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彼には同棲している男がいる。私は彼が来てくれた時に迎え入れればいいだけで、彼を望む権利などない―(『星へ落ちる』)。彼の彼氏に嫉妬する『私』、彼に女の影を感じて怯える『僕』、出て行った彼女を待ち続ける『俺』。相手を愛おしいと思えば思うほど、不安で押し潰されそうになってやり場のない感情に苦しんでしまう男と女と男を、それぞれの視点から描き出した切ない恋愛連作短編集。
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Posted by ブクログ
「例えばさ、ずっと一つの星を見上げてると、自分がその星に落ちていきそうな気がしてこない?」
星へ落ちるってタイトルにきゅんとした。
男と女と、男の彼氏と、女の元彼。
複雑な人間関係の中で共通するのは、完全に自分のものにならない相手に落ちて、もがいているところ
人の心なんて縛れないのに、なんで恋をすると人はそれを自分のものにしたがるんだろう。
愛おしいと思えば思うほど、相手のすべてを知りたくなるし、それで苦しむんだよね。なんでかな。
って読んでて思った。
描写がね、いい。ルクルーゼの鍋とか、東京タワーとか、カレーとか、情景を頭に浮かべやすいの。
とんとんとんとん。にんじんを刻んで、トマトを刻む。さくさくと切れていくトマト。立方体に切り揃えていく内、まな板にトマトの汁が滲んでいく。
スープ作りが一番印象的だった!
Posted by ブクログ
読まず嫌いだった作者。思いきって読んでみた。
もっと早く読めば良かった、という気持ちと読まなければ良かった(当作品に対する個人的感情として)、という気持ちと半々。
彼を中心に回り落ちていく人々の話。
惑星のような彼の存在感が非常に薄いのに、周りの衛星である人々によって、中心となる彼が描かれている。それぞれの衛星からの視点によって、惑星が異なって見えるため、様々な惑星を見ることができる。
そして、その惑星と衛星を結ぶかのような歩道橋の心許なさ。
作者の作品の中ではライトな部類の作品と聞いていたので、まだ読めたのかもしれない。もう一作品読んでみようと思う。
ここで、どなたかも書かれていたが、いしいしんじの解説が明瞭だった。
早く読んで、この作者・作品を好きな人と感想を話しあいたかった。本の話だけでもいいから話したくなった。
Posted by ブクログ
わたしと、わたしが好きなあのひとと、わたしのことが好きなあのひとと、わたしが好きなひとがすきなひと。もうほんとうにわたし。不幸なわたし。恋愛がつらいわたし。不安なわたし。吐いてしまうわたし。わたししかないんだけれども、これ、分かる、と思わされるところが凄い。全部リアルだから。返信が帰ってこないと胃がキリキリしてしまってって、ものすごいリアル。こういうものを読んでいると、結局人間はほんとうにエゴイズムまみれで、自分のどうしようもない不安の穴を、他人で埋めているとしかおもえない。それをなんかいいものっぽく書くか、正直に書くか。このひとは正直すぎるだけだとおもう。その正直さにはとても好感がもてる。
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