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轢き逃げの通報を受け、臨場した北海道警察本部大通署機動捜査隊の津久井卓は、事故ではなく事件の可能性があることを現場で知る。それは被害者が拉致・暴行された後に撥ねられた可能性が高いからだった。その頃、生活安全課少年係の小島百合は、駅前交番で保護された、九歳の女の子を引き取りに向かう。その子は、旭川の先の町から札幌駅まで父親に会いたいと出てきたようだった。一方、脳梗塞で倒れた父を引き取るために百合と別れた佐伯宏一は、仕事と介護の両立に戸惑っていた。そんな佐伯に弁護士事務所荒らしの事案が舞い込む……。それぞれの事件がひとつに収束していく時、隠されてきた闇が暴かれていく――。コロナ禍に見舞われながらも懸命に生きる人々を鮮やかに描く、心に残る傑作警察小説!大ベストセラー道警シリーズ、最新作。
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Posted by ブクログ
コロナ禍による規制が緩和されたばかりの札幌で起きた交通事故。駆けつけた機捜の津久井卓巡査部長は事件性を疑い捜査を開始する。
一方、法律事務所荒らしを調べていた三課遊軍の佐伯宏一警部補と新宮昌樹巡査は、この事件の根が意外に深いことを知り……。
『北海道警大通署』シリーズ10作目。
◇
札幌の中心部にあるショッピングモールの地下駐車場。買い物を終えた桂木陽一が、エスカレーターから少し離れた場所に停めた自家用車の運転席ドアを開けた瞬間だった。
背骨を折られたような強い衝撃を感じた桂木は、さらに突き飛ばされて車の中に倒れ込んだ。続いて倒されたシートから桂木の身体は後部座席へと引きずり込まれ足下の隙間に寝かされた。
後部席に乗り込んできた男が桂木の身体を足で踏みつけにする。痛みを感じるが身体は痺れていて動けない。「おとなしくしてろ」という男の声とともに車が発進した。
同じ頃、帰り支度をしていた小島百合に班長から呼び出しがあった。駅前交番で9歳の女児が保護されている。父親に会うため旭川から1人で出てきたらしいが父親の居場所も連絡先も知らないと話しているという。すぐに行って事情を聞いてきてほしいとのことだった。了解の旨を伝えて百合は署を出た。
駅前交番に着いた百合がパイプ椅子に座っておとなしくしている女児に近づき声を掛けたところ……。( 第1章 ) ※全5章。
* * * * *
百合が旭川からきた女児の対応に奔走していた頃、拉致されたあと道路沿いで解放された桂木は、身体に残っていたスタンガンの痺れのためによろけたところを後ろからきたトラックにはねられ死亡しました。
連絡を受けた機捜の津久井が現場に急行。トラックの運転手からの聴き取りとドライブレコーダーの映像から事件性を疑った津久井は、さっそく捜査を開始します。
翌朝、住宅街にある弁護士の住宅兼事務所が何者かに荒らされたという通報が3課に入りました。
事件の対応を任された佐伯と新宮は、綿密な現場検証と聴き取りを行い、この弁護士事務所を訪ねるはずだった人物が桂木陽一であることを突き止めます。
こうして、それぞれの担当事件の捜査を行う津久井と佐伯が、やがて1つの大きな犯罪へと立ち向かうことになっていきます。
さらに捜査の突破口となるのが百合が関わった旭川の女児の一件と、まさにシリーズのファンにはたまらない展開でした。
ファンなので、「そんなにうまくことが運ぶのはおかしい」なんて野暮な文句はつけません。ただただ、チーム佐伯の活躍が読みたいだけなのです。その意味では、満足のいく仕上がりの作品でした。
本作で特に感心したのが新宮の有能ぶりです。さすがに佐伯の捜査を直に学んでいるだけあって驚くほど優れた捜査官になっています。「もう味噌っかすなんて言わせない!」
そんな新宮の声が聞こえてきそうで、うれしく読むことができました。
ただ本作には、少し気がかりなところが3点ありました。
1点目は、佐伯の父親の容態です。
父親の認知症はかなり進行してきました。介護に当たる佐伯の負担は増すばかり。展開が気になります。
2点目は、ブラックバードのマスターである安田に元気がないことです。
コロナ禍がかなりこたえているようで、店を畳みそうな弱気な安田の発言には胸が痛みます。「チーム佐伯」の出発点となったジャズバー・ブラックバード。どうか廃業しないでくださいと祈るばかりです。
そして3点目は、成長著しい新宮の今後です。
佐伯に心酔する新宮はまだまだ佐伯について勉強したいようですが、やはり無意識に活躍の場を求めているところが描かれていました。そしてそのことに佐伯が気づいたという描写もありました。新宮が抜けると淋しい。どうなっていくのでしょうか。
ともあれ、物語の佳境を迎えたように映るシリーズ10作目。存分に楽しめる内容です。
( ところで札幌のボッタクリ飲食店は、小規模なのを含めるとかなり多いとか。大好きな都市だけに少し残念です。 )
Posted by ブクログ
軽く読めたのが良かった。色々な案件が一つの案件に集約していく過程は、ありきたりとも言えるが、それでもヤッパリ面白かった。佐伯刑事、小島婦警(今は婦警とは言わないみたいですね)、津久井巡査部長、その他いつもの道警シリーズの面々が出て、安心するものの、人間関係がどうだったか思い出しながら読んでいたので、ずっと読んでいないと、ストーリーに散りばめられた人間関係を読み飛ばしてしまうかも。最後はもう少し事件の解決まで読みたかったかなと足りなさもあるが、佐伯刑事の置かれている遊軍の位置としてはこれ以上踏み込まないで終わらせるのが正解とも思います。最初の頃に戻って、もう一度読み返して見てもいいかなと、ふと思いました。
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