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私たちの祖先は人食い人種? ヒトは体毛をいつ失った? なぜ人間だけ老齢期が長い? 身近な疑問から深遠な系統学まで、人類進化の謎とドラマを平易にかつ興味深く説く。アメリカで教鞭を執る韓国系女性人類学者による、韓国ベストセラーとなった古人類学入門。解説収録/長谷川眞理子
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Posted by ブクログ
韓国の女性人類学者が科学雑誌(日経サイエンスのようなもの?)で連載した記事をまとめたもの。 人種や生態系に対する著者の控えめで真摯で、それでいながら啓蒙的な姿勢が素晴らしい。
普通の摂食としての食人はなかった。食人は儀式的なならわし。クール―病などたんぱくプリオン異常の原因となる。 ゴリラとチンパンジーの交尾戦略。 ゴリラは、あらかじめ序列を決めておく。メスの発情期に合わせて戦わなくてすむ。メスは楽。 チンパンジーは、メスの発情期が決まっていない。精子が多い。オスの精巣...続きを読むは類人猿のなかで最大。 ゴリラもチンパンジーも、だれが親かはわからない。子育てに手を掛けない。 メスの発情期がわからなければ、オスはいつも食べ物を運ぶ必要がある。 ラブジョイ説=セックスと食べ物の交換によって一夫一妻制が生まれた、とする説。その反対説が、人間は父親という文化的な役割をもつ、とする説=男性による創造妊娠現象=クーヴァード症候群。 大きな脳と狭い産道、二足歩行のためのジレンマ。人間は一人では子供を産めない=生まれてくることに高度な社会性を必要とする。 肉食は、最初は骨から始まった。 大人になって牛乳を飲めるようになってまだ1万年。 農業をするようになって、ビタミンÐが不足しがちになった。メラノサイトの活性が低くなって皮膚の色が薄くなった。 お腹が膨れるのは、栄養不足(たんぱく質不足)のせい。タワシオルコルという病気。 農業のおかげで、栄養不足、感染症に弱くなった。定住がはじまると、家畜が出現し、病原体が増えた。 農業が始まると死亡率は増えたが、それ以上に出生率が増えた。乳飲み子の間は妊娠できない。農業のおかげで、離乳食が増え、妊娠できるようになった。非農耕民族は3~4年母乳を与えて、出産間隔は4~5年。 犬歯は、オス同士の戦いで重要。オスとメスで犬歯の大きさが変わらないのは、オス同士の競争がない証拠。 直立歩行は腰や膝痛に悩まされた。 p207
韓国出身でカルフォルニア大学の人類学教授である著者が韓国の一般向け科学雑誌に書いた文章をまとめて書籍化したもので、文体と切口はくだけた感じだが、人類学の最新の知見からヒトの社会的・文化的生物としての成り立ちを考察する内容で、教科書的に網羅するものではないが、気楽に知的な内容が楽しめる。 この前に読ん...続きを読むだ『絶滅の人類史』とかぶる部分も多いのでスピーディに読んだが、この本のオリジナルな見方も複数あり、なかなか面白く読めた。
こういった学問は自然人類学にジャンル分けされるらしい。 ジャケットからも”サルから人間への進化史”を学術的に描いた本かと思ったが、タイトルを読んでみると全然違う。 そこで読んでみたら…。 月刊誌に連載されたコラムを一つにまとめたもので、(一般向けなので)当然、学術的というより分かりやすく面白く書...続きを読むかれてある。 これを読む限り、私たちが子供の頃に習った人間はサルから進化して・・なんて単純な話ではないというのがよく分かって面白い。 何より、古臭いイメージの人類学が、遺伝子解析を元に、わずか指の骨の破片から性別・年齢・身長や、(生存していた)年代はおろか、どの人種の遺伝子を引いているかまで分かるという。 その結果、次々に人類史は塗り替えられていて、実はまだ直接の先祖すらよくわからないというのにはビックリ。 歴史というのは不動のもの、と思っているのは教科書の弊害かな。
最新の知見による「サル学」のエッセイだが、わかりやすく現在の到達点がよくわかり、翻訳もこなれている。実に興味深い本だ。 本書によると「色の薄い皮膚がヨーロッパに出現したのは5000年前」とある。白人の誕生がつい最近だったとは驚く。DNA考古学の進歩は凄まじいものだと思った。 これが事実なら人種差別と...続きを読むは一体何なのだろうか。その馬鹿らしさを痛感する。人間とは何と見かけに左右される愚かな存在なのか。 我々はどこから来て何処へ行くのかとは永遠の問いだが、本書を読んで全く同感する思いを持った。
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