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Posted by ブクログ
典型的なブラック企業を辞職し、求職中の十和人は、民間調査会社に勤めているという謎の男から仕事の依頼をされる。それは、日本国内のとある民家に約一ヶ月間滞在して欲しい、という内容で、提示されたのは多額の報酬だった。てっきりひとりで滞在するとばかり思っていた和人が招かれた場所で出会ったのは、見知らぬ女性と少女で、三人でまったく別のとある家族を演じて欲しい、と彼ら三人は調査員から告げられる。情報もほとんど与えられないまま嘘の家族生活を送ることになった三人は――。
というのが、本書の導入。紛い物の家族が本物になっていく過程をほほ笑ましく読んでいたら、まさかラストはここまで壮大な話になるのか、とびっくりしてしまいました。表紙裏の紹介文には、『ハートフルミステリ』と書かれていますが、どちらかというと、怖さを感じる結末でした。前半のエピソードにちらりと出てきた人物が中々強烈なキャラクターとして、重要な役割を担って登場するのですが、屈折してるのにどこかからりとしている悪役が大変魅力的で、印象に残りました。
Posted by ブクログ
とても切ない家族ごっこ。
寄集めの偽物の一組の家族、アルバイト。
主人公はブラック?な企業を辞めた青年。
新たな仕事探しの中奇妙なアルバイトを紹介され、とある女性と知り合う。
主人公はある館の主人役、その女性は主人の妻の役。そしてそこにはひとりの美少女。
いかなる目的で数日間の家族ごっこがなされるのか?
ストーリーはパートに分かれいます。
主人公の苦く酸っぱい過去のエピソード。
妻役の彼女の別人として語るエピソード。
互いのエピソードの謎を解いていくうちに距離が縮まっていき、そしてストーリーは佳境を迎えます。
何故自分たちが家族ごっこをすることになったのか。
Posted by ブクログ
★わたしたちはこうして、同じ方舟の中にいる(p.260)
■五つのメモ
・破格の報酬で、自分たちの「別荘」で一か月感、架空の家族を演じることになった男、女、少女の三人。
・別荘には盗聴器と監視カメラが非常にたくさんしかけられている。こういうシチュエーションの常として当然ながら監視者と依頼者は同一人物ないしは同一組織やろうけどいったいなにをしたいのか。
・最初は謎だらけ。目的も場所も、誰が仕組んでいるのかも、西澤保彦さんということで読み始めただけて先入知識がないのでこの著者でよくある超能力や魔法がある世界なのかそうでないのか、ミステリなのかSFなのかサスペンスなのかファンタジーなのかすらわからない。どうやら別荘の中ではテレパシーっぽいものが使えるような世界ではあるようだが超能力なのか科学なのかは不明。
・一家を演じるというだけでヒマつぶしの方法がまったくない。夜の夫婦生活もいつまでもしないわけにもいかない。意外に大変だということに気づく大人二人。
・娘役の玲衣奈に最初から特別感があるので彼女のためのプロジェクトである可能性が強いかもしれない?
■てきとーなメモ
【一行目】運転席から降りた和人は、荷物を取り出すべく車体後部へ回りながら、さりげなく眼前の洋館の門柱を見やった。
【アルベルゴ・オリエンテ】リゾートホテル。
【栄子/えいこ】→末房栄子
【オリエント・デリバリー・サーヴィス】食材などを持ってきてくれる業者という設定。
【オリエント・リサーチ】言語同断(てくらだ)や祥雲(さぐも)が在籍する調査会社。探偵社のようなものという触れ込みだが、当然ながらあやしいものだ。
【怪獣のぬいぐるみ】玲衣奈がいつも抱えている。なんらかのスイッチである可能性はある。
【家族】偽装家族だからこそ寸暇を惜しんで一緒にいようとする皮肉。
【神】ここでの「神」のイメージは(1)全知全能(2)偏在する(3)時空を超越する。でしょうか。キリスト教の神のイメージに近いでしょうか。でも、個人的にはまず(1)人間にはイメージできず当然理解不能な存在(2)人間には規定できない。を入れておきたいところですが。
【ケン】末房家を監視しているメンバーの一人。
【佐恵子/さえこ】和人の兄嫁。高校時代の同級生。陸上部員だった。なんらかの関わりがあったようだ。
【祥雲裕貴子/さぐも・ゆきこ】名刺によるとオリエント・リサーチ調査員。
【事故の夢】一家で車に乗っていてトラックに衝突した事故のような夢。もしかしたら本来の末房家の遭った事故の可能性もある。
【末房栄子/すえふさ・えいこ】三十七歳。信明の妻。演じている女性は健康的で野生児っぽいアスリートのような雰囲気を持つ。本名は不明。
【末房信明/すえふさ・のぶあき】三十七歳。青年実業家。演じるのは十和人(つなし・かずと)で二十四歳だが三十七歳の末房信明という男を演じる。ちょっと無理がある。「ツナシ」という苗字は他の数字はヒトツ、フタツと「ツ」がつくが十だけにはつかないので「ツナシ」。前職はエイチ・エンジニアリングという地元ではそこそこ有名企業だが実態は超ブラック企業。
【末房玲衣奈/すえふさ・れいな】十歳。信明と栄子の娘。いつも怪獣のぬいぐるみを抱えている。演じている少女はもう少し大人びているようにも見える。監視者の一員のようにも、あるいは主役のようにも思える。
【スリッパ邸】別荘のバルコニーから見える一階建て洋館。部分的に背が高くスリッパに似ているので玲衣奈がそう言った。持ち主の名義は消費者金融の大手鹿沼泰三となっている。前の持ち主の名は不明。
【十和人/つなし・かずと】→末房信明
【言語同断文章/てくらだ・ふみあき】名刺によるとオリエント・リサーチ調査員。屈強そうな黒スーツ。
【謎】(1)なぜ末房家のフリをする必要があるのか。(2)末房家とはどんな一家か。(3)末房家とは実在するのかあるいはしたのか。(4)フリをするのに必要な末房家に関する情報がいっさい与えられなかったのはなぜか。(5)別荘は本当に末房家のものか。(6)別荘はどこにあるのか。(7)多くの監視カメラと盗聴器により監視されているのはなぜか。(8)別荘からあまり外に出ないでほしいというのはなぜか。(9)今回の依頼をしてきた連中は何者か。(10)依頼してきた連中と監視している連中は同一ではないのか。(11)バルコニーにもあまり出てはいけないのはなぜか。(12)逆に注意するように言われているスリッパに似た一階建て洋館は何か。(13)栄子とは何者か。(14)玲衣奈とは何者か。(15)栄子と玲衣奈が旧知である可能性はないのか。(16)玲衣奈だけは別物感があるので依頼者グループの一員ではないのか。(17)玲衣奈が抱えている怪獣のぬいぐるみは何か。(18)別荘内で「テレパシー」的なものが使えることがあるのはなぜか。(19)テレパシーは超能力なのか、なんらかの科学的産物か。(20)別荘にヒマツブシ的なものがないのはなぜか。(21)別荘に私物を持ち込めなかったのはなぜか。(22)なぜ和人たちが選ばれたのか。(23)玲衣奈が描いている絵日記ぽいものにはなんらかの意味があるのか。(24)お前は誰だという電話と闖入者は誰か。(25)題名の「方舟」は当然「別荘」のことか。(26)物語の「現在」は「夏休み」だが、題名の「冬の国」はなにを象徴しているのか。
【信明】→末房信明
【ハマグチ】和人にとってよい記憶のない英語教師。
【非有都市】この世のどこにも存在しないが神の領域にもっとも近づける場所。シャンティとも呼ばれる。
【ブリジット】末房家を監視しているメンバーの一人。
【満足】《人間は、満足するという能力が絶望的に欠落した動物なのです。》p.373
【理香/みちか】栄子のたとえ話で出てきた友人の名前。たぶん栄子自身の本名ではないかと思われる。剣道の有段者。友人のアザベ・マドカ、ヒロユキと三角関係に近い関係だった。また、マヅメ・ミノルという伯父がいる。
【欲望】《我々の願いはただひとつ、時間と空間の呪縛から解放されたい。そのためにこそ、すべてのエネルギーは費やされるのです。》p.375
【ライダル】末房家を監視しているメンバーの一人。
【玲衣奈/れいな】→末房玲衣奈
【ロイス・シェフィールド】末房家を監視している何者かの中でもトップクラスのメンバー。六十代なかばの老婦人。
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