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蓮の数式
35歳のそろばん塾講師・千穂は不妊治療を始めて10年。夫と義母からの度重なる嫌味に耐え続けてきた。ある日、夫の運転する車がひとりの男と接触してしまう。「金で解決しろ」と事故の処理を押し付けられた千穂は、男の不可解な行動を見て算数障害なのではないかと気づく。男の苦悩を理解し手をさしのべようとする千穂だったが、その行動を訝しみ嫉妬する夫は、異常な行動に出て千穂を追い詰める。これまで抑えてきた感情を一気に爆発させた千穂は、ある事件を引き起こしてしまうのだった――。愛を知らない男と愛を忘れてしまった女の逃避行がはじまる! 文芸評論家たちから絶賛の気鋭が放つ最新長篇。 -
はずれ姫
「はずれ姫」は「マキの包むもの」「はずれ姫」「ナッちゃんの豆腐」「蛍を飲む」「サリーの恵み」の5編からなる短編集。表題作の「はずれ姫」は路地裏のバーで、艶めかしい魅力の女のいつも貧乏くじを引く人生の焦り描く。「マキの包むもの」は、中国人の経営する宅配餃子の店で働くやるせない日々、「ナッちゃんの豆腐」の女性は、小さな飲み屋の女将、醜女の彼女はその店の中だけで人生の大半を過ごすが、ふらりと現れた男に騙される。「蛍を飲む」は、男と酒だけが生きがいの アルコール依存の女の優しさ。「サリーの恵み」は引きこもり男が病院で知り合った天女にも思える女の悲しい性とは。5編の短編それぞれにまともな人生を生きられない女たちの懸命さと、切ないまでの男と女のふれあいを描く。 -
爆ぜる怪人 殺人鬼はご当地ヒーロー
第21回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉! 街に潜む悪人を次々と殺し始めた犯人は、主人公がかつてデザインし お蔵入りになったヒーロースーツを着ていた!? ご当地ヒーローの運営会社で働く青年が、町田で起きた連続殺人事件の真相に迫る。 東京・町田の人気ご当地ヒーロー、マチダーマン。その運営会社であるMHF(マチダ・ヒーロー・ファクトリー)のデザイン部で働く志村は、ある日テレビのニュースを見て衝撃を受ける。町田で少年が誘拐されたが、何者かが誘拐犯を殺害し、少年を救出。助けられた少年が「正義のヒーロー」として描いた絵は、かつて志村がデザインし、お蔵入りになったはずのヒーロースーツと酷似していた!周囲は空似だというが、志村が悶々とするなか、第二の事件が起き――。 (著者情報) おぎぬまX 1988年、東京都生まれ。元お笑い芸人。ギャグ漫画家として2019年に『だるまさんがころんだ時空伝』で第91回赤塚賞入選。2021年には「ジャンプSQ.」(集英社)にて『謎尾解美の爆裂推理!!』を連載(同社より単行本も刊行)。また、ジャンプ小説新人賞2019・小説フリー部門にて銀賞を受賞し、『地下芸人』(集英社)で2020年に小説家デビュー。他の著書に『キン肉マン 四次元殺法殺人事件』(集英社)がある。2023年、第21回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として本作が選出される。 -
旅籠屋あのこの
霧の街・釧路の幣舞橋を少しこえた先に、その宿はある。紺と白、二色の暖簾がゆれる古民家風の《旅籠屋あのこの》。この宿のモットーは「どんな客人も、来るもの拒まず」。そこは死者も生者も訪れる、“あの世”と“この世”を結ぶ宿だった――。ひょんなことからここの新米従業員となった丸子のもとに、なにやら“ワケあり”な客人がやってきて……。料理番の南郷さん、神出鬼没な宿の主・紫鶴。ちょっぴり変わった面々と、不思議なお客が集う宿で、今日も素敵なドラマが始まります。 -
旅籠屋つばき結び帖
“次にくる時代小説”、ここに誕生! 下谷の旅籠で巡り合った人々が紡ぐ、 希望の江戸情話 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ――本当に求めているものを 偽り続け、心を殺すくらいなら、 欲しいと泣き喚いた方がずっといい。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「深川あやかし屋敷奇譚」シリーズの 笹目いく子氏最新作 【あらすじ】 文化四年の江戸。 母に捨てられ、父の暴力に怯えて育った 笛売りの青年・明彦は、絶縁していた叔父の死を きっかけに、奥州街道裏沿いの下谷坂本町にある 旅籠「椿屋」を継ぐことになった。 叔父が寂しく暮していたはずの宿の中には 美しく整えられた庭が広がっていた。 縁側に座り見惚れていた明彦は、 無人のはずの室内から目線を感じ――。 そこに立っていたのは、旅籠の名前と同じ 「椿」を名乗る娘だった。 気味悪がった明彦は彼女を追い出してしまう。 しかし、ほどなく見つかった叔父の日記には、 十七年前、”いまと同じ姿をした「椿」” と出会った日のことが綴られていた。 江戸の片隅の旅籠屋で 人ならぬ少女と孤独な青年が出会い、 訪れる人々の運命も静かに変わっていく。 ――命の重さと生きる意味を問う、 切なくもあたたかな物語。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ※下記ネタバレ注意 文芸評論家・細谷正充氏 「面白く読みました。 人魚の肉を食べて不老不死になった 人物というネタは、それほど 珍しいものではありません。 しかし本作の場合、 椿をそのような存在にしながら、 ホラーにしていないところに、 作者のセンスを感じました。 また、椿と寅吉親分の関係には、やられました」 -
働く女子に明日は来る!
働く女子にエールを!超前向きお仕事小説。 「やれることをやれ、目の前の仕事に全力で取り組め。そうしているうちに…動かねえと思ってたもんが動き出したりするもんなんだ」そんなメッセージが込められた人気小説が文庫化です。 今日も明日も、心身共にハードワークが待っている…! そこは、テレビドラマ制作の現場。主人公の時崎七菜(31才)は、制作会社のアシスタントプロデューサ-(AP)。尊敬するプロデューサー(P)の上司・頼子をお手本に、連続TVドラマ『半熟たまご』の現場で日々格闘中。クセの強い面々との仕事には、毎日トラブルが頻発状態。元来マジメで不器用な七菜は、トラブルがあった時も、美味しいロケ飯を心の支えにひとつひとつ乗り越えていく。そんなある日、先輩の頼子からPを引き継ぐことに。次々と襲いかかるピンチ。そして、ついには前代未聞の大ピンチに!果たして、七菜はどうする? 働き方改革、パワハラ、モラハラ、働く女子の恋愛事情・・・・・・イマドキのお仕事問題をはらみつつも、ハートフル。働く女子の背中を包み込み、優しく押してくれる、令和版前向きお仕事小説です。読めば元気になること、間違いなし、です! ※この作品は過去に単行本として配信されていた『働く女子に明日は来る!』 の文庫版となります。 -
はたらくぽんぽこ神様
【電子版巻末にはsora先生によるカバー用イラストをそのまま収録!】 さびれた商店街の一角にある総菜屋「ふじの」の店主・恵麻は、 亡き祖母の味を守るため、赤字続きでも細々と営業を続けていた。 ある日、店の前で倒れているもふもふな生き物を発見する。 その生き物は、自分はこの町の神様だと言う。 たぬきの神様・きぬ様は、町の住人からのお供え物もなく毎日お腹が空いていた。 やたら食い意地の張った神様を介抱すると、 きぬ様は「お礼に店を繁盛させてやる」と言い、繁盛の“匂い”を探り始める――。 がんばる女子と、幸せを呼ぶもふもふ神様ののどかで美味しいストーリー。 -
肌色あつめ
バンドマスターでピアノ講師でもある大町俊が出会う若い女たちはなぜか大町に触れただけで興奮する異常体質の持ち主だった。 大町俊はクインテット(五重奏)のバンドマスターでアレンジャーやピアノ講師としての顔も持っている。大町が情事を重ねているのは女子大生の板倉弓子だ。そして、いつも身体を重ねる度に恍惚の言葉を発し、失神してしまう。そんな弓子が愛おしかった。ところが、あるとき、抱き合った際に違和感を感じた。いつもと反応が違うのだ。とっさにほかに男ができたことを感じ取り、激しく嫉妬を覚えた。あれほどのいい身体を持ち、セックスの反応も良い弓子を手放すのが惜しいのだ。そんなある日、大町は弓子の友人である花野りえに逢うことになる。大町はりえの身体に異常な興味を引かれる。というのも、大町の身体が触れただけで、りえは身震いし、陶酔するかのような表情を浮かべるからだった。そんな大町とりえを邪魔するのが同じバンドメンバーの秋山だった。じつは板倉弓子を奪ったのは秋山だった。しかし、りえにも興味を抱いた秋山は嫉妬に狂ったのだ。そんな最中に大町はりえの姉であるふゆのと知り合う。そして、ふゆのもまたりえと同じような体質の持ち主で、大町に異常に興奮するのだった。何度も身体を重ねるようになるが、大町のりえに対する欲望は決して薄れたわけではなかった・・・・・・。 -
はだかのパン屋さん
裸エプロンの店長の周りで、事件&アクシデントが勃発!? どっこい商店街の外れの海月(くらげ)ベーカリーで、アルバイトを始めた漫画家志望のマスミ。寝坊と勘違いしていつもより早く出社してしまった朝、固く閉ざされていた厨房の中で、店長の蘭子が裸でパンを焼いていることを知ってしまった――!! 魚を使った調理パンをめぐる魚屋との料理バトルや、夏祭りに現れたはだかの変質者、夏休みのパン作り教室での大ピンチなどなど、蘭子とマスミの周りはトラブルだらけ! パン屋でアルバイトを続けるマスミの漫画家への夢は? そして明らかになる蘭子の裸のヒミツとは!? ちょっぴりエッチでしみじみ美味しい、ハートウォーミングコメディ!【目次】■第一話 ひみつのパン屋さん■第二話 パン屋さんと商店街の愉快な人々■第三話 祭りだ、わっしょい、パン屋さん■第四話 真夏の夜のパン屋さん■第五話 それゆけ、はだかのパン屋さん■エピローグ -
ハダカの美奈子[小説版]
離婚して10年。介護施設で働きながら子供を育てるシングルマザー美奈子の元に、5年前に家出し、それ以来戻っていない長男のシオンから「今度、結婚することになりました」というメールが届いた。美奈子と5人の娘(ノエル、キララ、ライム、ヒスイ、レント)は、シオンをサプライズで祝福しようと、旅に出る。美奈子が中学の時、優しかった父が突然変わってしまいDVに怯える日々が始まった。不良グループに入ってすぐに高校は中退。そして15歳で妊娠し、出産。結婚して幸せを得たのもつかの間、今度は夫のDV。壮絶な人生と戦いながら5人の子供を1人で育てていた時、テレビ番組で有名な “ビッグダディ”こと林田キヨシと出会い結婚、そして離婚。思いがけず始まった旅の中で、美奈子の生き様を一番近くで見ている6人の子供たちが、いろいろな経験を重ねて成長していく姿に、美奈子は自分の人生を重ね合わせていた……。本書は映画「ハダカの美奈子」の小説版です。ひたむきに生きる美奈子と6人の子供たちの現在、そして未来が描かれたフィクションとなっています。 -
裸足のゴースト
【小説すばる新人賞 受賞後第1作!】 俺は本来、ランナーを名乗ってはいけない人間だ。 己の役割も知らず、ロードの上を幽霊のように今もこうして彷徨い続けている。 実業団の長距離ランナー・柴田光輝は、脚の故障により選手を引退した。 しかしそれは不慮の事故ではなく、終わりなき競争の日々に疲弊した柴田自身が仕組んだものだった。 思惑通り実業団を辞めることに成功した柴田だったが、 地方の保険営業所に異動させられ、悪質な保険セールスに携わるなか、次第に精神をすり減らしていく。 そんなある日、柴田は「ブラインドランナーの伴走者をやらないか」と誘われ、再び陸上の世界に舞い戻ることに。 それは「なぜ走るのか?」という問いに向き合う旅路のはじまりでもあった。 己の存在証明にひた走る、 ひとりの青年の軌跡を描いた異色の青春譚。 -
肌は匂っていた
デパートに配送ミスの苦情が来た。ワイシャツがパンティにすり替わっていたというのだ。配送担当の枝里子は、自分のミスでも責任でもないという思いを抱きながらも、お客様の家へ謝りに行く。そして家に帰ると、結核の夫が待っているのだった。そして、意外な事件が起こり……。サスペンス感もあふれる、働く女性の物語。 -
8階の神話
第1回ダンガン文庫大賞「The Impact」受賞作! 『8階』──それは自殺志願者たちの隔離施設。 精神に病を抱える空野流星は、そこで1人の女の子に出会った。 「あたしは、神だから」 自分を神だと信じる「女神さん」、11歳の天才少年「チビ」、見た目は正常なのにここにいる「後輩」、そして人語がまともに通じない「802号室の男」。 一体この場所はなんなんだ。 一癖も二癖もある隣人たちに振り回されながらも、少しずつ関係を築いていく流星。 果たして、彼は無事にここから脱出することができるのか。 ダンガン文庫が贈る、異色の青春サイコサスペンス、ここに開幕。 これは救いの物語。 -
八月十五夜の茶屋
沖縄在住の訳者が新訳で贈る沖縄の戦後復興を描いた「社会派」作品! 上陸作戦に参加した軍政チームの米軍将校が、ユーモアを交えて描く占領初期の民衆の姿を描く。 1957年、グレン・フォード、マーロン・ブランド、京マチ子主演の映画で有名になったアメリカ映画の原作本。 「ゴトゴトと音を立てて進む帆船(ジャンク)……そのすべてが友好的に、通商だけを目的として渡って来たとは限るまい。時には、侵略者(インベイダー)を乗せて来ることもあったのではないか? 沖縄の人々は、侵略者によく対抗できたのだろうか? それとも、強要されたことをすべて受け入れる道しかなかったのか?……自分もまた沖縄の人々に差し向けられた侵略者であることに思い当たり、険しい表情になった。」(本書「侵略者」より) -
八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。
本当に好きだった。こんなにも人を好きになることは、この先一生ないだろうとさえ思った。言葉や仕草の一つ一つ、ちょっとした表情の変化、笑い声、髪から香る石鹸のにおい……思い出すと息が苦しくなる。まるで肺の中に、炭酸でも入っているみたいに。――透子。高校二年の夏。心臓の病が原因でなくなった彼女のことを、未だ引きずっていた成吾。あれから四年。交換日記の空白に綴られていく新しい返事。それは見間違えようもなく、透子の文字だった。 -
八月の上半身
あの瞬間はもはやどこにもなく、そして目の前にあるものはなにか? 作家がいる。作家はストーリーを自分の頭で考えるが何らかの外部からの刺激も必要だ。例えば一人の女性。バーに、あの女性がいたらいいな、と思えばいるし、思いがけず京都で再会したりもする。そんな都合よく……って当然だ、だってこれは片岡義男の小説なのだから。そして女性との会話の中には彼に書くことをうながしたまた別の女性、今では自分も作家になった女性の話題が出て会話に奥行きが生まれる。ある時、タイトルの着想が生まれ、そしてその時間もまた去っていき、さて今、彼の目の前にあるものは? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
八月の光・あとかた
ヒロシマを生きた人々の、「命」の物語。 一瞬の光が広島の地を覆うその瞬間まで、あの場所にいた人々にどんな時間が流れていたのか。そして、生き残った人々は、苦しみと哀しみの中でどう生き抜いてきたのか――。被爆二世の著者だからこそ書ける、真実をモチーフにした物語です。 児童文学作品として発表されながらも、幅広い年代の読者の心を揺さぶった『八月の光』。戦後70年の節目を迎えたいま、書き下ろし2編を加えて待望の文庫版を電子化しました。 巻頭の『雛の顔』は、その日勤労奉仕をさぼって命拾いをした女性と、それを責めた女性、それぞれの心の変化とその後の人生が、続く『石の記憶』では、広島平和記念資料館に展示され、原爆の悲惨さを伝える「白い石段の影」にまつわる物語が描かれます。『水の緘黙』では、苦しむ人を助けられずに一人逃げた少年の自責の念が救われるまでの物語。『銀杏のお重』では、戦争で女性だけとなった家族が、戦争を、原爆をどう生き抜いたか。ときに悋気にもならざるを得なかった女性たちの悲しみと強さが描かれます。『三つ目の橋』は、原爆で父と弟を、そして原爆による放射能症によって母を失った姉妹の物語。「ピカに遭うたもんは、たとい生きても地獄じゃ」。本作品に出てくるこの一文が、生き残った人々のその後の苦しみを集約しています。 決して特別な人の特別な物語ではなく、私たちと同じ市井の人間の物語。あの日の光が、あの場所に生きた人々の魂の声が、いま再び届く――。 -
八月六日上々天氣
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 昭和二〇年八月六日、広島は雲ひとつない快晴だった-東京の女学校に通う十五歳の珠紀。戦争の影が濃くなるなか、友人たちは次々軍人に嫁いでゆき、珠紀は従弟の担任教師と結婚する。だが突然、夫は軍に志願したため、二人で過ごせる時はたった一週間しかなかった。珠紀は姑と暮らすため広島へ移り、やがてその地で運命の日を迎えることに…。少女たちの目から原爆を描き話題となった名作。 -
八時二十三分の乗客たち 同じ車両に乗り合わせた、七つの人生
朝の満員電車、そこには七つの人生が息づいている。 たまたま同じ車両に乗り合わせた見知らぬ誰かが、あなたの人生をわずかに変えるかもしれません。 本書は、平日の朝八時二十三分発の各駅停車を舞台にした連作短編形式の群像劇です。腹痛に悶える青年、居場所を探す女子高生、秘密を抱えた再就職志望の男――。一話ごとに主人公が入れ替わり、それぞれの切実な事情が車内という密室で静かに交錯します。 一話がひと駅分の時間で読めるほどコンパクトでありながら、バラバラだった物語が最後の一話で鮮やかに結びつく見事な伏線回収が魅力。日常のすぐ隣にある小さな奇跡と優しさを描き、読み終えた後はいつもの通勤風景が少しだけ愛おしく感じられるはずです。 こんな方におすすめ ・通勤・通学時間に心温まる短編小説を読みたい方 ・最後にバラバラの線が一本に繋がる伏線回収を楽しみたい方 ・日常の何気ない瞬間に宿る希望や感動に触れたい方 終着駅にたどり着くとき、あなたの視界は朝の光で優しく彩られているでしょう。 -
84年の赤い色
今日はすべてがうまくいく日 片岡作品には、世間でマジョリティを形成しているヘテロセクシュアルばかりでなく様々なセクシュアリティの形が登場するが、今回はレズビアンだ。二人は今、40歳という節目の歳を迎えた。40歳。思い出も未来もたっぷりある年齢だ。二人が最初に出会った時のこと、それぞれ異性との結婚の経験がありながら、二人が互いにとってどんなに大切な存在なのかを思い知らされた日のことなどを二人は語り合う。今日は、インストラクターをしているほうの彼女の誕生日。二人の40台のスタートラインは上々だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
80歳、私らしいシンプルライフ
東京から安曇野に移住して16年。元『装苑』編集長、初のエッセイ 第2の人生を自分らしく楽しむ、シンプルで心地よい暮らしとおしゃれの工夫 60代で長野県安曇野市に移住し、第2の人生をスタートさせた元『装苑』編集長、德田民子さん。移住のきっかけは、夫婦で訪れたドライブで眼前に広がる美しい北アルプスの風景だった。たくさんのものを手放し、暮らしをリセットする中で気づいたのは“シンプルって、心地いい”ということ。 移住から16年。四季のはっきりした安曇野での暮らしやおしゃれの工夫、毎日をごきげんに過ごす秘訣など、80歳を迎えた德田さんの心豊かな日々をご紹介します。 第1章 安曇野で始めたセカンドライフ 第2章 シンプルで心地よい暮らしのマイルール 第3章 おしゃれこそ元気の素 第4章 四季を楽しむ家しごと 第5章 毎日をごきげんに過ごしたい -
八丈島と、猫と、大人のなつやすみ
六年間勤めた会社を離れ、八丈島で1ヶ月を過ごすことになった川瀬星子。仕事も恋もうまくこなしていると思っていたが、いつも味方になってくれた祖母の死をきっかけに、気持ちの糸が切れてしまったのだった――。 家賃はタダだけど年季の入った古民家の掃除に始まり、畑仕事と釣りで美味しい食材を手に入れ、スキューバや織物を楽しむ。温泉で疲れを癒やすと、いつも見かける猫は島の不思議を教えてくれる。 星ふる島で過ごす、大人にもきっと必要なひと時の物語。 -
8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら
60万人が涙腺崩壊! 結婚式を3ヶ月後に控えた岡山県の若きカップルを襲ったのは、新婦の原因不明の病。心肺停止、長い昏睡状態。6年をかけて徐々に意識を取り戻した新婦は当初、目の前にいる男性が結婚を約束した相手だと分からなかった…。今、ようやく自らの足で歩けるまでに回復した新婦の奇跡と、その婚約者の回復を信じ、支え続けた新郎の献身的な純愛。8年越しの結婚式には医療スタッフ、見舞い続けた友人達も参列し、新婦は父・母に支えられながらバージンロードを歩き、長かった空白を埋めていく。式場スタッフが撮影した動画がYouTubeで公開されると瞬く間に口コミを呼び、再生回数60万回超。 -
蜂の王様
高見沢俊彦。ギタリストであり、ソング・ライター。今をときめく、いわずと知れた超人気グループのリーダーだ。この世界に入って十年以上の時が流れた。原宿と麻布、千駄ヶ谷それに青山に部屋がある。そう、高見沢は文字通りの転がる石なのだ。部屋から部屋へ。ツアーからツアーへ。女から女へ。孤独から狂騒へ。ひとりに還り部屋に戻ればいつでも〈I’M A KING BEE〉を聴く。この単純なブルースナンバーが、ヒップ・スターを演じる高見沢の唯一の子守歌なのだ。ロックを食み、通底してロックのフィールドを熱く見つめ続ける著者が放つ、THE ALFEEの高見沢俊彦をモデルにした渾身のロック小説。 -
八秒で跳べ
ふたりが出会った夜から何か変わりはじめる――〈青春〉の化学反応を目撃せよ! 春高バレーの予選まであと数日。宮下景が所属する明鹿高校男子バレー部は、6月のインターハイ予選で初めて県の準決勝まで進んだ。チームを引っ張るのは、同学年の2年生エース置久遊晴。「いまのチームなら全国も目指せる」と、3年生3人が引退をせずにチームに残り、景、梅太郎らのレギュラーメンバーで、夏に敗れた全国常連の強豪校・稲村東と戦うことになるはずだった。 けれど……あの時。まずい、と思ったときにはすでに体勢が崩れ、足首から下が、ぐにゃりと曲がっていた。勝負の稲村東戦へ代わりに出場にすることになったのは、中学時代からのクラスメイト北村。実は大会後、北村が退部届を出すつもりでいたことを、景だけは知っている。だからこそ「勝手にしてくれ」と思ってしまった。そしてあの日から、何か歯車が狂いはじめる。 一方、怪我をする前夜、高校のフェンスを乗り越えようとしていた真島綾。それに驚いて自転車から転んだ景は足首を痛めていた。そのことに責任を感じているらしい真島に、景はバレー部のポスターを依頼し、連絡を取り合うようになる。圧倒的な画力で学園祭のポスターも手掛けた真島には、しょっちゅう高校を休みがちで、実は親友にしか明かしていない秘密があった。 景の側にいつもあったバレーボール、真島の側にいつもあった漫画。それぞれが楽しくて、ずっと続けてきたはずなのに、いつから苦しくなってしまったんだろう!? 自分の居場所が見つけられず、前に進めずにいるふたりの想いは交差しながらも、遂にクリスマス前夜に止まっていた時間が流れ出す――。 -
8フィートの週末
再会は3人で。 片岡義男の小説に登場するサーファーは、波乗りしかしていない男たちだ。 最低限の生活費を稼ぎ、職業を持たず、ただサーフィンすることだけに生きている。 この中編小説の男もそうだ。 しかし、サーファーにも出会いはある。 出会いの後に再び波を追い求めて遠く離れても、 時には数年の時間を超えて、再会が待っていることもある。 去った男を責めない、ただ再会を純粋に喜ぶことのできる女。 そして3年前と違って今は、2人はもう2人ではない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。 -
蜂蜜記者と珈琲騎士
鉄道事業に力を注ぐ技術先進国のブリンディル王国。 伯爵令嬢のミレニエは、一人前の新聞記者になるという夢を叶えるためゴーディン新聞社で働いていた。社長のダニエルから「1年以内に一面を飾る記事を書かなければ自分と結婚してもらう」と半ば脅しのように契約を結ばされたミレニエは、迫る期限に焦っていた。 そんな中、ミレニエは隣国から王女ラナジュリアが来訪するという情報を耳にし、一面記事のチャンスをつかむため取材に向かう。そこで出会ったのは、近衛騎士として王女の護衛をつとめる、珈琲色の髪と瞳を持つ凛々しい青年・カイルだった。彼に警戒されながらもなんとかラナジュリアへの取材を取り付けたミレニエは、「女狐」と称され偏見まみれの描かれ方をされてきたラナジュリアの真の姿を知っていくことに。 しかし同時に、ラナジュリアを狙う不穏な陰謀に巻き込まれ、ミレニエはカイルとともに捜査することになり……! 女性が仕事に就くことが難しい時代に、夢を叶えるため奮闘する、新米記者の恋と仕事の物語。 -
白球は時空を超えて
センバツで旋風を巻き起こした松山東ナイン その躍動を豪華写真とともに記録した完全永久保存版 2015年春の甲子園・感動が甦る一冊! センバツ劇的初勝利の舞台裏で何が起きていたのか? 歴史的偉人からスタンドに集った7000人の大応援団まで 幾多の知られざる熱き想いに迫るインサイドストーリー! 故郷へ野球をもたらした子規の情熱と ある歴史的偉人の野球界への愛情とは? 7000人もの大応援団が集まった 知られざる大プロジェクト秘話! 83年目の大旋風を裏で支えた データ班のマル秘エピソード 狭くても勝てます! 効率よく甲子園を目指す秘訣 歴史的勝利に隠された ナインと監督の感動物語 夏の甲子園に向けての想い <特別寄稿>果たせなかった思い、時を超えて。 プロローグ あの頃の、僕らへ。~真緑に染まったアルプスからの景色~ 第1章 野球と、俳句と、場づくりと。~人生という名のダイヤモンドを駆け抜けた男・正岡子規~ 第2章 品位と品格を。~ある幻の球団を設立した男・高橋龍太郎の気骨~ 第3章 松山東高野球部クロニクル~栄光と苦難、そして復興の歴史を辿る~ 第4章 狭くても、勝てます。~東高ナインが実践するハンデ克服法~ 第5章 弱者の兵法。~2015年春・二松学舎戦ドキュメント~ 第6章 その時、アルプスが揺れた。~甲子園に集結した7000人の仲間たち~ オピニオン 21世紀枠の存在意義と高校野球100年について 記者コラム 短期間で戦う集団に変貌した後輩たち 特別読み物 ショートショート「甲子園の魔物」 第7章 開かれた新たな扉。~2015年春・東海大四戦ドキュメント~ 第8章 夢見る頃を過ぎても。~7000人分の1の心模様~ 第9章 その後の球児たち~大学、社会人、プロ、指導者で活躍したOB~ エピローグ 春風そよいだ、その後で。~21世紀枠で出場してみて感じたこと~ -
HACK
一般読者から、 「圧倒的な没入感」 「世界の解像度が上がる」 というレビュー続々! 今度の「マネーロンダリング」は、暗号資産(=仮想通貨=クリプト)! これが令和の冒険ミステリーだ!! 橘玲11年ぶりの書き下ろし長編。 2024年、秋。 暗号資産で得た利益への課税を逃れ、バンコクで暮らすハッカーの樹生(たつき、30歳)は、大麻ショップの屋上で日本人の情報屋・沈没男(ちんぼつおとこ)から相談を受ける。彼は、特殊詐欺で稼いだ違法資金を、ビットコインを使ってマネーロンダリングしたい、というのだ。 頭脳明晰だが退屈な日々を送る樹生は、その話に乗ることにした。彼にとってはハッキングもマネロンもクリプト(暗号資産)もすべて「ゲーム」だった。 そんな樹生は、五年前のスキャンダルで失踪した元アイドル咲桜(さら)がバンコクにいることを知り、そして彼女から連絡を受けたことがきっかけで、国際的な「陰謀世界」へと迷い込んでいく——。 樹生にとって、最初は取るに足らないゲームのはずだった。彼に近づく検察と公安の諜報機関。北朝鮮のハッカー集団ラザルス。関知せず動かないタイ警察。なぜか樹生にコンタクトを取り続ける伝説のハッカーHAL(ハル)---。 ハッキング技術を駆使した、目眩くマネーロンダリング手法と、二重三重に仕組まれた罠と裏切りで、狙い狙われるのは、10億円が500億、そして2500億円へと瞬く間に膨れ上がる北朝鮮の暗号資産マネー——。 -
白虹
きっと、同じ光を見ている。もう二度と会うことはなくても。 月の光でできた虹がある。 そのほのかな光は、カメラに映ることはない。 「白虹ですね」 「はっこう…?」 「白い虹って書いて、はっこう。虹の一種です」 いわれのないパクリ騒動で炎上した漫画家・六連涼(むつらすず)。散々にたたかれ、同棲相手もそんな仕事をやめたほうがいいんじゃないか、と勧められる。こんなはずじゃなかったのに。 公私ともに行き詰まった日々。もうすぐ30歳を迎えようとしているとき、既婚の編集者・桐野への恋心に気がつく。 「私、仕事を辞めて結婚することになると思います」 「辞めるって…漫画をですか?」 破り、破られるものは何なのか。カメラには映らない淡い光が、それぞれの答えを導き出す。 Novel Jam 2017 出場作品 -
#拡散希望 その炎上、濡れ衣です
第9回『ネット小説大賞』の受賞作。濡れ衣のネット炎上&逆転を描いたサスペンス! ウェディングプランナーとして充実した日々を送っていた藍原ひかる。ある日、トラブルだらけの披露宴に出くわし、騒ぎの収拾に手を貸した。――その後日。「#A原、死んで詫びろ」「#A原を許さない」ハンドメイド作家としてSNSで知名度のあった新婦の投稿から、瞬く間に式当日のずさんな対応が拡散され、なぜかその責任者として藍原の名前が挙がっていたのだ。悲劇のヒロインとして注目を浴びたい新婦、広がる炎上に愉悦感を覚えて火種を投下し続ける新婦友人、ゲーム感覚で藍原の個人情報を特定していくネット民。絶体絶命の窮地で、藍原が出会った弁護士・九印葉桜は彼女に“前代未聞の訴訟”を提案し……。怒濤の逆転劇が幕を開ける! -
#90秒で恋がしたい
TikTok小説家、空白代行のデビュー作! ショートショート26作品と中編小説を収録。書き下ろしもたくさん楽しめます。 ■はじめにより 90秒で、それぞれの物語に、それぞれの思いを馳せることができます。 物語に出てくる登場人物には、巻末の中編小説を除いて、名前は付けておりません。 なので、物語の中に誰かを投影して、読むこともできます。 もし投影できなくても、読み終えたあとに、ふと誰かを思うきっかけになるかも知れません。 この本には、そんなあなただけの景色が広がっています。 その綺麗な景色を、あなたが思い浮かべた、その誰かに共有してみてください。 きっと、幸せな言葉が返ってきます。 「いいね」と。 そう言葉を掛けてくださったみなさまのためにも、誰かの幸せのきっかけになるためにも、この本を作りました。 どうか、あなたの中で忘れられない一冊になりますように。 -
#殺人事件の起きないミステリー 自薦『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ傑作選
人が死ななくても、ミステリーってこんなに面白い! 『このミス』大賞シリーズのなかから、著者自ら選んだ“人の死なないミステリー”のみを集めました! 抽選くじの番号が重複してしまった理由とは……岡崎琢磨「ビブリオバトルの波乱」。 危険なダイエットを続ける女子大生に隠された秘密とは? 友井羊「ふくちゃんのダイエット奮闘記」。 日常に潜む謎を名探偵たちが華麗に解決! 怖がりさんでも楽しめるとっておきのミステリー集。 【目次】 ビブリオバトルの波乱(「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズより) 岡崎琢磨 緋色の脳細胞(『名探偵のままでいて』より) 小西マサテル 知識と薬は使いよう(「薬剤師・毒島花織の名推理」シリーズより) 塔山 郁 ふくちゃんのダイエット奮闘記(「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん」シリーズより) 友井 羊 暗い部屋で少年はひとり(「谷中レトロカメラ店の謎日和」シリーズより) 柊サナカ -
#マンホール
第73回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門招待作品! 主演:中島裕翔(「ピンクとグレー」)×監督:熊切和嘉(「私の男」)×原案・脚本:岡田道尚(「マスカレード・ホテル」シリーズ)のタッグで放つ、 ワンシチュエーション・スリラー『#マンホール』(2023年2月10日公開)を、『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作家の著者がノベライズ! 予測不能、驚愕の結末を本でも楽しめます。 (あらすじ) 自身の結婚式前夜に開かれたサプライズパーティーで、新たな人生の幕開けを同僚たちに祝われる「川村俊介」。 パーフェクトな自分の人生に満足していたが、その帰り道、深酔いした彼が暗闇のなか目を覚ますと、そこはマンホールの底だった。 手元にあるのはスマホだけ。 しかしGPSは誤作動を起こし、知人や警察も当てにならない。 タイムリミットの夜明けが迫るなか、唯一通話できた「元カノ」と、SNSでアカウントを立ち上げてつながったフォロワーたちに助けを呼びかけるが、事態は予想外の展開に向かうのだった――。 -
ハッチとマーロウ
ママが突然卒業宣言!?双子たちが大奮闘! 青山七恵が温めてきた懐かしくて新しい物語。 「ママは大人を卒業します!」とシングルマザーで小説家の母親が突然の宣言。 11歳の誕生日に大人になることを余儀なくされたハッチとマーロウ。お料理ってどうやって作るの?お洋服、何を着ればいいの?双子に個性って必要?私たちのパパって誰なの・・・・?少しずつ目覚めるふたりの自我と葛藤。二人の12歳までのコミカルでシビアな1年間を優しい視点で紡ぎ出す。 奮闘するかわいい双子の日常が、大変だけど、楽しくって愛おしい。 結末に知るママの子供への思いに涙。双子が交わした将来の小さな約束に心揺さぶられる。 TBS「王様のブランチ」、日経新聞、毎日新聞、VERY、Oggi、など多数のメディアで大絶賛。中学入試でも多数の学校で採用されるなど大人も子供も必見の書が待望の文庫化。思っている以上に子供って大人、大人だって本当は、まだまだ子供、そんな微妙な内面を鮮やかに描ききる。 かつて子供だった大人へ、これから大人になる子供達へ贈りたい、感動の物語。全編を飾るイラストは、大人気イラストレーター・田村セツコさん。 文庫版解説に東直子さん。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『ハッチとマーロウ』 の文庫版となります。 -
八百八寺の風鈴屋
京都に佇む風鈴専門店『風の通り路(みち)』。この店には、代々伝わる不思議な風鈴があり、お人好しの兄弟が働いている。 不思議な風鈴によって、悩みを抱える来客を知る若店長・遊佐和真は、今日も今日とて商売そっちのけで客の問題に首をつっこむ日々。一方、そんな兄を諌(いさ)めるのは、共に働く現実主義者の弟・遊佐隆司。でも、調子のいい兄のペースに乗せられて、いつもいつの間にか協力する羽目に。 そんな二人が働く風鈴屋に、亡くなった夫の想い出を巡ってある老婦人が訪れて……。 これは、風鈴によって人々の悩みを幸せに変える、お人好しな風鈴屋兄弟の物語。 -
ハッピー・エンディング
女と男とカーチェイスと 拳銃があればすなわち、映画だ。 映画を小説で実行した、という構えを持つ短編。 図体の大きい、目立ちすぎる車をまず登場させ、 そこで女と男のささやかな再会劇がある。 男の素直な、あるいは幼稚な、と言ってもいい願望が語られ、 女の現在の願望、状況が語られ、 あっさりとピストルが導入され、 あとは適切にシーンごとにアクションとショットを重ねれば 物語は最後の場面に突入する。 主役2人にとっては、極上のハッピー・エンディングだ。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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