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錬金術の秘蹟、金色に輝く両性具有者(アンドロギュノス)、崩れゆく中世キリスト教世界を貫く異界の光……。華麗な筆致と壮大な文学的探求で、芥川賞を当時最年少受賞した衝撃のデビュー作「日蝕」。明治三十年の奈良十津川村。蛇毒を逃れ、運命の女に魅入られた青年詩人の胡蝶の夢の如き一瞬を、典雅な文体で描く「一月物語」。閉塞する現代文学を揺るがした二作品を収録し、平成の文学的事件を刻む。
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Posted by ブクログ
少し、今敏の映画作品を思い出した。夢と現実が交互して、混ざり合って、なにがなんだかどっちがどっちだか分からなくなってくる有り様が描かれている。特に一月物語でそのように感じた。 あとは、文体美が凄い。ルビの振り方も使う言葉古くて一般的で無いものばかりで、始めは難しいが、慣れてくると、むしろ文体の滑らか...続きを読むさにびっくりする。こんなに難解語しか無いにも関わらず、頭にダイレクトに映像が浮かぶ。 解説に、一月物語はまるで「能」のようだとあった。目から鱗だった。また日蝕についての解説もとても示唆的で良かった。
20年ほど前に一度読んで、今回再読。難解な漢字、擬古的と言われる文章、歴史的にも知らないことが多い中世ヨーロッパ、そしてキリスト教。20年経っても、私の知識は然程の進歩はなく、やっぱり難しいわ〜と思いながら読んだ。 だが、両性具有者が登場してから物語にどんどん引き込まれて、日蝕の場面では自分もその場...続きを読むにいるような、そんな感覚に陥るほど物語にのめり込む。こうなってくると、難しい漢字も読みづらい文章もむしろリズムにのって読めてしまう。20年前も同じように日蝕の場面に衝撃を受け、その後なんとなく中世ヨーロッパが気になり出した。だが、衝撃は今回の方が上回った。少しは20年で場面を思い描けるだけの多少の知識が増えたからなのか? 一月物語は初めて読んだ。恥ずかしながら、泉鏡花を読んだことがないが、こんな感じなのだろうか?と思いながら読む。こちらはどこか懐かしい感じのする文章。森鴎外、三島由紀夫に通じる雰囲気の文章かな、なんて思いながらページをめくる。これも途中からドキドキが止まらず、一気に読んだ。平野啓一郎。彼の頭の中は一体どうなっているのか!ガッツリ読書時間を過ごせたことに感謝!
『とある魔術』世界の根源の考察
〇聖トマスとはトマス・アクィナスですね。 宗教と科学、神中心と人中心の両立を 考えた? 〇もちろん現代人にとっては 科学的に人造人間を作るとしたら今後かな? でも、世界のことわりを知ったら、 錬金術的に実現していたかもしれない。 〇両性具有者は単に両性を備えるだけでなく、 ...続きを読む 善悪とか全てにわたって統合されているようだ。 世界とか存在そのものか? 〇堕落司祭がもっと大きな堕落から 堕落的に弱まっていて むしろ敬虔な修道僧にも見えるというくだり。 (カラマーゾフ家の父親?水商売を振興する?) 托鉢僧が、知的に低俗でも労働している者へ 引け目を持っていること。 一般的な宗教的高みに対して 観察者である語り手は 堕落や労働ともある意味同列に考え、 また、錬金術、異教にも 公平な目を持っている。(混乱かも?) 〇エンターテインメント方面で、 アニメ『とある魔術の禁書目録』というのが あるが、そのエピソードとして、素人が 魔術を使うことになって 部屋全体のものの配置に合わせて 机上に小物を並べるところがある。 小物と部屋全体が同調する。(風水か?) 『日蝕』でも村の地図的配置が魔術に 関係しているようだ。 司祭が堕落したり、観察者が来ることなど 起こること全てが真摯な錬金術者の作業 によって、そうなるようにされたのかもしれない。 〇両性具有者の登場やその後について 迫真の描写だと思う。引き込まれる。
#ドキドキハラハラ #深い #シュール
世界観がすごい。読み進めるうちに異世界に連れ込まれるかのよう。大学生のうちにこの文章を書き上げることができる才能に嫉妬。
すごい文章力!これを20代で書けるのは天才だと思います。一月物語のベースになった場所に行ってみたい。日蝕も翻訳小説みたいで好きでした。
久々にこんなカチコチの文体に目を通しました いやはやこの本を大学生?の時に書ける平野啓一郎さんに感動しかない 読破出来て良かった
ルビなしでは読めない漢字の連なりで、読み続けることができるか不安なままページを進めるうちに、この漢字を含めた表現力に引き釣りこまれていきました。 自分にもう少し、中世キリスト教の基礎知識があったらなぁとも思いました。 科学ではまだ解き明かされない領域の広いころを舞台にしているて、この「日蝕」も「...続きを読む一月物語」も死を直面にした刹那の輝きに神を感じさせられる。 「一月物語」では泉鏡花の高野聖を思い出していました。夢と現の境界線の甘さ、古典的な味わいがある。
表面的には、硬派な文体を取っている。それでも、どこか暴風のような乱流も感じる。それはまるで、本質そのものを知ってしまったが、若さゆえに、その非情な感情が過剰な顕示欲に結晶化しているような感触だ。確かに硬派な清閑さはあるが、その裡で燃え盛る狂気にも近い情動を感じる。しかもその光景は、無声映画を見るよう...続きを読むに、静かだ。そこに作者自身の強烈な生命力を感じた。
著者の作品は初めて読んだが、独特の世界観に引き込まれた。 文章や単語の使い方の分かりにくさはあるにしても、それを上回る魅力たっぷりの作品だった。 読み応えのありそうな著作が多々ありそうなので、今後も楽しめそうだ。
『日蝕』も『一月物語』も単行本で読みました。 読みづらいとかいう意見はよく聞きましたが、大学時代に、お前の頭の中は別世界か!ってつっこみたくなる哲学書を読まされてばかりだったので、それに比べたら読みやすかったです。漢字もわざと難しいものを用いてますが、文脈でおおよそ読めます。 逆にこんな漢字がある...続きを読むんだと新しい発見もあったりして、別の楽しみもあります。
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