鷹匠裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(オリンピックが大好きな人間としての感想です)
楽しみにしていたTOKYO2020がとても残念なことになってしまい、さらに札幌大会まで夢と消えてしまった今、一筋の希望を求めるように手にした一冊。
率直に言えば都合が良すぎるサクセスストーリーなんですが、おそらく多くの人が心の底に抱いているだろうオリンピックのあるべき姿を形にしたような物語でした。
政治家や広告代理店が悪の権現のような描き方をされていて、実際にあった汚職事件の記憶と重ねて、五輪の裏側は本当にこんな世界になっているのかも?と信じてしまいます。
この本のようなオリンピックが開かれることを、それを日本で見られることを、切に願い -
Posted by ブクログ
1980年から2016年まで、大手広告代理店で36年間働いた著者が、小説として電通(本では連広)を描く。電通の現実の中から、小説にするのだが、あまりにも生々しい。電通はブラック企業と言われているが、なぜブラック企業になり得たのかということがよく理解できる。
「連広」の常務に就任した城田毅は、実在のモデルで、第九代社長となった成田豊。1993年から2002年まで社長をやり、2007年まで会長だった。バブル崩壊の時期から電通を立て直す。成田豊は電通を一流にするには、①国際ネットワークの構築。②新本社ビル(汐留)の建設と移転③株式上場であり、在任中にそれを実現した。そして2011年に故人となった。成 -
Posted by ブクログ
実名こそ使っていないが、それとわかる名前を出してリアリティを醸し出す、自称フィクションですが、おそらく限りなくノンフィクションといえる内容なのでしょう。
業界の暴露本としても読めますが、きちんと小説として面白い、後半読んでいて不覚にも泣きそうになる箇所があった。
とにかく会話にリアリティがあり、役員としての判断や心のうちの描写はまるでその場に居合わせたような迫力で読ませます。
とはいえ、電通がトップ企業となる推進力として働いた「鬼10則」が、今では電通がブラック企業から抜け出せない足かせになっているのも皮肉です。
会社勤め経験者なら、絶対読んで失望はしない良書です。 -
Posted by ブクログ
いかにもエンタメ小説のタイトル。中身は小説ゆえ
脚色はあるだろうが、そのベースのほとんどは著者自身が
博報堂の社員だっただけに業界に明るく、周辺取材も
丹念に行っており、リアリティに富んでいる。
これをノンフィクションでやれば物議を醸し、
帯には「電通の黒歴史を暴露!」になってただろう。
さて本書。
主役は日本最大の広告代理店「連広」(電通)の城田毅
(成田豊)。花形部門の新聞媒体部を歩き、営業統括の
常務取締役に就任。様々な事業の陣頭指揮をとる。
各業界のトップ企業の広告扱い独占、業界2位「弘朋社」(博報堂)の蹴落としなど、時にはブラック人脈をも使い
権謀術数を用いて辣腕を振るう。満を持し -
Posted by ブクログ
なにか事件があるとネットでは広告代理店陰謀論、っていうか裏で糸引いているのは電通、という噂が飛び交いユダヤ陰謀論、フリーメイソン陰謀論に勝るとも劣らない影の支配者とされる会社をテーマにしたノンフィクションでもないフィクションでもないモデル小説です。たぶん書かれているストーリーは実話ベースなんでしょう。と、いうことで登場人物の名前当てとクライアントの事件の類推を楽しむ小説なのかもしれません。それもきっとすぐわかる人にはわかる置き換えなので、なんか安い感じがします。これ、いっそノンフィクションの方が迫力あったのでは?と思いますが、そんな危険は影の支配者(まるで「男組」の影の総理)の前では犯せない?