講談社文芸文庫の検索結果

  • 猫道 単身転々小説集

    猫道 単身転々小説集

    小説・文芸
    5.0
    1巻2,035円 (税込)
    失礼ですが御主人は? 収入は? 本籍地は? 保証人は? バブル後期の東京で"単身女性の安全な住まい"を求めて漂流する長編「居場所もなかった」に加え、後の"家族"キャト、ドーラ、ギドウ、モイラ、ルウルウをめぐる住居転々の短編。さらに不意の別れを描く「モイラの事」、その悲しみを越える単行本未収録の「この街に、妻がいる」、作者と猫の書き下ろし近況エッセイ二編も収録。
  • 未明の闘争 オーサーズ・カット
    NEW

    未明の闘争 オーサーズ・カット

    小説・文芸
    -
    1巻1,980円 (税込)
    1990年、日本のバブル景気崩壊と前後して、これまでの文学作品と一線を画した作風の『プレーンソング』で出現した小説家保坂和志。 その後芥川賞など数々の文学賞を受賞しつつ、小説とはどのようなものかを思考しつづけた作家が2013年に満を持して世に問うた長篇『未明の闘争』は野間文芸賞を受賞。 この作品で、作者は底流としてある「思考の流れ」に思いつくかぎりのエピソードを乗せ、たゆたわせている。 それらを読んでいくことはとても楽しく気持ちが良い。しかし、読みすすめるうちになにかを深く考えざるをえない気持ちになってくる……。 そのような稀有な体験を読者に味わわせてくれる小説である『未明の闘争』の本質を損なうことなく、そのエッセンスを再構成したダイジェスト版をここに刊行する。
  • 半島へ

    半島へ

    小説・文芸
    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    「海松」を超えた、究極の「半島物語」。東京を離れ、志摩半島を望む町で暮らし始めた中年女性。孤独な暮らしのなか、彼女がそこで見つめたものは? 川端賞受賞作「海松」を超えた、究極の「半島物語」。谷崎潤一郎賞、中日文化賞、親鸞賞受賞作! その春、「私」は半島に来た。森と海のそば、美しい「休暇」を過ごすつもりで――。たったひとりで、もう一度、人生を始めるために――。川端賞受賞の名作「海松(みる)」を超えた、究極の「半島小説」 顔を上げると、樹間で朝を待つものたちの気配がした。たぶんメジロやウグイス。どこに巣があるのかわからないが、葉擦れや枝のこすれとは違う音がする。寝覚めの脳に届いたのは身じろぎする鳥たちの気配だったのかもしれない。やがて、森のあちこちに青みを帯びた筋が差しこむ。樹間に広がる光の筋は、やがて明るい金色を帯びていった。途端に森の奥から、鳥の声がにぎやかに聞えてきた。なかに「リッカ、リッカ、ピイィ」と鳴く鳥がいる。そういえば、今日は立夏。東京から半島にきて、もう一ヵ月がたっていた。――<本文より> 第47回谷崎潤一郎賞受賞作 解説・木村朗子
  • フーコー・ドゥルーズ・デリダ

    フーコー・ドゥルーズ・デリダ

    『言葉と物』、『差異と反復』、『グラマトロジーについて』。いまや古典となったフランス現代思想の名著をめぐって展開するこの「三つの物語」は、日本でニュー・アカデミズムが台頭する直前、1978年に衝撃とともに刊行された。フーコー、ドゥルーズ、デリダという哲学者が登場するものの、本書は哲学の概説書でも研究書でもない。それは思考の物語であり、「批評の実践」であり、「作品」を読むことの物語である。瑞々しく、極限までそぎ落とされた文体で、いまだ「読むことのレッスン」を体現し続ける批評家の、比類なき名著。
  • 亡命者

    亡命者

    小説・文芸
    -
    1巻1,980円 (税込)
    夫と死別し、神とは何かを求めてパリに飛び立った私。極限の信仰を求めてプスチニアと呼ばれる、貧しい小さな部屋に辿り着くが、そこは日常の生活に必要なもの一切を捨て切った荒涼とした砂漠のような部屋。個人としての「亡命」とは、神とは、宗教とは何か。異邦人として暮らし、神の沈黙と深く向きあう魂の巡礼、天路歴程の静謐な旅。 著者を敬愛する芥川賞作家石沢麻依による解説を巻末収録。 "……私は、内部からパアッと照らしだす光の中にいた。生まれて以来、何処にいても、居場所でないと感じつづけた、わけが、わかった。わかった、わかった。と、何かが叫んでいた。逆なのです、わたしたちすべて、人間すべて、あちらからこちらへ亡命してきているのです。あちらへと亡命するのではなく、この亡命地からあちらへ帰っていくのです。かつて、そこに居たのですから。”──本文より 芥川賞作家石沢麻依さん大推薦! 待望の文芸文庫化。 「『亡命者』は私にとっても思い入れの深い作品です。初めて読んだ時は、それまでの作風との違いに困惑したものの、最後のページにたどり着く頃には、深い白と青の光景に言葉を失くしました。入れ子構造の巡礼世界に、こんな領域まで言葉がたどり着けるのか、と畏れも感じた覚えがあります。そして、現在、自分がドイツにいることにより、個人としての「亡命」とは何なのかを考えさせられています。」
  • 往復書簡 『遠くからの声』『言葉の兆し』

    往復書簡 『遠くからの声』『言葉の兆し』

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    1997年から1999年、オスロ・仙台と東京間で交わされた、『遠くからの声』。東日本大震災直後の喪失感の中で文学・人生・世紀末に思いを巡らせた『言葉の兆し』。
  • 鳥獣戯画/我が人生最悪の時

    鳥獣戯画/我が人生最悪の時

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,980円 (税込)
    「凡庸さは金になる。それがいけない。何とかそれを変えてやりたいと思い悩みながら、何世紀もの時間が無駄に過ぎてしまった」――28年間の会社員生活を終え自由の身となった小説家。並外れた美貌を持ちながら結婚に破れた女優。「鳥獣戯画」を今に伝える高山寺を興した高僧明恵。父親になる三十歳の私。恋をする十七歳の私。時を超え、主体を超え、物語は旋回していく。語りの力で何者にもなりえ、何処へでも行くことができる小説の可能性を、極限まで追い求めた谷崎賞作家最大級の野心作「鳥獣戯画」。単行本未収録の傑作短篇「我が人生最悪の時」を併録。自筆年譜付きの決定版。
  • 久保田万太郎の俳句

    久保田万太郎の俳句

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,980円 (税込)
    湯豆腐やいのちのはてのうすあかり 神田川祭りの中をながれけり なにがうそでなにがほんとの寒さかな 小説家・劇作家として大成した万太郎は、10代より亡くなる直前まで、俳句を作り続けた「文人俳句」の代表的俳人でもあった。本書は、万太郎が創刊・主宰した俳誌「春燈」の継承者が、その俳句の魅力と技術、交友関係までを哀惜と畏敬の念を込めて綴った名著であり、万太郎俳句のすぐれた入門書でもある。俳人協会評論賞受賞作。
  • 東京物語考

    東京物語考

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,980円 (税込)
    2020年に逝去した作家・古井由吉が、明治、大正、昭和の「東京」を描いた徳田秋聲、正宗白鳥、葛西善蔵、宇野浩二、嘉村磯多、谷崎潤一郎、永井荷風らの私小説作品をひもとき、浮遊する現代人の出自をたどる傑作長篇エッセイ。長らく入手困難となっていた名作を文芸文庫で。解説・松浦寿輝。
  • 数奇伝

    数奇伝

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,980円 (税込)
    著作のほとんどが発禁となったことで知られる叛骨の思想家。思わぬ病で歩行の自由を失い、余命の長からぬことを悟った彼が「生きながらの屍の上に自ら撰せる一種の墓誌」として語る生い立ちは、まさに「数奇」というほかない。幼少期に見た土佐の民権運動、大阪や東京での勉学の日々、作州津山での灼熱の恋と別れ、ジャーナリズムの夜明けと大陸への渡航、従軍、筆禍での下獄……。近代日本人の自叙伝中の白眉。
  • 地唄・三婆 有吉佐和子作品集

    地唄・三婆 有吉佐和子作品集

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    伝統芸能に生きる父娘の葛藤と和解を描き、著者の文壇登場作となった「地唄」、ある男の正妻・愛人・実妹の3人の女が繰り広げる壮絶な同居生活と、等しく忍び寄る老いを見据えた「三婆」、田舎の静かな尼寺に若い男女が滞在したことで起こる波風を温かい筆致で描く「美っつい庵主さん」など、5作品を収録。無類の劇的構成力を発揮する著者が、小説の面白さを余すところなく示す精選作品集。
  • 番茶菓子 現代日本のエッセイ

    番茶菓子 現代日本のエッセイ

    小説・文芸
    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    《時間は一度勝負だ。過ぎた時間は書き直せない》と覚悟した著者が、日常の暮らしでの人と人との出会いと記憶の断片を、掌篇小説の如き味わいの小品12章につづる。「花の小品」「きものの四季」「新年三題」「一日一題」ほか、作家・幸田文の凜とした資質のきらめく、珠玉の名文。
  • 藤枝静男随筆集

    藤枝静男随筆集

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    自伝的随筆から骨董論まで、創作と人生の全てを語る――旧制八高時代からの親友、平野謙、本多秋五との交友、生涯の師となる志賀直哉を訪ねた奈良旅行、最初の作品を「近代文学」に発表する経緯など……小説家・藤枝静男の誕生から、医師であり作家であることの心構え、骨董へのこだわり、晩年の心境まで――私小説に特異な新境地を切り開いた藤枝文学のエッセンスとともに、剛毅木訥なるひとがらとその人生を知るための精選随筆集。
  • 一人と千三百人/二人の中尉 平沢計七先駆作品集

    一人と千三百人/二人の中尉 平沢計七先駆作品集

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,980円 (税込)
    関東大震災の混乱のなか亀戸事件で惨殺された若き労働運動家は瑞々しくも鮮烈な先駆的文芸作品を遺していた。 知られざる作家、再発見 関東大震災の混乱のなか亀戸事件によってわずか三十四歳で非業の死を遂げた労働運動家・平沢計七。 彼は少年時から鉄道会社の大工場で労働現場に立ち、やがて労働組合活動に入っていったが、その短い生涯で、瑞々しくも鮮烈な文芸作品を遺していた。 短篇小説十三篇、戯曲七篇と評論・エッセイ七篇を精選し、知られざる先駆的作家に再び光をあてる。 祖国の手で打砕かるゝか、 民衆の手で打砕かるゝか 死を予想しえた若き労働運動家、 その知られざる文学的航跡。 大和田 茂 平沢は日々の労働運動や社会運動の中で、数々の軋轢、暗闘、分裂をいやというほど味わってきた。なぜ、人々は階級的憎悪をもってテロリズムに走るのか、なぜ思想のちがいや意見対立、すなわち小異を捨てて大同団結できないのか。彼にとって、革命は遼遠の彼方であった。(中略)平沢はさらに労働者の意識に下降しようとしていた。彼は指導者意識が強かったが、一方では小説、戯曲、講談などで人々の内面にわかりやすく訴えかけていこうとした。「解説」より
  • 茂吉秀歌『赤光』百首

    茂吉秀歌『赤光』百首

    小説・文芸
    -
    1巻1,980円 (税込)
    前衛歌人で稀代の批評家、そして剛腕アンソロジストでもある塚本邦雄が、斎藤茂吉の秀歌に対して「弟子、一門の徒」とは別角度から真摯に迫り、批評・鑑賞を施した歴史的名著。茂吉の歌を照射し、その秘密に肉薄につつ、短歌を含めた日本詩歌のあるべき姿を追究する、茂吉ファン、塚本ファン、短歌ファンのみならず、日本文学に関心のあるすべての人へ。言語芸術の粋がここにある。
  • ヒューマニズム考 人間であること

    ヒューマニズム考 人間であること

    「それは人間であることとなんの関係があるのか。」フランス・ルネサンス文学の泰斗が、宗教改革をはじめさまざまな価値の転換に翻弄されながらも、その思想を貫いたユマニスト(ヒューマニスト)たち――エラスムス、ラブレー、モンテーニュらを通して、「人間らしく生きようとする心根と、そのために必要な、時代を見透す眼をもつこと」の尊さを平易な文章で伝える名著。●大江健三郎氏による、本書の底本(講談社現代新書版、1973年)への推薦の言葉より〈この平易な小冊子にこめられているのは、先生が生涯深められてきた思想である。「人類は所詮滅びるものかもしれない。しかし、抵抗しながら滅びよう。」という言葉を見つめながら、先生はその抵抗の根本の力を明らかにしてゆかれる。〉  【目次】      1 ヒューマニズムということば2 ユマニスムの発生3 宗教改革とユマニスム4 ラブレーとカルヴァン(一)5 ラブレーとカルヴァン(二)6 ユマニスムとカルヴィニスム7 宗教戦争とモンテーニュ8 新大陸発見とモンテーニュ9 現代人とユマニスム
  • 柄谷行人浅田彰全対話

    柄谷行人浅田彰全対話

    1985年になされた最初の対談「オリエンタリズムとアジア」で、柄谷行人は「政治と離れた言説などはありえないということを、もう一度強調すべき時期にきて」いると言う。本書では、思想や芸術など多様な話題を次々繰り出しつつ、かならず世界そして日本はいかにあるべきかという問いかけに戻っていく。二人の知識人は縦横無尽に語り合うことを通して、読む者に思考と発言を続けることの重要性を訴えているのである。日本を代表する知識人二人が、自在に語りあった諸問題――解決にはほど遠くさらなる混迷に突き進む世界の現在を予見した、奇跡の対話集。目次オリエンタリズムとアジア昭和の終焉に冷戦の終焉に「ホンネ」の共同体を超えて歴史の終焉の終焉再びマルクスの可能性の中心を問う あとがき 浅田彰と私(柄谷行人)
  • 狼の吐息/愛憎一念 藤澤清造 負の小説集

    狼の吐息/愛憎一念 藤澤清造 負の小説集

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    蘇える木枯しの文士“どうで死ぬ身の一踊り”を実践し、自ら破滅へと向かった大正・昭和初期の私小説家。その生涯を賭した、不屈の「負」の結晶。藤澤清造生誕一三〇周年貧苦と怨嗟を戯作精神で彩った作品群から歿後弟子・西村賢太が精選し、校訂を施す。新発見原稿を併せ、不屈を貫いた私小説家の“負”の意地の真髄を照射する。芝公園で狂凍死するまでの、藤澤清造の創作活動は十年に及んだ。貧苦と怨嗟を戯作精神で彩ったその作品群から歿後弟子・西村賢太が十九篇を精選、校訂を施す。不遇作家の意地と矜恃のあわいの諦観を描く「狼の吐息」、内妻への暴力に至る過程が遣る瀬ない「愛憎一念」、新発見原稿「乳首を見る」、関東大震災直後の惨状のルポルタージュ等、不屈を貫いた私小説作家の“負”の真髄を照射する。西村賢太登場時すでにして古めかしいと評され、冷笑視されてもいたその文体だが、当然、小説が日記やレポートの類と違うのは、それが読者に読ませるものでなければならない点にある。その上では何んと云っても文体がモノを言ってくるわけだが、清造の場合、自らの古風、かつ独自の文体をより強固に支えるに戯作者の精神を持ってきた。そこが良くも悪くも、凡百の自然主義作品とは大きく異なるところである。「解説」より
  • 追悼私記 完全版

    追悼私記 完全版

    小説・文芸
    -
    1巻1,980円 (税込)
    昭和天皇、美空ひばり、手塚治虫、小林秀雄、鮎川信夫、三島由紀夫、中上健次、サルトル、埴谷雄高、平野謙、在野の言語学者、元全学連委員長、学生時代からの友人、実姉…多種多様な死者に手向けられた言葉の数々。そのどれもが感傷のみでは書かれておらず、死を契機とした掌篇の人間論である。著者生前三度にわたり刊行された『追悼私記』未収録の17篇(小川国夫、清岡卓行、吉行淳之介など)を増補する、文字通り完全版!
  • 高濱虚子 並に周囲の作者達

    高濱虚子 並に周囲の作者達

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    文学青年でありながら、家庭の事情でやむを得ず東大医学部へ入学した秋櫻子。在学中に出会った高濱虚子の文章に感銘を受け、自らも作句を始めた秋櫻子は、虚子に師事し、「ホトトギス」の中心的同人になりながらも、やがて虚子の客観写生を旨とした「花鳥諷詠」俳句に反発を感じていく。虚子との出会いと決別までを、山根東洋城、原石鼎、山口誓子、高野素十らとの交流や実作への批評とともに描く、歴史的名著。
  • 明夫と良二

    明夫と良二

    小説・文芸
    4.4
    1巻1,980円 (税込)
    磊落な浪人生の兄と、気立ての優しい中学生の弟。男の子二人のおかしみに満ちたやりとりを見守る姉は、間もなく嫁いでゆく。自然に囲まれた丘の上の一軒家に暮らす作家一家の何気ない一瞬に焼き付けられた、はかなく移ろいゆく幸福なひととき--。著者没後10年。人生の喜び、そしてあわれを透徹したまなざしでとらえた家族小説の傑作、初文庫化
  • 芥川龍之介と太宰治

    芥川龍之介と太宰治

    対照的な文学的軌跡をたどりながら、最終的にはともに自死を選んだ芥川龍之介と太宰治。「近代的自我」の問題を問うた福田恆存が、その問題意識から二人の傑出した作家に見出したものは何だったのか。初期の作家論を代表する「芥川龍之介I」をはじめ、戦後に書かれた「芥川龍之介ll」、太宰の死の前後に書かれた二つの評論を所収。独自の視点で描かれた傑作文芸評論集。
  • 紫陽花舎随筆

    紫陽花舎随筆

    小説・文芸
    -
    1巻1,980円 (税込)
    紫陽花を愛し、鎌倉雪ノ下に永く暮らした近代日本を代表する日本画家、鏑木清方は、名随筆家でもあった。挿絵画家の父の影響で若いころから文藝に親しみ、泉鏡花とも親交があり、多くの随筆集を残した。失われた市井の人々の暮らしへの尽きることのない愛惜、清方の晩年の折々の記、その源泉を辿る。
  • 帰れぬ人びと

    帰れぬ人びと

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    父が女性と暮らす家へ続く川べりの道を、ひとり歩く少年。かつての仄暗い賑わいの記憶を底深く秘めて佇む町――帰るべき場所を持たない喪失感と哀しみを抱きながら、それでも前を向いて行きようとする人びとに、年齢に似合わぬ静謐なまなざしを著者は注ぎ続けた。大人になる直前の老成。どうしようもない人生への諦観。あまりにも早熟な十八歳の才能を示す、最初期作品集。
  • 木喰上人

    木喰上人

    ビジネス・実用
    -
    1巻1,980円 (税込)
    かつてない表情をたたえる木喰仏に一目で魅入られた著者の情熱が、上人が生地に書き残した記録の発見という僥倖を呼び、後半生をかけた五千里にも及ぶ廻国修行で千躰以上の仏躯を刻んだという、江戸後期の知られざる行者の、想像を絶する生涯の全貌が明らかに。全国各地で忘れられていた多くの木喰仏が発掘される調査の過程が、後の民藝運動の礎となった記念碑的研究の書が初文庫化。
  • 苦心の学友 少年倶楽部名作選

    苦心の学友 少年倶楽部名作選

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,980円 (税込)
    読書青年が熱狂し、数十万部を発行した雑誌『少年倶楽部』に昭和二年から連載され、絶大な人気を博した長篇小説。伯爵家の三男の学友に選ばれた普通の家の少年が、上流家庭の生活に面くらい、とまどい、苦労を重ねる日々をユーモラスに描く。当時の世相を自然主義やプロレタリア文学とは一線を画した視点から鮮やかに描いた「社会小説」の傑作であり、ユーモア文学の最高峰。
  • 木下杢太郎随筆集

    木下杢太郎随筆集

    北原白秋らと「パンの会」を組織し、小説家、劇作家、美術家、キリシタン史研究家として活躍した耽美派の詩人は、医師としてハンセン病根絶に尽力した智と義の人でもあった。三島由紀夫が「いちばん美しい紀行文」と称した「クウバ紀行」、加藤周一が鴎外以後、荷風と共に「高雅な余韻」を伝えると評する史伝(「森鴎外」)他を収録。広い教養と思惟の深さを具えた巨人が遺した散文の精髄。
  • 原色の呪文 現代の芸術精神

    原色の呪文 現代の芸術精神

    ビジネス・実用
    3.7
    1巻1,980円 (税込)
    独創的な芸術作品のみならず、優れた芸術論やエッセイも多数遺した岡本太郎。1968年刊行の『原色の呪文』から、現代芸術に関する文章を抜粋、「黒い太陽」「わが友、ジョルジュ・バタイユ」「対極主義」「ピカソへの挑戦」「坐ることを拒否する椅子」「芸術の価値転換」「モダーニズム克服のために」などを収録。若き芸術家たちに絶大な影響を与えた芸術論の名著。
  • 酒と戦後派 人物随想集

    酒と戦後派 人物随想集

    小説・文芸
    -
    1巻1,980円 (税込)
    「近代文学」創刊同人(荒正人、平野謙、佐々木基一、小田切秀雄、山室静、本多秋五)、藤枝静男、野間宏、原民喜、堀辰雄、椎名麟三、梅崎春生、高橋和巳、三島由紀夫、大江健三郎、安岡章太郎、辻邦生、石川淳、中村真一郎、武田泰淳・百合子、竹内好、丸山真男、渡辺一夫、大岡昇平他。20世紀日本を代表する文学者をユーモラスに、時に感動的に素描する。戦後派屈指の文章の上手さ、描写の確かさ、知的センスに舌を巻くはず。
  • 飛魂

    飛魂

    小説・文芸
    4.6
    1巻1,980円 (税込)
    虎使いとなるため、師とともに人里離れた森の中の寄宿舎で修行を続ける女性達の深遠なる精神の触れ合いを描いた作品。表題作ほか、「盗み読み」「胞子」「裸足の拝観者」「光とゼラチンのライプチッヒ」を収録。
  • 復興期の精神

    復興期の精神

    ルネッサンスを生きたダンテ、ダ・ヴィンチら22人の生の軌跡を追求、滅亡に向かう文明の復活の秘密を探る。大胆なレトリックと苛烈な批判精神が横溢する名著!
  • 百句燦燦 現代俳諧頌

    百句燦燦 現代俳諧頌

    小説・文芸
    -
    1巻1,980円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ありうべき最高の美学は虚無――生涯徹底した反リアリズム芸術至上の立場を貫いた塚本邦雄。藤原定家等中世の歌人を理想とする塚本にとり俳諧は、近世という暗黒時代に咲く「異次元の巨花」であった。その輝かしい裔である現代俳人、石田波郷、西東三鬼、下村槐太、寺山修司、飯田蛇笏等、69人の秀句100を選び、斬新かつ創造的評釈を展開。稀代のアンソロジストによって招喚された現代俳諧頌!
  • 焼跡のイエス 善財

    焼跡のイエス 善財

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,980円 (税込)
    敗戦直後、上野のガード下の闇市で、主人公の「わたし」が、浮浪児がキリストに変身する一瞬を目にする「焼跡のイエス」。少女の身に聖なる刻印が現われる「処女懐胎」。戦後無頼派と称された石川淳の超俗的な美学が結晶した代表作のほかに「山桜」「マルスの歌」「かよい小町」「善財」を収録し、戦前、戦中、そして戦後へ。徹底した虚構性に新たな幻想的光景を現出させた、精神の鮮やかな働きを示す佳作6篇。
  • 親和力

    親和力

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    富裕な男爵エードゥアルト、エードゥアルトの友人の大尉、エードゥアルトの妻シャルロッテ、シャルロッテの姪のオッティーリエ、この4人の男女の織りなす恋愛図式。それは人倫を越えた、物質が化学反応を示して互いに牽きあう親和力に等しい。夫婦や家族の制度を破り出て人を愛するのも自然の力である。しかし、人間は自覚的な強い意志をもってそれに対抗しようとする。
  • 中原中也全詩歌集(上)

    中原中也全詩歌集

    小説・文芸
    5.0
    1~2巻1,980~2,090円 (税込)
    孤独な魂の叫びを2冊の詩集に托して逝った早世の詩人。「汚れつちまつた悲しみに」と詠った早熟老成の詩才。生涯を懸けて己れに徹し、誠実、過激に生きた詩人の刊行詩集『山羊の歌』『在りし日の歌』を全篇収録の上、短歌、俳句、新発見詩篇をも加えた未刊詩篇全270余を詩想、詩法の関連から緩やかに分類し、新たに編纂し、甦った中原中也の全体像を上下2巻に定着した決定版詩集。
  • 田紳有楽 空気頭

    田紳有楽 空気頭

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,980円 (税込)
    あくまで私小説に徹し、自己の真実を徹底して表現し、事実の奥底にある非現実の世界にまで探索を深め、人間の内面・外界の全域を含み込む、新境地を拓いた、"私"の求道者・藤枝静男の「私小説」を超えた独自世界。芸術選奨『空気頭』、谷崎賞『田紳有楽』両受賞作を収録。
  • 白い人 黄色い人

    白い人 黄色い人

    小説・文芸
    3.1
    1巻1,980円 (税込)
    第2次世界大戦中のドイツ占領下のリヨンで、友人の神学生をナチの拷問にゆだねるサディスティックな青年に託して、西洋思想の原罪的宿命、善と悪の対立を追求した「白い人」(芥川賞)汎神論的風土に生きる日本人にとっての、キリスト教の神の意味を問う「黄色い人」の他、「アデンまで」「学生」を収めた遠藤文学の全てのモチーフを包含する初期作品集。
  • わが塔はそこに立つ

    わが塔はそこに立つ

    小説・文芸
    -
    1巻1,925円 (税込)
    親鸞と時代の社会主義思想に激しく引き裂かれ、自らの底深くに敢えて矛盾を取り込み、超えようと苦闘する、主人公・海塚草一の青春の葛藤。昭和10年代・京大時代を背景に、性・宗教・文学・社会――混沌の坩堝の中の青春を描いた、自伝的長篇小説。〈全体小説理論〉の実践化として、『青年の環』へとひきつがれてゆく問題作。
  • 大衆文学論

    大衆文学論

    小説・文芸
    -
    1巻1,925円 (税込)
    白井喬二、菊池寛らを論じ、先行する大衆文学論を詳細に考察した第一部「大衆文学の理論」。吉川英治、山本周五郎、松本清張らの、作家と作品を論じた第二部「作家の年輪」。時代小説の挿画、落語、浪曲など、大衆文化・芸能を掘り下げた第三部「大衆文学の周辺」。独自の視点で大衆文学を検証し、芸術性偏重の従来の文学観に新たな文学論を提示した画期的評論集。芸術選奨受賞作。
  • 西海原子力発電所/輸送

    西海原子力発電所/輸送

    小説・文芸
    -
    1巻1,881円 (税込)
    原子力発電所をかかえる閉鎖的な地域社会のなかで起きた一件の不審火。原発の危険性と経済的依存との葛藤を劇的に描きつつ、〈原爆文学〉と〈原発文学〉とを深く結びつけた記念碑的労作「西海原子力発電所」。チェルノブイリ原発事故を受け、核廃棄物輸送事故による被爆と避難生活がもたらした生活の破壊と人間の崩壊を予言した「輸送」。3・11でフクシマ原発事故を経験した現在から、先駆的〈核〉文学はいかに読み解かれるか。
  • 故人

    故人

    小説・文芸
    -
    1巻1,881円 (税込)
    自分を文学の世界に導いてくれた、兄のように慕う先輩作家が、原稿を郵便で出した帰途、トラックに轢かれ死んだ。理不尽な死を前に混乱、自失する家族や友人たち。青年は深い喪失感を抱えながら、社会との折り合いに惑い、生と死の意味を問い続ける。三四歳で早世した山川方夫の人生を、彼の最も近くで生きた著者が小説に刻んだ鎮魂の書。
  • 錨のない船 上

    錨のない船

    小説・文芸
    -
    1~2巻1,881円 (税込)
    1941年、アメリカの厳しい経済制裁で資源確保が困難化、進退窮まる日本。武力解決を訴える勢力の圧迫を受けつつも、ワシントンに飛んだ来島平三郎特命全権大使は、妻の故郷アメリカとの開戦回避の道を懸命に模索していた。だが、ルーズヴェルト大統領、ハル国務長官を相手の交渉は難航、だましうちのように真珠湾攻撃が敢行されてしまう――。戦争に翻弄される外交官一家の肖像をつぶさに描く傑作長篇。
  • 文学ノート 付=15篇

    文学ノート 付=15篇

    小説・文芸
    -
    1巻1,870円 (税込)
    1973年に書き下ろし長篇小説として出版され、その年の野間文芸賞受賞作となった『洪水はわが魂に及び』執筆と並行して、大江健三郎は文芸誌「新潮」1970年12月から1973年8月にかけて6回の「文学ノート」を発表する。これは一般的なイメージでの創作ノートとは大きく異なる、作品を創造することに関する詳細な自己分析の集積である。 また「付=15篇」とされる、最終的に長篇小説『洪水はわが魂に及び』から省かれた細部の15篇は、執筆中の作品と作家にとってどうしても必要な要素であった。 最終稿としての長篇小説、執筆中の作家の意識の詳細な自己分析、執筆途上では作品そのものと作家にとって必要不可欠だった細部、この三者をあわせ読むことで、大江健三郎という稀有な作家の想像力のありよう全体が明瞭となるのである。
  • 由煕 ナビ・タリョン

    由煕 ナビ・タリョン

    小説・文芸
    3.9
    1巻1,870円 (税込)
    在日朝鮮人として生れた著者の、37歳で夭逝した魂の記録。差別と偏見の苦しい青春時代を越えて、生国・日本と母国・韓国との狭間に、言葉を通してのアイデンティティを探し求めて、ひたすらに生きた短かい一生の鮮烈な作品群。芥川賞受賞の「由熙」、そして全作品を象徴するかのような処女作「ナビ・タリョン」(嘆きの蝶)、「かずきめ」「あにごぜ」を収録、人生の真実を表現。
  • ザボンの花

    ザボンの花

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    家庭や生活のいとおしさ。生活を愛し慈しみ、多くの人の心をつかんだ庄野文学の「家庭小説」の始まりであり、のちに名作『夕べの雲』に発展していく魅力の長篇小説――『ザボンの花』から庄野潤三独特の家庭小説が始まる。これは、著者にとって最初の長篇小説であり、麦畑の中の矢牧家は、彼がまさに創りつつある、新しい家庭であり、生活を愛し育んでいく本質と主張を、完成度の高い文学作品にしあげている。一生のうち、書くべき一番いい時に書かれ、やがて『静物』『夕べの雲』へ続く作品群の起点でもある。
  • 日本近代文学の起源 原本

    日本近代文学の起源 原本

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    「歴史主義的普遍性」の基盤を大胆に覆す鋭い知性。 新たな思考の視座を極めて丹念に布置・構築して行く、最も現代的な「知の震源」柄谷行人の、鮮やかにして果敢な挑戦。 名著『マルクスその可能性の中心』につづく柄谷思想の原点となる歴史的快著。
  • 世をへだてて

    世をへだてて

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,870円 (税込)
    六十四歳の晩秋のある日、いつものように散歩に出かけようとして妻に止められ、そのまま緊急入院。 突然襲った脳内出血で、作家は生死をさまよう。 父の一大事に力を合わせる家族、励ましを得た文学作品、医師や同室の人々を見つめる、ゆるがぬ視線。 病を経て知る生きるよろこびを明るくユーモラスに描く、著者の転換期を示す闘病記。 生誕100年記念刊行。 目次 夏の重荷 杖 北風と靴 大部屋の人たち Dデイ 作業療法室 同室の人 単行本あとがき 著者に代わって読者へ 解説 島田潤一郎 年譜
  • 青天有月 エセー

    青天有月 エセー

    小説・文芸
    -
    1巻1,870円 (税込)
    黄昏と暁闇、反射と点滅など、光を主題としたエセー。「文学」とは光であることを、稀代の表現者が知性と感性を尽くして綴る、珠玉編――黄昏と暁闇、反射と点滅、傷と紐、月と放心、死……モンテーニュ『エセー』にいざなわれ、心をよぎる思いを、筆に随うままに綴った、<光>をめぐる15の変奏。ゴダール、スタンダール、ボードレール、シェイクスピア、吉田健一、西脇順三郎、李白、バルト、アンデルセン……。先人たちのイメージと自らの知性と悟性と感性で、光=言葉が生まれる一瞬を描写した、思索と詩魂の結晶。
  • 回想の太宰治

    回想の太宰治

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    濃やかな愛情と明晰な目がとらえた人間・太宰治――太宰治は、文字通り文学のために生まれ、文学のために育ち、文学のために生きた「文学の寵児」だった。彼から文学を取り除くと、そこには嬰児のようなおとなが途方に暮れて立ちつくす姿があった。戦中戦後の10年間、妻であった著者が、共に暮らした日々のさま、友人知人との交流、疎開した青森の思い出など、豊富なエピソードで綴る回想記。淡々とした文にも人間太宰の赤裸な姿が躍如とする好著。 ◎「これは、凄い本に出会ったものであります。質も量も。明晰さも、たしかさも、怖ろしさも。科学者の随筆みたいな、美しい揺るぎのない日本語で、太宰治は凝視され、記憶され、保存される。この著者が、昭和の初期に、太宰の妻であり、ともに暮らし、子をなして、日々会話し、身の回りの世話をし、親戚や食卓や経済を共有していたかと思うと、トカトントン。そこらの男の何十倍も聡明だった女の記録であり、記録をよそおった文学であります。」<伊藤比呂美「解説」より> ※本書は、『回想の太宰治』(昭和58年6月 講談社文庫刊)を底本としましたが、「アヤの懐旧談」を削除し、『増補改訂版 回想の太宰治』(平成9年8月 人文書院刊)より、「蔵の前の渡り廊下」「南台寺」「父のこと、兄のこと」「『水中の友』」の4篇を収録しました。
  • 新古今の惑星群

    新古今の惑星群

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,870円 (税込)
    正岡子規が称揚した『万葉集』の「写生」から『新古今集』の詩歌理念へ引き戻すことで、戦後日本文化の再建を目指して1975年に書下された『藤原俊成・藤原良経』。新字新仮名で刊行された同書を、塚本邦雄の信念=正字正仮名表記へもどして改題、さらなる深みと凄味を増し、新たな生命を吹き返した。新古今時代を支えた藤原俊成・藤原良経・藤原家隆・俊成卿女・宮内卿・寂蓮・慈円の7人を、渾身の力で論じ尽くした、歴史的名著。
  • 「内向の世代」初期作品アンソロジー

    「内向の世代」初期作品アンソロジー

    1970年、文芸誌『文芸』は2度にわたり、当時たびたび芥川賞候補に挙げられていた若手作家5人を集め、「現代作家の条件」「現代作家の課題」と題した座談会を開く。翌年、小田切秀雄に「内向の世代」と呼ばれる彼らは、現代作家に大きな影響を及ぼすことになる。本書は座談会出席者の一人黒井千次氏が、初期作品の中から瑞々しい魅力を放つ中短篇を精選した作品集。収録作家:後藤明生、黒井千次、阿部昭、坂上弘、古井由吉。
  • 畏怖する人間

    畏怖する人間

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    その出発以来、同時代の「知」に、圧倒的な衝撃を与えつづけて来た著者の、秀れた光芒を放つ第一評論集。群像新人文学賞受賞作「意識と自然――漱石試論」をはじめとし、その後の『マルクスその可能性の中心』『日本近代文学の起源』『探究1』『探究2』など、柄谷行人のその後の力業を予告する、初期エッセイ群。
  • 意味という病

    意味という病

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    日本のシェークスピア論のパラダイムを批判し、明晰な論理と思考の下に、新しい「マクベス」像を描く、柄谷行人の初期秀抜エッセイ「マクベス論」をはじめ、秀作『マルクスその可能性の中心』につながる、その明視力の圧倒的展開を収録。
  • 笛吹川

    笛吹川

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    生まれては殺される、その無慈悲な反復。 甲州武田家の盛衰と、農民一家の酸鼻な運命。 信玄の誕生から勝頼の死まで、武田家の盛衰とともに生きた、笛吹川沿いの農民一家六代にわたる物語。生まれては殺される、その無慈悲な反復を、説話と土俗的語りで鮮烈なイメージに昇華した文学史上の問題作。平野謙との<「笛吹川」論争>で、花田清輝をして「近代芸術を止揚する方法」と言わしめ、また後年、開高健をして「私のなかにある古い日本の血に点火しながらこの作品は現代そのもの」とも言わしめる。 町田康 一般の調節された言葉は、一族の多くの者がそのために殺害されたのにもかかわらず、それを、先祖代々お屋形様のおかげになって、と言い換えることができる。しかし、この小説の言葉は、そう言い換えてしまう人間の哀しみを描きつつ、それすらも無言の側に押し流してしまう。そして、その圧倒的で、どうしようもない事態は、始まりと終わりを持たず循環する。――<「解説」より>
  • 果てもない道中記 上

    果てもない道中記

    小説・文芸
    -
    1~2巻1,870円 (税込)
    『大菩薩峠』の物語世界を探索する傑作エッセイ――『大菩薩峠』の開巻劈頭、老巡礼が理由もなく机龍之助に斬り殺される。死と背中合わせの病床にあった著者は、この老巡礼に自らを重ね合せて理不尽な死に想いを馳せる。こうして、不朽の名作『大菩薩峠』探索の旅が始まる。激動の幕末を流浪する盲目の剣士・机龍之助を追跡しつつ、著者の筆は、時に作者・中里介山の思想に及び、また自らの体験や感想に言及して、自在に飛び交う。<上下巻>
  • オールド・ファッション 普通の会話

    オールド・ファッション 普通の会話

    一九八五年四月八日。東京ステーションホテルにて、 日本を代表する批評家が初対峙する。夕食とともに開幕した 「普通の会話」ならぬ前代未聞の「知の饗宴」は、 食後のブランデー、チョコレートを愉しみつつ一日目を終了、 翌朝も食堂、客室と舞台を移しつつ、正午近くに及ぶ。 文学、映画、歴史、政治から、私生活に人生論まで。 ユーモアとイロニー、深い洞察に満ちた、歴史的対話篇。
  • 完本 太宰と井伏 ふたつの戦後

    完本 太宰と井伏 ふたつの戦後

    「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」(「ヴィヨンの妻」)四度の自殺未遂を経て、一度は生きることを選んだ太宰治は、戦後なぜ再び死に赴いたのか。井伏鱒二と太宰治という、師弟でもあった二人の文学者の対照的な姿から、今に続く戦後の核心を鮮やかに照射する表題作に、そこからさらに考察を深めた論考を増補した、本格文芸評論の完本。目次太宰と井伏 ふたつの戦後太宰治、底板にふれるーー『太宰と井伏』再説解説 與那覇潤
  • 浦島草

    浦島草

    小説・文芸
    -
    1巻1,870円 (税込)
    広島で被爆した女性が、庭先に浦島草の咲く東京の家でひっそりと暮らす。そこへ11年ぶりにアメリカ留学から主人公の雪枝が帰って来る。後を追う恋人のマーレック。女性には雪枝の兄・森人との間に、自閉症の息子・黎がいた。多くの人物が広島の滅びの光景を引きずり、物語が進む。人間の無限の欲望と、その破滅を予感する作家が、女たちの眼を通して創出した、壮大で残酷な詩的小説世界。
  • 狂人日記

    狂人日記

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,870円 (税込)
    狂気と正気の間を激しく揺れ動きつつ、自ら死を選ぶ男の凄絶なる魂の告白の書。醒めては幻視・幻聴に悩まされ、眠っては夢の重圧に押し潰され、赤裸にされた心は、それでも他者を求める。弟、母親、病院で出会った圭子――彼らとの関わりのなかで真実の優しさに目醒めながらも、男は孤絶を深めていく。現代人の彷徨う精神の行方を見据えた著者の、読売文学賞を受賞した最後の長篇小説。
  • 百花遊歴

    百花遊歴

    小説・文芸
    -
    1巻1,870円 (税込)
    前衛歌人にして豪腕アンソロジスト塚本邦雄が編んだ、愛する花花と古今の名歌を集めた異色のアンソロジー。大伴家持、和泉式部から松尾芭蕉、芥川龍之介に馬場あき子まで。ユキノシタ科のアジサイ、アヤメ科のカキツバタならぬ、虎耳草科の紫陽花、鳶尾科の燕子花を愛でる人々に贈る、至高至醇の詞華植物園。
  • 底ぬけビンボー暮らし

    底ぬけビンボー暮らし

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    「売れないものかき」の松下センセは書くのも遅い。過去の著作はどんどん品切れ重版未定の絶版扱いになり、病を押して散発的な注文原稿をこなしても生活は綱渡りだ。そんな作家が一番大事にしているのは夕方の妻との散歩。身の回りの自然、季節の移ろいを全身で体感し、河口に集まるカモメたちに餌をやる日々。子供たちや仲の良い友人たちと時間も楽しみの一つ。安上がりだけど満ち足りた幸福がここにある。
  • 崑崙の玉/漂流 井上靖歴史小説傑作選

    崑崙の玉/漂流 井上靖歴史小説傑作選

    小説・文芸
    -
    1巻1,870円 (税込)
    中国の古代から人々が執心してやまない「玉」の産地として聞こえた、誰も知らない崑崙山を目指して黄河の源流へと遡っていく一行に襲いかかる苦難の行方を描いた「崑崙の玉」。著者の独擅場とも言うべき西域・中国もののみならず、戦乱の世において非運に倒れた武将たちの運命を見据えた戦国もの等も収録。透徹した視線と自在な筆致が冴える傑作短篇集。
  • 庄野潤三ノート

    庄野潤三ノート

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,870円 (税込)
    小学校、旧制中学、就職先の放送局で庄野潤三の後輩として過ごした阪田寛夫は、いつしか庄野文学最大の理解者となった。習作から刊行当時の最新長篇、そして随筆集までも順に丁寧に読み解くことによってのみ、鮮やかに見えるその豊穣な世界――正確かつ簡潔でありながら深い愛情に溢れる筆致が、読む者を思わず感動へと誘う。類まれな作家論の達成。
  • 報いられたもの/働き手

    報いられたもの/働き手

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,870円 (税込)
    一九三二年の初演時「世界に誇りうる英国演劇の傑作」「イプセン以後最大の作品」と評された『報いられたもの』。自分が心からしたいことのみをしようと、ある日突然、仕事も家庭も捨てた男が巻き起こす喜劇を描く『働き手』。第一次大戦後のイギリス社会の矛盾と人間の本質を衝き、興行成績を度外視して「自らの魂の満足のため」に書いた、円熟期モームの四大問題劇中の名作二篇。
  • 小説作法

    小説作法

    ビジネス・実用
    -
    1巻1,870円 (税込)
    瀬戸内寂聴、吉村昭、河野多惠子、津村節子、新田次郎ら錚々たる作家を輩出した同人誌『文学者』を主宰し、文壇の大御所として絶大な人気を博していた昭和二十年代後半、『文學界』に連載され、異例の反響を得た名著。人物の描き方から時間の処理法、題の付け方、あとがきの意義、執筆時に適した飲料まで。自身の作品を例に、懇切丁寧、裏の裏まで教え諭した究極の小説指南書。
  • 現代詩試論/詩人の設計図

    現代詩試論/詩人の設計図

    ビジネス・実用
    -
    1巻1,870円 (税込)
    「折々のうた」で知られた大岡信の評論活動は、二十二歳の時に書かれた『現代詩試論』から始まった。詩人として、詩と信じたものの中でつかんだ言語感覚を、そのまま文字にたたき込む努力をした。散文でどこまで詩の領域に近づけるか、拡大できるか。『詩人の設計図』は、「エリュアール論」から、鮎川信夫、中原中也、小野十三郎、立原道造、パウル・クレー等へ及ぶ詩論。
  • 雲は天才である

    雲は天才である

    小説・文芸
    -
    1巻1,870円 (税込)
    詩や短歌では叙情味あふれる作品で天性の才能を発揮し、矛盾に満ちた明治という時代への鋭い考察も相俟って今もなお熱烈な読者を持つ石川啄木が心血を注いだ小説。故郷・渋民村の高等小学教の教員時代に書き出され、青年たちの鬱屈と貧しき者、弱き者の心に共振していく初期短篇三作と、唯一新聞に連載された中篇を収録し、短い生涯を駆け抜けた啄木文学の可能性を提示する。
  • 春の華客/旅恋い 山川方夫名作選

    春の華客/旅恋い 山川方夫名作選

    小説・文芸
    -
    1巻1,870円 (税込)
    急激に変貌していく戦後日本を背景に新しい感性による現代文学の興隆を牽引し、短い作家活動のうちに数多くの鮮烈な作品を残した山川方夫。その早熟ぶりが同世代の仲間を震撼させた学生時代の作品から、時代を先取りしたモチーフや研ぎ澄まされた文体によってジャンルの枠を超えた才能を開花させた後期作品まで、不慮の事故による早逝が惜しまれる著者の多彩な魅力が凝縮された傑作選。
  • 思い出す事など 私の個人主義 硝子戸の中

    思い出す事など 私の個人主義 硝子戸の中

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    三十七歳から初小説『吾輩は猫である』を執筆、以降、満四十九歳で逝去するまでのわずか十余年間に、日本近代文学の礎となる数多の傑作を著した漱石夏目金之助。「修善寺の大患」で垣間見た「死」の後に綴った二随筆は、小説やいわゆる身辺雑記とは別種の妙味を持ち、漱石文学のひとつの極点として異彩を放ち続けている。同時期の著名な演説一篇を併録した、散文芸術の真髄。
  • エオンタ/自然の子供 金井美恵子自選短篇集

    エオンタ/自然の子供 金井美恵子自選短篇集

    小説・文芸
    -
    1巻1,870円 (税込)
    過去と現在。記憶と現実。存在と不在。 自己と他者。周到に仕組まれた言葉の奔流が、確かと信じられている輪郭をことごとく溶かし、境界を混じりあわせ、めまいにも似た乱反射を読む者に引き起こす。「読むことが、私の生きている証し」老練な読者たる著者が、最初期二作品を含む初期作品群から、現在の眼で選んだ短篇集、第三弾。
  • ミイラになるまで 島田雅彦初期短篇集

    ミイラになるまで 島田雅彦初期短篇集

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,870円 (税込)
    現代文学を牽引し続ける著者の初期短篇7作品。文学と社会への強烈な批評精神と、アイロニックな饒舌文体で繰り広げる島田文学の原点。収録作「観光客」「聖アカヒト伝」「ある解剖学者の話」「砂漠のイルカ」「アルマジロ王」「断食少年・青春」「ミイラになるまで」
  • さようなら、ギャングたち

    さようなら、ギャングたち

    小説・文芸
    4.1
    1巻1,870円 (税込)
    詩人の「わたし」と恋人の「S・B(ソング・ブック)」と猫の「ヘンリー4世」が営む超現実的な愛の生活を独創的な文体で描く。発表時、吉本隆明が「現在までのところポップ文学の最高の作品だと思う。村上春樹があり糸井重里があり、村上龍があり、それ以前には筒井康隆があり栗本薫がありというような優れた達成が無意識に踏まえられてはじめて出てきたものだ」と絶賛した高橋源一郎のデビュー作。
  • ゴーストバスターズ 冒険小説

    ゴーストバスターズ 冒険小説

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    謎のゴーストを探し求めてアメリカ横断の旅に出るブッチ・キャシディとサンダンス・キッド。そしてBA-SHOとSO-RAもアメリカを旅し、「俳句鉄道888」で、失踪した叔父を探すドン・キホーテの姪と巡り合う。東京の空を飛ぶ「正義の味方」超人マン・タカハシは、ついにゴーストからの呼び出しを受ける……。隠されたゴーストの正体とは? 時空を超え、夢と現を超え、疾走する冒険小説。
  • 死霊I

    死霊

    小説・文芸
    4.2
    1~3巻1,870円 (税込)
    晩夏酷暑の或る日、郊外の風癲病院の門をひとりの青年がくぐる。青年の名は三輪与志、当病院の若き精神病医と自己意識の飛躍をめぐって議論になり、真向う対立する。三輪与志の渇し求める<虚体>とは何か。三輪家4兄弟がそれぞれのめざす窮極の<革命>を語る『死霊』の世界。全宇宙における<存在>の秘密を生涯かけて追究した傑作。序曲にあたる1章から3章までを収録。日本文学大賞受賞。
  • 補陀落渡海記 井上靖短篇名作集

    補陀落渡海記 井上靖短篇名作集

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    熊野補陀落寺の代々の住職には、61歳の11月に観音浄土をめざし生きながら海に出て往生を願う渡海上人の慣わしがあった。周囲から追い詰められ、逃れられない。時を俟つ老いた住職金光坊の、死に向う恐怖と葛藤を記す表題作のほか「小磐梯」「グウドル氏の手套」「姨捨」「道」など、旺盛で多彩な創作活動を続けた著者が常に核としていた散文詩に隣接する人生の不可思議さ、奥深さを描く9篇。
  • 試みの岸

    試みの岸

    小説・文芸
    3.5
    1巻1,870円 (税込)
    馬喰・十吉は、海への憧れを一艘の貨物船に託した。一族の悲劇はそこに始まる。甥の余一は、崖から落ちる十吉の愛馬アオに変身し、港町で従姉・佐枝子が自死したという噂を耳にした。駿河湾西岸地方を舞台に、運命に試される純粋な人間の行為を「光と影」の綾なす世界に、鮮やかに刻印する3部作。
  • 日本文化私観

    日本文化私観

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,870円 (税込)
    戦前・戦中・戦後、昭和22年はじめまでの安吾全エッセイから坂口安吾の文学、人生観を最も深く、強く語ったもの、例えば「FARCEに就て」「牧野さんの死」「茶番に寄せて」「日本文化私観」「青春論」「堕落論」「恋愛論」等々、22篇収録。“精神の巨人”坂口安吾の反骨精神横溢する選エッセイ集。
  • 光と風と夢 わが西遊記

    光と風と夢 わが西遊記

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    喀血に襲われ、世紀末の頽廃を逃れ、サモアに移り住んだ『宝島』の作者スティヴンスン。彼の晩年の生と死を書簡をもとに日記体で再生させた「光と風と夢」。『西遊記』に取材し、思索する悟浄に自己の不安を重ね〈わが西遊記〉と題した「悟浄出世」「悟浄歎異」。──昭和17年、宿痾の喘息に苦しみながら、惜しまれつつ逝った作家中島敦の珠玉の名篇3篇を収録。
  • ガラスの靴・悪い仲間

    ガラスの靴・悪い仲間

    小説・文芸
    3.7
    1巻1,870円 (税込)
    初期作品世界デビュー作「ガラスの靴」芥川賞受賞「悪い仲間」「陰気な愉しみ」他、安岡文字一つの到達点「海辺の光景」への源流・自己形成の原点をしなやかに示す初期短篇集。幼少からの孤立感、“悪い仲間”との交遊、“やましさ”の自覚、父母との“関係”のまぎらわしさ、そして脊椎カリエス。様々な難問のさなかに居ながら、軽妙に立ち上る存在感。精妙な“文体”によって捉えられた、しなやかな魂の世界。
  • ゴットハルト鉄道

    ゴットハルト鉄道

    小説・文芸
    4.4
    1巻1,870円 (税込)
    “ゴット(神)ハルト(硬い)は、わたしという粘膜に炎症を起こさせた”ヨーロッパの中央に横たわる巨大な山塊ゴットハルト。暗く長いトンネルの旅を“聖人のお腹”を通り抜ける陶酔と感じる「わたし」の微妙な身体感覚を詩的メタファーを秘めた文体で描く表題作他2篇。日独両言語で創作する著者は、国・文明・性など既成の領域を軽々と越境、変幻する言葉のマジックが奔放な詩的イメージを紡ぎ出す。
  • 桜の森の満開の下

    桜の森の満開の下

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    なぜ、それが"物語・歴史"だったのだろうか――。おのれの胸にある磊塊を、全き孤独の奥底で果然と破砕し、みずからがみずから火をおこし、みずからの光を掲げる。人生的・文学的苦闘の中から、凛然として屹立する"大いなる野性"坂口安吾の"物語・歴史小説世界"。
  • アメリカの影

    アメリカの影

    ビジネス・実用
    4.0
    1巻1,870円 (税込)
    戦後日米関係の根底を問う鮮烈なるデビュー作。江藤淳の『成熟と喪失』および一連の占領研究を精細に追跡することで、彼の戦後言説空間への強烈な批判意識とその背後に隠されたアメリカへのナイーブな思いとの落差に、戦後社会の変容を読み解き、また、原爆投下を可能とした<無条件降伏>という思想それ自体を問うことで、日米関係の<原質>に迫る。文学者としての鋭い直観と斬新な視座から日本の戦後をとらえ直した。
  • 吉本隆明初期詩集

    吉本隆明初期詩集

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,870円 (税込)
    東京下町の少年時代、山形米沢の高工時代――「巡礼歌」「エリアンの手記と詩」など習作期の詩作と第1詩集「固有時との対話」第2詩集「転位のための十篇」を収める。敗戦後の混乱した社会に同化できない精神の違和と葛藤を示し、彷徨する自己の生存をかけた高い緊張度により支えられる自選初期詩集54篇。
  • 城壁/星 小島信夫戦争小説集

    城壁/星 小島信夫戦争小説集

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,826円 (税込)
    イデオロギー的偏向やうすっぺらな善悪を超え、戦場の奇妙な人間模様を描くことで、不気味なユーモア、シュールな世界として、〈戦争〉を読者に刻みこむ。兵士たちに蔓延する「迷子病」が県城自体の引っ越しを誘発する「城壁」ほか、寓話的ともいえる作品のなかにも暗号兵としての体験が息づく。戦争文学のもつ既成像を粉砕し、小島信夫の世界観の核を示す九作品。
  • その言葉を/暴力の舟/三つ目の鯰

    その言葉を/暴力の舟/三つ目の鯰

    小説・文芸
    -
    1巻1,826円 (税込)
    東京で三年ぶりに再会した、故郷の俊才の変わり果てた姿「その言葉を」。他人の怒りと攻撃性を誘発せずにはおかない、風変わりな先輩との四年間「暴力の舟」。父の葬式で一堂に会した親族たちの、幼い頃は窺い知れなかったそれぞれの事情「三つ目の鯰」。七〇年代の青春の一光景を映し出す、瑞々しい初期中篇三作。
  • 旅の話・犬の夢

    旅の話・犬の夢

    小説・文芸
    -
    1巻1,815円 (税込)
    若き文学者・江藤淳のほとばしる好奇心、躍動する批評精神。旅先での思索、愛犬との日常――ロンドンでターナーと漱石の内的現実について考え、ドイツで音楽生活の厚みと欧州人の厳格な孤独に触れ、ウィーン国立歌劇場の爛熟と洗練を極めたオペラに酔い、アメリカで世阿弥を読み自己の核心を支えるものを発見し、東京で愛犬ダーキイを傍らに思索を重ね執筆する。著者が20代後半から30代にかけて、横溢する好奇心と旺盛な行動力、躍動する批判精神で綴った、随筆集の名著。
  • 鳥の水浴び

    鳥の水浴び

    小説・文芸
    -
    1巻1,815円 (税込)
    名作『夕べの雲』から三十五年。時は流れ、丘陵の家は、夫婦二人だけになった。静かで何の変哲もない日常の風景。そこに、小さな楽しみと穏やかな時が繰り返される。暮らしは、陽だまりのような「小さな物語」だ。庄野文学の終点に向かう確かな眼差しが、ふっと心を温める。読者待望の、美しくもすがすがしい長篇小説。
  • 作家の日記

    作家の日記

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,771円 (税込)
    作家としての精神を育んだフランス留学時代の内的記録――1950年6月、第1回カトリック留学生として渡仏し、1953年2月、病によって帰国するまでの2年7ヵ月の、刺すような孤独と苦悩に満ちた日々。異文化の中で、内奥の〈原初的なもの〉と対峙して、〈人間の罪〉の世界を凝視し続けた、遠藤周作の青春。作家としての原点を示唆し、その精神を育んだフランス留学時代の日記。
  • 書物の解体学

    書物の解体学

    小説・文芸
    -
    1巻1,771円 (税込)
    欧米を代表する文学者思想家に批評の直感で挑んだ画期的作家論集! バタイユ、ブランショ、ジュネ、ロートレアモン、ミシェル・レリス、ヘンリー・ミラー、バシュラール、ヘルダーリン、ユング――現代の世界に多大な影響を与えた欧米の作家・詩人・思想家9人の著作は、翻訳を通じて、どこまで読み解くことが可能なのか。批評家としての経験のみを手がかりに、文字通り縦横無尽に論じた画期的作家論集。
  • 室生犀星

    室生犀星

    なぜ、詩人・犀星が、小説を書くようになっていったのか? なぜ、小説家となった後も、生涯にわたり、詩を書き続けたか? 同じく詩人として出発し、小説へと舞台を移した後、詩を書かなくなった「犀星ファン」の著者は、犀星の詩を丹念に読みながら、稀有な詩人・小説家の生涯と内奥、そして「詩」と「小説」の深淵に迫っていく。類い稀な個性と個性の邂逅が生んだ、傑作評伝。
  • 小林秀雄

    小林秀雄

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,771円 (税込)
    人は詩人や小説家になることができる。だが、いったい、批評家になるということは、なにを意味するであろうか(本文より)ーー中原中也、富永太郎らとの交友関係、未発表の書簡や広汎にわたる資料を駆使して、小林秀雄の批評の成立、構成、その精神に迫る。『夏目漱石』『作家は行動する』などで出発した批評家・江藤淳の自身への問いは、確固たる地位を築く記念碑的評伝となった。新潮社文学賞受賞。
  • 風の系譜

    風の系譜

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,771円 (税込)
    遠い先ばかり見つめていた父は、絶望している。堅実な実際家の母は、希望をかけている。父と母の半生を中心に、複雑な一族の系譜を私小説作家が揺るぎなく描ききった長篇小説。新たに発見された、著者の手の入った原稿で野口冨士男の処女作ともいえる作品を七十余年の時を経て、初文庫化。
  • 金達寿小説集

    金達寿小説集

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,771円 (税込)
    昭和五年、十歳で渡日後、働きながら文学者を志し、在日朝鮮人文学者の嚆矢として活躍、のちに古代史研究でも大きな業績を残した異才。川端康成、中村光夫、佐藤春夫らに高く評価されながらも「もはや新人でない」からと芥川賞を逸した「朴達の裁判」始め、日大芸術科在学中の習作から壮年期までの小説を精選、小説家・金達寿の真骨頂を示す記念碑的作品集。
  • 白山の水 鏡花をめぐる

    白山の水 鏡花をめぐる

    小説・文芸
    -
    1巻1,771円 (税込)
    著者少年期の金沢体験を出発点に、また、その後の土地の精霊を訪ねる旅での見聞をもとに、泉鏡花の作品世界を、地誌的・民俗学的に読み解いた長篇エッセイ。「川」「峠」「水神」「蛇」「化物」「白神」等のキー・タームから、鏡花作品の幻想性に入りこみ、その深奥にある北陸の山と水、それらを宰領する精霊たちのうごめきを感じとる。鏡花をめぐるセンチメンタル・ジャーニー、巡歴の記録。
  • 完訳グリム童話集1

    完訳グリム童話集

    小説・文芸
    3.0
    1~3巻1,771円 (税込)
    19世紀初め、20代の若い学者の兄弟が、ドイツ語圏に伝わるメルヒェンを広く蒐集してまとめた『グリム童話集』は、半世紀近い歳月、兄弟自身の手で改版が重ねられ、1857年、最後の第7版が刊行された。それは、国境を越え、時代を超え、今も生き続ける、他に類をみない新しい文芸の誕生であった。池田香代子の生命感溢れる翻訳による完訳決定版。第1巻には、「灰まみれ」「赤ずきん」「白雪姫」等、56話収録。〈全3巻〉
  • 日本の家郷

    日本の家郷

    長谷川利行のデッサンが想起させた、著者自身の家郷――。 川端康成や富岡多恵子、徳田秋聲、永井荷風などの作品と、家郷を求めて彷徨する「くらさ」の関係を読み解く第一章。 「みやび」の連鎖が「日本」を形作ってきたと説く第二章。 「日本」とは「現実」ではなく「空無」と向き合う時にのみ「日本」だとする第三章。 日本文学の本質を画期的な手法で抉出することを目指した、第六回三島由紀夫賞受賞の鮮烈な文芸評論集を、著者をよく知る元編集者による解説と教え子による年譜と著作一覧を付して文芸文庫に収録。
  • 溶ける街 透ける路

    溶ける街 透ける路

    小説・文芸
    4.4
    1巻1,760円 (税込)
    ――わたしの旅は言葉の旅でもある。多言語の中を通過しながら、日本語の中をも旅する―― 「エッセイの元祖」モンテーニュ縁のサンテミリオン、神田神保町を彷彿させる「本の町」ヴュンスドルフ、腕利きのすりが集まるバーゼル、ヘルダーリンがこもったチュービンゲン、エミリー・ディキンソンが生涯過ごしたアマスト、重い記憶を残すアウシュヴィッツ。ブダペストからリガ、アンマンまで、自作の朗読と読者との対話をしながら世界四十八の町を巡り、「旅する作家」が見て、食べて、出逢って、話して、考えた。心と身体を静かに揺さぶる、五十一の断章。
  • アカシヤの大連

    アカシヤの大連

    小説・文芸
    3.6
    1巻1,760円 (税込)
    美しい港町、アカシヤ香る大連。そこに生れ育った彼は、敗戦とともに、故郷を喪失した。心に巣喰う癒し難い欠落感、平穏の日々の只中で、埋めることのできない空洞。青春、憂鬱、愛、死。果てない郷愁を籠めて、青春の大連を清冽に描く、芥川賞受賞の表題作。ほかに『朝の悲しみ』『初冬の大連』『中山広場』『サハロフ幻想』『大連の海辺で』の、全6編を収録。
  • 石の来歴 浪漫的な行軍の記録

    石の来歴 浪漫的な行軍の記録

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    現実と非現実の交錯を描く芥川賞受賞作。石に異常な執着を示す男の人生。長男の死、妻の狂気、次男の学生運動、夢と現実の交錯のなかで描かれる奥泉光の芥川賞受賞作。他に「浪漫的な行軍の記録」所収――太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は、異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する、芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちの、いつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは……。帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。
  • 夏の流れ 丸山健二初期作品集

    夏の流れ 丸山健二初期作品集

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを、緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る、芥川賞受賞作「夏の流れ」。稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」。ほかに、「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など、初期の代表作7篇を収録。 ◎「丸山健二の文学性は、ジェームズ・ジョイスに通じる。本作品集に収録されている初期短編を改めて読みながら、私はそう思った。(中略)すぐれた芸術家は生涯を通して変貌を続けるが、若き日の作品群は作品を受容する側にとっての定点を提供する。ピカソのキュビズムは、初期の見事な絵画によって担保される。このような文脈において、本文庫に収められた初期の短編の数々は、弱冠23歳で芥川賞を受賞し、長年文壇と一線を画して孤高の道を歩んできた丸山健二の文学の全体像を理解する上で、重要な意味を持つのではないか。」<茂木健一郎「解説」より>

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