都市住民の誤解や偏見の反映であるとはいえ、糞尿の〈呪力〉に対する日本人固有の情念と憧憬に根差していたといえるのである。 近代日本における糞尿利用の変遷と近代日本人の糞尿観の変化に焦点を当てつつ、糞尿をめぐる日本人の心意を解読し、基層文化の深層に迫る資料集。 宮武外骨「小便考」、田中香涯「糞と尿」、井上一之「日本便所考」他、埋もれた資料や閲覧しにくい26の文献を収録、注釈も付した読みやすい全文新組み版。 『週刊朝日』で高橋源一郎氏、好評!!! 目次 ●解説篇 糞尿はいつから〈汚物〉になったのか?近代ニッポン糞尿史序説(礫川全次) ・三島由紀夫の〈汚穢屋〉願望/三島由紀夫の「出自」について/〈汚穢屋〉は賤民にあらず/昭和初年の東京における〈汚穢屋〉の実像/竹内武雄氏の「汲み取り」体験/徳富蘆花の見た「不浄取り」/都市住民の〈汚穢屋〉に対する意識/本資料集の編集方針について ●資料篇 凡例 ●「古糞鑑弁之記」大原栗(一八一二) 『下肥』(一九一四)より ●「阿房陀羅経(下肥の注意)」堀之内片田舎生 『新潟県農事報』(一九〇六)より ●「小便考」宮武外骨 『滑稽新聞』(一九〇八)より ●「下肥」中尾節蔵 『修正実用肥料学』(一九〇八)より ●「糞と米とは何れが尊き乎」矢崎亥八 『日本農業雑誌』(一九〇九)より ●「人糞尿又下肥」佐々田源十 『最新実用肥料学』(一九一〇)より ●「日本の糞と西洋の糞」岩村透 『ニコニコ』(一九一一)より ●「支那の厠神」吉田巌 『人類学雑誌』(一九一四)より ●「名古屋市に於ける屎尿市営方法」燕佐久太 『下肥』(一九一四)より ●「人糞尿の話」古市末雄 『軍隊農事講習講演集 ?第二輯』(一九一五)より ●「迷信としての犯罪者の脱糞」寺田精一 『変態心理』(一九一八)より ●「糞便ノ成分」(他)及能謙一 『糞便学』(一八一八)より ●『内務省実験所考案改良便所』内務省衛生局 (一九二七) ●「内務省式改良便所」相澤時正 『便所の設計及改良法』(一九二九)より ●「便所はどうすればよいか」高野六郎 『都市問題』(一九三〇)より ●「岡山地方農家の便所」今村勝彦 『旅と伝説』(一九三三)より ●「アカゴノセツチンマヘリ」(他)中山太郎 『日本民俗学辞典』(一九三三)より ●「糞と尿」(他)田中香涯 『史実の種々相』(一九三六)より ●「日本便所考」井上一之 『近世便所考』(一九三七)より ●「東洋便所風景」田辺泰 『近世便所考』(一九三七)より ●「本邦衛生工業の発達」(抄)須賀藤五郎 『近世便所考』(一九三七)より ●「城口式大正便所」高橋彦次郎 『近世便所考』(一九三七)より ●「汲取便所」(抄)高野六郎 『便所の進化』(一九四一)より ●「犯人の肉体的痕跡」矢崎憲正・中村治郎 『犯罪証拠』(一九四七)より ●「しようべん考」(他)滝川政次郎 『別嬪と美人』(一九五六)より ●「旧十五区市営前の屎尿処分の実態」黒川義雄 ?『東京都における屎尿処理の変遷』(一九六一)より

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  • 肉食行為の研究
    -
    人間にとって肉を食べるとはいかなることか。文化人類学を中心として、人文・自然科学の最新の学術的成果をもとに、人間の肉食をめぐる問題群を考え抜く唯一無二の研究書。
  • 文化がヒトを進化させた 人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉
    4.0
    :::::::生物学、人類学、心理学、社会学の世界的権威が絶賛::::::: ヘンリックは進化の考え方に革命を起こした ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか』著者 ヒトの進化と行動に関する主要な問題に、斬新かつ価値ある視座を提示する アレックス・メスーディ『文化進化論』著者 生物学、人類学、経済学、心理学のはざまから、人類社会の繁栄を説明する新しいアプローチが登場した。……このパラダイムを俯瞰する出色の書 ジェイムズ・ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』著者 ヒトの集団脳はいかに誕生し進化したか? この問いに答える緻密な理論を物語を紡ぐように語る マット・リドレー『進化は万能である』『繁栄』著者 革命が起きつつある社会科学で、ヘンリックは最前線を走る ダロン・アセモグル『国家はなぜ衰退するのか』著者 ヒトを謎多き動物にした、遺伝子と文化の進化プロセスをめぐる魅力的な書 マイケル・トマセロ『ヒトはなぜ協力するのか』著者 人類の起源に関心のある人には必読の書 ロバート・ボイド『ヒトはどのように進化してきたか』著者 文化は長い年月をかけて人間をつくり変える進化的装置だ ピーター・リチャーソン カリフォルニア大学デーヴィス校教授

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  • カール・ポランニー伝
    -
    名著『大転換』の著者にして近年再評価著しい経済人類学者カール・ポランニーの初の評伝。市場経済の最もオリジナルな理解者が生涯をかけて追究した経済の在り方を問う。
  • 月経の人類学――女子生徒の「生理」と開発支援
    4.5
    「生理の貧困」を訴え「生理の平等化」を求める動きは身近な各地で広がっている――本書は月経をめぐる国際開発の動向を整理し,フィールドワークで得た情報から各地の状況を分析、月経対処のローカルな文脈と現状を「今」同時期にとらえる
  • 現実批判の人類学――新世代のエスノグラフィへ
    -
    自然と文化、人間とモノ、主体と客体の二項対立を無効化する地平に立ち、現実が現実として構築される過程を細緻に分析することによって、世界が変わりうることを示す。「人類学の静かな革命」に共鳴する、別の現実を想像=創造する試み。
  • 善と悪の生物学(上) 何がヒトを動かしているのか
    4.0
    人はなぜ人を殺すのか? そしてなぜ悲しむ人に寄り添うのか? 善悪の分岐点を探る 人間は戦争や暴力のような「最悪の行動」と、協力や利他といった「最善の行動」のどちらも選択しうる。その善悪を分けるものは何か? 上巻では、ある行動の瞬間から、その一秒前に脳内で起こっていること、数秒から数分前の感覚刺激、数時間から数日前のホルモンの状態……と時間を遡り、行動を決定する要因を探る。マッカーサー基金を受賞したスタンフォード大学の天才教授が、脳神経系の働きから行動の進化までさまざまな分野の知見を駆使し、人間行動の根源に迫る壮大な旅! 【内容】 序章 第1章 行動(本書の問題意識) 第2章 一秒前(神経生物学) 第3章 数秒から数分前(動物行動学) 第4章 数時間から数日前(内分泌学) 第5章 数日から数か月前(ふたたび神経生物学) 第6章 青年期――おい、おれの前頭葉はどこだ?(脳科学) 第7章 ゆりかごへ、そして子宮へ戻る(発達心理学) 第8章 受精卵まで戻る(遺伝学) 第9章 数百年から数千年前(文化人類学) 第10章 行動の進化(進化生物学)
  • 言語の起源 人類の最も偉大な発明
    3.0
    言葉はなぜ、生まれたのか?人類史上最も偉大な発明である「言語」。その起源をめぐっては、これまで様々な議論が交わされてきた。言語はいつ、誰が最初に使いはじめたのか? 人は言語を突然変異によって獲得したのか、それとも漸進的な変化によって身につけたのか? そもそも、他の動物のコミュニケーションと人間の言語は何が違うのか――すなわち、言語とは何か?ノーム・チョムスキーが提唱した生成文法への反証であるとされた「ピダハン語」の研究で一躍有名となった、異端の言語学者ダニエル・L・エヴェレットが、言語学のみならず、人類学、考古学、脳科学などの知見をもとに、上記の問いすべてに答えを出す。著者渾身の一冊。

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  • 応援の人類学
    -
    ひいきのプロ野球チームを熱烈に応援して勝敗に一喜一憂し、アイドルを追っかけてオタクの生活に浸る。応援団のリードに手拍子を合わせる。応援団としてファンを統制する。 他者を激励して成功を自分のものとし、失敗を自分の責任のように背負い込む応援するという行為を、どういう心性が支えていて、生活にどのように位置付けているのだろうか。大学応援団の実態や、スポーツと芸能の現場――特にプロ野球の私設応援団と、親衛隊からヲタ芸まで――をフィールドワークに基づいて分析し、選手・演じ手と観客との関係を考察する。 大学応援団の歴史や因習に縛られた上下関係、「男の世界」に女性が入り込んで生じるジェンダー問題、伝統校の新入生へのイニシエーション行為、それらが時代とともに変貌するさまを解明する。 また、プロ野球の私設応援団が引き起こした事件と無秩序の実態、その後の統制と管理、トライアスロンなどの参加型スポーツイベントの地域住民と参加者の交流、さらには伝統芸能とアイドルに熱狂する忘我現象とは何か、にも迫る。 応援文化を多角的に描くことで、「他者によって自分の存在を確認する応援という行為」を照らし出す。
  • ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか
    4.5
    〈私は、噂の重要性を次のように見ている。すなわち、公的な情報源から提供されない場合に答えを求める手段、不確かなリスクに直面したときに集団で意味づけをする手段、公的な経路ではまだ認識されていない予見できないリスクについての新情報を伝える合図としての重要性である〉「ワクチンを打つと不妊になる」「ワクチンを打つと自閉症になる」――。予防接種という世界的なプロジェクトの誕生以来、私たちはワクチンをめぐって常に噂やデマに翻弄されつづけてきた。それらの噂やデマは単に街の噂話から立ち上り拡散されていくのでなく、時の政権やエリートへの不信感のなかに、そして宗教的指導者や科学者の発言のなかに火種が隠されていることもある。さらに、ソーシャルメディアに慣れ親しんだ今日の私たちは、容易に噂のパンデミックに曝される危機に陥っているのだ。ワクチンをめぐる噂やデマはどのように生まれ、どう広まり、なぜ疑いようのない事実のようにいつまでも消え去らないのか? ワクチンの信頼性をめぐる国際的な研究プロジェクトを率いてきた人類学者が、多様な背景より湧き上がる噂の生態系を明らかにする。[解説・磯野真穂]
  • 数の発明――私たちは数をつくり、数につくられた
    4.1
    “なぜ人類だけが、どこまでも数を数えられるのか。それは、ヒトが生得的に数の感覚を持っているからだ”――数は、私たちの思考に深く根付いている。だからこの説明は、一見するともっともらしい。しかし、アマゾンには数を持たない人々が暮らしている。幼少期、宣教師の父とともにこのピダハン族と暮らし、人類学者となった著者によれば、数は車輪や電球と同じ「発明品」であるという。「数の感覚」がまったく存在しないというわけではない。ピダハン族や乳児の調査によれば、彼らは数についてごく限られた感覚を持つ。人類は長い間、この曖昧な感覚だけで生きてきたのだ。そして私たちも、幼い頃は数のない世界を見ていた。今、数がわかるのは、かつて発明された数体系を受け継いだからこそである。各地の言語には、身体やさまざまな物を足がかりに発明が起きた跡が残されている。そしてピダハン族のように、発明が起こらなかった例も存在する。「わかったのは、ピダハンについてではなく、人類すべてに関することだ」。考古学、言語学、認知科学、生物学、神経科学に散らばる手がかりを横断し、数の発明の経緯を探り、その影響を展望する書。
  • きのこのなぐさめ
    4.0
    悲しみの淵にいた私を、そこから連れ出してくれたのは、きのこだった――。マレーシア人の著者は、文化人類学を学ぶ交換留学生としてやって来たノルウェーでエイオルフと出会い、恋に落ちた。夫婦となった二人は深く愛し合い、日々のささやかなことも人生の一大事についても、何でも話し合う仲だった。ある朝、いつものように自転車で職場に向かったエイオルフが突然倒れ、そのまま帰らぬ人となる。最愛のパートナーを失った著者は、喪失の痛みのさなか、ふと参加したきのこ講座で、足下に広がるもうひとつの世界、きのこ王国に出会う。きのこたちの生態は、不可思議な魅力に満ち満ちていた。苔むす森でのきのこ狩りの効用と発見の喜び。きのこ愛好家間の奇妙な友情と不文律。専門家・鑑定士への「通過儀礼」。絶品きのこトガリアミガサタケ。悪名高いシャグマアミガサタケ。色・形・匂いの個性とその奥深さ。とっておきの、きのこレシピ。悲しみの心象風景をさまよう内面世界への旅と、驚きと神秘に満ちたきのこワンダーランドをめぐる旅をつづけ、魂の回復のときを迎える、再生の物語。約120種類のきのこが登場。
  • 日本のありふれた心理療法
    4.0
    心理療法は必ず文化の中で行われる。だから、欧米で生まれた心理療法は、日本文化に合わせて変形したし、教科書に描かれる心理療法は、それぞれのローカルな現場の事情に合わせて妥協されざるをえない。そうやって、私たちのありふれた心理療法は営まれる。本書は、臨床心理学と医療人類学の二つの視点から、そのような文化と心理療法のダイナミズムを明らかにする。臨床心理学の専門性が問われる今、刺激的な心理臨床論が誕生。
  • 「シェルパ」と道の人類学
    4.0
    ネパール東部、ソルクンブ郡。エベレストの南麓にあたる北部のクンブ地方は、“勇敢で忠実な山岳民族”と謳われるシェルパの人々の居住地である。標高三〇〇〇メートルを超えるこの険しい山岳地帯では、山道は天候によって質感を変え、しばしば土砂崩れや降雪によって流失しては再び姿を変えて現れる。 ヤクを追うシェルパたちが自給自足に近い暮らしを営んでいたこの地域は、次第に山岳観光の名所として知られるようになり、現在では年間数万人もの観光客が訪れるようになった。シェルパの人々はヒマラヤ登山の手助けをして働くようになり、ネパール各地からはポーターやガイドなどの職を求めて、「シェルパ」を名乗る多様な出自の人々も集まってくる。 変転する自然環境のなか、観光客のために道を見出しながら山中をゆく彼らとの出会いは、存在をめぐる根源的な問いへと通じていた――「世界」「自己」の自明性をゆるがすフィールド体験をもとに、ティム・インゴルドらの議論を補助線にして気鋭の人類学者が描き出す、刺激的なエスノグラフィ。 世界を歩むとき、自己は道であり、道は自己である われわれは世界のうちで無数の人やモノや事物と対等な関係のなかで生を営んでおり、人間社会とはそのうちの一部を恣意的に切り出したものに過ぎない。そしてわれわれが一歩を踏み出すとき、自己の身体は他者の身体やモノや概念からなる環境中の諸要素とそのつど一回的な関係を取り結び、道のアレンジメントの一部となる。世界を歩むとき、自己は道であり、道は自己である。(本文より) 電子版では写真をすべてカラーで掲載しています。
  • スリランカ海村社会の女性たち : 文化人類学的研究
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 (1)開発政策の影響を受け、その生産活動や生活に急激な変化が起きているアジアの海村、その中にあって家庭運営に責任をもつ女性の役割に注目する、(2)漁撈活動を通じて独立性の高い家々の集合体として生活してきた地域の人々が、国家の政策に呼応する形で地域的なまとまりのある実体として集合していく過程を追う。以上の2点に焦点をあてながらスリランカ南岸海村の家族と地域社会の変化を考察する研究書。

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  • 若い読者のための考古学史
    4.7
    「歯切れよく、ぐっと引きこまれ、わかりやすい。ブライアン・フェイガンは、明快でしっかりとしたメッセージを一般読者に届けることができる、現代考古学界きっての著者だ。この本もまた例外ではない」 ――――ジェレミー・A・サブロフ(米国サンタフェ研究所・前所長/『人類学博士』著者) 人類学や地質学と連係しつつ発展してきた、グローバルで時空をこえた知的探求のあゆみ 一瞬にして火山灰に埋もれたポンペイの町はどのように発見され、発掘されたか。 氷河時代の洞窟内に描かれた壁画の作者は? 密林の奥にたたずむ古代遺跡、世界各地に現存する巨石モニュメントの謎など、コンパクトな40章で、考古学が誕生した18世紀から衛星画像や遠隔探査の技術が進歩した現代まで、世界先史学の権威がテンポよく案内する、地球規模の考古学の発展史。
  • 行為主体性の進化 生物はいかに「意思」を獲得したのか
    -
    何をするべきかを自分で意思決定し、能動的に行動する能力、それが「行為主体性」だ。 生物はどのようにして、ただ刺激に反応して動くだけの存在から、人間のような複雑な行動ができるまでに進化したのか?  太古の爬虫類、哺乳類、大型類人猿、初期人類の四つの行為主体を取り上げ、意思決定の心理構造がどのように複雑化していったのかを読み解いていく。 進化心理学、進化生物学、行動生態学、認知科学など、これまで別々に取り上げられることの多かった人間と動物の研究をまとめ上げ、包括的な行為主体のモデルを提唱し、その進化の道筋を解明する画期的な新理論。 ◆賞賛の言葉◆ 「説得力があってわかりやすい、すでに古典というべき書。科学を前進させ、人間の本性を学ぶ次世代の学徒に読み継がれることだろう」 ――ブライアン・ヘア(デューク大学進化人類学教授、『ヒトは〈家畜化〉して進化した』著者) 「心理学の第一原理は心理や行動ではなく、行為主体性であるべきだという斬新な洞察に満ちている」 ――デイヴィッド・バクハースト(カナダ・クイーンズ大学卓越教授)

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  • 生理人類学―人の理解と日常の課題発見のために―
    -
    1巻3,300円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介】  生理人類学とは、ヒトの進化・適応史に照らして、生活環境において発生する問題や潜在的な課題も含めて多くの領域から考察し解決しようとする学問である。  本書は、物理的環境(重力、温熱、光、音など)への適応からヒトの特徴を描き出し、日常生活における行動(睡眠、労働、運動など)とその問題点を解説している。また情動・感情のもつ本来の生物学的意義を踏まえ快適性の考え方に言及している。そして最後に未来への課題やその対応について考察を試みている。 【著者略歴】 編著: 安河内 朗(やすこうち あきら) 放送大学 福岡学習センター 所長 岩永 光一(いわなが こういち) 千葉大学大学院 工学研究院 教授 【目次】 まえがき 第1章 生理人類学を学ぶにあたって 1.0 生理人類学を学ぶにあたって 1.1 生理人類学とは 1.2 遺伝と進化 1.3 環境適応とその多様性 第2章 ヒトの物理的環境への適応の特徴と課題 2.0 ヒトの物理的環境への適応の特徴と課題 2.1 重力への適応 2.2 温熱への適応 2.3 光への適応 2.4 音への適応 2.5 酸素への適応 2.6 生活環境への適応と課題 第3章 人の日常行動と課題 3.0 人の日常行動と課題 3.1 生活時間(リズム) 3.2 衣服 3.3 食と栄養 3.4 睡眠 3.5 労働 3.6 運動 3.7 介護 第4章 人の快適性と課題 4.0 人の快適性と課題 4.1 人の情動と感情 4.2 人のストレスと快適性 4.3 生活デザインと快適性 4.4. 人とテクノロジーの関係 第5章 人の未来と課題 5.0 はじめに 5.1 人の本性と行動 5.2 個人への注意喚起 5.3 社会への注意喚起 5.4 おわりに 索引
  • 文化人類学を再考する
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 文化人類学を再考する、あるいは見つめ直すことを主題にした論文集。それぞれの執筆者はユニークな問題関心と視点から、この文化人類学の再考というある意味できわめて抽象的な主題を、具体的な議論の脈絡に結実させ論を展開している。

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  • 残された時間――脳外科医マーシュ、がんと生きる
    3.0
    〈死は、遅かれ早かれ、どんな形であれ、すべての人に訪れるし、それは人生の一部であるが、生きつづけたいという私の願いは、「一目惚れ」のように圧倒的で決定的なものなのだ〉NHSのフルタイムの仕事を引退し、悠々自適な暮らしを送っていたマーシュはある日、進行性前立腺がんと診断される。赤裸々な死への恐怖を告白し、病気を理解することで恐怖を乗り越えようとしては挫折する、「患者となった脳外科医」の日々。がんの検査から治療のプロセスの描写に自らの医師としての経験から得た知識、さらには睡眠科学や進化人類学、量子力学に至るまでの該博な知識が織り込まれる。いやおうなく頭をよぎる患者たちや両親の最後、そして自らに残された時間――。死のすぐそばで働きつづけ、数えきれないほどの死を見届けてきた脳外科医マーシュの、最後のメッセージ。
  • 宗教の起源 私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか
    4.5
    科学が隆盛を極める現代においても、 宗教は衰えるどころかますます影響力を強めている。 ときに国家間の戦争を引き起こすほど 人々の心に深く根差した信仰心は、なぜ生まれたのか? そして、いかにして私たちが今日知る世界宗教へと進化したのか? 「ダンバー数」で世界的に知られ、 人類学のノーベル賞「トマス・ハクスリー記念賞」を受賞した著者が、 人類学、心理学、神経科学など多彩な視点から 「宗教とは何か」という根源的な問いに迫った、 かつてないスケールの大著。待望の邦訳刊行。 ■ ■ ■ 集団内に協力行動を生みだす信仰心も、 集団の外に対しては反社会的行動の原動力となる。 宗教的アイデンティティが国家に利用されるとき、悲劇は起こる。 ――フィナンシャル・タイムズ紙 宗教と人間の生活のあり方は、かくも複雑なのである。 本書は、その両方を進化的ないきさつから説明しようと、 真に大きな考察を展開しようと試みる大作である。 ――長谷川眞理子(進化生物学者、総合研究大学院大学名誉教授/「解説」より) ■ ■ ■

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  • ヒトは〈家畜化〉して進化した 私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか
    4.8
    他の人類はすべて絶滅したのに、なぜヒトは生きのびて繁栄することができたのか? なぜヒトは他者と協力し、友好的に振る舞うことができるのか? 仲間を助ける優しいヒトが、なぜ残虐な戦争を引き起こすのか? すべての謎を解くカギは「自己家畜化」にある。 イヌやボノボ、チンパンジーからヒトに至るまで、数々の研究をおこなってきた気鋭の進化人類学者が、自己家畜化仮説を軸に、ヒトの進化と本性の深奥に斬り込む刺激的な論考。 ◆著名科学者による賞賛の辞◆ 圧倒的な説得力で、ヒトの心の進化を解明している。 ――リチャード・ランガム(ハーバード大学生物人類学教授) ほとんどの著者が試みすらしなかったことを、本書はやってのけた。誰もがこの本を読むべきだ。 ――マイケル・トマセロ(デューク大学心理学・神経学教授) 人間はなぜ見知らぬ他人を助けようとする一方で、忌まわしいほど残虐になるのか。驚くべき物語を通して、人間がそのように進化した理由と方法を教えてくれる。 ――ダニエル・E・リーバーマン(ハーバード大学人類進化生物学教授)

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  • High-Impact Tools for Teams プロジェクト管理と心理的安全性を同時に実現する5つのツール
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【本電子書籍は固定レイアウトのため7インチ以上の端末での利用を推奨しております。文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。ご購入前に、無料サンプルにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください】 「心理的安全性」の権威、 エイミー・C・エドモンドソン絶賛! 国内累計18万部 『ビジネスモデル・ジェネレーション』 シリーズ著者陣がお送りする最新作。 みんなで紙に書き込むだけで、 ⇒プロジェクトの目標や役割分担を可視化できる。 ⇒問題点や不安材料を洗い出して対処できる。 ⇒エンゲージメントが高まる。 ⇒メンバー間に信頼と安心が生まれる。 ⇒ミーティングが生産的になる。 「心理的安全性」が大切なのはわかったけれど、 実行に移す方法がわからないという 組織のリーダー、人事担当者、経営者は必読! エイミー・C・エドモンドソン(心理学)、 スティーブン・ピンカー(心理学)、 マーシャル・B・ローゼンバーグ(心理学)、 ハーバート・H・クラーク(心理言語学)、 アラン・フィスク(進化人類学) などの知見に基づく新メソッド! ■著者紹介■ ステファノ・マストロジャコモ 経営コンサルタント。PwC、国境なき医師団、カルティエ、UBSなど多数の国際的な機関や企業に対し、デジタルプロジェクトの統括や、プロジェクトチームへの助言を行ってきた。スイスのローザンヌ大学で教えていたプロジェクトマネジメントをはじめ、チェンジマネジメント、心理言語学、進化人類学、デザイン思考を柱として研究を続けている。 アレックス・オスターワルダー 『ビジネスモデル・ジェネレーション』『バリュー・プロポジション・デザイン』(以上翔泳社刊)の著者。2015年、「経営思想のアカデミー賞」と呼ばれるThinkers50に選出、2019年同4位にランクイン ※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。 ※印刷出版再現のため電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。 ※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。予めご了承ください。 ※プレビューにてお手持ちの電子端末での表示状態をご確認の上、商品をお買い求めください。
  • 食具
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 食の人類学の視点から東西の食法を考察し,箸の食文化と三点セット(スプーン,フォーク,ナイフ)の食文化の違いを人間の自然へのかかわり方の違いとして捉える。
  • 自我の社会理論
    -
    1巻3,300円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 前著『シンボリック相互作用論』を承けて、この立場からの一貫した自我理論の社会学的研究であるが、哲学、心理学、精神分析、文化人類学の最新の知見を吸収しながら、ミード理論の緻密な分析を通じて自我の問題をあらゆる視角から検討し、社会学理論の中に位置づける。

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  • 結び
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 〈結び〉の発達は人間の叡知の結晶である。本書はその諸形態および技法を作業・装飾・象徴の三つの系譜に辿り,〈結び〉のすべてを民俗学的・人類学的に考察する。
  • トラウマにふれる 心的外傷の身体論的転回
    5.0
    心は震え、身体はささやき、そして人は生きていく。 薬物依存、摂食障害、解離性同一性障害、女性への性暴力、男児への性虐待、ジェンダー/セクシュアリティをはじめとした臨床現場の経験の知から、中井久夫、エイミー・ベンダー、島尾ミホ・敏雄との対話、学際研究の価値を問う人文の知へ。「傷を語る・傷に触れる」「臨床の知」「傷に寄り添う」「傷と男性性」「知は飛翔する」という高密度に編成された五つのセクションを通じて、臨床の足跡と、医療人類学の考察が、多方向へと展開されていく。 傷を語ることは、そして傷に触れることはできるのか? 問われる治療者のポジショナリティとはいかなるものか? 傷ついた心と身体はどのように連動しているのか? ジェンダー・センシティビティはいかにして臨床の質を左右するのか?――傷ついた心と癒されゆく身体、その波打ち際でトラウマと向き合う精神科医にして医療人類学者の、思索の軌跡と実践の道標。

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  • 働き方全史―「働きすぎる種」ホモ・サピエンスの誕生
    5.0
    ユヴァル・ノア・ハラリ(『サピエンス全史』著者) アダム・グラント(『GIVE & TAKE』著者) 絶賛! ◆AI時代になってまで、私たちはなぜ「働くこと」にこだわるのか?◆ 経済学、社会人類学、物理学、進化生物学、動物学…… さまざまな学問分野の最新の知見をもとに、 「人と仕事」の深遠なる関係を縦横無尽に解き明かす! 「仕事には時間の大半を費やす意義があり、 人間の価値を決定し、人生の豊かさを左右する」 ――それは『幻想』かもしれない」 ◆「働かない」ことは悪なのか?◆ 私たちが行なっている仕事が人格となり、 将来の展望を左右し、どこで誰と多くの時間を過ごすかを決定し、 自分の価値を伝え、多くの価値観を形成し、政治的な姿勢を方向づける。 そのため私たちは努力する人を賞賛し、怠け者を非難し、 万人の雇用という目標を、あらゆる種類の政治家がマントラのように唱え続ける。 ――イントロダクションより
  • 実践 日々のアナキズム 世界に抗う土着の秩序の作り方
    4.5
    アナキズムとは特別な政治運動でも革命でもなく,日々の暮らしの中から社会を変えていく実践である――東南アジアでのフィールドワークを通じて,国家の束縛から離れた社会のあり方を希求してきた政治学・人類学の泰斗スコットが,西欧文明社会で暮らす自らの経験からたどり着いた実践的アナキズムのエッセンスを,軽妙洒脱に説き明かす.

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  • 知の統合は可能か
    -
    人類の危機を救うために専門知を結集させる〈総合知〉は可能なのか 新型コロナウイルス感染症を総括して、未来に託す! 総合知とは、各人が各々の専門知を持ち寄って、相互流通性を確立することで、目の前に実際にある社会的な問題を具体的に解決してゆこうとする、総合的な知のあり方だということになる。となれば総合知は専門家一人では成しえない。 ──瀬名秀明 深刻な問題ばかりでなく、雲のサイエンスを楽しく語り合うこともまた、サイエンスコミュニケーションの妙味である。今はまだ先が見えないが、いつかきっと霧は晴れると信じたい。 ──渡辺政隆 本書の前半〔第九章まで〕は、瀬名による8名の専門家へのインタビュー(執筆は渡辺が担当)を収載。新型コロナ対策を政府に助言してきた専門家会議・有識者会議のメンバーである押谷仁、国のクラスター対策に携わり自ら感染拡大防止のクラウドファンディングも立ち上げた小坂健(ともに東北大学教授)という感染症のエキスパートに加え、医師や法学者、社会心理学者、科学哲学者、物理学者、宗教人類学者との対話を通して、新型コロナ・パンデミックという「大災害」の実像を、医療の最前線だけでなく、そこに否応なく巻き込まれた社会や個人の側からもあぶり出していきます。また後半では、新型コロナや次なるパンデミックを人類が乗り越えるための鍵として、専門知の限界を打破する「知の統合」に焦点を当てます。専門家たちとの対話から得た知見を基に、瀬名と渡辺の二人は、専門知を超えた「総合的な知」のあるべき姿を模索して、さらに議論を重ねていきます。 日々のニュース報道からだけではうかがい知れない関係者の奮闘や苦悩、新型コロナを巡る社会不安の中で生み出された膨大な量の言説、そして危機にあってこそ光を放つ古典の鍛え抜かれた思想。これらを丹念にすくい上げる長い旅路ののち、作家が見出した〈総合知〉の眺望とは⸺⸺。パンデミックの行く末を照らし、「ポストコロナ」「withコロナ」の社会のありようを探る、現代人必読の一冊です。
  • 応答、しつづけよ。
    5.0
    〈世界と向き合い、「つくる」ために〉 人類学とアートの刺激的な出会い。 --------- 現代の人類学を牽引する思想家が随筆、批評、寓話、詩などさまざまな形式を駆使して、アート、建築、デザインを論じる。 火、樹木、山、飛行、地面、時間、石、絶滅、線、糸、言葉、手書き、頭字語、色……創造と想像を刺激する思考の集成。 訳者・奥野克巳による詳細な解説を付す。 --------- 【目次】 ◆序と謝辞 ◆招待 森の話  ■はじめに  ■北カレリアのあるところで……  ■真っ暗闇と炎の光  ■樹木存在の影の中で  ■Ta, Da, Ça, ! 吐き、登り、舞い上がって、落ちる  ■はじめに  ■泡立った馬の唾液  ■登山家の嘆き  ■飛行について  ■雪の音 地面に逃げ込む  ■はじめに  ■じゃんけん  ■空へ(アド・コエルム)  ■私たちは浮いているのか?  ■シェルター  ■時間をつぶす 地球の年齢  ■はじめに  ■幸運の諸元素  ■ある石の一生  ■桟橋  ■絶滅について  ■自己強化ための三つの短い寓話 線、折り目、糸  ■はじめに  ■風景の中の線  ■チョークラインと影  ■折り目  ■糸を散歩させる  ■文字線と打ち消し線 言葉への愛のために  ■はじめに  ■世界と出会うための言葉  ■手書きを守るために  ■投げ合いと言葉嫌い  ■冷たい青い鋼鉄 ◆またね ◆原注 ◆訳者解説
  • 新版 分裂病と人類
    -
    1巻3,080円 (税込)
    精神の病を人類史・文化史に位置付けた記念碑的名著 統合失調症の概念の起源を、人類の文化史にさかのぼる。精神の病を文化・歴史的な深みで考究する著者一連の著作の原点。全新組。 【主要目次】 第1章 分裂病と人類――予感、不安、願望思考 序 1 “先取り”的な構え 2 狩猟民的な認知特性 3 農耕社会の強迫症親和性 4 近代と分裂病親和者 5 人類学的な有利さ 第2章 執着気質の歴史的背景――再建の倫理としての勤勉と工夫 1 “甘え”の断念 2 再建の仕法家――二宮尊徳 3 立て直しと世直し 4 世俗倫理の盲点 付 自己抑制の倫理――武士階級 第3章 西欧精神医学背景史 序 1 古代ギリシア 2 ギリシア治療文化の変貌 3 ヘレニズムに向かって 4 ローマ世界とその滅亡 5 中世ヨーロッパの成立と展開 6 魔女狩りという現象 7 魔女狩りの終息と近代医学の成立――オランダという現象 8 ピネルという現象――一つの十字路 9 ヨーロッパ意識の分利的下熱 10 ピューリタニズムと近代臨床 11 フランス革命と公式市民医学の成立 12 啓蒙君主制下の近代臨床建設 13 新大陸の“近代” 14 大学中心の西欧公式精神医学 15 力動精神医学とその反響 16 二十世紀における変化 17 西欧“大国”の精神医学 18 西欧“小国”の精神医学 19 ロシアという現象 20 “向精神薬時代”と巨大科学の出現 21 神なき時代の西欧精神医学 22 ヨーロッパという現象 おわりに――“神なき時代”か? あとがき 新装版あとがき 中井久夫(なかい・ひさお) 1934年奈良県に生れる。1959年京都大学医学部医学科卒業。1980年神戸大学医学部精神神経科教授。1995年兵庫県こころのケアセンター長。1997年甲南大学文学部臨床心理学教授。 主要著訳書に『精神科治療の覚書』(日本評論社、1982)、『中井久夫著作集 精神医学の経験』全3巻 別巻 1(岩崎学術出版社、1984-85)、『家族の深淵』(みすず書房、1995)、『1995年1月 神戸』(共著、みすず書房、1995)、『昨日のごとく』(共著、みすず書房、1996)、『最終講義―分裂病私見』(みすず書房、1998)、『西欧精神医学背景史』(みすず書房、1999)、『治療文化論』(岩波現代文庫、2001)、『徴候 記憶 外傷』(みすず書房、2004)、『時のしずく』(みすず書房、2005)、ヴァレリー『若きパルク/魅惑』(みすず書房、1995、2003)、ハーマン『心的外傷と回復』(改訂版、みすず書房、1999)、『サリヴァンの精神科セミナー』(みすず書房、2006)などがある。
  • ラテンアメリカと国際人権レジーム──先住民・移民・女性・高齢者の人権はいかに守られるのか?
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 国際人権レジームは,ラテンアメリカで最も保護を必要としている先住民,移民/難民,女性,高齢者などの社会的脆弱層のための法制度や機構の整備にどのような影響を与えているのか.政治学的マクロアプローチ,人類学・社会学的ミクロアプローチにより明らかにする.
  • 精神の考古学
    -
    遠い過去の時代に、人間はどのような心を持ち、なにを考えていたのか。それを知るには、まだそれが残っている現場に身を置くことだ。若き人類学者・中沢新一は秘教の地へと向かう。恩師ケツン先生から得た知恵は、やがて独自の思想の構築へとつながり、「精神そのもの」へと導いていく――人生を賭けた冒険の書。
  • 民族とナショナリズム
    3.9
    近代世界の形成に大きな役割を果たしながら,これまで十分理解されてこなかった民族問題.「ナショナリズムとは何か」という難問に,英国哲学界の巨人ゲルナーが,政治社会学,社会人類学などの該博な知識を駆使して解明を試みる.「第1級のナショナリズム研究書」と高く評価されてきた名著,待望の全訳.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 改訂新版 コーヒーと日本人の文化誌 世界最高のコーヒーが生まれる場所
    -
    コーヒー文化のトレンドを追うものではなく、アメリカの人類学者が、長年の調査とフィールドワークをもとに著した「日本のコーヒー」と喫茶店についての文化誌である。世界最高の品質とされる日本のコーヒーは、どのようにして生み出されてきたのか? 歴史だけでなく、社会のありようと多様な喫茶店の姿、手仕事にこだわる職人たちの姿を通して描き出したユニークな文化論。前版刊行後の新情報を追加し、訳文も全面的に見直した。
  • 遠い声をさがして 学校事故をめぐる〈同行者〉たちの記録
    4.5
    小学校のプールで失われた命.なぜ,どうして,事故は起きてしまったのか.受容と忘却の圧力に抗い,「その時」に迫ろうとする両親と同行者たちの苦悩と行動.そこから浮かびあがる学校や行政の姿.同行者の一人として出来事にかかわった文化人類学者が,多声的な語りから亡き人とともに生きることの意味と可能性を考える.

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  • 彼らはどこにいるのか 地球外知的生命をめぐる最新科学
    4.0
    エイリアンは本当に存在するのか、もし会ったらどうなるか? 地球外知的生命の探求とは「われわれは何者か」を問うことでもある。心理学・人類学・歴史学まで駆使する宇宙科学の最前線!
  • 文化の「発見」 驚異の部屋からヴァーチャル・ミュージアムまで
    -
    ミュージアムの歴史から問題点を掘り起こすと,そこに二つの選択肢が見えてくる.すでに価値の定まった「至宝」を拝みに来る「テンプル」なのか,あるいは人びとが集い未知なる物に出会い,そこから議論が始まっていく「フォーラム」という新たなあり方なのか.人類学の視点からミュージアムの新たなあり方を探究する.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

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  • 石坂洋次郎の逆襲
    -
    【「はじめに」より抜萃』 石坂洋次郎ほど時代とともに忘れられたと思わせる作家は少ない。/映画『青い山脈』は1949(昭和24)年に封切られたが、大ヒットし、その主題歌とともにほとんど戦後民主主義の代名詞と見なされた。以後、石坂原作の映画が封切られない年は、1960年代末にいたるまでなかった。1950年代から60年代にかけて、石坂ほど映画化された小説家はいなかっただろう。旧作はもちろん、新作にしても小説が刊行されると同時に映画も封切られるといった状態にまでなっていた。典型的な流行作家だったのだ。だが、70年代に入るやいなや、その流行はあっという間に衰えた。これほど急激に語られなくなった作家はいなかったのではないかと思われるほどだ。(中略)/石坂には、事実、明朗健全以上に重要な特徴があるのだ。それは「女を主体として描く」という特徴である。主人公と言わずに主体と言うのは、女は主人公であるのみならず、必ず、主体的に男を選び主体的に行動する存在として描かれているからである。女は見られ選ばれる客体である以上に、自ら進んで男を選び、男に結婚を促し、自分自身の事業を展開する主体なのだ。明朗健全な爽やかさはこの主体的な女性が結果的に醸し出すのであって、逆ではない。(中略)/石坂が70年代において急激に読まれなくなったのは、その作品の本質を知ることなく、たんに明朗健全なだけの深みのない作品として退ける風が文壇に広まっていたからだろうと、私は思う。だが、それがいかに浅薄な見方であったか、いまや思い知るべき時が来たのだと私は考えている。(中略)/主題は近親相姦、それも、形容矛盾のように響くだろうが、いわば明朗健全な近親相姦――戸籍上は近親相姦になるが生物学的にはそうではない――である。当然のごとく映画化もされなかった。いわば明朗健全が極限に達し、読者をして、個人とは何か、家族とは何か、社会とは何かという、人間社会の根底を揺さぶる問いに直面させるからである。(中略)/……石坂には、どこか人類学者に近いところがある。石坂もミードも、人類学者の視線を社会が要請するようになったまさにその場所に登場したのだ。石坂文学はつまりひとつの社会現象でもあったのである。しかも石坂文学を必要とした社会の状態はいまも少しも終わってはいない。忘れられていたあいだに、むしろ強まっているのだ。/石坂を知るには、フェミニストとして著名なリーアン・アイスラーの『聖杯と剣』や、それへの批判を含むシンシア・エラーの『紳士とアマゾン』を参照するのがいい。なかでも歴史人口学者エマニュエル・トッドの『家族システムの起源』は必読の文献といっていい。石坂が過激な小説家であり、家族システムが全世界的に過渡期にあるいまこそ、その過激さが必要とされていることを思い知らせてくれるからである。
  • インディジナス
    -
    ゾミアの森の民を追った記録や、未開社会といわれる辺境を撮影した映像作品を掘り下げたユニークな映像人類学的探究の論集。
  • インテグラル理論 多様で複雑な世界を読み解く新次元の成長モデル
    4.7
    本書の著者であるアメリカの思想家ケン・ウィルバーが提唱した「インテグラル理論」は、人・組織・社会・世界の全体像をより正確につかむフレームワーク。「インテグラル(統合的)」であるとは、差異の中にある共通性を大切にすること、多様性の中にある統一性を尊重することを意味します。多様化、複雑化した世界を読み解き、人・組織・社会というあらゆるセクターで存在している課題に向き合うにあたり、大きなヒントを与えてくれるものです。現実的に、私たちが生きている社会は、複雑化の一途をたどっています。昨今目覚しい発展を遂げているAIやブロックチェーン技術の台頭は、新たな恩恵をもたらす一方で、新たな課題を生み出しているのもまた事実です。こうした現実に直面した私たちに対して、「インテグラル理論」が与えてくれる示唆のひとつは、「個人の内面、そして社会・文化の発達度合い」という視点です。哲学、心理学、人類学、社会学、宗教、生物学、システム科学など多様なテーマ、ジャンルを統合的に捉えることを通して、「人・組織・社会の健全な発達のモデル」を示しました。人材開発、組織開発、事業構想、社会課題の解決・・・・・・本書が示す成長モデルは、VUCA時代のリーダーに大きな示唆を与えてくれます。
  • 歴史民俗学 No.6
    -
    ――掲載ページより「巻頭言」―― 前号の巻頭言で、大正から昭和初期にかけて出ていた雑誌とからめて、本誌のめざすところを述べてみた。これを読んでいただいての反応かどうかはわからないが、ある読者(高名な精神科医、執筆家)から次のようなお便りをいただいた。 「『旅と伝説』のよみがえりかな、となつかしく思いました。私の少年時代には、こういう雑誌がちらほら残っていました。昔は民俗学も人類学も大学の教科でなく、試験もなかったため、みんなが勝手なことをいっていました。それでおもしろかったのだと思います。昭和の初期は悪い時代だというのが定説らしいですが、独創的、野人的で、おもしろいことをいう人がいました。昔を思うこと切です。」 うれしいお便りであった。今日の「知的情況」の中で本誌の果し得る役割について、若干の自信が得られたような気がしたことであった。なお、鈴木光志氏の「私の古井遍歴 8」も、御ー読いただければと思う。 礫川 全次 男装の怪盗[フォークロア:点描]◎鈴木光志 /銀座・夜店の古本屋[私の古書遍歴]◎越智信義/尾張サンカの研究(4)[回遊竹細工師「オタカラシュウ」の面談・聞き書き・検証調査]◎飯尾恭之/福沢諭吉の異色作『かたわ娘』[ニッポン民俗学外史4]◎礫川全次/鯨は神だった◎下村巳六/菊池山哉小伝(4)◎田中紀子/西国巡礼行者「尼サンド」について(3)◎玉城幸男+小林義孝/幕末期におけるある非人部落の生活と風俗[玄海部落の場合]◎松浦国弘/江戸の人々と「六地蔵石灯篭」[浅草寺「六地蔵石灯篭」考余録]◎武井利通/私の古書遍歴◎鈴木光志/しゃぐじ神信仰覚え書き(1)◎吉村睦志/一石五輪塔は何を語るのか(下)◎横田明+西山昌孝+小林義孝/弥生時代の鉄製工具を用いた石器製作[技術革新か、あるいは消滅していく技術の輝きか]◎栗田 薫/全戸に配布された「岬町の歴史」◎小林義孝/山上の道◎伊藤貞樹/私の古書遍歴◎塩崎幸雄/一人の機知、万人の智恵。ことわざの性質について◎ウォルフガングー・ミーダー著・武田勝昭訳/資料篇 解説◎礫川全次

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  • 意識をゆさぶる植物――アヘン・カフェイン・メスカリンの可能性
    -
    〈植物由来の世界3大薬物〉  ■アヘン(鎮静系)──ケシの実  ■カフェイン(覚醒系)──コーヒーノキ、茶  ■メスカリン(幻覚系)──ペヨーテ(サボテン) 精神活性物質を含む植物「ケシ」「コーヒーノキ」「ペヨーテ」が私たちの意識にもたらす“変容”をみずから体験し、その効果と意義をスリリングに解き明かした第一級のノンフィクション! 人間を虜する植物たちの生存戦略の「賜物」──それらは毒か、恵みか? ------------ 人間が欲望する「向精神性物質」に磨きをかけ、人間との共依存関係の上に種の繁栄を遂げた植物たち。 “そこにある自然”に先人たちが発見した可能性とは何か? 「戦争」「産業革命」「先住民の駆逐」が紡いだ植物の物語とは? 人類学、生化学、植物学ほか、多岐にわたる知見を横断して論じた「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラーの注目作! ------------ 【目次】 ■序章 ■アヘン ■カフェイン ■メスカリン ■謝辞 ■訳者あとがき
  • 進化と人間行動 第2版
    4.7
    「人間とは何か」という問いに「進化」という側面から光を当て、生物としてのヒトという視点で行動や心理をとらえたロングセラー・テキストの全面改訂第2版! 新たに共著者を迎え、分子生物学・化石人類学を含む研究の進展に対応し、生活史・進化心理学の研究法・文化進化について章を設けるなど、内容を刷新。
  • 「本当の豊かさ」はブッシュマンが知っている
    4.7
    「勤勉は美徳」ではない。人類は農耕を開始する前の20万年間、今よりずっと少ない労働時間で、ずっと豊かな暮らしを送っていた。はたして私たちの「労働」「豊かさ」に対する考え方は正しいのか? 気鋭の人類学者が、現代文明の“常識”を根底から問い直す意欲作。
  • 人喰い――ロックフェラー失踪事件
    4.0
    全米を揺るがした未解決事件の真相に迫り 人類最大のタブーに挑む衝撃のノンフィクション! 1961年、大財閥の御曹司が消息を絶った。 首狩り族の棲む熱帯の地で。 この時点で、マイケルが「いかに」殺され、食べられたのかは、一連の調査や文献からすでにはっきりしていたのである。 著者ホフマンにとってどうしても解せなかったのは、「なぜ」マイケルが殺され、食べられなければならなかったのかということだった。(解説より) 解説:奥野克巳(文化人類学者)
  • 「協力」の生命全史―進化と淘汰がもたらした集団の力学
    4.0
    子どもの夜泣き、核家族の不幸、汚職や賄賂、陰謀論…… すべては進化のせいだ! 斯界の権威が大絶賛! 「洞察に満ちた科学的理論と興味深い逸話の詰まった快作」 ――リチャード・ドーキンス(進化生物学者、『利己的な遺伝子』著者) 「協力がいかに大切かについて書かれた、素晴らしい本」 ――アリス・ロバーツ(人類学者、『人類20万年 遙かなる旅路』著者) 「私たち人類についての考え方を変える」 ――ルイス・ダートネル(宇宙生物学者、『この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた』著者) 「世界をよりよく理解する方法だけでなく、世界をどう変えるかについても示してみせる」 ――マシュー・コブ(動物学者) 「人間がそうであるべきほど協力的でないのはなぜかを知りたければ、答えは本書の中にある」 ――ロビン・ダンバー(進化生物学者、『友達の数は何人?』著者) ■本書で得られる知見 ・多細胞生物が誕生したのは「協力」が利益をもたらすためである ・ミツバチやアリのコロニーは「超個体」のように振る舞う ・母親と胎児は栄養分をめぐって争う ・姑が嫁の子育てを手伝うのにはわけがある ・詐欺やたかり、汚職や賄賂、身内びいきも協力の産物である ・パラノイア(妄想症)や陰謀論の背後にある進化論的な理由 ・平等主義だった人類の社会に独裁制が誕生したのはなぜか? ・集団の人数が増えると反乱は起きにくくなる
  • 資本主義の次に来る世界
    4.1
    「少ないほうが豊か」である! 「アニミズム対二元論」というかつてない視点で文明を読み解き、 成長を必要としない次なる社会を描く希望の書! ケイト・ラワース(『ドーナツ経済学が世界を救う』著者)、 ダニー・ドーリング(『Slowdown 減速する素晴らしき世界』著者)ほか、 世界の知識人が大絶賛! デカルトの二元論は「人間」と「自然」を分離した。 そして資本主義により、自然や身体は「外部化」され、 「ニーズ」や「欲求」が人為的に創出されるようになった。 資本主義の成長志向のシステムは、人間のニーズを満たすのではなく、 「満たさないようにすること」が目的なのだ。 それでは、人類や地球に不幸と破滅をもたらさない、 「成長に依存しない次なるシステム」とは何か? 経済人類学者が描く、かつてない文明論と未来論。 本書が語るのは破滅ではない。語りたいのは希望だ。 どうすれば、支配と採取を軸とする経済から生物界との 互恵に根差した経済へ移行できるかを語ろう。 (「はじめに 人新世と資本主義」より)
  • RE-END 死から問うテクノロジーと社会
    4.0
    ──私たちは、よりよく死ねるだろうか? 死を問うことは、近現代が築いた社会を問い直すことでもあります。これまでいくつもの未来予測が描かれてきましたが、災害やパンデミックといった不可避の混乱に陥ったとき、どれだけ技術が進化しても生物に降りかかるものが「死」であり、多様な視点で文明を根底から見直す必要性に私たちは気づいたはずです。 いまや故人のデータはネットワーク上に残り、データ上で私たちは“死ねなくなる”ともいわれています。AIが過去の偉人をコピーしたり、バーチャル空間で死者と再会したりすることも可能な時代となりました。少子高齢化に伴い、住む土地への帰属意識や共同体が変化し、墓や葬儀のシステムも見直されてきています。そんな現代で、私たちは「死」とどう対峙していくのでしょうか。自分がいつか死ぬとき、大切な人が亡くなるとき、これからの時代では何が変化し、何が遺されるのでしょうか。 本書では、気鋭のマンガ家による描き下ろしのショートマンガや絵を織り交ぜながら、民俗学や人類学、情報社会学や人工知能研究といった多様な論者と、「死」という切り口からこれからのテクノロジーと社会を読み解いていきます。個人では向き合いづらいテーマであるからこそ、皆の知見をヒントに人間観を捉え直し、死生観のアップデートを試みましょう。死と向き合うことは、いまの生をとらえ直すことにもつながります。死の定義が変わるAI時代、本書が生と死のウェルビーイングを捉え直す契機となるはずです。 特別描き下ろし 【表紙・巻頭マンガ】五十嵐大介/【絵】諸星大二郎/【マンガ】しりあがり寿/【マンガ】うめ(小沢高広・妹尾朝子)/【マンガ】ハミ山クリニカ+原作・宮本道人 寄稿 ドミニク・チェン/畑中章宏/石倉敏明/岡本亮輔/折田明子/水野祐/庄司昌彦/橋迫瑞穂/栗原聡 インタビュー 玉置妙憂/木村光希/Whatever(川村真司+富永勇亮)/小門穂/尾藤誠司 対談 しりあがり寿×畑中章宏/宇川直宏×山川道子

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  • 交雑する人類 古代DNAが解き明かす新サピエンス史
    3.6
    いま人類史研究は飛躍的進歩を遂げつつある。その起爆剤となっているのが古代DNA革命だ。2010年ごろより、古代の骨から抽出した全ゲノムデータ解析による新発見ラッシュが続いている。 これまでの考古学や人類学の定説を次々に打ち砕き、人類の新たな歴史を浮かび上がらせているのだ。旧人類と交雑をくり返してきたホモ・サピエンスの進化の道すじや、私たちの遺伝子の中に息づく大昔の“ゴースト”の存在など、「人類」そのものの捉え方を根底からくつがえす衝撃の事実が明らかになりつつある。 世界におけるヒト古代DNAの半数以上を解析・発表してきたパイオニアが、初めて最新の成果をダイナミックに提示し、“新サピエンス史”の幕開けを告げる記念碑的名著。
  • 石器時代への旅
    3.0
    ニューギニアの奥地で、今なお石器時代に生きる人々と接触することに成功、石斧製作の秘密をつぶさに観察して人類学上に貴重な貢献をした探検の記録。
  • アートの根っこ――想像・妄想・創造・捏造を社会へ放つ
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 アート作品/活動は、人間と世界と社会の現状を照らし出し、その自明性を揺るがす。その力が顕れている諸事例の考察から、社会的出来事としてのアートの源泉に触れる。人類学者、社会学者、アクティビスト、アーティストたちによる応答と対話の共創。
  • 「木」から辿る人類史 ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る
    4.0
    二足歩行、交易、産業の発展……すべて成功の鍵は「木」にあった! ヒトはいかにして二足歩行を始め、文明を築き、驚異の発展を遂げたのか? 定説では、石・青銅・鉄が重要な役割を担ったとされている。しかし、じつは「木」こそが歴史をつくった最も重要な鍵だと著者は言う。類人猿の樹上の巣から、交易に活用された木舟、多様な建築技術、エネルギー源としての木炭まで、つぶさに語られる木の驚くべき汎用性を通して、今まで見えていなかった新しい歴史の姿が現れる。 人類学・建築学・生体力学など幅広い研究をもとに、構造的な特殊性をもつ木と、創意工夫に長けた人類の700万年にわたる関係を、斬新な視点で解き明かす壮大な物語。 〈内容〉 第1部 木が人類の進化をもたらした(数百万年前~1万年前)  第1章 樹上生活の遺産  第2章 木から下りる  第3章 体毛を失う  第4章 道具を使う 第2部 木を利用して文明を築く(1万年前~西暦1600年)  第5章 森を切り拓く  第6章 金属の融解と製錬  第7章 共同体を築く  第8章 贅沢品のための木工  第9章 まやかしの石造建築  第10章 文明の停滞 第3部 産業化時代に変化した木材との関わり(西暦1600年~現代)  第11章 薪や木炭に代わるもの  第12章 一九世紀における木材  第13章 現代世界における木材  第4部 木の重要性と向き合う  第14章 森林破壊の影響  第15章 木との関係を修復する
  • プロジェクト・ファザーフッド
    3.5
    「殺し合いを今すぐやめなきゃならない。子供たちを救うんだ」 父を知らずに育った男たちが親になるとき――。 貧困、差別、暴力を超えて繋がる男たちのドキュメント ロサンゼルス南部の街ワッツは、ギャング抗争が頻繁に起こるスラム街。 死ととなり合わせの暴力やドラッグ汚染、警官の虐待行為が男たちを捕らえ、 父から子、子から孫へと連鎖していく。 人類学者でソーシャルワーカーの著者は、元ギャングメンバーに頼まれて、 子供をもつ男性たちの自助グループを運営。 毎週水曜日の夜、会合には十代の少年から中年層までが集まり、 語り合いながらともに「父になること」を手探りする。 たがいの喜びも不安もトラウマをも受けとめながら、子供たちを全力で守り、 コミュニティを再生していくことを胸に誓う――。 Zeebra氏(ヒップホップ・アクティビスト)推薦! 父親とはどんな存在であるべきか。そこに完璧な答えなど存在しない。 大切なのは自分と向き合う事。負の連鎖を断ち切るのは貴方です! 水無田気流氏(詩人、社会学者)推薦! 荒んだ街で生き延びるためにこそ、子どもには父親(俺たち)が必要。 繰り返されるその言葉は、あまりに重い。 父親を知らずに育った男たちが、父親になる意味を問い直し、 子どもを守り育てることを誓いながらも、挫折を重ねる。 「完璧」からはほど遠い彼らが父親たり得ること(ファザーフッド)を目指すこと。 困難で切実なこのプロジェクトの行方を、見守ってほしい。 「日頃から銃を使い、ドラッグを売買し、女たちを殴り、 刑務所に行き、どうしたら父親になれるのか見当もつかずにいる そうした男たちは、まず自分自身が父親を求めていたのだ。 彼らの喪失感の深さと強い欲求から、本人は直接 口にはしないが、一つの疑問がひしひしと伝わってくる。 『こんな俺がどうしたら父親になれるのか?』」 ――本書「父親としての傷」より 【目次より】 01 ワッツ 02 父親としての傷 03 地元 04 あんたも俺たちを見放すのか? 05 ブラザーズ 06 虐待 07 リーリー 08 ファザーフッド 09 父親っ子 10 ベビー・ママ 11 働くお父さん 12 雇用創出 13 ビッグ・ママ 14 光明が差す 15 チェックメイト 16 〈ネーション〉 17 地域のヒーロー 18 ツインズ 19 俺たちはみな家族だ 20 スコットランドからの手紙 21 写真判定 22 俺らがおまえたちのパパになる 23 フッド・デー 24 シュガーベア 25 あと十二日 26 ドアを通り抜けて 27 ジャメル
  • 人類との遭遇 はじめて知るヒト誕生のドラマ
    4.2
    私たちの祖先は人食い人種? ヒトは体毛をいつ失った? なぜ人間だけ老齢期が長い? 身近な疑問から深遠な系統学まで、人類進化の謎とドラマを平易にかつ興味深く説く。アメリカで教鞭を執る韓国系女性人類学者による、韓国ベストセラーとなった古人類学入門。解説収録/長谷川眞理子
  • ピジン・クレオル諸語の世界:ことばとことばが出合うとき
    -
    異なる言語が出合う、新たな言語が生まれる 言語学や文化人類学、音楽や写真など、さまざまな分野で活躍された著者が生涯にわたって追い続けた最大のテーマ、それが言語の接触によって生み出されるピジン・クレオル諸語。もととなる言語が何であれ、いずれも共通した文法構造が見られるなど、人間の言語を考えるうえで欠くことのできない視点を提供してくれます。世界各地で話されているさまざまな「ことば」に常に立脚点を置きながら、異言語接触と新しい言語の誕生をさぐる緻密な考察を積み重ね続けてきた著者による画期的な一冊。
  • Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界
    4.2
    『サイロ・エフェクト』著者最新作!  なぜ経済学やビッグデータ分析は問題解決に失敗するのか? 社会科学とデータサイエンスの融合で人類学的知見が果たすべき役割とは。 FTのトップジャーナリストが広い視野から事象を分析する人類学の思考フレームワークを解説。    * * *  現代社会の知的ツールが、機能不全に陥っている。経済予測、選挙の世論調査、金融モデルは外れてばかりだ。こうしたツールは、世界はごくわずかな変数で分類・把握できるという前提に基づいて設計されている。視野が狭いのだ。  世界が安定していて、過去が未来の参考になる時代なら、それでもうまくいくかもしれない。だが変化の激しい時代、「極端な不確実性」に直面しているときは、狭い視野は危険だ。  ビッグデータをAI(人工知能)がどれだけ処理しようとも、そこから導き出されるのは「WHAT」だけである。事象の原因、「WHY」にはたどり着けない。    * * *  いま求められるのは、広い視野と「WHY」を突き詰める視点である。「未知なるものを身近なものに」「身近なものを未知なるものに」変化させ、隠れたパターンを見いだすツールである。  本書では人類学者のように「虫の目」で世界を視て、「鳥の目」で集めた情報と組み合わせることで「社会的沈黙」に耳を澄ます技術「アンソロ・ビジョン(人類学的視野)」を紹介する。  フィナンシャル・タイムズ紙(FT)のトップジャーナリストが執筆した話題作。
  • つい誰かに教えたくなる人類学63の大疑問
    4.0
    本書は、素朴な疑問を通して自然人類学の最新成果を紹介しています。すなわち「ヒトとは何か?」にせまる読み物です。本書を読み進めると、ヒトのユニークさや、ほかの動物たちとの共通点が明らかになっていきます。また、わたしたちはまだまだ自分たちのことを理解できていない、ということに気づかされます。
  • RITUAL(リチュアル)
    -
    世界を変えるための「最古の科学」が「儀式」だった――。 生活や価値観が猛スピードで変化する現代。昔からある「儀式」は単調で、退屈で、無意味にみえる。でも、ほんとうに? 認知人類学者の著者は熱した炭の上を歩く人々の心拍数を測り、インドの祭りでホルモンの増減を測定。フィールドに実験室を持ち込んで、これまで検証されてこなかった謎めいた儀式の深層を、認知科学の手法で徹底的に調査する。ハレとケの場、両方にあふれる「儀式」の秘密と活用のヒントを探究する空前の書。 ジョセフ・ヘンリック(人類学者、ハーバード大教授) 「ギリシャの火渡りからアマゾンの恐ろしい祭礼まで、認知人類学者の著者は、リズム、ダンス、音楽、苦痛、犠牲などから成る、一見すると無意味で反復的で因果関係が不明瞭な〈儀式〉を、人類がどのように、なぜ行うのかを探求する。民族学的なデティール、個人のナラティヴ、認知科学の成果が盛り込まれた本書は、QOLや健康状態の改善、地域社会の構築のために、古代からの知恵であり最新の科学でもある〈儀式〉をどのように活用できるかを教えてくれる」
  • 新版 縄文聖地巡礼
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ぼくたちは、 未来に向かって 縄文の古層へ旅をする 以前から縄文文化に深い関心を寄せてきた音楽家の坂本龍一氏と、人類学者の中沢新一氏が、縄文の古層に眠る、わたしたちの精神の源泉に触れるため、聖地を巡り、語り合います。 諏訪、若狭、敦賀、奈良、紀伊田辺、鹿児島、そして青森へ――― 社会的な状況が大きく変化している現在、これからのヴィジョンを見つけるために、ふたりが人間の心の始まり「縄文」へと潜っていきます。 【目次】 なにを、どうつたえ、つくっていくのか 縄文とはなにか プロローグ 三内丸山遺跡からはじまった、ふたりの旅 第一章 諏訪 第二章 若狭・敦賀 第三章 奈良・紀伊田辺 第四章 山口・鹿児島 第五章 青森 エピローグ さらなる旅に向けて 旅のしおり
  • ゴースト・ワーク
    3.0
    AIが人の仕事を作る世界。 超高速で拡大する「ギグワーク」の最暗部をえぐる渾身のルポルタージュ。 Amazon、Google、Microsoft、Uber。 大企業が提供する自動化(オートメーション)された サービスの裏側に潜む、数えきれない「見えない労働者」の 存在と実情とは。 【文化人類学者×コンピューター社会学者】 が新しい局面へと突入した、「労働」の変化をリアルに伝える。 アメリカ人の推定8パーセントが「ゴーストワーク」で少なくとも一度は働いたことが あり、その数はますます増え続けている。  彼らは通常、これまでの「仕事」において法で定められている最低収入よりも少なく、 健康上の利点はなく、理由を問わずいつでも解雇されてしまう。この種の「仕事」を管理 する労働法はまだなく、これらの末日の組立ラインは、驚くほど多様な範囲の労働者を引 き込んでいる――お金に急いている若いシングルマザー、早期退職を余儀なくされた専門 家、就職に失敗したものたち。彼らは過労と過少賃金に日々苦しんでいる。 情報化が進み機械化が進むにつれて増大が予想される「見えない労働者」をどう考える か。雇用主、労働者、そして社会がこの新しい種類の仕事とそれに携わる人々についてで きることとは何か。 【目次】 序 機械の中の幽霊 第1部:自動化のラストマイルのパラドックス   第1章:ループ(作業工程)の中の人間たち   第2章:出来高払いの仕事からアウトソーシングへ   ――自動化のラストマイルの略史  第2部:苛酷な仕事   第3章:アルゴリズムの残虐とゴーストワークの隠れたコスト   第4章:お金(以上のもの)のために熱心に働く  第3部:ロボットにやり返す   第5章:見ず知らずの人の優しさと協同の力  第6章:ダブルボトムライン 結論:目下の課題  謝辞 方法に関する付録 註一覧 解説:彼らは幽霊じゃない 成田悠輔
  • ダイダロス
    -
    第10回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作。東浩紀絶賛 1974年、ユダヤ人の文化人類学者アランと医師バーネイズは、〈生命の泉〉計画に関与したナチスの生物学者マウラーをブラジルのジャングルに追う。やがて日系人青年タテイシとアランは奇怪な刺青の少女を目撃する。マジックリアリズム×バイオテクノロジーSF
  • クリティカル・ワード ファッションスタディーズ
    3.8
    ファッションを論じるための基盤となる8つのキーワード、 具体的な事例として導かれる現代的な15のトピック、 さらに掘り下げたい読者のために指針を与えてくれる11分野別ブックガイド 現代文化を考えるうえで知っておきたい基本と、 多様な視点・アプローチを学ぶことができる、 新時代のファッションスタディーズの入門書登場! ファッションは「時代を映す鏡」だと言われています。社会や文化の変容にともない、ファッションを取り巻く状況も大きく変化しています。流行の変遷や資本主義グローバリズムの加速、その反省や批判的視点からもたらされたサステナビリティやエコロジーへの意識、多様性として括られがちなジェンダーやマイノリティへの多角的な視座といった、現代社会において極めて重要な問題は、「ファッション」から新たな事例や議論が生まれ続けていると言っても過言ではありません。さらに、3DプリンターやAR/VRといったテクノロジーの進化や成熟がもたらすファッションの新たな可能性と展開は常に注目を集めており、人間の身体性の再考とともに議論されています。もはやファッションについて考えることは、現代文化のあり方を多角的に考えることである言えるでしょう。 ファッション研究はひとつの体系として成立しているわけではなく、諸研究の集合体であることを表している「スタディーズ」。本書は、ファッションの歴史や文脈と紐付けながら、理論や事項をマッピング・整理し直すことで、ファッションスタディーズの新たな射程を見通すことを試みた、まったく新しい入門書です。現代のファッションをとりまく横断性に注目し、哲学、社会学、文化人類学、メディア論、ジェンダー論、環境学、デザイン論など多様な分野とファッションとの結びつきを照らし出します。 ◆シリーズ[クリティカル・ワード] 現代社会や文化および芸術に関わるさまざまな領域を、[重要用語]から読み解き学ぶことを目指したコンパクトな入門シリーズです。 基本的かつ重要な事項や人物、思想と理論を網羅的に取り上げ、歴史的な文脈と現在的な論点を整理します。もっと深く理解し、もっと面白く学ぶために必要な基礎知識を養い、自分の力で論じ言葉にしていくためのヒントを読者に提供する新しい入門書です。
  • 憑依と抵抗
    5.0
    憤激の呪言(ライム)響く国。格差と抑圧に差し込む一筋の光とは。 高級・高層ビルが乱立し、加速度的に情報化する都市を 「感染するシャーマン現象」が侵食しているのはなぜか。 人々の熱い息吹を伝える、現代モンゴルの素描たち。 「排除/憑依/反抗」をキーワードに、 いまだ知られざる現代モンゴルの深層を明らかにする。 シャーマニズム、ヒップホップ、化身ラマ、民族衣装、 そしてチンギス・ハーン。現代モンゴルを理解する上で 欠かせない「貫く論理」をそれぞれの断片に見出す。 グローバル化と呪術化の間で揺れ動くその姿とは。 【目次】 第1部 グローバル世界を呻吟する 1:シャーマニズムという名の感染症 2:地下資源に群がる精霊たち 3:憤激のライム コラム あるマンホール・チルドレンとの出逢い 第2部 社会主義のパラドクス 4:秘教化したナショナリズム 5:社会主義が/で創造した「民族の英雄」チンギス・ハーン 6:呪術化する社会主義 コラム:深夜の都市でボコられる 第3部 連環する生と死 7:シャーマニズム、ヒップホップ、口承文芸 8:生まれ変わりの人類学 コラム 古本屋のB兄 第4部 民族文化のゆくえ 9:コスプレ化する民族衣装 10:“モンゴル化"する洋装と匈奴服の誕生
  • 野生のごちそう――手つかずの食材を探す旅
    3.0
    人にとっての“おいしさ”は、野生にとっての不幸なのか 歴史、神話、地理学……深い学識を備えた環境人類学者が、世界各地で食用にされている野生動物をめぐる旅に出た。 アフリカの密林に横行する野生肉の違法取引を追い、世界的に有名なレストラン「NOMA」で蟻を食べ、愛する人とスウェーデンの森でヘラジカを屠る——。 文明の恩恵に浴しながら天然の獣肉を過剰に追い求めた結果、私たちが得たもの、失ったものとは……。グルメの行き着く先を体当たりで探求する、思索に満ちた冒険ノンフィクション。 ——「美食」の先にあるものとは何か? 《本書に登場する野生の食材や料理》 ▶ ヘラジカ肉バーガー ▶ NOMAのフルコース ▶ 墓地で採るニンニク ▶ 猪 ▶ ロブスター ▶ 牡蠣 ▶ ハチミツ ▶ アオウミガメのスープ ▶ 羚羊(カモシカ) ▶ センザンコウ ▶ オオトカゲ ▶ ナイルワニ ▶ バイソン ▶ バッファロー ▶ 山羊 ▶ ヤマアラシ ▶ 毛虫のソテー ▶ 駝鳥 ▶ エルク ▶ アンズタケ ▶ アナツバメの巣のスープ……他多数。 【目次】 ■ プロローグ 傷心のヘラジカ 第1部 記憶と忘却  1 香草(ハーブ)と蟻………デンマーク  2 大型動物の肉、キノコと天然ハチミツ添え………ポーランド  3 魚、ひれ、殻、はさみ………アメリカ合衆国  4 直火焼きした野鳥肉のサルミ………アメリカ合衆国 第2部 欲望の対象  5 森の狩猟肉、根菜添え………コンゴ民主共和国  6 羚羊(アンテロープ)の肉、トマトとスパイス煮込み………コンゴ民主共和国  7 野生動物の燻製肉と偽キャビア………フランス 第3部 祝宴と飢餓の季節  8 ヘラジカ肉のアンズタケ添えクリームソースがけ………スウェーデン  9 燕の巣と花………ボルネオ 10  野草………ポーランド ■ 謝辞 ■ 訳者あとがき
  • コロナ禍をどう読むか――16の知性による8つの対話
    -
    ウイルスは「敵」なのか? それとも――? 人類学、哲学、批評、アート、小説、精神分析、ビッグヒストリー、妖怪、科学史……。 ジャンルを異にする俊英たちが、コロナ禍が露わにした二元論の陥穽をすり抜け、「あいだ」に息づく世界の実相を探る。刺激的な八つの対話集。 刻々と迫りくる感染症と、その対策に奔走する我々。 緊急事態宣言下の日本で行われた八つの対談は、未曾有の事態を普遍的な観点から見つめ直す、二つのまなざしが直交する対話の記録である。 【目次】 ■ TALK 01 奥野克巳 × 近藤祉秋 ウイルスは人と動物の「あいだ」に生成する ■ TALK 02 逆卷しとね × 尾崎日菜子 接触と隔離の「あいだ」を考える ■ TALK 03 吉村萬壱 × 上妻世海 私と国の「あいだ」を/で問い直す ■ TALK 04 清水高志 × 甲田烈 既知と未知の「あいだ」の政治 ■ TALK 05 松本卓也 × 東畑開人 心と身体の「あいだ」を考える ■ TALK 06 山川冬樹 × 村山悟郎 隔離され、画像化された二つの「顔」、その「あいだ」で ■ TALK 07 辻村伸雄 × 石倉敏明 歴史と神話の「あいだ」の実践 ■ TALK 08 塚原東吾 × 平田周 グローバルとローカルの来たるべき「あいだ」へ
  • 【増補改訂版】コンゴ共和国 マルミミゾウとホタルの行き交う森から
    -
    中部アフリカのコンゴ共和国で、いま何が起きているのか——。自然との共生の道を探る。 中部アフリカのコンゴ共和国で、いま何が起きているのか——。熱帯林に生息するゾウやゴリラなどの生態調査、環境保全に携わる中での内戦や森林伐採業との対峙、貨幣経済の浸透が先住民に与える影響など現場のリアルを伝える。今回増補改訂版で、ゲリラ豪雨やエボラ出血熱など最近世界を揺るがせている問題とコンゴ共和国との関係を浮き彫りにする新章が加わった。京都大学総長・山極壽一氏推薦。 【目次】 プロローグ 1.熱帯林とゴリラとの出会い 2.虫さん、こんにちは 3.森の中で生きるということ 4.熱帯林養成ギプス、内戦、そして保全業へ 5.新たな旅立ち〜森から海へ 6.森の先住民の行く末 7.人類の自然界利用と保全(その1)〜ブッシュミート、森林伐採、象牙 8.人類の自然界利用と保全(その2)〜海洋地域での漁業と石油採掘 9.人類の自然界利用と保全(その3)〜日本人との深い関わり 10.日本における保全に関する教育とメディア 11.ぼくの生き方〜自分に強く関わること同士のつながり 12.さらに隠蔽される“真実” エピローグ あとがき〜増補改訂版に向けて 【著者】 西原智昭 1989年から30年以上、コンゴ共和国やガボンなどアフリカ中央部熱帯林地域にて、野生生物の研究調査、国立公園管理、熱帯林・生物多様性保全に従事。国際保全NGOであるWCS(Wildlife Conservation Society;ニューヨークに本部があり)の自然環境保全研究員。NPO法人アフリカ日本協議会・理事。京都大学理学部人類進化論研究室出身、人類学専攻、理学博士。現在、星槎大学共生科学部特任教授。
  • UXリサーチの道具箱 イノベーションのための質的調査・分析
    4.2
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ─ UXリサーチ「7つ道具」のクイックガイド ─ 人間中心設計、デザイン思考、リーンスタートアップ、アジャイル開発、etc...。イノベーション創出のためのアプローチは様々ですが、すべては「ユーザニーズ」を把握することから始まります。表面的なユーザの「声」ではなく、「真」のユーザニーズを探り、それを分析して可視化する──それが『ユーザ調査』の役割です。 ユーザ調査とは「何が欲しいか」をヒアリングすることではありません。また、アンケート調査やグループインタビューを実施して「購入意向」を推定することでもありません。人類学に由来するユニークなテクニックを用いて私たち自身の「物事の見方」を変えることです。 本書は、日本ではまだ馴染みの薄い、このユーザ調査の基本テクニックを紹介する入門書です。ユーザインタビュー、データ分析、ペルソナ、シナリオ、ジャーニーマップ、ジョブ理論、キャンバスというUXリサーチャ必携の「7つ道具」を著者の豊富な実務経験に基づいて解説します。エンジニア、デザイナ、プロダクトマネージャ、起業家など、革新的な製品やサービスの企画・開発に携わる幅広い職種で役立つ内容です。 <本書の特徴> ◎ユーザ調査の基本テクニックを紹介。「7つ道具」の使い方が分かる。 ◎各章の内容は独立。どこからでも読み始められる、読み終えられる。 ◎各章では各手法のエッンスを1万字前後で記述。サクッと読める。 ◎各章の最後に厳選した読書ガイドを掲載。知識が広がる。 ◎全編イラストが満載。楽しく読める。
  • 集合知の力、衆愚の罠 ― 人と組織にとって最もすばらしいことは何か
    3.6
    だれもが必要とされる組織へ――真の「共創」への道を示す 集団での活動を通じて人は、しばしば個人では到底至らないような優れた知恵を発揮することがある。互いに耳を傾け、考えや思いを共有し、連帯を深める中で生まれる「集合知」。それを生み出すことができたとき、チームや組織は大きく前進する。だが一方で、人は集団になると傲慢になったり、不毛な対立を始めたりしがちなのも事実だ。この「衆愚の罠」に陥ることを避け、「集合知」を生み出すにはどうすればいいのだろうか? 本書は、企業改革、開発援助、スポーツ、医療、文芸、政治、宗教、文化人類学など、極めて多岐にわたるエピソードや知見をもとに「集合知」の謎を探究する。その中で見えてくるのは、だれもが互いに支えられ、互いに必要とされる集団の在り方だ。人と人とは切り離されて別個に存在しているのではない。――普遍的な人間性に目を向けて語られた味わい深い組織論。 人々の間の相互作用から生み出される優れた洞察、「集合知」。奇跡のような瞬間と、人と関わる喜びを伴うこの「知」は、「知らない」ことを受け入れることから始まる……。人はなぜ支え合うのか。集団に潜む罠をいかに回避するか。組織と学習の在り方を根本から問い直し、知と人間の本質を探究する一冊。 「集合知とは、集団やコミュニティ内での相互作用を通じて獲得される知識や洞察のことだ。さらに掘り下げて考えるならば、そこにあるのは人と人との“生きた結びつき”であり、地域や組織や世界における“頼り合い”である」(本文より) 「“知らない”ということこそが強みであり、表面的な答えを出す力よりも問う力のほうが大切であり、想像力とコミットメント、忍耐力、そして心を開き互いに信頼する力のほうが、長い目で見れば単なる“頭の良さ”に勝るのだ」――ピーター・センゲ(「序文」より)

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