小説 - 集英社文庫作品一覧

  • 双面の天使
    4.0
    絵のように美しい兄妹、潤と茜。幼い二人に芽生えた“新しいママ”への小さな嫌悪がやがて恐ろしい惨劇を招いてしまう…、表題作「双面の天使」他、牝猫と暮らす独身中年の身近で起きる謎の完全殺人を描く「共犯関係」。都市に住む人々の孤独と狂気が思いがけない殺意を呼び起こす…サイコスリラー4編を収録。
  • あなたから逃れられない
    3.8
    若い豹のように美しい恭一に魅かれていく人妻の比奈子。画廊経営者の夫を欺いて二人の逢瀬を楽しんでいた別荘に不意に訪れてきた少女。そして彼女の突然の死が謎めいた事件をよびおこす。不倫の愛に溺れた比奈子を追いつめる脅迫者。また新たな殺人事件が……。緊張した男と女の愛を描くラブサスペンス書き下ろし。
  • 薄墨の桜
    5.0
    樹齢1200年、幹の回り11メートル余、万朶に咲いた薄墨の桜は、天空に広がりみごとというより他なかった。20年ぶりに蘇った名木は波瀾の人生を歩んだ料亭の女将と、美貌の養女とその恋人との複雑な人間模様を、妖しくも美しく浮き彫りにした。格調高い文章で綴った著者会心の作「薄墨の桜」。他に「八重山の雪」収録。
  • 太陽の庭
    3.8
    一般人には存在を知られず、政財界からは「神」と崇められている、永代院。地図に載らない広大な屋敷に、当主の由継を中心に、複数の妻と愛人、何十人もの子供たちが住まい、跡目をめぐって争っていた。そんな中、由継の息子・駒也は、父の女・鞠絵に激しく惹かれてゆく。許されぬ愛は、やがて運命の歯車を回す。破滅の方向へ――。「神」と呼ばれた一族の秘密と愛憎を描く、美しく、幻想的な物語。
  • ジゴロ
    3.7
    新宿二丁目でギターを奏でるストリート・ミュージシャンのカイ。彼女の美しく切ない歌声に魅せられて、多くの女たちが立ち止まる。そうした女たちの中から、カイは夜な夜な新しい恋人を求め続ける。まるでジゴロのように――。人妻との禁断の逢瀬、年若い少女への恋の手ほどき、命をかけた悦び……。カイをめぐる、女を愛する女たちの激しく狂おしい官能と恋を鮮烈に描く連作短編集。
  • 白い薔薇の淵まで
    4.2
    ジャン・ジュネの再来とまで呼ばれる新人女性作家・塁と、平凡なOLの「わたし」はある雨の夜、書店で出会い、恋に落ちた。彼女との甘美で破滅的な性愛に溺れていく「わたし」。幾度も修羅場を繰り返し、別れてはまた求め合う二人だったが……。すべてを賭けた極限の愛の行き着く果ては? 第14回山本周五郎賞受賞の傑作恋愛小説。発表時に話題を読んだ受賞記念エッセイも特別収録。
  • 猫背の王子
    4.1
    自分とセックスしている夢を見て、目が覚めた――。女から女へと渡り歩く淫蕩なレズビアンにして、芝居に全生命を賭ける演出家・王寺ミチル。彼女が主催する小劇団は熱狂的なファンに支えられていた。だが、信頼していた仲間の裏切りがミチルからすべてを奪っていく。そして、最後の公演の幕が上がった……。スキャンダラスで切ない青春恋愛小説の傑作。俊英の幻のデビュー作!
  • 姉の結婚
    3.5
    結婚のご祝儀をめぐる、若い夫婦の人には言えない悔しい思い「御祝儀袋」。給料手取り十三万五千円のOLが家賃八万円のマンションに住むために、日々一円との闘いに明け暮れる倹約生活のなかで生まれる意外な感想「家賃」。普通と平凡が合体したような男と結婚した姉。たちまち破局がやってきて、目ざましい姉の変貌ぶりが可笑しい表題作。ささやかな見栄を支えに明るく生き抜く女たちの物語。
  • 妻の女友達
    3.9
    市役所の戸籍係をしている夫と美人ではないが清楚で控えめな妻。平和で波風の立たない人生をこよなく愛する夫婦の前に、突然現れた妻の学生時代の女友達。女流評論家として活躍するスキャンダラスな女の登場が平穏な家庭をいつのまにか破滅的状況に追い込んでいく…。推理作家協会賞受賞の表題作。ありふれた日常に潜む愛憎が殺意を纏ってあなたの背後に忍び寄る恐怖の瞬間。傑作サスペンス6編。
  • 人間失格
    4.0
    「恥の多い生涯を送ってきました」3枚の奇怪な写真と共に渡された睡眠薬中毒者の手記には、その陰惨な半生が克明に描かれていた。無邪気さを装って周囲をあざむいた少年時代。次々と女性と関わり、自殺未遂をくり返しながら薬物におぼれていくその姿。「人間失格」はまさに太宰治の自伝であり遺書であった。作品完成の1か月後、彼は自らの命を断つ。
  • 学校の怪談
    3.8
    夏休みを明日に控えた終業式の夜、取り壊しが決まり、立ち入り禁止の旧校舎に、一人の先生と数人の生徒が迷い込み、閉じ込められる! なぜか出られない校舎の中、トイレから聞こえるのは行方不明の女の子の声、追いかけてくるのは死んだはずの用務員さん……!? 子供たちの間で囁かれる恐ろしい噂話が、現実になって彼らを襲う! ある夏の夜に子供たちが経験する、謎と、恐怖と、友情の物語。
  • 太陽のパスタ、豆のスープ
    3.9
    結婚式直前に突然婚約を解消されてしまった明日羽(あすわ)。失意のどん底にいる彼女に、叔母のロッカさんが提案したのは“ドリフターズ・リスト(やりたいことリスト)”の作成だった。自分はこれまで悔いなく過ごしてきたか。相手の意見やその場の空気に流れていなかっただろうか。自分の心を見つめ直すことで明日羽は少しずつ成長してゆく。自らの気持ちに正直に生きたいと願う全ての人々におくる感動の物語。
  • 注文の多い料理店
    4.1
    ざわざわ鳴るススキの中に、「西洋料理店・山猫軒」がありました。都会から猟に来た二人の紳士が、入ってみると…表題作「注文の多い料理店」ほか13編収録。これを読んだあなたは、世界を構成している基準が揺らぎ、自分と他者の間がきしんだ時の痛み、恐れを感じながら、魅力的な賢治ワールドを発見するでしょう。「どなたもどうか、お入りください」
  • 年下の女友だち
    3.4
    有名イラストレーターの「私」のもとには、それぞれの秘密を抱えて今日も女たちが訪ねてくる……。容姿も性格も悪くないのに縁遠い、七美。美しい男しか愛せない、地方の大富豪の娘、かおり。三十過ぎても不倫から足を洗えない、こずえ。「私」のかつての夫とつきあっている葉子。幸せになりたい――。このシンプルな欲望に、“運命”という言葉を巧みに操ってつき進む女たちを描く、連作短編集。
  • 月曜日の水玉模様
    3.8
    いつもと同じ時間に来る電車、その同じ車両、同じつり革につかまり、一週間が始まるはずだった――。丸の内に勤めるOL・片桐陶子は、通勤電車の中でリサーチ会社調査員・萩と知り合う。やがて二人は、身近に起こる不思議な事件を解明する〈名探偵と助手〉というもう一つの顔を持つように……。謎解きを通して、ほろ苦くも愛しい「普通」の毎日の輝きを描く連作短編ミステリー。
  • 吸血鬼は泉のごとく
    3.3
    突然、町のなかに泉ができて、男が引き込まれるように沈んだ。人々は〈愛の泉〉と称して新名所に浮かれていたが、エリカはその泉に得体の知れぬ邪悪なものの気配を感じていて!? 泉の周りで次々に起こる怪事件……! エリカとクロロックの吸血鬼父娘コンビが泉に潜む黒い闇を斬る! 表題作のほか、古城の怪奇に迫る『ある吸血鬼の肖像』を収録。吸血鬼ほど楽しい商売はない! 人気シリーズ第8弾!
  • 風立ちぬ
    4.0
    病に冒された婚約者の節子につき添い、“私たち”は高原のサナトリウムで、風変わりな愛の生活を始めた。小鳥がさえずり、山はバラ色に輝き、死の影におびえながらも、二人は残された時に幸福のすべてを見いだそうとする……。著者の体験に基づいて描かれた代表作「風立ちぬ」ほか三編を収める。
  • おれのおばさん
    3.8
    ある日突然、父の逮捕を知らされた陽介。父が横領した金を返済するため、陽介は都内の名門中学を退学し、母の姉が運営する札幌の児童養護施設、魴ぼう舎(ほうぼうしゃ)に入ることになる。急激な暮しの変化に当惑しながらも、パワフルなおばさんと個性豊かな仲間に囲まれて、陽介は“生きる”ことの本質を学んでゆく。ときに繊細で、たくましい少年たちの成長を描いた青春小説。第26回坪田譲治文学賞受賞作。 【ナツイチ2013対象作品】
  • 十津川警部 飯田線・愛と死の旋律(十津川警部シリーズ)
    3.0
    K省官僚の合田仙一が、深夜帰宅途中に襲撃され、意識不明の重体に。妻の智子は、長野県諏訪へ向かい、夫の愛唱歌『琵琶湖周航の歌』のオルゴールを注文。枕元でそのメロディを聴かせ、意識回復に望みをかける。十津川警部は、合田が太平洋航空機事故の審議委員だったことを知り、K省関係者に探りを入れるが……。官僚襲撃の裏に、航空機事故隠蔽の陰謀か!? 難事件の究明に挑む十津川警部の活躍。
  • 海を見に行こう
    3.6
    同棲していた彼氏とケンカして、家出した茜。民宿を経営する叔父夫婦のもとに転がり込むが、そこはラブホテルに替わっていて……(「海風」)。結婚して10年。ずっとうまくいっていた妻との間に、大きな悩みを抱えてしまった航。久しぶりに戻った故郷で、昔傷つけてしまった女性と再会し――(表題作)。海辺の街を舞台に、人生に迷い立ち止まる6人の男女の再生を描く、ほろ苦くも心温まる小説集。
  • 不思議の国の吸血鬼(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.0
    クロロックの奢りで食事をしていたエリカたち3人組は、追突事故を目撃した。運転していた女性は駆けつけたエリカたちに小箱を託した後、こと切れてしまった。遺されたメモには「アリス」という三文字が読みとれて…。そして女性の事故は、何者かにブレーキを壊された結果起きたことだということが分かったのだが――!? 表題作のほか、『吸血鬼と13の日曜日』を収録。大人気シリーズ第7弾!
  • 光媒の花
    4.0
    一匹の白い蝶がそっと見守るのは、光と影に満ちた人間の世界――。認知症の母とひっそり暮らす男の、遠い夏の秘密。幼い兄弟が、小さな手で犯した闇夜の罪。心通わせた少女のため、少年が口にした淡い約束……。心の奥に押し込めた、冷たい哀しみの風景を、やがて暖かな光が包み込んでいく。すべてが繋がり合うような、儚くも美しい世界を描いた全6章の連作群像劇。第23回山本周五郎賞受賞作。
  • ひまわりと子犬の7日間
    4.3
    神崎彰司が働く保健所に、母犬と生まれたばかりの子犬が収容された。母犬は近寄る人間たちに激しく吠え、必死にわが子を守っている。彰司の娘・里美は、そんな母犬に亡くなった自分の母の姿を重ね、助けてあげてほしいと懇願する。だが、収容期間はたったの7日間。彰司の奮闘もむなしく、母子犬の“命の期限”は刻一刻と近づいていた――。実話をもとにした感動の映画を、監督自らがノベライズ。
  • 静かにしなさい、でないと
    3.3
    ブスでワキガの内海恵里伊は、幼い頃から華やかな名前と地味な容姿とのギャップに悩み、自信が持てずにいた。ある日、小学校で同級生だった川原谷くんと約十年ぶりに再会した恵里伊は、彼女とうまくいっていないという彼に優しく言い寄られるのだが…。(「内海さんの経験」)。どうして自分はこんな風に生まれてしまったのだろうか。現実に直面してもがきながらも、懸命に生きる人々を描いた短篇集。
  • 廃墟建築士
    3.5
    いつか崩れて自然へと回帰していく姿に魅せられ、「私」は廃墟を作り続けてきた。時の経過によって醸成される廃墟こそが、その国の文化的成熟度を表すのだ。だがある時、「偽装廃墟」が問題となり…。(「廃墟建築士」)。七階での事件が多発し、市は七階の撤去を決定した。反対する市民は決起集会を開くが…(「七階闘争」)。意識を持つかのような建物に現実と非現実が同居する、不思議な4編の物語。
  • 「わたし」の人生 我が命のタンゴ
    -
    元ニュースキャスターの百合子は、東京から地方の北九州に戻り、大学教員として新たな道を歩み始めていた。父の修次郎は75歳を前に名誉教授、娘の里奈は医学部入学と順風満帆の人生に見えたのだが、ある日を境に修次郎が奇妙な行動を取るようになり…。一つの家族の物語を描くことで、認知症介護の現状をリアルに浮かび上がらせる。現役医師である著者による書き下ろし小説。
  • エアエイジ
    -
    高校時代は女の子と遊んでばかりだった昌志。大学入学を機に「夢中になれるもの」を求め、サークルの勧誘を冷やかす中で、航空部の展示に行き会う。真っ白なグライダーと、横にたたずむ美少女。その光景に一目で心奪われた昌志だったが、美少女は「グライダーは呪い」という謎の言葉を残して去ってしまう。彼女との再会のため、昌志は航空部に入部することにするのだが…。空にかける青春!
  • 3センチヒールの靴
    3.4
    ひとり分の夕食を作ってドラマを見ながら食べ、12時前に寝る、規則正しいが華やぎのない29歳の毎日。ふと人恋しくなり、合コンで出会った男に電話してしまう『3センチヒールの靴』。彼が持ってきたワインと同じ瓶を親友の部屋で見つける『赤と白のワインの空き瓶』。気がねなく誘えて恋の悩みも話せる男友達との関係を描く『冬休みを前に』など、大人になっても恋上手になれない女たちを描く17編。
  • 吸血鬼が祈った日(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.0
    エリカの後輩、中宮則子が母親と刺し違えて心中をはかった。エリカとクロロックの超能力で一命はとりとめたものの、心中の動機は不明のまま、蛇と剣が浮き彫りになった則子の家の扉の奥に、赤いものが目のように光っているのが奇妙だった――。おなじみ正統な吸血鬼・クロロックとその娘・女子大生エリカが大活躍! 表題作のほか、『吸血鬼を包囲しろ』を収録。
  • 魚神
    4.3
    かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし、年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。
  • 追想五断章
    4.0
    大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光(すごう よしみつ)は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語(リドルストーリー)」を探して欲しい、と依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり――。五つの物語に秘められた真実とは? 青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。
  • つるかめ助産院
    3.5
    夫が姿を消して傷心のまりあは、一人訪れた南の島で助産院長の鶴田亀子と出会い、予想外の妊娠を告げられる。家族の愛を知らずに育った彼女は新しい命を身ごもったことに戸惑うが、助産院で働くベトナム人のパクチー嬢や産婆のエミリー、旅人のサミーや妊婦の艶子さんなど、島の個性豊かな仲間と美しい海に囲まれ、少しずつ孤独だった過去と向き合うようになり――。命の誕生と再生の物語。
  • 宵山万華鏡
    3.8
    祇園宵山の京都で、誘い込まれた妖しい迷宮。夏までの期間限定サークル「祇園祭司令部」に集まった学生たち。変人ぞろいの彼らが用意した大舞台、いったい何をたくらんでいるのか?(「宵山劇場」)。「祇園祭宵山法度」で現行犯逮捕。連れ去られた藤田の地獄めぐりがはじまった……(「宵山金魚」)。吃驚仰天の新世界! 6つの物語が交錯し妖しくつながっていく連作中篇集。
  • 桐島、部活やめるってよ
    3.6
    映画化大ヒット小説! きっかけは、キャプテンの桐島が突然バレー部をやめたことだった。そこから波紋が広がっていく。地方の県立高校のバレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部、野球部――。それぞれの部活で、教室で、グラウンドで、5つの物語がリンクする。彼らがそれぞれ抱える問題は? 桐島はなぜ部活をやめたのか? 第22回小説すばる新人賞受賞作。
  • サイケ
    4.0
    東京にある総合出版社に勤務する編集者「わし」は、人知れず自らの性的な問題に苦悩していた。幼い頃に刻み込まれた、ある性的嗜好が大人になった現在も、恋愛の深刻な障害となっているのだ。その原因となったのが某少年漫画誌だったのだが…。モーレツでサイケな70年代が育てはぐくんだ世代の悲喜劇。鋭い時代考察と、うずくやましさ満載、姫野ワールド全開の傑作短編集。
  • 怪のはなし
    3.7
    物心ついた頃から、数多くの「この世ならぬモノ」たちと遭遇してきた著者。嵐の夜、停電した自宅に入り込んできた不気味な「何か」。東京大空襲の日がくると現れる、ボロボロで痛ましい姿の子供たち。夢の中から抜け出してきた猫とふれあい、侍の幽霊と東京を散歩する…。恐ろしくも、時に物悲しく、時に心温まる20の怪異を再現した、究極の実話怪談集。あなたの知らない、リアルがあります。
  • ハガネの女
    4.0
    学生時代の友人に誘われ、臨時教員として公立小学校に赴任した芳賀稲子、通称「ハガネ」。だが、彼女が担当することになったのは、次々と担任が辞めていった訳ありのクラス。ひと癖もふた癖もある子供たちと非常識な苦情を申し立てるモンスターペアレンツ、そしてイジメや不登校の問題に、あだ名どおりの強さと誠実さで立ち向かうハガネだが…? 『YOU』で連載された人気マンガを小説化。
  • 吸血鬼のための狂騒曲(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.5
    神代エリカは、「正統な」吸血鬼の父を持つ女子大生。早朝、霧がゆったりと湖に広がる中、一隻のボートが湖の真ん中まで進んでいた。「やめて! 危ない!」と、言い争う男女の声。静寂が戻ると、ボートの中には男しか残っていなかった。その頃、エリカと千代子とみどりの三人は、友人の祐子の別荘に招かれ、林の中を早朝散歩していて――!? 表題作のほか、『吸血鬼のための料理教室』を収録。
  • 東京―旭川殺人ルート(十津川警部シリーズ)
    3.0
    十津川警部の部下の西本刑事が、突然若い女に声をかけられた。怪しい男につけられているので、自宅まで送って欲しいというのだ。半月前、同じマンションの女が殺され、その頃痴漢騒ぎもあったという。十津川はセキュリティシステムの万全なマンションの構造とその女の行動に不審を抱く。やがて女も事件に巻き込まれ……。謎解明の為、警部北海道へ! 大好評十津川警部シリーズ3篇を収録。
  • 環状線に消えた女(十津川警部シリーズ)
    2.8
    雑誌記者亜木子は、友人から、1年前に失踪した京子を山手線内で目撃したと聞かされる。高価な毛皮に身を包んでいたという彼女の行方を追う二人の前に、1枚の尋ね人広告が。写真は確かに京子だが、名前は“ゆう子”。彼女に一体何が起きたのか? 日常から突然蒸発した彼女たちの陰に犯罪の気配を探る亜木子の挑戦! 4編を収録。
  • 幻想と死の信越本線(十津川警部シリーズ)
    4.0
    旅行作家・川内が発表したエッセイに書かれているのは私の姉だ、殺されたに違いない、犯人を捜してほしいと一人の女性が十津川警部を訪ねてきた。しかし川内は上野発“特急あさま3号”の車中で殺されてしまう。この事件を追う十津川警部の手で、11年前に信州で起きた放火殺人事件までが明らかにされてゆく。この表題作他、「阿蘇で死んだ刑事」「北の果ての殺意」「南紀 夏の終わりの殺人」のいずれも十津川警部が活躍する3編を収録。
  • 伊勢・志摩に消えた女(十津川警部シリーズ)
    2.5
    一人娘の女子大生、亜矢子が伊勢・志摩に旅行に出たまま戻らない。事件に巻き込まれたのか。元国務大臣で製薬会社社長の平山は十津川警部に相談した。元刑事だった橋本に調査を依頼すると、亜矢子は偽名をつかって伊勢市内の旅館に投宿していることを突き止める。しかしその夜、旅館の女将と女子従業員が何者かに殺されてしまう。単なる失踪と思われた事件が複雑になっていく。近鉄特急を舞台に、十津川警部の推理が冴える。
  • 恋する世界文学
    3.7
    奔放な女性はなぜモテるのか。男の嘘と女の嘘は、種類が違う? 『ティファニーで朝食を』『赤と黒』『アンナ・カレーニナ』など世界の名作15編の恋模様を、現代の恋愛エピソードにからめてリアルに軽やかに紹介。ときめき、切なさ、情熱、嫉妬…場所や時代は違っても、恋する気持ちは変わらない。恋愛短歌の名手が複雑な女心と悩める男心に迫る、甘くてスパイシーな文学案内。
  • 現金強奪計画 ─ダービーを狙え─
    2.0
    冒険こそ若さのしるしだ。物わかりのいい世代と呼ばれることを拒否した7人の若者が、たったひとつ若さという共通項に結ばれてハードな冒険に挑む。狙いは東京競馬場のダービーの売上げ金20億円。用意周到な計画のもと、厳重な警備陣の裏をかき、まんまと計画を成功させるが…。痛快冒険物語。
  • 殺しのバンカーショット
    2.0
    ビッグトーナメント直前に〈この大会中に、あいつを殺してやる〉という脅迫状が届いた。日本ゴルフ連合会理事・吉田は、警察に警備を依頼する。十津川は早速捜査にあたるが、吉田は交通事故で死に、そしてトーナメント中に殺人が起こる。これはトッププレイヤーの有藤を狙ったものなのか。ゴルフ界の複雑な人間関係のなかで、次々と起こる奇妙な殺人の謎に挑む十津川警部の名推理。長編ミステリーサスペンス。
  • 芸術家たちの秘めた恋―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代
    4.0
    19世紀後半、ロマン主義全盛の時代を生きた作曲家メンデルスゾーンと作家アンデルセン。生まれも容貌もまるで正反対の二人を結びつけたのは、奇跡の声を持つ歌姫だった。三者三様の想いを胸に秘め、創作活動に没頭する彼らを待ち受ける過酷な運命とは……。『結婚行進曲』や『醜いあひるの子』など、不朽の名作を生み出した芸術家たちの知られざる一面に、『怖い絵』シリーズの著者が迫る。
  • 怪奇小説という題名の怪奇小説
    3.6
    「第一章では、私はなにを書くか、迷いに迷って、題名もつけられない」――長編怪奇小説の執筆依頼を受けた作家だったが、原稿は遅々として進まない。あれこれとプロットを案じながら街をさまようが、そこで見かけたのは30年前に死んだ従姉にそっくりの女だった。謎めいた女の正体を追ううちに、作家は悪夢のような迷宮世界へと入り込んでいく…。奇想にあふれた怪奇小説の傑作が現代に蘇る。
  • たぶらかし
    3.3
    ドラマ化小説! 元舞台女優のマキ、39歳。あやしげな事務所に所属し、市井の人々の中で誰かの代役を務める「役者」を仕事にしている。多忙なセレブ母の代理として子供の学校に赴いたり、夫の親戚との付き合いを厭う新妻の身代わりや、さらにはワケありな葬儀での死体役まで、様々な役柄をこなしている。そんな中、あやしい青年・モンゾウが、マキに無理やり弟子入りしてきて……。第23回小説すばる新人賞受賞作。
  • A.B.O.AB
    3.3
    血液型にとらわれて「男女交際」なんてダサイ……などと考えてはいけません。血液型を信じましょう。A、B、O、AB、それぞれの血液型の男女が8人いて、恋愛のドラマが始まる。切ない擦れ違いや、ドライな別れがあって、でも詰まるところ収まるように収まる。それって、やっぱり運命だったのかも。新しい物語の世界がある血液型恋愛シミュレーション小説。
  • 十津川警部 愛と祈りのJR身延線(十津川警部シリーズ)
    1.5
    探偵・橋本の叔母みさ子は、旅行会社の早田敬子の添乗で身延山参拝へ出発。だが予定日を過ぎても戻らず、橋本が問い合わせると、早田という社員はいなかった。さらに、早田とホテルにいた男が刺殺され……。男が残した16枚の名刺とみさ子の失踪は関連があるとみた十津川警部は身延山へ。遺族の切ない思いを叶える“ポストマン”の存在を知る。善意の人々を巧妙に欺く巨悪に挑む!旅情ミステリー。
  • 十津川警部 四国お遍路殺人ゲーム(十津川警部シリーズ)
    2.5
    東京深大寺。テレビ番組ディレクターの井上美奈子が、お遍路姿で殺害された。美奈子が企画したお遍路の速さを競う“お遍路ゲーム”の収録目前だった。翌日、捜査本部に「四国八十八カ所巡りで人が死ぬ」という内容の電話が入る。十津川警部は、徳島へ飛び、お遍路姿で収録を警戒。だが、お遍路さんが射殺され、事件は意想外の方向へ……。東京と四国を結ぶ難事件に挑む十津川警部の名推理!
  • 十津川警部 幻想の天橋立(十津川警部シリーズ)
    3.0
    京都・宮津。建設会社社長中西は、“東京の病院で監禁されているので助けて欲しい”という手紙が結ばれた風船を発見。内容を信じた中西は、東京の探偵事務所に調査を依頼。都内病院を探るが進展のないまま、第二の風船が天橋立の展望台で拾われ……。やがて、疑わしい家が炎上、お抱え運転手が殺害される。この殺人と監禁の謎を解くため、十津川警部は、宮津へ。天橋立と東京を結ぶ驚愕の連続殺人に挑む。
  • 十津川警部 「スーパー隠岐」殺人特急(十津川警部シリーズ)
    3.0
    東京の老夫婦が、鳥取から津和野へ。息子が借金を苦に自殺し、その金を返済する当てのない夫婦が選んだ死出の旅だった。思い出の地・秋芳洞を訪れたとき、何者かに襲われ、妻が殺される。その頃、東京で相次ぐ老夫婦の失踪に不審を覚えていた十津川警部は、独自の捜査に乗り出す。やがて、事件の陰に謎の組織の存在を突き止めるが……。東京・山口を結ぶ、怒りの捜査行。
  • 十津川警部 特急「雷鳥」蘇る殺意(十津川警部シリーズ)
    2.5
    平成元年、和倉温泉往きお座敷列車で若い女が不審死した。自殺か他殺かわからぬまま、15年以上経って、事件車両を買った高柳という男が、奇妙な掲示板を出す。事件当日、この車両に乗っていた人に話が聞きたい、謝礼に10万円払うという主旨だった。やがて、高柳のもとへ話をしに来た男が殺され……。時効を迎えた事件が新たな殺人を呼んだ!? 東京・金沢を結ぶ推理行に十津川警部が挑む!
  • 僕達急行 A列車で行こう
    3.8
    丸の内にある大企業・のぞみ地所で働く小町圭と、下町の鉄工所の二代目・小玉健太は、鉄道好きがきっかけで親しくなる。ふたりとも、趣味や仕事ではさくさく動けるのに、女性には弱腰。失恋した小玉は、転勤になった小町を訪ね、東京から青春18きっぷで福岡へ。一緒に九州を鉄道旅行の途中、思いがけない出会いが……。森田芳光監督らしいこだわりの詰まった、心あたたまるコメディー映画をノベライズ。
  • 吸血鬼は良き隣人(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.3
    神代エリカは、「正統な」吸血鬼を父に持つ女子大生。クリスマス間近のある日、由子という少女がサンタに殺され、息子の幸男が警察にマークされている、と川添千恵がクロロック家に相談に来た。幸男は半年前まで由子と交際があり、サンタの衣装でバイトをしていたという。エリカとクロロックは早速、事件解決に乗り出すけれど!? 表題作のほか、「吸血鬼と雪男」を収録。大好評シリーズ!!
  • はやぶさ 遥かなる帰還
    5.0
    2003年、5月9日。内之浦宇宙空間観測所から、小惑星探査機「MUSES-C」が打ち上げられた。「はやぶさ」と名付けられたその探査機は、小惑星「イトカワ」のサンプルを持ち帰ることを目標に、長い宇宙の旅へと出発する。「はやぶさ」は「地球スウィングバイ」を経て順調に航行していくが、「イトカワ」到着の前後に、リアクションホイールが故障、エンジンも不調をきたし、次第に満身創痍となっていく。果たして、「はやぶさ」は星のかけらを採って、無事に地球に帰ってくることができるのか――。
  • エンブリオ 上
    3.8
    1~2巻440~550円 (税込)
    エンブリオ――それは受精後八週までの胎児。天才産婦人科医・岸川は、人為的に流産させたエンブリオを培養し臓器移植をするという、異常な「医療行為」に手を染めていた。優しい院長として患者に慕われる裏で、彼は法の盲点をつき、倫理を無視した試みを重ねる。彼が次に挑むのは、男性の妊娠実験…。神の領域に踏み込んだ先端医療はどこへ向うのか。生命の尊厳を揺るがす衝撃の問題作。
  • 誇り高き週末
    5.0
    べらぼうな財産を代々相続する柳原家の当主、柳原一馬は今年で70歳。妻を亡くして40年、独身で子供もない彼が、突然再婚を宣言する。相手はなんと28歳! さまざまな思惑を抱いた一族がこの週末に、大富豪の花嫁披露パーティに山荘に集まることになった。そこに28歳で死んだ、柳原の妻、早苗が幽霊となって現れた…。愛と殺意の週末を描く表題作。盗聴趣味の中小企業社長に起きる週末の悲喜劇、他1編。
  • 回想電車
    3.9
    深夜の電車に乗った男が遇った昔の恋人、同僚、かつて一期一会の出会いをした親子。一夜のうちに過去と未来が交錯して、その翌朝は……。不思議な時間軸で描かれた表題作ほか、孤独と愛と死、そして希望が見え隠れする、全9篇を収録。さまざまな人生の断片をたくみに映し出す、優しさとほのかな怖さを秘めた傑作短篇集。
  • 吸血鬼株式会社(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.6
    神代エリカは「正統な」吸血鬼の父を持つ女子高生。彼女の身の周りで、怪奇な事件が次々と起こる。献血車が強奪されるのを目撃したり、後輩・かおるの祖父の死体が病院から盗まれたり……。無関係に見える個々の事件だが、エリカと親友たちの捜査で、それらが一本の糸でつながっていることが判明する。だが、謎が明らかになるにつれ、危険が迫り!? 全三篇を収録した、大人気シリーズ第二弾!
  • 吸血鬼はお年ごろ(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.9
    女子高生の神代エリカ。高校生活最後の夏、エリカの通う女子高のテニス部員たちが、合宿中に喉を噛み切られたような傷を残し、失血状態で惨殺された。吸血鬼の仕業だ、という騒ぎの中、エリカは事件の解明に立ち上がる。実はエリカは「正統な」吸血鬼の父クロロックと人間の母の間に生まれた吸血族の一員なのだ……! 父と共に真相を追うが、犯人によってエリカの親友・みどりがさらわれて!?
  • 祝女
    3.5
    ユリとマキ。性格も男の趣味も全然違うが、なぜかウマが合う二人。いつものようにユリの家で手料理をパクついていたマキが〈今はお友達シリーズ〉と書かれたアルバムを見つけて手に取る。「あれ? これって、ユリの元カレ達?」(「ユリ&マキ 元彼?」)  NHK総合テレビで放送、大反響の“オンナの本音系コメディ”をノベライズ。思わずニヤニヤちょっぴりキュン! なんだか元気になれる短編集。
  • 黒鍵は恋してる
    5.0
    高校一年生のあかねは夏休み最後の夜、向かいのマンションで起こった殺人の瞬間のシルエットを目撃した。同じ夜、階上に越してきたピアニスト志望の女の子、真音と知り合い、二人はたちまち友達になる。翌日、あかねは刑事の訪問を受け、殺された女性は誰かの愛人で、部屋の持ち主は人気ロックシンガーであることを知って、好奇心と恐怖でいっぱいになるのだった…。危険な恋と友情の長編ミステリー。
  • グリーンライン
    3.6
    公園で襲われた不幸な夜から7年。そのショックで眠り続けた秋川裕果は突然めざめた。長い眠りからさめたとき、常に安全ゾーンを歩くようにしつけられていた女子高生は25歳になっていた。病院のベッドで、ただ茫然とする彼女の前に現れた刑事の話を聞くうちに、あの夜の記憶が甦ってきた。やがて不審な出来事が起こり始める。時効直前、忘れられていた犯罪が再び目をさます…。
  • 親しき仲にも殺意あり
    3.0
    平田結美と森口容子は幼稚園からずっと一緒の仲良しコンビだった。20年後、律儀でしっかり者の容子は刑事に、早くに両親を亡くした結美は明るくがんばりやのОL、実は腕利きの殺し屋になっていた。そして一人の男の命をめぐって、守る側とつけ狙う側とに分かれてしまった。皮肉な運命が、親友二人を対決に追い込む……。愛と友情をほろ苦く描く長編ミステリー。
  • 湖畔のテラス
    4.0
    妻に仕事といつわり、若い愛人と晩秋の湖を訪れた男に待ち受ける、妻のむごい仕打ち。霧に包まれたホテルで起きる愛の悲劇を描く表題作。ガールフレンドに招かれ、孤島の別荘に遊びに行った大学生が体験する恐怖の夏休みを描く「砂に書いた名前」など、何気ない日常生活の中にある愛と嫉妬が生み出す、ミステリアスな6つの物語。
  • あの角を曲がって
    5.0
    19歳の女子大生の涼子はエリートサラリーマン・内島と不倫の関係にあったが、その関係が彼の妻・通江にばれてしまう。涼子は「必ず彼を奪ってみせる」と心の中で決意する。涼子を慕うが想いを告げられぬ田辺は同級生の彰子に苛立ちをぶつける。一方涼子の妹・淑子は田辺に恋している。錯綜する愛の行方を描くラブロマンス。
  • 逝年
    4.1
    人生にも恋愛にも退屈していた二十歳の夏、「娼夫」の道に足を踏み入れたリョウ。所属するボーイズクラブのオーナー・御堂静香が摘発され、クラブは解散したが、1年後、リョウは仲間と共に再開する。ほどなく静香も出所するが、彼女はエイズを発症していた。永遠の別れを前に、愛する人に自分は何ができるのか? 性と生の輝きを切なく清澄にうたいあげる、至高の恋愛小説。傑作長編『娼年』続編。
  • 幽霊物語 上
    4.5
    1~2巻440円 (税込)
    霧深い夜の高速道路で交通事故に遭った青年社長・山岡重治はなんと突然“幽霊”になってしまった。あっという間の自分の死が信じられず戸惑う山岡の前に、夜道で暴漢に殺された幽霊少女・郁子があらわれた。たちまち親しくなった二人は、それぞれの家庭をのぞきに行くことになった。盛大な葬儀が営まれる山岡邸には、社長のポストをめぐる陰謀の臭い。郁子の家では娘殺しの犯人を追う父親が殺されていた!
  • 毒 POISON
    3.7
    わずか一滴で致死量に達し、しかも検出不可能という完全犯罪を約束する毒の小ビン。愛人をうとましく思う週刊誌記者から刑事、女性タレント、首相暗殺を企てる過激派へと“毒”は人々の手を転々とする。人々の心の深奥に潜む殺意を横糸に、軽妙な恋のかけひきを縦糸にからませたオムニバス長編ミステリー。
  • 駈け落ちは死体とともに
    5.0
    駈け落ちを決行した哲と明子のトランクからナント死体が! 新生活を夢みて出発したのに、とんだことから殺人事件に巻き込まれた恋人たちをユーモアタッチで描く表題作。学歴偏重主義のひずみが思春期の少年を倒錯した世界へと追いつめてゆく「交換日記」。マザコン係長が部下のOLに自殺予告する「命のダイヤル」など全8編収録の、青春ミステリー作品集。
  • 帰らざる荒野
    4.0
    友近克也は父・善次郎が築いた馬牧場を出た。兄嫁となる女性に想いを残して……。行くあても帰る場所もない、ただ生きるための流浪の旅だった。町々にはびこる悪徒に、容赦なくとどめを刺す克也。暴力と策謀が渦巻く荒野の果てに、安住の地はあるのか? 北海道開拓期。過酷な運命に立ち向かう家族、そして男女を描く連作短編集。
  • 惣角流浪
    3.0
    武田惣角。触れるだけで相手を投げ飛ばす、大東流合気柔術の祖である。「進む道は武芸なり」の信念のもと、武士の世が終焉を迎えた維新後もひたすら修行に励む。のちの講道館柔道の創始者・嘉納治五郎との対決を機に、惣角の流浪が始まる。西郷隆盛との邂逅、琉球空手の使い手・伊志嶺章憲との命を懸けた闘い。合気の道を極めんとする男の壮烈な青春を描く、明治格闘小説。
  • 死ぬほど好き
    3.4
    生まれ育った小さな町での結婚を前に、言いようのない憂鬱をおぼえはじめた由希。そんな折、高校の後輩と再会し、心が大きく揺れだして――(「果実」)。熱烈に口説かれ、引きずられるようにして克己とつきあいだした妙子。だが、いつしか恋の主導権は逆転し、不安に駆られた妙子は執拗なまでに恋人を追いかけるが…(「死ぬほど好き」)。女たちが抱える愛の闇を鮮やかにうつしだす八つの物語。
  • ファニーフェイスの死
    3.7
    洋裁学校の学生・恵子は、偶然モデルのゆい子と知り合い、誘われるままにいつしかモデルの道を歩き始めた…。その世界は強い個性をみせながらどこか虚無のかげりをみせる男や女たちがいた。女がいちばん綺麗で、可愛らしかった1960年代。さまざまな伝説と神話が生まれた高度成長のさなか、キラ星のごとく輝き、70年代の夜明けとともに燃えつきていった青春の壮烈な愛と死の物語。
  • マザコン
    3.3
    「あなたはマザコンよ、正真正銘の」と妻に言われ、腹立ちまぎれに会社の女の子と寝てしまったぼく。夫より母親を優先する妻のほうこそ、マザコンではないのか。苛立つぼくの脳裏に、死の床から父が伸ばした手を拒む母の姿がよみがえり…。表題作ほか、大人になった息子たち娘たちの、母親への様々な想いを描く作品集。疎ましくも慕わしい母と子の関係――胸がしめつけられる、切なくビターな8編。
  • 1ポンドの悲しみ
    3.6
    数百キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりは、お互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかしその後には、胸の奥をえぐり取られるような悲しみが待っていた――(表題作)。16歳の年の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる女性、自分が幸せになれないウエディングプランナー……。迷い、傷つきながらも恋に生きる女性たちを描いた、10のショートストーリー。
  • スローグッドバイ
    3.6
    「涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ」。恋人にひどく傷つけられ、泣けなくなった女の子。彼女に青年の心は届くのか(「泣かない」)。上手に別れるため最後にいちばんの思い出の場所へいく。そんな「さよならデート」に出かけたふたりが見つけた答え――(「スローグッドバイ」)など、普通の人たちの少しだけ特別な恋を綴った10篇。出会いから別れまでの一瞬一瞬をやさしく描く傑作短篇集。
  • あなたへの日々
    3.6
    曜子、23歳。スイミングスクールのインストラクター。学生時代からの友人・徹也に求婚されるが、気持ちは固まらない。徹也のことは好きだけど、恋してはいない。そんなとき造形作家・久住のモデルをつとめ、激しく惹かれてゆく。だが彼は女性関係に奔放で束縛を嫌うタイプ――。愛してくれる優しい男と、不安で仕方がないのに愛してしまう男と。ふたりの男の間で揺れ惑う曜子の心模様。
  • 孤独で優しい夜
    3.4
    ずっと好きだった会社の先輩・入江と親友・美帆の結婚披露パーティの後、痛飲する粧子。苦しい思いに区切りをつけ、素知らぬふりで仕事を続けてはいたが、ふとしたことから入江も実は粧子を好きだったと知る。そして間を取り持ったはずの美帆が二人を騙していたことを……。許せない! 粧子にとって、これは「不倫」ではなかった。本来は自分のものであった「愛」を取り返すだけのこと。略奪愛の行方は…。
  • キスよりもせつなく
    3.5
    失恋の痛手もまだ癒えない知可子は27歳のOL。予定のない週末、偶然に会った同僚の有季から彼氏と紹介されたのは、知可子をふった張本人だった。レンタルビデオ店で出くわした男を仮の恋人に仕立てあげ、その場をしのいだ知可子だが、皮肉な恋の運命が回りはじめる…。知可子と、彼女を巡る女たちそれぞれの愛の選択、恋の行方は? 迷い悩みながら、ひたむきに恋する女たちの姿を描く長編。
  • シフォンの風
    3.5
    OL3年目の佐和には会社の同僚である邦夫という恋人がいる。結婚も秒読みの状態だ。しかし、学生時代の恋人に再会し、心がざわめき始める。友人の沙奈江とその不倫相手の上司、邦夫に恋心を抱く後輩の友実子など、金沢を舞台に佐和をめぐってさまざまな人の思いと人生が交錯する。
  • さよならをするために
    3.5
    約束の時間から1時間。彼はきっと来ない、来るわけはない。恋はいつしか壊れていくもの…。終わった恋にエンドマークを打つために勇気をふりしぼって一歩を踏み出した女の子たち。そして、それは新しい恋の始まり…五つの恋が壊れていくありさまを切なく描く恋愛小説集。人は、さよならをするために恋をするの?
  • 鉄道員(ぽっぽや)
    4.2
    娘を亡くした日も、妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた……。映画化され大ヒットした表題作「鉄道員」はじめ「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」「オリヲン座からの招待状」など、珠玉の短篇8作品を収録した傑作集。日本中、150万人を感涙の渦に巻き込んだ空前のベストセラーに、あらたな「あとがき」を加えた。第117回直木賞を受賞。
  • バスジャック
    3.4
    今、「バスジャック」がブームである――。バスジャックが娯楽として認知されて、様式美を備えるようになった不条理な社会を描く表題作。回覧板で知らされた謎の設備「二階扉」を設置しようと奮闘する男を描く「二階扉をつけてください」、大切な存在との別れを抒情豊かに描く「送りの夏」など、著者の才能を証明する七つの物語。この短編集の中に、きっとあなたの人生を変える一編があります。
  • となり町戦争
    3.6
    ある日、突然にとなり町との戦争がはじまった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報紙に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱けずにいた「僕」に、町役場から一通の任命書が届いた…。見えない戦争を描き、第17回小説すばる新人賞を受賞した傑作。文庫版だけの特別書き下ろしサイドストーリーも収録。
  • 家日和
    3.8
    会社が突然倒産し、いきなり主夫になってしまったサラリーマン。内職先の若い担当を意識し始めた途端、変な夢を見るようになった主婦。急にロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家などなど。日々の暮らしの中、ちょっとした瞬間に、少しだけ心を揺るがす「明るい隙間」を感じた人たちは……。今そこに、あなたのそばにある、現代の家族の肖像をやさしくあったかい筆致で描く傑作短編集。
  • 青のフェルマータ
    3.7
    両親の不和、離婚から言葉を失った里緒は、治療に効果的だというイルカとのふれあいを求めて、オーストラリアの島にやってきた。研究所のイルカの世話を手伝って暮らす彼女に島に住む老チェリストJBが贈る「フェルマータ・イン・ブルー」の曲。美しいその旋律が夜明けの海に響いたとき、海のかなたから野生のイルカが現れて――。心に傷を持つ人々が織りなすイノセントでピュアな愛の物語。
  • ガダラの豚 1
    4.0
    1~3巻440~550円 (税込)
    アフリカの呪術医研究の第一人者、大生部多一郎は、テレビの人気タレント教授。超能力ブームで彼の著者「呪術パワーで殺す!」はベストセラーになった。しかし、妻の逸美は8年前の娘・志織のアフリカでの気球事故での死以来、神経を病んでいた。そして奇跡が売り物の新興宗教にのめりこんでしまった。逸美の奪還をすべく、大生部は奇術師ミラクルと組んで動き出す。
  • 天帝妖狐
    4.0
    とある町で行き倒れそうになっていた謎の青年・夜木。彼は顔中に包帯を巻き、素顔を決して見せなかったが、助けてくれた純朴な少女・杏子とだけは心を通わせるようになる。しかし、そんな夜木を凶暴な事件が襲い、ついにその呪われた素顔を暴かれる時が…。表題作ほか、学校のトイレの落書きが引き起こす恐怖を描く「A MASKED BALL」を収録。
  • 夏と花火と私の死体
    3.9
    九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく――。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄弟の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか? 死体をどこへ隠せばいいのか? 恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作品。
  • 星の王子さま
    4.1
    サハラ沙漠の真っ只中に不時着した飛行士の前に、不思議な金髪の少年が現れ「ヒツジの絵を描いて……」とねだる。少年の話から彼の存在の神秘が次第に明らかになる。一本のバラの花との諍いから、住んでいた小惑星B612を去った王子さまはいくつもの星を巡った後、地球に降り立ったのだ。王子さまの語るエピソードには沙漠の地下に眠る水のように、命の源が隠されている。肝心なことは目では見えない。心で探さないとだめなのだ……。生きる意味を問いかける永遠の名作を池澤夏樹による瑞々しい新訳でお届けします。原典の世界観を忠実に再現した横組みの本文。電子化に際し、挿絵は原典の彩色に復原しました。手のひらの中で、サンテグジュペリの描いた世界が鮮やかによみがえります。
  • 星へ落ちる
    3.7
    彼には同棲している男がいる。私は彼が来てくれた時に迎え入れればいいだけで、彼を望む権利などない―(『星へ落ちる』)。彼の彼氏に嫉妬する『私』、彼に女の影を感じて怯える『僕』、出て行った彼女を待ち続ける『俺』。相手を愛おしいと思えば思うほど、不安で押し潰されそうになってやり場のない感情に苦しんでしまう男と女と男を、それぞれの視点から描き出した切ない恋愛連作短編集。
  • アッシュベイビー
    3.5
    キャバクラ嬢のアヤは大学時代の同級生であるホクトと些細なきっかけから同居を始めた。彼は小児性愛者で、大人の女には見向きもしないのだった。ある日、ホクトの知人である村野という冷淡な男に出会い、アヤは強い執着を抱く。しかし、ホクトが家に赤ん坊を連れ込んだことから、すべてが歪み始めた…。欲望の極限まで疾走する愛を描き、いびつな真珠のように美しく衝撃的な恋愛小説。
  • 絹の変容
    3.7
    【第3回小説すばる新人賞受賞作】レーザーディスクのように輝く絹織物――偶然、不思議な糸を吐く野蚕を発見した長谷康貴は、その魅力に憑かれ、バイオ・テクノロジー技術者・有田芳乃の協力で、蚕を繁殖させようとする。事業は成功したように見えたが、意外なパニックがまき起こる……ミステリータッチの本格SF。
  • 熱帯安楽椅子
    3.5
    恋をしてから、小説が書けなくなった「私」。自分を甘やかしたい。横になる寝台が欲しいのだ。そう言った私に、男友達はバリ島行きの航空券を手配してくれた。暑い国で休んでおいで。行っておいで、あの熱帯の安楽椅子に。そこで出会った男たちと愛しあううち、私の中にバリ島の熱が染み込んでゆく。豊潤で濃密な愛の物語。
  • あなたがほしい je te veux
    3.6
    【第22回すばる文学賞受賞作】男を抱くことはできても、愛せない。女を愛していても、抱き合うことをおそれてしまう――。年下の友人・留美に対する同性愛の欲望を意識しながらも、中年の建築家・小田との官能と友愛に充ちた関係に癒しと安らぎをおぼえるヒロイン・カナ。しかし留守中の留美の不在に、カナの秘めた想いは次第に募るのだった……。新感覚の性愛を鮮烈に描いた恋愛小説の傑作。
  • お縫い子テルミー
    3.8
    依頼主の家に住み込み、服を仕立てる「流しのお縫い子」として生きる、テルミーこと照美。生まれ育った島をあとにして歌舞伎町を目指したのは十五歳のとき。彼女はそこで、女装の歌手・シナイちゃんに恋をする――。叶わぬ恋とともに生きる、自由な魂を描いた第129回芥川龍之介賞候補の表題作。アルバイトをして「ひと夏の経験」を買う小学五年生、小松君のとぼけた夏休みをつづる『ABARE・DAICO』収録。
  • AMEBIC
    3.5
    摂食障害気味の女性作家「私」のパソコンに日々残されている意味不明の文章=錯文。錯乱した状態の「私」が書き残しているらしいのだが…。関係を持った編集者の「彼」とその婚約者の「彼女」をめぐって、「私」の現実は分裂し歪んでいく。錯文の意味するものとは。錯乱した「私」は正気の「私」に何を伝えたいのか。孤独と分裂の果てには何が待つのか。著者の大きな飛躍点となった第三長編。

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