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『とある魔術』世界の根源の考察
〇聖トマスとはトマス・アクィナスですね。
宗教と科学、神中心と人中心の両立を
考えた?
〇もちろん現代人にとっては
科学的に人造人間を作るとしたら今後かな?
でも、世界のことわりを知ったら、
錬金術的に実現していたかもしれない。
〇両性具有者は単に両性を備えるだけでなく、
善悪とか全てにわたって統合されているようだ。
世界とか存在そのものか?
〇堕落司祭がもっと大きな堕落から
堕落的に弱まっていて
むしろ敬虔な修道僧にも見えるというくだり。
(カラマーゾフ家の父親?水商売を振興する?)
托鉢僧が、知的に低俗でも労働している者へ
引け目を持っていること。
一般的な宗教的高みに対して
観察者である語り手は
堕落や労働ともある意味同列に考え、
また、錬金術、異教にも
公平な目を持っている。(混乱かも?)
〇エンターテインメント方面で、
アニメ『とある魔術の禁書目録』というのが
あるが、そのエピソードとして、素人が
魔術を使うことになって
部屋全体のものの配置に合わせて
机上に小物を並べるところがある。
小物と部屋全体が同調する。(風水か?)
『日蝕』でも村の地図的配置が魔術に
関係しているようだ。
司祭が堕落したり、観察者が来ることなど
起こること全てが真摯な錬金術者の作業
によって、そうなるようにされたのかもしれない。
〇両性具有者の登場やその後について
迫真の描写だと思う。引き込まれる。
Posted by ブクログ
ルビなしでは読めない漢字の連なりで、読み続けることができるか不安なままページを進めるうちに、この漢字を含めた表現力に引き釣りこまれていきました。 自分にもう少し、中世キリスト教の基礎知識があったらなぁとも思いました。
科学ではまだ解き明かされない領域の広いころを舞台にしているて、この「日蝕」も「一月物語」も死を直面にした刹那の輝きに神を感じさせられる。
「一月物語」では泉鏡花の高野聖を思い出していました。夢と現の境界線の甘さ、古典的な味わいがある。
Posted by ブクログ
表面的には、硬派な文体を取っている。それでも、どこか暴風のような乱流も感じる。それはまるで、本質そのものを知ってしまったが、若さゆえに、その非情な感情が過剰な顕示欲に結晶化しているような感触だ。確かに硬派な清閑さはあるが、その裡で燃え盛る狂気にも近い情動を感じる。しかもその光景は、無声映画を見るように、静かだ。そこに作者自身の強烈な生命力を感じた。
Posted by ブクログ
著者の作品は初めて読んだが、独特の世界観に引き込まれた。
文章や単語の使い方の分かりにくさはあるにしても、それを上回る魅力たっぷりの作品だった。
読み応えのありそうな著作が多々ありそうなので、今後も楽しめそうだ。
Posted by ブクログ
『日蝕』も『一月物語』も単行本で読みました。
読みづらいとかいう意見はよく聞きましたが、大学時代に、お前の頭の中は別世界か!ってつっこみたくなる哲学書を読まされてばかりだったので、それに比べたら読みやすかったです。漢字もわざと難しいものを用いてますが、文脈でおおよそ読めます。
逆にこんな漢字があるんだと新しい発見もあったりして、別の楽しみもあります。
Posted by ブクログ
恐ろしく読み取りにくい文体と少しくらくらしながら対峙していく。
次第に僕の脳は麻痺してゆき、やがて恍惚とした気持ちにさせられている事に驚いた。
世界観への没入感がハンパない。
これも読書のひとつの愉しみの形なのかもしれないね。
Posted by ブクログ
著者のデビュー作である『日蝕』と、第二作『一月物語』を収録しています。
『日蝕』は、ルネサンス期のリヨンを舞台に、トマス主義者である一人の青年僧が、ヘルメス主義にもとづいて錬金術をおこなっているという老人のもとを訪ね、奇怪な出来事を体験する話。『一月物語』は、明治30年の奈良県十津川村を訪れた青年が、夢とも現実ともわからないなかで美女と出会い、その謎めいた魅力に惹かれていく話。
両作品ともに、晦渋な文体とシンプルなストーリー・ラインがアンバランスさを感じさせます。デビュー直後には「三島由紀夫の再来」という煽り文句と、何人かの批評家たちの辛辣な評価に取り巻かれていました。なかには「暴走族の落書き」といったようなことばもあったように記憶しています。
ただ、その後の著者の作品を知ることのできる現在から振り返ってみると、このころから著者は一貫して、小説でなしうることはいったいなにかという問題に持続的に取り組んでいることがわかります。そうしたものとして見れば、本書も一つの試みとして興味深く読めるように思います。
Posted by ブクログ
「日蝕」
「アンドロギュヌスの正体は何か」
「ジャンの父親は本当にユスタスなのか」等
物語の横軸に、いくつかの謎を残す作品で
深読みの余地は多く、それが読後の余韻にもつながっている
しかし
錬金術師の捕縛に際し
逃げ出すことしかできなかったにもかかわらず
「自分自身こそアンドロギュヌスだったのかもしれない」
などとのたまう主人公の
奇妙な図々しさには違和感がある
「自分は、他者の死によって自我に目覚めたジャンと同じだ」
そんなふうに言うならわかる気もするのだけど…
「一月物語」
北村透谷をモデルにしたと思しき主人公が
「胡蝶の夢」をさまようというお話
北村透谷というのは、明治日本を生きた詩人で
近代日本文学の確立に深くかかわったと言われる
よく知られるのは、「恋愛至上主義」を日本にはじめて打ち立てたこと
これにより、すべての男子は「白馬の王子」になる資格を得たのであり
またすべての女子は「囚われの姫」たりうる存在になったのだ
しかし同時にこれは、「心中」を肯定する理屈にもなった
「ストーカー行為」を正当化する理屈にもなった
さらには
ナショナリズムのための「殉死」を肯定しうるものでもあったわけだが
そもそもそいつは文明開化にかこつけて
てめえのエゴと性欲を言い訳してるだけじゃないのかい
…という批判は、検討されてしかるべきだろう
ちなみに「恋愛はただ性欲の詩的表現」と言ったのは芥川龍之介だったが
それはさておき
この作品じたいは、端正な構造にまとまっていて
なかなか読ませるものだ
美醜をめぐってただよう自意識も
この段階ではニヒリズムの態に保たれており
さほど嫌味ではない
Posted by ブクログ
文庫本ながらサイン本。出だしから難解で、長いことほってあり、観念して、お風呂の読書タイムに持ち込んだ。何とか読み終えたが、難解この上なく、これがデヴュー作とは驚き。サインをもらうとき、著者のお姉さまが私と同名だと聞いた、その一点にのみ、親しみを感じます。繰り返し。難解。
Posted by ブクログ
デビュー作の「日蝕」で三島由紀夫の再来と言われたとかなんとか、確かに三島由紀夫っぽさを感じる作品だった。小難しい文書だけど、意外と読みやすく話の内容も意外とわかりやすい。個人的には「一月物語」の方が好き。主人公が現実と夢と幻の間を彷徨っている感覚が凄いと思った。