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Posted by ブクログ
横浜にバーを何軒も構える実業家、類まれな才能を持つ画家、そして無頼な生き方。主人公はあまりにも多くのものを持ちすぎている。そういう人間は、最初から破滅へと向かって歩いているのだと、読み終えてから思う。
地場の組織とのこじれ、恋人の不治の病、刺青の技術への静かな魅了。どれひとつ取っても物語になりそうな素材が、ひとりの男の上に積み重なっていく。一見すると無茶苦茶に見える。だが読み進めると、この積み重なりがじつによく練り込まれていることに気づく。雑然としているのではなく、意図して乱されている。
北方謙三の文体には固有のリズムがある。短く切れる文、乾いた体言止め、感傷を拒む語り口。そのリズムが、主人公の生きざまと不思議なほど合っている。
講談社文庫 440ページ
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