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わが庭の寓話・動物譚と植物誌
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 詩人、随筆家、翻訳家、また、クラシック音楽への造詣も深い著者は、山や自然を描いた詩や散文の秀品を多く残した。 「この仕事について ジョルジュ・デュアメルの『わが庭の寓話』との語らいを漸ようやく終わり、私はやれやれという気持で今一息ついている。彼と手を連ねてゆっくりとその邸内や庭や近隣の田舎を歩きながら、どんなに彼の話を聴き、どんなに色々の物を見、どんなにたくさんの事柄を学んだことだろう。思えば友であると同時に先輩であり、又一人の賢者でもあるデュアメルという人間を、その日常生活の中で観察するという幸福を私は持ったのだった。そして又この友はさまざまな機会に暗示を与え、それとなく教えを垂れて私を賢くした。もしも彼がいなかったならば、もしも彼から注意されなかったならば、どれだけ多くの貴重な事を私が見過ごし、聴き流してしまったことだろう。 「僕も寓話を書けたらばと思います。僕の庭の寓話を。しかし残念な事に僕は庭を持っていないのです」と言って嘆く或る青年の言葉が一晩じゅう彼を考えこませる。そして彼はこう言う。「まだ庭という物を持たなかった頃、私はリュクサンブールの林の中で寓話の咲くのを眺めたものだ。熱心な愛好者にとって、寓話を育てるためにならほんの小さな庭が一つあれば充分だ」そして控え目に言う、「私ならば窓のへりに置いた一鉢からでも、それを生長させるだろうと思うのだが」と。 こう言われてみて、さて今自分の窓からの狭い谷間の風景を眺めただけでも、デュアメルのような心と眼とをもってすれば、寓話の花は此処にも彼処あそこにも咲いている。時しも秋の終わり冬の初めで谷を囲む山麓の林は黄に赤に、鳶色に紫に皆美しく彩られ、その上に拭き清められたような青空がひろがり、穏かな日光が燦然と照り渡っている。そしてたまたまその大空の西の方にたった一つ浮かんでいる白い小さい片積雲が、語られた物語の終わりの一句か、語られる話の書き出しのように見える。しかし「窓のへりの一鉢」どころか窓の向うの豊麗な風景からでさえ、もしもわれわれに表現の力と豊かな人生智とが無ければ、たった一つの寓話でも此処から生み出すことはできないだろう。」(本書より) ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
漱石の世界
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 西田幾多郎とカール・バルに学んだ神学者・哲学者の著者が、文豪夏目漱石の世界に迫る。「則天去私」に至った明治の作家の心の内奥に迫る。 【目次より】 新版の序 序 第一章 倫敦の経験(「自己本意」の決意) 一 漱石の「自己」というもの 二 『私の個人主義』と謂わゆるエゴイズム ~ 九 彼の不安は何故消えたか 十 彼が倫敦で「新しく掴んだ」「自己本位」の真義 それと「東洋趣味」及び「生涯の事業」との関係 十一 「自己本位」の信念は何故『文学論』の著述を断念した後にもその力を保ち得たか 十二 『私の個人主義』に於ける漱石の体験分析の曖昧とその原因 第二章『文学論』と神経衰弱 一 帰る日まで 二 帰ってから 三 『文学論』の骨組 ~ 七 日露戦争 友人と門下生 表現の意欲 八 漱石は何故彼の『文学論』を「学理的閑文字」と呼んだか 漱石の神経衰弱及び創作の意欲そのものと、それについての漱石自身乃至諸家の批評との間の隔たり 第三章 作品の発展 その一 第一節 『野分』まで 第二節 『虞美人草』 第三節 『坑夫』 第四章 作品の発展 その二 第一節 『三四郎』 第二節 『それから』 第三節 『門』 第五章 作品の発展 その三 第一節 『思ひ出す事など』 修善寺の大患とその意義について 第二節 『彼岸過迄』 第三節 『行人』 第四節 『こゝろ』 第六章 「則天去私」とその後の作品 第一節 『硝子戸の中』と「則天去私」 第二節 『道草』 第三節 『明暗』 結論 あとがき 新版の跋 ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 -
処刑台広場の女
密室での奇妙な自殺や不可解な焼死の真犯人は、名探偵レイチェル・サヴァナクなのか? 記者ジェイコブが暴きだす、彼女の秘密とは -
終戦日記
自己について、書くべきときが来たようだ。自己を愛するが故に、容赦なく剔抉する。自己のうちの不潔をのこらずさらけ出して、自己を不潔から救う―。 時は太平洋戦争終戦直後の昭和21年。40歳になった作家の血を吐くような声が聞こえてくる。これは「敗戦日記」の続篇といえる、“最後の文士”の生き様の記録である。 (※本書は1992/1/1に文藝春秋より発売された書籍を電子化したものです) -
大空への旅立ち がんと闘いながらも夢見ていた未来
2013年「24時間テレビ」ドラマスペシャル「今日の日はさようなら」原作本。 悪性リンパ腫のため27歳1ヶ月で亡くなった息子の闘病の様子を、息子本人の日記と母親の日記を中心に描いた記録。 死を目前にした息子が家族に残した「ラスト・レター」には情愛が溢れ、涙なしには読めない。 (本書は2013/5/23に文芸社より刊行された書籍を電子化したものです) 目次 はじめに 第一章 昌彦二十七年の記録 第二章 闘病の記録 第三章 移植 第四章 再発そして別れ 第五章 ラスト・レター -
夜を束ねて
【夜を束ねて】 石を置く男と遭遇した僕は自らの短命を悟り、恋人と顔を合わせる事にした。 しかし彼女は自室冷蔵庫に潜んでいた作業服の男によって、雪で覆われた不毛の大地へと連れ去られてしまう。 【三色の水溜り】 公園に奇妙な水溜りができたらしい。話によれば黒々とした水が甘だるい匂いを漂わせているのだという。 他にすべき事も思いつかず、彼女が自ら休日の過ごし方を提案したことに少し驚き、裸足のまま靴を履いた。 以上2作収録 (本書は2020/10/28につむぎ書房より刊行された書籍を電子化したものです) -
「君たちはどう生きるか」を読み解く : あるジャーナリストの体験から
漫画化作品の大ヒットで脚光を浴びた古典的名作。 1937年治安維持法下の検閲をくぐり抜け公刊された児童書で、 吉野源三郎さんは何を伝えたかったのか。 出版ジャーナリストとして活躍した著者が名著を駆使して読み解いた遺作。 (本書は2018/12/17に大月書店より刊行された書籍を電子化したものです) -
あなたの代わりはできません。
小説編集者として働く玲子だが、仕事では失敗し、結婚目前の彼氏は音信不通に。同じ編集部の山崎に不平をぶちまけ泥酔した翌朝、二人の体が入れ替わっていた! やむをえず二人は互いを演じて仕事を乗り切ると決めるが、ズボラで感覚派の玲子と潔癖で効率重視の山崎は元々天敵どうし。渋々始めた同居生活でも「俺の体で変なことすんなよ」と常に山崎の目が光っている。そんな中「山崎」(中身玲子)が担当することになった作家は意見を一切言わず、新作が早々に難航。二人は幾多の仕事を乗り越え元の体に戻れるのか!? ==登場人物== 立花 玲子 富田文庫編集部所属。 激怒した作家に「担当替えてよ!」と怒鳴られ、自信喪失中。 ズボラで感覚派。 山崎 一馬 富田文庫編集部所属。 半年前に異動してきた。異動初日の事件以来、玲子とは犬猿の仲。 潔癖で効率重視。 -
8つの完璧な殺人
雪嵐の日、ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは10年ほど前、もっとも利口で、もっとも巧妙で、もっとも成功確実な殺人が登場する犯罪小説8作を選んで、ブログにリストを掲載していた。ミルン『赤い館の秘密』、クリスティ『ABC殺人事件』、ハイスミス『見知らぬ乗客』、アイルズ『殺意』……。捜査官によると、そのリストの“完璧な殺人”の手口に似た殺人事件が続いているという。犯人は彼のリストに従って殺しているのか? 著者のミステリーへの愛がふんだんに込められた、謎と企みに満ちた傑作長編!/解説=千街晶之 -
藤原道長 王者の月
2024年の大河ドラマの中心人物・藤原道長。平安中期、貴族社会の頂点に立った男には、ある秘密があった。摂政関白に手の届きそうな家に生まれたからには、自分もそうなりたいと思う道長だったが、兄たちや同じ藤原氏の同世代で伊周や公任というライバルがいた。しかし、頼りになる姉・詮子や左大臣の娘・倫子、「打臥」という巫女の導きによって、道長は「運」をつかんでいく。華やかな貴族生活の裏で、天皇をも巻き込む謀や呪詛が行われ、流行り病があっけなく身近なものたちの命を奪っていくが、道長は「知恵と運」で着々と昇りつめ、ついに一家三后(1つの家から3人の后を出すこと)」を果たす。人生最高の宴で「この世をば わが世とぞ思う 望月の 欠けたることの なしと思えば」を朗詠した意図、紫式部にだけ語られた道長の強運の理由。そして、さらなる秘密が……。野望を結実させるまでの日々を、道長を取り巻く人びとの人生とともに鮮やかに描く! 文庫書下ろし。 -
ジュリアス・シーザー
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 『シュリアス・シーザー』(1599)はシェイクスピアの悲劇シリーズの「入口」の作品です。そこから、『ハムレット』、『オセロ』、『リア王』、『マクベス』と四代悲劇が続けて作られました。この作品では、端役にしか過ぎないシーザーがタイトルとなっていますが、主人公はシーザーを殺したブルータスです。内容に関しては、ローマ史の政治、権力闘争が描かれ、雄弁術、更にはアントニーの演説の巧さなどが描かれています。そして、浮薄な民衆の発言、行動様式が時代を超えて、国境を越えて、同じであることを嫌でも認識されられます。なぜ、この頃に上演されたかというと、当時のイギリスはエリザベス女王の末期の時代。独身で子供はいなく、女王は後継者指名を拒否していたとなると、当然、後継者争いから内乱に発展する可能性が危惧されていた時代です。シェイクスピアはローマの歴史に事寄せて、イギリス社会を描いているのです。 -
山本くんの怪難 北陸魔境勤労記
知名度ワースト、陸の孤島、と本社の人間から軽んじられていた福井県。ところが、怪異を引き寄せてしまう体質の山本くんにとっては、無数のモノノケが蠢く魔境だった!? 昔からの「ふるさと」の姿を守りたい鉄拳女上司・経塚部長と、「まちおこし」に躍起になるNPO法人・ビタミンのキュートな女性・夏井さんとの板ばさみになってしまった山本くん。さらには地霊がすり寄ってきて大騒動に! 名所・旧跡・珍スポット、歴史・伝説・逸話、外部の人間にはわからないフクザツな県民感情まで。ありとあらゆる北陸福井の要素を盛り込んだホラーコメディ。文庫版から大幅に加筆修正の上、巻末には郷土愛あふれる「取材ノート」を追加収録。 ●雀野日名子(すずめのひなこ) 石川県で生まれ、福井県と大阪府で育つ。ゴーストライターやノベライズライターから物語執筆へと移行し、『機械仕掛けのアン・シャーリー』でジャイブ小説大賞入選。『あちん』で「幽」怪談文学賞短編部門大賞を受賞し、同作で小説家デビュー。『トンコ』で日本ホラー小説大賞短編賞受賞。「雀野日名子」名義での単著に、『太陽おばば』『幸せすぎるおんなたち』『終末の鳥人間』『かぐや姫、物語を書きかえろ!』などがある。カルト映画と80sをこよなく愛する、文壇アレルギー症。 -
後宮の炎王
「あんた……誰だ」 「きみの友だ」 ひとりは過去の記憶を失い、 ひとりは女の姿で後宮に潜む。 《過去の記憶》と《濃厚な友情》は、青年ふたりに奇跡を起こすのか!? 胸熱の中華風ファンタジー!! 悠永国(ゆうえいこく)の後宮には、こんな噂があった。 曰く「皇后の剣、と呼ばれる謎めいた人物がいる」と。 それは氷のように冷徹な皇后の側近で、名は静羽(せいは)。炎のごとき美貌の女性だという。 幼い頃の記憶がない翔啓(しょうけい)は、ある日後宮に迷い込み、女の姿をした青年・嵐静(らんせい)と出会った。 彼こそが、静羽なのか……。 初めて会った相手のはずなのに、なぜか翔啓は嵐静に強く惹かれる。 それは彼自身の失われた過去にも関係しているようで……!? 失った《過去》に、大切なものを、置いてきた――。 ふたりの「再会」がきっかけで、幼い皇太子や皇后をも巻き込んだ大事件が動きだす。 過去と友情が織りなす――血湧き肉躍る中華後宮ファンタジー開幕! -
路墾
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 フランス植民地下、インドシナ半島のラオスに暮らす家族。日本軍の侵攻とともに、メコン川を渡り逃れたタイで、一家の母親は病死、父親は失踪。残された子どもたちと祖父母は第二次世界大戦後に帰還するものの、母国は国家権力を巡る内戦状態に陥ってしまう。そんななか、学ぶ機会を得た三男の少年ウドムは日本政府の奨学金で日本に留学。やがて、生涯の伴侶となる女性と出会い、結婚。そして帰国、政府高官としての任務。しかし、母国は過酷な運命にさらされ、ベトナム戦争に巻き込まれ、荒廃、ついにはクーデターが発生し、亡国となって消えてしまう。難民となったウドムと家族、無国籍の子どもたち、日本に押し寄せるボートピープル……。二十世紀初頭からの怒濤の百年間、その動乱の歴史の狭間で翻弄されつづけたインドシナ半島。運命に操られながらも、ラオス人としての矜恃と希望を失うことなく、ひたすらに生きぬいた一人の男の波瀾の生涯を描いた物語。 -
姫川の流るる村で
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「裸足になりません? とっても冷たくて、いい気持ちよ」。姫川の河原で石拾いをしていた白いワンピースのあの人は、悪戯っぽい笑顔を浮かべた。これが幼子を連れた美しい人妻に惹かれた、私の切ない恋の始まりであった──大学院生で文学志望の私は、夏休みには小説の執筆等で白馬村の宿に滞在していた。宿で美しい人妻と出会って、年に一度この宿で再会する約束を交わす。恋情の募った3年目の夏、私が訪れる直前にあの人は何故か宿から消えて……。「学生村」が盛んだった昭和40年代、清流の流れる風光明媚な村を舞台に、互いに己を律しながら展開する香り高い愛の物語。 -
木精(乙女の本棚)
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第34弾は、文豪・森鷗外×イラストレーター・いとうあつきのコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 呼べばいつでも木精の答えないことはない。 暖かい野の朝、谷間で「ハルロオ」と呼び、木精の答を聞く。それがフランツの楽しみだった。 森鷗外の名作が、書籍の装画やCDジャケットなどで知られ本シリーズでは横光利一『春は馬車に乗って』を担当するイラストレーター・いとうあつきによって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。 -
高橋和巳・高橋たか子 電子全集
高橋和巳の代表作ともいえる宗教団体の破滅を描いた一大長編『邪宗門』を中心に、未完作「古風」を併録した一巻。 高橋和巳の代表作ともいえる一大長編『邪宗門』。 序章+3部構成の体裁をとる物語は、「ひのもと救霊会」なる宗教団体が昭和初期に治安維持法違反や不敬罪といった罪科に問われることで、国体論的国家権力によって徹底的に弾圧され、壊滅の危機に迫られるも、戦後、新たなる世の到来とともに、信徒それぞれが希望と復讐の念を交錯させつつ再起、再興を志しながらも、今度は駐留軍によって弾圧され解体していく宗教団体の破滅までのさまを描いた作品。 当巻では、決定版ともいえる単行本に加え、「朝日ジャーナル」1965年1月3日号~1966年5月29日号まで全74回にわたり連載された初出版も完全併録。 決定版では改稿に加え、特に第3章で、大幅な増補が施されていることも確認できる。 また、併録した未完作「古風」は1957年3月から1958年8月まで、同人雑誌「対話」第一、二、三号に発表され、壮大な構想にもとづく長編小説として書かれたが、中断したまま、未完となった作品で、和巳最後の小説『黄昏の橋』に受け継がれる作品といえる。 解説は、和巳と同じ京都大学文学部卒で関西学院大学文学部教授・橋本安央氏(『高橋和巳 棄子の風景』を執筆)が務め、解題は和己巻の監修を務める作家・太田代志朗氏が担当。 付録として「邪宗門」「古風」の生原稿等も収録する。 -
P+D BOOKS 桜島・狂い凧
戦争を冷徹な目で見つめた梅崎春生の出世作。 「ねえ、死ぬのね。どうやって死ぬの。よう。教えてよ。どんな死に方をするの」 米軍上陸が迫るなか、桜島の海軍通信基地に異動になった村上兵曹は、一夜をともにした女性に、そう詰められる。しかし、どういう死に方をすればいいのか、そのときになってみなければわからない。ただ、死が目前に迫っていることをひしひしと感じるだけだった。 生きることへの執着と諦観、どうせなら美しく死にたいという願望と、それはかなわないだろうという無力感……。背反する思いを抱えたまま散歩に出た村上に、グラマンの銃弾が降り注ぐ――。 出世作「桜島」に、戦地で自死同然に亡くなった弟の足跡を、双子の兄たちがたどっていく芸術選奨作「狂い凧」を併録。 -
ブックキーパー 脳男
乱歩賞史上最強のダークヒーローが帰ってきた! 驚異的な知能を持ちながら「心」のない男と、警察庁の華麗なるエリート警視が頭脳対決! 警視庁で開発中の異常犯罪データベースによって遠く離れた場所で相次いだ3件の殺人事件にはすべて拷問の痕があると判明し、続いて愛宕市でも氷室財閥当主が犠牲者に。異常犯罪のエキスパートとして現地に急行した警察庁の若き女性警視・鵜飼縣は茶屋警部を従えて捜査にあたる。一方、同市の鞍掛署は秘かに謎の老人の行方を追っていたが、発見した途端に鈴木一郎=脳男が現れて妨害する。鞍掛署にはまた署をあげての交通事故隠蔽疑惑があり、真相を探ろうとした茶屋のかつての部下が殺される……。 鍵を握る「ブックキーパー」とは何者か? 残虐な連続殺人事件の真相とは? そして神出鬼没の脳男=鈴木一郎が戻ってきた理由とは? 乱歩賞受賞最大の問題作「脳男」シリーズがさらにパワーアップして登場。総勢60名以上の人物を見事に描き分け、テンポよく切り替わる場面に目が離せない、エンタメの王道を行く超弩級サスペンス巨編。 -
さよなら日和
「別れ」は止められないけれど、止まった「想い」は動かせる。 閉園をむかえる遊園地を訪れた人々。 彼らの「さよなら」が繋がったとき、心に染みる奇跡が起こる! 閉園が決まった遊園地・星が丘ハイランドパークの最後の一日。訪れるのは、淡い思いを秘める中学生に、離れて暮らす息子と遊びにきた父親、認知症の妻をかかえた老人と、ワケありな人ばかり。営業終了時間が迫る中、なんの縁もない彼らの人生が交錯するとき、小さな奇跡が巻き起こる! 心温まる傑作群像劇。(単行本『廃園日和』を改題。) ~~~ ようこそ、星が丘ハイランドへ! ~~~ ジェットコースター 少年は淡い思いを胸に、苦手なコースターへ。 ゴーカート 久しぶりに会った息子は大人びていて――。 コーヒーカップ 遠距離恋愛の彼氏は、アタシのことをどう思ってる? ヒーローショー 20年ぶりに1日限定で出演するはめになったけど……。 メリーゴーランド 認知症の妻は、この光景を覚えていてくれるのか。 観覧車 家族のいる人との恋。このままでいいわけない――。 -
静かなる奔流
画家を目指す青年の孤独な努力の日々。研鑽と挫折の中、人々との出会いが彼の魂を感情豊かに成長させる。 将来自分の歯医者の仕事を継がせようとする父に、画家になる夢を砕かれた博は死んでもいいと思いながら山奥をさすらう。そこで偶然に道路工事の飯場に拾われ、一年を過ごす。人間とは何かを考え少し大人になった彼は、その後沖仲士の仕事に就き、肉体労働を通して個の存在としての人間を感じ、独自の勉強で再び絵を描き始める。ますます絵への情熱が強くなりついにパリ行を決行する博。多くの人々に影響されながらも、自己研鑽に励み、生きる意味を考え成長していく若者と、彼を取り巻く人々の魅力にも焦点を充てた重厚な青春小説。 【目次】 その一 山の日記 五月X日 五月XX日 五月XXX日 五月YX日 五月XYY日 六月Z日 六月ZZ日 六月ZZZ日 六月YY日 六月YW日 その二 地の微熱 一 二 三 四 五 その三 ユンヌ・シャンソン・イナシュヴェ 一 二 三 四 五 その四 山の福音 一 二 三 四 その五 カルテッド終楽章 一 二 三 四 五 エピローグ 傍景 美津子の生き立ち 一 二 補追 あとがき 著者紹介 【著者】 井本元義 1943年生。九州文学理学部物理学卒。丸の内サラリーマン生活四年の後、福岡で医療機器の企業経営40年。1969年「鉛の冬」が新潮新人賞候補にて掲載。2004年「詩集花のストイック」福岡市文学賞受賞。2015年仏語俳句グランプリにて招待受ける。2016年「トッカータとフーガ」が文芸思潮まほろば賞受賞。同人誌「海」「詩と眞實」所属。日本ペンクラブ会員。九州日仏友好協会理事 -
再雇用警察官
定年すぎてもまだまだやれる! 給料激減、待遇曖昧、昇級降級無関係。 だからこそ、好きにやれまっせ! 老害なんて言わせへんで! 培ってきた経験で、勝負や! 一般企業の定年退職後雇用延長のように、大阪府警が再雇用警察官制度を開始。 給与は定年時の六割程度、巡査部長待遇という曖昧な階級で銃も貸与されない__ 安治川信繁は新設の府警生活安全部消息対応室に配属された。 本部から左遷されてきた芝室長、難波署少年係から転属した似顔絵描きの名手新月良美との三人所帯。 事件性があるか否かのグレーゾーンの行方不明者を調査する地味な部署である。 知らないうちに勝手に退職した夫が、退職金を持ったまま失踪し、直後に不審な電話がかかってきた…。 本間淳子の訴えに調査を開始した安治川。どうやら夫は自分の意思で失踪したらしいと見当がついたのだが、大阪湾で本間雅史の保健証を所持した殺害死体が発見されて事態は急変。 死体は雅史のものではなかったのだ。死体の身元は? 雅史が犯人なのか? 特殊なベルトのバックルを手掛かりに安治川は神奈川県警の捜査共助課の助けを借りて、死体が下河内健であることを割り出す。 が、その矢先に今度は大阪の山中で本間雅史の縊死死体が見つかった。 長澤一郎名義の身分証明書を身につけていた。この三人につながりは見られない。見知らぬ者同士がなぜ入れ替わっているのか…? 昔取った杵柄とばかり地道かつ着実な捜査で真相に迫る安治川だったが…。 自らも人生の黄昏を迎えた再雇用警察官が、 ミッドライフ・クライシスに惑う男たちが引き起こした切なくも複雑な殺人事件を解く! カバーイラスト:『めしばな刑事タチバナ』の旅井とり! -
有栖川有栖選 必読! Selection
あなたはまだ“新本格作家”笹沢左保の恐るべき実力を知らない! 有栖川有栖がセレクトした、笹沢左保のベストミステリ。 多重トリックで翻弄する記念すべき長篇第一作。 【有栖川有栖さん、大推薦!】 密室×アリバイ×暗号×? いくつものトリックと罠を埋め込んだ1960年代の華麗な〈新本格推理〉。 この面白さは決して古びない! 裏切り者を消せ!――組合を崩壊に追い込んだスパイとさらにその恋人に誤認された女性が相次いで殺され、事件は容疑者の事故死で幕を閉じる。 納得の行かない結末に、倉田警部補は単独捜査に乗り出すが……。 アリバイ崩し、密室、暗号とミステリの醍醐味をぎっしり詰め込んだ、著者渾身のデビュー作。 虚無と生きる悲しさに満ちたラストに魂が震える。 〈トクマの特選!〉第一回配本。 〈目次〉 Introduction 有栖川有栖 招かれざる客 Closing 有栖川有栖 -
梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション
“この物語に騙されるな!” 無数に仕掛けられた伏線が大逆転を呼ぶ! 「お前の弟は殺されたのだよ」 死期迫る母の告白を受け、疎開先で亡くなった弟の死の真相を追い大学教授・仲城智一は千葉の寒村・山蔵を訪ねる。 村一番の旧家妙見家の裏、弟の亡くなった龍神池に赤い槍で突かれた惨殺体が浮かぶ。龍神の呪いか? 座敷牢に封じられた狂人の霊の仕業か? 怒涛の伏線回収に酔い痴れる伝説のパーフェクトミステリ降臨。 〈トクマの特選!〉 イラスト やまがみ彩 〈目次〉 第一章 飢えた群れ 第二章 龍の生贄 第三章 C=16調合法 第四章 殺意のとき 第五章 キ裂破局(クラック・カタストロフィー) 解説 三津田信三 -
意味が分かると怖い謎解き 祝いの歌
シリーズ累計40万部を突破した『意味が分かると怖い話』の著者による新たな「意味怖」が誕生! 謎解きをしながら小説を読み進める”遊べる”新感覚ホラー。 ひとりの国民的女性歌手が自殺した。日本中が悲しみに暮れる中、母親やプロデューサー、ライバル歌手、完コピ配信をするVTuberら関係者10名が曲を持ち寄り、追悼アルバム『祝いの歌』を発売する。しかし、そのアルバムにはこんな怖い噂が……。 ――このアルバムを聴くと呪われ、同じ死に方をする 呪いの検証をするためオカルト配信者0が緊急生配信を行ない、関係者たちの真意を暴いていくのだが……。 小説×音楽――。大手音楽配信サイト『レコチョク』とのコラボレーションプロジェクト! -
生贄たちの午後
『悪魔はそこに居る』が吉谷彩子&石井杏奈のW主演で実写ドラマ化! 人間の裏側の恐ろしさで話題作を連発する気鋭作家による新たな「ドメスティックサスペンス」が誕生! この世界で一番大切なのは、他者に対する優しさを忘れないこと――福田優里は可哀想な人を見ると放っておけないタイプ。憧れのタワーマンションを購入したものの、そこで繰り広げられていたのは女性住人同士で繰り広げられるおぞましいマウント合戦。その頂点に立つ帝人綾女の秘密とは? 根暗でいじめられっ子な謎の女・姫宮麗子の真の狙いとは? タワーマンションという上下関係のわかりやすい世界で渦巻く、格付け、値踏み、ランク付け。小さなその社会のなかで、他者に対するやさしさや正義はそのまま受け取られるわけではない。それぞれに正義があり。正義の反対は正義なのだ。他者へのやさしさは憐れみとなり、そしてその憐れみは無自覚で狡猾な自分を守るエゴと自尊心によるものではなかったか――。生贄になったら終わり。不可解なトラブルの連続、平凡な主婦を追い詰めるタワマンリンチがいまはじまる――。 小説×音楽――。大手音楽配信サイト『レコチョク』とのコラボレーションプロジェクト。 -
崖っぷちエマの事件簿
「だったら、あなたは “こういうこと” を仕事にすればいいのよ」小さな旅行代理店の運営がうまくいかず崖っぷちのエマに、「友人になる」というビジネスを勧めてくれたのは、一人の高齢女性だった。半信半疑のままレンタル友人業をはじめてみると、次々に依頼が舞い込んできて順調なすべりだし。孤独な老人のダンス相手から、ジム仲間まで――世の中には意外にも孤独だったり、忙しすぎて友人を作る暇もない人たちが多いようだ。そんな依頼人たちはちょっぴりクセが強くて欠点も多いけれど、エマは彼らに寄り添って、励ましたり、力になれることが嬉しかった。ところがある日、「友人として拍手を贈る」だけの簡単な依頼だったはずが、依頼人がエマの目の前で殺される事件が起きてしまい!? -
約束~ひと夏の思い出~
『外に出ると大きな生き物が捕まえに来る』『牢屋に閉じ込められる』 怖いけれど、ナツは今日外に出ていくのだ。 昔から一緒に過ごしてきた、マサと家族を作るために……。 夏の日。うだるような暑さの中、うるさいくらいに鳴いている彼らの一生に一度の旅のお話。 ※本作は東 紗鋳樹の個人誌作品の電子書籍版となります。 -
食材を揃え、調理し、風呂を立てて待っている。
「そうだ、江國さんに聞いてみよう」 作家のままでいたい人と、いてほしい人がいました。その選択が困難を伴うとしても。 作家を夢見る人と、夢を叶えてあげたい人もいました。その将来が未知数だとしても。 だから4人は考えました。 「それなら江國香織に相談すればいい」 江國作品の解読をまじえた、『本をつくる人たち』小説。 ※江國さん本人は出てきません ※『落下する夕方』の謎解きやります。なぜ華子は自殺したのか etc… 販売:株式会社ボイジャー 発行:カズノpub. 【目次】 第一話 世界の中心で、割りばしをわる 第二話 呼べばタクシーのくる荒野 第三話 二十二、8年、三十 【著者】 宮崎研治 1968年、横浜生まれ。高卒。書籍製作者・校正者、出版レーベル・カズノpub. 運営。 -
恋愛の発酵と腐敗について
太宰治賞作家が描く大人の恋愛群像劇。 人生経験を積んだ大人でも、恋愛だけは不器用なまま。太宰治賞受賞作家・錦見映理子が大人たちの恋愛模様を鮮やかに紡ぎ出す。 不倫の恋に破れ、勤めていた会社を辞めた元OL・万里絵は、知らない町で夢だった喫茶店を開き、ここで穏やかに暮らしていこうと決心する。そんな矢先、店に奇妙な男が現れ、サンドイッチに難癖をつけてきた。その男・虎之介は、商店街の一角にできたパン屋のパン職人。高い技術を誇り職人気質な男だが、こと女に関してはだらしがない。二度と恋はしないと誓った万里絵、夫に先立たれ久方ぶりの恋心に戸惑う早苗、夫の浮気を許し続ける伊都子。虎之介に翻弄された女たちの人生に予想外の転機が訪れる。太宰治賞作家が描く大人の恋愛群像劇。解説は中江有里さん。 Apple Books限定先行配信・有料小説ランキング1位、ブクログデイリーランキング1位、第2回「書店員が選ぶ大人の恋愛小説大賞」ノミネート、朝日新聞、日本経済新聞、NHKでも紹介された話題の小説が待望の文庫化。 ※この作品は単行本版『恋愛の発酵と腐敗について』として配信されていた作品の文庫本版です。 -
月刊「潮」2023年9月号
"月刊「潮」2023年9月号 主な内容 【特別企画】世論の“風”の本質を見抜く 自公連立政権に求められる「変化」と「挑戦」。 牧原 出 公明党は最も国民の側にいる政党。 末冨 芳 不安に惑わされずマイナカードを正しく理解しよう。 金子朋子 【特集】日本が抱える難題 停戦をめぐる高いハードルと日本の選択肢。 佐藤丙午 「教員働かせ放題」の改善が教育の質を守る“一丁目一番地”。 内田 良 ≪連載対談≫ ニッポンの問題点 二〇二四年問題で、「送料無料・翌日配達」はもう限界!? 首藤若菜 VS 田原総一朗 【対談】堀内都喜子VS 織田友理子 誰も取り残さない社会へ――健常と障がいの境界を越えて。 【ヒューマンストーリー】伊藤 渉 「庶民の中の庶民」として政治に血を通わせていく。 【人間探訪】菅原洋一 九十歳の私からあなたへ贈る、愛の詩。 【連載ドキュメンタリー企画】 民衆こそ王者 池田大作とその時代 道を開く人篇 【シリーズ】シニアのための「生き生き」講座 ≪連載≫ 鎌田實の「希望・日本」 生島ヒロシさんと語り合う七十歳からの健康法。 鎌田 實 〇 諸刃の剣の「生成AI」に求められる規制。 塩原俊彦 【連載】 最新テクノロジーから見たグローバルヘルス 医療データのIT化は超高齢社会の救世主。 山本康正 【連載】「故事成語」にはワケがある! 戦乱の世の中はじつは故事の宝庫。 塚本青史 【ドキュメント】戦力外通告――支える家族の物語。 神田憲行 【ルポ】「指導死」根絶へ 立ち上がった遺族たち。 (上) 渋井哲也 【ルポ】渡航移植の深い闇――斡旋事件の深層に迫る。 (下) 高橋幸春 【好評連載】 高島礼子の歴史と美を訪ねて 梶 よう子 VS 高島礼子/池田思想の源流――『若き日の読書』を読む 佐藤優/他 その他 " -
帝都吸血鬼夜話 少女伯爵と婿入り吸血鬼
西洋嫌いな吸血鬼・紫蜂と男勝りな少女・紅蝶の明治吸血鬼浪漫譚 時は明治。突如、人間や吸血鬼を無差別に襲う吸血鬼の変種『羅刹鬼』が現れる。 『羅刹鬼』に対抗すべくバテレン嫌いな強面吸血鬼は男勝りな少女伯爵と政略結婚することに――!? 序章 第一話 野良犬と伯爵 第二話 仮面舞踏会(マスカレイド) 第三話 家族の肖像 終章 ■著者 片瀬由良(かたせ・ゆら) 山口県在住の小説家。第一回小学館ライトノベル大賞ルルル賞を受賞しデビュー。著書に『新米獣医ですが、妖怪の診療はじめます。』『桜の花守 桜春国の鬼官吏は主上を愛でたい』『冥府の王と屍人姫』(すべて小学館)などがある。 ■イラストレーター 條 -
飛び立つ君の背を見上げる
累計180万部突破の「響け! ユーフォニアム」シリーズ最新作、ついに文庫化! 北宇治高校三年、中川夏紀。私は今日、吹奏楽部を引退した――。傘木希美、鎧塚みぞれ、そして吉川優子。四人で過ごした、最高にいとおしくて、最高に誇らしかったあの日々――。「響け! ユーフォニアム」シリーズの人気キャラ・中川夏紀の視点で、 傘木希美、鎧塚みぞれ、そして吉川優子を見た物語。 エモさ全開の青春エンターテインメント。 待望の文庫化です。単行本の初回特典だった、希美視点の「記憶のイルミネーション」も収録。 ※本書は2021年2月に刊行した単行本 『飛び立つ君の背を見上げる』を文庫化したものです。 -
ストロベリー戦争 弁理士・大鳳未来
『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作家、最新刊! そのいちごの名前は違法!? 絶体絶命からの大逆転ほど胸のすくものはない。 ――大矢博子(書評家)※「労働新聞」令和5年2月27日掲載の書評より抜粋 種苗法、商標権、農業ってかなり大変なんです。生産者の苦労を助けてくれるキレキレの頭脳に読む手が止まらない。 ――鈴木典子(ヤマト屋書店仙台三越店) 大震災からの復興を目指し、新品種“絆姫”の開発に成功した久郷いちご園。 そこに、大手商社の田中山物産から絆姫の名称は、商標権侵害との警告書が届いた。 さらに、クリスマスケーキに絆姫を使用することが決定している世界的パティスリー「カリス」から、 名称変更せずに解決か、全被害額を支払うかを迫られ――。 大手商社という巨大な敵から、いちごの名称と農家たちの熱い想いを守るため、 弁理士・大鳳未来は驚天動地の策に出る! (著者情報) 南原 詠(なんばら・えい) 1980年生まれ、東京都目黒区出身。東京工業大学大学院修士課程修了。元エンジニア。現在は企業内弁理士として勤務。第20回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞し、『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』(宝島社)で2022年にデビュー。 ※本書は2022年9月に刊行した単行本 『ストロベリー戦争 弁理士・大鳳未来』を文庫化したものです。 -
スマホを落としただけなのに 連続殺人鬼の誕生
映画化も大ヒット!累計100万部突破の人気シリーズ最新刊 ある朝目覚めると、首を吊った母親を発見した佐藤翔太。身寄りのない小学生の翔太は養護施設に送られ、そこでヨシハルという少年に出会う。そして、彼が翔太と距離を縮めて殺人を促したことで、翔太はとある殺人に加担することになり……。スマホを駆使した詐欺や暴行、殺人を繰り返してきた「怪物」の正体とは。黒髪の女性ばかりを凄惨な方法で殺害した連続殺人鬼が生まれるまでの物語。 (著者情報) 志駕 晃(しが・あきら) 1963年生まれ。明治大学商学部卒業。第15回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として、『スマホを落としただけなのに』で2017年にデビュー。他の著書に『ちょっと一杯のはずだったのに』『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』『スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス』(以上、宝島社文庫)、『そしてあなたも騙される』(幻冬舎)などがある。 -
鐘を鳴らす子供たち
復興の希望・伝説のラジオドラマの舞台裏。 物語は高度成長期と呼ばれる昭和48年、『鐘の鳴る丘』に出演した当時小学生の一人、良仁への一本の電話から始まる。この日、戦後を代表する劇作家であり、『鐘の鳴る丘』の脚本家・菊井一夫が逝去。電話は菊井の葬儀の知らせだった。知らせを受けて菊井との記憶に思いを馳せる良仁の脳裏には、いつしか「緑の丘の赤い屋根 とんがり帽子の時計台…」と、少年少女たちの歌声が流れ始めていた。 昭和22年。ようやく給食が再開したものの、ほとんどの子どもがいつもお腹を空かせていた時代。東京・練馬区の小学校に通う良仁は親友の祐介と全力で遊びまわる日々を送っていた。そんなある日、良仁と祐介、そして、隣のクラスの実秋を含めた数名が、NHKのラジオ放送劇『鐘の鳴る丘』に出演することに。良仁たちが演じるのは、当時、社会問題となっていた戦後浮浪児の役。戦争への負い目を胸に抱えた大人たちと共に、伝説となるラジオドラマ『鐘の鳴る丘』をつくる日々が始まる。 戦後の混乱期、ラジオが唯一の娯楽ともいえた時代、作り手側に立つことになった子どもたちが見た世界とは。戦争への後悔を抱えた大人達と一緒に希望を模索する日々の行方は・・・。 -
警官は吠えない
手帳を置いても、刑事は刑事だ! ラブラドール・レトリバーのナインと山小屋で暮らす元刑事・村瀬の前に、突然見知らぬ青年・秋山亮が現れた。 「悪いが、しばらくの間、彼の世話を頼む」と書かれた手紙を持って。 手紙の主は、京都左京署時代にコンビを組んでいた刑事・柳智也。 元相棒の勝手な振る舞いに戸惑う村瀬は柳に連絡を取ろうとするが、まったく電話に出ない。 嫌な予感を覚えつつも、預かる理由が分からないまま、秋山の面倒を見る羽目に――。 柳の身を案じ、ひとりで捜し始めた村瀬は、なぜか京都市南部に古くから大きな勢力を持っている暴力団・条南興業から圧力をかけられる。 さらに、条南興業の敵で、北部を縄張りにする北天会のナンバー2である阿佐井峻が姿を見せ、村瀬を手助けすると言い出した。 いったい理由はなんなのか? 困惑する中、村瀬の後輩刑事・三島翔太から電話が入る。 「秋山亮が死体で見つかった」と――。 預かっている青年と殺された男は、同姓同名の別人なのか? 真相を追う村瀬に、手帳を置いた原因となった発砲事件が立ちはだかる。
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