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Posted by ブクログ
著者がかつて書いた作品の中に、『七回死んだ男』という作品があります。遺産相続をめぐる騒動の中で死んだ祖父の死を回避するために、同じ一日を何度も繰り返す少年の奮闘を描いた著者の代表作です。
ふと読みながら、『七回死んだ男』を思い出したのは、本作も家族の死を回避しようとする男の物語だったからかもしれません。だけど死を止めたい理由が独特と言えば独特ではあります。突然、現在の姿のままタイムスリップした男が死を止めたかったのは、姉のため。女性しか愛せなかった姉はそのことで反発し合っていた昔気質の父親が殺されたことがきっかけで、望まぬ結婚をし、望まぬ人生を歩んでしまったからなのです。
家族をめぐる物語としても、愛の形をめぐる物語としても深い余韻を残す物語です。もしかしたらミステリ的には『ここまで踏み込んで欲しかった』と思うひともいるかもしれませんが、清冽な語りと心理描写にはそれを補って余りある魅力があります。
西澤保彦さんは私がたぶんもっとも作品数を読んでいる作家さんだと思うのですが(40作前後)、その中でも個人的な好みでは、すごく上にくる作品でした。それはそれとして一個びっくりしたことがあるとすれば、本作、二十年くらい前に集英社から出てた時のタイトルは、『異邦人』で、どっちが良いかは好みの問題とは思いますが、別の作品だと勘違いしないように気を付けたほうがいいかもしれません。
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