ヘンリー・マーシュの作品一覧
「ヘンリー・マーシュ」の「医師が死を語るとき――脳外科医マーシュの自省」「残された時間――脳外科医マーシュ、がんと生きる」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「ヘンリー・マーシュ」の「医師が死を語るとき――脳外科医マーシュの自省」「残された時間――脳外科医マーシュ、がんと生きる」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
脳外科医の自省。医療行為を通じての他者の死を見つめながら、徐々に自らの死を意識していく。マーシュ医師は国民保健サービスによって様変わりした医療現場に辟易し、勤めていた病院を去り、ネパールへ。
医療の現場、臨床、その医師の思考をなぞり、死の重力を共にずしりと感じながらの読書。全体が秋の曇り空のような、人生の晩年の雰囲気を漂わせる。医療行為による経験や感受性も晩節の思索も本書を通じてしか追体験できぬ物語だ。
私は「人間の生命には限りがあるからこそ美しい」という、映画やドラマで繰り返される定説を信じない。それは、永遠を諦めた先に生まれる慰めにすぎず、欺瞞だ。人生に終わりがあるという事実は、本来、
Posted by ブクログ
ヘンリーマーシュは権威あるイギリスの脳外科医でウクライナとも関係のある人物。本書は、自身の進行性前立腺がんの診断後の体験を綴ったエッセイ。医者としてのマーシュが患者としての視点から、がんの検査や治療の過程、死への恐怖と向き合う日々を赤裸々に描く。教養溢れる内容で、睡眠科学や進化人類学、量子力学などの幅広い知識も織り交ぜながらの記録であり、勉強にもなった。
― 標高二五〇〇メートルを超えると、急性高山病が発症することがある。一部の人が他の人よりもこの病気を発症しやすい理由や、同じ人が場合によって発症するときとしないときがある理由はわかっていない。しかし、チベットの人々は低地人とは異なるDNAを
Posted by ブクログ
両親を看取り、また自分自身、これまで生きてきた人生より、これから生きられるであろう人生が短いことが確実になったころから、医学・医療関係の本を少しずつ読むようになった。
本書の著者は、イギリスの著名な脳神経外科医だそうだ。手術室の息詰まるような描写、患者やその家族との苦しいやり取り、専門医としてのプライドの一方、判断ミスその他の過ちから患者を死に至らしめ、あるいは重大な後遺症を与えてしまった悔恨も率直に述べつつ、自らの半生を振り返っていく。
また、どんどん官僚主義的になっていくイギリスの医療改革に対する著者の失望が率直に語られるほか、関係のあった医師への支援として訪れたネパールやウクライ
Posted by ブクログ
イギリスで大英帝国勲章をもらうような著名なお医者様が「死」について語っているもの。死は不可避、これは分かっている。ただ、人生最後の数日〜数週間を、少ない人数の人々が、病院で、チューブに繋がり、尊厳も本人の意思もなく「生かされている」。その結果、本人も家族も苦しい時間を過ごし、やがて死にいたる。死が不可避である以上、延命措置で得られるメリットと、そのせいで避けられない苦痛などのデメリットを測り、メリットが大きければ延命すべきだが、そうでなければ意味がないのではないか。このような考え方は、著者の担当が脳神経外科であり、手術によって命は長らえても失明や障害が残ることが多いということも一因だろうから、