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「おれの子じゃない。知らない」ハルエの妊娠報告に夫のタケシは言い放った――。優しい両親、きょうだいに囲まれて、楽しい幼少期を過ごしたハルエだったが、金にうるさく自分勝手、超細かい性格の夫との結婚生活は、びっくりすることだらけだった。子供たちが成長し、念願の離婚をしたところでハルエの中で何かがはじけた。娘、妻、母、そして老人となっていく女の一生をおおらかに描く。
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Posted by ブクログ
著者の他のエッセイでは豪放磊落な母というイメージがあった。本書は、その母を主役にしたエッセイかと思って読み始めたが、なんだか雰囲気が違う。限りなくドキュメンタリーに近い私小説だと感じた。厳しい戦前戦後を生き抜いた母・ハルエだが、結婚相手は無茶苦茶な芸術家。我慢に我慢を重ねた結婚生活の末の離婚を経て、...続きを読むわがままな母に育ってしまった。こんな母に同情半分嫌悪半分。そう言えば、エッセイによく出てくる猫やら鳥やらの動物が出てこなかったな〜
群ようこの自伝的エッセイ風小説。テーマは群自身の母。 こんな母親は、にくめないけれでも、まあ肉親は大変だな。
ハルエの若い頃は、苦労もあり、波乱もあり、応援する気持ちで読んだ。老年になってからは、群さんのエッセイを読んでいるようだった。駄目な男を書いたら定評があると解説にあったが、その通りで、笑えた。面白かった。
読んでいて、ハルエの夫に対して怒りがこみ上げ、自由奔放すぎる娘に苛立ち、母親であるハルエに感情移入していた。だが、老いていくにつれ、傍若無人な振る舞いになるハルエが許せなくなる。最初から最後まて不快感抜きには読めない。でも読むのが止まらない。本人が楽しく人生を終えるなら、実の娘としてはそれでもいいか...続きを読むと、開き直れる。しかし、これが姑だとそうもいってられないけど。
人の一生を描いた物語は、放物線グラフを描いている気がする。 上向きの時期があり、短い頂点を迎え、下降線をたどる。 自分が下降線をたどっている事に気づかない、あるいは認められない人間の感情が、「切ない」「気の毒」「往生際が悪い」「みっともない」と感じさせるドラマになる。 ハルエの生涯もそうだ。 昭...続きを読む和ひとケタ生まれの女の一生。 たくさんの兄弟の中で、与えられた役割を果たす。 弟や妹の面倒を見て、一生懸命働いて家計も助ける。 やがて縁あって嫁いで行けば、自己主張する事も許されず、理不尽だと思う事があっても、夫に尽くさなければならない。 読みながら、同情する。 頑張れ、頑張れ、と応援する。 そうだ、そんな男とは離婚してやれ、あんたの頑張りがあれば一人で生きていける。 この辺りまでが、上向きグラフである。 グラフはやがて急降下を始める。 頑張って稼ぎ、少ない生活費でやりくりしてきた反動なのか、ハルエは驚くべき浪費家に転じるのである。 しかも、その支払いは自分の稼ぎではない。 娘が打ち出の小づちであると勘違いしている彼女は、どんなに叱られても、理を持って諭されても、「欲しい」という欲求を抑えられない。 抑えようという気持ちもさらさら起きない。 応援しながら読んできた気持ちは憎しみにさえ変わる。 読み手の同情は、ハルエではなく、娘のアカネに向かうようになる。 やがて、彼女は老いて、病も得、周りは彼女に『常識』を要求する事も諦める。 壊れて大きな音を出し続けるスピーカーのようだ。 これも、多くの部分実話だと思うと、本当に驚くべきことだ。 家族の関係、母というもの、母と娘、老いというもの…考えさせられる。 やるせない。
ここで終わり!?と、こんなストーリーがあるのか…という気持ち。そして解説を読んだら、ハルエは著者の母を描いたものと知りびっくり。 娘時代のハルエと、結婚してしばらくしてからのハルエの印象が大きく違った。タケシの理不尽さに一生懸命耐えている間に、信じるものが自分しか無くなって人に対する思いやりがなく...続きを読むなってしまったのだろうか。アカネに対する酷い言葉には、娘時代の真面目で家族思いのハルエとは全然違う人間になってしまった気がした。 そしてこんなにも酷いことをされて何度も縁を切ると言っていたアカネが、実際には全然そうせず金銭的な面倒も見続けていることにもびっくり。 女としての一生をなんとなく考えてしまうようなストーリーだった。
著者の作品には小説とエッセイがあるようでこちらは小説であるものの自叙伝的のようで著者の『母のはなし』のようだ。娘から老女になるまでの一生が描かれている。ハルエさんの一生を一緒に過ごしてきたような時代が流れていくさまを感じることができた。波瀾万丈な彼女が老女となり幸福な日々を過ごしていることが想像でき...続きを読むる最後で読後感はよかった。
母親になったあたりからイライラするシーンが多かったけど、子ども時代から描かれていることによって、そういう大人にも色々あって今があるんだなと思えたから面白かった。
母の一生を描いた物語。 戦前、7人兄弟の4番目に生まれ、父を亡くしたりしたが、兄弟に助けられながらも大きくなった。また、洋裁の腕を発揮しながら家計を助けりもした。 そんな母が結婚したのが画家である父だったが、急な見合い結婚でもあり、性格を知らないまま一緒になったが、とても苦労させられる人であった。 ...続きを読むそんな夫に苦労させられたが、子供が成人すると離婚した。 そして、今度は自分が子供に面倒を掛けることになるが、そうなると全く自覚がない。 母と子供の関係の難しさが、淡々と描かれている。自分にも当てはめながら、読んだ。 2016.12.30
昭和初期に産まれた女性の一生が淡々と綴られたお話。ちょうど祖母と同じくらいの時代を生きているので、色々祖母の人生とも重ねながら読めて面白かった。娘時代から結婚生活にかけては時代の流れが目まぐるしく変わる中どんな理不尽な環境にもめげず、生活を乗り切る姿がすごいと思った。きっとこれからを生きる私たち世代...続きを読むには耐えられないような環境をあの頃の女性たちはみんな受け入れ乗り越えてきてるんだから、本当にすごいと思う。後半、子の独立、定年を機に暴走していく姿は見ていて辛かったが、これまでの人生を鑑みるとどこかで弾けないと人はやってけないのかなと考えさせられた。群さんのお母様のお話らしいけど、また近況や群さんの心情を知りたいなと思った。
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