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Posted by ブクログ
26年9月の記録的長雨の時に読むのにぴったりな本だった。
特に気に入った作品
・件の天気予報(宮澤伊織)
霊のやつシリーズ1作目
心霊体質の愛実と怪談師ふーこが、深夜に流れる謎の天気予報を何とかする。
シリーズ通してライトですごく読みやすい
・業雨の降る街(柴田勝家)
6年ごとに殺したものが降ってくる『業雨』が降る街で、訳ありの二人の少女が『業雨』の実験をする。
原因は地域特有幻覚とのことだが・・・
・金魚姫の物語(斜線堂有紀)
個人にだけ振り続ける不止の雨『降涙』。
建物も雨具も一切効果がなく、生きながら水死体になっていく。
・三種の低気圧(坂入慎一)
3本のショートショート集
自分に悪意を向ける人に自動的に雷が落ちる能力、降ってきた骨で寂しさを癒す、恨みを持って死ぬと台風になる
雷の話が好き
・堕天児すくい(空木春宵)
月に1回、空から子どもが降ってくる町で、それを命がけで助けようとする『掬い手』と偶然掬われた娘の話。
カガリと碧の視点を通して、町と受け継がれるものについてかたられる
・成層圏の墓標(上田早夕里)
毎日夜だけ雨が降るようになった世界で、都市伝説の『雨坊』と遭遇したことで、世界の秘密に迫る。
SF作品
・地獄の長い午後(田中啓文)
おかしくなった地獄の調査に、釈迦が極楽から蜘蛛の糸で地獄へ降りてゆく。
ツッコミどころしかしかない作品
・いつかやさしい首が…(平山夢明)
日本だけで首の雨が降るようになった世界の小学生の日記。
戦時下のウクライナ子どもを思って書いた、と思って読むと、変わる日常や理不尽な状況、それでも生きている人たちはこんな感じなのかなと思わせてくれた。
・虚空(加門七海)
トラブルで瓶に入った空の欠片を逃がした後、徐々に気象がおかしくなっていく。
まさに『超常気象』といった話。
Posted by ブクログ
それぞれの面白さがあったけど、
個人的には怪雨は三度降る、いつかやさしい首が…、三種の低気圧、赤い霧、地獄の長い午後がお気に入り。
以下、一作ずつの感想。
●星の降る村 大島清昭
字面だけで読んでると面白いんだけど、想像すると怖すぎ。屍体集めたり、売買するって。でも屍体とはなんなのか、を考えさせられる。唯一無二の肉体でないなら、それはもはやただの「もの」なのか。じゃあ私たちがいつも恐れる屍体とはなんなのか。死者の奢りのことを思い出しちゃったり。
●とこしえの雨 篠たまき
the・怪談!恐怖は官能と隣り合わせ。こういうのを今の作家さんが書いてるってのが面白い。雨、エロい。旅館は、思ったより高級旅館でウケた。
●件の天気予報 宮澤伊織
好き。繋がりそうで繋がらない怪異の諸々が愛実(ちゃんと生きてる人間?)と件の天気予報を起点に、現実と異界の境目をぼやかしながら蠢いていく感じがいい。オチをSiriでつけることで他のあやふやなものがあやふやなままにされて、とても良き。
●豪雨の降る街 柴田勝家
怪奇現象に科学的な根拠はあるものの、本人に「見える」ことに変わりがない、というところから生まれるラストの恐怖。本物?幻覚?わー!なんで?!っていうのが、百合的な関係とあいまって、甘い恐怖の読後感。
●赤い霧 澤村伊智
都合の悪いことをなかったことにしながら今を謳歌することが罪だとするなら、この話は罪を罰する怪奇現象だ。「怖くなかった」っていう言葉がなん度も出てくるんだけど、他人の罪を罰するものだから神様みたいなもので、怪奇だとしても別に怖くないんだろうね。小心者で、でも自分勝手な人間が追い詰められていく怖さだな〜廃ニュータウン、っていう舞台もとても効いてて、こういう言い方良くないかもだけど、うますぎる。
●『金魚姫の物語』 斜線堂有紀
無差別に突如訪れる不幸について、現実をいくら見つめても仕方ない。出来るだけ美しく、『物語』ることだけしか供養にならない。希望の物語が逆にそら恐ろしい事実を突きつける。
●三種の低気圧 坂入慎一
低気圧の中で守りぬかれる私(たち)だけの世界、三部作。少しズレた世界の怖さ。おもしろかった。
・雷が落ちても
世界を破壊に導く百合ユートピア。世界観好み。
・骨が降る
主人公が少しおバカな設定であることが、この短い話の中でこの展開を納得させるに効いている。
・二人きり
偏執的な主人公が怖いはずなんだけど、おかしいだろ!が効いてて、面白くなってる。霊媒性低気圧しかかたん。
●堕天児すくい 空木春宵
ラストシーンのエモさ。LIMBOの世界感が完成してて、怖いというよりは、イメージ小説。
●成層圏の墓標 上田早夕里
SF。雨坊の登場シーン怖い。生成AIの例えが面白かった。
●地獄の長い午後 田中啓文
笑かし方の強弱(細かいパロディとしょーもないダジャレ)も絶妙で、最後の展開も秀逸。地獄が舞台なのも効いてる。短編集にこういうのが一作入ってるとよいですね。
●千年雪 黒木あるじ
イメージはキレイだけど、ギミックの理解がちょっと難しい。どこからどこまでがループしてるんだろ?チユは人魚のイメージで語られてるけど、雪女の美しさある。ホラーと衝動的に動く自分勝手で小心者の男とは相性がいいんだなと思った。
●彩られた窓 井上雅彦
登場人物たちの名前、部室のイメージ、小道具、どれも幻想的で麗し。過去と現在の対比から始まり、事件の真実が明らかにされていくごとに逆にそれがないまぜになっていく感じがよき。
★怪雨は三度降る 朝松健
怖すぎるー泣!!!これぞホラー。
味覚で恐怖を感じさせるってなに?怖過ぎる。
なんの罪もない(とは言えないかもだけど)、人々が非情な怪と暴力に飲み込まれていく。歴史とはそういうものだし、権力とはそういうものなのかもしれない。
斜線堂有紀の『金魚姫〜』が極私的で内向きの救いのなさだとすると、これは大きな時間の流れの中で社会が持つ外向きの救いのなさ。前者に祈りはあれど、後者に祈りは通じない。祈りとは個人のものなのか。そういう意味で恐ろしすぎる。
★いつか やさしい首が… 平山夢明
とってもよかった。小学生女子目線の日常的な描写がとてもよくて(ビックリしておなら出ちゃった、とか)、災難は日常にこうやってやってくるのだな、という恐怖がせまってきた。最初の解説に、ウクライナの子供たちに、というのがあって、小説のチカラへの信頼を感じた。
●虚空 加門七海
空のかけら、確かにヨガの人なら持ってそう。仙人的な。ラジオの感じがよかった。結構長い年月の話、というのが肝で、日常が変わっていく感じのリアル感あってそこがこの小説の一番怖いとこかもしれない。
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