檸檬

檸檬

473円 (税込)

2pt

31歳という若さで夭折した著者の残した作品は、昭和文学史上の奇蹟として、声価いよいよ高い。その異常な美しさに魅惑され、買い求めた一顆のレモンを洋書店の書棚に残して立ち去る『檸檬』、人間の苦悩を見つめて凄絶な『冬の日』、生きものの不思議を象徴化する『愛撫』ほか『城のある町にて』『闇の絵巻』など、特異な感覚と内面凝視で青春の不安、焦燥を浄化する作品20編を収録。

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檸檬 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    「えたいの知れない不吉な塊」に心を圧迫される「私」が、確かな美を持つ「檸檬」を「爆弾」に見立て、既存の美の宝庫である「丸善」に置く話。

    「丸善」の棚に置いた「檸檬」が、陳列された「美」を吹き飛ばすことを想像することによって、「私」の心は「不吉な塊」から解放されるのです。

    0
    2025年11月30日

    Posted by ブクログ

    風景描写が美しい。
    何故こういう表現を思いつくのかと感心する。
    「冬の日」にて、堯が街に出かけ、「何をしに自分は来たのだ」と自問する様子は、感情移入ができた。
    妙な安心感を得たのは、やはり昔も今も似たような人がいるからだと分かったからだろう。
    「闇の絵巻」、「冬の蝿」等から、何気ない風景からここ迄感

    0
    2025年09月14日

    Posted by ブクログ

    写生文好きな私としてはめちゃくちゃ好きな本です。
    他愛ない日常の風景の中に作者ならではの発見や見方、作者(登場人物)の心情が細やかな描写で表されているので心に程よく染み込んできます。
    読んでいて作者の孤独感が猛烈に伝わってきますが共感でき、それは誰しもが経験できる孤独なのかなと感じました。
    てかなん

    0
    2024年12月28日

    Posted by ブクログ


    ※主に『檸檬』『冬の蠅』についての感想です
    物語を追うというより、その美しい言語表現を目で追って、好きなフレーズはあるかなぁと探しながら読みました。
    意外にも共感出来ることが多くあり、今まで好きだったものがある日を境に距離を置きたくなるものになったり、粗末でどこにでもあるようなものに惹かれるように

    0
    2024年12月13日

    Posted by ブクログ

    好きな話は冬の蝿(闇の絵巻)、冬の日、Kの昇天、泥濘
    収録の中で異彩を放っていたのは、
    城のある町にて(巻末の解説にあるとおり、単純で、平明で、健康な世界)
    ある崖上の感情(不安定さは感じない。感情の発露?)
    愛撫(変態的だけど猫への愛情を感じる)

    病のせいか、常に死を身近に感じているように読めま

    0
    2024年10月19日

    Posted by ブクログ

    ミステリアスな雰囲気、鮮やかさ、繊細な美しさを持つ魅力的な一冊。読みながら日本の原風景が連想され穏やかな気持ちになった。

    0
    2024年02月12日

    Posted by ブクログ

    最初は詩的な表現に「苦手かも…?」と思いましたが、読むうちに印象は変わってきました。ここまで心情をありありと、こんなふうに表現できるとは。暗い、辛い、やるせないを美化するのではなく、直視しながら生への渇望を見出せるところは、他の退廃的小説と一線を画す作品として読めました。

    0
    2024年01月21日

    Posted by ブクログ

    純文学は、それほど得意ではないですが、この作品の魅力はよくわかりました。とにかく、自然の描写が素晴らしいです。それと相反するような、人物の内面の暗さも、妙に共感してしまいます。
    何度も読み返したくなる名作です。

    0
    2023年10月14日

    Posted by ブクログ

    心理描写と情景描写のバランスがいいのか、単純に両方上手いからなのか、とても読みやすい短編集だった。
    特に「泥濘」という短編が印象に残った。
    まず「泥濘」という字がとても綺麗。「ぬかるみ」とも「でいねい」とも読むらしく、個人的にはでいねいが好み。濘はさんずい(水)+寧(安らぐ)で構成されていて、柔らか

    0
    2025年09月17日

    Posted by ブクログ

    その時代に生きていたら感じ方が変わったのかもしれないが、少なくとも情景描写の巧緻さには、自分が理解できないレベルのものがあったと言える。

    0
    2025年08月16日

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