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小学校のプールで失われた命.なぜ,どうして,事故は起きてしまったのか.受容と忘却の圧力に抗い,「その時」に迫ろうとする両親と同行者たちの苦悩と行動.そこから浮かびあがる学校や行政の姿.同行者の一人として出来事にかかわった文化人類学者が,多声的な語りから亡き人とともに生きることの意味と可能性を考える.
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Posted by ブクログ
我が子を喪う。ご家族にしてみれば、突然大きな渦に巻き込まれるような形で遺族という当事者になる。想像するだけでも苦しい時間をどうやって耐えてこられたのかと思うと‥かける言葉も見つからない。ただ、なるべく多くの大人たちに読んでほしい。特に学校現場や保育、介護などに関わる行政の担当者には必読の書だと思う。...続きを読む 羽菜さんのご両親の御心が少しでも癒されますように。
非常に考えさせられる、素晴らしい本だった。親の立場からの考察、学者視点での冷静な考察、教師や教育委員会への丁寧なインタビュー。必読。
2015年7月30日、当時小学校1年生だった浅田羽菜ちゃんが学校のプールで溺死するという事故が発生しました。本書は羽菜ちゃんのご両親が「どのようにして娘が亡くなったのか」を追求する過程を、同じ小学校の保護者であった文化人類学者である著者が克明に綴ったノンフィクションです。 事故後、「再発防止」や「今...続きを読む後の学校運営」に軸足を置いた対応となった学校側と、「事故の真相」に拘ったご両親との間で噛み合わない議論が続きました。 追悼をめぐっても、「生徒たちに過度なショックをあたえないように」配慮しようとして追悼行事を進めた学校側と、まだ自分の娘の死の真相が判明せず、「娘はまだ追悼の対象として存在しているのではない」とするご両親との考えもすれ違いの一因となっていました。 学校側が設置した第三者委員会の事故調査についても、ご両親からすると、とても我が娘が命を落とした真相に迫ったものとは思えず、それに対する意見書なども出されています。しかし、第三者委員会の位置づけがあいまいであったり、教育委員会との権限があいまいであったりと様々な問題が障壁となり、真相の究明は進みませんでした。第三者委員会のメンバーの多くが、学校での”いじめ”などの事例の経験は多かった一方で、多数の児童が参加していたプールでの事故の検証の経験はほとんどなかったことも関係していたようです。 事故の真相・原因究明は重要でありながらも、一日も早く「普通の日常」を取り戻そう、この経験を基に「より安全な学校」を目指そうとする学校側。一方で我が子を失うという普通ではありえない事実を前に、亡くなった娘の”最後の声”とも言える事故の真相に拘る遺族。異なる立場の両者のすれ違いと、いかにその両者が協力できるのかという問題は、我が子を学校に通わしている親なら、誰もが当事者になり得るだけに「もしも自分がこのご両親の立場だったら…」と考えずにはいられませんでした。
最後まで守ってやりたい。両親の言葉が突き刺さる。知識を積み重ね、その子を知ることが守ることになる。絶対に忘れない
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