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さよなら、ニルヴァーナ
あの子は、どこから戻れなくなったんだろう── 小説家志望の女と、少年犯罪の加害者・元少年Aとの運命の出会い 東京で働きながら小説家を目指していた今日子は、震災が起こった翌年に夢を諦め、母のすすめで実家に戻る。 妹とその夫、娘との二世帯住宅の生活に倦み疲れながらも、小説を諦めきれない。 そんな中、過去に凶悪犯罪を起こした少年Aが地元にいるという噂を耳にする。 そしてパソコンなどを検索して知った少年Aの姿に急速に惹かれていく。 一方、神戸生まれで、東京に住む十七歳の莢(さや)も、少年Aを崇拝し、「聖地巡礼」と称して事件現場などを訪れていた。 また少年Aに当時七歳の娘を殺された母親は、息子、夫とともに同じ場所にとどまり、一見平穏そうに見える暮らしを送っていたが、教会の人間から、Aのファンの話を聞かされる。 少年犯罪の加害者、被害者遺族、加害者を崇拝した少女、その運命の環の外にたつ女性作家……それぞれの人生が交錯したとき、彼らは何を思い、何を見つけるのか。 著者渾身の長編小説! 作家が書くことに固執するのは、「人間の中身を見たい」からなのだ。これは、小説ノンフィクションのジャンルにかかわらず、作家が持つ病理なのだ。その意味で、私もAの同志なのである──佐藤優氏・解説より -
ある町の高い煙突
映画「ある町の高い煙突」 2018年春撮影開始。 2019年春公開予定。 明治38(1905)年、買収によって茨城の地に開業した日立鉱山。やがて鉱山の宿命ともいえる煙害が発生。亜硫酸ガスが山を枯らし、農民たちの命である農作物までも奪っていく。 そこで、立ち上がったのが地元の若者・関根三郎(モデルとなった実際の人物は関右馬允)である。郷士であった名家に生まれ、旧制一高に合格、外交官という夢に向かって進んでいた。しかし、祖父・兵馬が煙害による心労で倒れ、人生が変わる。 こうして、地元住民たちと日立鉱山との苦闘のドラマが幕を開ける。 試行錯誤の末、1914年、当時としては世界一の高さを誇る155.7mの大煙突を建設し、危機を乗り切るのであった。 足尾や別子の悲劇がなぜこの日立鉱山では繰り返されなかったのか。 青年たちの情熱と今日のCSR(企業の社会的責任)の原点といえる実話を基にした力作長篇。 -
輝跡
プロ野球をこよなく愛する著者が贈る、ひとりのプロ野球投手をめぐる女性たちの物語。 北澤宏太は野球の才能に恵まれ、中学校時代は「怪物」と呼ばれていた。 しかし家庭の事情で野球名門校の誘いを断り地元の高校に進学、一度はプロ野球選手の夢をあきらめたが、四国独立リーグから育成ドラフトを経て、プロ野球選手になった。 短い時間ながらも輝きを放った北澤の野球人生と、彼を取り巻く女性たちの人生の交錯を描く連作短篇集。 ・高校の同級生で、元恋人の穂波は、宏太がドラフトで東京の球団に指名されたときに、東京に呼ぶから待っていてほしいと言われる。(星霜) ・女性誌の看板編集長から左遷され廃刊寸前の野球雑誌に異動になった美潮は、キャンプの取材をして飲み屋で偶然北澤と知り合う。(手紙) ・チームの先輩選手・竜也の妻である雪菜は、かつて北澤と恋愛関係にあったが、竜也の引退後、居酒屋を営む。(菊姫) ・落ち目の歌手・マリアは沖縄のバーで出会った男と一夜をともにする。(ディーバ) ・女子アナの茉莉は北澤と結婚、ひとり娘をもうけるがやがて離婚へ。(洋紅葉) 合間に挿入される「ダーキニー」の章では北澤と同じチームの高橋信之を追い続けた慶の十年が描かれる。 解説・和田豊(前阪神タイガース監督) -
ナイルパーチの女子会
「心がえぐられすぎてつらい」 第二十八回山本周五郎賞&第三回高校生直木賞を受賞! 友情とは何かを描いた問題作。 商社で働く志村栄利子は愛読していた主婦ブロガーの丸尾翔子と出会い意気投合。 だが他人との距離感をうまくつかめない彼女をやがて翔子は拒否。 執着する栄利子は悩みを相談した同僚の男と寝たことが婚約者の派遣女子・高杉真織にばれ、とんでもない約束をさせられてしまう。 一方、翔子も実家に問題を抱え――。 「本作『ナイルパーチの女子会』は、柚木麻子さんがデビュー以来追い求めてきた主題の一つの到達点であり、その後の柚木さんが展開する文学への結節点でもある。」(重松清「解説」より) -
勁草の人 中山素平
天才・田中角栄がもっとも畏れた男とは? 「財界鞍馬天狗」の生涯を描き出す決定版! 日本興業銀行頭取、経済同友会代表幹事を歴任した中山素平。 新日鉄発足、NTT民営化、国鉄分割、東京ディズニーランド開園……。 時代を画する案件の向こうには、必ずこの男がいた。 格差社会が叫ばれる今日、つよく温かいリーダーの実像を描き出す。 「文藝春秋」連載時から話題沸騰、待望の文庫化! 【目次】 第一章 総理来たる 第二章 石油危機 第三章 二つの大事件 第四章 国鉄分割化異聞 第五章 アメリカから来た女性研修生 第六章 魔法の国への扉・こころの産業 第七章 中国プロジェクト 第八章 “興銀ますらお派出夫”たち 第九章 募金行脚 第十章 尾上縫事件 第十一章 さらば興銀特別顧問室 第十二章 大統合の行方 解説 加藤正文(神戸新聞姫路支社編集部長) -
背面ストライプの浦島太郎 ~日本昔話 Remix2~
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 昔話→英訳→日本語訳 で生まれる新しい昔話。 日本昔話をパソコンの翻訳ソフトで英訳、それをもう一度日本語に訳したら、どんな新しい昔話が生まれるのか? そんな挑戦をしてみました。 「昔々、丹後の国でのお話です」で始まる「浦島太郎」は、英訳、日本語訳を経ると「ワンス・アポン・ア・タイム、それはタンゴの国家物語」に。もはや昔話なのか未来話なのか…。 他にも「鶴の恩返し(=感謝するクレーン)」、「花咲かじいさん(=お花見パパ)」を収録。 この本はロングセラーになった「匂いをかがれるかぐや姫」の第二弾。気に入っていただけたら、前作も合わせて読んでくださいね。 -
あなたの正しさと、ぼくのセツナさ
株の売買で崩壊した「ぼく」。髑髏の山を築いたポル・ポトに会いに……。ライバルは命を懸けてまで、何を知りたかったのか? ――1985年。ぼくは、未曾有のバブル景気の端緒となったこの年に、株のディーラーになった。同い年の永遠のライバル、修一の背中を追って。狂奔する相場に「運命の日(ドゥームズ・デイ)」が過ぎ去ったあと、修一はカンボジアへと姿を消した。彼は何を求めて森に入ったのか? 私たちの正しさや生きる意味を問う、挑戦的物語。 ◎「奴はぼくを完膚なきまで叩きのめして、殺意を抱かせた。何と薄情で、身勝手で、鼻持ちならない、唯我独尊野郎だろう。」<本文より> ◎「しまった!すばらしい作品の出現を、4年遅れで祝福させてもらいたい。」<白石一文「解説」より> -
異世界居酒屋「げん」
累計500万部を突破した大人気シリーズ『異世界居酒屋「のぶ」』の公式スピンアウト『異世界居酒屋「げん」』の小説版の文庫化です。関東某所で店を開いていた居酒屋「げん」は、ある日突然、店の出入り口が異世界と繋がってしまった。一時は店を閉めようとしていた店主の葦村草平だったが、娘のひなたと、その恋人である榊原正太郎と共に、異世界で店を続けることを決める。異世界の人々は美食家が多いが、ハンバーグや肉じゃが、カレーうどんなど、初めて味わう料理に魅了されていく。酒と料理が縁を繋ぎ、集まる人々の物語を紡いでいく、異世界グルメファンタジー! 待望の文庫化です。さらに文庫版特典として、「げん」のキャラクターが「のぶ」のキャラクターたちと邂逅する書き下ろし短編も収録。 ※本書は2022年4月に刊行した単行本『小説 異世界居酒屋「げん」』を文庫化したものです。 -
東大理三の悪魔
天才の思考は超越か狂気か―― ジャンルを超越した知的エンターテインメント、待望の文庫化! 各界から驚きの声、続々! 「既存の文学賞がキャッチできなかった異形の小説」 ――海猫沢めろん(作家) 「SF(サイエンス・フィクション)を通り越した型破りな青春スピリチュアル・ファンタジー」 ――大森望(翻訳家・書評家) 「東京大学を舞台に論理と意識が交錯する世界をめぐる壮大な物語」 ――野村泰紀(物理学者) (あらすじ) 東京大学理科三類に通うノボルは、東大模試で異次元の点数を叩き出し、その後理三に合格した天才・間宮と出会う。彼は間宮と交流を深めていくうちに、天才の圧倒的な世界観に魅了され……。天才とは何か、この世界に隠された秘密とは? リアリティとフィクションが交錯しながら、旧約聖書について大胆な仮説が展開される圧倒的知的エンターテインメント。 ※本作は、2025年1月28日(奥付記載:2025年2月11日)に小社より刊行した単行本『東大理三の悪魔』の第1部「東大理三の悪魔」を文庫化したものです。 【著者について】 幸村百理男(こうむら・もりお) 東京大学医学部医学科卒業。二本松眼科病院、虎の門病院などを経て、沖縄県・宮古島にて離島医療に従事している。 -
全能のカミナ
僕の退屈を、君が殺す。 平凡な日々を送っていた僕は 不思議な少女と出会い、 ある連続殺人事件に巻き込まれ―― 二度読み必至サスペンス その日僕は、大学の図書館で風変わりな少女カミナと出会った――彼女は高校時代に雷に打たれて以来〝全能の力〟が自分に芽生えたと信じ込んでいるらしい。退屈な毎日を過ごしていた僕はカミナに興味を持ち、その日から行動をともにするように。一方、僕たちの通う大学周辺では大学生を狙う連続殺人が横行していた。被害者の腕には稲妻のような形の傷が刻まれていて……。二度読み必至サスペンス。 -
くるり駅でさよならを 白黒ねこと夕暮れの町
読後、涙が止まらない。 路線図には載っていないその駅で、 二度と会えないはずの人が待っている―― 千葉県内を走るローカル線、久留里線。その車内にはときどき、白黒の猫が乗っている。猫が降りるのは、路線図には載っていない「くるり駅」。誘われるように猫についていくと、改札を抜けた先にあるどこか懐かしい町に、もう二度と会えないはずの大切な人が待っていて……。初恋の人、最愛の母親、大好きな飼い主――悲しい別れから立ち直れずにいる主人公たちの心の再生を描く、連作短編集。 -
にじゅうよんのひとみ
24歳の誕生日に突然現れたのは、1時間に1歳ずつ成長する、自由奔放な「もう一人の私」だった―― 後悔ばかりの人生に訪れた、鬱陶しくて、愛おしい、最高の誕生日プレゼント。 連続テレビ小説『虎に翼』脚本家による話題作! 「なんだかなぁ」とさえない日々を過ごしてきたひとみ。 けれど二十四歳の誕生日を迎えた0時過ぎ、目の前に突然赤ん坊が現れる。 1時間に1歳ずつ成長するその不思議な子は、なんと過去の自分自身だった―― 自由奔放な彼女に振り回され、うんざりしていたひとみだが、 自分への誕生日プレゼント代わりに、これまで諦めてきたことをしてあげよう、と思い立ち……。 人気脚本家のオリジナル小説、待望の文庫化。 -
夏空に、きみと見た夢
彼が死ななければ、この恋は始まらなかった。 見知らぬ男子高校生の葬式に呼ばれた悠里。 その直後から、なぜか身の回りで奇妙なことが起こりはじめ……。 冒頭からラスト、180度違う展開に、きっと涙する。 高校三年生の悠里はある日の放課後、見知らぬ男子高校生に呼び止められる。 悠里のことを好きだったという友人、天也の葬式に来てほしいというのだ。 会ったこともない、話したこともない男子の一方的な想いを告げられ、気味悪さを感じた悠里だったが、 その日から身の回りで奇妙なことが起こりはじめて……。 孤独感を抱える悠里が出会った、ひと夏の奇跡――感涙必至の名作を大幅改稿で復刊。 -
小説 きみの色
高校生のトツ子は、人が「色」で見える。そんなトツ子は、同じ学校に通っていた美しい色を放つ少女・きみと、街の片隅にある古書店で出会った音楽好きの少年・ルイとバンドを組むことに。トツ子をはじめ、それぞれが誰にも言えない悩みを抱えていた……。バンドの練習場所は、離島の古教会。音楽で心を通わせていく三人のあいだに、友情とほのかな恋のような感情が生まれ始める。周りに合わせ過ぎたり、ひとりで傷ついたり、自分を偽ったり――やがて訪れる学園祭、そして初めてのライブ。会場に集まった観客の前で見せた三人の「色」とは。 思春期の少女たちが向き合う自立と葛藤、恋模様を『映画けいおん』、『映画 聲の形』『平家物語』などの山田尚子監督が描く青春群像物語。 8月30日の劇場公開に先駆けて、完全ノベライズ化! ©2024「きみの色」製作委員会 -
「舌」は口ほどにものを言う 漢方薬局てんぐさ堂の事件簿
累計20万部突破「薬剤師・毒島花織の名推理」新シリーズ誕生! 薬剤師試験に3回落ちた薬局の新米店主と漢方医学のプロが、様々な謎に挑む!漢方の豆知識もわかる養生ミステリーです。 新宿で50年以上続く「漢方薬局てんぐさ堂」には、今日も様々な悩みを抱えた患者がやってくる。薬剤師が患者に不可解な忠告をした理由とは? 元教師が木の実を恐がるのはなぜ? 味覚をなくしたグルメリポーターを襲った悲劇とは? 毒草を探す会社員の目的は? 薬剤師試験に3回落ちたてんぐさ堂の新米店主と漢方医学のプロが、患者が抱える不調と謎を解き明かす! (著者情報) 塔山 郁(とうやま・かおる) 1962年、千葉県生まれ。第7回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞し、『毒殺魔の教室』にて2009年デビュー。他の著書に『悪霊の棲む部屋』『ターニング・ポイント』『人喰いの家』『F 霊能捜査官・橘川七海』「薬剤師・毒島花織の名推理」シリーズ(すべて宝島社文庫)がある。 -
爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー
第21回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉! 街に潜む悪人を次々と殺し始めた犯人は、主人公がかつてデザインし お蔵入りになったヒーロースーツを着ていた!? ご当地ヒーローの運営会社で働く青年が、町田で起きた連続殺人事件の真相に迫る。 東京・町田の人気ご当地ヒーロー、マチダーマン。その運営会社であるMHF(マチダ・ヒーロー・ファクトリー)のデザイン部で働く志村は、ある日テレビのニュースを見て衝撃を受ける。町田で少年が誘拐されたが、何者かが誘拐犯を殺害し、少年を救出。助けられた少年が「正義のヒーロー」として描いた絵は、かつて志村がデザインし、お蔵入りになったはずのヒーロースーツと酷似していた!周囲は空似だというが、志村が悶々とするなか、第二の事件が起き――。 (著者情報) おぎぬまX 1988年、東京都生まれ。元お笑い芸人。ギャグ漫画家として2019年に『だるまさんがころんだ時空伝』で第91回赤塚賞入選。2021年には「ジャンプSQ.」(集英社)にて『謎尾解美の爆裂推理!!』を連載(同社より単行本も刊行)。また、ジャンプ小説新人賞2019・小説フリー部門にて銀賞を受賞し、『地下芸人』(集英社)で2020年に小説家デビュー。他の著書に『キン肉マン 四次元殺法殺人事件』(集英社)がある。2023年、第21回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として本作が選出される。 -
迷彩色の男
都内某所、青光が充満する〈ファイト・クラブ〉で出会った「いぶき」がある日、血まみれの状態で発見される。事件の背後に浮かび上がる男たちを追った先で「私」が目にしたものとは。国際ゲイ小説賞受賞作 芥川賞作家・安堂ホセによる圧巻のクライムスリラー フランス発 国際ゲイ小説賞〈外国小説部門〉受賞! 小川洋子氏、激賞! 「暴力に理由がないことの不気味さをあぶり出した迫力は、受賞にふさわしいと今でも信じている」(第170回芥川賞選評) 都内某所、地下に張り巡らされ青い光が充満する〈ファイト・クラブ〉で出会った私と「いぶき」。彼はある日突然、何者かに襲われ血まみれの状態で発見される。事件の背後に浮かび上がる“迷彩色の男”を追った先で目にしたものとは──。 書き下ろしの短篇「体ごと連れていける天国」、英訳刊行記念エッセイを特別収録。 カバーデザイン=川名潤 安堂ホセ(あんどう・ほせ) 1994年、東京都生まれ。2022年『ジャクソンひとり』で第59回文藝賞を受賞しデビュー。23年『迷彩色の男』を発表。25年『DTOPIA』で第172回芥川龍之介賞受賞。同年、『迷彩色の男』のフランス語版(翻訳=レオノール・シイナ)が国際ゲイ小説賞外国小説部門を受賞。他の著書に『獣走』がある。 -
後宮の呪術女官
呪術師には向いていないはずだったのに――。 皇室で相次ぐ病を呪いのせいとし、凡帝国の皇太后は南方の山岳地帯に住む呪術師を捕らえるよう青年将軍・泰峻に命じる。そうして後宮に連行されたのは呪術師見習いの少女・珂玲。お人よしがすぎて呪術に一度も成功したことがない彼女は、あろうことか処刑免除の代わりに呪いを封じる儀式を課せられる。そこで泰峻が目撃したのは、呪いが巻き起こす怪異と、珂玲の「本当の姿」だった――。 後宮にはびこる呪いの謎を解き明かす、中華後宮呪術ミステリ。 -
ごっこ
人気AV女優が、「恋人ごっこ」「夫婦ごっこ」「友達ごっこ」多種多様な「ごっこ」を描く。 曖昧な関係に振り回される女たちの、不器用すぎる恋。 野間文芸新人賞候補作『春、死なん』につづき、注目作家が「ままならない恋愛」を描く最新小説集。 ・「ごっこ」 六つ年下の恋人の浮世離れした逃避行に付き合って、あてのないドライブを続けるわたし。 そろそろ逃亡資金が底をついてきた。 ・「見知らぬ人」 友人の結婚式に集う客たちの中に、夫の不倫相手が混じっているのではないか。 あの女を探す那月が出会ったのは――。 ・「はこのなか」 田舎町の中学で出会った奔放な女友達タクボに思いを寄せる戸川。今の願いは、 結婚したタクボの隣室に住むこと。 -
さようなら王子様、どうか私のことは忘れてください
婚約者だった王太子ルミナスに悪女として断罪された公爵令嬢のオリヴィアは、気が付くと事件前に時が戻っていた。一度目の人生で、自身の存在が最愛の彼をも破滅に導いたと知った彼女は、周囲の幸せのため自ら姿を消すことに。 数年後、新たな地で充実した日々を送っていたオリヴィアは、ルミナスと再会する。自分が身を引いたことで幸せになったはずの彼から告げられたのは、「ずっと探していた」という意外な言葉で――。 そして明かされた事件の真相と彼の本当の想いとは? 不器用な二人のやり直しロマンス。 -
めしのせ食堂
ご飯が進む「めしのせ」が主役の小説です。 東京の東、葛西の住宅街にある「めしのせ食堂エコ」はカウンター5席の小さな店。デパートを定年退職し、自宅を改造して始めた女将の自慢のメニューは羽釜で炊いたご飯と味噌汁やスープなどの汁物、そして各地から取り寄せた「ご飯のおとも」の数々。そんな店にしたのは「めしのせの伝道師」こと長船クニヒコとの出会いがあったから。長船はバイヤーとして日本中を飛び回り、各地の名産や逸品、新商品を買い付けては店へ持ってきてくれる。醤油や味噌のコク、ニンニクやキムチ、カレーの風味などは食欲をそそり、オリーブオイルやラー油に漬けたものはパスタにも合う。営業時間は夜6時から深夜12時まで。出勤前のスナックのママや仕事を終えた会社員、工事現場の作業員、アルバイトの若者たちで、連日、賑わいを見せる。今宵も女将は「めしのせ」を薦めると、なんとはなしに語り出す客の身の上話に耳を傾けるのだったーー。『山口恵以子のめしのせ食堂』(小学館)から小説を大幅に加筆して待望の文庫化。小説家・山口恵以子の大人気文庫作品『食堂のおばちゃん』『婚活食堂』『ゆうれい居酒屋』に続く「食と酒」の新シリーズが誕生。 ※この作品はカラーが含まれます。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『山口恵以子のめしのせ食堂』 を加筆した文庫版となります。 -
十津川警部 特急リバティ会津111号のアリバイ
東北新幹線アリバイくずしの傑作! 雑誌「旅と人生」の取材のため、新人記者の藤原冬美はベテランの関秀二郎と組んで東北地方へ向かった。関は特急「リバティ会津111号」の車中で、人気の再生コンサルタント・平川敏生と三年ぶりに再会する。一方で同日、財務省のキャリア官僚である土屋健次郎の死体が東北新幹線「なすの270号」で発見された。十津川警部は平川を容疑者のひとりとして捜査を進めるが、彼には確固としたアリバイがあった。取材旅行から戻った矢先、今度は関が殺されてしまい、冬美の身辺にも危機が迫る。冬美は独自にルートをたどって調べを進めるが、決定的なところで平川のアリバイをくずせない。そのような中、総理に関わるある若手エリートの存在が捜査線に浮上してきて……。 疫禍の中、巨大プロジェクトをめぐる人々の思惑が渦巻くスリリングな展開と、巧妙なアリバイをくずしてゆく十津川警部の捜査行をお楽しみください。 西村京太郎トラベルミステリ-の真骨頂! -
早都子と夢乃 大正鎌倉ノスタルヂア
時は大正。鎌倉にある寄宿制の女学校において、地味で目立たない文学少女の早都子は、美しい転入生の夢乃とルームメイトになった。母の情人『セイさん』の援助で入学したが、良家の子女ばかりの中で孤立していた早都子と違い、財閥令嬢の夢乃は苦労知らずの我儘娘。ひそかに書いていた小説を勝手に読まれ、いきなり大喧嘩をしてしまう。だが、小説の存在が教師に知られ、同級生たちの前で窮地に立たされた早都子を救ってくれたのは夢乃だった。実は夢乃の転入には事情があり、彼女もまた孤独や苦悩を抱えていた。次第にお互いを理解するようになった二人は、息苦しい家庭から離れた場所で夢を語り、友情を育んでいく。しかし、運命は少女たちに残酷な試練をもたらし――果たして、早都子と夢乃の友情の行方は・・・? -
かくして魔法使いノイ・ガレネーは100年後、花嫁となった
国一番の魔法使い・ノイは、魔王を宿す少年・カルディアの監視を命じられる。ノイは心を閉ざした彼に寄りそい、穏やかな日々が始まった。 だが、運命の日。ついにカルディアの中の魔王が目覚めてしまう。ノイはこの日のために編み出していた浄化魔法を展開し――世界から消えた。 あれから100年、一人の少女が美しい男の呼びかけで目を覚ます。名を尋ねられ、少女は答えた。「ノイ」、と。 これは、運命に翻弄されながらも孤独だった二人が希望を紡ぐ物語。 -
アンソロジー 極彩色の後宮
人気作家夢の競演! その大陸では、帝俊という神が崇められている。 帝俊は鳥の姿で世に現れ、泥の海から山河を造り、生きとし生けるものを生みだした。 帝俊はまた、五つの卵を産み落とした。五色の卵であった。卵から生まれた子らが、五つの国の境界を定めて、治めることとなった。王たちは、自らが生まれた卵の色を国の名に冠し、その色を貴んだ。 これは、五色を身に纏う者たちが繰り広げる、五つの後宮の物語である。 玉座を疎む青年王と破天荒な妃との出会いが国を動かす〈黄の国〉 敵対する部族間で育まれた絆は究極の選択を迫り…〈白の国〉 寵愛を一身に集めた妃の、死の真相とは〈青の国〉 貧しい村育ちの少女は、後宮で運命と出会う〈黒の国〉 皇后を目指す少女が出会ったのは他国のさえない文書係で…?〈赤の国〉 -
猫弁と奇跡の子
冴えない容貌、天才的な頭脳、人の幸せを第一に考える稀代のお人好し弁護士、百瀬太郎。 大福亜子と入籍を果たし、まだ式は挙げられていないものの、結婚生活にも少しずつ慣れてきた、そんな時。 福引きの一等賞で、とんでもない「景品」をもらったという相談が……。 いつもより、事件も謎も、喜びも驚きも、超特盛! 累計58万部突破!の大人気シリーズ「猫弁」、第2シーズンここに完結! 婚約から3年かかってやっと入籍した百瀬と大福亜子。 しかしまだ、結婚式を挙げられていなかった。 ある日、亜子の勤め先、ナイス結婚相談所に思わぬ客が訪れる。 百瀬法律事務所の事務員、仁科七重だった。 亜子にしか叶えることのできない「願い」があるらしい。 百瀬は、ひなた商店街の野原鮎太の相談を受けていた。 福引きで当たった一等賞の「景品」。 そのせいで、夫婦の間に亀裂が走ったそうだ。 次から次へと迫り来る事件を、百瀬は乗り越えられるのか? -
パンダより恋が苦手な私たち
変人に、恋をした! 仕事のやる気ゼロ、歴代彼氏は1人だけ。 編集者・一葉は恋愛コラムを書くはめになり、「専門家」に取材を申し込むが――!? 雑誌編集者・一葉は悩んでいた。 憧れのモデルに恋愛コラムの連載を依頼するも、原稿を代筆する羽目になったのだ。 交際経験が少なく自信がない一葉は、 「恋愛を研究するスペシャリスト」の噂を聞いて大学を訪れる。 だが、そこで出会ったイケメンはとんでもない変人で!? 恋のヒントが詰まったシリーズ第1作! ☆登場人物紹介☆ 柴田一葉:カルチャー雑誌の編集者。ファッション誌志望で、今の仕事にやる気が出ない。 椎堂 司:大学教員。「野生動物の求愛行動」にしか興味がない変わり者。イケメン。 灰沢アリア:伝説のスーパーモデル。女王様気質で、周囲をたびたび振り回す。 -
天国の声、お伝えします 父が遺した不思議なミシン
東京のアパレルで働く中村みどりのもとに幼い頃に生き別れた父親が突然亡くなったと知らせが届く。唐津でテーラーを営む父は大事な遺品を小物などにリメイクする仕事をしていた。残った数件の注文を引き継いだみどりが年代物のミシンを使い始めるとなんとミシンの中から遺品の持ち主だった故人が話しかけてきた。生前伝えられなかった秘密や想い。託された伝言をみどりが遺族や関係者に届けると……「ほろりとさせつつ、前へすすむ元気がもらえる作品でした」などの声が寄せられた感動作、待望の文庫化。 ※本作品は2022年5月に刊行された単行本『奇跡のミシン 天国の声、届けます』を文庫化に際し改題したものです。 -
映画ノベライズ カラダ探し
2022年NO.1ホラー映画『カラダ探し』公式ノベライズ! 「私のカラダ、探して」――幼い少女からの不穏なひと言とともに、明日香の高校生活は一変した。午前0時、明日香は気づくと、高広たちクラスメイトとともに学校にいて、バラバラにされた少女のカラダを探すことに。しかし全身が血で染まった“赤い人”に惨殺されてしまう。カラダをすべて見つけないと、その日は繰り返され、何度も殺される。はたして明日香たちは死のループから抜け出すことができるのか――。死んでも死んでも殺される、超刺激的ループ型ホラー!! -
映画ノベライズ カラダ探し THE LAST NIGHT
2025年9月5日公開の映画『カラダ探し THE LAST NIGHT』公式ノベライズ! 午前0時に学校に集められ、バラバラになったカラダを見つけ出すまで同じ日を繰り返す「カラダ探し」。 “赤い人”に何度も殺されながらも、明日香たち6人の高校生はカラダ探しを終わらせたが、その直後、明日香の存在がこの世から消えてしまった……。「カラダ探しを終わらせれば明日が訪れる。だが、最後の一人になるな」――今作では真夜中の遊園地を舞台に、呪いの連鎖が引き起こされる! 22年NO.1ホラー映画『カラダ探し』に続く、待望の最新作!! -
きみが死んだ八月のこと
大学生の春木初は、失踪した恋人・有森夏希の訃報を知る。突然のことに整理がつかないまま、初は東京を飛び出し彼女の遺影と対面。しかし、そこに写っていたのは恋人とは全くの別人だった――。 自分は彼女のことを何も知らなかった……。打ちひしがれる初に、夏希の親友を名乗る忽那冬佳は冷酷に告げる。 「あなたの恋人は今も生きています。本物の夏希から全てを奪って」 彼女の正体は? あの愛は本物だった? 二人は真相を探す旅に出る――。 -
青く滲んだ月の行方
「ここからどうすればいい?」僕がこう思っている時、きみは。 若者の真実を描く感動共作!! 何かを「好き」と言える人を眩しく感じる隼人、 「女の子との遊びはクレーンゲームみたいなもの」と言ってみせる大地、 高校時代までは、周囲から認められて自信を持っていた和弘、 仲間が何に苦しんでいるのか分からず、寄り添えない自分に絶望するBーー 「なりたい自分」に向かってひとり藻掻く、"大人未満"の4人の物語。 『茜さす日に嘘を隠して』(真下みこと)と繋がる世界ーー ●ニシダ(ラランド) あの頃の感受性が戻ってきて痛くて気持ちいい。 ●瀧井朝世(ライター) どんな人間にも、その人だけの真実があるのだと改めて気づかされた。 <第1話 端正な夜> 恋人の咲良に別れを告げられた隼人。1年半付き合っていたはずなのに、胸は痛まないことに動揺する。サークル同期の皐月は、自分の好きなことを活かせる業界に就職したいらしい。それに比べて隼人は、手堅い企業ばかり受けていた。恋人と別れて「悲しい」、サークル活動が「楽しい」、あの会社に「就職したい」。それは、本当に自分の感情なのかーー? <第2話 街の地球人たち> 大学2年生の大地は、女の子を絡め取って過ごしている。友達の俊也は最近また、彼の人生を狂わせた女と連絡をとっているらしい。サークルのあの子も、マッチングアプリで出会ったあの子も、幼なじみの俊也のことさえも、全然わからないーーそうもがく大地がとった行動とは? <第3話 途方> 留年続きで三回目の大学3年生となってしまった和弘。ついに実家に帰らなくてはならない――。喫煙所で出会った綾香が、なぜか和弘の帰省に付き合うと言い出し、一緒に海沿いの故郷へ向かうことになった。大学に入ってからずっと「何かが違う」と感じていた和弘。過去と現実の間で揺れる、二人の逃避行が始まる。 <第4話 αを待ちながら> クラスメイトのAが自殺した。放課後、校舎の三階から飛び降りたらしい。演劇部のBは、それからなぜか脚本が書けない。空想の悲劇とは違う、本物の悲劇。今まで書いてきた不幸な出来事について、自分は何を思っていた? 無自覚な残酷さについて思い悩むBは、非常階段でαと出会う。どうやら、彼女もAの自殺について考えることがあるようでーー <第5話 逆三日月> 就職して2年半、隼人は後輩の大地と大学の学園祭に顔を出した。いつまでも続くと思っていた学生生活が今となっては遠く、当時心に秘めていた自分に対する葛藤や悩みも、すっかり過去のものになってしまったと気がつく。一方で、最近の大地は特別な女性との付き合いを続けているらしくーー -
P+D BOOKS 苦の世界
「苦」を諧謔的に描く“小説の鬼”の出世作。 「なぜ、あなたは、私がはじめにあなたと一しょになろうといった時に、いけない、おれは甲斐性なしのいくじなしなんだから、と白状してきっぱりとことわらなかったんです。……いくじなし」 日々、妻のヒステリー発作に悩まされている売れない画家の住友。要領が悪く、お金もない住友を、住友の親がいようが、近所の目があろうが、おかまいなしに大声で騒ぎ立てる妻の存在が、彼にとっては「苦」そのもの。 さらに、芸者の恋人を父親に奪われてしまった住友の友人、妻の親によって妻を芸者に売られてしまった周旋屋、じつは家族につまはじきにされていた住友の妻など、苦しい思いをしている人々を、ユーモラスに描いた作品。 大正から昭和にかけてさまざまな作品を発表し、芥川龍之介や直木三十五、水上勉らに多大な影響を与えた“小説の鬼”の出世作。 -
P+D BOOKS 馬よ花野に眠るべし
輜重兵にスポットを当てた異色の戦争文学。 「どうせ、向うが闇の世を生きるのやったら、今日まで仲よかった馬と一しょに、あしたから暮したかて……かめへんやないか。わしは、この馬が好きなんや」 終戦直前に軍馬の世話をする輜重特務兵として徴集された肥田善六。馬を忌避する習慣のある地に生まれた善六だが、担当する馬・敷島と暮らすうちに絆が生まれ、復員時には全財産をなげうって買い取ることに。敷島は大荷物の運搬や農耕などに活躍し、善六はそれなりに蓄えもできたが、映画の撮影に協力したとき、敷島が大事な蹄に致命的なけがを負ってしまって……。戦争の爪痕と時代の変遷、差別したがる日本人の特質、他者への愛情など、多くの要素が盛り込まれた名篇。 併録の『兵卒のたてがみ』は、『馬よ花野に眠るべし』の1年前に書かれたもので、輜重隊時代のみにスポットを当てた吉川英治文学賞受賞作。 いずれも輜重特務兵であった著者の実体験をもとに描かれており、思い入れの強い作品である。 -
笑う四姉妹 ひとつの庭と四つのおうち
読後、きっとこの笑顔に涙する。 「ゆずのお母さんたちってドラマチックじゃん。この世知辛い東京で、一つの土地に、四人姉妹がそれぞれ家を建てて住んでたんだよ?」。幼馴染みの稲葉亜子に問われ、そんな大げさなと返す信濃ゆず。 漫画家の亜子は最近仕事に行き詰まっており、ゆずの母と三人の伯母たちの話を聞きたいらしい。すると、二人のそばにいた老女がにっこり笑い、ゆっくりと四姉妹の過去を語りだし――。 父の失踪、巨額の借金、仕事と結婚、そして老い。人生はままならないが、四姉妹はいつも笑っていた。七十年以上の時をこえ描かれる家族の物語に涙が止まらない、著者渾身の感動作。 -
夏空と永遠の先で、君と恋の続きを
伯父の旅館を手伝う僕は、今日も藤壺ひまり御一行様をお迎えに行く。――今日も? ひまりの髪飾りだけが「昨日」と違ったから気づけた。僕とひまりが、同じ一日を繰り返していることに。 永遠に続く離島の夏。僕をからかっては困らせるひまりに、いつしか僕は恋をした。僕らが想いを確かめ合った時、ひまりは悲しそうに告げた。 「君はやがてループを抜けて、その記憶を失うの」 いつか終わる二人の恋。その結末に、抑えきれない感動の涙があふれだす――。 -
古典確率では説明できない双子の相関やそれに関わる現象
斉藤勇魚と斉藤真魚。男女の双生児でともに二十歳の大学生。二人の人生は、年の離れた弟の誕生で一変した。 広島の大学に通う勇魚は親友に恋人を奪われ荒んだ日々を送り、北九州の実家で暮らす真魚も最愛の人に突然捨てられ世界に絶望する毎日。 そして二人は、奇しくもそれぞれの隣人との奇妙な交流に救いを求めていく……。 やがて気付いてしまった家族の真実。親子、恋人、親友――すべての日常が絶望と綯い交ぜとなった双子の青春の行き着く先とは? 大人になることの「痛み」をリアルに描き、第31回電撃小説大賞で《メディアワークス文庫賞》《川原礫賞》をW受賞した、ままならない愛と青春の物語。 -
P+D BOOKS 秘密
人には言えない秘めたる思いを集めた短篇集。 「実はお前にだけ話すが、内地へ引揚げるとき、どさくさにまぎれて船着場ではぐらかして置いてくるつもりにしていたんだよ。自分の名前もいえない子供だったから」 知的障害のある子を抱え、途方に暮れていた〈兄〉。妹・花子の支援もむなしく、兄の子・正夫は家族に面倒ばかりかけていた。しかしある日、正夫が行方不明になってしまい、四ヵ月も帰ってこない。〈兄〉はあまり心配していないようだが、花子は何か引っかかりを感じて――。 心に秘密を抱える兄妹を描く表題作のほか、五十歳になった女性が、夫への不信感から夫の同僚の若い男に秘密の思いを抱く「黒い年齢」、パリで暮らす日本人の男が、フランス人妻の不貞を知りながら表面的には穏やかに暮らす「パリ祭」など、人には言えない思いで綴られた14篇の短篇集。 -
百年厨房
第3回「日本おいしい小説大賞」受賞作! 石庭大輔は、宇都宮市大谷町にある元石材商の旧家に独りで暮らす公務員。ある日、家の庭に見知らぬ若い女性が現れた。アヤと名乗るその女性は明治時代の生まれで、亡くなった大輔の祖父のもとで働いていたと言う。友人の紫は「タイムスリップだ!」と騒ぐが、大輔は信じない。だが、アヤが作った冷やしコーヒーを口にして驚く。祖父が生前「もう一度飲みたい」と語っていた通りの味わいだったのだ。さらに大輔は妹の忘れ形見・ルナを引き取ることになり、アヤ、そしてなぜか紫をも巻き込んで奇妙な同居生活が始まった。 天涯孤独の身で食にも生活にも興味なく生きてきた大輔だったが、アヤの作る百年前の料理に次第に食卓を楽しむ気持ちが湧き上がる。しかし、あるきっかけから新たなタイムスリップが起きてしまい……。 壺飯、じんごろう焼き、源氏飯、チタケうどん、自家製れもんミルク、甘露梅、ベーキャップル、ミルクセーキ、クリームコロッケ、柚煎りなど、おなじみのメニューから現代では失われたレシピも登場。 さまざまな食が時間をこえて絆を紡ぎだす、郷土愛たっぷりの“おいしい”家族ファンタジー! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『百年厨房』 の文庫版となります。 -
富士山
あり得たかもしれない人生の中で、なぜ、この人生だったのか? 『マチネの終わりに』『ある男』 『本心』の平野啓一郎、10年ぶりの短篇集。 些細なことで、私たちの運命は変わってしまう。 あり得たかもしれない幾つもの人生の中で、 何故、今のこの人生なのか?その疑問を抱えて 生きていく私たちに、微かな光を与える傑作短篇集。 収録短篇の内容 「富士山」 ── 結婚を決めた相手のことを、人はどこまで知っているのか。 「息吹」 ── かき氷屋が満席だったという、たったそれだけで、生きるか死ぬかが決まってしまうのだろうか? 「鏡と自画像」 ── すべてを終らせたいとナイフを手にしたその時、あの自画像が僕を見つめていた。 「手先が器用」 ── 子どもの頃にかけられた、あの一言がなかったら。 「ストレス・リレー」 ── 人から人へと感染を繰り返す「ストレス」の連鎖。それを断ち切った、一人の小さな英雄の物語。 『富士山』特設サイト ▶︎ https://k-hirano.com/mt.fuji/ -
裏声で歌へ君が代
さまざまな背景を持つ人物が「国家」を語る。 陸軍幼年学校をドロップアウトした経験を持つ画商の梨田と、その友人でスーパーマーケットの経営者でありながら台湾民主共和国(台湾独立を目指す団体)の大統領・洪、洪の部下ながらアナーキストを自認する林ら、置かれた立場や政治的信条が異なる男女が、国旗や国歌、民主主義について、ときには酒を酌み交わしながら、ときには寝物語として縦横無尽に語り合う。 ――日本の陸軍は非合理主義にどつぷり漬かつてゐる団体で、この団体の信条とするところはナポレオンのものの考へ方とまつたく対立するものではないか。あの小さなコルシカ人ならば、歩兵操典に書いてあらうが、軍人勅諭にあらうが、そんなものは旧套にすぎず死んだ文字にすぎないとして、平気で投げ捨て、すばやく現実の必要に対応するだらう。―― 独特の歴史的仮名遣いでつづられた、渾身の長編の前編。 -
ミニシアターの六人
上映最終日前日、午後四時五十分の回の奇跡。 銀座のミニシアターで、二年前に亡くなった末永静男監督の追悼上映が行われている。二十一年前に公開された『夜、街の隙間』、上映は一週間だけ。最終日前日、午後四時五十分の回。天気は雨、観客は六人だった。 この映画館で働いていた三輪善乃は、公開当時にチケット売場の窓口にいた。山下春子にとっては、大学の同級生と成り行きで観に行った作品だ。自主映画を撮っていた安尾昇治は、末永のデビュー作でその才能を目の当たりにし、道を諦めた過去がある。沢田英和は、この作品に元恋人との苦い思い出があった。誕生日デートのはずだった川越小夏は、一人でスクリーンを眺めている。映画監督を目指す本木洋央は、生物学上の父親が撮った作品を観に来ていた……。 観客たちの人生と、『夜、街の隙間』のストーリーを行き来しながら、出会いとすれ違い、別れを繰り返す日々の中にある奇跡を鮮やかに描く。 『ひと』『まち』『いえ』の著者が、銀座という街とミニシアター、そこに集う人々、そして映画への愛を描き切った渾身の人生讃歌。 限られた人生の中で「映画」と出会えた幸福を、この小説はあらためて教えてくれた。 ──脚本家・向井康介さん(解説より) ※この作品は過去に単行本として配信されていた『ミニシアターの六人』 の文庫版となります。 -
誰も幸せにできない僕らは夢を見る
市役所本庁舎の隅にある、健康福祉課夢調査係。そこで僕は他人の夢の中に入り、深層心理を調査する仕事をしている。その目的は「個人の精神の不調を減少させ、ひいては社会的不和を根本から減少せしめること」――要は、夢の中でお悩み解決だ。 でもこの仕事は僕に向いていない。……だってあなたが死んだあの日から、僕は誰かに寄り添うことも、夢を見ることも、全て諦めたから。 『ひきこもりの弟だった』で鮮烈デビューした葦舟ナツが描く、心震わす珠玉の物語。 -
猫弁と狼少女 【電子版特典画像付き】
累計50万部突破、大人気「猫弁」シリーズ最新作! 冴えない容貌、天才的な頭脳……自分のことは後回しで人の幸せを第一に考える稀代のお人好し弁護士、百瀬太郎。 婚約者である大福亜子と同居中で、幸せをかみしめている。 猫がらみの脅迫事件の依頼を受けて調査中、未成年者略取の疑いをかけられて留置場に! 当番弁護士の、「透明人間」こと沢村透明以外との面会を断り、事件については黙秘を貫く百瀬。 警察から連絡ももらえず蚊帳の外に置かれた亜子は、百瀬を信じ切れるのか。 振り切った亜子がとった行動とは。 沢村透明のもとに武者修行に出ていた縁から一緒に百瀬のために奔走する直は、そのなかで自らの進む道を見つける。 七重と野呂は相変わらずの賑やかさで百瀬を信じ、支え、事務所を守っている。 百瀬は留置場でも法律相談会を開いている。 そして自らの過去を振り返る。 【百瀬太郎】という人間は、どうやって形成されたのかーー「猫弁エピソード0」とも言える作品です。 今まで「猫弁」を読んだことがない人でも大丈夫! 今作からでもお楽しみいただける、そんな優しくあたたかい作品です。 ※電子版には特典として、カバーイラストが収録されています。
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