新潮社作品一覧

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  • 八甲田山死の彷徨
    4.4
    日露戦争前夜、厳寒の八甲田山中で過酷な人体実験が強いられた。神田大尉が率いる青森5聯隊は雪中で進退を協議しているとき、大隊長が突然“前進”の命令を下し、指揮系統の混乱から、ついには199名の死者を出す。少数精鋭の徳島大尉が率いる弘前31聯隊は210余キロ、11日間にわたる全行程を完全に踏破する。両隊を対比して、自然と人間の闘いを迫真の筆で描く長編小説。

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  • 孤高の人(上)
    4.3
    1~2巻990円 (税込)
    昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。
  • 死顔
    4.0
    1巻451円 (税込)
    生と死を見つめつづけた作家が、兄の死を題材にその死生観を凝縮させた遺作。それは自身の死の直前まで推敲が重ねられていた──「死顔」。明治時代の条約改正問題とロシア船の遭難事件を描きながら、原稿のまま残された未定稿──「クレイスロック号遭難」。さらに珠玉の三編を合わせて収録した遺作短編集。著者の闘病と最後の刻を夫人・津村節子がつづった「遺作について」を併録。

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  • わたしの流儀
    4.5
    旅に出て、人と出会い、酒肴を愉しみ、言葉を選び、小説を書き、歳を重ねる……。自らの流儀を守り、穏やかで豊かな生活から産まれる傑作の数々。その精密な取材と静謐な筆致は、読む者を虜にし深い感動を呼び起こす。作家冥利に尽きる体験、日常の小さな発見、ユーモアに富んだ日々の暮し、そしてあの小説の執筆秘話を綴る。作家・吉村昭の文章を紡ぐさまをかいま見る芳醇な随筆集。

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  • 天に遊ぶ
    3.8
    1巻528円 (税込)
    見合いの席、美しくつつましい女性に男は魅せられた。ふたりの交際をあたたかく見守る周囲をよそに、男は彼女との結婚に踏みきれない胸中を語りはじめる。男は、独り暮らしの彼女の居宅に招かれたのだった。しかし、そこで彼が目撃したものは……(「同居」)。日常生活の劇的な一瞬を切り取ることで、言葉には出来ない微妙な人間心理を浮き彫りにする、まさに名人芸の掌編小説21編。

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  • 人間の建設
    4.0
    有り体にいえば雑談である。しかし並の雑談ではない。文系的頭脳の歴史的天才と理系的頭脳の歴史的天才による雑談である。学問、芸術、酒、現代数学、アインシュタイン、俳句、素読、本居宣長、ドストエフスキー、ゴッホ、非ユークリッド幾何学、三角関数、プラトン、理性……主題は激しく転回する。そして、その全ての言葉は示唆と普遍性に富む。日本史上最も知的な雑談といえるだろう。

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  • 大黒屋光太夫(上)
    3.9
    天明2年(1782)、伊勢白子浦を出帆した回米船・神昌丸は遠州灘で暴風雨に遭遇、舵を失い、七カ月後にアリューシャンの小島に漂着した。沖船頭・光太夫ら十七人の一行は、飢えと寒さに次々と倒れる。ロシア政府の意向で呼び寄せられたシベリアのイルクーツクでは、生存者はわずかに五人。熱い望郷の思いと、帰国への不屈の意志を貫いて、女帝エカテリナに帰国を請願するが……。
  • わたしの普段着
    4.0
    かつて電車で目にした、席を譲られた老紳士の優美な仕種。我が家に家出娘を迎えに来た父親が農村の事情を語る言葉の奥深さ。結核による死を覚悟した頃を思えば感じる、今この時に生きる幸せ――。気取らず、気負わず、殊更には憂いを唱えず。いつも心に普段着を着て、本当に知った人生の滋味だけを悠悠閑閑と綴ってゆく。静かなる気骨の人、吉村昭の穏やかな声が聞こえるエッセイ集。

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  • Xへの手紙・私小説論
    4.3
    文芸批評家として最初の、揺るぎない立場を確立し、後の文学活動のあらゆる萌芽を含む『様々なる意匠』。人生観、ことに女性観、芸術論、社会批評などが、鋭く、渾然一体となって述べられた『Xへの手紙』。わが国に特有な私小説を見事に解剖した『私小説論』。その他、『一ツの脳髄』『女とポンキン』等の初期創作から始まって、中期以降戦後に至るまでの主要な論文、感想を収録する。

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  • 人生の鍛錬―小林秀雄の言葉―
    3.5
    日本の近代批評の創始者であり、確立者でもある小林秀雄――。厳しい自己鍛錬を経て記されたその言葉は、没後二十余年の今日なお輝きを増し続け、人生の教師として読む者を導いている。人間が人間らしく、日本人が日本人らしく生きるためには、人それぞれ何を心がけ、どういう道を歩んでいくべきか。八十年の生涯の膨大な作品の中から選り抜いた、魂の言葉四百十六。

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  • 近代絵画
    -
    昭和27年50歳の暮、外国旅行に出た。パリに始まり、約半年、欧州を巡って絵を見た。モネやセザンヌ、彼ら一流画家たちの、意味深長の人間喜劇を見た……。

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  • モオツァルト・無常という事
    4.2
    小林批評美学の集大成であり、批評という形式にひそむあらゆる可能性を提示する「モオツァルト」、自らの宿命のかなしい主調音を奏でて近代日本の散文中最高の達成をなした戦時中の連作「無常という事」など6編、骨董という常にそれを玩弄するものを全人的に験さずにはおかない狂気と平常心の入りまじった世界の機微にふれた「真贋」など8編、ほか「蘇我馬子の墓」を収録する。

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  • 作家の顔
    3.8
    書かれたものの内側には、必ず作者の人間があるという信念のもとに、著者の心眼に映じた作家の相貌を浮彫りにし、併せて文学の本質とその魅力を生き生きと伝える。青春の日に出会ったランボオ、敬愛する志賀直哉、菊池寛、個人的に深い交渉のあった富永太郎、中原中也、さらには中野重治、林房雄、島木健作、川端康成、三好達治等々、批評家小林秀雄の年輪を示す27編。

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  • 彰義隊
    3.5
    皇族でありながら、戊辰戦争で朝敵となった人物がいた──上野寛永寺山主・輪王寺宮能久親王は、鳥羽伏見での敗戦後、寛永寺で謹慎する徳川慶喜の恭順の意を朝廷に伝えるために奔走する。しかし、彰義隊に守護された宮は朝敵となり、さらには会津、米沢、仙台と諸国を落ちのびる。その数奇な人生を通して描かれる江戸時代の終焉。吉村文学が描いてきた幕末史の掉尾を飾る畢生の長篇。

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  • アメリカ彦蔵
    4.0
    嘉永三年、十三歳の彦太郎(のちの彦蔵)は船乗りとして初航海で破船漂流する。アメリカ船に救助された彦蔵らは、鎖国政策により帰国を阻まれ、やむなく渡米する。多くの米国人の知己を得た彦蔵は、洗礼を受け米国に帰化。そして遂に通訳として九年ぶりに故国に帰還し、日米外交の前線に立つ──。ひとりの船乗りの数奇な運命から、幕末期の日米二国を照らし出す歴史小説の金字塔。

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  • ドストエフスキイの生活
    3.8
    ペトラシェフスキイ事件連座、シベリヤ流謫、恋愛、結婚、賭博――不世出の文豪の魂に迫り、漂泊の人生を的確に捉えた不滅の労作。

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  • ふぉん・しいほるとの娘(上)
    3.7
    1~2巻979~1,089円 (税込)
    幕末の長崎で最新の西洋医学を教えて、神のごとく敬われたシーボルト。しかし彼は軍医として、鎖国のベールに閉ざされた日本の国情を探ることをオランダ政府から命じられていた。シーボルトは丸山遊廓の遊女・其扇を見初め、二人の間にお稲が生まれるが、その直後、日本地図の国外持ち出しなどの策謀が幕府の知るところとなり、厳しい詮議の末、シーボルトは追放されお稲は残される。

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  • 本居宣長(上)
    4.5
    「とにもかくにも人は、もののあはれを知る、これ肝要なり……」。本居宣長七十二年の生涯は、終始、古典文学味読のうちに、波瀾万丈の思想劇となって完結した。伊勢松坂に温和な常識人として身を処し、古典作者との対話に人生の意味と道の学問を究めた宣長の人と思想は、時代をこえてわれわれを深い感動の世界につつみこむ。著者がその晩年、全精力を傾注して書きついだ畢生の大業。
  • かぼちゃの馬車
    3.9
    1巻572円 (税込)
    地方から都会に出てきて、ひとりで暮している若い女のもとに届いたダイレクト・メールの内容は? だれもが見すごしてしまいそうな、目立たない家に住んでいる夫婦者の正体は? 熱帯の小さな国の独裁者に捕えられた男の運命は? めまぐるしく移り変る現代社会の裏の裏のからくりを、寓話の世界に仮託して、鋭い風刺と溢れるユーモアで描くショートショート28編。
  • 俺俺
    3.5
    なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎて、もう何が何だかわからない。増殖していく俺に耐えきれず右往左往する俺同士はやがて――。他人との違いが消えた100%の単一世界から、同調圧力が充満するストレスフルな現代社会を笑う、戦慄の「俺」小説! 大江健三郎賞受賞作。

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  • さまざまな迷路
    3.8
    1巻737円 (税込)
    ある日とつぜん、おとぎ話の主人公になりたいと、とんでもないことを言い出した〈王女〉、なぜか、鬼が見えるという患者で繁盛する〈神経科の医師〉、街頭で通行人相手にキャンディーを売る〈ロボット〉etc.未来・現代・過去を一つの次元にとらえ、迷路のように入り組んだ人間生活のさまざまな世界を32のチャンネルに写し出し、文明社会を痛撃する傑作ショート・ショート。
  • コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―
    3.8
    これが「脱北」だ! 豆満江を渡って平然と南北を行き来する、飢えた子供たち。ハンディカム片手に北へ潜入する不思議な男――「母国」北朝鮮から指名手配を受けながらも取材活動を続ける在日ジャーナリストが、「脱北の町」で見た真実とは? どこか緩くて滑稽な、それでいてリアルで哀しい、初めて登場した等身大の北朝鮮・脱北ルポ!

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  • 白痴
    3.8
    白痴の女と火炎の中をのがれ、「生きるための、明日の希望がないから」女を捨てていくはりあいもなく、ただ今朝も太陽の光がそそぐだろうかと考える。戦後の混乱と頽廃の世相にさまよう人々の心に強く訴えかけた表題作など、自嘲的なアウトローの生活をくりひろげながら、「堕落論」の主張を作品化し、観念的私小説を創造してデカダン派と称される著者の代表作7編を収める。

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  • 50代からのスローセックス―人生の黄金期を迎えるために―
    3.0
    愛を諦めてはいませんか? 欲望を封印してはいませんか? いまが、人生をリセットするラストチャンス! パートナーの「心と身体」を愛する技術を身につければ、コンプレックスもセックスレスも必ず解消。中高年だからこそ味わえる、真の悦びとは? 生と性に悩める男女の必読書にして、あなたの後半生を変える運命の1冊!

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  • 中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?
    4.1
    お堅いNHKらしからぬ「だめキャラ」で、公式ならぬ軟式と呼ばれる@NHK_PR1号。さかなクンに「さん」を付けなかったと不思議な謝罪をしたかと思えば、緊迫の大震災渦中ゆるツイート続行での炎上に「不寛容とは戦う」と一本気。多くのお叱りを受けながらも、フォロワーを魅了するつぶやきに秘められた真意とは?

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  • 韓国窃盗ビジネスを追え―狙われる日本の「国宝」―
    4.0
    長崎県壱岐島の安国寺、兵庫県の鶴林寺……日本各地の寺院から次々と盗まれる高麗仏画や経典。それらは韓国で高額で売買され、一部が堂々と国宝に指定されたという疑惑も。「元々は我々のもの、取り返して何が悪い」と開き直る古美術商や、彼らからの注文を受け暗躍する窃盗団たち。竹島だけではない、日韓の“火種”に迫る。

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  • 中国 真の権力エリート―軍、諜報・治安機関―
    4.3
    1巻1,320円 (税込)
    軍を握るものが権力を握り、公安を含む諜報・治安機関こそが中国共産党の一党支配を維持する権力基盤である――。人民解放軍総参謀部、国家安全部、公安部国内安全保衛局、中央外事弁公室……これまで誰も触れることのできなかった“赤い権力”の中枢に、執拗な監視、尾行、盗聴、拘束を受けながらも肉薄した、比類なき一冊。

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  • 神を哲学した中世―ヨーロッパ精神の源流―
    4.8
    中世において「哲学」は「神学」の形をとった。キリスト教信仰と古代ギリシア哲学の出会いによって「神についての学問」が生まれ、ヨーロッパ精神が形作られていった。神の存在、天使の堕落、人間の富や色欲を当時のヨーロッパ人はどう捉えていたのか。中世神学から「信仰」というベールを剥ぎ、その実像に迫る。

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  • 妻の超然
    3.8
    結婚して十年。夫婦関係はとうに冷めていた。夫の浮気に気づいても理津子は超然としていられるはずだった(「妻の超然」)。九州男児なのに下戸の僕は、NPO活動を強要する酒好きの彼女に罵倒される(「下戸の超然」)。腫瘍手術を控えた女性作家の胸をよぎる自らの来歴。「文学の終焉」を予兆する凶悪な問題作(「作家の超然」)。三つの都市を舞台に「超然」とは何かを問う傑作中編集。

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  • ひっかかる日本語
    3.4
    あのトイレの張り紙って失礼じゃないのか? 「東京03」は「ゼロサン」? 「レイサン」? なぜ池上彰さんの説明はあんなにわかりやすいのか? なぜ女性は面接に強いのか? 目にする言葉、耳にするしゃべりの何もかもがひっかかる、ああひっかかる……「しゃべりのプロ」が、生来の粘着質をフル稼働。あちこち聞き回り、とことん考えた。偏執の彼方から贈るカジワラ流現代日本語の基礎知識とコミュニケーションの秘訣。

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  • 暴力団
    3.7
    なぜ暴力団はなくならないのか?学歴、年収、出世の条件とは?覚醒剤や野球賭博でどのように儲けるのか?女はヤクザになれるのか?なぜヒモが多いのか?刺青や指詰めのワケは?警察との瘉着は?ヤクザが恐れる集団とは何か?出会った時の対処法とは?その筋をも唸らせた第一人者が、時代ごとに変化し、社会の裏で生き延びる「わるいやつら」を、やさしく解き明かす「現代極道の基礎知識」。

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  • ピカソは本当に偉いのか?
    3.9
    「なぜ『あんな絵』に高い値段がつくのか?」「これって本当に『美しい』のか?」。ピカソの絵を目にして、そんな疑問がノド元まで出かかった人も少なくないだろう。その疑問を呑み込んでしまう必要はない。ピカソをめぐる素朴な疑問に答えれば、素人を煙に巻く「現代美術」の摩訶不思議なからくりもすっきりと読み解けるのだから――。ピカソの人と作品に「常識」の側から切り込んだ、まったく新しい芸術論。

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  • 批評時空間
    3.0
    1巻1,760円 (税込)
    ジャン=リュック・ゴダール、チェルフィッチュ、アルヴァ・ノト、飴屋法水、ジョナス・メカス、吉増剛造、クリント・イーストウッド――。映画、演劇、音楽、写真など、さまざまな分野の作品が生まれる場所に立ち、震災後の著者の、そして私たちの心の動きに寄り添いながら、芸術表現のありようを凝視し思索する12の論考。

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  • どうせ、あちらへは手ぶらで行く
    4.3
    「五月十六日 『楽しく楽に』を最優先。不快、厄介、後廻し。楽々鈍で、どんどん楽」──作家が手帳に記していた晩年の日録には、自身の老いを自覚し、見つめながら、限られた人生を最期まで豊かにしようとする姿があった。執筆への意気込み、友との交遊の楽しさ、家族への愛情、そして妻を亡くした悲しみなど、作家が世を去る三ヶ月前まで、九年間にわたって綴っていた感動の記録。

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  • 無所属の時間で生きる
    3.4
    どこにも関係のない、どこにも属さない一人の人間としての時間──それは、人間を人間としてよみがえらせ、より大きく育て上げる時間となるだろう。「無所属の時間」を過ごすことで、どう生き直すかを問い続ける著者。その厳しい批評眼と暖かい人生観は、さりげない日常の一つ一つの出来事にまで注がれている。人と社会を見つめてきた作家の思いと言葉が凝縮された心に迫る随筆集。

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  • 静かに 健やかに 遠くまで
    4.3
    著者は若い頃から箴言の魅力に惹かれ、生きる指針としてきた。その著者の作品にも、心に染みる会話や、じっくり考えさせる文章が数多くある。出世でこり固まった男もおもしろくないが、出世をあきらめた男も魅力はない/妻が愛人であり、愛人が妻である――多忙な夫には、それがふさわしい/人間の能力とは努力のことでしかない……忙しいビジネスマンの琴線に触れる言葉を、集大成!

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  • 打たれ強く生きる
    4.1
    自分だけの時計、歩け歩け、ぼちぼちが一番、配転は新しいはじまり、ふり回されるな、乱反射する友を――常にパーフェクトを求め、他人を押しのけることで、人生の真の強者となりうるのか? 企業の中にあって自分を見失わず、しかも企業に最高の寄与をなすことはどのようにして可能か? 著者が日々に接した事柄をもとに、ビジネスマンへの愛情をこめて静かに語りかける。

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  • 逃亡者
    -
    25年前、空襲の混乱にまぎれて刑務所を脱走した男を追っている刑事と、刑事の訪問で逃亡者にまつわる戦時中の記憶を蘇らせる守衛。二人の対話を通して、戦争の残影を凝視した表題作。子供のころに怪我をさせた人物から借金を強要され、それまで見向きもしなかったリベートに手を出してしまう男が、苦い胸中を吐露した「カカオ・フィーズの味」など、単行本未収録の8編を収める。

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  • 勇者は語らず
    -
    川奈自工の人事部長冬木と、その下請会社の社長山岡。かつて戦場で同じトラックに乗っていた二人を通し、戦後日本経済の勇者〈自動車産業〉の内部をリアルに重層的に描く。強大な力ゆえに海外から激しい非難の矢をあびせられながら、沈黙を守るメーカー。その下でより大きな沈黙を強いられる下請け。そんな構図の中に、戦後を生きぬいた日本人の縮図を透視した書下ろし長編小説。

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  • 冬の優しさ
    -
    青年時代にリヨンの広場で出会った老夫婦の、秋の果樹園にさす午後の陽のようなあたたかな微笑。齢をとったらそんな老人になりたいと思ってきたが、私もその年齢にたどりついたようだ……。優しさを、心のふれあいを、そして思いやりを求め、著者は真摯に人間を見つめてきた。青年時代から今日までの“私の歳月”と“人生の出会い”をふり返り、人間と愛と生と死を綴る愛のエッセイ集。

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  • 牧歌
    -
    1950年、27歳の著者は戦後初の留学生として、フランスに旅立った。街角にも人々の心にも戦争の暗い翳を残すヨーロッパで、信仰を、愛を、そして自らの生き方を真摯に模索する。この間に書かれた青春の苦渋と若さの香気溢れるエッセイを中心に、以後最近に至るまでの海外紀行エッセイを集める。〈日本と西洋〉というテーマを一貫して追求してきた著者の創作と表裏一体をなすエッセイ群。

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  • イースト・リバーの蟹
    -
    日本屈指の総合商社で副社長にまで昇りながら、男は権力抗争を潔しとせず、マンハッタンをのぞむ高層住宅に「引退」した。十ヵ月後、日本から吹きこんできた一陣の風。ライバルだった現社長の急死。男を社長に、と色めきたつ元部下たち。その時、男は……。ほろ苦い諦めや悔みきれぬ過去、くすぶり続ける野心を胸に秘め、日本を遠く離れた男たちが異郷に織りなす、五つの人生模様。

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  • 乗取り
    4.0
    株の買占めによる老舗デパートの乗取り。金と若さだけを武器に、現代における最も劇的なこの戦闘に挑んでいく、闇屋あがりの青年実業家、青井文麿。媚びと虚勢を徹底して使いわけ、金と金、顔と顔でつながった財界の厚い壁に体当たりしていく青井の姿に、高度成長期の日本が象徴される。現実に起った事件に材をとり、経済界の深奥での暗闘をスピーディなタッチで暴いてみせた快心作。

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  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―
    3.7
    神風特別攻撃隊第一号に選ばれ、レイテ沖に散った関行男大尉。敗戦を知らされないまま、玉音放送後に「最後」の特攻隊員として沖縄へ飛び立った中津留達雄大尉。すでに結婚をして家庭の幸せもつかんでいた青年指揮官たちは、その時をいかにして迎えたのか。海軍兵学校の同期生であった二人の人生を対比させながら、戦争と人間を描いた哀切のドキュメントノベル。城山文学の集大成。

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  • 打出小槌町一番地
    -
    東京近郊の閑静な高級住宅地、〈正妻とベンツの町〉と呼ばれる打出小槌町には、社会的地位と財産を手中にした現代の〈上層階級〉が堂々たる邸宅を構えている。銀行頭取の椅子が約束された御曹子、〈海軍式経営〉で成長を続けるオートバイ・メーカーの社長。彼らの成功物語の裏側に秘められた夫婦、親子のすさまじい葛藤の劇を通じ、人間の生き甲斐と幸福の意味を静かに問いかける。昭和五十一年に「週刊新潮」に連載され、翌年のベストセラーとなった。

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  • 部長の大晩年
    3.0
    彼の人生は、定年からが本番だった。三菱製紙高砂工場では、ナンバー3の部長にまでなり、会社員としても一応の出世をした永田耕衣。しかし、俳人である永田にとって会社勤めは「つまらん仕事」でしかない。55歳で定年を迎えた永田は、人生の熱意を俳句や書にたっぷり注いで行く。異端の俳人の人生を97歳の大往生まで辿りながら、晩年をいかにして生きるかを描いた人物評伝の傑作。

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  • 硫黄島に死す
    3.7
    〈硫黄島玉砕〉のニュースが流れた四日後、ロサンゼルス・オリンピック馬術大障碍の優勝者・西中佐は、なお残存者を率いて戦い続けていた。馬術という最も貴族的で欧米的なスポーツを愛した軍人の栄光と、豪胆さゆえの悲劇を鮮烈に描いて文藝春秋読者賞を受賞した表題作。ほかに「基地はるかなり」「軍艦旗はためく丘に」など、著者の戦争体験と深くかかわった作品全7編を収める。

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  • 役員室午後三時
    3.9
    80年の歴史に輝く日本最大の紡績会社華王紡に君臨する社長藤堂。会社へのひたむきな情熱によって華王紡の王国を再建し、絶対の権力を誇った彼が、なぜ若い腹心の実力者にその地位を奪われたのか? 帝王学的な経営思想をもつワンマン社長と、会社を“運命共同体”とみなす新しいタイプの経営者――企業に生きる人間の非情な闘いと、経済のメカニズムを浮き彫りにした意欲作。

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  • 真昼の悪魔
    3.3
    患者の謎の失踪、寝たきり老人への劇薬入り点滴……大学生・難波が入院した関東女子医大付属病院では、奇怪な事件が続発した。その背後には、無邪気な微笑の裏で陰湿な悪を執拗に求める女医の黒い影があった。めだたぬ埃のようにそっと忍びこんだ〈悪魔〉に憑かれ、どんな悪を犯しても痛みを覚えぬ白けた虚ろな心を持つ美貌の女――その内面の神秘を探る推理長編小説。

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  • 走馬燈―その人たちの人生 ―
    -
    日本人として初めてエルサレムを訪れたペドロ岐部、贋の大使として渡欧し、ローマ法王に謁見した支倉常長、そして多くの名もない殉教者たち――日本にはキリスト教の伝統はないと信じられながら、実際は四百年にわたる栄光と苦難の歴史が秘められている。日本人でありながらイエスと関わり、劇的な運命をたどった人々を、そのゆかりの地に赴いて回想した異色のエッセー。

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  • 素直な戦士たち
    -
    頭の良い男の子を生むには25、6歳、だから24歳の時に見合いをする。相手は知能指数さえ高ければ、むしろ自分の出世をあきらめたような男がいい。――これが千枝が、わが子を東大に合格させるために立てた遠大な計画の第一段階だった。あらゆるものを犠牲にして計画を実行する妻と、それに疑問を感じながらも従わされるサラリーマンの夫を通し、現代の教育と親子関係の断面を抉る。

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  • 生命なき街
    -
    焦熱と砂漠の街、外国人たちから“ライフレス・シティ”と呼ばれるワジバにただ一人で駐在する商社員の、同胞をも敵とした孤独で苛烈な日々を描いた表題作。ほかに『神武崩れ』『挑戦』『老人の眼』『鍵守り男』『白い闇』など、日本経済の高度成長の本当の担い手でありながら、組織や金に裏切られ、むくわれることなく追われてゆく男たちに光をあてた、初期の力作6編を収録する。

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  • ある倒産
    -
    定年を二年後にひかえた調査部長原口は、下請会社へ専務として出向を命じられる。突然の辞令にとまどいながらもはりきる原口。だが、その会社はすでに再建不能の状態であった。倒産の裏面で展開される男たちの息づまる格闘を描いた表題作。ほかに、『絶叫の街』『魔の同伴』『楽天地へ』など、複雑なビジネスの世界に生きる人間の哀歓をリアルに描き出した作品八編を収録する。

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  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―
    3.9
    下駄と靴と片足ずつ履いて――その男は二筋の道を同時に歩んだ。地方の一紡績会社を有数の大企業に伸長させた経営者の道と、社会から得た財はすべて社会に返す、という信念の道。あの治安維持法の時世に社会思想の研究機関を設立、倉敷に東洋一を目指す総合病院、世界に誇る美の殿堂を建て……。ひるむことを知らず夢を見続けた男の、人間形成の跡を辿り反抗の生涯を描き出す雄編。

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  • 王の挽歌(上)
    -
    肉親も家臣も、いや自分自身さえ信じられぬ……。豊後の名門守護・大友家の統領として、内紛に悩まされながらも、北の大内、毛利と戦い、北九州六国に領土を広げた大友宗麟。戦乱にあけくれた生涯は、また時分自身との闘いの日々であったが、わずか数日のザビエルとの出会いが宗麟の心の闇に一筋の光を投げかけていた。戦国の世にもう一つの王国を求めた切支丹大名を描く歴史長編。

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  • スキャンダル
    5.0
    キリスト教作家の勝呂は自作の授賞式で、招待客の後ろに醜く卑しい顔をした、自分に酷似した男が立っているのに気が付いた。同じ頃、勝呂が歌舞伎町の覗き部屋や六本木のSMクラブに出入りしている、という醜聞(スキヤンダル)が流れる。この醜聞(スキヤンダル)を執拗に追うルポ・ライターに悩まされながら、もう一人の〈自分〉を探す勝呂が見たのは……。仮面(マスク)を外したキリスト教作家の心奥を鋭く抉った衝撃の長編。

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  • ボクは好奇心のかたまり
    -
    いかにもの好きと言われようと、いかに冷や水とけなされようと、生れつきの好奇心のムシはおさまらない――美人女優に面談を強要する、幽霊屋敷を探険に行く、上野の乞食氏と対談する、催眠術の道場を見物に行く、舞台熱が昂じて素人劇団を結成する、無謀にも運転免許に挑戦する、etc、etc。呆れるばかりのもの好き精神を発揮して狐狸庵先生東奔西走。珍妙無類のエッセー集。

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  • 男たちの好日
    -
    外国製品に蹂躙されている昭和初年の日本に、電気化学工業を興すことで「国の柱」になろうと邁進する牧。しかし、苦心惨憺して開発した硫安やアルミ製造技術は、統制経済をとりはじめた国家によって公開を迫られ、牧は国策会社の社長に祭りあげられてしまう。国家を幸せにすることはあっても、国家によって幸せにされることのなかった男の生涯を通し、「男の好日」とは何かを問う。

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  • 黄金の日日
    4.5
    戦国の争乱期、南蛮貿易によって栄える堺は、今井宗久、千利休ら不羈奔放な人材によって自治が守られ、信長や秀吉たちもその豊かな富に手を出すことができなかった。今井家の小僧、助左衛門は危ない仕事を何でも引受けることで戦国武者たちの知遇を得、大船を仕立てて幾度かルソン(フィリピン)に渡り巨利をなす。――財力をもって為政者と対峙し、海外に雄飛していった男の気概と夢。

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  • 秀吉と武吉 目を上げれば海
    3.6
    戦国末期、瀬戸内海の村上水軍を率いて独立自存の勢力を誇っていた海賊の総大将・村上武吉。毛利一族などとの争いの末に獲得した徴税権と領土が、天下統一を狙う豊臣秀吉に奪われそうになった時、武吉はいかにして、それと戦ったのか。いかなる権力にも臣従することなく、己れの集団を守りぬいた武吉の生涯を通じ、時代の転換期における指導者のあり方を示唆した歴史小説。

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  • 冬の派閥
    3.5
    御三家筆頭として幕末政治に絶大な影響力を持つ尾張藩の、勤王・佐幕の対立は、ついに藩士十四人を粛清する〈青松葉事件〉へと発展し、やがて明治新政府下、藩士の北海道移住という苦難の歴史へと続く。尾張藩の運命と不可分の、藩主徳川慶勝の「熟察」を旨とする生き方を、いとこ一橋慶喜の変り身の早い生き方と対比させつつ、転換期における指導者のありかたを問う雄大な歴史小説。

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  • 真昼のワンマン・オフィス
    -
    強大な経済力、広大な自然、人種のるつぼ――空前の繁栄を謳歌するアメリカ社会の中で、エコノミック・アニマルの尖兵といわれながら孤独な商戦を展開する商社海外駐在員。巨大組織の末端機構の一員として、ユダヤ商人や他の日本商社員との競争、本社との軋轢に苦しみつつ、インディアン保護区にまでわけ入り、南部の黒人たちに小間物を売り歩く彼らの苛烈な日々を描く連作小説集。

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  • 雄気堂々(上)
    4.3
    1~2巻704~748円 (税込)
    近代日本最大の経済人渋沢栄一のダイナミックな人間形成の劇を、幕末維新の激動の中に描く雄大な伝記文学。武州血洗島の一農夫に生れた栄一は、尊皇攘夷の運動に身を投じて異人居留地の横浜焼打ちを企てるが、中止に終った後、思いがけない機縁から、打倒の相手であった一橋家につかえ、一橋慶喜の弟の随員としてフランスに行き、その地で大政奉還を迎えることになる。

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  • 総会屋錦城
    3.6
    直木賞受賞の表題作は、株主総会の席上やその裏面で、命がけで暗躍する、財界の影武者ともいえる総会屋の老ボスを描く評判作。ほかに交通事故の時だけタクシー会社の重役の身代りで見舞いや弔問にゆく五十男の悲しみを描いた「事故専務」をはじめ、資本主義社会のからくり、陰謀などを、入念な考証に基づき、迫力あるスピード感と構成力で描く本格的な社会小説7編を収める。

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  • 小説日本銀行
    2.0
    政界と財界にまたがって、絶大な権力をふるう〈法王庁〉日本銀行。終戦直後の激動する時代を背景に、大蔵省との対立関係の中で、狂乱化したインフレを終息させようという理想に燃えた新入日銀マンが、その一途さ故にエリート・コースから蹴落されてゆく姿を、さまざまな視角から捉えて、巨大な機構の内実を浮彫りにする。経済小説の第一人者が、日本の聖域に体当りした意欲長編。

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  • 落日燃ゆ
    4.6
    東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。

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  • 本当に生きた日
    3.4
    二児の母で、三十八歳になる素子は、平凡な専業主婦だった。だが、大学講師でメディアにも進出しているやり手の友人・ルミに強引に誘われ、彼女の事務所を手伝うことになった。様々な出来事に翻弄されながらも、次第に仕事への意欲を覚える素子。しかし、一方で平穏な家庭に影響が出始め……。本格化した女性の社会進出を背景に、女性にとって仕事とは何か、人生の充実とは何かを描く。

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  • 狐狸庵閑話
    5.0
    世のため人のためには何一つなさず、人里離れた庵に隠れ住む謎の老人「狐狸庵山人」。風流な世捨人を自称しつつ、実態はひたすらグータラに徹する毎日。しかし持ち前のコドモのような好奇心が疼くや、万年床から脱兎の如くに飛び出し、行く先々で珍騒動を巻き起こしては、人々を呆れさせるのであった……。表題のエッセイ集に「古今百馬鹿」「現代の快人物」も併録して痛快度3倍!

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  • 男子の本懐
    4.5
    緊縮財政と行政整理による〈金解禁〉。それは近代日本の歴史のなかでもっとも鮮明な経済政策といわれている。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、多くの困難を克服して、昭和五年一月に断行された金解禁を遂行した浜口雄幸と井上準之助。性格も境遇も正反対の二人の男が、いかにして一つの政策に生命を賭けたか、人間の生きがいとは何かを静かに問いかけた長編経済小説。

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  • 逆境を生きる
    4.1
    〈自らのためには決して計らわない清廉潔白な巨人〉『落日燃ゆ』の広田弘毅。〈情熱と努力に裏打ちされた理想主義者〉『男子の本懐』の浜口雄幸。〈吸収と結合の天才〉『雄気堂々』の渋沢栄一など、逆境と必死に闘いながら、自らの信念を貫いた男たち。その生き様を通して人間の真の魅力、底力とは何かを問いかける。

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  • 毎日が日曜日
    4.1
    1巻1,155円 (税込)
    日本経済の牽引車か、“諸悪の根源”か。毀誉褒貶の著しい日本の総合商社の巨大な組織とダイナミックな機能、日本的体質と活動のすべてを商社マンとその家族の日常生活とともに圧倒的な現実感で描く。世界に類のない機動力を持った日本の総合商社の企業活動の裏側で展開されるなまなましい人間ドラマを通して、ビジネスマンにとっての“幸福な人生”とは何かを興味深く追求した話題作。

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  • 江分利満家の崩壊
    3.0
    夫・瞳についてのノンフィクションを書きたい――癌の宣告を受けてから、別の顔を見せるようになった母。神経症のため、外出も思うに任せなかった母は、その原因を私に吐露し始めた。その「証言」内容は次第に変化してゆき、最後に父の一言に帰着した――。山口瞳の暴露遺伝子が炸裂する、『血族』の場外乱闘篇。

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  • 白き隣人
    3.3
    1巻1,408円 (税込)
    フリーランスの女性記者はなぜ標的にされたのか。高学歴の美青年はどうしてあの娘を受け入れず、拒むのか。おぞましい贈り物、見えない狙い、噛み合わない会話、やまない嫌がらせ、誰がシロで、誰がクロか……。「なかったこと」には、出来ない。もう一線を越えてしまったから。夜と隣人、宅配便と食事が怖くなる、ホラー小説の大傑作。

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  • 憂国始末
    3.0
    1巻1,408円 (税込)
    スポーツとして発展させれば良いのか、それともあくまで武道なのか――空手・至一流の改革論議のさなかを襲った一報は、一同を混乱に陥れるに十分だった。身内からテロリストが出るとは――。壮大な疑問符に答えを出すべく、創始者一族の若者が白装束で姿を現した。伝統とは何か、継承とは何か。右翼も沈黙する長篇小説。

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  • 修羅ゆく舟
    4.0
    1巻1,408円 (税込)
    種痘普及を念願する豪放磊落な蘭方医・玄齋と彼を愛する千草と沙穂。二人の女が織りなす奇妙で穏やかな妻妾同居は、玄齋が幕命により蝦夷地へ旅立つと同時に均衡を失う。嫉妬と我欲に翻弄され、ついに起こる悲劇の果てに彼らは何を見出したのか。己れの愛と生を一途に貫く男女の数奇な運命を描ききった圧巻の時代長篇。

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  • だれかさんの悪夢
    3.9
    1巻649円 (税込)
    大金持ちになりたい。魅力的な女と結婚したい。おもしろおかしく毎日をすごしたい。超能力を身につけたい。国家元首になりたい。宇宙を征服したい。早く刑務所から出たい。――平凡なことから途方もないことまで、ああもしたい、こうもしたいと限りなく広がる人間の夢。だが、その夢が実現してみると……。欲望多き人間たちがひきおこす悲劇喜劇を軽妙に描く傑作ショートショート集。
  • 未来いそっぷ
    4.1
    1巻737円 (税込)
    〈アリとキリギリス〉〈北風と太陽〉〈ウサギとカメ〉など、幼いころから誰もが親しんできた寓話の世界。長年語りつがれてきた物語も星新一の手にかかると、驚きの大革命! 時代が変われば価値観も変わるとはいえ、古典をこんなふうに改作してしまっていいものかどうか、ちょっぴり気にはなりますが――。愉しい笑いと痛烈な風刺で、あなたを新たな世界へとご案内するショートショート33編!
  • 3・11から考える「この国のかたち」―東北学を再建する―
    3.7
    今まで何を聞き書きしてきたのか――。厳しい自己認識から再出発した著者は、土地の記憶を掘り返し、近代の残像を探りつつ、剥き出しの海辺に「来るべき日本の姿」を見出していく。津波から逃れた縄文貝塚、名勝松島の変貌、大久保利通が描いた夢、塩田から原発、そして再び潟に戻った風景……。日本列島の百年を問う渾身の一冊。

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  • 海図の世界史―「海上の道」が歴史を変えた―
    3.8
    古来、地図には二種類あった。陸上で自分たちの知りうる範囲を描いた「マップ」、何もない海上に航海のため正確な経線・緯線を付した「チャート」。「チャート」すなわち海図を描くことは、世界を俯瞰する試みでもあった。新大陸発見から産業革命、資本主義の誕生、世界大戦まで、海の視点から読みとくと、全く新たな通史が見えてくる。

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  • 日本、買います―消えていく日本の国土―
    3.0
    1巻1,232円 (税込)
    大阪の92%、東京の79%は、地籍がない──。遅々として進まぬ地籍調査、「幽霊地主」を量産させてしまう現行の登記システム、外資による土地買収の横行、国境管理機能の喪失……。それら、過失ともいえる不作為によって放置されたままの諸問題を、徹底的に追及し、土地の不明化・死蔵化を防ぐための提言を多角的に提示する。

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  • 職場の理不尽―めげないヒント45―
    3.6
    無能な上司にゲンナリ、「仕事ができる」と勘違いしている同僚にイライラ、「ゆとり世代」でやる気のない後輩にトホホ、合コン三昧の社長にムカムカ……それでも仕事があるだけマシと思って耐えるべきなのか?! 真面目に働く人ほどぶつかってしまう「理不尽」なお悩みを、人気コラムニストと経営コンサルタントの二人が解決します。今日もあなたがめげずに働き続けるための、会社処世術の決定版。

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  • 犯罪者はどこに目をつけているか
    3.7
    プロの犯罪者は恐るべき観察力を備えている。彼らに特有の物の見方、考え方、そして行動パターンを知ることが防犯の鉄則なのだ。わが身、わが家、わが町を守るために普段から何を心がけ、どうすればいいのか。「やられるヤツには油断なり死角がある。自分たちはそこを突く」と語る伝説的大泥棒の実践的レッスンをふんだんに盛り込んだ異色の防犯読本。

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  • 外資系の流儀
    3.3
    どういう人が成功し、どういう人が失敗するか? 上司に逆らうとどうなるか? なぜ人もオフィスもオシャレなのか? MBA取得を機に「ガイシ」の世界に飛び込んだ著者が、自らの経験と豊富な取材で外資系企業の実態と仕事術を徹底分析。「初日からフル稼働を覚悟すべし」「デブは論外」「自分で育て」「会社の悪口は言うな」等、過酷かつ魅力的な環境を生き抜くトップエグゼクティブやヘッドハンターが語る“鉄則”とは。

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  • 日本農業への正しい絶望法
    3.7
    「有機栽培」「規制緩和」「企業の参入」等のキーワードをちりばめて、マスコミ、識者が持て囃す「農業ブーム」は虚妄に満ちている。日本農業は、良い農産物を作る魂を失い、宣伝と演出で誤魔化すハリボテ農業になりつつあるのだから。JAや農水省を悪者にしても事態は解決しない。農家、農地、消費者の惨状に正しく絶望する。そこからしか農業再生はありえないのだ。徹底したリアリズムに基づく激烈なる日本農業論。

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  • 日本小説技術史
    4.0
    1巻2,992円 (税込)
    小説を、個人的な思い込みや既成の風評にしたがって読むのではなく、書かれた文章を徹底的に読み込んだ上で、作家の無意識の領域にまで想像力を馳せていく著者が、馬琴から逍遥、紅葉、二葉亭、鴎外、一葉、藤村、漱石、秋声、芥川、谷崎、横光、尾崎翠たちの代表作を、「技術」の視点から論じた、日本文芸評論の記念碑的大作。

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  • 法師蝉
    4.0
    1巻385円 (税込)
    少年時代に眼にした法師蝉の羽化の情景。僅か十日ばかりの残された時間を過ごすために幼虫の固い殻を脱ぐとき、蝉は体内のすべてが透けて見える儚げな姿をしていた。人もまた、逝く時が近づくと淡く透きとおった様子になってゆくものなのだろうか――。平穏な日々に忍び込む微かな死のイメージを捉えた表題作ほか、人生の秋を迎えた男たちの心象を静謐な筆致で描く短編「海猫」「チロリアンハット」「手鏡」「幻」「或る町の出来事」「秋の旅」「果実の女」「銀狐」全9編。

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  • 海と毒薬(新潮文庫)
    4.1
    戦争末期の恐るべき出来事――九州の大学付属病院における米軍捕虜の生体解剖事件を小説化し、著者の念頭から絶えて離れることのない問い「日本人とはいかなる人間か」を追究する。解剖に参加した者は単なる異常者だったのか? いかなる精神的倫理的な真空がこのような残虐行為に駆りたてたのか? 神なき日本人の“罪の意識”の不在の無気味さを描く新潮社文学賞受賞の問題作。
  • 夫婦の一日
    3.8
    不幸に襲われたとき、心のよりどころになるものは何か。老いて死を間近に感じたとき、不安から救ってくれるものは何か。生涯をかけて厳しく宗教を追求してきた著者は、実人生の中で、傍らにいる妻の苦悩と哀しみを受け入れるために、信仰とは相反する行動に出た……。生身の人間だけが持ちうる愛と赦しの感情を描いた表題作ほか、心の光と闇の間で逡巡する人間の姿を描いた短編集。

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  • 敵討
    4.3
    1巻440円 (税込)
    惨殺された父母の仇を討つ――しかし、ときは明治時代。美風として賞賛された敵討は、一転して殺人罪とされるようになっていた……新時代を迎えた日本人の複雑な心情を描く「最後の仇討」。父と伯父を殺した男は、権勢を誇る幕臣の手先として暗躍していた……幕末の政争が交錯する探索行を緊迫した筆致で綴る「敵討」。歴史の流れに翻弄された敵討の人間模様を丹念に描く二篇を収録。

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  • 炎のなかの休暇
    -
    1巻440円 (税込)
    空襲の華麗なまでの炎の乱舞、焼けこげた死体の間を抜けての父親捜索、終戦直前に焼跡で受けた徴兵検査、そして誰もが生きるのに精いっぱいだった敗戦直後。その間の結核発病と手術……。生れ育った東京下町の家並の記憶をたどるうちに甦ってきた作者の少年時代と、その眼に映った人びとの暮らしを、思い入れや誇張を排して描き、戦時下の生活の息吹きを伝える自伝的連作小説集。

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  • 海馬(トド)
    -
    1巻440円 (税込)
    雪と流氷に閉ざされる羅臼の町で、トド撃ちに執念を燃やす老人と、町を捨て上京した娘との確執を描く表題作。浮気をした妻を刺した過去を背負い天然鰻漁でひっそりと暮らす男と、彼に寄り添おうと静かに情熱を傾ける女の物語「闇にひらめく」など全7編。動物を仲立ちに自然とともに生きる人びとを、動物の生態や習性の綿密な取材に基づいて、愛情をこめて描き出した動物小説集。

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  • 蜜蜂乱舞
    4.5
    1巻440円 (税込)
    東京の大学を中退して行方知れずになっていた長男が、女を連れて戻ってきた。彼女とは、四日前に結婚したという。養蜂一筋に生きてきた伊八郎の心は、喜びと憤りで大きく揺れた。四月、春の訪れと共に、一家は花を追って、日本列島を北上するトラックの旅に出るが……。旅先で遭遇する事件や人間なるがゆえの葛藤を、雄大精妙な自然界の摂理を背景に捉えた力編。

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  • 羆

    -
    1巻440円 (税込)
    愛する若妻を殺した羆(ヒグマ)を追って雪山深く分け入る中年猟師の執念と矜持(「羆」)。会社勤めをやめて蘭鋳の飼育と交配に専念する、病的なほど潔癖な男の内面(「蘭鋳」)。隻眼ながら老練かつ圧倒的な強さを誇る王者黒駒に、銘鶏正宗を擁して凄惨な闘いを挑む軍鶏師の鬱屈した心情(「軍鶏」)。ほかに伝書鳩レースの顛末を描いた「鳩」、ハタハタ漁を題材に共同社会と伝承伝統の中にひそむ非情さを描く「ハタハタ」の、動物小説5編を収める。

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  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。
    3.8
    好きと打ち明けたい。デートに誘いたい。病気の人を見舞いたい。身内を亡くした人にお悔やみを伝えたい。そんな時、どうしたら自分の気持ちを率直に伝えて、相手の心を動かす手紙を書くことができるのか――。大作家が、多くの例文を挙げて説き明かす「心に届く」手紙の秘訣は、メールを書く時にもきっと役立つ。執筆より半世紀を経て発見され世を瞠目させた幻の原稿、待望の文庫化。

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  • 白い人・黄色い人
    3.8
    『白い人』は、醜悪な主人公とパリサイ的な神学生との対立を、第二次大戦中のドイツ占領下リヨンでのナチ拷問の場に追いつめ、人間実存の根源に神を求める意志の必然性を見いだそうとした芥川受賞作。『黄色い人』は、友人の許婚者をなんらの良心の呵責も感じずに犯す日本青年と、神父を官憲に売った破戒の白人僧を描いて、汎神論的風土における神の意味を追求する初期作品。
  • 島抜け
    4.1
    読んだ講釈が幕府の逆鱗に触れ、種子島に流された大坂の講釈師瑞龍。島での余生に絶望した瑞龍は、流人仲間と脱島を決行する。丸木舟で大海を漂流すること十五日、瑞龍ら四人が流れついた先は何と中国だった。破船した漂流民と身分を偽り、四人は長崎に送り返される。苦難の果て、島抜けは見事に成功したかに思えたが……。表題中篇をはじめ、「欠けた椀」「梅の刺青」の三篇を収録。

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  • 十一の色硝子
    -
    初老の男たちの心に残されたつらい戦争の記憶。若き留学時代にふれあった異邦の人々の上に流れた歳月の跡。兄の死と母の遺体の再埋葬にたちあい心をよぎる人生の帰着の姿。歳月、老い、そして人生……。夕暮れの光を受け鮮やかな輝きを見せる色硝子のように、深々と心に刻まれる生の断片。生きることの重みを、人生のうしろ姿を、読む者の心にしみこませる十一話を収めた短編集。

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  • 岸田劉生晩景
    -
    貧窮のうちに死んだ祖母の骨壺を探しながら小倉を訪ね、往事を回想する鎮魂の自伝的小説『骨壺の風景』。画壇の主流に背を向け、荒んだ生活を送る天才画家。著者独自の鑑識眼を駆使して、卓抜したテクノロジスト岸田劉生の晩年の悲劇を解明した表題作。老人の奥底にひそむ性と孤愁を生なましく描きだした『筆写』。画狂人の気負いと孤独を捉えた『北斎』など、全5編を収める。

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  • 魚影の群れ
    5.0
    1巻495円 (税込)
    漁師・房次郎は娘の登喜子に懇願され、彼女の恋人・俊一を不承不承船に乗せるが……。津軽海峡を舞台に、老練なマグロ釣りの孤絶の姿を描く表題作。四国の小島に異常発生した鼠と人間の凄絶な闘いの記録『海の鼠』。他に、美味ゆえに養殖される新種のカタツムリをめぐる滑稽な顛末『蝸牛』、名人気質の長良川の鵜匠の苦渋を綴る『鵜』など、動物を仲立ちとした傑作小説四編を収録。

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  • 名札のない荷物
    -
    《荷物 一個 内容 死体》トルストイの遺体にひっそりと付けられた荷札をめぐる随想。信長暗殺に臨んで御神籤を三回引いた明智光秀の心中劇とマクベスの葛藤の姿。そしてエイズについての率直な発言。創作の為に書き留められた日記とメモと紀行文からは、記録を超えた玄妙な香りさえ立ち昇る。イメージの飛躍としたたかな小説構造を両立させた清張文学を読み解く最後の記録作品。

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