新潮社作品一覧

非表示の作品があります

  • 鉄の楽園(新潮文庫)
    3.7
    1巻935円 (税込)
    東南アジアの新興国・R国に、日本が世界に誇る鉄道インフラを売り込め! 四葉商事の相川翔平は、受注競争で中国に負け続きの現状を打破すべく、秘策を練っていた。同じ目標を持つ経産省の官僚、竹内美絵子は、日本の人材レベルの高さに目をつけ、斬新なアイデアを打ち出す。中国に勝つための鍵は、R国の次期首相に立候補したキャサリンだった――。日本再生を予見する、希望溢れる企業小説。(解説・村上貴史)
  • 緋の河(新潮文庫)
    4.0
    1巻1,045円 (税込)
    釧路に生まれた秀男は、色白小柄で人形のように愛らしく、幼少期から「女になりかけ」とからかわれた。父に殴られ兄に蔑まれ教師に抑圧されても男らしくなどできず、優しい母と姉、初恋相手の同級生男子が支えだった。やがて家を飛び出し、札幌、東京、大阪の夜の街、そして芸能界へ道を切り拓いていく。自分らしく生きるため逆境で闘い続けた先駆者が放つ、人生の煌めき。心奮う傑作長編。(解説・仲野徹)
  • 善人たち
    3.6
    1巻1,870円 (税込)
    開戦直前にアメリカへ留学した日本人神学生を主人公に、現代まで通じる差別、分断、憎悪、格差などを鮮やかに描き出す表題作。小説版の三十年後の主人公が登場する「戯曲 わたしが・棄てた・女」、劇的きわまる時代物「切支丹大名・小西行長」。長崎市遠藤周作文学館で発見された、作家が最も充実した時期に書かれた戯曲集!
  • かれが最後に書いた本
    3.8
    世界をおおった未曾有の蟄居の日々、友だちはあっちの世界に仲間入り。でも、本を開けばまた会える。かれらとのつながりは、いまのほうがつよく感じられる。樹木希林、鶴見俊輔、池内紀、橋本治、和田誠、加藤典洋、古井由吉、坪内祐三、平野甲賀……ページのむこうにある記憶の重なり。希代の本読みの読書案内、しみじみと完結。
  • すごい神話―現代人のための神話学53講―(新潮選書)
    3.2
    人間はなぜ死ぬのか――インドネシアのバナナ型神話と『鬼滅の刃』の物語から考える。女神たちは何を担わされているのか――インドの乳海攪拌神話とゲーム『FGO』の世界観から解き明かす。世界に伝わる多様な神話から、現代の映画や漫画、ゲームにまで息づく「神話のエッセンス」を明らかにする、魅惑の神話学講義!
  • ハレム―女官と宦官たちの世界―(新潮選書)
    3.5
    性愛と淫蕩のイメージで語られてきたイスラム世界の後宮・ハレム。奴隷として連れてこられた女官たちは、いかにして愛妾、夫人、母后へと昇りつめたのか。ハレムを支配する黒人宦官と、内廷を管理する白人宦官は、どのように権力を手にしたのか。600年にわたりオスマン帝国を支えたハイスペックな官僚組織の実態を描く。
  • でっちあげ 分冊版第1巻
    完結
    -
    どこにでもあるような街の、どこにでもあるような学校。どこにでもいるような母親と、どこにでもいるような先生。どこにでもあるようなありふれた関係、のはずだった。悪夢の“家庭訪問”までは――。小さな街で起きた“体罰事件”は全国を駆け巡り、やがて裁判へと発展する。世論の見守る中、正義の鉄槌が下るはずが……。分冊版第1巻!
  • 午前0時の身代金
    3.6
    1巻1,650円 (税込)
    新米弁護士の小柳のもとに相談に訪れた女子学生が、その夜、突如失踪した。翌朝、クラウドファンディングで日本中から10億円の身代金を募るという前代未聞の誘拐事件が発覚する――! 斬新な設定、読者を翻弄する展開、抜群のリーダビリティ。デビュー作にしてエンタメ小説の面白さが詰まった、新機軸のノンストップ・ミステリー!
  • 永いおあずけ
    3.7
    1巻1,760円 (税込)
    売れないロッカーが雪山でのライブに愛人同伴で向かう「変態だ」、南の島で憧れのスターのSMプレイを目撃する「僕のスター」、バンド仲間の葬儀で熟女の悪戯に翻弄される「永いおあずけ」など5編を収録。不倫、緊縛、放置、性病、投稿の全部盛りで、煩悩まみれの中年ミュージシャンの痴態を描く、みうらじゅんの官能ロック小説!
  • 刑事弁護人
    4.1
    1巻2,145円 (税込)
    現役女刑事による残忍な殺人事件が発生。弁護士・持月凜子は同じ事務所の西と弁護にあたるが、加害者に虚偽の供述をされた挙げ句、弁護士解任を通告されてしまう。事件の背後に潜むのは、幼児への性的虐待、残忍な誘拐殺人事件、そして息子を亡くした母親の復讐心? 気鋭のミステリ作家が挑んだ現代版「罪と罰」。
  • 首相官邸の2800日(新潮新書)
    3.0
    官邸広報とは、国内はもとより海外諸国に向けて、時の政権の考えと政策を正しく伝えるのが職務だ。メディアの疑問や他国からのゆえなき批判にも、適時的確に応えなくてはならない。著者は第一次・二次安倍政権で計8年余り内閣広報官を務め、総理補佐官としても、首脳外交からゴーン事件、コロナ対応まで日々様々な課題と向き合ってきた。憲政史上最長政権を内側から支える一員として――2800日のドキュメント。
  • 知的に見える男、バカっぽく見える男(新潮新書)
    3.0
    スーツの着こなしも、スマートカジュアルも、じつは「骨格」が九割。自分の「骨格」に合う服を選べば着心地は抜群、知的な雰囲気と貴方らしさが「見た目」にプラス。胸囲とウエストを測るだけ、目からウロコのテクニックを英国在住のコンサルタントが伝授する。日本人が気にする「八頭身」のウソとホント、顔の輪郭で決めるメガネ選び、錯覚を利用したスタイリング術――どんな場面でも効く、シンプルかつ最強の「見せ方」。
  • 野村萬斎―なぜ彼は一人勝ちなのか―(新潮新書)
    4.0
    野村萬斎は、今では子どもから大人までその名を知る人気俳優であり、演出家としても活躍する、狂言方・和泉流の能楽師。だが、多くの伝統芸能の役者の中で、なぜ彼だけがそうなれたのか。萬斎個人の軌跡、政官界から作家・永井荷風らともつながる華麗なる家系はもちろん、能・狂言の歴史を丁寧に紐解き、それぞれの流派の背景や、明治維新から戦後、そして現代までの流れをわかりやすく解説する。古典芸能の教養書。
  • 核兵器について、本音で話そう(新潮新書)
    3.9
    日本は、中国、北朝鮮、ロシアなど猛烈に核能力を向上させている国に取り巻かれており、数千発もの核兵器の射程内にある。「唯一の被爆国の悲願」としての核廃絶は正しいが、本当にそれを望むならば、東アジアの現状を踏まえた、ありうべき国家戦略を日本自身が構想しなければならない。内閣、自衛隊、メディアなどで核政策に深くコミットしてきた4人の専門家が、「タブーなき核論議」を展開する。
  • 伝わる仕組み―毎日の会話が変わる51のルール―
    3.3
    メッセージはうす味に。心を掴む極意は「生ハムメロン」。慌てたときはリフレイン。緊張は迎えに行けばいい――。「言葉が響く」「心に届く」と話題のベテランアナウンサーが日常会話や会議、プレゼンなど、さまざまな場面を念頭に、日々心掛けているメソッドを大公開。ロジカルでやさしい、満足度ナンバーワンの必携書。
  • 砂まみれの名将―野村克也の1140日―
    4.3
    阪神の指揮官を退いた後、野村克也にはほとんど触れられていない「空白の3年間」があった。シダックス監督への転身、都市対抗野球での快進撃、「人生最大の後悔」と嘆いた采配ミス、球界再編の舞台裏、そして「あの頃が一番楽しかった」と語る理由。当時の番記者が関係者の証言を集め、プロ復帰までの日々に迫るノンフィクション。
  • 曼陀羅華X
    4.3
    1巻3,630円 (税込)
    1995年、地下鉄にサリンが撒かれ、教祖が逮捕される。だが、教団は公判直後に教祖を奪還、後の歴史は軋みながら軌道を変えた。「予言書」としてその筋書きを書いたのは、教団に拉致され姿を消した作家X。だがそこには、復讐というもう一つのシナリオが埋め込まれていた。魂が共鳴する、当代随一の琵琶法師的現代文学。
  • 死んでから本気出す 1巻
    完結
    4.5
    全2巻770~836円 (税込)
    いじめられっ子だった少女は、トラックに轢かれて短い生涯を閉じた。死後、霊界案内人から「あなたには幽霊の才能がある」と告げられる。他の死者と違い、霊力がカンストしているらしい。霊界案内人とタッグを組み、手に入れたチート霊力を活かしていじめっ子達を脅かしまくる少女。自分が輝ける場所は、霊界(ここ)だったのか――。自信と喜びを手にした少女は、霊界最強になっていく。
  • クイズ!正義の選択 1巻
    完結
    3.3
    幸福と道徳の相違点。生を彩る、究極の二者択一。動画配信サービス『ジャスティス』が贈る、人気バラエティ番組『クイズ! 正義の選択』に、今宵も新たな挑戦者たちが挑む! “起業資金500万円”を得るか、“左腕”を失うか。正解なき問題で試される、それぞれの決断。
  • 図書委員界
    4.0
    「どんな悩みでも解決します。放課後17時に日本文学の棚にお越しください。」少女の元に届いた、一通の招待状。おそるおそる図書室の扉を開くと、そこには悩みを解決してくれる「図書委員界」の面々がいた――。YouTubeチャンネルでのコラボ企画をきっかけに生まれた、生駒里奈&古屋兎丸、夢の狂宴!
  • 女子高生に殺されたい 新装版
    3.5
    主演・田中圭で映画化! それを記念した改訂新装版。女子高生に殺されたいがために高校教師になった男・東山春人。彼の標的は1年3組の美少女・佐々木真帆(16歳)。彼女による“理想的な殺され方”実現のため、密かに計画を練るのだった……! 古屋兎丸作品史上最も「リアルな心理描写」×「緻密に練られたプロット」で紡ぐ異常なる犯罪計画! 今回の新装版は巻末に書き下ろし漫画8ページも収録されています。※当電子書籍の本編は『女子高生に殺されたい 1巻』『女子高生に殺されたい 2巻(完)』全2巻分と同一の内容です。
  • 父・こんなこと(新潮文庫)
    4.0
    父・露伴の死にゆく姿と、続く葬儀の模様を綴り、刻々の死を真正面から見つめた者の心の記録とした『父―その死―』。掃除のあとで、念を入れるために唱えなければならない呪文「あとみよそわか」のことなど、露伴父子の日常の機微を伝えるエピソード七話からなる『こんなこと』。誠実に生き、誠実に父を愛し、誠実に反抗した娘が、偉大な父をしのんで書き上げた、清々しいまでの記録文学。
  • 木(新潮文庫)
    4.0
    樹木を愛でるは心の養い、何よりの財産。父露伴のそんな思いから著者は樹木を感じる大人へと成長した。その木の来し方、行く末に思いを馳せる著者の透徹した眼は、木々の存在の向こうに、人間の業や生死の淵源まで見通す。倒木に着床発芽するえぞ松の倒木更新、娘に買ってやらなかった鉢植えの藤、様相を一変させる縄紋杉の風格……。北は北海道、南は屋久島まで、生命の手触りを写す名随筆。(解説・佐伯一麦)
  • おとうと(新潮文庫)
    3.9
    1巻605円 (税込)
    高名な作家で、自分の仕事に没頭している父、悪意はないが冷たい継母、夫婦仲もよくはなく、経済状態もよくない。そんな家庭の中で十七歳のげんは三つ違いの弟に、母親のようないたわりをしめしているが、弟はまもなくくずれた毎日をおくるようになり、結核にかかってしまう。事実をふまえて、不良少年とよばれ若くして亡くなった弟への深い愛惜の情をこめた看病と終焉の記録。(解説・篠田一士)
  • 流れる(新潮文庫)
    4.0
    1巻605円 (税込)
    梨花は寮母、掃除婦、犬屋の女中まで経験してきた四十すぎの未亡人だが、教養もあり、気性もしっかりしている。没落しかかった芸者置屋に女中として住みこんだ彼女は、花柳界の風習や芸者たちの生態を台所の裏側からこまかく観察し、そこに起る事件に驚きの目を見張る……。華やかな生活の裏に流れる哀しさやはかなさ、浮き沈みの激しさを、繊細な感覚でとらえ、詩情豊かに描く。(解説・高橋義孝)
  • きもの(新潮文庫)
    4.1
    1巻737円 (税込)
    明治時代の終りに東京の下町に生れたるつ子は、あくまできものの着心地にこだわる利かん気の少女。よき相談役の祖母に助けられ、たしなみや人付き合いの心得といった暮らしの中のきまりを、“着る”ということから学んでゆく。現実的で生活に即した祖母の知恵は、関東大震災に遭っていよいよ重みを増す。大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。(解説・辻井喬)
  • 人類が知っていることすべての短い歴史(上)(新潮文庫)
    完結
    4.1
    こんな本が小学生時代にあれば……。宿題やテストのためだけに丸暗記した、あの用語や数字が、たっぷりのユーモアとともにいきいきと蘇る。ビッグバンの秘密から、あらゆる物質を形作る原子の成り立ち、地球の誕生、生命の発生、そして人類の登場まで――。科学を退屈から救い出した隠れた名著が待望の文庫化。137億年を1000ページで学ぶ、前代未聞の“宇宙史”、ここに登場。
  • 命あれば(新潮文庫)
    5.0
    寂聴さんには、世界がどう見えていたのだろうか――。後世に残したいと願った京都の自然や歴史ある街並み。時代が変わっても忘れてはいけないと言った子供の躾や弱者へのいたわり。そして、いつまでも守り続けるべきと訴えた日本人の心と平和な毎日。遺された言葉からは、鋭くも優しい「まなざし」が感じられる。混迷の現代をどう生きていけばいいのかを教えてくれる、珠玉の傑作随筆集。(解説・重里徹也)
  • 「話が通じない」の正体―共感障害という謎―(新潮文庫)
    3.9
    上司はわかってくれない。部下は話が通じない。夫とは一緒にいるだけでイラつくし、二人でいるのに孤独……。これらはすべて「共感障害」が原因だ。脳の認識が違うため、他人が「普通にやっていること」が理解できず、結果周囲から誤解され、軋轢を生んでしまう人たちが存在するのだ。このような共感障害者と柔らかな人間関係を築くためにすべきこととは。脳科学から解き明かす驚きの真相。(解説・尾木直樹)
  • 西日本鉄道殺人事件(新潮文庫)
    -
    福岡から大牟田に向かう9000系西鉄特急の車内で、91歳の町工場元社長が殺された。老人は、60年前、その三連覇に熱狂した西鉄ライオンズゆかりの聖地を巡り、大牟田で九州新幹線に乗り換え、鹿児島に向かう旅の途中だった。事件解決の鍵は、老人が「人生最後の旅」で目指した、「最も悲しみと怒りが強い場所」にあるのか? 終わりなき戦後の闇に十津川警部が挑む、好評の「地方鉄道」シリーズ。
  • 太陽・惑星(新潮文庫)
    4.0
    太陽は毎日輝いている。そりゃそうだ。けど、輝き果てた後には何が残るのか? 金か、それともカネかーー。新宿の安ホテルで、アフリカの赤ちゃん工場で、パリの蚤の市で、インドの湖畔で、我ら人類は飽くなき欲望をスパークさせ、挙げ句の果てに太陽による錬金術が完成。ついには不老不死が実現する。バンザーイ!……なのかどうかはあなたが決める。異能の芥川賞作家の伝説的デビュー作。(解説・町田康)
  • 初恋さがし(新潮文庫)
    3.4
    忘れられないあの人、お探しします。どうか安心してご依頼ください――。高田馬場駅から徒歩5分、所長もスタッフも全員女性のミツコ調査事務所。訪れる依頼人たちが求めているのは、甘酸っぱい思い出の余韻? ふたたび燃え上がる恋心? それとも。眠っていた過去を呼び覚ますとき、怨嗟の血がとめどなく流れる……。秘密と殺意が絡み合い、戦慄のラストへと疾走する、イヤミスの臨界点!
  • かがやき荘西荻探偵局(新潮文庫)
    4.0
    1~2巻737円 (税込)
    西荻窪のシェアハウスで暮らす、葵、美緒、礼菜。お金も色気もないアラサー女子三人組が、探偵やるなら滞納家賃は相殺という話に飛びついた。杉並大豪邸の事件、深夜に回る洗濯機の怪、週末だけの秘密ミッション、「西荻向上委員会」からきた紳士……。謎解きは時々ぐだぐだ酒宴と化すけれど、あれ? 解決のヒントが! ゆるめな推理が心地よいミステリー。『かがやき荘アラサー探偵局』改題。(解説・香山二三郎)
  • 神とさざなみの密室(新潮文庫)
    3.2
    ここはどこ!? 女子大生の凛は記憶を辿るが、何も思い出せない。暗い部屋で、両手首を頭上で縛られている。一体誰がこんなことを。恐怖に駆られる凛の前に、突然見知らぬ男が現れる。両者の間に横たわる、顔を焼かれた死体――。破局のタイムリミットが近づく中、対立する政治団体の男女を、疑惑と憎悪、密室と死体の謎が翻弄する。本格ミステリ新世代の旗手による究極の密室監禁サスペンス。(解説・千街晶之)
  • 欺す衆生(新潮文庫)
    4.4
    1巻1,155円 (税込)
    戦後最大の詐欺集団、横田商事。その崩壊を目撃した隠岐隆は同じく元社員の因幡充に勧誘され、嫌々ながら再び悪事に手を染める。次第に才能を開花させる隠岐。さらには二人の成功を嗅ぎつけ、経済ヤクザの蒲生までもが加わってきた。口舌で大金を奪い取ることに憑かれた男たち。原野商法から海外ファンドにまで沸騰してゆく遊戯の果てに見えるのは光明か地獄か。山田風太郎賞受賞の犯罪巨編。(解説・酒井貞蔵)
  • 警官の血(上)(新潮文庫)
    3.9
    1~2巻825円 (税込)
    昭和二十三年、警察官として歩みはじめた安城清二は、やがて谷中の天王寺駐在所に配属される。人情味溢れる駐在だった。だが五重の塔が火災に遭った夜、謎の死を遂げる。その長男・安城民雄も父の跡を追うように警察学校へ。だが卒業後、その血を見込まれ、過酷な任務を与えられる。大学生として新左翼運動に潜りこめ、というのだ。三代の警官の魂を描く、空前絶後の大河ミステリ。
  • 父・藤沢周平との暮し(新潮文庫)
    3.3
    幼い日、会社勤めをしながら、男手ひとつで子育てに奮闘した父。夜なべで幼稚園の手提袋を縫い、運動会のためにのり巻を作ってくれた姿。育ての母を迎え、親子三人が川の字になってテレビを見ながら寝た夜。そして、娘の心に深く刻まれた「あいさつは基本」「自慢はしない」「普通が一番」という教え。やさしいけどカタムチョ(頑固)な父・藤沢周平の素顔を、愛娘が暖かい筆致で綴る。
  • ピンク色なんかこわくない
    3.0
    1巻1,870円 (税込)
    私は私なんだから、どんなふうに生きてもいいはず――なのに……家という場所に、家族の繋がりに、きょうだいに、女として生きることに、なぜ、こんなにも囚われてしまっているのだろう。それぞれが心のままに選んだ自分を生き切るためには、何が必要なの? 〈私を生き抜く〉ための、あなたの物語。
  • 幾度めかの命
    -
    1巻2,420円 (税込)
    母は私たち姉妹のどちらに寿命を贈るつもりなのか決して明かさない。女性問題から家を出た父は、再会した直後から妻や子供に「譲命」を迫られていると漏らす。遺産相続問題よろしく、社会の人間関係が奇怪な形に変ってゆく……。「保管士」資格者の使命感で事故現場を駆け回る私に忍び寄る悪意。異色ファンタジー長編。
  • 敗北からの芸人論 無料お試し版
    無料あり
    5.0
    次々と後輩に追い抜かれて酒と競馬に明け暮れた加藤浩次が掴んだ思考法、長い下積みを経て今売れまくるオードリーの瞬発力、爆発的ブレイクのかまいたちが覚醒した理由――。どん底から這い上がった21組の生き様を、ノブコブ徳井が熱を込めて語る! 連載時累計700万PVを突破した、誰もが共感できるお笑いエッセイ。本編から「東野幸治」「吉村崇」「千鳥」「渡辺直美」「EXIT」の各章を収録した無料お試し特別版!

    試し読み

    フォロー
  • 背進の思想(新潮新書)
    3.3
    ただひたむきに前を向いて「前進」するだけが、生きることではない。いつの時代も、人は何万年もの記憶の集積の上に今を生き、自分もまた忘れがたい過去の集積体なのだ。雑事に追われる日々の中に、無意識の声、遠い過去からの足音が聞こえてくる。変わり続ける世相の中にも、予測しえない未来がふと浮かぶ。ときに反時代的であっても、後ろを向きながら前へ進む――混迷と不安の時代を生き抜く「背進」の思想。
  • 親鸞と道元(新潮新書)
    3.5
    今なお計三万七千の寺院数を誇る浄土真宗と曹洞宗。それぞれの宗祖である親鸞と道元は、ともに鎌倉仏教の旗手として斬新かつ独創的な思想を展開、日本仏教の行く末を大きく変えた。しかし両者を比較すると、「念仏(南無阿弥陀仏)と坐禅(只管打坐)」「救い(絶対他力)と悟り(修証一等)」など、極めて対照的。同じ仏教を掲げながら、なぜここまで違うのか――。多様で寛容な日本仏教の魅力に迫り、宗教の本質を問う。
  • 厚労省―劣化する巨大官庁―(新潮新書)
    4.7
    長引くコロナ禍の中、感染対策とワクチンや治療薬の承認など、最も世間の耳目を集める省庁・厚労省。医療、介護、年金、雇用などに毎年莫大な予算を執行し、3万人の人員を抱える巨大官庁の所管分野はとてつもなく広く、その激務ぶりは大臣も含めて時に“ブラック”とさえ揶揄される。同省を担当して10年余り、社会保障政策に精通するベテラン記者が、その成り立ちから、組織・人員・政策、不祥事までを徹底解説!
  • マツダとカープ―松田ファミリーの100年史―(新潮新書)
    4.0
    マツダの実質的創業者・松田重次郎は、傑出した技術屋であり、「尖った経営」を貫いた実業家であった。二代目・恒次は世界初のロータリーエンジン搭載車の販売にこぎ着けるも、三代目・耕平は不本意な形で会社を追われる。カープのオーナーに転じた松田家は、四代目・元の下で「育成のカープ」の礎を築き、国内屈指の人気球団を育て上げたが……。「不屈のDNA」を受け継ぎし者たちのファミリーヒストリー。
  • 愛という名の支配(新潮文庫)
    4.4
    どうして私はこんなに生きづらいんだろう。母から、男から、世間から受けてきた抑圧。苦しみから解放されたくて、闘いつづけているうちに、人生の半分が終わっていた。自分がラクになるために、腹の底からしぼりだしたもの――それが“私のフェミニズム”。自らの体験を語り、この社会を覆い尽くしている“構造としての女性差別”を解き明かす。すべての女性に勇気と希望を与える先駆的名著。(解説・山内マリコ)
  • 歌舞伎町の洗濯屋さん 1巻
    完結
    4.2
    日本最大級の歓楽街、新宿“歌舞伎町”。その中にあるクリーニング店では日々様々な客が、汚れを落とすために訪れる…。クラブの従業員、キャバ嬢、明らかにカタギじゃない人等々…この場所でしか味わえないワケあり人間劇場!!
  • 死役所【公式】作中絵本『あしたのわたし』
    5.0
    あずみきし先生描き下ろし! 累計450万部突破! 「死役所」の作中絵本『あしたのわたし』が電子書籍化! 「死役所」第1巻『あしたのわたし』(第3条、第4条)に登場する、小野田凛ちゃんの大切な絵本です。 ここはどこかな まわりはまっくら なにもみえない どこからかこえがきこえる 「あなたはあしたうまれるの」 あしたうまれるわたし あしたのわたしは どんなわたし? これは、生まれ変わりの物語。
  • ブルーサーマル FIRST FLIGHT
    -
    2022年3月4日劇場アニメ公開! 原作『ブルーサーマル』では青凪大学航空部のキャプテンだった倉持潤が1年生の頃の物語。入ると思っていたなった体育会の部活で2つの運命的な出会いをしてしまった。エンジン無しで空を飛ぶ航空機「グライダー」と、まっすぐな表情で見つめてくる少女・春田直。人と話すことが苦手、笑いあうことが苦手だった彼の人生に一筋の光が差し始める。空いっぱいに恋があふれる青春グラフィティ!
  • クレイジーフードトラック 1巻
    完結
    4.7
    砂に埋もれた世界でフードトラックを走らせる、無愛想な中年・ゴードン。ある日、砂漠の真ん中で眠っていた全裸の少女・アリサと出会う。腹を空かせているアリサに料理を食ベさせていると、彼女を狙う謎の武装集団に襲われて──。中年料理人と奔放な少女の旅路を描く、暴力と暴食のロードストーリー!!
  • 転落・追放と王国(新潮文庫)
    4.3
    パリでの弁護士生活を捨て、暗い運河の町・アムステルダムに堕ちてきた男、クラマンス。彼の告白を通して、現代における「裁き」の是非を問う、『異邦人』『ペスト』に続くカミュ第三の小説『転落』。不条理な現実、孤独と連帯といったテーマを扱った六篇の物語からなる、最初で最後の短篇集『追放と王国』。なおも鋭利な現代性を孕む、カミュ晩年の二作を併録。
  • 最初の人間(新潮文庫)
    3.8
    戦後最年少でノーベル文学賞を受賞したカミュは1960年、突然の交通事故により46歳で世を去った。友人の運転していた車が引き起こした不可解な事故の現場には愛用の革鞄が残されていた。中からは筆跡も生々しい大学ノート。そこに記されていたのは50年代半ばから構想され、ついに未完に終わった自伝的小説だった――。綿密な原稿の精査によって甦った天才の遺作。補遺、注を付す。
  • はい、こんにちは―Chim↑Pomエリイの生活と意見―
    4.2
    1巻1,980円 (税込)
    広島の空に「ピカッ」という文字を飛行機雲で描くなど、アートシーンの最前線を疾走するChim↑Pomのフロントウーマン・エリイ。新しい「にんげん」を子宮からドゥルンと送り出して母になるとき、この世の光が見えてくる。芸術家のたった一度しかない体験を躍動することばでとらえた鮮烈なドキュメント!
  • 同潤会代官山アパートメント(新潮文庫)
    値引きあり
    4.2
    1巻454円 (税込)
    喜びも悲しみも、分かち合っていけたら――。1927年、関東大震災で妹を亡くした八重は妹の婚約者竹井と結婚し、同潤会アパートへ。最新式の住宅にも、自分同様に無口な夫にも戸惑う八重だったが、ある日、妹が竹井に送った手紙を見つけ……。時代の激流に翻弄されながらも、心通わせる相手と出会い家族をつくり、支え合って生きた四世代、70年の歴史。あたたかな気持ちで満たされる家族小説。(解説・北上次郎)
  • 少年探偵団―私立探偵 明智小五郎―(新潮文庫nex)
    4.2
    幼い女子を次々と拐す「黒い魔物」が、団員・篠崎始の妹と小林少年を拉致。溺死寸前の二人を少年らの機転で救い出したものの、魔物は首尾よく姿をくらませてしまう。それから二日、帰京したばかりの明智小五郎が講釈する「探偵学」に耳を傾けるうち、小林少年は世にも恐ろしい仮説に辿りつく――。史上最高の名探偵vs.世紀の大悪党、華麗なる推理合戦の行方をしかと見届けよ!(解説・島田荘司)
  • 怪人二十面相―私立探偵 明智小五郎―(新潮文庫nex)
    3.7
    大物実業家・羽柴壮太郎に届いた一通の予告状。差出人の名は「二十面相」。羽柴の健闘もむなしく、家宝のダイヤモンドは思いもよらぬ華麗な手法で目の前から姿を消してしまう。勇敢な少年探偵、小林の活躍で何とか取り戻せたものの、肝心の二十面相はいまだ野放し。そのときまるで運命に導かれるように、一人の大探偵が東京駅に降り立った。劇的トリックの空中戦、ここに始まる!(解説・辻村深月)
  • 妖怪博士―私立探偵 明智小五郎―(新潮文庫nex)
    4.0
    ある春の夕暮、曲角に奇妙な印を書き残す老人が向う先には一軒の洋館。そこに捕らわれていたのは、手足を縛られた美少女だった。彼女を救うため屋敷に潜入した少年探偵団員、相川泰二は帰還後、原因不明の奇行に走り、三人の仲間は行方不明に。なぜ彼らばかりが狙われるのか? 事件は天才・明智に託されたが、謎の探偵・殿村弘三の参戦により、団員は新たな渦に巻き込まれていく。(解説・北村薫)
  • いかれころ(新潮文庫)
    5.0
    昭和の終わり、南河内に暮らす一族の娘に縁談が持ち上がる。女性は25歳までにと見合い結婚する者も多い時代。本人の考えを他所に、結納金や世間体を巡り親戚中の思惑が忙しくぶつかり合う。その喧噪を、分家に暮らす4歳の奈々子はじっと見つめていた――「家」がもたらす奇妙なせめぎ合いを豊かに描き、新人らしからぬ力量と選委員が絶賛、三島由紀夫賞&新潮新人賞ダブル受賞のデビュー作。(解説・町田康)
  • 青銅の魔人―私立探偵 明智小五郎―(新潮文庫nex)
    3.5
    月夜の晩、銀座の街に現れたのは、青銅の仮面をかぶり歯車の音をさせた不気味な男。貴重な時計を次々盗み出す彼が次に目を付けたのは、手塚邸の「皇帝の夜光の時計」だった。手塚氏は名探偵・明智小五郎に助けを求めるが、神出鬼没の怪盗は宝物を鮮やかに奪い去る。助手の小林少年は、浮浪少年を集めてチンピラ別働隊を組織、怪盗を追い詰めるも、逆に囚われて絶体絶命の危機に――。(解説・青柳碧人)
  • 一晩置いたカレーはなぜおいしいのか―食材と料理のサイエンス―(新潮文庫)
    3.8
    一晩置いたカレーはなぜおいしいのか? 子どもたちはどうしてピーマンが嫌いなのか? ワサビがツーンとする理由は? 味、食感、香り、栄養素……すべての謎を解くカギは、食材が生きていたときの姿にあった! 数々のベストセラーを送り出してきた研究者が鋭く考察。料理や食事が楽しくなる「おいしさの秘密」をご賞味あれ。ジャガイモを煮崩れさせない方法など、調理の裏ワザも多数紹介。
  • じじばばのるつぼ(新潮文庫)
    3.3
    人間だれしも、気づけばあっという間にじじとばば。人生の先輩たちに学ぶべく観察した、その生態とは。レジで世間話をはじめる迷惑なばば、ラブホにしけこむお盛んなじじ。ばばのキテレツなファッション、じじの洒落にならない危険運転。店員に上から目線のじじに、若者に時代錯誤な小言をたれるばば……もしかしたらあなたも、こんなじじばば予備軍かも!? 爆笑&ドッキリの痛快エッセイ集。
  • もうすぐいなくなります―絶滅の生物学―(新潮文庫)
    3.3
    生命誕生からおよそ38億年。地球上ではおびただしい数の生物種が出現と絶滅を繰り返してきた。現在でも、例えばトキやニホンオオカミはとうに滅び、イリオモテヤマネコ、ゾウ、マナティー、シロナガスクジラなどが絶え果てる寸前である。そしてこの先、人類も地球上から消えていなくなるのだろうか――。絶滅と生存を分ける原因は何か。絶滅から生命の進化を読み解く新しい生物学の教科書。
  • そのマンション、終の住処でいいですか?(新潮文庫)
    3.4
    有名建築家による一等地の中古マンション。誰もがうらやむその家はしかし、とんでもない欠陥住宅だった! 上手くいくはずの改修工事は新旧住民の様々な思惑が絡み合い、混沌の様相を呈していく。デザイナーズマンションに人生を振り回された人々の胸中にあるのは、幸福か、絶望か、見栄か、プライドか。誰もが身につまされる、終の住処を巡る大騒動。『おっぱいマンション改修争議』改題。
  • 残りものには、過去がある(新潮文庫)
    3.9
    「あの子さ、やっぱりお金目当てかな」まだ肌寒い春の日、清掃会社の2代目社長・友之と、同じ会社で契約社員として働く早紀の結婚式が始まった。18歳差のカップルを揶揄する声を耳にしつつ、栄子は披露宴の祝辞に臨む。今日初めて会った新婦の〈友人代表〉として――。列席した新郎の旧友、新婦の従姉、そして主役の二人も、人には言えない秘密を抱えていた。誰かの幸せを祈りたくなる6編!(解説・一木けい)
  • 歩道橋シネマ(新潮文庫)
    3.5
    1巻781円 (税込)
    それは他愛のない噂だった。その日、その時間にその場所に行けば、かつて大事にしていた記憶に出会えると――。郷愁と不思議に彩られた表題作。学園のおぞましい秘密「球根」。偶然出会った光景が物語を生成する「皇居前広場の回転」。ある青年の死をめぐる驚愕の真実が明かされる「降っても晴れても」。憧憬、恐怖、諧謔、戦慄、衝撃、恍惚……あらゆる感情が押し寄せる小説の奇跡、全18話。
  • ボダ子(新潮文庫)
    3.4
    35歳で起業し、年商十億円を超える会社の社長となった大西浩平。だが、事業の成功の裏にあった家族を顧みない生活は、娘の境界性人格障害(ボーダー)の発症へとつながる。自傷行為を繰り返す娘につきっきりの生活により、事業は破綻。そして浩平は、東日本大震災の復興事業に起死回生をかけて、娘と元妻とともに被災地へと向かうが――。山本周五郎賞候補となった、実体験に基づく衝撃作。
  • 怪異猟奇ミステリー全史(新潮選書)
    3.6
    18世紀英国ゴシック小説は、フェイク精神、心霊主義、疑似科学、進化論・退化論、観相学・骨相学、セクソロジー、変態性欲と、あらゆる思想・学問を吸収し、日本へと渡ってきた。黒岩涙香に始まり、江戸川乱歩、横溝正史を経て、綾辻行人、京極夏彦へ――怪異猟奇を孕んだ日本ミステリーの成立を解き明かす、異端の文化史。
  • 「やりがい搾取」の農業論(新潮新書)
    3.8
    「日本社会の食糧生産係」の役割をふられた戦後の農業界では、「豊作貧乏」が常態化していた。どんなに需要が多くても、生産物の質を上げても、生まれた「価値」は農家の手元に残らなかった。しかし、いまや食余りの時代である。単なる「食糧生産係」から脱し、農家が農業の主導権を取り戻すためには何をすればいいのか。民俗学者にして現役農家の二刀流論客が、日本農業の成長戦略を考え抜く。
  • 日本依存から脱却できない韓国(新潮新書)
    4.0
    上下関係に厳しい韓国は、日本より上位に立つあらゆる機会をうかがっている。日本人が謝罪するか、反論できなくなって白旗を上げる姿を上から目線で見たいと考える。昨今、韓国で吹き荒れた「日本不買」は「日本製品を買わない、使わない、日本に行かない」を掲げたが、実際に困ったのは韓国の方だった。日本にマウントを取りたいが、依存せずには立ち行かない彼らとどう付き合うか。目からウロコの現地報告――。
  • イクメンの罠(新潮新書)
    3.7
    鈍感、不真面目、頼りない――。ここ数十年、子ども達の父親に対するイメージは悪化し続けている。「父親は厳しかった」と答える割合は低下し、「よくほめられた」と答える子どもが増えているにもかかわらず、この結果。上辺だけを真似た欧米流子育ての導入は、日本の家族をどう変えたのか。イクメンブームが加速する中、教育心理学者である著者が、父性機能の低下と自立できない子どもの増加に警鐘を鳴らす!
  • 日本の近代建築ベスト50(新潮新書)
    4.0
    建築は、時代と人々を映す鏡である――日本で近代建築が始まって約100年。この間、数多くの建築が作られ、また破壊・解体されてきた。本書では、半世紀以上にわたり専門誌・書籍の編集に携わってきた著者が、ル・コルビュジエから丹下健三、磯崎新や隈研吾まで、現存するモダニズム建築の傑作50を選び、写真やエピソードとともに徹底解説。戦前から戦後の高度成長期、さらに現代まで流れる建築思想をたどる。
  • 白いしるし(新潮文庫)
    3.8
    女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった──。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。(解説・栗田有起)
  • 窓の魚(新潮文庫)
    3.8
    温泉宿で一夜を過ごす、2組の恋人たち。静かなナツ、優しいアキオ、可愛いハルナ、無関心なトウヤマ。裸の体で、秘密の心を抱える彼らはそれぞれに深刻な欠落を隠し合っていた。決して交わることなく、お互いを求め合う4人。そして翌朝、宿には一体の死体が残される――恋という得体の知れない感情を、これまでにないほど奥深く、冷静な筆致でとらえた、新たな恋愛小説の臨界点。(解説・中村文則)
  • でっちあげ 1巻
    完結
    4.3
    どこにでもあるような街の、どこにでもあるような学校。どこにでもいるような母親と、どこにでもいるような先生。どこにでもあるようなありふれた関係、のはずだった。悪夢の“家庭訪問”までは――。小さな街で起きた“体罰事件”は全国を駆け巡り、やがて裁判へと発展する。世論の見守る中、正義の鉄槌が下るはずが……。
  • 異邦人(新潮文庫)
    3.9
    母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。(解説・白井浩司)
  • シーシュポスの神話(新潮文庫)
    3.9
    神々がシーシュポスに科した刑罰は大岩を山頂に押しあげる仕事だった。だが、やっと難所を越したと思うと大岩は突然はね返り、まっさかさまに転がり落ちてしまう。――本書はこのギリシア神話に寓してその根本思想である“不条理の哲学”を理論的に展開追究したもので、カミュの他の作品ならびに彼の自由の証人としてのさまざまな発言を根底的に支えている立場が明らかにされている。
  • 管見妄語 大いなる暗愚
    完結
    4.0
    郵政民営化も時価会計も医療改革も市場主義万能論も米国の策略である。Jリーガーよ、紳士たれ。政治家は国民に迎合するな──国を憂えるプロフェッサー藤原は、日本人に警鐘を鳴らす一方でギョウザ、英国人の美風、文語、浮世絵、健気な教え子、ひばりの歌……素晴らしいものは褒めちぎる。勿論、自らの魅力に満ちた風貌と人格を自覚し、ハニートラップへの注意も怠りないのであった。
  • 老いも病も受け入れよう(新潮文庫)
    4.2
    92歳のとき、相次いで襲ってきた腰椎の圧迫骨折と胆嚢ガン。つらい痛みで、死んだ方がましとさえ思う日々。でも、病のおかげで自分のいちばん大切なことがはっきりした。最期まで、小説を書いていたい――。リハビリの末、寂聴さんは再び筆を執れるようになった。老い、おしゃれ、食事、恋、友だち、手術、最愛の人たちとの別れ……。悩みながら生きるすべての人へ贈る瀬戸内流人生の叡智。
  • 根っこと翼―美智子さまという存在の輝き―(新潮文庫)
    -
    自分の中だけにしまっておくのはあまりにもったいないと思ってきた――。「私たち、同じ本を持っているのね」とおっしゃる純情さ。「私はやはりキリギリスね」と楽しそうに語るお声。「陛下が誘ってくださったの」とお喜びだったダンス。そして、悲しみに寄り添う「根っこ」と、希望へと飛翔する「翼」を世界中に届けた歴史的スピーチの背景。二十年来の親友が綴る美智子さまとの珠玉の時間。(解説・尾崎真理子)
  • この橋をわたって(新潮文庫)
    3.7
    妾は、猫で御座います。名前は、「ファー」って呼んでいただければ――。猫には、秘密の使命が隠されていたことが明らかにされる新井素子版『吾輩は猫である』。素直になれない猫と、不器用なカラスの友情を描く「黒猫ナイトの冒険」。十四歳少女が土地神からの風変わりな試練に立ち向かう「なごみちゃんの大晦日」など、日常から伸びる「橋」をわたった先に待つ、心あたたまる8つの不思議。
  • あなたの右手は蜂蜜の香り(新潮文庫)
    3.3
    1巻781円 (税込)
    私があなたを、檻から助け出す。どんなことをしてでも、必ず――。幼い私を守った銃弾が、あなたからお母さんを奪った。あの日から、あなたの声が聞こえる。「ここからだして、かえりたい」。人生のすべてを懸け、血のにじむ努力を重ね、ついにあなたのそばに辿り着いた雨子は、その唯一つの願いを叶えられるのか。真っ直ぐな想いに言葉にできない熱い涙がこみ上げる。少女(あたし)と子熊(あなた)の、愛の物語。(解説・藤田香織)
  • 家康の女軍師(新潮文庫)
    3.5
    家康の側室於奈津は、鎧姿で関ヶ原の戦場に立った。将軍の女影武者・軍師として戦況を見極めつつ、「お屋形様の本気を」と鼓舞。小早川秀秋へ問い鉄砲を仕掛けさせる――。この女傑、元は商家の女番頭。持ち前の機転で家康の心を摑み、物事に動じぬ良き相談相手となった。大坂冬夏の陣にも参陣し、真田信繁とも対峙。今は徳川家の菩提寺に眠る波瀾の生涯を描く。『将軍家康の女影武者』改題。(解説・末國善己)
  • 暇と退屈の倫理学(新潮文庫)
    4.3
    「暇」とは何か。人間はいつから「退屈」しているのだろうか。答えに辿り着けない人生の問いと対峙するとき、哲学は大きな助けとなる。著者の導きでスピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先人たちの叡智を読み解けば、知の樹海で思索する喜びを発見するだろう――現代の消費社会において気晴らしと退屈が抱える問題点を鋭く指摘したベストセラー、あとがきを加えて待望の文庫化。
  • くすぶり中年の逆襲 無料お試し版
    無料あり
    4.5
    祝! M-1グランプリ2021優勝!!! 49歳と42歳でブレイクした「遅咲きの反逆中年」がブレイクまでの全てを漫才形式で明かす、笑いと涙満載の自叙伝。長谷川雅紀さんによる「まえがき」と、初出場で4位と躍進した M-1グランプリ2020の舞台裏を記した「第1章」を丸々収録した無料お試し特別版!

    試し読み

    フォロー
  • 秘闘―私の「コロナ戦争」全記録―
    3.7
    尾身分科会会長、田村前厚労大臣らコロナ対策を指揮した中心人物との生々しいやり取りであぶり出されるコロナ禍の真実。日本中が未曾有の災禍に見舞われたあの時、誰が、どう動いたのか!? この国の矛盾と歪みに直面した著者が、また訪れる危機のために何としても書き残しておきたかった「秘められた闘い」の700日!
  • ミトンとふびん
    3.8
    1巻1,870円 (税込)
    たいせつなひとの死、癒えることのない喪失を抱えて、生きていく――。凍てつくヘルシンキの街で、歴史の重みをたたえた石畳のローマで、南国の緑濃く甘い風吹く台北で。今日もこうしてまわりつづける地球の上でめぐりゆく出会いと、ちいさな光に照らされた人生のよろこびにあたたかく包まれる全6編からなる短篇集。
  • 緑の天幕
    4.3
    いつも文学だけが拠りどころだった――。スターリンが死んだ一九五〇年代初めに出会い、ソ連崩壊までの激動の時代を駆け抜けた三人の幼なじみを描く群像劇。近年ではノーベル文学賞候補にも目される女性作家が、名もなき人々の成長のドラマを描き、強大なシステムに飲み込まれることに抗する精神を謳いあげた新たな代表作。
  • 王子失踪す
    3.0
    1巻2,200円 (税込)
    「あんたは子供の顔をした淫婦だわ」――。8歳の娘とミカちゃん人形の間に恋愛バトルが勃発。はたして父親は家庭の安寧を守れるか。王子をめぐる争いがフツーの一家を惨劇に陥れる表題作ほか、予想のつかない展開と飛び切りシニカルな笑いに悶絶必至! 退屈な毎日に倦んだ紳士淑女に贈る、タブーとエロス満載の艶笑滑稽譚。
  • ヒトの壁(新潮新書)
    3.9
    病気はコロナだけじゃない。そして、死は誰にでも平等にやってくる。新型コロナウィルス禍と五輪、死の淵をのぞいた自身の心筋梗塞、愛猫まるの死――ヒトという生物であると実感し、2年間の体験からあらためて問い直す。人生そのものが、不要不急ではないか。それでも生きる価値はどこにあるのか。84歳の知性が考え抜いた、究極の人間論! 「壁」シリーズ4年ぶり待望の最新刊。
  • 大坂城―秀吉から現代まで 50の秘話―(新潮新書)
    3.0
    本願寺の大坂(石山)御坊の創建に始まり、豊臣秀吉によって築かれた大坂城。大坂冬の陣、夏の陣を経て、徳川政権下では将軍の城とされ、徳川慶喜もまたこの城で、各国公使と会見した。秀吉のきょうだいを名乗った者の末路や、淀殿の本当のお相手の名、豊臣秀頼生存説や、真田幸村、後藤又兵衛ら名だたる戦国武将の驚きのエピソード等、日本一のドラマティック・キャッスルの名にふさわしい歴史秘話50を紹介。
  • 官邸は今日も間違える(新潮新書)
    3.9
    コロナ禍の日本政治は迷走が続いた。突然発表された全国一斉休校に、閣議決定をやり直した一律給付金、アベノマスクと揶揄された布マスクの配布……。現場に混乱を生み、国民の信頼を損なう政策はなぜ生まれたのか。原因は「官僚主導」から「官邸主導」への変化に、政治の仕組みが対応できていないことにある。元厚労省キャリアが、もつれた糸を解きほぐし、政治と官僚、国民のあるべき姿を提示する。
  • 中国への断交宣言―変見自在セレクション―
    -
    習近平は「偉大なる漢民族の復興」とか言う。偉大だったかどうかはともかく、悪漢、痴漢、無頼漢は今も説得力があるように思う――。空気のように嘘をつき、己の悪行は他人のせい。あげく声高に非難する。こんな隣国、まっぴらごめんだ。大人気シリーズから厳選の30本で、教科書では学べない「嘘つき大国」の本性を暴く。
  • 時代小説の戦後史―柴田錬三郎から隆慶一郎まで―(新潮選書)
    3.0
    『眠狂四郎』『柳生武芸帳』『魔界転生』『死ぬことと見つけたり』……何度となく映画化やドラマ化されてきた時代小説の大ヒット作。しかし、創作の舞台裏は意外と知られていない。作家たちはいずれも過酷な戦争体験を有し、痛快無比な娯楽小説に昇華させていた! 名作の誕生秘話と作家の実像を文芸評論の第一人者が解き明かす。
  • 現代語訳 とわずがたり(新潮文庫)
    3.3
    幼少の頃から後深草院のもとで養育された二条は、十四歳の春に院の寵愛を得る。二条は院の愛人となってからも、あまたの貴人や高僧たちと交渉を重ねるが、かねてからの出離の思いが高じ、ついには尼となって諸国遍歴の旅に出る。――波瀾にみちた性の体験を大胆に告白し、愛欲の世界を脱して、宗教に浄化されていく過程を描いた女流日記文学の傑作を、艶麗な筆に甦らせた名訳。
  • 妻と女の間(上)(新潮文庫)
    完結
    -
    全2巻781円 (税込)
    年下の研一の積極的な愛に、自らも惑溺していく未亡人安澄と、研一に思慕を寄せながら、母との秘密を知って衝撃を受ける娘耀子。夫の浮気に悩む優子と妻としての安穏な生活にあきたりない乃利子。そして妻子ある男との恋に奔る英子。――恋に悩み愛に苦しむ女たちの内面の屈折と感情の交錯を描きつつ、既成の枠ぐみに縛られない現代の愛と性を摸索して、読者の深い共感を誘う長編。
  • インスタントライフ 1巻
    完結
    4.7
    全3巻770~792円 (税込)
    「その人」が死体の一部にお湯をかけると、3分間だけ生き返らせることができる。料金は10万円。「死んだペットに息子を元気づけて欲しい」「親友に事故だったのか自殺だったのか聞きたい」「蘇らせた兄に救ってほしい」など、その思惑は様々。なかには本当の目的が別にある人間もーー。「10万円払ってでも、3分間生き返らせたい」と願う人々にあるのは、愛かエゴか。人間の奥の奥まで炙りだす、ヒューマンドラマの真骨頂!
  • ドナー法―ある臓器移植コーディネーターの記録― 1巻
    完結
    4.3
    「臓器は鮮度が命。」医療AI・通称“プロフェッサー”の発明により医療技術が飛躍的に発達した近代日本では、大規模な医療改革が行われ、新・臓器移植法=通称“ドナー法”の名のもと、全国民に死亡時臓器提供の義務が課せられた。 それから15年。 医療保険省に勤務する隻眼の臓器移植コーディネーター・立浪は、1人の死が7人の生を紡ぐ世界で今日も“臓器”をめぐるさまざまなドラマに立ち会い――。(医療監修:吉開俊一)
  • 男爵にふさわしい銀河旅行 1巻
    完結
    4.7
    血筋はあっても金はない、貧乏貴族ミハルコ男爵は従者ロボットランパチカを引き連れ、理想の乙女を探す旅をしていた。行く先々の惑星で厄介ごとに見舞われる男爵。1巻では旅の吟遊詩人ノンシャランを仲間に加え、ドタバタトラベルファンタジーは続く!
  • 人体大全―なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか― 無料お試し版
    無料あり
    4.5
    ほぼ同じDNAをもつ二人が、何もかも異なるのはなぜか。毎日5個もの細胞が癌化しているのに、なぜ簡単には死なないのか。生命体とウイルスのちがいとは――。医療・医学の最前線を取材し、7000杼個の原子の塊が2キロの遺骨となって終わるまでのすべてを描き尽くした、全米各紙絶賛のエンタメ・ノンフィクション! 「第一章」「第二章」無料お試し特別版!

    試し読み

    フォロー
  • 神曲
    3.2
    1巻1,705円 (税込)
    小鳥店を営む檀野家の平穏な日常は、突然終わりを告げた。息子が通り魔事件で刺殺され、犯人は自殺。地獄に突き落とされた父、母、姉の三人が、悲しみと怒りを抱えながらも足搔き、辿り着いた先にあるものとは。次々に明かされる家族の秘密、ラスト20ページの戦慄、そして驚嘆の終曲。震えるほどの感動が待つ、著者渾身の飛躍作。
  • 夏の終り(新潮文庫)
    3.7
    妻子ある不遇な作家との八年に及ぶ愛の生活に疲れ果て、年下の男との激しい愛欲にも満たされぬ女、知子……彼女は泥沼のような生活にあえぎ、女の業に苦悩しながら、一途に独自の愛を生きてゆく。新鮮な感覚と大胆な手法を駆使した、女流文学賞受賞作の「夏の終り」をはじめとする「あふれるもの」「みれん」「花冷え」「雉子」の連作5篇を収録。著者の原点となった私小説集である。

最近チェックした作品からのおすすめ