国内小説作品一覧
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3.0佐藤愛子九十歳・奇跡の話題作、待望の文庫化! 老作家・藤田杉のもとにある日届いた訃報――それは青春の日々を共に過ごし、十五年間は夫であった畑中辰彦のものだった。 「究極の悲劇は喜劇だよ」 辰彦はそういった。 それにしても、どうして普通じゃ滅多にないことばかり起るのか。 当時の文学仲間たちはもう誰もいない。 共に文学を志し、夫婦となり、離婚の後は背負わずともよい辰彦の借金を抱え、必死に働き生きた杉は、思う……。 あの歳月はいったい何だったのか? 私は辰彦にとってどういう存在だったのか? 杉は戦前・戦中・そして戦後のさまざまな出来事を回想しながら、辰彦は何者であったのかと繰り返し問い、「わからない」その人間像をあらためて模索する。 枯淡の境地で、杉が得た答えとは。 『戦いすんで日が暮れて』『血脈』の系譜に連なる、かつて夫であった男と過ぎし日々を透徹した筆で描く、佐藤愛子畢生の傑作長編小説。
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4.2株で大損、妻を担保にアメリカへ……それでも、この男はすごかった! 奇想天外なアイデアと並外れた行動力、そして内助の功と多彩な仲間たち――“別府観光の父”と呼ばれた男の、感動の生涯を描く力作長編。明治維新の五年前、伊予国(愛媛県)宇和島に生まれた油屋熊八は、大阪で経済記者をするかたわら株で大儲けし、一時は「油屋将軍」と呼ばれるほどだった。だが日清日露の戦争後に読みを誤り、財産を失う。妻のユキの助けもあり、熊八は再起を懸けてアメリカへ行くも、思うような成果は得られなかった。しかし四十八歳の時、大分県別府で宿屋を始めたときから、熊八の第二の人生がスタートする。これまで日本になかったような温泉観光地を――地元の反対、資金不足など、様々な困難に遭うも、「万事オーライ」の精神で乗り越え、仲間や妻とともに別府を日本一へと導くまでの奮闘を描いた感動の長編小説。
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4.0「こーんなはずじゃなかったのに」16歳の熱血少女サクコは、まるでやる気のないブラスバンド部の空気にすっかり嫌気がさしていた。「イヤだったら、やめりゃーいいのよ」という親友ツーニーの言葉にも、一途なサクコは「中途半端じゃヤダ」と、悩みは深くなるばかり。だがそんなある晩、サクコはたまたま見たTV番組「ナイスなバンド天国」(ナス天)で、三人組の女の子ロックバンドに衝撃を受ける。音楽=クラシックという図式が確立していたサクコにとって、それは運命の出会いだった! そして翌朝、サクコはツーニーを電話で叩き起こす。「バンド作らない!?」ロックのロの字も知らない女の子のバンド大作戦が、こうしてスタートした……。深沢美潮が描く、リアルでキュートなガールズバンドストーリー、待望の電子化!
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3.8中学生になった少年・高萩音斗は、小学生時代から「ドミノ」と呼ばれてからかわれるほどすぐ倒れる貧血・虚弱体質に悩んでいた。 そんな彼を助けようと「隠れ里」からやってきたのは、すこぶる変わった遠縁の親戚たち。 彼らは札幌の商店街で、深夜営業のパフェバーを営み始めて・・・。 北の都を舞台に、個性的な3人のイケメンたちと、音斗をめぐる物語。 おかしくてちょっぴりほろっとするハートフルストーリー!
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4.3「この国の岐路を、異国に委ねちゃあならねぇ」――黒船来航によって鎖国から開国へと急展開した幕末。江戸に呼び戻された若者・田辺太一は、幕府が新設した外国局での書物方出役を命ぜられるが、前例のないお役目に四苦八苦。攘夷を叫ぶ世間からは非難され、上役の水野忠徳は気難しい。朝廷が反対する日米修好通商条約を勅許を待たず締結したため、おさまりを知らぬ攘夷熱と老獪な欧米列強の開港圧力という、かつてない内憂外患を前に、国を開く交渉では幕閣の腰が定まらない。そんな中、鼻っ柱の強い太一は、強腰の異人たちと渡り合ってゆく――。史実を背景に日本外交の幕開けを描く長編。
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3.5「すべての責めは私が負う。覚悟はできている」――財産税導入、預金封鎖、新円切替……日本を救うこの決断は、この男にしかできなかった。『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』の著者が描く、傑作歴史小説! ◇あらすじ 渋沢栄一の孫にして、日本銀行総裁、そして大蔵大臣を務めた渋沢敬三。彼はなぜ、第二次世界大戦後、預金封鎖や新円切り替えなどの苛烈な経済対策に踏み切れたのか? 生物学者をめざす心優しい少年が、その人柄ゆえに経済界の要職に抜擢され、日本の財政の行方を左右する究極の決断を迫られるようになるまでの数奇な生涯を、大胆な視点で描いた長編小説。
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3.76年間の放蕩の果てに実家の寺に出戻った照月は、あらゆる欲を捨て「絶食系男子」に生まれ変わることを決意する。しかし修行を終えた彼を出迎えたのは、父ではなく欲望まみれの謎の美人姉妹だった! 派手でセクシーな “女豹”ことフミヨと、清楚だけど肉感的な“菩薩”のテイ子。自称姉妹の2人が境内に開いたバーには、連日煩悩まみれの檀信徒や町の人々がトラブルを持ち込んでくる。寺での生活を守るため、照月は嫌々トラブル処理に奔走するが……!? 欲と食の極楽へようこそ! 無欲の絶食系僧侶×欲深き美人姉妹、異色のトリオがあなたのお悩みを解決します。 痛快・爽快・うっかり泣ける!? 新食感のお仕事小説!!!!
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3.0痩せたら何かが変わるかも! 「痩せてキレイになりたい!」 テレビニッポン広報部で働く山田まゆは28歳、彼氏ナシ。元カレの結婚式で、憧れの二ノ宮先輩と再会し舞い上がってしまうまゆ。しかし開口一番に先輩から言われたのは「きみ、太った?」という余りにもショッキングな一言だった。 まゆは、これまで先延ばしにしてきたダイエットに挑戦するためジムに入会するが、体重はなかなか減らず、アガらないモチベーションに何度もくじけてしまう。ままならない仕事も恋も、ダイエットに成功すれば変われる――? バージョンアップを目指すすべての女子に捧げる、TOKYO発のキラキラノベル!
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-ダグルア星の裕福な家庭に生まれ育ったウンジェールは、治療を重ねるうちに主治医のジャヴァードイルハムに恋心を覚え始めていた。しかし、ジャヴァードイルハムは“マスター”と呼ばれるウンジェール一族の所有者に背くことができない。ウンジェールは泣く泣くマスターが決めた婚約者と結婚することに。しかし星を挙げての結婚パレードの最中、目の前にジャヴァードイルハムが現れる。さらに、マスターが差し向けた追っ手の影が迫り……。ウンジェールとジャヴァードイルハムは二体のロボットの応援のもと、地球を目指してダグルア星を飛び出した!ロボットに追われる二人は、無事に地球にたどり着くことができるのか!?
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-【第8回小説すばる新人賞受賞作】父親がいない複雑な家庭に育った主人公・衿子。結婚を目前にして、衿子は自らの過去に向かい合うことになる。遠い記憶をさかのぼれば、いつも頭に浮かんでくるのは「バーバー」のことだった……。幼い頃、母と姉と一緒に日曜日ごとに通っていた鎌倉の古い家。そこに一人で住んでいた「バーバー」と呼ばれる謎の老人。おしゃれで、どこかの国の王様のように優雅で、とびっきり上等で、いつも幼い自分を気にかけて守ってくれた温かくて優しいバーバー。あの人は一体、何者だったのだろうか? 母の恋人? 私の父親? それとも? しかし、そんな慈しみに満ちた平穏な日々を断ち切る事件が起きる。別れを告げてきた少女期の夢のかけらたちへのレクイエム。いびつでありながらも純粋な家族の形を描く、遠い日の愛と癒しの物語。
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-文春文庫×エブリスタ 第1回バディ小説大賞受賞作が電子書籍化! 文春文庫が小説投稿サイト「エブリスタ」とコラボして開催した「バディ小説大賞」。 「お仕事」をテーマとした第一回にはたくさんの応募が寄せられ、「BURNT OUT ROOM」が栄えある大賞を受賞した。 その受賞作が電子書籍として登場する。 【あらすじ】 40万人の人口を誇る東京都夕暮市。 棉苗上亮(わたなえじょうすけ)は夕暮消防署ではたらく現場ひとすじの消防士だ。 上亮は人知れず悩んでいた。一昨日、ジャワ・ハイツ203号室で起きた火事。 その現場で、要救助者を救うことができなかったことを――。 上亮はその火災現場を調査する警察に呼び出され、再びジャワ・ハイツを訪れる。 そこで上亮を待っていたのは、個性豊かな警察官の面々。 中でも群を抜いて奇抜なのは、VRのヘッドギアをつけて捜査する男。 「火事場の奇人(シャーロック)」の異名をとる天才刑事・穂村彗星だった。 事故として片付けられていた火災現場を不審がる彗星は言う。 「僕たちの仕事は実にシンプルだ」 「この焦げ付いた空間から、真実という名のダイヤモンドを拾い上げること」 熱血消防士×変人警察官!? 性格も考え方も正反対のふたりは、「真実という名のダイヤモンド」を見つけ出すことができるのか? 「作品としての個性があって、他作品からひとつ抜けていました。」 「ミステリーとしての構成も達者」 と選考委員から絶賛された、新世代のバディ小説の誕生。
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-シリーズ第一作「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」の前日譚。何者かによって、呪いをかけられてしまったジャック・スパロウ・彼は、その呪いを解く秘薬シャドウ・ゴールドを求めて、七つの海をめぐる冒険の旅へ出る。待ち受ける恐るべき敵、シャドウ・ロードとは!?
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-森達也氏推薦! 少数者に対して無慈悲な国家と冷酷な集団。 ここに描かれるのはまさしく現在のこの国のメタファーだ。 話題必至、超近未来ディストピア小説――この馬鹿馬鹿しくも空恐ろしい物語は、どのような結末を迎えるのか? あなたの国家観が試される?! 東京オリンピックが2020年に何事もなく成功裏に幕を閉じた後、日本とロシアは国境の領有を指相撲の勝敗で決める平和の祭典を開催した。8年後、今また韓国と日本の間で平和の祭典が開催される。 戦うのはアスリートではない。韓国の代表選手に選ばれたのは、幼少期に共和国へ渡った在日コリアンで、後に脱北した朴光雄。日本代表選手は、両親が中部アフリカからの難民である、日本生まれの吉田ユニス。 それぞれに事情を抱え、国家に翻弄される難民であり移民でもある二つの家族が、押し寄せる現実の荒波の先に見たものとは? 本書の映画化も当然期待できる。
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4.5受難(パシヨン)を越えて、求めよ、自由を――。『熱源』で直木賞を受賞した著者による、新たな到達点! 禁教下における“最後の日本人司祭”となった小西マンショの人生を軸に、異文化同士の出会いと摩擦、争いの中での“希望”を描いた圧巻の歴史小説。キリシタン大名・小西行長の孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)の運命は、関ヶ原の戦さによって大きく変わった。離縁された母・マリヤとともに彦七は長崎へ。キリシタンへの迫害から逃れてきた、小西家の遺臣らの世話になりながら成長していく彦七だったが、彼には小西家再興の重圧がのしかかっていく。キリスト教が禁じられ、信徒たちの不安が高まるなか、彦七はある重大な決断を下すのだが……。“受難の時代”を生きる者たちの魂の叫びが刻まれた、著者渾身の長編小説。 〈目次〉●序章 主の孫 ●第一章 天国の門 ●第二章 出日本 ●第三章 求めよ ●第四章 走る群雲 ●第五章 受難(パシヨン) ●終章 世の終わりまで
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-雪から雪へ、時は移り 始まったものは、終わる。 空から舞い落ちる、白い雪。 夏の青い空と陽射しが主流の片岡作品にあって 雪は貴重な例外だ。 しかしながら、同時にこの作家特有の「型」もここに見ることができる。 走っている男が、約束もなしに、路上で女を拾う、というパターンだ。 現実にそんなことはまずおこらない、という感想は無意味だ。 ここには出会いがあり、自然な流れがあり、喜びがあり、 時が経過して、やがて悲しみが来る。それだけだ。 そして最初と最後に、雪があった。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。76年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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-さら・シリウス:あらすじ 唯月理杜:文章 『パソコンの中のドア』 イラストレーターとして、夢を諦めかけていた山本真莉奈は、あるブログに目を留める。パソコン内に開かれた不思議なドアを通して、ブログの執筆者と温かな交流と想いを重ねていく真莉奈。しかし、そこには……。 『三人描かれた肖像画』 しがない画家の樋口洋一郎は、アルバイトをしながらとある老人の肖像画を描いていた。そして、老人と交流を深める内にある事実を知る。 ――洋一郎は、ただ何者かになりたかった。 『お願い事は具体的に』 山崎明は「自分が、次の跡継ぎに」十年来にわたる口約束を信じ、ただ一心に働き続けてきたが、それは本来の跡継ぎが戻ってきた事で、あまりにも他愛なく裏切られた。 そこに、何でも願いを聞いてくれるという老婆が現れ――。 『哀しい浮遊霊』 自殺した地縛霊として、ホテルの一室に縛られた翔太は、そこで亡くした妻と瓜二つの顔をした新婚夫人の美佐子と出会う。夫にも恵まれず、幸運とは到底言い難い彼女を救うため、翔太は己の存在を削り、その全てを懸け彼女を助けようと決意する。 『寿命漫画』 順調だった漫画家人生から一転。ネタが尽きたという翳りが差し、行き詰まった細川真理は、とあるチラシに目を留めた。 『漫画家募集、ストーリーはこちらで用意します!』唯一のチャンスにしがみ付いた、その先には――。 『浮世絵師は悩まない』 売れないイラストレーター、上園数馬はひょんな事から江戸時代へとタイムスリップしてしまう。現実でも頭が痛い悩みばかりの中、それは江戸時代でも付きまとう。それを救ったのは、とある辻占い師の一言だった。
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-すれ違いの多かった俺たち夫婦の前に、突然現れたパタパタという一匹の野良猫。妻はその猫を偏愛し、俺はそのことで気が立っていた。そしてある日、ちょっとした事件が起こり、妻は深夜、俺に背を向けて、自宅のドアを出ていった……。 野良猫と夫婦のちょっと切ない表題作「パタパタ~ある野良猫の物語~」。 絵本が大好きだった僕の妹。いつも僕のそばにきて絵本を読んでってせがみます。僕はそんな妹が大好きでした、でも、ある晩、妹はたくさん鼻血を出して、病院に担ぎ込まれました……。 著者が泣きながら書いた「いもうとの絵本」。 平成4年の日本ダービーに出走してきた小柄で地味な一頭のサラブレッド。大きなレースで人気馬の夢を潰し、詰られ、蔑まれて、ヒールになった競争馬。それでも、孤独なステイヤーは黙って走り続け、最後は自分の手でその理不尽な悪役のレッテルを剥がすことができる。そして、一番人気馬として堂々と出走してきたレースで悲劇が起こる……。 競馬ファンなら誰もが涙する「ライスシャワー」。 その他、笑いと涙が交差する珠玉のお話しを17編集めた、椿山諒初のエッセイ集。 「あなたの胸の中に一本の小さな灯りが灯ります」 著者紹介 椿山 諒(つばきやま りょう) 大阪府堺市在住。27年間勤めていた印刷会社を退職後、IT関連会社を立ち上げ、現在に至る。 作家の椎名誠に憧れ、若き頃はキャンプと酒に明け暮れていた。その後、作家の浅田次郎の書く小説に感涙し、酔いにまかせた戯言をフェイスブックへ投稿するようになる。趣味は里山歩きとそこで出逢う神社仏閣。万人に知られた有名どころより、地元で大切に守られている小さなお社をこよなく愛す。最近は歴史小説を書くようになり、当時の息遣いが感じられる史跡、古墳、資料館などに足を運ぶのも唯一の楽しみ。 音楽の原点は、Simon & GarfunkelやAmericaなど60、70年代の洋楽フォーク。ギターを再び始めようかと思っている今日このごろ。
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3.7味わい尽くしてやる、この都市のギラつきのすべてを。 コロナ禍の北京で単身赴任中の夫から、一緒に暮らそうと乞われた菖蒲(アヤメ)。愛犬ペイペイを携えしぶしぶ中国に渡るが、「人生エンジョイ勢」を極める菖蒲、タダじゃ絶対に転ばない。過酷な隔離期間も難なくクリアし、現地の高級料理から超絶ローカルフードまで食べまくり、極寒のなか新春お祭り騒ぎ「春節」を堪能する。街のカオスすぎる交通事情の把握や、北京っ子たちの生態調査も欠かさない。これぞ、貪欲駐妻ライフ! 北京を誰よりもフラットに「視察」する菖蒲がたどり着く境地とは……? 著者自身の中国滞在経験とその観察力が炸裂する、一気読み必至の“痛快フィールドワーク小説”!
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-日本ではまだ一度も用いられていないM&A(企業買収)の手法が銀行でどう使われるか? 二人の元都銀マンが地銀をどう変えられるか。再編が不可避だと思う主人公たちが異なる手段で改革を試み、激突する。勝利の女神はどちらに微笑みかけるか。 【目次】 序章 緊急事態 二〇一五年夏、四国 二章 陣内、唐沢、それぞれの春秋(上) 三章 陣内、唐沢、それぞれの春秋(下) 四章 新たなるミッション 五章 激突 終章 宴の後 【著者】 雄多圭佑 37年のビジネス経験の中で銀行を熟知する。M&A(企業買収・売却)の世界もよく知り、世界70ヶ国を歩き、日本の47都道府県も全て訪れた。
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-見ることは通り過ぎること。 すべて自分のものでない風景の中を。 端的なタイトルがこの短編のすべてを表している。 通り過ぎること、それがすべて。 町を通り過ぎながら、見る。 徒歩や自転車やオートバイのように体を外気にさらさない 四角い個室のまま自動車で移動することで 見ることは純化される。 通り過ぎることでカメラ・アイになる。 そこに対向車が、ガス・ステーションが、林が、湖が、 広告の看板が、遊園地が、ビーチパラソルが、教会が映る。 主人公は、カメラではなく、人間であることを忘れないように(?) 時折、リンゴをかじる。 【著者】 片岡義男:1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。
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3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 校舎屋上で水野が見つけたのは、巨大な“水たまり”と、そこで泳ぐ美少女・水原。彼女曰く、水たまりに潜りながら強く願うこと――「パドル」により、世界を一つだけ変えられると言う。 パドルの秘密、水原との距離、水原が「パドル」をする理由とは。 二度読み必至! 切なさに満ちた青春小説!
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3.4中学2年生の水野耕太郎は、唯一の親友だった三輪くんの転校をきっかけに、屋上へ出る階段の踊り場を「別荘」と名づけ、昼休みの時間をひとりで過ごしていた。 夏休みを間近に控えた7月の昼休みのこと。 水野がいつものように別荘で時間を過ごしていると、ザッパーンという大きな音が屋上の方から聞こえてくる。 屋上に出てみると、そこには驚くほど大きな“水たまり”が広がっていた。 そして、その水たまりで、女子生徒がバタフライで泳いでいる――。 混乱し、立ち尽くす水野の目の前に、水たまりから優雅に上がってきたのは、水泳部のエースで学校一の美少女と名高い、隣のクラスの水原だった。 水原は、水たまりに潜る行為のことを“パドル”と呼び、「パドルをしながら強く何かを願うと、世界をひとつだけ変えられる」のだと説明する。 半信半疑ながら、誘われるままに水たまりに飛び込んだ水野は、パドルで実際に世界が変わるのを目の当たりにする。 水原がある一つの“目的”に向かって、パドルを繰り返していることを知る水野。 そしてはからずも、その“目的”のためのパドルが、思いもかけない衝撃の真実を浮かび上がらせ――。 第六回ポプラ社小説新人賞受賞作!
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3.5どこでどう生きてても友達になりたくない? 17歳の夏、SNSで知り合ったパパイヤとママイヤは木更津の小櫃川河口の干潟で待ち合わせをして、初めて会った。アル中の父親が大嫌いなバレーボール部のパパイヤと、芸術家の母親に振り回されて育った、写真が好きなママイヤ。二人は流木が折り重なる“木の墓場”で週に一回会うようになり、心を通わせる。 そして、奇跡のような出会いは、二人の夏を特別なものに変えていく―― 少女たちの儚くも輝かしい一夏を瑞々しい筆致で描く、新時代のガールミーツガール小説。 ※この作品は過去に単行本として配信されていた『パパイヤ・ママイヤ』 の文庫版となります。
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-月野耕生28歳。大学在学中に起業した会社が倒産。妻は離婚届を残して出ていき、6歳の娘が残った。当面の生計のために託児所付きの生命保険会社に入社し、慣れない営業の仕事を始めたが、簡単にはうまくいかない。悪戦苦闘しながら変わっていく耕生の姿にエールを送りたくなる物語。
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-特権階級の令息が集う英国随一の名門校アビイ・パブリックスクール。オータム・タームの初日、高等部二年の教室は騒然としていた。日本から悩ましいほどに美しすぎる広瀬翡翠《ひろせひすい》が転入生して来たからだ。不適切な行為が禁じられているにも関わらず、男子全寮制で暮らす思春期を迎えた生徒たちにとって恋愛やセックスは避けて通れない欲求だ。映画のような恋愛に憧れる生徒たち。セフレの関係を求める生徒たち。魔王崇拝の秘密結社を操り、生徒を生贄にした享楽の乱交パーティーをつかさどる生徒たち。輝かしい名門校アビイ・パブリックスクールの光と闇の中で、監督生《プリフェクト》でヘッドボーイ、美貌のアルファのアレンと美しすぎるオメガの広瀬翡翠《ひろせひすい》の甘くせつない猥らな純愛物語。翡翠には幼少期の記憶がない…。デジャブのピースが謎の過去をジグソーパズルのように埋めていく…。
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2.013年前、鈴原病院に事務部副部長として入職した竜崎が配属されたのは医事課だった。 入って早々、迷惑な患者による恐喝行為や暴力行為、病院内の私利私欲を貪りまったく仕事をしない副院長、 節操のない男女関係や不当な人事を行う理事長など、病院内部の人間に潜む「異様さ」に直面する。 竜崎はそのような連中に毅然と立ち向かい院内環境の改善に努めるなかで、 老朽化した病院の建て替え計画を進める担当となる。資金調達のため内部事情を知るうちに、 理事長を筆頭とした既得権益をもつ人間たち(=パラサイツ)によって病院が私物化され、 経営が圧迫されていることが明らかになる。 この頃にはすでにこの病院の諸悪の根源が理事長にあることに気づいていた竜崎は、 強大な権力を前に一刀両断にできる機会を虎視眈々と狙っていた。 鈴原家をはじめとした病院に巣食うパラサイツの悪事や、 病院改修工事に向けた資金調達の道のり、鈴原病院の体質改善を装い竜崎に仕掛けられた罠……。 「いつか必ず経営を改善し理想の病院を目指す」と懸命に食らいつく竜崎が、次々に降りかかる災難に挑む。
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3.7──植物は嘘をつかない 植物は優しい。どこまでも優しい。 植物に囚われる、この病は人々の救いなのかもしれない。 樹木医である雨宮芙蓉は、心療内科医の朝比奈匡助の依頼で、奇妙な仕事をしていた。それは寄生植物病(通称・ボタニカル病)、つまり植物に寄生されるという未知の病に罹った人々を診察すること。さまざまな植物に寄生された患者たちを治療するために、患者たちの持つ苦悩に向き合い、耳を傾ける芙蓉。しかし、この病には大きな謎が潜んでいた──。 朝宮運河・解説/丹地陽子・装画
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4.3自己啓発作家としてデビューしたものの次回作が書けずに、 行き詰まりを感じている太一。 読者に向けたトークイベントを行うが、 「見えない世界」に懐疑的な太一は、 不用意な発言で参加者を怒らせてしまう日々。 そんなときに出会ったのが、 「スピリチュアルなんてくたばればいいのに」といいつつも、 未来がわかってしまう女性・里香。 反発しながらも、次第に彼女に惹かれていったそのとき、 不慮の事故が太一を襲う。 数々の「シンクロニシティ」、 事故による「臨死体験」と「体外離脱」、 死んだはずの「パラレルワールド」、 「UFO」からの召喚、 そして「龍使い」を名乗る青年との再会。 ラストに明かされる真実とは!? 長崎・台湾・東京を舞台に、 さまざまな不思議な出来事が巻き起こる! まるで、スピリチュアルのバラエティパック!? でもこれ全部、実話です。 *目次より 第一章 所詮はスピリチュアルなんてお遊び 第二章 未来、知ってたんでした 第三章 臨死体験ツアーへようこそ 第四章 パラレルワールドで待ち合わせ 第五章 UFOの乗りかた、龍の乗りかた、時空の超えかた 第六章 この世界の創りかた
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