冬の鷹

冬の鷹

737円 (税込)

3pt

わずかな手掛りをもとに、苦心惨憺、殆んど独力で訳出した「解体新書」だが、訳者前野良沢の名は記されなかった。出版に尽力した実務肌の相棒杉田玄白が世間の名声を博するのとは対照的に、彼は終始地道な訳業に専心、孤高の晩年を貫いて巷に窮死する。わが国近代医学の礎を築いた画期的偉業、「解体新書」成立の過程を克明に再現し、両者の劇的相剋を浮彫りにする感動の歴史長編。

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冬の鷹 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年10月12日

    解体新書を上梓した二人の医学者を通して、当時の思想や政治体制を背景に物語が進んでいく。比喩が正しいかわからないが、理系肌で頑固一徹な前野良沢、文系肌でコミュニケーション脳力が高い杉田玄白の生き方のどちらが正しいのか?
    学問を極める事とそれを世に広める事は、同じ人間には出来ないのか?を考えさせられる。...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年09月19日

    江戸時代後期、蘭学隆盛の端緒となった解体新書の翻訳・刊行の中心人物であった前野良沢、杉田玄白の話。技術英語の翻訳に関わることもある仕事柄、読む前から強く興味を惹かれるテーマだったが、未知の蘭語の翻訳の困難に関わる話は、解体新書の刊行に至る物語の中盤よりも前で触れられている。ここをより深く掘り下げて欲...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年01月19日

    ターヘルアナトミアと、当時の辞書を手に取って、解体新書を作る過程を試してみた吉村昭さんが書いた、解体新書創造がメインストーリーとなる前野良沢物語。
    世の中は、さほど動いていないように思えて、激動の時代だった江戸中期のストーリーから、現代に繋がるメッセージはとても大きいものでした。
    是非、人生の挫折で...続きを読む

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    購入済み

    知の探求

    2020年10月22日

    検索一つで知識を得ることができるように思われている昨今であるが、本当の知を得るということはここまでの努力を必要とするのかもしれない。

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    Posted by ブクログ 2019年09月17日

    オランダ語で書かれた『ターヘル・アナトミア』を翻訳した前野良沢・杉田玄白、彼らの作業過程とその後の人生を詳細に描き出した作品。
    教科書などでは、この二人がほぼ同列の訳者として記載されているけれど、事実は前野良沢が苦心して翻訳したものを、杉田玄白が整理し文献の形に整えたという風に役割分担がなされていた...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2018年07月21日

    『解体新書』といえば、杉田玄白。
    しかし、前野良沢という名前を聞いたことがある人は、少ないのではないか。
    自分もその1人だった。
    陽の杉田玄白と陰の前野良沢。
    このふたりがいたからこそ、『解体新書』が生まれた。
    それならば、何故、前野良沢は『解体新書』に名を残さなかったのか。
    頑固で潔癖なる性格ゆえ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年04月18日

    司馬遼太郎のファンで、似た毛色の作家を探し求めている人には吉村昭をお勧めします。そして、いま困難なプロジェクトに四苦八苦している人にこそ、この本をお勧めします。
     大河ドラマにするなら絶対この作品の方がよい!高山彦九郎・平賀源内というサブキャラも魅力的に関与していますし、なにしろ杉田玄白と前野良沢の...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2014年06月16日

    江戸時代。『ターヘル・アナトミア』の翻訳版、あの名高い『解体新書』を世に送り出した杉田玄白ではなく、その翻訳の中心人物であった前野良沢を主人公とした物語。前野良沢という人物は名前だけは知っているが、どういう人物なのかは全く知らなかった。この本によれば、まさに学者という人物で名利を求めるような人物では...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2014年03月07日

    予期せぬ感動。
    オランダ語の習得と翻訳業に専念し、富や名声を求めなかった前野良沢と、翻訳チームをまとめて、『解体新書』出版に尽力し、社会的成功をおさめた杉田玄白。どちらのタイプも、大事業を進めるには必要なのだろう。
    だが著者は前野良沢の生き方に、つよく心を惹かれている。とにかく頑固で、清廉潔白に生き...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2011年10月29日

    「解体新書」は、杉田玄白と前野良沢が翻訳したと学校では習った。でも、「解体新書」の翻訳者のところには、前野良沢の名前がなかったことは、この本で初めて知った。しかも、この本が出てからの杉田玄白と前野良沢の歩んだ道がこれほど対称的なのも初めて知った。

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