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Posted by ブクログ
妻が妊娠したことをきっかけに、高校生の頃に読んだ『つるかめ助産院』を再読した。
高校時代に読んだときは、「妊娠ってこんな感じなんだ」「こんな知識があるんだ」くらいの感想だったと思う。物語としては楽しめたものの、その本当の意味までは理解できていなかった。
しかし今、夫という立場で読み返してみると、まったく違う本に思えた。
お腹の中で命を育てること。その命を産み出すこと。当たり前のように繰り返されてきた営みの中に、どれほどの奇跡と覚悟があるのかを改めて感じた。そして、出産という経験ができる女性の強さに心を打たれた。
小川糸さんの作品といえば、私は食事の描写が好きだ。本作にも温かな食の場面はあるが、それ以上に印象に残ったのは人と人との関わりだった。傷ついた人が少しずつ立ち直り、誰かに支えられながら前を向いていく。その過程が丁寧に描かれている。
派手な物語ではない。それでも読み終えたあと、人の優しさや生命の尊さについて静かに考えさせられる。
高校生だった自分には見えなかったものが、今の自分には見えた。
再読することの意味を教えてくれた一冊だった。
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