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パイレーツ・オブ・カリビアン外伝 シャドウ・ゴールドの秘密
シリーズ第一作「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」の前日譚。何者かによって、呪いをかけられてしまったジャック・スパロウ・彼は、その呪いを解く秘薬シャドウ・ゴールドを求めて、七つの海をめぐる冒険の旅へ出る。待ち受ける恐るべき敵、シャドウ・ロードとは!? -
死の天使ギルティネ
ローマのテルミニ駅に到着した急行列車。しかし一等車両の乗客は全員死んでいた……。イスラム過激派が犯行声明を出すなか、事件を担当することになった捜査官コロンバは違和感をおぼえ、ずば抜けた頭脳を持つコンサルタント、ダンテに連絡をとる。イタリアのサスペンス『パードレはそこにいる』シリーズ第二弾 -
ぼくらの頭脳の鍛え方 必読の教養書400冊
「知の巨人」立花隆と「知の怪物」佐藤優が作り上げた空前絶後のブックリスト! まず「ブックリスト1」では、21世紀を生きるための教養書を、書斎の本棚からお互いが100冊選んだ。 「私は年齢は四十歳から五十歳ぐらいで、「教育」の現場に携わる人を思い浮かべて百冊リストを作りました。「教育」というのは学校教育だけでなく企業や役所での教育を含みます」(佐藤) 「二十一世紀はインターネット時代でもある。しかし、ネットで最先端の情報に辿り着き、わかるためには、評価が定まった基礎的な本をまず読んでおかなければならない。そうでないと、そもそも検索エンジンにどういうキーワードを入れていいかわからないはず」(立花) ついで「ブックリスト2」では書店にある文庫・新書からお互いに100冊ずつ選んだ。 「意識したのは、二十代、三十代のがっついたビジネス・パーソン。武器として本を使う人を念頭において、徹底的に実用性を重視しました」(佐藤) 「万巻の書を読みつくせる人はいません。結局は、人生の残り時間を確認しながら、最大の成果を得られるように計画を作るしかない。そのとき、知識の系統樹が頭に入っていることが大切です」(立花) 博覧強記の二人が400冊もの膨大な愛読書を持ち寄り、古典の読み方から、仕事術、インテリジェンスの技法から、戦争論、歴史、宗教、科学を縦横無尽に語り、知性の磨きかたを徹底指南する。 -
Stay My Gold~永遠の輝き~
美しくしなやかな肉体に、ふたつの秘密を抱える希望(のぞみ)。「彼女」が抱える秘密――それは神秘と孤独に満ちた秘密だった。さらに美しく成長していく自身の肉体に、希望は違和感を持つようになる。母から自身に宿るその秘密を聞き、打ちのめされていたが、とある「少年」流風との出逢いが希望の人生を大きく変える。流風の持つ人懐こく明るい雰囲気に、希望の心には変化が訪れる。流風の存在が心の拠り所となり、孤独から次第に成長していく希望。しかし流風にも悲しい過去があり、心に闇を抱えていた。同じ秘密を持つ2人は、心を通わせていく。そして、いつしか互いに惹かれあうようになるが――純粋な愛にきっと涙する。本格的青春ラブストーリー。 -
凍った夏
12月、イーリーの公営アパートで、デクランという男が肘掛け椅子に座ったまま死んだ。閉所恐怖症の彼は扉を外し、窓を開け放したまま寝たために凍死したらしい。自殺の可能性が高いとされたが、取材に訪れた新聞記者のドライデンは疑問をおぼえる。デクランは金に困っていたが、部屋のコイン式電気メーターには硬貨がたっぷり補充されていた。自殺する人間がそんな行動をとるだろうか? 小さな謎は思いもかけない真相の手がかりだった。ドライデンの丹念な調査と明晰な推理によって少しずつ解かれていく人々の秘密。端正な英国本格ミステリ。/解説=若林踏 -
【合本版】山口敏太郎呪いシリーズ
奇才・山口敏太郎が放つ怪談シリーズ!恐怖・呪い面・恐怖・呪い姫・怪談・呪い神を1冊にまとめた合本版です。 「あのお面は三人ぐらい不幸にしているから、表に出さない方がいい」ある骨董商から入手したその面を見て、霊感の強い知人は言った。胡乱な話だと高を括っていたが、興味本位でお面に関わった人たちが、次々と不気味な死の連鎖に巻き込まれ……。テレビ放送後、ネットで物議を醸した「呪い面」の驚愕の全貌とは!? 様々なメディアに出演し、膨大な知識と語り口で他の論者を黙らせ続けるオカルト界の巨匠が、自ら見聞し体験した、真の怪談=真怪の傑作選 -
青いマスカラの涙
理由があろうがなかろうが、泣く時はいくらでも泣くといい 二人の中年女性。46歳。学生時代からの親友だ。一人はピアノ弾きをしており、彼女がカクテル・ラウンジで弾いている所へもう一人が不意に、予告もなく現れたりする。46歳。過去も未来もある年齢だ。そして若い頃には感じなかったであろう、不思議な現象も訪れる。例えば涙。夕陽を見るだけでわけのわからない衝動にかられたり、どうにも不可解な涙が流れたりすることがある。そんな二人が再会して、世間的な親友概念を逸脱した時間もまた、やってくる。二人は今また、いくら泣いてもいい場所を手に入れたのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
逢いたかったのに
「逢いたい」と「逢いたかった」は同じか、違うのか ふとしたことで、流れが変わってしまうことはある。「逢いたいな」と思って何度か電話をした女性に逢うことができず、ふと一人になった時に、バッタリ別の女性に逢ってしまう。その日はずっとそのまま二人で……ということになったりする。問題はそれ以降だ。最初に逢いたいと思った女性と連絡が取れ、そして2度目の偶然が訪れるとなると事態はやや複雑になる。その時、この男はいったいどうしたのか? 答えはこの短篇を読んでみてください。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
雨の柴又慕情
寅さんを導入として日本を語る 小説による日本論と言っていいかもしれない。片岡義男の小説で「日本」が問題になる時、そこには必ず「日本語」の問題がある。今回はなんと、素材は「寅さん」、つまり、映画『男はつらいよ』だ。寅さんの映画を、金髪の外国人女性、今は女性だが大工として男でもある人、その人の連れ合いの女性、そしてその連れ合いの兄である小説家の4人で見て、その感想を延々と楽しく語らいながらいつしかそれが前後の日本批判になっている、という構えの作品だ。自由な「寅さん」のように、ここでは「性」もまた自由になる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
彼女がワゴンを停める場所
彼女たちが先に進む時、そこにステーション・ワゴンがある ステーション・ワゴンは、片岡義男の小説では特別な存在だ。なにしろ「ステーション」なのだからその居住性は抜群であり、移動もできればそこで快適にすごすこともできる愛すべき友である。不眠の男性を乗せて走り、ようやく彼に眠りを与えてやれるのも、仕事のために別々の町で暮らす夫と会う時に乗っていくのも、バカな男性に別れを突きつけたあと、自由になるために乗る相棒もすべてステーション・ワゴンである。彼女たちがステーション・ワゴンを停める場所に妥協はない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
彼女のリアリズムが輝く
嫉妬<落胆<短篇小説 ミステリー作家の女性がいる。20代で選考委員全員から絶賛されてデビューしたものの外国生活を経て結婚し、今は書いてない、という設定だ。彼女はアタマの中だけで作り上げたフィクションに関心がなく、体験から発想したミステリを得意とするタイプ。結婚生活も時が経ち、そろそろ書きたくなってきた彼女は夫が持っている複数の鍵に注目する。どうやらその鍵の中に、夫の嘘があるようだ。そこから彼女が取った行動と感情には妻としてのダメージよりも、短篇を一つ仕上げることの欲求が大きなウェイトを占めている。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
ちょうどその頃
その間、彼女が話したのは一言だけ 午後4時から4時40分くらいまでの時間帯、この小説の舞台となる店は、一日中で最も暇になるらしい。暇だから、数少ない客には目が届きやすい。そこに常連の、一人の大人の女性がいる。年齢のいくらか違う二人のウェイターが、その彼女について、あれこれ想像をめぐらせた会話を交わす。勤務中の私語ではあるけれど、声のトーンはごく控えめで、失礼にはあたらない。しかも噂話などではなく、賞賛に近い、願望のような会話だ。その間、客としての彼女の発した言葉はただ一言。そんな優雅な午後のひととき。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
眠っているあいだの無防備
男たちが「しなかった」話 登場人物は5人だ。女が2人と男が3人。仕事が終わり、誘い合って食事をし、次の店に移る。3人の男たちはそれぞれ、過去の「しなかった」話をする。つまり、明らかに女性の側からモーションをかけられていながら何もしないままに時を過ごした、いわば「据膳食わぬは……」という経験だ。これが前振り。その他愛も無い経験談を受けて、二人の女性のうちの一人がもう一人の女性の部屋で無防備にも寝てしまい、そこを3人の男たちが囲んでいる、という状況ができる。さて、そこから何がどうなるか、ならないか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
過去でさえ過去になる
存在しないボールは、いつまでも到達しない いま37歳の人間にとって、ちょうど20年前の17歳は、はるかな過去だろう。しかしそれは同時に、もうそんなに経ってしまったのかと、唖然とするような事態でもあるはずだ。実家の建て直しの前に家族全員が集まることになり、久々に故郷の町に帰ってみると、実家よりいち早く街は大いに市街化し、通っていた高校の建物は跡形もなく消え去っていた。かつて野球部員として上がったマウンドも、今は記憶の中にしかない。そして再会した女性との2ショットも、どんどん遠ざかる過去になる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
没になった短編小説
似たもの同士、とは言わないが…… かつて音楽活動のグループを組んでいた5人が、久々に再会する。5人の内訳は女3、男が2。カップルが二つあり、一人だけ残された女性のバックアップ・コーラスを、二組が務める、というなかなか不思議な成り行きだ。人が集まればうまくいかないこともあり、互いの弱さがあり、しかしそうした弱さにはどうやらパターンがあるようだ、という認識がこの小説では「フラクタル」の概念を使って説明されている。海岸線の卓抜な比喩が、5人の存在にどことなく重なり合うはずだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
写真は二枚とも靴箱のなか
二つの過去は、やがて一つの現在になる 外から自分の部屋に一人で帰って来た時、何を感じるか。その感じ方の移ろいが、いわばこの短篇小説の主題かもしれない。37歳。夏休みはむなしく徒労に終わり、ビールも食事もうまくない。40歳。ある1枚の写真と、自分の誕生日をきっかけに、変化が生まれる。男はいささかの興奮と精彩を取り戻す。43歳。3年前のアクションのおかげで、彼は新たな時間を手に入れた。1枚の写真が引き金になってもう1枚の写真が生まれ、そして今、部屋はまったく違う部屋に変わったのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
ある種の素敵なことがら
料理に始まり、そこに戻り、何事かに気づく、ということ 親密になるきっかけが料理だったとすれば、再びよりを戻すきっかけもまた料理だった、ということがどうやらここで起きている出来事のようだ。あなたは現実の私を見ているのではない、イメージを投影してそれを好んでいるだけだ、と女は男に言う。そして男から離れようとする。しかし約半年後、女が再び引力のような力で引っ張られていくのはやはり男の作る料理のあるほうへ、だった。そして料理に加えて写真が介在することでまわり道をした女は、ある種の「素敵」に気がつくのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
クレイジー・ハーツ
更新すること、所有できないということ 33歳。それなりの過去があり、それ以上に未来のある年齢だ。一人の女性が久々に日本に帰国することになり、かつて親しかった男女6人が再会しようとしている。帰国する女性は6人のうちの一人の男性と結婚をしたいという気持ちをかつて持ったことがあり、今もそうかもしれない、ということをみんなは知っている。しかし彼らはいまや、かつてのような男が3、女が3という対称にはならない。時間の経過と共に、性をも越境した更新が行なわれ、それは常に新鮮である。誰も、誰かを所有したりすることはできない。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
とにかくメロディーを聴かせてくれ
抑えること、でも忘れないこと。それがメロディー 後輩に対する先輩の好意から、あるお見合いの機会が訪れる。男性側にも女性側にも、相手がどんな人物か一切教えないというかなり変わった、ミステリアスなお見合いだ。あるのは取り持ってくれる先輩への信頼だけ。そして当日。引き合わされたのは、互いに唖然とする相手だった。そこには長い時間と、ひたすら抑制してきた意志とそれでも抑えきれない気持ちが、手と手を取り合って奏でているメロディーがある。この小説こそがそのメロディラインだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
私はいつも私
おにぎりに泣き、焼き鳥にあこがれる 離婚してしまった相手なのに、無性に会いたくなる。いや、そもそも嫌いで別れたわけじゃないのだ。そういうことはたぶん、あるのだろう。結婚してしまったから離婚してしまった、「しない」ことがいちばん良かったのに、というような関係。離れてみて、話さなかったこと、確かめてみなかったことが、見えてくる。おにぎりを作らせてもらえなかった。焼き鳥を食べに連れて行ってもらったこともなかった。でも再会した今なら、さあどうだろう。まずは焼き鳥。そして、おにぎりは…… 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
継続は愛になるか
愛になろうがなるまいが、継続を選べ シンプルだが厄介な短篇。男女がいて、付き合いは5年ほどになり、いつも女が男の部屋を訪ねる。ところがある時、女は別の男と結婚すると言い出す。それはしかし、あてつけでも心変わりでもない。そして、二人の関係はこの度の結婚よりも長い継続なのだから今後も続ける、などと女は言う。しかし世間はそれでは許さない。新しい男=旦那も許さない。しかし、「許さない」からそれが何だというのか、というのがこの小説である。無茶と言われようと、継続はかくも図太いものなのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
エスプレッソを二杯に固ゆで卵をいくつ?
この怒涛の電話の中に真実はあるか? 14歳。自分で自分をもてあまし、世間からは「多感な時期」などと言われたりもする年齢だ。そんな年齢で、両親が離婚した。友人に向かって彼女は、そのことについて好きになれない父親について、めんどくさい新しい母について、そして誰よりも「かっこいい」と思っている離婚した母について電話口で怒涛のようにしゃべりまくる。対面ではなく、すべて電話でのおしゃべり、しかも相手の友人の応答は一切書かれずひたすらこちらがしゃべるだけ、という構えがこの短篇のキモで、そこにはうっすらと孤独が見えるようだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
私とキャッチ・ボールをしてください
男のこでなくておあいにくさま さりげない遭遇の冒頭から女と男、二人の高校生がするすると川原でキャッチ・ボールをする場面にたどりついてしまう。気持ちと気持ちの交換を比喩で表現する際に人は「キャッチ・ボール」という言葉をしばしば使うがここにあるのは本物のキャッチ・ボールでありボールを投げることと受けること、その人が投げるボールに対するさわやかな驚きこそが主役である。二人には、両親の離婚、という共通点があり、そしてそれぞれの片親(男子の母、女子の父)もまたキャッチ・ボールの場面に現れるのがユニークだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
夏はすぐに終る
すぐに終る、夏も、18歳も 18歳。高校を卒業して5ヶ月。やらなければならないことは特になく、それどころかこの歳にして早くもステーション・ワゴンを手に入れ、日本全国どこへでも気ままに旅する時間が流れていく。その途中、同級生の女性と待ち合わせをして会話を交わすと彼の気ままさ、寄る辺なさ、自由がますます際立つようだ。彼は、この女性の友人ばかりでなく、母にも、姉にも会いにいくはずだが、そこにもとどまることはないはずだ。18歳は、その夏は、ひたすら流れ流れ、すぐに終ってしまうはずなのだから。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
おなじ緯度の下で
初めて好きになった女性は、スクリーンを経由して…… 季節は夏であり、登場人物はまだ幼さの残るハイティーン。そして両親は離婚もしくは死別している、という共通点を持つ短篇を集めた『夏と少年の短篇』に収録された一篇。この作品の鍵は、異母姉だ。ある男の前の妻と二番目の妻、それぞれの娘と息子という関係の4人は極めて仲が良いが、しかしこの息子と娘は兄弟でありながら他人でもある。そのことに対する隠れた意識に、17歳の男子は母親の故郷の映画館の、スクリーンに映った一人の女優の姿を経由してようやく気づくことになるのだが…… 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
最愛の人たち
写真は時間であり、小説は時間を生き直すことである 不思議な長篇小説である。一人は写真家、一人は小説家になっている二人の男性がいて、二人は親しい友人同士である。写真家には、少なくとも年に一度はその姿を撮影し、それが何年にも及んでいる女性がいて、小説家には、彼の書くすべての小説のインスピレーションの源になっている女性がいる。しかし彼たち、彼女たちは恋愛関係にはならず、いや、恋愛のもっと向こう側にある、何かもっと痛切なものの中に没入してしまったかのようだ。片岡義男による、異例ともいえる長い「あとがき」にも注目したい。 【目次】 第一部「私は一曲のバラッドです」 第二部 最後の一行を書くために 第三部 八月の午後の一瞬から 第四部 写真についての一通ずつの手紙 あとがき 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
彼は結婚したくなった
結婚したくなった夏は、さてどうなった? 人はなぜ結婚するのか? この問いに整然と回答するのは思いのほか難しかろうが、この小説の主人公は、一人で生きていては何もかもするりと過ぎてしまいもっと生活に抵抗がほしくなったからだ、と答える。彼は大真面目だ。そして複数の候補者の中から自分が結婚したい相手と、そうでない相手を区別していく。それらの女性の写真を横に並べながら。その行為はグロテスクなようでいて、彼なりの真剣な検討の流儀なのだ。そしてついに決めた相手に彼は結婚を申し込む。さあ、その返事はどうなった? 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
胸のふくらみがこう語った
胸のふくらみのエンサイクロペディア 男性にはなく、女性だけが備えているもの。それが、胸のふくらみだ。この中篇小説は、一組の男女を中心にすえつつ、男性による胸の礼賛と、屈託なく胸を開放してみせる女性のふるまいによって、読者をこれでもかと胸のふくらみの世界へと引きずりこむ。やがて二人の対話や実践だけでなく、様々なシーンで見かけた胸のふくらみの魅力、胸の写真コレクション、そして絵葉書など、魅惑的な胸のエピソード集の様相を呈し、あらゆる角度から胸のふくらみについて語る百科全書的な領域へと近づいていく。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
紀子が三人いた夏
最も「日本的」と言われた作品を通じての「日本」批判 聡明なアメリカ人ジャーナリストの女性と日本人の男性。ほぼ全篇、二人によるディスカッションで成立している中篇小説。内容は、小津安二郎監督の『晩春』『麦秋』『東京物語』、原節子演じる「紀子三部作」についてだ。極めて日本的な映画であり、エディプスコンプレックスがそこにはあると一般的に解釈されているその見解を退け、彼らは核心に「性」をもってくる。限定されようとしている「性」の大きな可能性こそが原節子という類い稀な女優によって提示された映画だと。そしてそれは痛烈な「日本」批判でもある。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
彼女、三十五歳、独身
キャッチボールが力を与えてくれた インタヴューされるのは舞台女優。するのはライター。二人は共に、35歳の独身の女性だ。二人は、インタヴューの際に初めて会うのではなく、その前に、あるあざやかな偶然のシーンによって会う機会があった。インタヴューの中で、「キャッチ・ボール」が重要な行為であることが明らかになってくる。会話の比喩としての言葉のキャッチ・ボールではなく、文字通り、身体を使ったキャッチ・ボールだ。やがて二人は親密な間柄になり、キャッチ・ボールを実際にしながらそれぞれの過去と未来を確かめることになるだろう。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
幸福な女性の謎
どんなふうに幸せか、わからないことは謎である 極めて端正な、見たところ破綻もないような女性が無味乾燥な、装飾の無いホテルの一室に落ち着いたかと思うとやおら電話をかけ、あるサーヴィスを依頼する。一人の女性が部屋まで派遣されてくる。迎えたほうも、やってきたほうも、相手の魅力を素直に認め二人だけのひとときを過ごす。それは世間的に見ればやや通常から逸脱した行為かもしれないが、そんなことはどうでもいい。大切なのは、二人が幸福であること。そして、それがどんな種類の幸福かわからず、謎のままであることだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
エスケープという名の香水
暗い場所なら、脱出がよく見える 地上21階。ホテルではない。私的な寝室だが、生活感はまるでない。外は雨。そしてここは、かなり暗い空間である。ほぼ初対面の男女が、お互いに裸で、会話を交わす。趣味について話し出すと、女の語る趣味は嘘か本当かわからないような(たぶん本当なのだ)荒唐無稽なものだ。いつかはやってみたいこと、として彼女が語る「夢」はいささか常軌を逸しているようでもあり、同時になにかしら人間という生き物の根源に触れるようなものでもある。この暗がりの中で、二人は生活から、日常から「脱出」している。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
基本を学ぶ幸せ
彼であり、彼女である存在が至近距離で学んだこと 男でありながら、美しい女性としての外見を備えている。しかし声は、あきらかに男性のそれだ。というような一人の存在が、恋人である男性を深く愛している。ところが突然、その恋人を奪われる日が訪れる。それは二人のいさかいではなく、時間の経過とともに、人の一生にはこのようなこともありうる、という事態での別れだった。「彼」を失った後の日々、その母親とのやり取りなど遺された人間としてのふるまいの、その美しさ。悲しさ。片岡義男らしい、同情を排しながらも深く優しい傑作短篇である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
似合う口紅
「見つけたい」「なりたい」と彼は言った 今日的な用語を持ち出せば、性同一性障害、となるだろうか。男性として生まれながら、女性になりたがっている彼。そこには彼自身の意志だけでなく、彼の生き方に理解があり、それどころかあまりの美しさに半ば女の子として育てた母親と姉の存在があり、さらに父親の不在まで付いてくるのだから念が入っている。ただしかし、うまくいかないことが一つある。口紅だ。男性であることを捨てて女性になるのではなく、男性であるままで女性にもなる、というその存在のジャンプに見合う口紅は果たして見つかるのか。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
小説のような人
あなたの過去は、私の未来である 娘は身長179cm。母は170cm。共にたいへんな高身長の二人が、おもいがけず久々に横浜の町を楽しむ機会に恵まれる。娘は小説を書こうと試みている身であり、母には離婚歴がある。日中、娘が偶然体験したある幸福なエピソードを契機に二人はいつしか小説論を語り合うことになる。そしてその語らいの中から、一つの短篇小説が生まれようとしている。娘は母から生まれたのであり、母、というカタチの過去が娘の未来をもたらしてくれる。そのような母娘の時間が港のある場所で描き出されたうつくしい一篇である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
真夏の夜の真実
1年後、少女たちは再び夜に集合する 激しい雨の降りしきる台風の夜。14歳の少女の家に、親友たちが集まってくる。全部で4人。全員が14歳だ。4人は一夜を共に過ごすために悪天候にも係わらず集まったがその一夜の目的は、ある現場を追体験することにあった。1年前の同じ日、同じように台風の夜に起きたある悲劇の現場を彼女たちは訪ねる。その出来事を彼女たちは見ていない。知らされただけだ。しかし彼女たちは今年、わざわざ集まった。そこへ行った。そしてそこでどんなことが起きたか、端的な事実だけを告げてこの小説は幕を閉じる。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
いなくなりたい
いつか必ず、自分はいなくなる ここでは、おそらく誰もが人生の中で多少なりとも感じていながら突き詰めて考えたり苦しんだりしたことの無いことについて、あまりの純粋さゆえにのめりこんでいく少女の姿が描かれている。それは、自分とは何か、存在とは、時間とは何か、という問いだ。かつての自分と今の自分は別の人間であり、しかしながら記憶、というものがあるからその過去には今の自分として戻ることができるけれど今、その場所にかつての私はいない。私とはそう、いつだって「いなくなる」ことが確実な何か、のことなのだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
ふたたびメドレーで三曲
メドレーのような長篇小説を トリュフォーの映画『ジュールとジム』(邦題は『突然炎のごとく』)のように仲の良い男女3人がいた。男が二人、女が一人だ。男のうちの一人と女が結婚し、もう一人の男は心から祝福する。そして時を経て、その二人が離婚したという。本当の仲良しであった3人には、三角関係は存在しなかったから、結婚の時に嫉妬はなかったし、離婚の時に憎悪はなかった。結婚しなかった男は今も独身、そして小説家だ。離婚した彼女には瓜二つの娘がいて、その娘もまた作家志望だという。あたらしい何かが今から始まりそうだ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
84年の赤い色
今日はすべてがうまくいく日 片岡作品には、世間でマジョリティを形成しているヘテロセクシュアルばかりでなく様々なセクシュアリティの形が登場するが、今回はレズビアンだ。二人は今、40歳という節目の歳を迎えた。40歳。思い出も未来もたっぷりある年齢だ。二人が最初に出会った時のこと、それぞれ異性との結婚の経験がありながら、二人が互いにとってどんなに大切な存在なのかを思い知らされた日のことなどを二人は語り合う。今日は、インストラクターをしているほうの彼女の誕生日。二人の40台のスタートラインは上々だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
青いガーディニアの部屋
彼女が部屋の花に気づく時 登場人物は二人だけ。片岡作品にはめずらしく、中年の男女だ。彼らの様子はあられもない。セックスの後にセックスを語り、語りが一呼吸すると、またセックス。そのあいだに、なぜだろう、仕事のことや、母親(女性のほうの)のこと、その母親の葬儀のことなどが話題にのぼってくる。どうやら二人は女優と映画監督であるらしい。行為の前と後、ふと思い出したように彼女はしきりに「部屋が暗い」という。高層階のホテルの部屋だ。やがて彼女は、青いガーディニアが活けてあるのを見る。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
怖いほどに幸福
メイキング・イン・新幹線 一人の小説家がいる。44歳。女性。彼女には離婚歴がある。しかしそれは言ってみれば、幸福な離婚だった。なぜなら、小説を書くために生活から離れる、という自由を夫から与えられたのだから。その彼女は今、書くことについても自由に、ストレートに行為に移していく。編集者が新たな短編集を依頼したいと言えば、その日のうちに編集者の出張先まで同行して、新幹線の中でストーリーを作り上げてしまう。そのストーリーはジェンダーの枠をやすやすと超える自由なものだ。彼女は今、怖いほどに幸福である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
最高に気持ちいい
部屋は一つ、ベッドは二つ、女性が3人 久々に女性4人で会おう、ということになった。しかし、うち一人は若き旅館の女将であり、残りの3人の小旅行を受け入れる立場にある。彼女はこの短篇には登場しない。小旅行の目的地である旅館に行く前にホテルに1泊することになっている。4人ではなく3人という奇数であり、泊まる部屋は一つ。そしてベッドが二つ。つまり、一つのベッドに一人、もう一つのベッドに二人が眠ることになる。そしてその晩、部屋で起きたこと。見たもの。聞いた声。それは「一人」だった側にも、新しい歓びをもたらすものとなった。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
階段の下にいる男
パリであんパン、手紙を書きながら 一人の作家が、取材をかねてパリへ旅立つ。そしてパリで、高校の同級生だった女性と偶然に遭う。作家は、実は彼女の姉を慕い続けておりその気持ちは、階段の下から、上にいる存在を見上げるだけで満足、というような言い方で表れたりする。彼はかつて、その姉への手紙で、致命的なミスをしでかしたことがあった。しかしそのミスは皮肉なことに、彼がその姉に手紙を書き続ける力にもなった。そして今、偶然にも妹とパリで遭うとは! やはり何かがつながっている。木村屋で買って、パリまで持ってきたあんパンのように。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
美人と海岸
それでもやはりそれは筋道であり、小説になる 結婚してもおかしくはない男女がいて、しかし結婚したいか、まだためらう気持ちがあるか、二人の温度差がある、ということも、しばしば起きることである。男は、故郷の町に女を連れて行って、この女でいいかどうか、確かめたい。女は、彼の故郷に行くのだから、きっと結婚は間近だ、と思う。このあやうい落差を解消するために呼び出されるのが、男の友人である小説家。彼はいったい、どんな役割を期待されているのか? 相当に身勝手な男の計画に、彼は従ってやることにする。なぜならそれはそれで、筋の通ったことだから。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
ベーゴマの小説を書く
今まで知らなかった何事かを、小説に書くことについて ベーゴマ、というものがある。ある日突然、朝食を食べている時に、ベーゴマ、という一語が何の脈絡もなく小説家の頭に点滅する。現実にそんなことがありうるだろうか? といえば、おそらくはそういうこともありうるのが現実だろう。そもそも、ベーゴマのベーとは何かも知らない彼は何事も万能の姉を呼び出し、ベーゴマの回し方を伝授してもらう。そしてさっそく、短篇小説のプロットを作成する。まったく知らなかったものに少しだけ触れてそれを小説という、普段から付き合っている器に入れる瞬間の物語だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
グッド・デザイン
きみはグッド・デザイン 好きだし、一緒にいたいが、ずっとは困る。なぜか。「良すぎるからだ」というのが彼の答えだ。彼女は良すぎるから、彼女といることだけで人生の全部になってしまう。他人が聞いたら鼻白むもいいところだが、これは小説であり、二人しか出てこない。「良い」とはすなわち、彼女がグッド・デザインだということでありこれ以上、彼にとって明白な事実は他にない。一組の男女が、互いになぜ好きなのか? を突き詰め、半ば議論のような会話を交わす。片岡義男以外の作家にはなかなか書けない短篇である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
幸福の限界
彼女はそこにいる、いない、いる…… 静かで、淡々と進んでいくが、いささか狂いが見えるような小説。雑誌の仕事で広島を訪れた作家がきまぐれに街を散策し、古びた映画館を見つけ、入ってみる。ある意味では荒廃した、そして別の意味では非常に貴重な昔日の映画館で、まずはそのことに心を奪われるが徐々に、そこで観た映画へ、そして映画に出ていた女優へと関心が移っていく。やがて、その映画は作家としての決定的な方向転換を促し、そこから突き詰めた方向に向かって動いていく。まさに「限界」まで向かう奇妙な作品である。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
十年が過ぎた
十年が過ぎ、そして彼女は今も魅力的だ 波乗りを愛する二人の男は、大学が同じ、入社した会社も同じで1年後には同じ文面で辞表を提出し、南島の住人になる。会社を捨て、一人は写真、一人は小説へ進んでいく。そこに一人の女性が現れる。二人は強く、彼女に惹かれていく。しかし、均衡は崩れない。それは彼女の願いであり、男たち二人の願いでもある。がしかし……。崩れないことで大切にされたままのこととついになしえなかったこと、その両方がある。10年の時が経過し、男たちにはそれぞれ伴侶がいる。そして彼女は、今でも変わらず、あまりに魅力的だ。 【著者】 片岡義男 1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/ -
映画であった本当に怖い話
次々と起こる恐怖の事件。公開された作品の画面には映っていないが、これはホラー映画の撮影中に本当にあった出来事だ。ロケ現場や撮影中で、映画の撮影所で、ラジオの収録中に、あなたの背筋を凍らせる本当にあった出来事っ!!!【電子特別版には写真&『リング』シリーズなどのエピソードを追加収録!】 <収録エピソード> ・『リング2』撮影中に起こった怪奇現象とは ・映画監督 鶴田法男×脚本家 高橋洋 ・『死国』で起こった怖い話 ・『学校の怪談』シリーズ起こった怖い話 ・『学校の幽霊』シリーズで起こった怖い話 ・『真霊ビデオ』シリーズで起こった怖い話 ・『帝都物語』『孔雀王』の現場で起こった怖い話 ・ある映画で起きた怖い話 ・映画ロケ隊が遭遇した怖い話 ・特別コラム─恐怖の映像と怪奇現象音 <電子特別版 追加収録エピソード> ・『リング』恐怖の始まり─画面に写りこむ白い顔 ・『リング2』洞窟、病院─スタッフに囁きかける謎の声 ・『リング0~バースデイ~』現場の高揚感が霊を集める!? -
映画であった本当に怖い話【追加写真収録1・2電子特別合本版】
次々と起こる恐怖の事件。公開された作品の画面には映っていないが、これはホラー映画の撮影中に本当にあった出来事だ。富士の樹海で、映画の撮影所で、ラジオの収録中に、あなたの背筋を凍らせる本当にあった出来事っ!!! <収録エピソード>「映画であった本当に怖い話1」 ・『リング2』撮影中に起こった怪奇現象とは・『学校の幽霊』シリーズで起こった怖い話・特別コラム─恐怖の映像と怪奇現象音 他 <収録エピソード>「映画であった本当に怖い話2」 ・富士樹海取材フィルムに写った怪異なもの・あるラジオ放送で起こった怖い話 他 <電子特別版 追加収録エピソード> ・『リング』恐怖の始まり─画面に写りこむ白い顔・『リング2』洞窟、病院─スタッフに囁きかける謎の声・『リング0~バースデイ~』現場の高揚感が霊を集める!?・『呪怨』ハウス・スタジオにまつわる怪異譚・『ISOLA 多重人格少女』カメラを揺らすのは被災者の霊か!? 原因不明の死を遂げた2頭の犬、ブレるカメラ ※本電子書籍は「映画であった本当に怖い話1【追加写真収録電子特別版】」「映画であった本当に怖い話2【追加写真収録電子特別版】」の2冊を合わせた合本版です。 -
お坊様と恋愛のススメ
小春は、由緒正しきお寺の眉目秀麗な副住職、翡翠様に片思い中。何度もアタックをするが、翡翠様はあくまでも穏やかに、微笑みをたたえて毒を吐く。 「先ずはもう少し、女性磨きをされた方が良いでしょうね」 九十七回目の玉砕を迎えた時、どうしても翡翠さまの特別になりたい小春は「百回告白してダメだったら諦めよう」と覚悟を決め、残りの三回を成功させる為に奮闘する。 でも、現実はなかなか上手くいかなくて――。 毒舌お坊様×キャリアウーマンの恋はどうなる!? 電子特別版には、魔法のiらんど公式サイトに掲載された書きおろし短編『お坊様×オネエ系 ~ Let's Go Zazen ~』を追加収録! 『お坊様と恋愛のススメ』と『オネエ系男子攻略法』のコラボは必見です♪♪ -
Jimmy
今までの自分、笑い飛ばしてみ。そしたらなあ、お前いじめてきた奴とか、からかってきた奴とか、全部見返せんで! ――明石家さんま(本文より) 1980年代の大阪。高校卒業後、どこにも就職できなかった大西秀明は、担任教師の口利きで、舞台進行見習いとして「なんば花月」に出入りしていた。幼い頃から何をやっても失敗ばかりの大西は、吉本でもとんでもないヘマばかり。そんな大西が、人気絶頂の明石家さんまと出会い、孤独や劣等感を抱えながら成長していく。 明石家さんま企画・プロデュース NETFLIXオリジナルドラマ「Jimmy」のノベライズ作品 -
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心が救われる、最強のブックガイド。 1900年前のローマ皇帝が綴った孤独から、ドストエフスキーの描いた嘘、カフカの渇望、そして村上春樹の自画像、角田光代の家族、吉田修一の恐怖まで、最近出版された本と、古典と呼ばれるものを2冊併せ読む書評エッセイ。『セックスボランティア』で鮮烈なデビューを飾り、『ウスケボーイズ――日本ワインの革命児たち』で小学館ノンフィクション大賞を受賞した著者の、人間の深部を見つめる鋭い視点で、100冊の名著の魅力が語られる。 「古代から書かれ、読まれ、受け継がれてきた本。いつもそこには同じ絶望を持った人がいる。人が生まれ、絶望し、希望を持ち、死んでいく。幾億回繰り返されてきたその営みに、私たちは支えられている。間違いなく、絶望に効く何よりの特効薬は本である。ようこそ、絶望に効くブックカフェへ」(「はじめに」より) -
あざみ野高校女子送球部!
中学時代の苦い経験から、もう二度とチーム競技はやらないと心に誓っていた端野凛。 しかし高校入学後、つい本気で臨んだ体力測定で、ハンドボール投げの女子学校記録を叩き出してしまう。 その噂を聞きつけたハンドボール部顧問・成瀬はなんとか凛をチームに引き入れようと画策、成瀬の思惑どおり、凛はハンドボールを始めることになる。 ハンドボールに魅せられ、チームメイトたちと奮闘しながら成長する高校生たちの姿を鮮やかに描いた青春スポーツ小説。