講談社文芸文庫の検索結果

  • 論語知らずの論語読み

    論語知らずの論語読み

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,760円 (税込)
    論語をダシに奇人変人作家仲間を独特の文章でつづる名随筆――二千数百年前の中国の古典『論語』。余りにも有名であるけれど、きちんと読んだ人は、どのくらいいるだろう。ならば、孔子にならい、我流の読み方をしてみようと、阿川弘之が、悪友・遠藤周作、三浦朱門、吉行淳之介、北杜夫らとの珍談奇行の交友録をまじえて、世相風俗万般をにがりのきいた独特のユーモアでつづった快エッセイ。論語を知らない人も、ちょっと論語を楽しめる1冊。
  • 槐多の歌へる 村山槐多詩文集

    槐多の歌へる 村山槐多詩文集

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    夭折の天才画家の迸(ほとばし)る詩魂 個性主義芸術の時代あるいは生命主義芸術の時代と呼ばれた一九一〇年代に、彗星のごとく画壇にデビューし、二十二歳で早世した天才画家・村山槐多。彼は生得の詩的才能にも恵まれていた。人生と社会の矛盾に打ち拉(ひし)がれながらも、野生の生命力の回復を希求する詩魂は、鮮烈な色彩感覚と結びつき独自の世界を構築した。放浪、デカダンスのうちに肺患により短い生を駆け抜けた槐多の詩、散文詩、短歌、小説、日記を精選収録。 酒井忠康 時代の一隅を、嵐のなかで哮(たけ)り狂ったように、その野性的ともおぼしき詩魂の光を放って、彼は疾走した。そして燃え尽きたのである。――〈「解説」より〉
  • 阿Q正伝・藤野先生

    阿Q正伝・藤野先生

    小説・文芸
    3.3
    1巻1,760円 (税込)
    「人が人を食う」ことを恐怖する主人公の、「子供を救え」の叫びとともに、封建制度・儒教道徳の暗黒を描く「狂人日記」。革命のどさくさの中の阿Qの死と悲喜劇を通して、「革命と民衆」を鋭くつく「阿Q正伝」。ほかに、「孔乙己」「酒楼にて」など。辛亥革命前後の混乱期に、敢然とペンを執って立ち上がり、中国近代文学を切り拓いた魯迅が、時代の苦悩と不屈の精神を伝える13篇の名作。魯迅を読まずして中国を知ることはできない。
  • マス・イメージ論

    マス・イメージ論

    カフカ、小島信夫、中島みゆき、山岸涼子ら、文学・漫画・CM・歌謡曲などを全体的な概念として捉え、「現在」を読み解く斬新な評論。新しい時代を予見した格闘の書! ――文学、少女漫画、現代詩、歌謡曲、テレビCM……。マスメディアを通して現れた言葉やイメージを産み出している「現代」という名の作者をめぐって、果敢に挑んだ評論集。小島信夫、高橋源一郎、萩尾望都、糸井重里、中島みゆきらの諸制作品を、個別の批評方法から離れて解析・論述し、「戦後思想界の巨人」の新たな側面を示して反響を呼んだ。来るべき時代を予見し、今さらに輝きを増す画期的論考。
  • 谷間/再びルイへ。

    谷間/再びルイへ。

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    昭和20年、長崎の兵器工場学徒動員で、被爆。多くの死をくぐり抜け、少女は生き残った。結婚、出産、幼い命を育てるのは、恐怖との闘いであった。20数年後の離婚、それは個の崩壊であり、8月9日の闇なのか。80歳を越えて書いた小説「再びルイへ。」は、著者の歩んだ人生への回答、あるいは到達でもある。川端賞受賞作「三界の家」を含む、心うつ短篇小説集。
  • 月光・暮坂 小島信夫後期作品集

    月光・暮坂 小島信夫後期作品集

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    かつての作品の引用から、実在する家族や郷里の友人らとの関係のなかから、ひとつの物語が別の物語を生み出し、常に物語が増殖しつづける<開かれた>小説の世界。<思考の生理>によって形造られる作品は、自由闊達に動きながらも、完結することを拒み、いつしか混沌へと反転していく。メタ・フィクションともいえる実験的試み9篇を、『別れる理由』以降の作品を中心に自選した作品集。物語のあらゆるコードから逸脱し続ける作品世界!〇小島信夫 私は、彼女がいなくなると、何か安心したように、いっきょに、たいへんな速さで娘時代から幼い頃へとさかのぼり、そのあたりのところに、自分が停滞するというか、そんな状態に見舞われた。その時代から、ゆっくりと先へ進みはじめ、不意に彼女がカチンと音を立てる。我に返ると、それがほかならぬこの私であった。――<「月光」より>
  • 虹の理論

    虹の理論

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,760円 (税込)
    自己と文化を解放するための〈科学の寓話〉。オーストラリア・レッドロックのアボリジニーに伝わる「虹の蛇」の神話、カトマンズ盆地・「虹の立つ村」のマヤ・クマリの千里眼、そしてラマ僧の語る虹を中心とした世界の成り立ち―意識と物質の発生をイメージさせる虹の体験は、両義性という終わりなき解釈のらせん階段から自己と文化を解き放つ「野性的な科学」へと我々を誘う。メタフィジカルな八つの物語が紡ぎだす新しい世界。
  • モナリザの微笑 ハクスレー傑作選

    モナリザの微笑 ハクスレー傑作選

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,760円 (税込)
    機械文明の発達により便利になった世界がかえって人間性の喪失につながるという、まさに21世紀の世界が直面する問題を描いたディストピア小説『すばらしい新世界』のハクスレーによる、傑作短篇集。モームやヘンリー・ジェイムスの名訳者として知られる行方昭夫氏が、作風の異なる5つの短篇を精選し、訳し下ろしました。科学、数学から美術、音楽、哲学にいたるまで、博学で知られるハクスレーの面目躍如たる作品集です。収録作:「モナリザの微笑」「天才児」「小さなメキシコ帽」「半休日」「チョードロン」
  • 婉という女・正妻

    婉という女・正妻

    小説・文芸
    4.7
    1巻1,760円 (税込)
    土佐藩執政、父・野中兼山(良継)の失脚後、4歳にして一族とともに幽囚の身となった婉。男子の係累が死に絶えた40年後、赦免が訪れ、自由となったものの、そこで見たのは、再び政争の中で滅びてゆく愛する男の姿であった……。無慙な政治の中を哀しくも勁く生きた女を描き、野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞した名作「婉という女」に、関連作「正妻」「日陰の姉妹」の2篇を付し、完本とする。
  • 贈答のうた

    贈答のうた

    「うたはあのようにも詠まれてきた。/ひとはあのようにも心を用いて生きてきた。」ーー歴代の勅撰和歌集、私家集、さらに物語や日記文学の中で、華やかな独詠の陰に埋もれがちな贈答のうた。詠み交す事で深化増幅する人の心と精妙に響き合う贈答歌に光をあて、自在な口語訳を付しつつ読み解く。王朝人の豊饒な言葉の贈物への密やかな答歌とも評された名著。野間文芸賞受賞作。
  • 唐山感情集

    唐山感情集

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    上田敏に『海潮音』あれば、日夏耿之介に『唐山感情集』あり。博識にして幽玄神秘な詞藻をもって他に類を見ない詩的世界を構築した日夏耿之介は漢詩の風韻、酒と多情多恨の思いを嫋々たる日本語に移し替え、さらに独自の境地に遊ぶ。唐から民国にいたる1200年にわたる名詩を選び出した稀有な訳詩集。

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  • 現代文士廿八人

    現代文士廿八人

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    中村武羅夫が文壇に名を売り出すきっかけになったのは雑誌『新潮』に明治41年(1908)からほぼ毎月発表した「作家訪問記」でした。今日風にいえば「直撃取材」し、そこで得た個人的印象、いわば「独断と偏見」を臆面もなく堂々と記したことで、読者の反響を呼び起こしたのです。 本書はその連載を書籍化したもので、版元を変えながら刊行されつづけた隠れたベストセラーであり、明治の文壇を知る好資料です。
  • わが文学生活

    わが文学生活

    編集者によるインタビュー、また「群像」および「小説現代」で長く担当した編集者との対談を、作家自らが構成した貴重な文学的自伝。高い芸術性と人気を備える小説家、洒脱な随筆や座談の名手、ヘンリー・ミラーや井原西鶴の作品の現代日本語への翻訳者、豪腕アンソロジスト……多彩な相貌が臨場感を湛えて語られる本書は、吉行淳之介を知るための必読書となろう。
  • 小林秀雄と中原中也

    小林秀雄と中原中也

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    現実よりも自身の裸の心を守り抜こうとした詩人と、その世界に深く共感するがゆえに背反せざるをえない知性で武装された批評家――。「自分が人間であることのすべてを負っている」と言うほど絶対的な影響を受けた中原中也の特異な生の在り様を「内部の人間」と名付け、小林秀雄の戦後の歩みに「ヴァニティ」(中原中也)を超えた人間探究の軌跡を見出す、秋山駿の出発点。
  • 詞華美術館

    詞華美術館

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    柿本人麿、紀貫之、式子内親王、藤原定家、後鳥羽院、芭蕉、蕪村、茂吉、石川淳、石原吉郎、西東三鬼、寺山修司からラブレー、ネルヴァル、アポリネール、ランボー、マラルメ、ジョイス、トーマス・マン、フォークナー、ダニエル・キースまで。古今東西の言語芸術から最も壮麗で美味な部分を収集し、二十七の主題の部屋に陳列した、超一級の言語美術館。
  • 写生の物語

    写生の物語

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    『万葉集』や『おもろさうし』に特徴的でその後は顧みられなくなった語法、子規や啄木など明治期歌人の試み、また塚本邦雄・岡井隆といった現代前衛歌人の新作、そして俵万智『チョコレート革命』に至るまでの短歌(謡)表現を貫くものは何か? 起源以前と死後を等価とし、表現を緻密に追いつづけることで見えてくる豊穣な世界。
  • 三木清大学論集

    三木清大学論集

    ビジネス・実用
    -
    1巻1,760円 (税込)
    「諸君の先ず身に着けねばならぬ武器は知性である。それが武器としては小さいものであるにしても、諸君の有する最小のものを抛棄しないことが大切である。」吹き荒れる時代の逆風の中、真理を追究する勇気を持ち続けた哲学者、三木清。時代の流れに大学は、学問はいかなる力を持ち得るか。学問論・教育論・制度論と補論の構成で、「大学」の真の意義を問う。
  • 我が愛する詩人の伝記

    我が愛する詩人の伝記

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,760円 (税込)
    「各詩人の人がらから潜って往って、詩を解くより外に私に方針はなかった。私はそのようにして書き、これに間違いないことを知った」。藤村、光太郎、暮鳥、白秋、朔太郎から釈迢空、千家元麿、百田宗治、堀辰雄、津村信夫、立原道造まで。親交のあった十一名の詩人の生身の姿と、その言葉に託した詩魂を優しく照射し、いまなお深く胸を打つ、毎日出版文化賞受賞の名作。
  • 自伝的女流文壇史

    自伝的女流文壇史

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,760円 (税込)
    少女小説作家として一世を風靡し、若くして文壇にデビューした吉屋信子が描き上げた、「女流文壇」の草分けともいうべき十人の肖像。男性が中心だった近代日本の文壇史において「女流」と一括りにされながら個性豊かに輝いた女性作家たちの魅力を、折に触れての交流の中から余すところなくすくい上げた自伝的エッセイ。章ごとに一人の作家にフォーカスした構成になっていますので、どこからでも読むことができます。
  • 湯川秀樹歌文集

    湯川秀樹歌文集

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,760円 (税込)
    日本人として初めてのノーベル賞(物理学賞)受賞者であり、反核平和運動にも積極的に関わった理論物理学者は、兄に東洋史家である貝塚茂樹、弟に中国文学者の小川環樹を持ち、自身も漢籍、古典、和歌に親しむ粋人でもあった。本書は、幼少青年期の記憶から、長年暮らした京都への愛惜、耽読した古典への思いを綴る随筆と、歌集「深山木」を収録。偉大な科学者とは別の、愛すべき横顔を伝える。
  • 東京の横丁

    東京の横丁

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    「俺は二、三日うちに死ぬ気がする。晩飯の支度なんか放っておけ。淋しいからお前もここに坐って一緒に話でもしよう」妻にそう語りかけた数日後、永井龍男は不帰の人となった。没後発見された手入れ稿に綴られた、生まれ育った神田、終の住処鎌倉、設立まもなく参加した文藝春秋社の日々。死を見据えた短篇「冬の梢」を併録した、最後の名品集。
  • 寺田寅彦セレクション1

    寺田寅彦セレクション

    「天災は忘れた頃にやってくる」など、後世に今も残る数々の言葉を生み、物理学者として世界的な業績をあげた寺田寅彦は夏目漱石の高弟として、透徹した観察眼で散文詩的美しさを湛えた文章を物し、科学と芸術の融合を果たした。本巻には『冬彦集』『藪柑子集』『万華鏡』『続冬彦集』から、内田百間に「昭和年代の随筆として後生に遺る第一のもの」と言わしめた、随筆家の真骨頂を示す名品を厳選収録する。
  • 「私小説」を読む

    「私小説」を読む

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    志賀直哉、藤枝静男、安岡章太郎を貫く「私小説」の系譜。だが、著者はここで日本文学の一分野を改めて顕揚したり、再定義を下したりはしない。本書は、我々が無意識・無前提に受け入れている「読みの不自由さ」から離れ、ひたすら、いまここにある言葉を読むこと、「作品」の表層にある言葉の群との戯れを通じ、一瞬ごとの現在を生きようとする試みなのである。「読むこと」の深見と凄みを示す、文芸批評の名著。
  • 白暗淵

    白暗淵

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,760円 (税込)
    「七十の坂にかかる道すがらの作品群になる。あれもなかなか越すに苦しい坂だった」(著者から読者へ)。爆風に曝された大空襲から高度成長を経て現代へ――個の記憶が、見も知らぬ他者たちをおのずと招き寄せ、白き「暗淵」より重層的な物語空間が立ちあがる。現代文学を最先端で牽引しつづける著者が、直面した作家的危機を越えて到達した連作短篇集。
  • 人形愛 秘儀 甦りの家

    人形愛 秘儀 甦りの家

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    美しい少年の人形を夜ごと愛撫する女。夢によって浸透された存在になっていく現実の少年。奇妙な透明感と、夢と現実の交歓。高橋たか子の独特な神秘主義を端正な文体で感覚的に描く幻想美の世界。男女の恋愛の、より深く深くと求めた内部の実在を鮮やかに浮かび上がらせた、華麗なる三部作。
  • ああ玉杯に花うけて 少年倶楽部名作選

    ああ玉杯に花うけて 少年倶楽部名作選

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    昭和2年に『少年倶楽部』に連載され、大反響を呼んだ少年小説の金字塔。いじめや暴力、友情等、普遍的テーマに切り込む爽やかな傑作。
  • 恋人たち/降誕祭の夜 金井美恵子自選短篇集

    恋人たち/降誕祭の夜 金井美恵子自選短篇集

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,760円 (税込)
    言葉の町を歩き、言葉のシーツにくるまれ、言葉の包帯を巻いて、あるいは言葉の肉料理を食べ、そして言葉の性交を行う――言葉だけで出来た建物の中で、肉体、時間、空間、世界、あらゆるものを生成する無数の言葉と戯れる陶酔。衝突を繰りかえす豊穣なイメージを道しるべに、著者自らが選んだ短篇集、第二弾。
  • 新編 日本の旅あちこち

    新編 日本の旅あちこち

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    木山捷平は、昭和三十年代後半から四十年代前半の彼の晩年ともいえる日々を、日本中を旅する取材執筆に費やした。北海道から九州まで、日本の津々浦々を巡り「新しい紀行文」を書き続け、それは詩や小説にも昇華した。それぞれの土地に、死の陰を刻みながら・・・。初めての北海道旅行での詩「旅吟」から、病床で書かれた最後の詩「オホーツク海の烏」を収録、二九篇厳選。
  • ジョン・レノン対火星人

    ジョン・レノン対火星人

    小説・文芸
    4.1
    1巻1,760円 (税込)
    住所はなく、消印は「葛飾」、そして差し出し人の名前は、「すばらしい日本の戦争」……名作『さようなら、ギャングたち』に先立つこと1年、闘争、拘置所体験、その後の失語した肉体労働の10年が沸騰点に達し、本書は生まれた。<言葉・革命・セックス>を描きフットワーク抜群、現代文学を牽引する高橋源一郎のラジカル&リリカルな原質がきらめく幻のデビュー作。
  • 砂の粒/孤独な場所で 金井美恵子自選短篇集

    砂の粒/孤独な場所で 金井美恵子自選短篇集

    小説・文芸
    2.0
    1巻1,760円 (税込)
    一筆ずつ塗り重ねられる精緻な絵画のように、あるいは一針ずつ施される絢爛たる詩集のように――一語一語選び抜かれた言葉は、思わぬつながりを持つ次の言葉を連れてきて、夢中でそれらを追ううちに思いもよらない地平に連れ去られていく。時空間も記憶も等質な粒子となって混じり合い、拡散し、迷宮のような読書体験をもたらす、著者初の自選短篇集。
  • 新しい人よ眼ざめよ

    新しい人よ眼ざめよ

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,760円 (税込)
    神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。
  • 私の万葉集 三

    私の万葉集 三

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,760円 (税込)
    大岡信の『私の万葉集』第三巻(全五巻)。 ひさかたの 天の香具山 この夕  霞たなびく 春立つらしも   人麻呂のゆったりとした万葉人の息吹を伝えたい。著者の思いは、愛情深く、平易な文体で現代につなげていく。「万葉集」巻八から十二までを、たとえば恋の歌、それは、日本人の永遠に通ずる心の古典として……。
  • 公園 卒業式 小島信夫初期作品集

    公園 卒業式 小島信夫初期作品集

    小説・文芸
    -
    1巻1,760円 (税込)
    著者十六歳、岐阜中学校校友会誌に掲載された小品から、昭和二十年代までの初期作品を集成。第一高等学校時代の透明感溢れる心象風景を綴った伝説的佳品「裸木」や、同人誌「崖」に発表された「往還」「公園」などの戦前作品、また、著者固有のユーモアの深淵を示す「汽車の中」「卒業式」「ふぐりと原子ピストル」など、〈作家・小島信夫〉誕生の秘密に迫る十三篇を収録。
  • たまらん坂 武蔵野短篇集

    たまらん坂 武蔵野短篇集

    小説・文芸
    2.6
    1巻1,760円 (税込)
    土地の名が呼びさます昔の幻影。連作短篇集 たまらん坂、おたかの道・・・武蔵野に実在する不思議な土地の名が初老期の男達に垣間見せる青春の残像。時間と空間の交点に人生を映し出す黒井文学の豊かな収穫。
  • 本覚坊遺文

    本覚坊遺文

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,760円 (税込)
    師千利休は何故太閤様より死を賜り、一言の申し開きもせず従容と死に赴いたのか? 弟子の本覚坊は、師の縁の人々を尋ね語らい、又冷え枯れた磧の道を行く師に夢の中でまみえる。本覚坊の手記の形で利休自刃の謎に迫り、狭い茶室で命を突きつけあう乱世の侘茶に、死をも貫徹する芸術精神を描く。文化勲章はじめ現世の名誉を得た晩年にあって、なお已み難い作家精神の耀きを示した名作。日本文学大賞受賞作。
  • 旅愁(上)

    旅愁

    小説・文芸
    4.0
    1~2巻1,760~1,870円 (税込)
    近代日本人の生き方を根源から問いなおす恋愛思想小説。日本伝統主義者の矢代耕一郎と、対照的にヨーロッパの合理的精神に心酔する久慈、2人が心惹かれるカソリックの宇佐美千鶴子らが織りなす鮮烈微妙な恋愛心理の綾。東洋と西洋、信仰と科学、歴史と民族の根の感情等、横光利一が苦闘した生涯の思索の全てを人物に投影させつつパリ、東京を主舞台に展開させた畢生の大作。(全2冊)
  • 紫苑物語

    紫苑物語

    小説・文芸
    4.1
    1巻1,760円 (税込)
    優美かつ艶やかな文体と、爽やかで強靱きわまる精神。昭和30年代初頭の日本現代文学に鮮烈な光芒を放つ真の意味での現代文学の巨匠・石川淳の中期代表作――華麗な"精神の運動"と想像力の飛翔。芸術選奨受賞作「紫苑物語」及び「八幡縁起」「修羅」を収録。
  • 叫び声

    叫び声

    小説・文芸
    4.1
    1巻1,760円 (税込)
    新しい言葉の創造によって"時代"が鼓舞される作品、そういう作品を発表し続けて来た文学者・大江健三郎の20代後半の代表的長篇傑作『叫び声』。現代を生きる孤独な青春の"夢"と"挫折"を鋭く追求し、普遍の"青春の意味"と"青春の幻影"を描いた秀作。
  • 夕べの雲

    夕べの雲

    小説・文芸
    4.1
    1巻1,760円 (税込)
    何もさえぎるものない丘の上の新しい家。主人公はまず"風よけの木"のことを考える。家の団欒を深く静かに支えようとする意志。季節季節の自然との交流を詩情豊に描く、読売文学賞受賞の名作。
  • 横しぐれ

    横しぐれ

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,760円 (税込)
    父と、黒川先生とが、あの日道後の茶店で行き会った、酒飲みの乞食坊主は、山頭火だったのではなかろうか。横しぐれ、たった1つのその言葉に感嘆して、不意に雨中に出て行ったその男を追跡しているうちに、父の、家族の、「わたし」の、思いがけない過去の姿が立ち現れてくる。小説的趣向を存分にこらした名篇「横しぐれ」ほか、丸谷才一独特の世界を展開した短篇3作を収録。
  • 海を感じる時・水平線上にて

    海を感じる時・水平線上にて

    小説・文芸
    3.3
    1巻1,760円 (税込)
    《海は暗く深い女たちの血にみちている。私は身体の一部として海を感じている。……》 年上の男子生徒とのセックスの体験を鋭利な感覚で捉えて、身体の芯が震える程の鮮烈な感銘を与えた秀作。作家の出発を告げた群像新人賞受賞「海を感じる時」と、大学生となった、その後の性意識と体験を描き深めた野間文芸新人賞「水平線上にて」。力作2篇収録。
  • 光の領分

    光の領分

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,760円 (税込)
    夫との別居に始まり、離婚に至る若い女と稚い娘の1年間。寄りつかない夫、男との性の夢、娘の不調、出会い頭の情事。夫のいない若い女親のゆれ動き、融け出すような不安を、“短篇連作”という新しい創作上の方法を精妙に駆使し、第1回野間文芸新人賞を受賞した津島佑子の初期代表作。
  • 靴の話/眼 小島信夫家族小説集

    靴の話/眼 小島信夫家族小説集

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,716円 (税込)
    芥川賞受賞作「アメリカン・スクール」から戦後文学の金字塔といわれる「抱擁家族」までの十年間の短篇作品を精選。この間、アメリカ留学、家の新築、妻の手術、妻の死、再婚と、著者自身へもめまぐるしい「事件」が生じ、〈関係〉をめぐるドラマが主題となる。見知らぬ男からの一方的な関係、監禁という関係、友人の中にいる異質な友との関係、友人と妻の姦通……。「抱擁家族」へとなだれ込む、貴重な短篇集。
  • 新装版 一葉の日記

    新装版 一葉の日記

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,716円 (税込)
    一葉は、いつも庶民のなかにいた。そして、頭のなかでは、社会のありかたの不当さをいつも考えていた。(本文より)樋口一葉の研究に没頭して伝記・評論を書き続け、全集の実務にも携わった作家・和田芳恵が、一葉16歳から死に到る25歳までの日記を、鋭い洞察力で丹念に分析。一葉文学の本質を描出し評伝文学の白眉といわれた。著者畢生の仕事である一葉研究の集大成。日本芸術院賞受賞。
  • 三木清文芸批評集

    三木清文芸批評集

    ビジネス・実用
    -
    1巻1,705円 (税込)
    「哲学と文学とは根本において同じ問題をもっている。そのような問題は、例えば、運命の問題である。自由と必然の問題、道徳と感性との対立の問題である。」哲学者にして評論家の三木清はまた、稀代の文芸批評家でもあった。批評論・文学論・状況論の三部構成で、その豊かな批評眼を読み解く。
  • 藁屋根

    藁屋根

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,705円 (税込)
    戦時中に結婚して初めて一緒に住んだ大きな藁屋根の家、そして戦後に疎開先から戻って住み込んだかつての飛行機工場の工員寮を舞台に、大寺さん連作のうちでも若かりし日にあたる三作と、恩師である谷崎精二を囲む文学者の交流と彼らの風貌を髣髴とさせる「竹の会」、アルプス・チロルや英国の小都市を訪れた際の出来事を肩肘張らぬ筆致で描いて印象深い佳品が揃う短篇集。
  • 天窓のあるガレージ

    天窓のあるガレージ

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,705円 (税込)
    日常から遠く隔たった土地の悠久の歴史を物語る遺構や人を寄せ付けない奥深い自然の中に身を置いた主人公が自らの経験を通じて「私」を超えていこうとする試みは、やがて若者や女性といった身近な他者の異質な感性に刺激されて一層深化した世界感覚によって変貌を遂げる。後に高い評価を受ける都市を舞台にした作品群の嚆矢となった表題作を始め、転形期のスリルに満ちた傑作短篇集。
  • 芸者小夏

    芸者小夏

    小説・文芸
    -
    1巻1,672円 (税込)
    故・丸谷才一氏が愛した、花柳小説の金字塔――温泉芸者の子に生まれ、水商売の中で育った夏子。この宿命の絆を断ち切りたいと希いながらも、外に道はなく、夏子は15で芸者小夏となった。純情を捧げた初恋の教師に裏切られ、夏子は日ましに「女」になっていく……。若き日に色町に親しみ男女の機微を知る著者が、戦後の脂の乗りきった時期に書き継ぎ、「夏子もの」として人気を博した連作小説の第1作。
  • 自伝の世紀

    自伝の世紀

    文学の長い歴史のなかで成長を続けた小説ジャンルといえども、20世紀になるとその地位がゆらぎ、あたかも生命体のごとくに、老化衰退の様相を呈し始める。その間、自伝ジャンルは、「私」のイメージの拡大とともに、目ざましい急成長をとげる。本書は、自伝ジャンルこそ20世紀文学の中核的位置を占めるものである、という主張を基軸に執筆された、著者畢生の自伝論である。芸術選奨受賞作。
  • 田園風景

    田園風景

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    貿易会社に勤める主人公の日常を東南アジアを舞台に描いた表題作「田園風景」、知り合いのアメリカ人夫婦の子供を預かる話「夏野」「向かいて聞く」、ほかに「コネティカットの女」「土手の秋」「寒桜」など9篇。明瞭な日常風景が、抽象世界へと転化し、人間の存在が、描かれる風景に同化し吸収されてゆく独得の世界を展く、傑作短篇小説集。野間文芸賞受賞作。
  • 猛犬 忠犬 ただの犬

    猛犬 忠犬 ただの犬

    こよなく動物と自然を愛し続けた著者の自伝的小説。少年から青年へと成長していく過程でさまざまな犬との出会いと別れを綴った作品。……「動物文学」というカテゴリーを確立し、国民の支持を得た戸川幸夫の原点ともいうべき自伝的小説。もの心つく前から動物好きであったという著者が、さまざまな気質の犬と育った幼い頃から、運命的な犬との出会いをする旧制高校時代までを、愛情を持った動物への的確な観察眼で描き切る。それは犬への鎮魂歌であるとともに、おのれの成長の証であった。動物文学の第一人者が犬と語り続けた自伝的小説。
  • 凡人伝

    凡人伝

    小説・文芸
    -
    1巻1,672円 (税込)
    主人公の英語教師はあるときふと思い立つ。世に偉人伝は数多あるが、第二のナポレオンは現れない。ならば失敗に鑑みる『凡人伝』を書くほうがよほど有益だ。神童と謳われ、その後凡人の道を歩む自分の伝記を書こう、と。自然主義、プロレタリア文学隆盛時に全く新たな分野を開拓、「ふつうの人々」の生活に寄りそい、上質で良識ある笑いを文学にもたらした、ユーモア小説の第一人者による傑作長篇。
  • 谷崎潤一郎論

    谷崎潤一郎論

    小説・文芸
    -
    1巻1,672円 (税込)
    『細雪』の刊行、文化勲章受章とまさに谷崎評価の絶頂期、それまで雑誌や新聞の注文に応じて執筆していた著者が、初めて「僕の方から頼んで書かせてもらった」挑戦的評論。武田泰淳は「乱れが無さすぎるほどよく整理された論文」として、その手さばきを有能な外科医の手術に喩え、「病根を知る者の緊張が、彼を徹底的にする」と絶賛した。読み物としても面白い独創的年譜に、補遺を加えた決定版。
  • 吉田松陰 武と儒による人間像

    吉田松陰 武と儒による人間像

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    激動する時代のなかで、閃光を放つかのように、短き生涯を終えた吉田松陰。その透徹した志や無類の誠実さとして現れた至純の精神の成り立ちを、<武>と<儒>という原理の統一のなかに見出す。僧黙霖、橋本左内、佐久間象山、山鹿素行、山本常朝と対比されることで、松陰の俊傑ぶりや人間的魅力が浮かびあがる。史実に対し文学的想像力で肉迫した、著者晩年の代表作。野間文芸賞受賞作。
  • 地獄変相奏鳴曲 第四楽章

    地獄変相奏鳴曲 第四楽章

    小説・文芸
    -
    1巻1,672円 (税込)
    本第四楽章をもって、〈連環体長篇小説〉『地獄変相奏鳴曲』がついに完結。十五年戦争の時代をくぐり、敗戦・占領下の混乱、そして戦後の激動を生き抜いてきた、一組の老齢に達した夫婦が、周到な準備のもと、何ゆえ「情死」を選びとったのか? 互いに敬愛する男女の仲に根づく〈無神論的・唯物論的にして宗教的〉な境地とはいかなるものか? 日本人の現代および近未来の課題に果敢に挑戦した最終楽章「閉幕の思想」。
  • 地獄変相奏鳴曲 第一楽章・第二楽章・第三楽章

    地獄変相奏鳴曲 第一楽章・第二楽章・第三楽章

    小説・文芸
    -
    1巻1,672円 (税込)
    第一楽章「白日の序曲」の初稿発表より40年の歳月を経て完成した「連環体長編小説」――全四楽章のうち、旧作の新訂版である第一楽章から第三楽章までを本書に収録。異姓同名の男女の織りなす四つの世界が、それぞれ独立した中篇小説でありながら、重層化され、ひとつの長篇小説となる。十五年戦争から、敗戦・占領下、そして現代にいたる、日本人の精神の変遷とその社会の姿を圧倒的な筆致で描破。
  • 伊東静雄

    伊東静雄

    萩原朔太郎が「日本に尚一人の詩人がある」と激賞した伊東静雄の第一詩集『わがひとに与ふる哀歌』。その詩群に魅了された著者が伝記的通説を排除し、註釈に徹した画期的詩人論。『哀歌』全篇に用心深く隠された連繋を、「私」と「半身」というふたりの擬作者に割り振り、『古今和歌集』、ヘルダーリンの詩、セガンティーニの絵に範例を求めつつ詩人の「意識の暗黒部との必死な格闘」を読み解く。
  • 吹雪物語

    吹雪物語

    小説・文芸
    -
    1巻1,672円 (税込)
    希望の裏打ちのない若者の行為があり得ようか過去・現在・情念・観念の行きかう193X年冬の新潟。鋭利、俊敏な安吾が、全青春を賭けて敢闘した力作――後の"安吾"を生んだ"夢と混沌"の巨大な"坩堝"。同時代の批評に埋没させられていた秀作『吹雪物語』。
  • サハリンへの旅

    サハリンへの旅

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,672円 (税込)
    自己形成の原点――サハリンへの2週間の“帰郷”の実現。祖母、義姉、親族、同胞達との交歓。言葉なき言葉――“陸封”34年を隔て異郷の地に再会した離散一族、民族の“それぞれの立場”を抱擁し、アイデンティティ同一性を真摯に追求しつづける李恢成積年の願望――パルチャ(運命)の旅!

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  • 惜櫟荘主人

    惜櫟荘主人

    小説・文芸
    -
    1巻1,672円 (税込)
    「低くくらし、高く思う」を精神の支柱に据え、処女出版・漱石の『こゝろ』以来、本作りの全てに最高を求め、先見の明と強い信念で多くの優れた全集・叢書等を上梓、出版事業に激しく情熱を燃やした人間味豊かな岩波茂雄。17歳で入店以来“岩波文化”の黄金時代を共に築き上げ、互いに最も信頼しつつ、強烈な個性をぶつけあった著者が肌身を通して語る、追慕の情溢れる偉大な出版人の記録。
  • 二葉亭四迷伝 ある先駆者の生涯

    二葉亭四迷伝 ある先駆者の生涯

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    明治の黎明期に、近代小説の先駆的な作品『浮雲』を書き、「言文一致体」を創出した文豪・二葉亭四迷の、46年の悲劇的な生涯を、全17章から成る緻密な文体で追う。最終章は、ロシアからの帰途の船上で客死する記述に終り、著者「あとがき」に、「これは彼の生活と時代を再現することを必ずしも目的としたのでなく、伝記の形をとった文学批評だ」とある。評伝文学の古典的名著。読売文学賞受賞作品。
  • 愛の生活・森のメリュジ-ヌ

    愛の生活・森のメリュジ-ヌ

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    《わたしはFをどのように愛しているのか?》との脅えを、透明な日常風景の中に乾いた感覚的な文体で描いて、太宰治賞次席となった19歳時の初の小説「愛の生活」。幻想的な究極の愛というべき「森のメリュジーヌ」。書くことの自意識を書く「プラトン的恋愛」(泉鏡花文学賞受賞作)。今日の人間存在の不安と表現することの困難を逆転させて、細やかで多彩な空間を織り成す、金井美恵子の秀作10篇。
  • 反文学論

    反文学論

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,650円 (税込)
    抜群におもしろい文芸時評の白眉――1977年から78年にわたり、初期代表作となる『マルクスその可能性の中心』、『日本近代文学の起源』と並行して書かれた、著者唯一の文芸時評集。100人近い現役作家を俎上に載せた短い<時評>と<感想>に、この類稀な批評家のエッセンスが凝縮し、横溢する。転換期に立つ「近代文学」の終焉を明瞭化した記念碑にして、これから文学にかかわる者の、必読の書。 ◎「……この『反文学論』は、著者の批評活動すべてが圧縮されたものだと言える。読者は、本書に対して、まるで「柄谷行人」という映画の予告編をみているような印象をもつであろう。そのことを可能としているのは、ひとえに本書が「文芸時評」という制約を受けていることによるのだ。」<池田雄一「解説」より> ※本書は、1991年11月『反文学論』(講談社学術文庫)を底本としました。
  • 坂口安吾と中上健次

    坂口安吾と中上健次

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    闘う知性が読み解く、事件としての安吾と中上――日本の怠惰な知性の伝統の中で、「事件」として登場した坂口安吾と中上健次。二人は、近代文学の根源へ遡行しつつ、「自然主義」と「物語」の止揚を目指す。安吾は、自らを突き放すような他者性に文学の「ふるさと」を見出し、中上は、構造に還元することなく、歴史の現在性としての「路地」と格闘する。闘う知性としての安吾と中上を論じた、74年から95年までの批評を集成した、伊藤整文学賞受賞作。 ◎「文学」とは、どんな秩序にも属さず、たえず枠組を破ってしまう荒ぶる魂であった。文学をやっている人がすべてそうなのではない。むしろその反対である。文学という枠組を吹き飛ばすようなもの、それが「文学」だった。私と中上は文壇において暴風雨のような存在であった。そして、われわれがともに敬愛していたのが坂口安吾である。(中略)私は安吾を高く評価していた。しかし、小説家としてではない。私にとって、彼の作品は、哲学であり、歴史学であり、心理学あり……、それらすべてをふくむ何か、要するに、「文学」であった。<「著者から読者へ」より>
  • 暗い絵・顔の中の赤い月

    暗い絵・顔の中の赤い月

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    新人・野間宏、戦後日本に颯爽と登場――初期作品6篇収録のオリジナル作品集 1946年、すべてを失い混乱の極みにある敗戦後の日本に、野間宏が「暗い絵」を携え衝撃的に登場――第一次戦後派として、その第一歩を記す。戦場で戦争を体験し、根本的に存在を揺さぶられた人間が、戦後の時間をいかに生きられるかを問う「顔の中の赤い月」。ほかに「残像」「崩解感覚」「第三十六号」「哀れな歓楽」を収録する、実験精神に満ちた初期短篇集。 ――草もなく木もなく実りもなく吹きすさぶ雪風が荒涼として吹き過ぎる。はるか高い丘の辺りは雲にかくれた黒い日に焦げ、暗く輝く地平線をつけた大地のところどころに黒い漏斗形の穴がぽつりぽつりと開いている。その穴の口の辺りは生命の過度に充ちた唇のような光沢を放ち、堆い土饅頭の真中に開いているその穴が、繰り返される、鈍重で淫らな触感を待ち受けて、まるで軟体動物に属する生きもののように幾つも大地に口を開けている。
  • うるわしき日々

    うるわしき日々

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    『抱擁家族』の30年後の姿 老いと家族をテーマの長篇――80を過ぎた老作家は、作者自身を思わせて、50過ぎの重度アルコール中毒の息子の世話に奮闘する。再婚の妻は、血のつながらぬ息子の看病に疲れて、健忘症になってしまう。作者は、転院のため新しい病院を探し歩く己れの日常を、時にユーモラスなまでの開かれた心で、読者に逐一説明をする。複雑な現代の家族と老いのテーマを、私小説を越えた自在の面白さで描く、『抱擁家族』の世界の30年後の姿。
  • 男

    男

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,650円 (税込)
    男は黙ってよく働いている だいじにしなければなあと思う 歿後30年。 「男」をめぐる初の随筆選。 羅臼の鮭漁、森林伐採、ごみ収集、救急医療、下水処理、少年院、橋脚工事―― 日常の暮らしを支える現場で働く男性たちに注ぐ、やわらかく細やかな眼差し。 現場に分け入り、プロフェッショナルたちと語らい、自身の目で見て体感したことのみを凜とした文章で描き出す、行動する作家・幸田文の随筆の粋。 (収録作品) 男(濡れた男/確認する/切除/火の人/傾斜に伐る/都会の静脈/まずかった/ちりんちりんの車/救急のかけはし/並んで坐る/橋) ちどりがけ 当世床屋譚 植える 出合いもの いい男 男のひと 素朴な山の男 男のせんたく 男へ
  • 北愁

    北愁

    小説・文芸
    3.5
    1巻1,650円 (税込)
    幼くして母を亡くし、継母と文筆家の父に育てられた才気煥発な娘あそぎ。そのまっすぐな気性は時に愛され、時に人を傷つける。婚家の没落、夫婦の不和、夫の病――著者・幸田文自身を彷彿とさせる女性の波乱の半生を、彼女を取り巻く人々とのつながりの中でこまやかに描きあげた長編小説。
  • 七十句/八十八句

    七十句/八十八句

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    〈ばさばさと股間につかふ扇かな〉――墓石にこの句を刻み、墓碑銘を俳号である「玩亭墓」とのみ記した小説家は、こよなく句作を愛した。人情の機微を卓抜にすくい取る句を選りすぐり、古希と米寿を記念して編まれた句集2冊に、岡野弘彦、長谷川櫂と巻いた未発表の歌仙を併録。生前の姿が浮かび上がる、知と情とユーモア溢れる句の世界。
  • 詩集「三人」

    詩集「三人」

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    反骨の詩人金子光晴と妻・森三千代、息子・森乾が綴った詩を、光晴が手書きで私家製の詩集にまとめあげた、家族愛と戦争への嫌悪に満ちた、貴重な戦中詩集。 戦争よ。/破砕くな。/年月よ。/もつてゆくな。 父とチヤコとボコは/三つの点だ。/この三点を通る/三人は一緒にあそぶ。 (中略)三本の蝋燭の/一つも消やすまい。/からだをもつて互いに/風をまもらふ。(「三点」より)
  • 志賀直哉・天皇・中野重治

    志賀直哉・天皇・中野重治

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    医師として、遅咲きの小説家として、独自の文学世界を築きあげた藤枝静男。平野謙と本多秋五という刺激を与え続けた友人、そして深く傾倒した師・志賀直哉の存在。志賀直哉に関わる作品を中心に名作「志賀直哉・天皇・中野重治」など、藤枝文学の魅力をすくいとった珠玉の随筆選。文学の師に関わる思いと藤枝文学の底流が、ここにある!
  • 獄中十八年

    獄中十八年

    ビジネス・実用
    -
    1巻1,650円 (税込)
    敗戦直後の、あらゆる価値が崩壊したかに見えた世相にあって、徳田球一と志賀義雄の「獄中十八年、非転向」がどれほど眩しく見えたか。それは多くの若者や文学者が続々と入党したことからも明らかです。共産主義者としての来し方を述べた本書は、親しみやすい語り口もあってベストセラーとなりました。多分に政治的文書であると同時に、ある時代の息吹を伝えるすぐれた文学的回想として文芸文庫に収録するゆえんです。
  • シェイクスピアの面白さ

    シェイクスピアの面白さ

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    木下順二、丸谷才一らが師事した英文学者にして名翻訳家として知られる著者が、シェイクスピアの芝居としての魅力を縦横に書き尽くした名エッセイ。人間心理の裏の裏まで読み切り、青天井の劇場の特徴を生かした作劇、イギリス・ルネサンスを花開かせた稀代の女王エリザベス一世の生い立ちと世相から、シェイクスピアの謎に満ちた生涯が浮かび上がる。毎日出版文化賞受賞。
  • 三木清教養論集

    三木清教養論集

    ビジネス・実用
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    「教養といわれるのは単に専門的乃至職業的知識のことでなく、人間が真に人間らしくなるために必要な知識のことである。」ファシズムが台頭する昭和初期の日本社会で、のびやかに思考し時代と共に息づく教養の重要性を説いた孤高の哲学者、三木清。読書論・教養論・知性論の三部構成で、その思想の真髄に迫る。
  • 明日なき身

    明日なき身

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,650円 (税込)
    離婚を繰り返し、生活に困窮して生活保護と年金で生きる老人の日常の壮絶。高齢化社会を迎えた今、貧困のなかで私小説作家は、いかに生きるべきか……。下流老人の世界を赤裸々に描きつつも、不思議に悲愴感はない。自分勝手なダンディズムを貫き哀感とユーモアを滲ませる、二十一世紀の老人文学。
  • 木菟燈籠

    木菟燈籠

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    そこはかとないユーモアやはにかみを湛えたかざりのない文章でどこか懐かしいような風景を描き上げて多くのファンを持つ"小沼文学の世界"。季節や時代の移ろいに先輩の作家や同僚の教員、学生時代の友人など愛すべき人々の風貌を髣髴とさせる、この著者ならではの好短篇集。
  • 諷詠十二月

    諷詠十二月

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,650円 (税込)
    「この書は詩歌の理解に熱心な、あるいは熱心ならんと欲せらるる、比較的年少の初学の読者を聴者として、著者の素懐を仮りに題を設けて説かんと企てたもの……」。昭和17年9月、太平洋戦争のさなかに書下された本書は、万葉から西行、子規、晶子の短歌、菅原道真、新井白石、頼山陽の漢詩、芭蕉、蕪村、虚子の句、朔太郎、犀星の詩等々、秀作を鑑賞し、美と真髄を明かす、詩歌入門の不朽の名著。
  • スエデンボルグ

    スエデンボルグ

    ビジネス・実用
    -
    1巻1,650円 (税込)
    「禅」を世界に広めた近代日本を代表する仏教者・鈴木大拙が、その思想形成において多大な影響を受けたスエデンボルグの神秘主義神学の精髄を広く一般読者に向けての概説書。併せて同じく大拙が訳した「新エルサレムとその教説」(スエデンボルグ著)などを収録し、宗教界のみならずゲーテやバルザックを初めとする後世の文学者にも深い影響を与えたその思想の全容、および鈴木大拙自身のスエデンボルグ理解の本質に迫る一書。
  • 星に願いを

    星に願いを

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    ブルームーン(六月十五日)。妻は庭のブルームーンの咲いたのを三つ切って来て、書斎のサイドテーブルに活ける。――山の上の家で、たんたんとした穏やかな日常。子供も成長し、二人きりの老夫婦に、時はゆったりと流れてゆく。晩年の庄野作品の豊かさと温もりを味わえる上質の文学。
  • 「文壇」の崩壊

    「文壇」の崩壊

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    文壇事情に精通し、匿名批評も多くし、四十九歳で世を去った昭和の文芸批評家、十返肇。軽評論家と称され、正当な評価を受けていたとは言いがたい彼はしかし、文学への深い愛と理解力、該博な知識をもって、昭和という激動の時代の文学の現場に、生き証人として立ち会い続けた希有なる評論家であった。今なお先駆的かつ本質的な、知られざる豊饒の文芸批評群。
  • 山躁賦

    山躁賦

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,650円 (税込)
    確かなものに思われた日常の続きをふと見失った「私」は、病み上がりのけだるい心と体で、比叡高野等の神社仏閣を巡る旅に出る。信仰でも物見遊山でもない中ぶらりんの気分で未だ冬の山に入った「私」を囲み躁ぐ山棲みのモノ達――。現在過去、生死の境すら模糊と溶け合う異域への幻想行を研ぎ澄まされた感覚で描写。物語や自我からの脱出とともに、古典への傾斜が際立つ古井文学の転換点を刻する連作短篇集。
  • 落葉・回転窓 木山捷平純情小説選

    落葉・回転窓 木山捷平純情小説選

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    男と女の出会いと恋愛の機微を永久の時間のなかで紡ぎ出す短篇小説の魔術師・木山捷平。その鮮麗なる筆致は読む者すべてを魅了する。「村の挿話」「猫柳」「空閨」「増富鉱泉」「男の約束」「落葉」「回転窓」「留守の間」「口婚」「好敵手」「七人の乙女」を収録。
  • 死の淵より

    死の淵より

    小説・文芸
    -
    1巻1,650円 (税込)
    つめたい煉瓦の上に/蔦がのびる/夜の底に/時間が重くつもり/死者の爪がのびる(「死者の爪」)。死と対峙し、死を凝視し、怖れ、反撥し、闘い、絶望の只中で叫ぶ、不屈強靱な作家魂。醜く美しく混沌として、生を結晶させ一瞬に昇華させる。"最後の文士"と謳われた高見順が、食道癌の手術前後病床で記した絶唱63篇。野間文芸賞受賞作。
  • 白鳥評論

    白鳥評論

    小説・文芸
    5.0
    1巻1,650円 (税込)
    「多年文学を本質的に重要視しないで年を取ってきたのに、いつの間にか私の肉体の骨髄までも文学病に冒されているのである。自分はむしろ悲んでいる。」 辛辣な文化欄記者として名を馳せ、のちには評論家として、 独自のシニシズムに貫かれた透徹した視点で生涯にわたり旺盛な批評活動を展開した正宗白鳥。その膨大な評論群から、文学論と作家論の秀作を厳選。
  • 私の万葉集 五

    私の万葉集 五

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,650円 (税込)
    大岡信が、六年間に亘って「万葉集」に立ち向かった『私の万葉集』の最終巻。巻十七から二十。この第五巻は「歌日記」が中心であり、万葉最末期の歌 移り行く 時見るごとに 心痛く 昔の人し 思ほゆるかも 大伴家持天平時代の人間を生き生きと伝える、大岡信渾身の、実作者による日本美起源の鑑賞、完結。
  • 読書と人生

    読書と人生

    小説・文芸
    4.7
    1巻1,650円 (税込)
    なにを、どう読み、いかに生きるか。真摯な問いかけが深い感動を呼ぶ、永遠の読書論。ファシズムに抗し獄死した近代日本を代表する哲学者による読書案内であり、秀逸な人生論でもある。混迷の時代を生きる現代人必読の書。
  • 深夜の人・結婚者の手記

    深夜の人・結婚者の手記

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,650円 (税込)
    結婚 芥川君 関東大震災――犀星の見つめる生と死。生涯で膨大な作品を残した室生犀星。大正から昭和初期にかけての著作の中から、結婚や家族を対象にしたもの、芥川龍之介を中心とした交遊関係に言及したもの、関東大震災を経験し生と死について触れたものを各章に分けて編纂。小説、詩歌のみならず、日記や書簡からも犀星の文学に対する姿勢や精神を読み解く作品集。
  • 私の万葉集 四

    私の万葉集 四

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,650円 (税込)
    『私の万葉集』第四巻。ここでは、大岡信が「万葉集」巻十三から十六までを取り上げる。特に力を入れている巻十六は歌数こそ少ないものの、その多様性と知的興味を誘う魅力溢れた刺激的巻である。正岡子規もこの巻十六について書いているように、「滑稽的美」を感じる特異かつ最も重要な一巻である。
  • 私の万葉集 二

    私の万葉集 二

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,650円 (税込)
    巻二の補遺及び、巻五から巻七までを取り上げる。巻五は、『万葉集』全二十巻の中でも特異であり、大伴旅人と山上憶良の二人に尽きるといっても過言ではなく、しかも、濃密かつ心に残る和歌の抒情の魅力が詰まった巻として有名。『万葉集』の面白さを存分に感じる一冊。
  • 私の万葉集 一

    私の万葉集 一

    小説・文芸
    3.0
    1巻1,650円 (税込)
    限りなく尊くまた懐かしく面白い万葉の歌。 詩歌の実作者が書いた『万葉集』の鑑賞。 8世紀後半に成立した『万葉集』は、きわめて難解である一方、我々の心に残る多くの親しまれた歌がある。 その膨大な数の歌を、巻一から巻二十まで通読した大岡信の鑑賞に、日本の美学の起源をみる。 『万葉集』を、現代人が味わい楽しむ「生きた」歌集にするために、現代詩人が挑む。
  • ショート・サーキット 佐伯一麦初期作品集

    ショート・サーキット 佐伯一麦初期作品集

    小説・文芸
    4.3
    1巻1,650円 (税込)
    若くして父となったかれは生活のため配電工となった。都市生活者の現実に直面するうち3人の子供の父となり、妻はすでに子供たちのものになってしまった。今日も短絡事故(ショート・サーキット)が起こり、現場にかけつける――。野間文芸新人賞受賞の表題作に、海燕新人文学賞受賞のデビュー作「木を接ぐ」をはじめ、働くということ、生きるということをつきつめた瑞々しい初期作品5篇を収録。
  • 日和山 佐伯一麦自選短篇集

    日和山 佐伯一麦自選短篇集

    小説・文芸
    4.5
    1巻1,650円 (税込)
    新聞配達の早朝の町で、暗天に閉ざされた北欧の地で、染織家の妻と新たな暮らしを始めた仙台の高台の家で、そして、津波に耐えて残った小高い山の上で――「私」の実感をないがしろにしない作家のまなざしは常に、「人間が生きて行くこと」を見つめ続けた。高校時代の実質的な処女作から、東日本大震災後に書き下ろされた短篇まで、著者自ら選んだ9篇を収録。
  • 村のエトランジェ

    村のエトランジェ

    小説・文芸
    3.7
    1巻1,650円 (税込)
    小さな村に疎開してきた美しい姉妹。ひとりの男をめぐり彼女らの間に起こった恋の波紋と水難事件を、端正な都会的感覚の文章で綴った表題作ほか、空襲下、かつての恋人の姿をキャンバスに写すことで、命をすりへらしていく画家との交流をたどる「白い機影」など、初期作品8篇を収録。静かな明るさの中に悲哀がただよい、日常の陰影をさりげないユーモアで包む、詩情豊かな独自の世界。「小沼文学」への導きの1冊。
  • 山を走る女

    山を走る女

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    21歳の多喜子は誰にも祝福されない子を産み、全身全霊で慈しむ。罵声を浴びせる両親に背を向け、子を保育園に預けて働きながら1人で育てる決心をする。そしてある男への心身ともに燃え上がる片恋――。保育園の育児日誌を随所に挿入する日常に即したリアリズムと、山を疾走する太古の女を幻視する奔放な詩的イメージが谺し合う中に、野性的で自由な女性像が呈示される著者の初期野心作。
  • みずから我が涙をぬぐいたまう日

    みずから我が涙をぬぐいたまう日

    小説・文芸
    3.6
    1巻1,650円 (税込)
    天皇に殉じて割腹、自死を遂げた作家の死に衝撃を受けた、同じ主題を共有するもう1人の作家が魂の奥底までを支配する〈天皇制〉の枷をうち破って想像力駆使し放つ"狂気を孕む同時代史"の表題作。宇宙船基地より逃走する男が日本の現人神による救済を夢見る「月の男」。──全く異なる2つの文体により、現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説2篇。
  • 僕が本当に若かった頃

    僕が本当に若かった頃

    小説・文芸
    3.8
    1巻1,650円 (税込)
    障害をもつわが子と妻との日常、そして夥しい量の読書。少年の日の記憶、生の途上における人との出会い。「文章を書き、書きなおしつつ、かつて見たものをなぞる過程でしだいに独特なものを作ってゆく」という方法意識の作家「僕」が綴る、表題作等9篇の短篇小説。切迫した震える如き感動、特にユーモアと諧謔をたたえて還暦近づき深まる、大江健三郎の精神の多面的風景。
  • 中原中也

    中原中也

    小説・文芸
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    中原の不幸は果して人間という存在の根本的条件に根拠を持っているか。……人間は誰でも中原のように不幸にならなければならないものであるか。……深い友情から発した鋭い洞察力と徹底した実証的探究で、中原中也とは何か、文学とは何かに迫る第1級の評伝。野間文芸賞受賞の『中原中也』から「中原中也伝――揺籃」「朝の歌」「在りし日の歌」を収録。
  • 桜島 日の果て 幻化

    桜島 日の果て 幻化

    小説・文芸
    4.4
    1巻1,650円 (税込)
    処女作「風宴」の、青春の無為と高貴さの並存する風景。出世作「桜島」の、極限状況下の青春の精緻な心象風景。そして秀作「日の果て」。「桜島」「日の果て」と照応する毎日出版文化賞受賞の「幻化」。不気味で純粋な"生"の旋律を伝える作家・梅崎春生の、戦後日本の文学を代表する作品群。
  • 天誅組

    天誅組

    小説・文芸
    -
    1巻1,617円 (税込)
    尊皇攘夷、公武合体、権謀術数が渦巻く激動の幕末の文久2年、土佐の山奥の若き庄屋・吉村虎太郎は、脱藩を敢行。翌年8月、「天誅組」を組織、挙兵。その秋、激烈なる死を遂げた。草莽の志士たちへの著者の深い共感が、歴史に埋もれた「もう一つの転換期のエネルギー」を鮮やかに捉える。史料の博渉、明晰なる解読で、維新の先駆者の真実を追跡。「物語体」も一部駆使した、創見溢れる「史伝体歴史小説」。
  • 持続する志 現代日本のエッセイ

    持続する志 現代日本のエッセイ

    小説・文芸
    3.8
    1巻1,617円 (税込)
    「被爆者の自己救済行動」「沖縄の戦後世代」他ヒロシマ、沖縄、核基地、憲法についての諸エッセイと、「安部公房案内」「中野重治の『梨の花』の文章」等戦後文学への豊かな考察を示す作家・作品論。全55篇。30代に入った著者は、己れの存在の根元に突きささる鋭い痛みの感覚をもって状況への誠実な発言を続ける。1960年代後半、『厳粛な綱渡り』後の第2エッセイ集。

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