小説 - 中公文庫作品一覧
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3.7室井光広とは誰だったのか? 誰でもない。宇宙を吹き渡るコトバの元気(げんき)、天籟(てんらい)だった。 ――辻原登 こんな凄い小説が書かれていたことに驚きました。 生きる悲しみが言葉の奥底に繋がっていることを知りました。 貪るように読みました。 ――町田康 カフカ、ボルヘス、ジョイスといった先達を読み/書くことを通して、日本という「辺境」から世界文学の最前線へ。詩と小説と批評の三位一体を追求した現代文学最高の精華が、ここに再生する――。 辻原登氏 町田康氏 多和田葉子氏 推薦! 表題作は第111回芥川賞(1994)を受賞しながらも、その余りに独特な内容と形態によって「はたしてこれは小説なのか?」と賛否両論を巻き起こした伝説の傑作。そのほか、著者の故郷・南会津を舞台にした関連作を「猫又」サーガとして初集成/初文庫化。 古今東西の博識を呼び込み、「言語」と「小説」そのものの謎を探究する室井光広の目眩くテクストによって、日本語文学は何を目指し、何を実現したのか。 遺作『エセ物語』へのイントロダクションともなる、まさに「室井入門」として最適な一冊。 今こそ、時代は室井光広に追いつくことができるか――? 【目次】 [本編] 猫又拾遺(1991) あんにゃ(1992) かなしがりや(1993) おどるでく(1994) 大字哀野(1994) 和らげ(1996)(初書籍化作品) [巻末資料] 単行本版あとがき(1994) 万葉仮名を論じて『フィネガンズ・ウェイク』に及ぶ(1994) インタビュー 室井光広氏と語る(1995) 巻末エッセイ=多和田葉子「海に向かえ山に向かえ言葉に向かえ」 解題=川口好美 《あらゆる翻訳は最終的に原作の行間にただようおどるでくを読者の心底にうつすことを目的とするといっていいだろう。そのうつし方は、病気をうつすようにしてなされる。私は再度キリシタン版の中にうつし方の現場をさがしにゆく。おどるでくをうつされるのを好む人は何よりも「写す」行為をいやがらないと露文氏はいっている。》――表題作より
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3.7〈螺旋プロジェクト〉、ついに文庫化! 「いいか、島でのこと、だれにも話してはいけない」 海の民の少年オトガイは、父から代々伝わる役目を引き継ぐ。 山の民の少女マダラコは、生贄の運命から逃れて山を下りる。 死を知らぬ海の民イソベリ、死を弔う山の民ヤマノベ。 二つが出会い、すべてが始まる原始の物語。 〈巻末座談会〉八作家が語る、〈螺旋プロジェクト〉のいままで 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』(本作) 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
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3.7金沢を舞台に旧制四高生・片口安吉の青春の光と影を描く「歌のわかれ」、敗戦直後、天皇感情を問うた「五勺の酒」。この二篇のほか、「村の家」「萩のもんかきや」など著者の代表的な短篇七篇を収める。詩篇「歌」、自作をめぐる随筆を併録。文庫オリジナル。 〈巻末エッセイ〉石井桃子・安岡章太郎・北杜夫・野坂昭如 ■目次 歌(詩) 【Ⅰ】 歌のわかれ/春さきの風/村の家/広重/米配給所は残るか/第三班長と木島一等兵/軍楽/五勺の酒/萩のもんかきや 【Ⅱ】 「春さきの風」「五勺の酒」の線/「春さきの風」のとき/「第三班長と木島一等兵」おぼえがき/五十年まえと三十年まえ 【中野重治をめぐって】 ある機縁(石井桃子)/我慢と律義と剽軽と(安岡章太郎)/「茂吉ノート」など(北杜夫)/青春の書(野坂昭如)
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3.7「なぜもっと早くいらっしゃらない?」 廃墟に響いた幽霊の声―― 100年前、「田園の憂鬱」で一躍文壇に躍り出ながら、極度の神経衰弱に陥った佐藤春夫は台湾へと旅立つ。そこで目にしたもの、感じたものは、作家の創造力を大いに刺激した。台湾でブームを呼ぶ表題作など、台湾旅行に想を得た、今こそ新しい9篇。ミステリーあり、童話あり。異国情緒のなかに植民地への公平なまなざしと罪の意識がにじむ。文豪・佐藤春夫評価に一石を投じる文庫オリジナル企画。 収録作 「女誡扇綺譚」 「鷹爪花」 「蝗の大旅行」 「旅びと」 「霧社」 「殖民地の旅」 「魔鳥」 「奇談」 「かの一夏の記」
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3.7言葉の選び方、書き出しの心得、起承転結の「転」を利かし、書き手の「ええーっ」を読み手の「へえーっ」に換える極意とは? しなやかに感じて、したたかに描く奥義を伝授。エッセイ道30年の岸本んが、スマホ時代の文章術を明かします。単行本『エッセイ脳 800字から始まる文章読本』を改題。待望の文庫化。 第一章 テーマは連想の始動装置―「私」と「公共」の往復運動 第二章 頭にはたらきかける文、感覚にはたらきかける文―無意識を意識する 第三章 リスク回避と情報開示―「自分は他者でない」宿命を超えて 第四章 文を制御するマインド―「筆に随う」はエッセイにあらず 終章 ひとたび脳を離れたら
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3.6バブルに沸く昭和後期。一見、平凡な家庭の北山家では、元情報員の妻宮子が姑セツと熾烈な争いを繰り広げていた。(「シーソーモンスター」) アナログに回帰した近未来。配達人の水戸は、一通の手紙をきっかけに、ある事件に巻き込まれ、因縁の相手檜山に追われる。(「スピンモンスター」) 時空を超えて繋がる二つの物語。「運命」は、変えることができるのか――。 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みを読むことができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』(本作) 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』 澤田瞳子『月人壮士』 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
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3.6羽田法律事務所で調査員として働く風町サエは、殺人罪で服役経験のあるシングルマザー。ある日、芸能界のフィクサーと呼ばれる小田崎が、羽田法律事務所を訪れた。小田崎は、アイドル候補生を店頭に立たせる安売りピザ店で大儲けをした男。店頭に立つアイドル候補生は、ファン投票の結果でメジャーグループに昇格できる仕組みで、自分が応援する候補生をメジャーにするため、ファンはピザを注文し投票券を獲得するのだ。このピザ店でアルバイトをしていたひとりの少女が自殺をし、両親が1億2千万円の賠償金を要求しているという。賠償金額を減額させたいという小田崎の依頼に調査を始めるサエだったが、次第にある人の過去にも迫ることになり――。 『笑う少年』を改題。
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3.5「あれはいったい何だったのだろう――?」 過去の人生において遭遇した、明確な恐怖とは言いがたい、けれど忘れることのできない記憶や小説。 大ヒット作『恐怖の正体』(中公新書)で話題を呼んだ作家・精神科医である著者が、精神の根源に触れるそうした〈恐怖寸前〉の〈無意味で不気味なものたち〉に惹かれて渉猟した、異色の文学エッセイにして読書案内。 刊行以来、ホラーや幻想文学の実作者を中心に、多くの読者から絶賛を得てきた名著に、書き下ろしの新章を増補した新版。 誰もが体験しながら、ふだんの日常においては意識の底に沈められがちな〈あれ〉を求めて……読めばきっと、あなたも語りたくなる。 推薦・澤村伊智 解説・朝宮運河 【目次】 文庫版のためのまえがき まえがき 1 隠蔽された顔――N・ホーソーン『牧師の黒のベール』 2 本物そっくり――河野多惠子『半所有者』 3 糞と翼――パトリック・マグラア『長靴の物語』 4 姿勢と連想――古井由吉『仁摩』 5 受話器を握る怪物――H・P・ラヴクラフト『ランドルフ・カーターの陳述』 6 孤独な日々――日影丈吉『旅は道づれ』 7 南洋の郵便配達夫――J・M・スコット『人魚とビスケット』 8 描きかけの風景画――藤枝静男『風景小説』 9 墜落する人――レイ・ブラッドベリ『目かくし運転』 10 救われたい気持ち――高井有一『夜の音』 11 果てしない日々――クレイ・レイノルズ『消えた娘』 12 世界の構造――富岡多惠子『遠い空』 13 グロテスク考――カースン・マッカラーズ『黄金の眼に映るもの』 14 うふふ。――車谷長吉『忌中』 16 昆虫的――内田百閒『殺生』+ブルーノ・シュルツ『父の最後の逃亡』 16 入り込んでくる人――庄野潤三『黒い牧師』 あとがき 解説 朝宮運河 〈本書は、無意味なものと不気味なものにまつわる探求報告であり、「あれはいったい何だったのだろう」という呟きの執拗な反復である。もし読者諸氏にも「あれはいったい何だったのだろう」との文言が病原菌のように感染すれば、著者としては嬉しい。寂しさがまぎれ、この世界に生を営んでいくことの不安を、幾分なりとも忘れさせてくれそうだからである。……〉(「まえがき」より)
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3.5底辺女子が人生逆転!? 不遇な家庭に育った17才のユキが、子供を持ちたい人々と貧困女性を救う〝代理母ビジネス〟の賭けに出る。 義父の策略で、違法な代理母出産をさせられた16才のユキ。命がけで出産したにもかかわらず、報酬はすべて義父の手に。再び代理母をさせ稼ごうとする義父の手から逃げだしたユキは、自らの経験を逆手に取り、自分のような貧しい女性を救う大胆な〈代理母ビジネス〉を思いつく。ユキを支えるのは医師の静子&芽衣子のタッグと、ゲイのミチオ&一路。さまざまな事情を抱えた「子どもを持ちたい」人々が、最後の砦としてユキたちを頼ってやってくるが……日本の生殖医療の闇、貧困層の増大、妊娠・出産をめぐる負担など、現代日本が放置した社会問題を明るみにしながら、「代理母」ビジネスのタブーに切り込んだ話題作。
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3.5自他ともに認める食通でもてなし好きの著者の家には、文人墨客から経済人まで大勢の友人が訪れた。いつしか自宅は「邱飯店」と呼ばれるようになる。あばら家の七輪を駆使して佐藤春夫と檀一雄を歓待した時分から、食卓で最も笑いの絶えなかった人・本田宗一郎の思い出まで。約三十年間のゲストとその日のメニューの記録を振り返る、愉快で美味しい交遊録。それはある時期の日本文化や経済界の裏面史でもある。 『邱飯店のメニュー』改題。檀一雄が舌鼓をうった「野鶏巻」と安岡章太郎のお気に入り「芋頭扣肉」のレシピ、人名索引付。 〈解説〉畑中三応子 目次 最初のお客は佐藤春夫と檀一雄/〝一本刀土俵入り〟の世界/〝邱飯店〟開店/健啖こそ長寿の秘訣/金を想うがごとく友を想う/メシで釣って文壇へ/〝第三の新人〟と友達に/五味康祐、そして有馬頼義/『ミシュラン』『あまカラ』『東京いい店うまい店』/小島政二郎・白井喬二・子母沢寛/梅崎春生のメスの羊/〝邱飯店〟の名付親・池島信平/スポンサーの鑑・鶴屋八幡/大編集者の風貌と条件/〝日本料理は滅亡する〟/宰相御曹司、舌鼓を打つ/獅子文六の「バナナ」/市村清と今東光のコンビ/栗田春生の痛快な人生/大屋晋三とカ、カ、カのかあちゃん/メニューに出ない料理のメニュー/〝違いのわかる男〟たちの話/永遠の少女・森茉莉/西洋料理のコックを雇う/政情が描く台湾の料理地図/コックを雇って精神修養/年と共に変る料理の中身/大宴のメニューは自分でつくる/宰相夫人佐藤寛子ミニおばさん/〝食通知ったかぶり〟紳士録/紅焼大網鮑と砂鍋大排翅/『邱家の中国家庭料理』楽屋話/美食と大食は紙一重/カミナリ族の大親分本田宗一郎/高度成長の立役者盛田昭夫夫妻/招待状を書く楽しみは残しておいて