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Posted by ブクログ
日本の美術館に所蔵されている絵画にまつわる6篇の短編集。登場人物は皆それぞれが人生の壁にぶつかり、悩み、もがき、疲弊してしまった者たち。そんな彼らが絵画を通して、人との繋がりや希望を見出し、新たな道を切り開いていく。
この作品のタイトルでもある、「〈あの絵〉のまえで……」という表現が色んなシチュエーションで多用されている。その表現と絵画の描写を通して、人との出会いへの感謝、奇跡の再開への願いや、清々しいまでの爽やかな惜別など、それぞれが抱く様々な感情が自分の中に流れ込んできたように思う。
どのエピソードも生き生きとした感情描写があり、読むごとに心が軽くなるような、豊饒な気持ちになれる。
Posted by ブクログ
原田マハ著『〈あの絵〉のまえで』のレビューです。
とても良い読書体験でした。
美術館に行って絵を見るとき、「その時に」「その場で」「この自分で」しかできない体験をしている、という気分になります。
別に美術館ではなくても「いまここ」でしかできない世界を生きているというのは当たり前なのですが、絵を見ると特にそれを強く感じます。
その個人的体験のものがたりが、その美術館を訪れる人の数だけ存在すると思うと、人間の精神世界の膨大さに何とも圧倒されます。
この小説は、そんな人の数だけあるものがたりのうちいくつかを、こっそりと読者に届けて、一緒に体験させてくれます。
日本にある6つの美術館を舞台にしたこれらの短編は、もちろんフィクションなのでしょうが、もしかしたらこの世界のどこかであり得たかもしれない、心が温まる、勇気づけられるお話になっています。
個人的には『聖夜』がお気に入り。泣きました。
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