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ブルーグラスバンド「百弦」のリーダーにして一家の長である宮嶋玄は、家でひとり死んだにもかかわらず、なぜか毎日蘇っては死に続ける。その不条理な繰り返しに息子たちは苛まれていく――(「無限の玄」)。魂の健康を求めて野球部を作ろうとする侑希美さんの下に集った私たちは、しかし理想と現実の間で葛藤する――(「風下の朱」)。それぞれ三島賞受賞と芥川賞候補に輝く奇跡の中編集!
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Posted by ブクログ
「無限の玄」は死のルールから外れた存在を中心に展開し、「風下の朱」は性のルールから外れた存在を中心にしており、どちらも常識からの逸脱がテーマの柱だ。 個人的には「無限の玄」の方が一歩抜きん出ている感じ。百弦という業とそれに縋り振り回されながらも生きる一家。死から外れることを書きながら生を描いている。
死と生。真逆の話かと思いきや密接で、どちらからも人間の生命力を感じた。ルーツはそのまんま思想に繋がる。自分の場合はどうだろう。
どちらの作品も浮世離れした設定ということによるのか、とにかく不思議な読後感。ハッとする文体が美しい。好きかと問われると好きではない、けど、妙に残る。 「無限の玄」は死から始まる。その対比として配置された「風下の朱」からは生命力が感じられ、眩しい輝きを放っていた。
描写は繊細で惹きつけられるが、父が何故戻ってくるのかがはっきりしない。とどのつまり、息子たちの苦しみも救いも父からもたらされたもの=父の存在を消化できていない登場人物たち…に思え、着地点にもってくる境地としては如何なものか。また、親子をつないでいるブルーグラスバンドだが、ブルーグラスにする必要があっ...続きを読むたのか。
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無限の玄/風下の朱
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古谷田奈月
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