今回、ネットカフェで集中して読書した。上位に入ったオトコ編4位、オンナ編1位、2位をチェックした。私は加藤周一の指摘を守って、文学は流行を追わないことにしている。人生は短く人生で読める本の数は限られているからである。よって、本屋大賞を流行世界の窓としている。ただし、マンガはもう少し間口を広げている。
...続きを読む小説よりも速く読めるからである。
「このマンガがすごい」賞は、マンガの直木賞というべき、玄人読みが選ぶマンガの大衆賞と、私は位置付けている。直木賞と同じように、此処に選ばれているからといって、私がその年のマンガ作品ベストだと思っているわけではない。証拠に「進撃の巨人」最終巻などはオトコ編16位になっている。私は昨年出たマンガの中でベスト5に入る作だと思っていた。「きのう何食べた?」「ゴールデンカムイ」はノミネートから外れた。どうやらこの賞は、新しい方向性を打ち出したマンガに敏感に反応するようだ。『チ。-地球の運動について-』については、今回一通り読んだのだけど、まとめる時間がなかった。かなりの力作ではあるが、またの機会にレビューしたい。「ルックバック」「怪獣8号」「女の園の星」は既に評している。
もっとも、マンガの良いところは「多様性」にあるわけだから、私の意見も「多様性」のひとつに過ぎない。
それぞれの1位の作者には、スペシャルインタビュー記事が載っている。それは滅多にない作者の生の声なので、貴重だろう。
「ルックバック」(昨年12月にレビューした)の藤本タツキは、主人公2人のうち、藤野の方は自分がモデルだと認めていた。アシスタント時代の龍幸伸(「ダンダダン」)の絵もあるそうだ。「海が走るエンドロール」のたらちねジョンは、編集者主導のテーマ決定だった。
以下参考までに、今年のオトコ、オンナ上位10人までをメモする。
オトコ編
★ 第1位 ★
『ルックバック』 藤本タツキ(集英社)
★ 第2位 ★
『チ。-地球の運動について-』 魚豊(小学館)
★ 第3位 ★
『怪獣8号』 松本直也(集英社)
★ 第4位 ★
『ダンダダン』
龍幸伸(集英社)
★ 第5位 ★
『東京ヒゴロ』
松本大洋(小学館)
★ 第6位 ★
『葬送のフリーレン』
山田鐘人(作)アベツカサ(画)(小学館)
★ 第7位 ★
『【推しの子】』
赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社)
★ 第8位 ★
『トリリオンゲーム』
稲垣理一郎(作)池上遼一(画)(小学館)
★ 第9位 ★
『ペリリュー 楽園のゲルニカ』
武田一義(著)平塚柾緒(太平洋戦争研究会)(協)(白泉社)
★ 第10位 ★
『ダーウィン事変』
うめざわしゅん(講談社)
(オンナ編)
★ 第1位 ★
『海が走るエンドロール』 たらちねジョン(秋田書店)
★ 第2位 ★
『作りたい女と食べたい女』 ゆざきさかおみ(KADOKAWA)
★ 第3位 ★
『大奥』 よしながふみ(白泉社)
★ 第4位 ★
『うるわしの宵の月』
やまもり三香(講談社)
★ 第5位 ★
『女の園の星』
和山やま(祥伝社)
★ 第6位 ★
『ブランクスペース』
熊倉献(ヒーローズ)
★ 第7位 ★
『かげきしょうじょ!!』
斉木久美子(白泉社)
★ 第8位 ★
『しあわせは食べて寝て待て』
水凪トリ(秋田書店)
★ 第9位 ★
『ブランチライン』
池辺葵(祥伝社)
★ 第10位 ★
『ミステリと言う勿れ』
田村由美(小学館)