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Posted by ブクログ
戦争を題材としたものは気分が落ち込む哀しい結末しかない物ばかりなので少し苦手でタイトルからは違うタイプを想像していたので、あれ?と期待を裏切られたスタートだった。
死を前にした被爆者の主人公が子供の頃の初恋を回想するが戦時中で今とは全く違う。
出征中にやってきた年若い父の愛人と後妻の母とまだ学生の主人公。
昆虫好きから心を通わせた2人の淡い恋。
無惨にも原爆が散らせてしまった。
主人公が自身の被爆体験を語りたくない思いを娘の学校の先生と言い争う場面でハッとした。
確かに原爆を忘れないために語り継がなくてはいけないとよく言われるが、それは体験していない者の意見であって当事者にしてみれば隠して死に怯えながら必死に生きてきて、忘れてしまいたい記憶なのに忘れることが出来ずに付きまとってくる忌まわしい呪いみたいなもの。
それを無理やり引っ張り出して語らせようとするのだから…
辛い思いで本当に酷いものだったのだと初めて気がついた気がした。
翅が少し焼けた青い蝶が特別な種類ではなくてどこにでもいるありふれた種類である事も特別ではない事だと示しているようで時代に翻弄された淡い恋がさらに切ない。
Posted by ブクログ
読みづらい文体だというわけではないのに、思いのほか読むのに時間を要しました。ひとつには、偵察機のシーンには興味が持てなかったからということもありますが、そのシーンも含めてとても丁寧に書かれているゆえ、丁寧に読まなければならないような気がしたからです。
死期迫って自宅に戻った老人の少年時代の思い出。初恋の相手は父親の若き愛人。当の父親は出征して、母と子、愛人とばあやで暮らすという特異な家庭環境にありながら、各々が各々の存在を認めていたことがわかります。
あまりに瑞々しいシーンの後の被爆シーン。そのギャップに打ちのめされました。まるで合唱組曲『チコタン』だけど、心安らかに三途の川を渡れたならばいい。
Posted by ブクログ
『安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから』
広島平和都市記念碑に刻まれた言葉。
この言葉の本当の意味を、私は深く考えてこなかった。
ー「過ち」とは、一体誰の「過ち」なのか?帝国陸軍か?
本当に原爆投下が戦争を終わらせのか?
地獄ともいえる惨劇の犠牲者となった人々が、果たして「安らかに眠る」ことができるのか?―
様々な論争が起こっている事をニュースで知っても、戦争を知らない世代の私はそこまで関心を持てなかった。
教科書の上の出来事。文字にすれば1ページにも満たない過去の惨劇。それが私にとっての「原爆投下」だった。
この小説で、広島の原爆投下直後の描写が出てくるが、体験していないのに関わらず情景が鮮明に浮かび、思わず鳥肌が立った。
その瞬間、私は真の意味で戦争の虚しさ、原爆の恐ろしさを理解していなかったと気付いた。
Posted by ブクログ
本やさんで何気に見て、タイトルに惹かれて購入。
内容も分からないまま購入した。
もっと気楽に読める作品かと思っていたので、ヘビーな内容だったことに少々戸惑った。
80歳になろうかとしている死を目前にした老人が体験した、純粋な恋と原爆のストーリー。
戦争を語る人が少なくなっている中で、この作品は、広島という地域の過去、生き方、現実を突き詰めてくる。
戦時下の暮らし、風景、原爆投下直後の光景……など、丁寧な描かれていると思う。
個人的には……浅い解釈だと思うが。
青い蝶を大事に持ち続けていたこと。
父にも分からないように閉じ込めたこと。
誰にも話さないまま逝こうとしていること。
それらを話すべきではないと思いつつも、きえをいつまでも追っている気がして……
裏切りのようなものを感じてしまった。
Posted by ブクログ
圧倒された。
戦争の、それも広島での子供時代
儚い恋
軍人の父親の死
被爆者としての生活、家族
たくさんの物事が切々と描かれていて
つらいけど、悲しいけど、
生きていくんだと、顔をあげる
ネタバレになるのだけど、
気持ちにグサッとくる一部を。。。
生きる、ということは、
わしはいままでええことじゃと思っておったが、
どうやらそうでもないらしい。
それはええことではなく、
むしろ、後ろめたいということばのほうに
近いものであることを亮輔は知った。
そして、同時に、それがどんなに後ろめたくても、
つらくても、なにがあろうとも、
ぜったいに自分から手放してはならぬものであることを知った。
なにがなんでも食らいついておらねばならぬと知った。
それが生きることである、と思った。
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