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交通事故の保険金で帝国劇場の『レ・ミゼラブル』全公演に通い始めた私が出会った、劇場に暮らす「失敗係」の彼女(「ダブルフォルトの予言」)。金属加工工場の片隅、工具箱の上でペンチやスパナたちが演じるバレエ『ラ・シルフィード』(「指紋のついた羽」)。お金持ちの老人が自分のためだけに屋敷の奥に建てた小さな劇場で、装飾用の役者として生活することになった私(「装飾用の役者」)他5編。演じること、観ること、観られること。ステージの此方と彼方で生まれる特別な関係性を描き出す、極上の短編集。
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Posted by ブクログ
観ること、演じること、観られること。 バレエやミュージカルや演劇に魅せられた人たちの、慈愛に満ちた短編集。 それはひとときの儚い夢かもしれないけれど、主人公の女性たちに与えられたささやかな幸せに読み手も浸ることができます。 奇妙な事柄や人物に愛情を注ぎ、美しい文章で描き出す。 孤独で不思議な、まぎれ...続きを読むもなく小川洋子さんの世界でした。 解説者の手によって、舞台の魅力をより鮮やかに感じることができます。
どこかこの世の物とは思えない 夢のような話の作品で まさに劇場の観客になることが出来る1冊でした。
小川洋子って、博士の愛した数式のイメージが強いけど、わりとダークネスな作品の方が多いよね…。 短編8作品のうち、「鍾乳洞の恋」の気持ち悪さが好み。虫?みたいなのをシャーレに並べるとかうわー、ってなる。
表現方法が美しく、小説と言うよりも、童話を読んでいるような気分になりました。 舞台に紐づく物語たちは、情景を想像しやすく、読み終わったあともまるでその舞台を観劇しているようです。 私の未熟な部分ではありますが、「鍾乳洞の恋」は理解が難しかったです。この作品の考察や解説を探してみたいと思いますし、色々...続きを読むな方のご意見が聞きたいです。 最後に、好きだったお話を紹介させて頂きます。 「ユニコーンを握らせる」
【短評】 『博士の愛した数式』で名を馳せた小川洋子による「舞台」をテーマにした短編集。 バレエに憧れを抱く少女が手繰る工具達の舞台。帝国劇場に住み着いている「失敗係」という謎の人物。舞台のパンフレットに役者のサインを貰うことに心血を注ぐ女性。帯に記載されていた物語の断片が非常に魅力的であり、平素の好...続きを読むみとは違う領域であることを承知で、惹かれるように手に取った次第。 うーん。評価が難しい! 決して厚くは無い一冊に8つの掌編が納められているからして、展開は実にシンプルだ。構成・構造のお話をするならば、例えば「バレエに憧れを抱く少女が手繰る工具達の舞台」という物語は、それ以上でもそれ以下でもなく、そんな物語なのである。驚くべき展開や意外な結末に帰着することはない。また、意図的なものか、登場人物が全体的に作り物めいていて、その心の動きも含めてやや不気味さが先行した話もあった気がする。 捉え何処の無く、それでいてどこか綺麗な(これを以て「幻想的」というべきか、私には分からない)文章で綴られた景色は、舞台を見ているような目まぐるしい美しさに満ちていた。各話の評価は、そうした空気感がハマるか否か、というところに尽きる。 「嗚呼、これは良い劇を見たな」とか「今回は外れだったな」とか、そんな風に摘むのが良い作品なのかも知れない。 ① 指紋のついた羽 ★★★☆☆ 綺麗なお話だなぁと嘆息するともに「あっ、こういう感じね…」となる作品。個々のシーン単位の美だけが印象に残り、それ以外の要素は滑り落ちていったような感覚。あと、少女も縫い子さんも何だかちょっと怖い。何故だろう。 ② ユニコーンを握らせる ★★★☆☆ かつて女優だった伯母の元を訪ねる高校生。普段はぼんやりとした伯母が、コップの底に描かれたかつての舞台の台詞を演じる際のきりっとした感じが印象に残る。何かが残ったようで、何も残っていない(逆もまた然り)といった作品。 ③ 鍾乳洞の恋 ★★★☆☆ 意味不明。「歯」ではない何らかの病を抱えているのだろうが、脈絡のなさと気持ちの悪さが先行してしまった。残念。 ④ ダブルフォルトの予言 ★★★★☆ 良かった。帝国劇場に潜む「失敗係」という題材で長編一作書けるほどに魅力的だと思った。歴史と伝統ある劇場にはそんな不思議が紛れていても良いだろう。また、事故保険金で『レ・ミゼラブル』を全公演観劇するという試みも魅力的だ。雲散霧消しがちな本作品のなかで、自分の感性に最もヒットした作品である。 ⑤ 花柄さん ★★★★☆ これも好き。割と収集癖がある類の人間なので、花柄さんが宝物を集め、宝物に囲まれて眠る幸福感は何となく分かった。小さく、密かで、ささやかな人生の潤い。これもまた舞台の魔力なのだろう。花柄さんが幸せな夢のなかで眠ることを願う。 ⑥ 装飾用の役者 ★★★★☆ ④及び⑤にはやや劣るが、これも好み。コンパニオンなる仕事のことは良く知らないが、個人的な劇場を設置し、人間を住まわせる(人生を演じさせる)という老人の歪んだ愉しみには、ぞっとする美しさがあった。一方で、この話を通じて何を思えばよいのだろう、という感覚は拭えなかった。 ⑦ いけにえを運ぶ犬 ★★★☆☆ 協奏曲に聴き入る男が「馬車の本屋」を回想するお話。協奏曲パートと過去パートがマッチしておらず、特に前者が流れる。「馬車の本屋」については、既視感のある話で、意外性に乏しかった。 ⑧ 無限ヤモリ ★★★☆☆ 収録作のなかでも特に変な話で、登場人物が全員不気味。ただ、少年がジオラマに消えていくラストシーンは何故か印象に残っている。 全体的にチューニングに苦戦した感のある読書となった。 そんななかでも鮮烈な印象を残す景色が幾つかあったのは収穫である。
摩訶不思議で美しい文章で綴られる小川ワールドを堪能。舞台の話もあって惹き込まれました。本当に文学的で、上質な国語の教科書をじっくり味わってる感じ
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掌に眠る舞台
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小川洋子
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