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おいしくて、いとおしい。 同棲していた恋人にすべてを持ち去られ、恋と同時にあまりに多くのものを失った衝撃から、倫子はさらに声をも失う。 山あいのふるさとに戻った倫子は、小さな食堂を始める。 それは、一日一組のお客様だけをもてなす、決まったメニューのない食堂だった。 巻末に番外編を収録。
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Posted by ブクログ
この本を読まないまま死ななくてよかった。途中から泣いてばっかりだった。読んだことがないのに懐かしくなるような小説。母娘の確執は深く語られないけれど、食器を引き合いに出して語られる「おかんと私の価値観は正反対」という言葉が効いている。 作者の小川さんについては全然わからないけど、食べることも作ることも...続きを読む好きなんだなあと伝わってきた。いくら料理が上手くても、飲食店のトイレが汚いとすべてが台無しになる、という一言の説得力よ。紹介されるひとつひとつのメニューも、ほとんど野菜だけで味を整えるジュテームスープも、そしてエルメスを解体するシーンも、食材に、食事という行為にリスペクトがないと思いつかないし書けないはず。文章を書くのが好きなだけでは小説家にはなれないと実感した。 はじまりから絶望的な展開に違いないのに、どこか現実感がなく、軽やかでもある。それは後半にかけても変わらず、でも心は動かされるし、悲しくなるし、あたたかくもなる。この空気を醸し出しているのが文体なのか、のどかな舞台なのかわからないけど、またこの世界に浸りたくなるだろうと思った。
優しい感動が静かに湧いてくる。 風景や料理の描写が丁寧。特に料理は本当に食べてみたくなる。 料理ひとつ、食材ひとつにも、感謝の気持ちをもって丁寧に味わうようにしたい。 改めて「いただきます」「ごちそうさま」という言葉の大事さを実感。 毎日を丁寧に生きようって気になった。
再読。 命を頂くこと。 それはみんながわかっていることだけれどサラッと流される風潮があるがこの物語ではしっかりと描かれていることに好感が持てた。 人によってはどうしてこんな場面を描くのだろうと疑問に思うかもしれないけれどやっぱりどうしたって必要だと私も思う。 何もかも失って人生のどん底に突き落と...続きを読むされた主人公が料理や出会う人々を通して、また人生を歩み始める元気を取り戻していく姿は、今何かにつまずいてしまっている人にも、新たに何かを始める人にも勇気を持たせてくれるだろう。
小川糸さん好きになったきっかけの本。 昔単行本で読んですごく好きだった記憶があったんだけど文庫化されてたから購入して久々に! 倫子が作る料理がどれも本当に美味しそうであったかくて。優しい気持ちになれる大好きなお話です。 食堂かたつむり、私も行ってみたいなぁ。 エルメスの最期はとても丁寧に描かれていて...続きを読む、命をいただくということを考えさせられる。 おかんからの手紙のところはボロボロ泣きながら読んだ。 文庫限定の番外編チョコムーンもとっても良かった!倫子の料理を食べる側の人の話も読んでみたいと思ってたので嬉しかった。
めちゃくちゃ飯テロ小説です。シンプルだから読みやすいし、登場する料理はどれも匂いが漂ってきそうなほど美味しそうすぎて、お腹が空いてしまいます。読む前にお腹いっぱいにさせておくか、読みながらおやつを摘んだ方がいいです。続編出してくれないかな〜。
「食」について考えさせられる話。 食べるということ、生きるということは様々な生命との関わりの中で成り立っていて、その一つ一つに感謝しないといけないんだなと気付かされる。 そして何より主人公が営む食堂が本当に素敵でわくわくした。自分でもこだわりのお店を開きたくなった。
不遇の境遇ながら、主人公の女性の心の中は非常に澄んでいて清々しい。それでいて彼女の感性がとても素晴らしいので暗い話になっていない。人間の再生の話なのだが、当然の様に彼女を応援したくなるし、彼女の周りの人達も彼女の再生を手助けしてくれる人ばかりで、とにかく読んでいて気持ちが良い。料理の描写も丁寧だし、...続きを読む豚の解体シーンやその他のシーンも彼女の解釈が非常に意味深いので読んでいるこちらが高尚なものに触れている気にさせてくれる。最後の最後まで清々しく読めて読後感も良い。
小川糸さんのらいおんのおやつの後に手に取りましたが、この方のギャグセンスというか、言葉の選び方や表現方法がますます好きになりました。 エルメスや、おかんとも衝撃的な結末を迎えますが、特に悲しさを与えることがなく、ハッピーエンドで終わったので、ほっこりしました。
何年かぶりに再読。 やっぱり温かくて面白い。 出てくる料理がどれも珍しくて美味しそう。 ザクロのカレーが食べてみたい…! ラスト、おかんからの手紙で涙が止まらなかった。 何度読んでも泣けるし、優しい気持ちになれるし、食への感謝が深まる。 読むべき一冊。
最後は思わず涙が浮かんだ。 物語としては急展開、そして穏やかな食堂での日々なんだけど、食材、料理、エルメスに関しての表現が細かくて、魅了された。 料理って素敵だって思わせてくれた。 同時に、生と死の儚さも感じて、何気ない日を大切に生きようと思った。 小川糸さんのファンになりそうです〜 著書全て...続きを読む良い本です!
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