作品一覧

  • 史疑 幻の家康論 新装増補改訂版
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    明治三十五年四月、民友社(徳富蘇峰主宰)から出版された村岡素一郎著『史疑 徳川家康事蹟』は徳川家康の出自に秘められた謎を初めて明らかにしたが、刊行後忽ちのうちに絶版となった。南條範夫の『三百年のベール』、隆慶一郎『影武者徳川家康』などのもとになった奇書『史疑』に秘められた謎を、新たな視点で解読する。新装増補改訂版。 【目次】 まえがき 増補改訂版へのまえがき 第1章 奇書『史疑』と現代 忘れられた家康論/『史疑』の再発見/『史疑』の復活/『影武者家康』の登場/余波は続く 第2章 『史疑』はなぜ葬られたか 徳川家妨害説/歴史は繰り返す/危険な「史論」/隠された時局批判/過激な言説/明治三十年代の政局/薩長藩閥への不快感/二人の要人 第3章 伊藤博文と山県有朋 伊藤と山県について/「中間」とは何か/長州藩の卒席班/伊藤博文の生い立ち/少年時代の博文/出世のいとぐち/山県有朋の生い立ち/屈辱的な体験/人生の転機来る/松下村塾と維新回天/伊藤と「華族令」/爵位制度の由来/伊藤の執念/伊藤公爵家系譜/山県と明治天皇/不遜なり山県/宮中某重大事件/最後の革命家 第4章 村岡素一郎と貴賤交代論 若き日の素一郎/立身出世の道/突然職を辞す/『日本神学新説』/家康研究の時代/『史疑』と時局論/内村鑑三の政府批判/内村の維新観/『血史』に於ける維新観/『痩我慢の説』/貴賤交代の着想/「抹殺博士」重野安繹/「変節漢」徳富蘇峰 第5章 「下級武士」論/伊藤博文の「旧宅」/「下級武士」という言葉/軽輩とは/士分への昇格/軽輩から卒へ/卒から士族へ/「新士族」と「下級士族」/歴史学の怠慢/「真相」への遠慮/三浦梧楼の回想/下級武士研究の課題 第6章 『史疑徳川家康事蹟』を読む/『史疑』読解のために/桑田氏の要約/『史疑』の構成/史疑序と自序/五か条の緒言/八つの着眼/結論九項目の提示/家康の生地は?/家康の父母/家康の幼少期/初期の活動/飛躍期/大活動期/悲劇の解明 第7章 銭五貫と銭五百貫―家康はいくらで売られたのか―/桑田忠親氏の『史疑』批判/『駿府政事録』と『駿府記』/銭五貫と銭五百貫/明治二十四年の論考から/林羅山の改竄/切れ者後藤光次/残された諸課題 第8章 禁書『史疑』の謎/信康助命説/柿を称える/氏なくして玉の輿へ/究極の貴賤交替論 補章・幻の家康論・その後/『駿府政治録』の写本を見る/谷万平氏を知る/『歴史読本』インタヴュー記事/榛葉英治さんからの手紙/『史疑』のマンガ化/その他の出来事補章 幻の家康論・その後/近代日本における<ネジレ>の構造 『攘夷と憂国』を構想しながら *増補改訂版のための補考 あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 解説編 II 民俗とナショナリティ
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    排泄・犯罪と猟奇・男色・無法・左右からみる“人間存在の本質”! 柳田國男の創始した民俗学は「一国民俗学」を標榜してきたが、日本文化あるいは日本人の姿を正しくリアルに伝えてきたのだろうか。日本人のナショナリティ(国民性)を把握し理解するために柳田民俗学が積み重ねてきた努力は評価しなければならないが、「一国民俗学」が描く自己像にはどこか不徹底、不十分なところ、あるいは作為的な部分があり、人間存在の実相・本質には迫り得ていない面がある。叢書第2期は、糞尿と厠の民俗、日本独自の犯罪と民俗、長い歴史を持つ男色文化、悪党・極道の伝統、左尊の民俗が生む貴・賎、淨・穢の差別構造の問題を扱うことで日本人のナショナリティと深く関わる民俗文化に迫り、近隣諸国の文化と比較対照・相対化を行い民俗文化の可能性を示唆する。歴史民俗学資料叢書第2期(全5巻)の「解説」・「あとがき」を収録し、さらにその後の考察を〈補論〉として加え、巻末に叢書収録文献の総目次を収録した。 歴史民俗学資料叢書第2期(全5巻)の「解説」・「あとがき」を収録し、さらにその後の考察を〈補論〉として加え、巻末に叢書収録文献の総目次を収録した。叢書収録文献への足がかりとしての入門書、刊行! 【目次】 まえがき ■ 厠と排泄の民俗学 解説【糞尿はいつから〈汚物〉になったのか?近代ニッポン糞尿史序説】 三島由紀夫の〈汚穢屋〉願望/三島由紀夫の「出自」について/〈汚穢屋〉は賤民にあらず/昭和初年の東京における〈汚穢屋〉の実像/竹内武雄氏の「汲み取り」体験/徳富蘆花の見た「不浄取り」/都市住民の〈汚穢屋〉に対する意識/本資料集の編集方針について あとがき 補論 ■ 犯罪と猟奇の民俗学 解説【柳田國男と流血の民俗学】 柳田國男における「殺生の快楽」/『遠野物語』と三面記事/『遠野物語』における〈犯罪〉/柳田國男と〈猟奇の民俗学〉/中山太郎と犯罪民俗学/千葉徳爾と流血の民俗学 あとがき 補論 ■ 男色の民俗学 解説 【男色の沿革を略述し日本人の国民性に及ぶ】 オウムと自衛隊/明治の学校と男色の悪弊/『ヰタ・セクスアリス』と金井湛の受難/金井湛、二度目の受難/薩摩武士と男色/硬派と軟派/薩摩の郷中教育について/きだみのると「尻つき」/「レイプ容認」の風土/「ケツの穴が小さい」/その昔陰間だった老人の回想/通和散と安入散/陰間の養成法 あとがき 補論 ■ 無法と悪党の民俗学 解説篇【無法と悪党が創った国・日本】 「明治天皇は南朝の天子を殺し神器を奪った北朝の子孫」/水戸学と南朝再興の大義/喜田貞吉と「大賊・小賊」/元勲・田中光顕とコンクリート製の寝室/志士・田中光顕と血盟団事件/ダレル・ベリガンのヤクザ研究/ベリガンの批判的視点と分析的視点/長谷川昇の画期的博徒論/網野善彦の壮大な「無縁」論  あとがき 補論 ■ 左右の民俗学 解説【「左右」から見える日本文化のルーツ】 左前とは何か/なぜ左前はいけないのか/左前と「逆さごと」/「逆さごと」と左右/常識としての右尊左卑/神事における左尊右卑/右尊・左尊どちらが基礎的か/左=聖・右=俗という視点/左の両義性/左右と日本の固有文化 あとがき 補論 歴史民俗学資料叢書第二期全五巻 収録文献一覧 あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 解説編 I 土俗とイデオロギー
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    糞尿・人喰い・乞食・刺青・生贄からみる“裏の日本民俗学”! 歴史民俗学資料叢書第1期(全5巻)の刊行が始まったのは1996年であり、第2期(全5巻)が完結したのは2004年である。足掛け8年にわたる作業を支えたのは、「アカデミズムからは好まれないし、加えてアカデミズムの体系の中にはうまく位置付けられない」人間存在の実相、本質にかかわる重要なテーマを、埋もれた論文や資料に光をあて発掘するという使命感である。第1期で取り上げた田中香涯、中山太郎、金城朝永、安田徳太郎、南方熊楠、坪井正五郎らの学者は「土俗を土俗としてその存在を認定し、観察・記録しようとする姿勢」を貫いてきた。この姿勢こそ柳田國男によって「一国民俗学」に貶められた日本民俗学の復権を担う「土俗学」の基調が、彼らに貫かれていたからである。 歴史民俗学資料叢書第1期(全5巻)の「解説」・「あとがき」を収録し、さらにその後の考察を〈補論〉として加え、巻末に叢書収録文献の総目次を収録した。叢書収録文献への足がかりとしての入門書、刊行! 【目次】 まえがき 歴史民俗学資料叢書の発刊にあたって ■ 糞尿の民俗学 解説 厠なかばに出かねたり/ホトトギスについての伝説/漱石の句の新解釈/糞尿の民俗学とは/窃盗犯の脱糞/古代インドの呪法/日本における事例/糞にまみれた老王/ミッキー安川の賭け/ヘーシオドスが記録する俗信/古代インドに見られる俗信/厠神は虚像か?/ハイヌウェレ神話と食物起源/ハイヌウェレ型神話と縄文文化/糞尿の利用法と糞尿観とのかかわり/「糞食」は存在したか あとがき 補論 ■ 人喰いの民俗学 解説 『蘭学事始』と腑分/千住骨ヶ原にて/腑分の目的/山田浅右衛門の丸薬/食人の分類/モースと大森貝塚/食人の跡を示す人骨/人々の受けた衝撃/人類学に及ぼした影響/先住民族説/食人を例外的とする説/食人説の許容/寺石正路説と西南戦争/八重山列島の伝説/野口男三郎事件の真相/人体臓器取引き根絶のキャンペーン/人肉食タブーとその解除/近現代人と人肉食タブー/文明国における食人または文化としての食人 あとがき 補論 ■ 浮浪と乞食の民俗学 解説 宮崎来城の『無銭旅行』/「無銭旅行」の心意/下村湖人の『次郎物語』/無銭旅行と「無計画の計画」/宮本常一の旅/柳田国男の切り口/モノモラヒの心意/「乞食は三日するとやめられぬ」/歓待される乞食/宗教にみる富の否定 あとがき 補論 ■ 刺青の民俗学 解説 白川静氏の文身論/加入儀礼と身体装飾/入れ墨とかかわりをもつ諸学/「いれずみ学」は成立しえないか/ベルツの入墨論/入墨=着物代用説/ベルツと安田徳太郎/和歌森太郎の批判/マサキ=南方語説 あとがき 補論 ■ 生贄と人柱の民俗学 解説【柳田、中山の確執と人柱論】 中山太郎という民俗学者/柳田国男と中山太郎の確執/柳田と中山とを比較する/中山太郎のユニークさ/師弟としての柳田・中山/『南方随筆』跋文事件/南方熊楠の度量/オナリ伝説をめぐって/なぜ中山は文献名を明示しなかったのか/なぜ柳田は着想を発展させなかったのか/日本民俗学にとっての損失 あとがき 補論 歴史民俗学資料叢書第一期全五巻 収録文献一覧 あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 解説編 III 身体とアイデンティティ
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    カルチャーとしての身体は、伝承文化や民俗といかにかかわり、いかなる変容を遂げたのか? 「歴史民俗学資料叢書」第1期~第3期全15巻、並びに「土俗とイデオロギー」(第1期解説編)、「民俗とナショナリティ」(第2期解説編)を踏まえ、既刊の資料編に未収録の資料を新たに付加し、全編を鳥瞰した補論「捕縛術・部落学・サンショ言葉」を付した総集編である。 【目次】 まえがき ■ゲイの民俗学[解説]◎引き裂かれた同性愛 三島由紀夫における藍と錯誤 ■病いと癒しの民俗学[解説]◎風土病の悲劇と徴兵制の重圧 ■性愛の民俗学[解説]◎柳田國男における性愛の民俗学 ■穢れと差別の民俗学[解説]◎穢れとナショナリズム ■ワザと身体の民俗学[解説]◎福沢諭吉におけるワザと身体 [資料編] 尾張國府宮の直會祭を中心として見たる(一九二五年)◎加藤玄智 徳川幕府と穢多の解放(一九二七年)◎尾佐竹猛 生殖器崇拝と迷信――性的神と土俗玩具(一九二九年)◎左海壽美 松の落葉(一九三五年)◎橘 正一 日本法に於ける印度的要素(一九四一年)◎瀧川政次郎 歴史民俗学資料叢書第三期全五巻 収録文献一覧 [補論]捕縛術・部落学・サンショ言葉/あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 第三期 IV 穢れと差別の民俗学
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    〈穢多〉に対する差別は、江戸後期以降、歴史的・社会的要因によって激化したが、その際、民衆の差別意識を支えたのが、〈穢れ=ケガレ〉の観念であった。 かつて神主は自ら獣を屠り、神前に供えていた。すなわち、古代の日本には、〈死穢〉〈血穢〉といった観念は存在しなかった。ところが神道思想家は、日本語である〈ケガレ〉に、仏教に由来する〈穢〉の観念を潜りこませ、あたかもそうした観念が、太古の昔に存在したかのように仮象した。倒錯した伝統主義であり、〈ナショナリズム〉である。 穢(え)=穢れ=ケガレの形成過程を検証しながら、差別の実相とナショナリズムの本質に迫る資料集。 【目次】 ◎解説編 穢れとナショナリズム ◎資料篇 1.足利近傍の賤民(一八八六年)坪井正五郎/2.穢多は他國人なる可し(一八八六年)藤井乾助/3.ヱッタハ越人ニシテ元兵ノ奴隷とナリタルモノナル事及ビ其他ノ事ドモ(一八八七年)金子徴/4.穢多に就ての人類學的調査(一八九七年)鳥居龍蔵/5.西宮の傀儡師(一九一九年)吉井太郎/6.特殊部落と寺院(一九一九年)喜田貞吉/7.土佐の賤民制度並沿革(一九一九年)寺石正路/8.播磨印南地方のモチと番太(一九一九年)独尊生/9.備後御調郡地方の特殊民(一九一九年)川邊政一/10.丹波西北部に於ける平民の特殊な肩書(一九二〇年)板根生/11.空也上人とハチヤ傳説との交渉(一九二一年)倉光清六/12.東豫に於ける特殊民の藝業(一九二一年)森本樵作/13.東豫の或る部落の十年前の話(一九二一年)松風村雨楼/14.特殊民と琉球(一九二二年)佐喜真興英/15.非人同情美談(一九二二年)予水老魚/16.常陸真壁地方特殊民雑話(一九二二年)鶴岡春三郎/17.美作誕生寺の會式と「オモテギ」部落(一八二三年)伊藤祐晃/18.朝鮮白丁に就て(一九三〇年)金サン根/19.座談會 徳川時代の部落の産業経済に就て(一九三二年)喜田貞吉・三好伊平次ほか/20.他屋生活について(一九三三年)千代延尚寿/21.特殊部落民異名考(一九三五年)橘庄一/22.月経方言考(一九三五年)橘庄一/23.血穢考(一九三四年)田中香涯 ◎あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 第三期 V ワザと身体の民俗学
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    心身・身体への関心の高まりの背後には、人間存在への抜き差しならない不安と焦燥に怯える民衆の姿がある。かつての時代においても転換期には、生命・精神・身体へ差し迫る危機を感知し、新たな民俗伝承文化を見出すことによって生き延びてきた民衆の姿がある。この不分明な時代の転換期に、ワザと身体、身体感覚、身体意識、心身相関の諸相を、芸能・技術関係の研究や文献を網羅し検証することによって、この現代の危機の実相を解読し、自然と人間との新たな相互関係を構想するための資料集である。 【目次】 [解説編] 福沢諭吉におけるワザと身体(礫川全次) [資料篇] 『かたわ娘』(一八七二年) 福沢諭吉 違式違条例(一八七三年以降) 発令府県不詳 赤子の躰に在る痣の如きものゝ事(一八八七年) 池田作次郎 拍手手指を以て売買するの遺風(一八九〇年) 井上喜久治 本邦人陰茎の包皮に就て(一八九九年) 足立文太郎 誤れる体育(一九二〇年) 田中香涯 日本人の坐り方に就て(一九二〇年) 入沢達吉 陳元贇と柔の始祖(一九二一年) 下川 潮 石棒に現れたる割禮の痕跡に就て(一九二四年) 武藤一郎 生命の救 ほか(一九二四年) 栗須七郎 支那及朝鮮に於ける巫の腹話術に就いて ほか(一九三一年) 孫 晋泰 馬体ノ名称、手入飼養法(一九三一年) 輜重兵第一連隊編纂 禿は人生を真暗にする(一九三四年) 本村儀作 躯体の童戯(一九三六年) 武藤鉄城 動物に扮する舞踊(一九四二年) 中山太郎 輸送船の対遭難訓練に就て(一九四三年) 大本営陸軍部 人形の遣ひ方とその組立(一九四三年) 石割松太郎 浮世繪農工畫と扱管・千刄稻扱 ほか(一九四三年) 多賀義憲 女形の姿勢 ほか(一九四四年) 尾上梅幸 健忘症と疣との治療(一九四六年) 浅田 一 犯罪と血液型(一九四七年) 浅田 一 京見て来い(一九四八年) 桂井和雄 あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 第二期 V 左右の民俗学
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    「左右」から見える日本文化のルーツとは?  死んだ人の着物を左前にするのはなぜか? 左前の鎧を着た埴輪が出土するのはなぜか? 神前に向かう神主がつねに左足から踏み出すのはなぜか? 昭和初期に雛祭の雄雛・雌雛の左右が入れ替わったのはなぜか?「左右」をめぐる問題は、容易に説明ができない《難問》ばかりである。  左右の民俗事象が「聖・俗」二項を媒介に、なぜ「浄・穢」の両義性や「貴・賤」の差別構造を生み出すのか? 古来日本では、神社の注連縄と棺桶を縛る縄はともに「左縄」であった。「左」は、吉と凶、浄と穢、正と邪の《両義性》を持っていた。左の両義性を括るのは「聖」であり、右に象徴される「俗」と対置される。  「左右」こそは、日本民俗学の蓄積と文化人類学の理論水準が結び付きうるスリリングで興味深い課題といえる。  たかが左右、されど左右。左右の民俗学を通して、日本文化の独自性やそのルーツ、汎アジア的な「左尊」文化、そして、あらゆる文明に共通する《対》と《両義性》の構造が見えてくる。必読の基礎的文献を網羅した本邦初の「左右学」の資料集。シリーズ完結の第5巻。 【目次】 ■解説篇 「左右」から見える日本文化のルーツ 左前とは何か/なぜ左前はいけないのか/左前と「逆さごと」/「逆さごと」と左右/常識としての右尊左卑/神事における左尊右卑/右尊・左尊どちらが基礎的か/左=聖・右=俗という視点/左右と日本の固有文化 ■資料篇 1◎ 右得手と左得手(一九〇三年) 寺石正路  2◎ 左得手と右得手(一九〇三年) 寺石正路 3◎ 左右の尊卑に関する穂積陳重君の疑問(一九〇五年) 坪井正五郎 4◎ 左側右側尊卑の習慣(一九〇五年) 坪井正五郎 5◎ 左右の尊卑について(一九〇五年) 金子 徴 6◎ 左右尊卑に関する質問に就て(一九〇五年) 菅野真澄 7◎ 左右尊卑の鄙見(一九〇五年) 阿波加修造 8◎ 左(pidari) 右(migi, migiri)(一九〇五年) 白鳥庫吉 9◎ 源氏左折の話(一九一三年) 宮本揩衣 10◎ 盤領衣著用女子ほか(一九二三年) 高橋健自 11◎ 衣褌(一九二四年) 高橋健自 12◎ 左右尊卑攷(一九二八年) 那波利貞 13◎ 原始衣及胡服時代(上古)ほか(一九二九年) 高橋健自 14◎ 左の目(一九三一年) 中山太郎 15◎ 一と左(一九三六年) 白鳥庫吉 16◎ 朝鮮の禁忌縄に関する研究(抄)(一九三七年) 今村 鞆 17◎ 右利の原因に関する疑問(一九四〇年) 田中香涯 18◎「ひだり」考(一九四二年) 桂井和雄 19◎ 左尊右卑の思想と民俗(一九四二年) 中山太郎 20◎ 禁縄と注連縄(一九五四年) 秋葉 隆 あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 第三期 II 病いと癒しの民俗学
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    疾病・狂気が排除され、死が隠蔽された日常とは、〈癒し〉が忘れられた世界にほかならない。近代日本における〈医の歴史〉を歴史民俗学によって解読する。かつての日本では、肺結核・梅毒・風土病などの〈死に至る病い〉は、まさしく日常生活の一部であった。日本住血吸虫から回虫・蟯虫まで、ほとんどの日本人は寄生虫をその体内で養っていた。今日、疾病や狂気が世俗から排除され、死もまた日常生活から隠蔽されている。しかしそうした悩みなき日常とは、すなわち〈癒し〉が忘れられ、〈癒し〉への回路が絶たれた世界とも言える。〈病い〉こそが〈癒し〉なのは、徴兵忌避者に限らない。癒しが日常の世界から消失した今日、近代日本における〈医の世界〉の歴史を歴史民俗学の手法で解読しながら、病いという苦悩を癒しと安穏の世界へと導き転換しようとする民衆の心意を照射する。人面瘡と人面犬(田中香涯)、糞談議抄(小泉丹)他20文献を収録した資料集! 好評「歴史民俗学資料叢書第3期」の第2巻刊行! 【目次】 ■解説篇 風土病の悲劇と徴兵制の重圧/桂田富士郎と「姫」というネコ/三神三郎と日本住血吸虫発見の碑/ミヤイリガイかカタヤマガイか/「糞便を水の中に入れるな」/日本住血吸虫病の「根絶」/ミヤイリガイの根絶と環境破壊/徴兵よけとしての風土病/弾丸よけ信仰と国防婦人会 ■資料篇 凡例 1 虎列刺豫防諭解(一八八〇年) 内務省社寺局・衛生局 2 徳川家康の身体に就いて(一九〇七年) 富士川游 3 疾病(一九一三年) 楢木末實 4 朝鮮に於ける特種の犯罪(一九一五年) 中野有光 5 一狂者の追想録(一九三六年) 某氏 6 社会的に必要なる病者(一九二〇年) 田中香涯 7 寄生虫病及地方病予防抄(一九二一年) 宮入慶之助 8 痘瘡と赤色(一九二三年) 田中香涯 9 眼病と呪療法(一九二七年) 鹿児島茂 10 奉納物(一九二八年) 富士川游 11 アイヌ雑談(一九三〇年) 原田雄吉 12 目をとがめる神さま(一九三四年) 小井川潤次郎 13 吉良上野介義央の切創と之を治療せる栗崎道有(一九三四年) 田中香涯 14 療病呪符其他に就いて(一九三八年) 富士川游 15 日本の癩(一九三九年) 林芳信 16 戸塚の陰嚢象皮病(一九四〇年) 田中香涯 17 人面瘡と人面犬(一九四〇年) 田中香涯 18 長崎市のデング熱流行に就て(一九四二年) 石井信太郎ほか 19 蛔虫談議抄(一九四八年) 小泉丹 20 糞談議抄(一九五〇年) 小泉丹 あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 第三期 III 性愛の民俗学
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    日本を代表する民俗学者・柳田國男は、ヤマビト(先住民)やサンカを対象に差別の淵源に迫る志向を持ちながら踏み込んだ研究を残すことはなかった。人類史の初原にかかわる性愛の分野においても、その炯眼によって基層文化の深淵から注目すべき視点を抽出していたが、ついにそうした研究を極めることはなかった。近代日本国家のイデオローグ・柳田國男が考究を忌避した《性愛の民俗学》の空隙を埋めるべく、尾佐竹猛、中山太郎、伊波普猷、安田徳太郎らの優れた業績を網羅的に収録した研究者必読の文献である。 【目次】 ■解説編 柳田國男における性愛の民俗学 ■資料編 1 本邦男女婚姻年齢取調復命書(1889年)本邦男女婚姻年齢取調委員 2 るーでさつく 他(1912年)尾佐竹猛 3 ボサと野合摘発のボサウチ(1923年)宮武省三 4 元服の土俗と割礼(1923年)中山太郎 5 長崎地方に遺存せしJus primae noctisの痕跡(1927年)八重津輝勝 6 日本性愛奥義篇(一)(一九二七年)酒井潔 7 編輯者の言葉(1929年)安田徳太郎 8 土佐柴折藥師祭禮(1929年)寺石正路 9 はらみ女の迷信考(1929年)X・Y・Z 10 シタクチバナシ(1930年)橋正一 11 八重山島のマクタ遊び(1930年)伊波普猷 12 賣女の波と其汎用濫の状態(1930年)草間八十雄 13 琉球の遊女(1931年)金城朝永 14 検黴の初め(1931年)永見徳太郎 15 堕胎の方言と民俗(1931年)中山太郎 16 地方の性生活(1934年)中山太郎 17 碓の誥び(1934年)中山太郎 18 新枕(1948年)佐藤紅霞 19 パンパン語源考(1949年)神崎清 20 童謡閑話(1950年)山崎基次郎 あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 第三期 I ゲイの民俗学
    3.0
    三島由紀夫がゲイに異常な執着をもっていたことはよく知られている。1955年に石原慎太郎が「太陽の季節」で時代の流れに便乗し一躍文壇に登場したとき、文壇内の評価が大きく分かれていたにもかかわらず三島は石原を評価する。三島は作品への評価と石原への執着とが背離していくことに苛立ちを覚えるが、それは石原が「ゲイ」とは全く無縁な存在だったからである。かつて男色が認められていた日本社会の性風俗の民俗史を近代の「男色」から戦後の「同性愛」を通して明らかにする。女性同性愛の文献も収録! 【目次】 ■解説篇 引き裂かれた同性愛―三島由紀夫における愛と錯誤 石原都知事と男の友情/夢の中の三島由紀夫/戦後文学の双璧/三島・石原の確執/「和室」での事件/「見巧者」石原慎太郎/三島由紀夫と同性愛の諸相/「太陽の季節」とボディービル/三島由紀夫の三つの錯誤/異性愛と支配 ■資料篇 といちはいちほか(一九一一~一二年) 尾佐竹猛 同性愛と心中観ほか(一九二一年) 鷲尾浩 各種の先駆髷の起源に就いて抄(一九二八年) 伊藤赳 安南人の変態性慾ほか(一九三三年) 山中源二郎(訳) 女性同性愛ほか(一九三六年) 高田義一郎 相公きゝがき(一九四一年) 瀧川政次郎 カマ(一九四六年) 浅田一 刑務所生活二十年(一九四八年) 妻木松吉 座談会 男娼の世界(一九四九年) 杵屋正二ほか 同性愛(一九五一年) 井上泰宏 女子同性愛と性具(一九五二年) 小池創之介 男色は流行する(一九五三年) 柏倉幸蔵 男色者とその性的特質(一九五三年) 扇屋亞夫 衆秘傳考(一九五三年) 千明克巳 そどみあの断層(一九五三年) 鹿火屋一彦 そどみあ通信(一九五三年) 藤井晃 女性の同性愛(一九五四年) 仁科順三 ソドミアの実態調査報告(一九五四年) 高畑益朗 レスビアニズム雑話(一九五四年) 宮川好子 同性愛と男根羨望(一九五四年) 比企雄三・扇屋亞夫 少年同性愛(一九五四年) 鹿火屋一彦 そどみあの世界(一九五四年) 別役淳一ほか  実態調査のレポート(一九五八年) かびやかずひこ  あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 第二期 IV 無法と悪党の民俗学
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    山賊・海賊は国を奪ふの大盗よりも軽し。(『異制庭訓往来』) 〈無法〉と〈悪党〉をキーワードに、「犯罪」と「国家」を同時に相対化する! テロ、謀反、非合法集団の〈無法〉。博徒、陜客、ヤクザ、アウトローの〈悪党〉。そして、国家に内在する権力という〈無法〉。日本の歴史を形成し、日本の社会を特徴づけてきた〈無法〉と〈悪党〉の秘密を解き明かす。 伊藤博文、中山太郎、田村栄太郎、田中光顕ほか明治19年から昭和27年までの、異色の論文・資料23編を収録。 【目次】 ■解説篇 ●無法と悪党が創った国・日本[礫川全次] 「明治天皇は南朝の天子を殺し神器を奪った北朝の子孫」/水戸学と南朝再興の大義/喜田貞吉と「大賊・小賊」/元勲・田中光顕とコンクリート製の寝室/志士・田中光顕と血盟団事件/ダレル・ベリガンのヤクザ研究/ベリガンの批判的視点と分析的視点/長谷川昇の画期的博徒論/網野善彦の壮大な「無縁」論 ■資料篇 1 蹈血(抄)(一八八六年) 木村邦舟 2 馬関挙兵の状(一九〇〇年) 伊藤博文 3 無政府共産(一九〇八年) 内山愚童 4 下獄に際して感ぜしこと(一九一〇年) 田岡嶺雲 5 涜職罪検挙に関する上奏案(一九一六年) 大場茂馬 6 明治元年の東京(一九二〇年) 関根正直 7 大浦卿の一外伝(抄)(一九二一年) 野村本之助 8 喜剣思想(一九二五年) 尾佐竹 猛 9 見込捜査時代(一九二九年) 江口 治 10 盗人神(一九二九年) 中山太郎 11 乱波と風呂寺(一九三〇年) 田村栄太郎 12 愛国二人々気男(一九三二年) 岡見 齊 13 『盗』の徳史(一九三三年) 坂ノ上言夫 14 歴史上の合法非合法ギヤング(一九三五年) 田村栄太郎 15 懐中物御用心(一九三五年) 平山喜久松 16 生麦事件で夷人を斬殺した私(一九三六年) 久木村治休 17 賀川肇の暗殺(一九三六年) 田中光顕 18 上州遊び人風俗問答(一九三九年) 武田愛之助・田村栄太郎 19 攘夷盗木弥太郎懺悔談(一九三九年) 青木彌太郎・田村栄太郎 20 インフレ風景ほか(一九四〇年) 猪俣浩三 21 経済警察の生命線ほか(一九四〇年) 窪 孝治郎 22 育関係職事件懇談会記録(一九四三年) 司法省刑事局 23 各地の情勢の中の特徴的なものについて(一九五二年) 大杉演劇研究会 あとがき

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  • 歴史民俗学資料叢書 第二期 III 男色の民俗学
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    「尻の穴を開け!!」 男色を容認してきた日本の風土、文化と日本人の深層に迫る! 高野六十那智八十(高野山や那智山の坊主は男色をやっているので高齢になって も色気がある)。古来日本は男色が盛んな国であった。近代以前の僧侶・武士・芸能者という男色の「三大勢力」に、明治以降は学生が加わった。その系譜は今日のオウム真理教や自衛隊にまで脈々と連なっている。 未開拓な部分が多いわが国の男色研究史の中から、明治20年代~昭和30年代の知られざる男色論・ユニークな男色論21編を紹介する、「男色」を通して見る日本精神史。 目次 ■解説篇 ◎男色の沿革を略述し日本人の国民性に及ぶ(礫川全次) オウムと自衛隊/明治の学校と男色の悪弊/『ヰタ・セクスアリス』と金井湛の受難/金井湛、二度目の受難/薩摩武士と男色/硬派と軟派/薩摩の郷中教育について/きだみのると「尻つき」/「レイプ容認」の風土/「ケツの穴が小さい」/その昔陰間だった老人の回想/通和散と安入散/陰間の養生法 ■資料篇 凡例 1 男娼(一八九〇年) 独笑居士 2 男色に就て(一八九九年) 舟岡英之助 3 学生の暗面に蟠れる男色の一大悪風を痛罵す(一九〇九年) 河岡潮風 4 婦女を童に代用せし事(一九一二年) 南方熊楠 5 男子間相愛の風俗の沿革(一九一八年) 森徳太郎 6 同性愛の歴史観と其意義(抄)(一九二一年) 鷲尾 浩 7 男色に関する史的及び文学的考証(一九二四年) 田中香涯 8 男倡を出現させた当代の好(一九二七年) 中山太郎 9 男娼(一九二九年) 田中香涯 10 本朝男色雑考(一九三〇年) 鈴樹大允 11 男色考(一九三〇年) 旭 寿雄 12  日本の文学に現はれたる同性愛(一九三〇年) 守田有秋 13  売笑婦男装考(一九三四年) 田中香涯 14  湯島の男娼(一九三五年) 田中香涯 15  上海の男色業(一九三五年) 井出季和太 16  綱吉の男色好き(一九三六年) 田中香涯 17  日本男娼史考(一九三六年) 田中香涯 18  昔の女形俳優(一九四〇年) 田中香涯 19 男姦/姦事例(一九四三年) 瀧川政次郎 20 同性愛者の犯罪(一九四七年) 黒澤長登 21 同性愛の秘技を探る(一九五七年) 伊藤晴雨/比企雄二

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  • 歴史民俗学資料叢書 第二期 II 犯罪と猟奇の民俗学
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    殺生と流血、犯罪と猟奇にみる日本の基層文化を解読する! 「殺生の快楽は酒色の快楽の比ではなかった」。柳田國男は日本民俗学研究の嚆矢『後狩詞記』(1909)の中で、そう語っている。この大胆な言葉は、柳田のモチーフが「犯罪と猟奇」―狩猟、殺生、神隠し、妖怪、犯罪など人間存在の実相にかかわる非日常性―にあったことを暗示している。 尾佐竹猛、中山太郎、田中香涯らによる〈犯罪と猟奇の民俗学〉を通して、日本文化の深層に迫る資料集。 目次 ●解説篇 柳田國男と流血の民俗学(礫川全次) ●資料篇 「如何にして泥棒を防除すべき乎」矢崎亥八 『日本農業雑誌』(一九〇九)より 「伊豆諸島の流囚」尾佐竹猛 『刑事法評論』(一九一〇)より 「犯罪隠語」山田一隆 『犯罪科学ノ研究』(一九一五)より 「社会暗翳としての私娼」鷲尾浩 『風俗問題』(一九二一)より 「凶行者は何故凶器を逆手に持つか」高田義一郎 『犯罪鑑定夜話』(一九二一)より 「池袋の女」松居松翁 『彗星』(一九二七)より 「「池袋の女」に就て」飯島花月 『彗星』(一九二七)より 「江戸時代の性的犯罪」田中香涯 『変態風俗の研究』(一九二七)より 「不良少年にしてもらはざる権利」(抄)西山哲治 『子供の為めに』(一九二八)より 「迷信と猥褻罪」田中香涯 『耽奇猥談』(一九二九)より 「江戸時代に於ける性的犯罪の刑」田中香涯 『耽奇猥談』(一九二九)より 「犯人検挙と鬼定めの法(上・下)」島袋源七 『旅と伝説』(一九三一)より 「雑手口の詐欺」大西輝一 『犯罪手口の研究』(一九三三)より 「迷信からグロ犯罪」(他)後藤道雄 『迷信の犯罪打診』(一九三四)より 「其の他の習俗」井出季和太 『支那の奇習と異聞』(一九三五)より 「強盗に襲はれた時の家人の心得」平山喜久松 『盗難防止の研究』(一九三五)より 「屍体愛重の古俗」田中香涯 『史実の種々相』(一九三六)より 「屍好」高田義一郎 『変態医話』(一九三六)より 「窃視症」高田義一郎 『変態医話』(一九三六)より 「秘密記号」(他)宝来正芳 『犯罪捜査と第六感の研究』(一九三八)より 「破壊器具の痕跡」宝来正芳 『犯罪捜査と第六感の研究』(一九三八)より 「池袋の女怪」田中香涯 『奇。珍。怪』(一九四〇)より 「遺留品と地方色」宝来正芳 『犯罪捜査技術論』(一九四〇)より 「神や仏を盗む話」中山太郎 『伝統と民俗』(一九四一)より 「殺人 渡辺乙松 お艶殺し」小泉輝三朗 『著名刑事事件記録解説』(一九四一)より 「火と法律」瀧川政次郎 『法史零篇』(一九四三)より 「梟首」瀧川政次郎 『法史零篇』(一九四三)より 「姦」瀧川政次郎 『法史零篇』(一九四三)より 「性的愛着者又は性的崇物症者の犯罪」黒澤長登 『風俗犯捜査要領』(一九四七)より 「帝銀毒殺魔を追う三週間」中曽根宇一郎 『裏の裏』(一九四八)より 「局部とその所有権の帰属」細谷啓次郎 『どてら裁判』(一九五六)より 「おいどまくり」瀧川政次郎 『池塘春草』(一九五八)より

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  • 歴史民俗学資料叢書 第二期 I 厠と排泄の民俗学
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    読書趣味と学問道楽と猟奇癖! 糞尿の〈呪力〉と〈汚穢性〉にみる近代日本人の糞尿観とは? 三島由紀夫の『仮面の告白』によれば、主人公の「私」は、五歳の時に道で〈汚穢屋・おわいや〉(糞尿汲取人)に出遭い、「汚穢屋になりたい」という憧れを抱いたという。三島由紀夫の出自の秘密にかかわる汚穢屋に対する過剰な思い入れは、汚穢屋に〈賤民性〉を見出す大正期以降の近代都市住民の誤解や偏見の反映であるとはいえ、糞尿の〈呪力〉に対する日本人固有の情念と憧憬に根差していたといえるのである。 近代日本における糞尿利用の変遷と近代日本人の糞尿観の変化に焦点を当てつつ、糞尿をめぐる日本人の心意を解読し、基層文化の深層に迫る資料集。 宮武外骨「小便考」、田中香涯「糞と尿」、井上一之「日本便所考」他、埋もれた資料や閲覧しにくい26の文献を収録、注釈も付した読みやすい全文新組み版。 『週刊朝日』で高橋源一郎氏、好評!!! 目次 ●解説篇 糞尿はいつから〈汚物〉になったのか?近代ニッポン糞尿史序説(礫川全次) ・三島由紀夫の〈汚穢屋〉願望/三島由紀夫の「出自」について/〈汚穢屋〉は賤民にあらず/昭和初年の東京における〈汚穢屋〉の実像/竹内武雄氏の「汲み取り」体験/徳富蘆花の見た「不浄取り」/都市住民の〈汚穢屋〉に対する意識/本資料集の編集方針について ●資料篇 凡例 ●「古糞鑑弁之記」大原栗(一八一二) 『下肥』(一九一四)より ●「阿房陀羅経(下肥の注意)」堀之内片田舎生 『新潟県農事報』(一九〇六)より ●「小便考」宮武外骨 『滑稽新聞』(一九〇八)より ●「下肥」中尾節蔵 『修正実用肥料学』(一九〇八)より ●「糞と米とは何れが尊き乎」矢崎亥八 『日本農業雑誌』(一九〇九)より ●「人糞尿又下肥」佐々田源十 『最新実用肥料学』(一九一〇)より ●「日本の糞と西洋の糞」岩村透 『ニコニコ』(一九一一)より ●「支那の厠神」吉田巌 『人類学雑誌』(一九一四)より ●「名古屋市に於ける屎尿市営方法」燕佐久太 『下肥』(一九一四)より ●「人糞尿の話」古市末雄 『軍隊農事講習講演集 ?第二輯』(一九一五)より ●「迷信としての犯罪者の脱糞」寺田精一 『変態心理』(一九一八)より ●「糞便ノ成分」(他)及能謙一 『糞便学』(一八一八)より ●『内務省実験所考案改良便所』内務省衛生局 (一九二七) ●「内務省式改良便所」相澤時正 『便所の設計及改良法』(一九二九)より ●「便所はどうすればよいか」高野六郎 『都市問題』(一九三〇)より ●「岡山地方農家の便所」今村勝彦 『旅と伝説』(一九三三)より ●「アカゴノセツチンマヘリ」(他)中山太郎 『日本民俗学辞典』(一九三三)より ●「糞と尿」(他)田中香涯 『史実の種々相』(一九三六)より ●「日本便所考」井上一之 『近世便所考』(一九三七)より ●「東洋便所風景」田辺泰 『近世便所考』(一九三七)より ●「本邦衛生工業の発達」(抄)須賀藤五郎 『近世便所考』(一九三七)より ●「城口式大正便所」高橋彦次郎 『近世便所考』(一九三七)より ●「汲取便所」(抄)高野六郎 『便所の進化』(一九四一)より ●「犯人の肉体的痕跡」矢崎憲正・中村治郎 『犯罪証拠』(一九四七)より ●「しようべん考」(他)滝川政次郎 『別嬪と美人』(一九五六)より ●「旧十五区市営前の屎尿処分の実態」黒川義雄 ?『東京都における屎尿処理の変遷』(一九六一)より

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  • 史疑 徳川家康事蹟 覆刻版+現代語訳
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    1巻3,300円 (税込)
    近代国家日本の暗部を抉る、四百年に一冊の危険な書。幻の家康論『史疑 徳川家康事蹟』の完全覆刻版+現代語訳。明治三十五年四月、村岡素一郎著『史疑徳川家康事蹟』は民友社(徳富蘇峰・主宰)から出版されたが、忽ちの内に絶版となった。『史疑』は、三百年にわたって日本を支配した徳川幕府の神祖家康の出自に隠された秘密を克明に跡付け、貴賤交替史観によって明治藩閥政府要人のいかがわしさを容赦なき筆致で暴き出し、幻想の近代国家日本の暗部を抉る。 民友社から出版された本を初版のまま覆刻し、礫川全次による現代語訳を付す。 第一章 序論  第二章 家康公の幼時駿府の寓居地及び祖母尼公の身柄第三章 家康公の誕生及び其の父母の身柄 第四章 家康公幼少期の境遇及び其の業務 第五章 家康公活動の初期及び親族故旧の厄難 第六章 家康公の飛躍奮搏 第七章 家康公震天撼地の大活動 第八章 家康公と岡崎三郎信康及び関口氏との関係 第九章 家康公の性格論 (現代語訳版目次より)

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  • 歴史民俗学資料叢書I 糞尿の民俗学
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    「時鳥、厠なかば出かねたり」これは時の総理大臣西園寺公望から自邸に招待された時、漱石が葉書に書いた断りの句である。この句の解釈には一応の定説があるが、厠や糞尿についての俗信をとおして解釈すると、全く違った趣になる。 [解説]厠なかばに出かねたり/ホトトギスについての伝説/漱石の句の新解釈/糞尿の民俗学とは/窃盗犯の脱糞/古代インドの呪法/日本における事例/糞にまみれた老王/ミッキー安川の賭け/ヘーシオドスが記録する俗信/古代インドに見られる俗信/厠神は虚像か?/ハイヌウェレ神話と食物起源/ハイヌウェレ型神話と縄文文化/糞尿の利用法と糞尿観とのかかわり/「糞食」は存在したか 1.「小児と魔除」出口米吉 『東京人類学会雑誌』(一九〇九)より 2.「厠神」出口米吉 『人類学雑誌』(一九一四)より 3.「厠神」南方熊楠 『人類学雑誌』(一九一四)より 4.「老女化石譚」抄 川村杳樹 『郷土研究』(一九一四)より 5.「南紀特有の人名」南方熊楠 『民族と歴史』(一九二〇)より 6.「糞尿奇聞」宮武省三 『習俗雑記』(一九二七)より 7.「パリコキ石」ほか 出口米吉 『原始母神論』(一九二八)より 8.「紙上問答」南方熊楠ほか 『民俗学』(一九二九)より 9.「琉球の厠」金城朝永 『民俗学』(一九三〇)より 10.「拭ふ習俗」金城朝永 『犯罪科学』(一九三〇)より 11.「屎尿雑記」金城朝永 『犯罪科学』(一九三一)より 12.「厠に関する習俗」金城朝永

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  • 歴史民俗学資料叢書IV 刺青の民俗学
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    入墨の図柄に、「桃の実」が好まれるのは何故だろうか? 桃太郎説話が「桃の実」入墨を誘発したのだろうか? むしろ「桃の実」の図柄は、東アジアの人々が共有する「桃の呪力」に対する信仰に由来するのではないか。瓜子姫説話を桃太郎説話に変容させたのは、この「桃の呪力」だったのではないか。 [解説]白川静氏の文身論/加入儀礼と身体装飾/入れ墨とかかわりをもつ諸学/「いれずみ学」は成立しえないか/ベルツの入墨論/入墨=着物代用説/ベルツと安田徳太郎/和歌森太郎の批判/マサキ=南方語説 1.「石器時代の遺物遺跡は何者の手に成たか」抄 坪井正五郎 『東京人類学会雑誌』(一八八八)より 2.「アイヌの婦人」坪井正五郎 『東京人類学会雑誌』(一八八九)より 3.「アイヌの入れ墨」坪井正五郎 『東京人類学会雑誌』(一八九三)より 4.「琉球ノ入墨ト『アイヌ』ノ入墨」宮島幹之助 『東京人類学会雑誌』(一八九三)より 5.「琉球大島群島婦人の黥」吉原重康 『東京人類学会雑誌』(一九〇〇)より 6.「北千島アイヌの入墨に就て」鳥居龍蔵 『東京人類学会雑誌』(一九〇三)より 7.「黥面土偶に就て」大野延太郎 『東京人類学会雑誌』(一九〇四)より 8.「台湾のツァリセン族に見らるゝ尊長表示の標榜」伊能嘉矩 『東京人類学会雑誌』(一九一〇)より 9.「犯罪者ノ文身ニ就キテ」抄 古瀬安俊 『国家医学会雑誌』(一九一〇)より 10.「アイヌの黥について」吉田 巖 『人類学雑誌』(一九一七)より 11.「倭人の文身と哀牢夷」鳥居龍蔵 『人類学雑誌』ケル犯罪者ノ文身ニ就テ」有住左武郎 『行刑衛生会雑誌』(一九三六)より 28.「文身」田中香涯 『医事雑考 妖。異。変』(一九四〇)より  29.「日本のイレズミ風俗」ほか 安田徳太郎 『人間の歴史2』(一九五二)より

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  • 歴史民俗学資料叢書V 生贄と人柱の民俗学
    4.0
    大正14年(1925)皇居(江戸城)二重櫓の下から多数の白骨死体が発掘され、にわかに「人柱」論争が巻き起こった。南方熊楠・柳田国男・中山太郎の人柱論といった強烈な個性で知られる民俗学者の「人柱論」をとおして日本文化の基層を探る。 目次 1.「人柱に関する研究」布施千造(一九〇二) 2.「宗教学と仏教史」加藤玄智(一九一一) 3.「掛神の信仰に就て」柳田国男(一九一一) 4.「本邦供犠思想の発達に及ぼせる仏教の影響を論じて柳田君に質す」加藤玄智(一九一一) 5.「人柱伝説〈『日本伝説集』より〉高木敏雄(一九一三) 6.「人身御供論」(序論)高木敏雄(一九一三) 7.「一つ目小僧」久米長目(一九一七) 8.「松童神」桂鷺北(一九一七) 9.「松浦小夜姫」榎本御杖(一九一七) 10.「人身御供」ジェームス・ビー・スミレー/三上義夫訳(一九一八) 11.「農に関する土俗」柳田国男(一九一八) 12.「人柱の話」南方熊楠(一九二五) 13.「二重櫓下人骨に絡はる経緯」中央史壇編輯部(一九二五) 14.「人身御供と人柱」喜田貞吉(一九二五) 15.「人身御供の資料としての『おなり女』伝説」中山太郎(一九二五) 16.「上代に於ける殉葬の風について」後藤守一(一九二五) 17.「動物を犠牲にする土俗」駒込林二(一九二五) 18.「尾張国府宮の直会祭を中心として見たる及び人身御供と人柱」加藤玄智(一九二五) 19.「松王健児の物語」柳田国男(一九二七) 20.「人柱と松浦佐用媛」柳田国男(一九二七) 21.「人身御供考」〈『変態風俗の研究』より〉田中香涯(一九二七) 22.イケニエ」〈『大百科事典』より〉守田有秋(一九三一) 23.「埴輪の原始型態と民俗」中山太郎(一九三二) 24.「裸祭りと人身御供の話」木曽惠吉(一九三四) 25.「人身御供とシトミゴク」田村吉永(一九三七)26.「天香山神社に残れる『ゴータク』歌」松田定一(一九三七) 27.「講談本に登場する『人身御供』は存在」歴史公論編輯部(一九三七)

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  • 歴史民俗学資料叢書II 人喰いの民俗学
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    縄文人は人喰い人種か? モースは1877年大森貝塚を発掘し、そこに食尽の痕跡を発見した。この「衝撃」はその後の日本の人類学・考古学・歴史学の方向を決定した。ある者はモースの発見を否定し、ある者は「例外的」事例として黙殺した。そして大多数の者は縄文人を「日本人」に非ざる「先住民族」と位置づけたのである。 [解説] 『蘭学事始』と腑分/千住骨ヶ原にて/腑分の目的/山田浅右衛門の丸薬/食人の分類/モースと大森貝塚/食人の跡を示す人骨/人々の受けた衝撃/人類学に及ぼした影響/先住民族説/食人を例外的とする説/食人説の許容/寺石正路説と西南戦争/八重山列島の伝説/野口男三郎事件の真相/人体臓器取引き根絶のキャンペーン/人肉食タブーとその解除/近現代人と人肉食タブー/文明国における食人または文化としての食人 1.「支那人人肉ヲ食フノ説」神田孝平 『東京学士院会雑誌』(一八八一)より 2.「人肉ヲ食スルノ説」入沢達吉 『東京人類学会報告』(一八八七)より 3.「食人風習ニ就テ述ブ」寺石正路 『東京人類学会雑誌』(一八八八)より 4.「沖縄県八重山列嶋見聞余録」田代安定 『東京人類学会雑誌』(一八九〇)より 5.「食人風習論補遺」寺石正路 『東京人類学会雑誌』(一八九三)より 6.「常陸吹上貝塚調査報告」大野延太郎 『東京人類学会雑誌』(一八九九)より 7.「常陸吹上貝塚より発見の人類大腿骨に就て」鳥居龍蔵 『東京人類学会雑誌』(一八九九)より 8.「野口男三郎事件『予審終結決定書』」 『男三郎自筆獄中之告白』(一九〇六)より 9.「日本古る人肉食」田中香涯 『医事雑考 妖。異。変』(一九四〇)より 23.「臓器に関する薬効的迷信と犯罪」田中香涯 『医事雑考 妖。異。変』(一九四〇)より 24.「死刑囚の血染饅頭」ほか 米田祐太郎 『生活習慣北支那篇』(一九四一)より 25.「人肉食事件」関 之 『徳川・明治・大正・昭和 著名裁判録』(一九四八)より

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  • 歴史民俗学資料叢書III 浮浪と乞食の民俗学
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    “乞食も三日すればやめられぬ”この諺は、一般には「人に頼るような怠け心をなかなか捨て切れない」という意味に解されている。しかし、見方を変えれば、そこには、他人の善意に身を委ねる安逸、あるいは社会的規範から脱した自由な漂泊に対する、人々の抜き難い憧景が含意されている。浮浪と漂泊の心意とは? 物貰いの民俗とは? 近代日本の浮浪者の実態とは? [解説]宮崎来城の『無銭旅行』/「無銭旅行」の心意/下村湖人の『次郎物語』/無銭旅行と「無計画の計画」/宮本常一の旅/柳田国男の切り口/モノモラヒの心意/「乞食は三日するとやめられぬ」/歓待される乞食/宗教にみる富の否定 1.『乞児悪化の状況』抄 安達憲忠 (一八九五) 2.「浮浪者」勝水淳行 『生活と犯罪』(一九二一)より 3.「乞食論」清水精一 『社会事業研究所講義録』(一九二二)より 4.「乞食の状態」施 乾 『乞食社会の生活』(一九二五)より 5.「乞食」阿部弘蔵 『日本奴隷史』(一九二六)より 6.「帝都に於ける乞食の研究」抄 吉田英雄 『社会政策時報』(一九二七)より 7.『警察犯処罰令研究』抄 村上又一 (一九二七)より 8.「最近に於ける浅草公園の浮浪者と其の内面観」草間八十雄『浮浪者と売笑婦の研究』(一九二七)より 9.「残飯貰ひと立ん坊の研究」工藤英一 『社会政策時報』(一九二八)より 10.「浮浪者の稼ぎに就いて」工藤英一 『社会政策時報』(一九二九)より 11.「ヨナゲ屋と掘り屋」工藤英一 『社会政策時報』(一九二九)より 12.「成田東山寮長の乞食研究」『名古屋新聞』(一九二九)より 13.「乞食記」占部哲次郎 下道にうめく人々―」阿部眞之助 角 達也 『世界画報』(一九三九)より

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  • 日本人はいつから働きすぎになったのか
    3.8
    常態化した長時間労働、進んで引き受けるサービス残業、苛酷なノルマや理不尽なパワーハラスメントの横行――。過労死・過労自殺への道を、みずから歩みながら、不満を表明することさえしない日本人。そうした「勤勉精神」は、いつ生まれたのか。どういう系譜をたどって、今日にいたったのか。私たちを「勤勉」に駆りたててきたものは何か。そのメカニズムを歴史的に探る。
  • 日本人は本当に無宗教なのか
    3.0
    日本人は「無宗教」と言われるが、はたして本当にそうか。実は、日本人は高度に「宗教」的な民族なのではないか。「日本型政教分離」を軸に日本人の宗教観の変遷を読み解く。

ユーザーレビュー

  • 日本人はいつから働きすぎになったのか

    Posted by ブクログ

    働きすぎは日本人の勤勉性に端を発する
    勤勉性はせいぜい数百年程度の歴史しかない
    勤勉性の原因として二宮尊徳、浄土真宗、戦時体制、資本主義、松下幸之助、高度経済成長期などを挙げている
    二宮尊徳は勤勉な農民を育てようとしたが抵抗にあって挫折した。
    このことから勤勉に嫌悪感を持つ農民が多かったことがわかる
    日本人は昔から勤勉だったわけではない
    なぜ勤勉でなくてはならないのか、なぜ怠惰ではいけないのかを考えなければならないという指摘はもっともだ。

    0
    2016年11月03日
  • 歴史民俗学資料叢書V 生贄と人柱の民俗学

    Posted by ブクログ

    この本を読んで痛感したこと。それは、漢文を読む力と日本の神様の知識があれば、もっともっと理解が深まったということ。今後古文献を自分で読みたいと思っている自分としては、すこしずつ慣れるようにしつつ、解説付きの本も取り入れていくようにしようと思う。

    人身御供、人柱。昔話や民間伝承や現在の物語の題材にもなっているので、意外と馴染みのあるテーマであるように感じたが、歴史上は記録に残りにくいものでもあるので、専門家達の間では大きな議論のテーマであったことが感じられた。
    主に柳田國男(否定派)と加藤玄智・中山太郎(肯定派)の論文が多く、批判も交えているので研究の仕方の勉強としても面白いし、当時の論争が目

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    2021年08月07日
  • 日本人はいつから働きすぎになったのか

    Posted by ブクログ

    日本人はいつから働きすぎているのだろうか。
    日本人は「自発的従属」であるのだ。
    なぜ「勤勉」じゃないといけないのか。その「勤勉」という意識を支えているのは「非合理」な考えなのだ。何も信憑性がない。なぜ「怠惰」はいけないのか。

    0
    2018年01月04日
  • 日本人はいつから働きすぎになったのか

    Posted by ブクログ

    「日本人はいつから働き過ぎになったのか」
    日本人の勤勉さについて歴史的に検証している。検証はすべて仮説として断定していないところが奥ゆかしい。
    マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』が念頭にあり、近代資本主義がプロテスタンティズムの倫理の精神に支えられていると言うことから、日本におけるプロテスタンティズムの倫理に代わるものは何かという議論と言える。
    その元は江戸中期における浄土真宗に起源があるようで、勤勉に働くと言うことが宗教性を持ち、日本の近代資本主義の発展に寄与したと考えられる。
    現代に至るまでには幕末から明治の激動を経て武士の倫理が庶民へ影響したこと、福沢諭

    0
    2015年06月15日
  • 日本人はいつから働きすぎになったのか

    Posted by ブクログ

    過労死に至る日本人の「勤勉性」のルーツを分析するもの。
    江戸中期の浄土真宗本願寺派の教義の中に、「勤労のエートス(社会の倫理的雰囲気)」が生まれ、全国に徐々に拡大していく。
    その後、明治維新後の新政府が、欧化政策を進める一方、日本のアイデンティティを守るため、国家の基軸として、皇室を据え、その模範的人物として、二宮尊徳の孝行、勤勉、を再評価し、修身の教科書に採用することとした。
    このため、急速に日本人は勤勉化していくこととなり、勤勉的な人の人数が怠惰的な人の人数を上回ることとなった。
    その後、第二次世界大戦の敗戦後に広まった自由主義・民主主義が、日本人の勤勉性と結びつくことにより、参加意識を高

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    2014年08月31日

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