礫川全次のレビュー一覧
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この本を読んで痛感したこと。それは、漢文を読む力と日本の神様の知識があれば、もっともっと理解が深まったということ。今後古文献を自分で読みたいと思っている自分としては、すこしずつ慣れるようにしつつ、解説付きの本も取り入れていくようにしようと思う。
人身御供、人柱。昔話や民間伝承や現在の物語の題材にもなっているので、意外と馴染みのあるテーマであるように感じたが、歴史上は記録に残りにくいものでもあるので、専門家達の間では大きな議論のテーマであったことが感じられた。
主に柳田國男(否定派)と加藤玄智・中山太郎(肯定派)の論文が多く、批判も交えているので研究の仕方の勉強としても面白いし、当時の論争が目 -
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「日本人はいつから働き過ぎになったのか」
日本人の勤勉さについて歴史的に検証している。検証はすべて仮説として断定していないところが奥ゆかしい。
マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』が念頭にあり、近代資本主義がプロテスタンティズムの倫理の精神に支えられていると言うことから、日本におけるプロテスタンティズムの倫理に代わるものは何かという議論と言える。
その元は江戸中期における浄土真宗に起源があるようで、勤勉に働くと言うことが宗教性を持ち、日本の近代資本主義の発展に寄与したと考えられる。
現代に至るまでには幕末から明治の激動を経て武士の倫理が庶民へ影響したこと、福沢諭 -
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過労死に至る日本人の「勤勉性」のルーツを分析するもの。
江戸中期の浄土真宗本願寺派の教義の中に、「勤労のエートス(社会の倫理的雰囲気)」が生まれ、全国に徐々に拡大していく。
その後、明治維新後の新政府が、欧化政策を進める一方、日本のアイデンティティを守るため、国家の基軸として、皇室を据え、その模範的人物として、二宮尊徳の孝行、勤勉、を再評価し、修身の教科書に採用することとした。
このため、急速に日本人は勤勉化していくこととなり、勤勉的な人の人数が怠惰的な人の人数を上回ることとなった。
その後、第二次世界大戦の敗戦後に広まった自由主義・民主主義が、日本人の勤勉性と結びつくことにより、参加意識を高 -
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昔の同性愛に関する記録を集めた本。醍醐の書庫から出してもらった。なかなか興味深い。昔は色々同性愛に関して間違った認識がされていたようだ。
古今著聞集 宇治の僧が、醍醐の童に思いを寄せた話し
仁和寺の佐助法印が稚児へ歌を送った話し
醍醐の知覚の来栖野には稚児店が軒を並べていた
江戸時代も慰安婦のように少姓は武士たちの愛欲の対象となった
西郷隆盛と大久保利通
「生殖ということさえなかったら、私は女を愛さなかっただろう」
男性と女性の性交においては、男性は最初からさいごまで能動的態度であり、女性は終止被動的態度を持する。
だから、男は攻撃することの快しか感得できず、女は攻撃されることの -
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日本人の国民性として挙げられる「勤勉」について、いつからそのような性質が生まれ、称賛されるようになったのかを歴史的背景から考察した一冊。
江戸時代の農民、武士の生活、明治、大正、昭和と戦中戦後の経済成長の時代を経てどのように日本人の勤勉さが変遷してきたかを描いた段はとても興味深かった。二宮金次郎や松下幸之助などいわゆる「勤勉」な人物が日本人に与えた影響に関する考察も面白かった。
でも、そこからもう一歩踏み込んで、現代のブラック企業、サービス残業、過労死や海外の勤労観との比較などについての論評も欲しかった。前書きで触れられていたこともあり、そこを期待して読んでいたので。それまでの記述はとても丁