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夫が姿を消して傷心のまりあは、一人訪れた南の島で助産院長の鶴田亀子と出会い、予想外の妊娠を告げられる。家族の愛を知らずに育った彼女は新しい命を身ごもったことに戸惑うが、助産院で働くベトナム人のパクチー嬢や産婆のエミリー、旅人のサミーや妊婦の艶子さんなど、島の個性豊かな仲間と美しい海に囲まれ、少しずつ孤独だった過去と向き合うようになり――。命の誕生と再生の物語。
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Posted by ブクログ
妻が妊娠したことをきっかけに、高校生の頃に読んだ『つるかめ助産院』を再読した。
高校時代に読んだときは、「妊娠ってこんな感じなんだ」「こんな知識があるんだ」くらいの感想だったと思う。物語としては楽しめたものの、その本当の意味までは理解できていなかった。
しかし今、夫という立場で読み返してみると、まったく違う本に思えた。
お腹の中で命を育てること。その命を産み出すこと。当たり前のように繰り返されてきた営みの中に、どれほどの奇跡と覚悟があるのかを改めて感じた。そして、出産という経験ができる女性の強さに心を打たれた。
小川糸さんの作品といえば、私は食事の描写が好きだ。本作にも温かな食の場面はあるが、それ以上に印象に残ったのは人と人との関わりだった。傷ついた人が少しずつ立ち直り、誰かに支えられながら前を向いていく。その過程が丁寧に描かれている。
派手な物語ではない。それでも読み終えたあと、人の優しさや生命の尊さについて静かに考えさせられる。
高校生だった自分には見えなかったものが、今の自分には見えた。
再読することの意味を教えてくれた一冊だった。
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小説・文芸
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