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死にゆくもの滅びゆくものを前に、ふとたじろぐ若い魂。早春のきらめきの中に揺れる、切ないほど静かで不思議に激しい恋の物語。シリーズ第三話。
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Posted by ブクログ
人間の死を考える機会が永遠に訪れないといいと思う 太陽が昇って沈むように、人間の命も生まれては消えていく この自然の摂理をシニカルに考えないように…見つめすぎないように
生と死、そして性。この作品を読んで、すべてはぐるぐる廻っている(輪廻)ものではないか、と考えるようになった。薫と由美との距離がぐっと縮まった作品。心理描写が面白いなぁ、この人。
死にゆくもの、滅びゆくものを前に、ふとたじろぐ若い魂。そして「死にゆくもの、滅びゆくもの」として見つめられ愛されることを拒絶する、もう一つの若い魂。早春のきらめきの中に揺れる、切ないほど静かで、不思議に激しい恋の物語。
膨大な知識と教養を持った人の死。 その喪失感、むなしさと向きあう若者たち。 これも映画から入ったと思うけど、検索してもDVDとかはないみたいか? けっこう悪くない映画だったと記憶はあるけど。
死について見つめだした10~20代の男女の群像劇。 あれこれ理屈をこねまわす主人公に最初はいらいらしながら読んでたけど、個人的にあれこれ頭で考えてしまう部分もあるのであまり主人公のことを悪くは言えない。というか確かに高校卒業したての頃の色々考えてしまう脳みそっていう感じ。若い。 主人公の友達...続きを読むや幼馴染みの女の子もあれこれ考えていて、なんだか友達の話を聞いているような気分で読めます。 これまで「純粋=すぐ行動にうつす」だと思っていたけれど、「純粋=あれこれ考えてしまって動けない」という部分もあるなあと思い返しました。 前作の「赤頭巾ちゃん気をつけて」では主人公の内面の苛立ちに焦点が当たっていたけれど、今作ではもっと外側に視点がうつった感じ。 彼らがカッコいいのは、彼らが実際にどういうなりふりをしたかではないということ、つまり彼らがそうなったのは言うなれば必然的な結果というか、彼らがその力を使いつくすためのほんとうに大事なことを別にしっかりと手いっぱいに抱えていたことによる、という点にあるのは言うまでもないわけだ。 なにかに心を動かすたびに用心深く警戒するような感じがいつの間にか身に付いてきてしまうのではあるまいか。 なにしろこの世の中ってのは、どうやらケチつけたり皮肉ったりからかったりしていれば、なんとなくカッコよく颯爽と見えるようにできているのだから。 「それでおれってのは、自分についてもそうだけれど、他人を眺めてもすぐ、そいつはどう死ぬのかなって思うたちなんだよ。それに、そうやって眺めると、どんな気に入らんやつでもおこる気はしなくなるし、いろいろしのぎやすいからね・・・・・・。」 これはまあ、ぼくも含めて男ってのは女の子がそばに来るとなんとなく張り切って頑張るようなミットモナイところがあるわけだが あれこれと考えて心をつくすことよりも、まずこの腕でしっかり彼女をつかまえてしまうこと、すべてはそれからなのではあるまいか。 死にかけたおかげで愛されるくらいなら、いっそのこと象のようにこっそり姿を消して独りで死んでやる・・・。 「一言で言えば、馬鹿ほど純粋ってことになるみたいだけれど、実際問題として、世の中が複雑で分かりにくくなると、みんな結局は単純で野蛮なものの中に救いを求めたくもなるらしい。」 そしてぼくたちが死んでいくひとに対して、できるだけのやさしい心づかいをすることは確かにとても大切なことにちがいない。でもね、それにしても、あまり心を痛めすぎてはいけないのじゃないか?
人生って、なんだろうって思う。 一生かけて蓄えたものも、死んでしまったら何にもならないの? ほんとに? と疑問に思い、悩む主人公たちに思わず自己投影してしまう。
受賞作の「あかづきんちゃん気をつけて」から少し手に取るのだけど。スピード感のある文体が好きでした。それでも1970年代のこと。今の若い世代の文章とくらべてみると、滑らかさが残ってて好ましいです。
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