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幸せまねき
あなたたちがいたから、家族になれた。 学校でいじめにあっている長男・翔(11歳、小学五年生)は、家では不機嫌。自分が欲しがって飼った犬の散歩にも行かない始末だ。息子を心配するママ・小絵(38歳、専業主婦)は、家庭の事情にまったく関心をしめさないパパ・真太郎(45歳、会社員)にあきれ果て、テニスコーチと不倫に走る。思春期の長女・穣(17歳、高校二年生)も同じ高校に通う問題児とつき合いだした。 今にも崩壊しそうな中山家。 一家の一大事に、ペットの三毛猫ミケ(2歳・メス)とコーギーのタロウ(1歳・オス)が立ち上がる。果たして一家の命運は? 『万寿子さんの庭』の注目作家が描く、愛と絆の物語。 -
オケ老人!
「ちょんまげぷりん」作者が描く平均年齢世界最高齢(?)のアマオケ交響曲! 老人ばかりで構成された平均年齢おそらく世界最高齢のアマ・オーケストラ「梅が丘交響楽団」(略称・梅響)に、ひとりの高校教師・中島が間違って入り込んでしまったところから物語は始まります。 彼は、全く演奏など論外のはずの土下手くそな「オケ老人」たちのなかで勿論一番若く、力も備わっていると目され、いきなり指揮者になってくれと皆から懇願されます。 その後、彼が本当に門を叩きたかった同じ町にある人気のアマオケ「梅が丘フィル」(略称・梅フィル)との確執、梅フィルの怜悧で完璧主義のコンマス・大沢が熱望するロシアの人気指揮者・ゴルゴンスキーの来日騒動などを経て、日本・ロシアの国家機密の情報漏洩にまで話は大きく展開していきます! -
ビネツ-美熱-
青山の高級エステ『ヴィーナスの手』。敏腕オーナーの京子にヘッドハントされた麻美は辣腕エステティシャンとして頭角を現し始める。この店にはかつて加藤サリというカリスマエステティシャンがいた。そのサリは六年前、何者かに自宅で殺害されたという。生まれ持った「手」の適性と高い技術、人間性も含めて〈サリの再来〉と賞される麻美。だが麻美は密かにサリを超えたいと願うようになる。京子の夫で健康食品会社社長の安芸津弘庸や、その愛人でキャバクラ嬢のアリシア、ヴィーナスの手の客で日常に満たされぬ思いを抱くOL・舞、麻美の同僚・結花と真子、そして弘庸と前妻との子で謎めいた美青年・柊也などの人物たちが複雑に関わりあいながら、物語は展開する。 -
月曜日の抹茶カフェ
3年連続「本屋大賞」にノミネートされた青山美智子さんの最新文庫本。川沿いの桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」。その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日にだけ「抹茶カフェ」を営むことに。ついていない携帯ショップの店員、妻を怒らせてしまった夫、恋人と別れたばかりのシンガー、時代に取り残されたと感じている京都老舗の元女将……。思い悩む人々が誰かの何気ない言葉で前向きな気持ちになっていく――。人は知らず知らずのうちに、誰かの背中を押している。――これは、一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ12ヵ月の心温まるストーリー。『木曜日にはココアを』のおなじみのメンバーも登場する、シリーズ続編がついに文庫化です。 ※本書は2021年9月に刊行された単行本『月曜日の抹茶カフェ』を文庫化したものです。 -
新装版 今日、きみと息をする。
累計170万部突破の大人気シリーズ『響け! ユーフォニアム』武田綾乃の原点! 作家デビュー10周年を記念して、武田綾乃氏のデビュー作を装いも新たに復刊します。カバーイラストは『響け! ユーフォニアム』のカバーイラストを手がけてきたアサダニッキさんが描きます。部員たった3人の美術部で繰り広げられる、男、女、男の奇妙な三角関係。自分の気持ちを胸に秘め、または自分の本心に気づかないまま、微妙なバランスで3人の日々は過ぎていくが……。今後の進路、人間関係、家庭環境など、三者三様の高校生ならではの悩みを抱えながら、自分たちの人生と向き合っていく高校生たちのリアルな姿を描いた青春小説です。 -
3分で仰天! 大どんでん返しの物語
シリーズ累計120万部突破! 宝島社の大人気「ショートショート」シリーズの中から “最後の1行”“最後の1ページ”であっと驚くどんでん返しの物語だけを集めた傑作選、第2弾です。 「チーム・バチスタ」シリーズの海堂尊、「岬洋介」シリーズの中山七里、「珈琲店タレーラン」シリーズの岡崎琢磨、『元彼の遺言状』の新川帆立、『木曜日にはココアを』の青山美智子など、ベストセラー作家が勢揃い! 【著者】 ※五十音順 青山美智子/一色さゆり/岡崎琢磨/海堂 尊/柏 てん/喜多 南/喜多喜久/黒崎リク/佐藤青南/沢木まひろ/志駕 晃/上甲宣之/新川帆立/辻堂ゆめ/塔山 郁/友井 羊/中山七里/英アタル/林由美子/柊サナカ/堀内公太郎/三好昌子/山本巧次 -
うつくしが丘の不幸の家
海を見下ろす住宅地『うつくしが丘』に建つ、築 21 年の三階建て一軒家を購入した美保理と譲。一階を念願の美容室に改装したその家で、夫婦の新しい日々が始まるはずだった。だが開店二日前、偶然通りがかった住民から「ここが『不幸の家』って呼ばれているのを知っていて買われたの?」と言われてしまい……。わたしが不幸かどうかを決めるのは、家でも他人でもない。わたしたち、この家で暮らして本当によかった──。「不幸の家」で自らのしあわせについて考えることになった五つの家族の物語。本屋大賞受賞作家による、心温まる傑作小説。/【目次】第一章 おわりの家――美容室開業に選んだ家を「不幸の家」と言われた女性。/第二章 ままごとの家――不仲の夫、家でした娘、反抗的な息子、迷える妻。/第三章 さなぎの家――男に騙された女性と、幼い娘を抱えたシングルマザー。/第四章 夢喰いの家――不妊治療がうまくいかず、離婚届を書いた年の差夫婦。/第五章 しあわせの家――恋人が置いていった子供と、かつて父に捨てられた私。/エピローグ/解説=瀧井朝世 -
極道の嫁
かつて「ミナミの宝石」とまで呼ばれた、武闘派やくざの組長の妻・瑠依は、ラブホテルの一室で縛られていた。M字開脚の状態で身悶える瑠依。「だ、誰や、あんた」。敵対する暴力団に雇われた色事師・蛭田が舌なめずりする。「匂ってきましたね、姐さん。発情したメスの匂いが ……」。勝気な〝極妻〞が、抵抗虚しくメス奴隷に調教されていく――。 -
夜のセレブリティ
富裕層や芸能人が夜な夜な集う、西麻布の会 員制バー〈X〉。そこで働く紬季は、謎の人 脈をもつ港区女子・亜里砂、陰のある俳優・ 鏑木らと出会い、セレブたちの夜の世界に引 き摺り込まれていく。「セックスを見せあう のは、信頼関係を築くのに実に有効な手段な んだよ」。色と欲にまみれた上流階級の獣た ち。今夜も酒池肉林の狂宴が幕を開ける――。 -
嘘だらけでも、恋は恋。
温泉宿に逗留中の元ヤクザ・崎谷の前に突然下着姿で現れた場末のホステス・カンナ。元カレに攫われて犯されそうになり、逃げてきたという。女嫌いだったはずの崎谷は、彼女の魂をさらけ出すようなセックスに溺れていく。しかし、カンナの悪評や言動に不信感を覚え始め――。人間関係はなにもない。知っているのはセックスだけ。刹那的官能ダークロマン。 -
家畜人ヤプー
ある夏の午後、ドイツに留学中の瀬部麟一郎と恋人クララの前に突如、奇妙な円盤艇が現れた。中にはポーリーンと名乗る美しき白人女性が一人。二千年後の世界から来たという彼女が語る未来では、日本人が「ヤプー」と呼ばれ、白人の家畜にされているというのだが……。 -
風にもまけず粗茶一服
●内容紹介 小次郎だって武蔵だって、きっとこんなところで人知れず修練したにちがいない。男には、そんな孤独な時間が必要なんだよな。ああ、なんか、今、俺、カッコイイかも。(本文より) ようやく茶の湯に目覚めた友衛遊馬(19歳)が目指したのは、なぜか比叡山延暦寺の一山〈天鏡院〉。お茶嫌いの住職がいるとも知らず、武家茶道家元後嗣の遊馬はその門をくぐるが…。青年茶人が茶の湯に挑む大傑作青春エンターテインメント。 ●著者紹介 松村栄子(まつむら・えいこ) 1961年静岡県生まれ。筑波大学第二学群比較文化学類卒業。1990年に『僕はかぐや姫』で海燕新人文学賞、1992年に『至高聖所(アバトーン)』で芥川賞を受賞。主な著書に『あした、旅人の木下で』『生誕』『雨にもまけず粗茶一服』やファンタジー作品『紫の砂漠』『詩人の夢』、エッセイ集『ひよっこ茶人の玉手箱』『京都で読む徒然草』などがある。 -
シナリオ仁義なき戦い 仁義なき戦い 広島死闘篇 代理戦争 頂上作戦
昭和22年、復員後ぶらぶらしていた広能昌三(菅原文太)は闇市で暴れる男を射殺、刑務所送りになったことから暴力社会に身を置く。以来20年、血で血を洗う、広島ヤクザ抗争の火蓋が切って落とされた。暗殺、裏切り、復讐、非業の死、力の均衡のみならず、暴力の抒情、男女の愚かしさまでを活写し、戦後日本の現実と人間を描ききったアウトロー映画の傑作。 ※閲覧する環境によっては、収録画像に網がかかったように表示される場合があります。予めご了承ください。 -
伯林蝋人形館
あらゆる文化ジャンルが爛熟を極めたドイツ〈黄金の1920年代〉を背景に、6人の男女の人生模様が交錯する! 第1次世界大戦に敗れたドイツ。極端なインフレと共産主義との闘いで混迷するなか、退廃的な文化は爛熟を深めてゆく。映画界では「カリガリ博士」に続きフリッツ・ラングやフリードリヒ・ヴィルヘルム・ムルナウらの〈光と影の芸術〉が花開き、表現主義建築が人々を驚かせ、演劇界ではブレヒトが独自の理論を引っさげて彗星のごとく登場する。 元プロイセン貴族の士官で戦後はベルリンでジゴロとして無為に生きるアルトゥール――彼を巡って紡がれた、視点の異なる6つの物語の中に、ナチス台頭直前の1920年代のドイツの幻影と現実が描かれる壮大な歴史絵巻。 解説・瀬川裕司 -
キャプテンサンダーボルト
「俺とおまえで世界を救いに行こうじゃないか」 現代を代表する人気作家ふたりが合作、その化学反応が生み出した問答無用のノンストップ・サスペンス。 世界を揺るがす秘密は蔵王に隠されている! 大陰謀に巻き込まれた小学校以来の友人コンビ。 異常に強い謎の殺し屋と警察に追われるふたり(と犬一匹)は逃げ切れるか。 女友達を助けたばかりに多額の借金を背負う羽目になった相葉の手にひょんなことから転がり込んだ「五色沼水」。それを狙う不死身の(ように見える)冷酷非情な銀髪の白人が、死体の山を築きながら彼を追ってくる。 五色沼といえ通称「御釜」と呼ばれる蔵王の火口湖、そこは戦後にパンデミックを起こしかけた「村上病」のウィルスで汚染されていて、立ち入り禁止地域になっていた。この水はいったい何なのか。すべての背後にあるのは「村上病」をめぐる秘密らしかった。 ウィルスの発生源とされる「御釜」に何があるのか? そして主演男優のスキャンダルを理由に封印された戦隊ヒーロー映画に何が映っていたのか? 相葉は逃亡の途中で中学時代の野球部の悪友・井ノ原と再会。ふたりは、太平洋戦争末期に蔵王山中に墜落した米軍機の謎を追う女性・桃沢瞳の助けも借りて謎に挑む。 だが事態を解決するためには、あの銀髪の破壊者との直接対決は避けられない―― 平凡な男ふたりが世界を救うために命をかける。その胸にあるのは少年時代の思い出。 ちりばめられた伏線が収束し、破滅へのカウントダウンが点滅する中で、白熱のクライマックスに突入する! 文庫用に本編の前日譚と後日譚となる書き下ろし掌編小説を、ボーナストラックとして収録! -
走る?
あなたは走っていますか? 人生には、走るシーンがつきものだ。 中田永一、東山彰良、柴崎友香など、十四人の多彩な作家が「走る」をテーマに競作した異色のラン小説アンソロジー。 【収録作品】 中田永一「パン、買ってこい」 柴崎友香「ベランダと道路」 王城夕紀「ホープ・ソング」 佐藤友哉「熊の野戦」 遠藤徹「桜の並木の満開の下」 前野健太「いびきが月に届くまで」 古川日出男「藤村加奈芽のランニング・ストーリー」 岩松了「走る男」 小林エリカ「飛田姉妹の話」 恒川光太郎「リスタート」 服部文祥「小さな帝国」 町田康「ずぶ濡れの邦彦」 桜井鈴茂「誰にだって言いぶんはある」 東山彰良「或る帰省」 -
治安悪めどデカ男に喰らい尽くされる耐久セックス24時!
あらすじ 欲求不満を抱えたチカは、軽い気持ちでマッチングアプリを開く。 「高身長・筋肉質・真面目・体力に自信あり」――そんなプロフィールに惹かれて会うことにした相手は、長髪にタトゥー、治安悪めな雰囲気をまとった男・まーくんだった。 連れて行かれたのは、まさかのエアコン故障中の六畳一間。 うだるような暑さと汗、扇風機の音が響く部屋で、チカはまーくんの異常な体力と丁寧すぎる愛撫に、何度も何度も限界まで追い込まれていく。 最初は軽い気持ちで、ストレス発散目的の一夜限りのつもりだった。 身体だけの関係だと思っていた。それなのに、求めても引かれず、乱れても笑って受け止めてくれるまーくんに、チカはどんどん惹かれていく――。 真夏の六畳一間で始まる、汗だく耐久セックス。まーくんの執着溺愛えっちに堕とされるお話。 ※本作は蜜林檎の個人誌作品の電子書籍版となります。【124ページ】 -
銀座「四宝堂」文房具店
いつまでも涙が止まらない――。 銀座のとある路地の先、円筒形のポストのすぐそばに佇む文房具店・四宝堂。創業は天保五年、地下には古い活版印刷機まであるという知る人ぞ知る名店だ。 店を一人で切り盛りするのは、どこかミステリアスな青年・宝田硯。硯のもとには今日も様々な悩みを抱えたお客が訪れる――。 両親に代わり育ててくれた祖母へ感謝の気持ちを伝えられずにいる青年に、どうしても今日のうちに退職願を書かなければならないという女性など。 困りごとを抱えた人々の心が、思い出の文房具と店主の言葉でじんわり解きほぐされていく。 いつまでも涙が止まらない、心あたたまる物語。 -
量子少女(クォーク・ガール)
藤川コスモ。うちの高校でトップクラスの美少女だ。彼女に関してはいくつも都市伝説が生まれていた。中でも極めつきなのが、別名『量子少女』……彼女は“観察不可能”だという。クラスメイトだったはずが、次の日には隣のクラスにいる。ただ、そんな気がするだけで、誰も不思議には思わない。なぜなら、世界が変わると同時に、みんなの記憶も入れ替わってしまうのだから。だけどある日、ぼくは気づいてしまった。コスモが変えた世界を「縫う」ことで修復している少女・斉藤真綾に出会ったことがきっかけだった。 長篇SF小説。電子オリジナル作品。 ●町井登志夫(まちい・としお) 作家。1964年生。日本SF作家クラブ会員。1997年、『電脳のイヴ』で第3回ホワイトハート大賞〈最優秀賞〉を受賞し、デビュー。2001年に『今池電波聖ゴミマリア』で第2回小松左京賞を受賞。他の作品に『爆撃聖徳太子』『諸葛孔明対卑弥呼』『倭国本土決戦』などがある。最新作は『改革者蘇我入鹿』。 -
小説 ブルーロック
2022年10月、テレビアニメがスタートする大人気サッカー漫画、待望のノベライズ!! 2018年、W杯で日本代表はベスト16敗退。これを受け日本フットボール連合はW杯優勝のため育成寮・ブルーロックを設立。300人の高校生FWを集め「エゴイズムにあふれるストライカー」の育成に乗り出した。育成の指揮を執るのは謎の男・絵心甚八。無名のFW、潔世一をはじめ300人はたった一つの椅子に座るため非情なセレクションに挑む!栄光かそれとも永遠の敗北か!?くたばれ日本サッカー! 青い夢を見るために!! <小学上級・中学から すべての漢字にふりがなつき> -
P+D BOOKS 西洋色豪伝
世界史の有名人の真実をユニークな文体で。 「ああ彼カサノヴァ――老若美醜、貴賤貧富、南婦北嬢、かりにも女の形をした女であるならば、当るを幸いナギたおし……それは実に無数という外なき情事で、根気のいい人があったら、彼の尨大なる回想録を読んで、一人二人と順々に出てくる女の数を勘定して行ったら、面白い数字が出てくると思われる。」 カサノヴァ、サアド(サド)、ナポレオン……色豪、性豪として名を轟かせる6人について、脚色されたお話ではなく記録をもとにして練り上げた表題作のほか、ローマ帝国第5代皇帝ネロやクレオパトラの真実を講談調で明かす「暴君ネロ伝」「女王クレオパトラ物語」など、名調子で綴られる短篇集。 -
小説 劇場版モノノ怪
アサは文字書きの仕事にあこがれ大奥へやってきた優秀な新人女中。一方、同期のカメは仕事が不得意で先輩にいじめられてばかり。アサは彼女のお世話に追われるが、それでもカメといるときはからっぽな自分の中に何か豊かなものを感じることができるのだった。大奥では集団に染まるために、大切にしてきたものを捨てろという。自分の想いを殺すこと、それでも捨ててはいけないもの……。少女たちは悩み、そして――事件は起こる。様々な過去を背負い大奥にやってきた女中たち。大奥を舞台に繰り広げられる、彼女たちの情念がモノノ怪を生みだす――。そこに現れるのは、謎めいた薬売り。形、真、理が揃ったとき、薬売りの退魔の剣がモノノ怪を斬る! -
P+D BOOKS 鎌倉のおばさん
村松梢風の愛人・絹江の破天荒な半生を描く。 ──フィクションの衣をまとった絹江にとって、梢風は勝負しがいのあるしたたかな相手だったのだ。二十歳そこそこの絹江は、独特の勘で梢風のその凄味を嗅ぎ取ったのではなかろうか。── 二代目尾上菊之助の悲恋を描いた『残菊物語』、“東洋のマタ・ハリ”川島芳子にスポットを当てた『男装の麗人』等で知られる小説家・村松梢風。妻子ある身にもかかわらず放蕩の限りを尽くしていた梢風だが、正妻以上に厚く遇していたのは若い愛人・絹江だった。 絹江の話すことはことごとく真偽不明だが、梢風の孫である著者(村松友視)の目にはなぜか絹江が魅力的に映り、絹江との言葉のやりとりが、「こたえられぬほど楽し」く、「為体の知れぬ快感を感じ」たという。それは絹江と著者が、ある共通点を持っていたからだった──。 梢風の自伝的作品「梢風物語」や、梢風と近しかった小島政次郎の「女のさいころ」などを下敷きにしながら、村松家の人間模様を描いていく泉鏡花文学賞受賞作品。 -
君が異端だった頃
「オレは必ず小説家になり、空回りと空騒ぎに終始した恥ずべき高校時代を全て書き換えてやる」と誓った高校時代。「英語とロシア語両方できれば、世界の美女の半分に自分の思いを伝えられる」とロシア語漬けの大学時代。ソビエト留学中に知り合った男性に、小説を持ち込むことを勧められ、『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー後、芥川賞候補になるも、その後5回も落選するとは想像もしなかった。そして、昭和の文豪たちに振り回される日々が始まり……。孤独な幼年期や若き日の煩悶、文豪たちとの愛憎劇や禁断の女性関係までを赤裸々に描く、自伝的青春私小説。第71回読売文学賞小説賞受賞作。 -
月ぬ走いや、馬ぬ走い
第67回群像新人文学賞、第46回野間文芸新人賞、第11回沖縄書店大賞(小説部門)トリプル受賞! 琉球大学在学中、21歳での鮮烈なデビュー作! 沖縄に生きるアメリカルーツの男子小学生、片足を失い幻肢痛に苦しむ米兵と結婚したコザの女性、特攻へ向かう旧日本軍将校──。14人の語りを通して、戦中から現代までの沖縄の80年史を描き、その因果の物語を辿る。 『月ぬ走いや、馬ぬ走い』は、沖縄の近現代、連鎖する暴力、死者と記憶と時間といった明らかな主題や情報が霞んでしまうほど詩的で恍惚的な文章に満ち、読後にそのすべてが名状しがたい体験として迫り残り匂いたつ。抜群のリズムと声によるこの容赦のない疾走はまったくの才能である。 ──川上未映子 島尾敏雄ほか先人のエコーを随所に響かせながら、沖縄に深く堆積したコトバの地層を掘り返し、数世代にわたる性と暴力の営みを、『フィネガンズ・ウェイク』的な猥雑さで、書きつけた作品。Z世代のパワフルな語部の登場を歓迎する。 ―― 島田雅彦 十四章の構成で沖縄の近現代史を描き切る、しかも連関と連鎖、いわば「ご先祖大集合、ただし無縁者も多い」的な賑わいとともに描き切る、という意図はものになった、と私には感じられた。/この小説はほぼ全篇、ある意味では作者自身のものではない言葉で綴られていて、だからこそ憑依的な文体を自走させている。つまり、欠点は「長所」なのだ、と私は強弁しうる。要するにこの「月ぬ走いや、馬ぬ走い」は小さな巨篇なのだ。 ―― 古川日出男 「読んだものを茫然とさせ、彼のいままでを氷づけにし、そのうえで、読むことをとおしてあたらしい魂を宿らせる、そんな小説でありたい……テクストでの魂込め(まぶいぐみ)とでも呼ぶべきところが、ぼくの目標です。」豊永浩平(受賞のことば) ぼくがここにいて、そしてここはどんな場所で、なによりここでぼくはこうして生きてきた、ってことを歌って欲しいんだ、ほとばしるバースはライク・ア・黄金言葉(くがにくとぅば)、おれらは敗者なんかじゃねえぞ刻まれてんのさこの胸に命こそ宝(ぬちどぅたから)のことばが、月ぬ走いや、馬ぬ走いさ!
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