作品一覧 2021/01/29更新 帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男 試し読み フォロー ハヤブサの血統 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> 鷹匠裕の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男 鷹匠裕 1980年から2016年まで、大手広告代理店で36年間働いた著者が、小説として電通(本では連広)を描く。電通の現実の中から、小説にするのだが、あまりにも生々しい。電通はブラック企業と言われているが、なぜブラック企業になり得たのかということがよく理解できる。 「連広」の常務に就任した城田毅は、実在のモ...続きを読むデルで、第九代社長となった成田豊。1993年から2002年まで社長をやり、2007年まで会長だった。バブル崩壊の時期から電通を立て直す。成田豊は電通を一流にするには、①国際ネットワークの構築。②新本社ビル(汐留)の建設と移転③株式上場であり、在任中にそれを実現した。そして2011年に故人となった。成田豊は、第4代社長吉田秀雄に拾われた。電通の鬼十則を作った社長であり、電通はこの鬼の十則を抜けきれないところが、ブラック企業という汚名を消せない。成田豊は継承者となる。 電通は、広告主よりも、テレビ、新聞、メディア(媒体社)を牛耳ることに全力をあげる。NHKさえも、広告をさせるように仕組んでいく。日韓サッカーの試合場の看板は、デジタルで処理していたとは驚きである。経営の根幹はいかに売りやすい媒体を有利に仕入れるのかである。 日本では、アメリカなどの1業界1企業という縛りがないことが、電通を肥大させた。 小説では、電通の悪行と闇が、暴かれていく。オリンピックの選手の強化資金は、がんばれ日本キャンペーンに選手を参加させて、それを広告料をとるというアマチュアリズムを巧妙に抜ける。ロサンジェルスオリンピックから、プロもアマも区別なくしたので、さらに商業主義が徹底される。スポーツもビジネスなのだ。電通は、それを心得ていた。しかし、博報堂にJリーグの立ち上げを取られたことが、この小説の中では、取り上げられていて、人間くささを感じる。 電通は、業界のトップを確実にとるということで、トヨタについては、ハイブリット車を進めたトヨタのボンボン豊田章雄と一緒に企んだのが、成田豊。その時の社長奥田にハイブリット車は反対されていたのを電通が丸め込むことになった。ふーむ。そこまで食い込んでいくのがすごい。 ニッサンの宣伝を博報堂がとることで、電通はテレビと新聞にニッサンの宣伝をさせないという手法をとる。いやはや、電通はあからさまな妨害を平気でやる。 架空放映の請求問題が、公正取締委員会に摘発されるが、結果としてうやむやにしてしまったのは、成田豊が政治家に上納したことで、解決する。また、架空請求した張本人が、成田豊の敵で追放されるが、成田豊が社長をやめると復活するというのは、コンプライアンスなんて言葉はあってなきがごとしだ。 成田豊は、社長の時にガンが発見され会長になる。そして、2011年福島のメルトダウンを見ることで、自分が原子力政策を徹底的に広告宣伝してきたことに、悔いがあるように美談化する。 長時間残業、過労死、パワハラによっての自殺、靴でビールを飲ませるという新人いじめ。やっていることが、クソだ。あぁ。電通。 インターネット宣伝を軽視したことで電通が地盤沈下が起こることは、さもありなんと思う。電通の内部告発に近い本である。しかし、さじ加減をしているのでぬるい。成田豊の人間らしさを語ろうとすればするほど、電通の仕事がいかにもやばいことを行なっていたのかが、よくわかる。 過労死で死んだ旦那の嫁を採用して、城田毅の秘書にして、懐柔していく様は、よくできた話にする。これは、フィクションでしょうね。その嫁は「もっと真剣に社員の心身の健康を気を遣ってください」と城田毅に言おうと思って、言えなかったことで、終わる。城田毅はそんなことを聞きたくないのだろう。電通自身の構造的な問題にはメスを入れられないようだ。日本を歪めた企業の一つである。 Posted by ブクログ 帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男 鷹匠裕 電通とメディア、広告について理解が深まった 日本を作り上げてきた大きなイベントに電通ありという広告と電通の影響度の大きさを知ることができた Posted by ブクログ 帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男 鷹匠裕 実名こそ使っていないが、それとわかる名前を出してリアリティを醸し出す、自称フィクションですが、おそらく限りなくノンフィクションといえる内容なのでしょう。 業界の暴露本としても読めますが、きちんと小説として面白い、後半読んでいて不覚にも泣きそうになる箇所があった。 とにかく会話にリアリティがあり、役員...続きを読むとしての判断や心のうちの描写はまるでその場に居合わせたような迫力で読ませます。 とはいえ、電通がトップ企業となる推進力として働いた「鬼10則」が、今では電通がブラック企業から抜け出せない足かせになっているのも皮肉です。 会社勤め経験者なら、絶対読んで失望はしない良書です。 Posted by ブクログ 帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男 鷹匠裕 実際の社名や商品名が、頭の中に浮かんでしまって、少し困りましたが、内容としてはお勧めの本です! 広告業界の歴史を知る上でも外せない本です。 こんな事あったなぁと思いながら読んでいました。 タイトルは「誤算」ですが、読みかたによっては別の解釈もあるのではないでしょうか? Posted by ブクログ 帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男 鷹匠裕 新たな経済小説家の誕生である。CMや新聞・雑誌広告を作っているのが広告業界かと思いきや、その練金方法の裾野は広く、経済成長やオリンピック等の大きなイベントを巻き込んでいく。時代の成熟化とともに広告の媒体や社員の働き方も変わっていき、それに対応すべく試行錯誤する企業の姿が描かれている。 鷹匠氏が二作目...続きを読むを書けるかどうか、ヒットさせられるかは分からないが、注目しておきたい。 Posted by ブクログ 鷹匠裕のレビューをもっと見る