小説作品一覧
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4.0平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを、緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る、芥川賞受賞作「夏の流れ」。稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」。ほかに、「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など、初期の代表作7篇を収録。 ◎「丸山健二の文学性は、ジェームズ・ジョイスに通じる。本作品集に収録されている初期短編を改めて読みながら、私はそう思った。(中略)すぐれた芸術家は生涯を通して変貌を続けるが、若き日の作品群は作品を受容する側にとっての定点を提供する。ピカソのキュビズムは、初期の見事な絵画によって担保される。このような文脈において、本文庫に収められた初期の短編の数々は、弱冠23歳で芥川賞を受賞し、長年文壇と一線を画して孤高の道を歩んできた丸山健二の文学の全体像を理解する上で、重要な意味を持つのではないか。」<茂木健一郎「解説」より>
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4.1人は死を前に、何を見、何を思い、何を考えるのか? 死は誰にも平等に訪れるものです。 それゆえ、古来、人は死を恐れ、「死を思う」ことで自らの存在を見つめてきました。 現代においても未知の感染症の拡大で、死の恐怖を身近に感じる事態が起こります。 本書は半世紀以上前に、死を迎えつつある人の心の動きを、二百人におよぶ患者の聞き取りで解明しようとしたものです。 自分や周囲の人の死をどう受け容れるか。 死について考えるとき、道しるべとなる一冊です。
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4.0優等生のハインツ,時代の流れに素直には従えないギュンター,そして〈ぼく〉.ヒトラー政権下のドイツで,青少年組織ヒトラー・ユーゲントに入団した少年たちが経験したことは? すさまじい勢いで戦争へ突入していく日々を,その時代に生きた〈ぼく〉が,克明に,そして淡々と描く.『あのころはフリードリヒがいた』の続編.
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3.9芸人BKB衝撃の作家デビュー作は、世にも奇妙な“超短編”小説集! 「Bばなな K感心 Bびっくり! 彼はいつも少しだけ哀しい、別の世界を見ているんだね」――吉本ばなな 作品投稿サイト「note」で大反響を呼んだ、“すぐ読めて、もう一度読み返したくなる”BKBのショートショート(超短編小説)が待望の書籍化! SNS上でも話題沸騰の表題作ほか、note投稿作品を厳選し、さらに書き下ろし5作を加えた全50作品を収録。 著者によるセルフレビュー付き! 恋愛、ミステリー、SF……思わず涙しちゃう感動作から、クスッと笑えるブラックコメディまで、多彩なジャンルで魅せる大どんでん返しの連続が、読者の予想を裏切り続ける! 発行:ヨシモトブックス 発売:ワニブックス
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4.0“3分で読める”楽しく不思議な物語。都会に住む「4人のキャラクター」が登場する。その主人公たちの連作でもある16の物語。 【内容】 フシギ委員/さくらさくら/目/逃げるプール/都会(まち)の星座/気クラゲ/天才タクミ君の自由研究/校庭の魔物/小鳥の歌/海のモノ/ビ生物/カトウさんの事情/吸血鬼(ヴァンパイア)の首/ノロリウィルス/こちょこチョコ/宇宙(そら)は歌う 〈主な登場人物〉 僕(ヤマモト ソウタ)/タナカ リョウ/スズキ ノリコ/サトウ タカシ 【著者プロフィール】 掘 真潮(ほり ましお) 女性小説家。2016年『瓶の博物館』でショートショート大賞受賞。 同年12月ショートショート作品集『抱卵』(キノブックス)でデビュー。2019年2月『夢と気づくには遅すぎた。』(キノブックス)を出版。 ウェブ連載『悪夢か現か幻か』(キノノキ)。他に広告として『水都物語』を執筆。最新刊の『5分後に意外な結末ex・アクアマリンから あふれる涙』(学研プラス)にも作品掲載。
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-東ドイツが葬った極秘計画、通称“ウォルラス”は終わっていなかった。 祖国を捨てた元スパイは、暗号を受け取り、古巣ベルリンへ舞い戻る。 復讐か、罠か――。 東ドイツの極秘計画をめぐるスパイスリラー! 「ウォルラス計画」とは:東ドイツ諜報機関(シュタージ)対外諜報部門の偵察総局K部管轄の極秘任務。1989年11月9日ベルリンの壁が崩壊し、スイスに逃亡するまでマルクスは携わっていた。K部の存在自体が極秘とされ、組織内の職員名簿や正式な書類にも決して表示されることはない。 ベルリンでロシア大使館職員が殺害された。 同日、スイスの高級ホテルで暮らすマルクスのもとに差出人不明の手紙が届く。 そこには、東ドイツの諜報機関“シュタージ”が闇に葬った極秘計画、 通称ウォルラスの緊急事態を告げる暗号が記されていた。 30年前、祖国を裏切り名前を捨てた元工作員マルクスはベルリンへ否応なく呼び戻され――。 そこで待ち受けるものとは!? イタリア発、衝撃のデビュー作!
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ハッピーエンドの裏側で泣いている女の子たちへ。 不安で押しつぶされそうな女子を元気づける、“明日を変える”言葉たち。 Twitterで人気のスイミー(@swimmy02)初の書籍化! 心にささる351個の言葉たちが、悩める女性にそっと寄り添い優しく励ましてくれる1冊です。 【もくじ】 1 泣いてもいいよ 2 そのままのあなたで 3 明日こそは笑えるように 4 ありがとう ※この商品は固定レイアウトで作成されております※ ・カラーページが多いので、タブレットなど大きいディスプレイやカラー表示を備えた端末で読むことに適しています。 ・文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能は使用できません。 【著者プロフィール】 スイミー そっと寄り添い優しく励ますような温かい言葉が、女性を中心に話題を呼ぶ。 本書が初の著書である。 Twitter: @swimmy02
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-※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 昭和という激動の時代に、人々を明るく励ます数々の音楽を生み出した作曲家と、その妻の物語――。連続テレビ小説「エール」の魅力と舞台裏を全力取材した、独自企画満載の一冊。 【主な内容】 ・窪田正孝・二階堂ふみ 巻頭撮り下ろし対談 ・出演者総勢41人 紹介&インタビュー ・舞台地 福島・豊橋 ・出演者・スタッフに聞いた「わが人生の一曲」 ・美術・セット紹介 ・タイトルバック紹介 ・ロケ日記 ・音楽・瀬川英史インタビュー ・主題歌・GReeeeN、語り・津田健次郎 ・主人公のモデル・古関裕而の音楽 ・萩本欽一インタビュー「古関裕而さんってどんな人?」 ・あらすじ ★電子版には読者プレゼントの告知ページがありません。ご了承ください
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3.7英仏間を飛ぶ飛行機内で、変死した老婦人が発見された。死因は蜂毒によるものか、それとも……名探偵ポアロが大空の密室に挑む!
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3.5英米各紙で超話題の傑作スリラーが登場! 母親と二人で暮らす5歳の少年がひき逃げ事件で命を奪われた。小さな男の子の無念を晴らそうと、ブリストル署の警察官レイは部下のケイトらと共に事件を追うが、犯人は杳として見つからず、捜査の打ち切りを迫られていた。 一方、海辺の町に現れ身を隠すように暮らしていた謎の女性ジェナは、獣医師のパトリックと惹かれ合う。 それぞれのドラマが交錯し、事件解決が見えたその時、あまりにもおぞましい真実が浮かび上がる。 NYタイムズ、サンデータイほか英米各紙のベストセラーリスト入りをした超話題作が、満を持して登場。読み出したら止められない、傑作スリラー。
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3.5※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 今読むべき2篇の名作を奇跡のマンガ化――世界で愛される村上春樹の恋愛短篇「螢」と、G・オーウェルが超管理社会到来を予言したディストピア長篇「一九八四年」!解説・柴田元幸
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3.8ポーランド発怪作ミステリーシリーズ第2作。 古都サンドミエシュのシナゴーグで見つかった女性の遺体。咽喉元を幾重にも切り開かれ、体中の血を抜かれて不自然なほどに真っ白になった「名士の妻」の無残な姿に、町の人々は騒然とする。独り身となりワルシャワから新天地に赴任した傷心の検察官シャツキは、久しぶりの大きな事件に腕を鳴らすが、やがて第2の遺体が発見され……。 欧州一ボヤく男、中年検察官シャツキが殺人事件の謎を追う「地獄めぐりの旅」。第3作『怒り』、第1作『もつれ』で日本のミステリーファンを驚かせた「ポーランドのルメートル」による怪作シリーズ、衝撃の第2作。
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-インド神話の精髄「マハーバーラタ」の完訳。1998年度翻訳出版文化賞受賞。これは、クル家とパーンドゥ家の領土をめぐって争われた戦いの物語である。父王の死んだ後、パーンドゥ5人兄弟は伯父のドリタラーシュトラ王のもとに引き取られ、従兄のドゥルヨーダナたちと一緒にわが子同様に育てられた。しかし、この間に従兄弟同士のライバル意識や憎しみの感情が芽生えていった。ドリタラーシュトラ王は、5人の長兄ユディシュティラの優れた人格を認め、王位相続者として指名する。ここから両王族間の果しない憎しみと戦いの歴史が始まる。ドゥルヨーダナは、パーンドゥ一族を滅ぼそうと奸計を巡らし、賭事好きのユディシュティラをサイコロ賭博に誘い、まんまと罠にかける。一切を奪われたユディシュティラたちはカーミヤカの森に放逐された……この物語は太古の昔から綿々とつづくため、神々の系譜など煩雑なところも多く、最初はなかなかとっつきにくい。「物語のあらまし」で概要を把握してから読みすすめるのがおすすめだ。
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-大人気コーナー「ファミリースカッと」の感動エピソード10編を完全ノベライズ! 「オレ……オレ、じいちゃんにひどいこと言って」「バーカ、気にするな」大作はそんな勇吾の姿が愛おしくて目を細めた。「いつも手伝ってくれてありがとな」 (「おじいちゃんの牛乳プリン」より) 「ママ、ボクがママのかわりに怒ってあげたからね。ボクがママを守るからね」息子の気丈なさまを見て涙が止まらなくなる (「小さなヒーロー」より) きっと父は、初めてメールを打ったのだろう。このたどたどしい文章を打つのに一体どれだけの時間がかかったのだろう。涙で視界がかすんでくる。 (「不器用な父からのメール」より) 視聴者投稿による「スカッとした」話をショートドラマ化して紹介する人気バラエティ番組『痛快TVスカッとジャパン』の「ファミリースカッと」は、「家族っていいなと思った」「思わず涙してしまった」と、多くの視聴者が感動を覚える大人気コーナー。ここで紹介された珠玉のエピソード10編を収録しました。 母と子、父と子、祖母と孫、祖父と孫、義理の父と子、シングルマザーと子……さまざまな家族の日常にこぼれ落ちた涙の物語に心があったかくなること間違いなし!
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4.0妻の遺したAIをめぐる切なくて温かな物語。 優秀な研究者の妻レイチェルを、ある日突然失った夫のエイダンと娘のクロエ。悲しみから立ち直れずにいる彼らの元にやって来たのは、生前、レイチェルが持てる技術の全てを投じて開発した、自分そっくりのアンドロイド「アイ・レイチェル」だった。「ロボット妻」「ロボット母」という存在に混乱し、反発するエイダンとクロエ。やがてアイ・レイチェルに託した妻の真意を知ることで徐々にアイ・レイチェルを受け入れ、彼女もまた、彼らとの交流を通して人間らしい感情を学んでいく。そしてエイダンとクロエも、失意の彼らにそっと寄り添うアイ・レイチェルの存在に癒やされていく……。 愛する家族との別れ、受容と再生、そして成長。読後、じんわりと温かな涙を誘う、切なくて愛おしいAIの物語。
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-主人公のポール、その二人の恋人たち、ポールの母親とのあいだに繰り広げられる愛憎の葛藤を描きつくしたロレンスの代表作のひとつ。母親は希望の星だった長男ウィリアムを亡くし、すべての期待と愛情をポールにそそぐ。ポールにとって母親は絶対だった。ポールの幼馴染の恋人ミリアムは読書が好きで宗教心もあついが、性については消極的だ。一方、もう一人の恋人クララは人妻で肉体的な魅力にあふれ、婦人権運動家でもあった。母親はミリアムに対して敵意さえいだき、クララに対してはむしろ寛容なところをみせる。ポールはミリアムを退けるが、母親が亡くなって絶望的な喪失感をいだく。クララはポールといさかいを起こし別居していた夫のもとに戻る。ポールはミリアムの求婚も振り切って、一人で生きていこうとする。
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-「インドの神々」を大解剖!! Q、インド人は本当に四本腕の神さまが実在すると思っているの? Q、カーリー女神寺院で、人身供犠が行われていたって本当? Q、インドで牛や樹木、石までが信仰対象になるのはなぜ? インドの神さまやインド人の信仰の「なぜ?」「どうして?」に答える『神々たちのインド』。ヴェーダの神々から、破壊神シヴァ、維持神ヴィシュヌ、英雄ラーマやクリシュナ、象頭のガネーシャといったヒンドゥー教の神々、また聖なるガンジス河から神聖な動物、悪魔(鬼神)まで、縦横無尽に記述。 「インドの不思議」解明の手がかりになる1冊が登場! 全編を彩るインド絵画(The Metropolitan Museum of Art所蔵)もあわせて。 (註)初版本『印度の神々』は1916年、向陵社より発行された。今回の新版にあたって、旧字体を現代仮名遣いに改めたほか、文語的語彙や言い回しを現代的表現に修正し、翻案を行った。 目次 神々たちのインド 第1章 インド神話の展開 第2章 ヒンドゥー教の聖典 第3章 天父ディアウスと地神プリティヴィー 第4章 火神アグニ 第5章 太陽神スーリヤ、サヴィトリ 第6章 全能の宇宙主神ヴァルナ 第7章 司雨の神インドラ 第8章 酒神ソーマ 第9章 冥府の主神ヤマ 第10章 『ヴェーダ』の小神 第11章 ヒンドゥーの三大神 第12章 創造神ブラフマーと学芸の女神サラスヴァティー 第13章 維持神ヴィシュヌと運命の女神ラクシュミー 第14章 ヴィシュヌの十種化身(マハー・アヴァターラ) 第15章 ラーマとシーター(『ラーマーヤナ』) 第16章 クリシュナとラーダー 第17章 仏教の創始者ブッダ 第18章 世界の主ジャガンナート 第19章 愛の神カーマデーヴァ 第20章 托鉢神チャイタニヤ 第21章 破壊神シヴァ 第22章 シヴァの妃パールヴァティー、ドゥルガー、カーリー 第23章 象頭神ガネーシャと軍神スカンダ 第24章 鬼神・動物・聖樹・女神・聖者などへの信仰 第25章 五人兄弟の物語(『マハーバーラタ』) 第26章 聖河信仰 第27章 動物信仰 第28章 聖樹や聖石信仰 第29章 女神信仰 第30章 英雄、聖者信仰 第31章 祖先崇拝 第32章 鬼神、悪魔崇拝 第33章 惑星信仰 第34章 聖者と北斗七星信仰 第35章 ジャイナ教と仏教の神々
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5.0TVアニメではモモの頼もしい師匠として活躍している雪だが、彼女にも弟子の時代があった。雪、メイ、初芽の3人と、その師匠たち6人の先代ツキカゲの戦いを描くスピンオフノベル、待望の単行本化!
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-絶体絶命、希望なし。気鋭の作家が放つ迫真のパニック・サスペンス! 島根県出雲市は、ある一瞬を境に瓦礫の山となった。TVに映し出される光景に誰もが息を呑むが、原因は不明のまま。局地的な天災か、北朝鮮のミサイルか、テロか!? 先遺隊として送り込まれた陸上自衛官の新野は、風変わりな子どもアキラと技術者の天音に出会う。彼女が勤務する巨大な研究施設で起きた“予測不能な事態”を知った新野は震撼する――。街が封鎖され通信手段がない中、唯一つながったTwitterには、最新のニュースや、救出を待つ人がいそうな場所などさまざまな情報が寄せられる。見知らぬ人々の祈りのもと、生存者たちは立ち上がるが……。 すべてを呑みこみ、破壊する。圧倒的な絶望を前に、人間が立ち向かう術はあるのか? ※本書は2017年6月1日に配信を開始した単行本「災神」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
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-漫画家・白浜鴎氏による新聞連載時の貴重なカラーイラストを22点収録した電子書籍特別版! 金沢城で生まれた私の結婚相手はわずか生後半年で決まった。(中略) 早すぎると思うかも知れないが、当時ではごくごく当たり前のことで、 大名の子の結婚はすべて政略結婚、 祝言の日まで互いに顔を合わせず、文も交わさぬのが慣習である。 私の生まれた文化の世とはそういう時代であった。――第一章「てんさいの君」より 不思議な縁(えにし)でつながる、三つの時代を生き抜いた三人の女性たち。 聡明さとしなやかさを兼ね備え、自然体で激動の時代を生き抜く彼女らを三部構成でドラマチックに描き出した壮大な大河ロマン! ※本書は2017年6月24日に配信を開始した単行本「政略結婚【電子限定イラスト収録版】」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
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4.0舞台はヴィクトリア朝のロンドン、拡大鏡を片手に元軍医のワトソンとともに活躍した鷲のような鋭い目、細身で寡黙な探偵。そう、彼の名前はシャーロック・ホームズ。登場以来時代を超え全世界を魅了し続けてきたのは、なぜか? その疑問をもとに推理小説がどのように誕生し、黄金時代を迎えていったのかをホームズを起点に丹念に辿る。本書はその歴史、基礎知識を交えながら、イギリス、アメリカ、そして日本の推理小説を概観し、正当な評価を与えるべく英文学者、愛好家の視点から考察する。推理小説を愛する多くの読者に捧げる一冊。書き下ろしオリジナル作品。
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-作家である「私」は、国立新美術館を訪れた。そこで不思議な軍服姿の男を見かけたのだが、その姿はかき消えてしまう。「私」は、美術館の建物が、一九三六年に起こった、大きな歴史上のクーデター事件である「二・二六事件」ゆかりであることに思いを馳せる。 帝都叛乱の二月二十六日、彼らはそれぞれの夜を過ごしていた……。当時の首相だった岡田啓介、侍従長だった鈴木貫太郎と妻のタカ、昭和天皇の実弟・秩父宮、陸軍の歩兵として反乱軍と同じ部隊にいた本多猪四郎、吉田茂の娘であり湯河原で襲撃を受けた麻生和子。五人それぞれの二・二六事件。 日本の平和に関わった彼らの「その後」は、この「二・二六事件」につながっている。史実を題材にした連作短編集。 「身代わり」 義弟が身代わりになり命を落とした首相・岡田啓介は、やがて第二次大戦の終戦に尽力した。 「とどめ」 襲撃された鈴木貫太郎へのとどめを制止したのは、妻のタカだった。彼は終戦内閣の総理となる。 「夜汽車」 叛乱を起こした青年将校らが要と仰いだ秩父宮は、事件直後に弘前から夜汽車で上京した。 「富士山」 襲撃を受けながらも祖父を守った麻生和子は、父・吉田茂の講和条約を助ける存在に。 「逆襲」 何もわからず反乱軍と同じ部隊にいた本多猪四郎は、長い出兵を経て、「ゴジラ」の監督になった。 やがて戦争に突き進む一九三六年に起こった事件は、現代日本の舵取りについても大きな示唆に富む内容を訴えかけてくる。今の時代だからこその小説がここにある。 ※本書は、2017年2月14日に配信を開始した単行本「雪つもりし朝 二・二六の人々」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
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4.1スウェーデンで逮捕されたその男は、アメリカで六年前に死んだはずの死刑囚だった!? 大好評、グレーンス警部シリーズ第三弾。
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3.5紀貫之は「古今集」の重要な歌人かつ中心的な編者であり、「土左日記」の著者としても知られ、また「伊勢物語」の作者にも擬せられている人物である。しかし「下手な歌よみにて古今集はくだらぬ集」と正岡子規によって痛罵されて以来、つねにその言葉がつきまとい、正当な評価が妨げられてきた。はたしてそうだったのか? 本書は、詩人の魂による繊細な鑑賞によって「子規以来」のイメージを覆し、貫之が「フィクション」として豊かな才能に恵まれていたことや古今集の特徴である象徴と暗示を体現した歌人であったことなどを、精緻に論証していく。貫之の復権を成さしめた画期的歌人論。読売文学賞受賞。
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4.8世間の評価10点満点男×自己採点2.5の女=? 〈第四回勝手にロマンス大賞〉コンテンポラリ部門大賞受賞『恋の予感に身を焦がして』に続く〈ドリームマン〉シリーズ第二弾! 「アルファメール女王」による最強のジェット・コースター・ロマンス! マーラ・ハノーヴァーは、世の中の人間というのは〈10~7〉と〈6~4〉と〈3~1〉の三段階に評価が分かれていて、同じグループのなかで恋人になるのが普通だ──と考え、自分は〈2.5〉だと思っている。いっぽう、彼女が四年前から片思いしているミッチ・ローソン刑事は〈10.5〉で、いっしょにいる女性も見るからに〈10~7〉ばかり。〈2.5〉のマーラは通路で挨拶するのが精一杯だった。ある日、彼女の従兄の二人の子どもの家出をきっかけに、距離は近づいていくが……絶大な人気を誇るベストセラー作家による〈ドリームマン〉シリーズ、その中でも最高傑作の呼び声高い第二弾! 原題:Law Man
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-老いてなお「女」でいつづける母・登勢の奔放な性を嫌悪し、実家を飛び出した不器用な姉、千歳。 穏やかなだけが取り柄の凡庸な夫の伸幸とマイホームを構え、子どもにこそ恵まれなかったが、望んでいた人生を手にいれたと信じて疑わなかった。父違いの美しい妹・ユキがある日、転がり込んでくるまでは――高度経済成長期、重工業都市として発展していく福山の芦田川河口を舞台に、母と娘の葛藤、男と女の溝、生きることのどうしようもなさを、濃密に描ききった、著者の最初で最後の現代小説! ※本書は、2017年3月25日に配信を開始した単行本「芦田川」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
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4.1寂れた郊外の街を震撼させる連続殺人事件に型破りな警部キム・ストーンが挑む。イギリスのベストセラー警察小説シリーズ第一弾!
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3.9※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ある日、大日向が地学講義室に持ち込んだのは、鏑矢中学校で配られていた「読書感想の例文」という冊子。盛り上がる一同に、奉太郎は気が気でない――。 書き下ろし新作短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」の他、古典部メンバー四人の本棚、著者の仕事場や執筆資料も初公開! 『氷菓』以来、米澤穂信と一五年間ともに歩み、進化を続けている〈古典部〉シリーズについて「広く深く」網羅した必読の一冊。 【CONTENTS】 Interview 〈古典部〉シリーズ15年のあゆみ 〈古典部〉書き下ろし短編 「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」 対談集――北村薫、恩田陸、綾辻行人、大崎梢 著者による〈古典部〉シリーズ全解説 さらにディープな〈古典部〉隠れネタ大公開! 米澤穂信に30の質問 読者編/作家、声優、漫画家編 あなたの本棚見せてください! 古典部メンバー4人の本棚大公開 お仕事場拝見 2017年 『いまさら翼といわれても』刊行密着レポート! 米澤穂信のマイルストーン 講演録 物語のみなもと 門外不出の〈古典部〉ディクショナリー
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3.8私立探偵フィリップ・マーロウ。三十三歳。独身。命令への不服従にはいささか実績のある男。ある午後、彼は資産家の将軍に呼び出された。将軍は娘が賭場で作った借金をネタに強請られているという。解決を約束したマーロウは、犯人らしき男が経営する古書店を調べ始めた。表看板とは別にいかがわしい商売が営まれているようだ。やがて男の住処を突き止めるが、周辺を探るうちに三発の銃声が……。シリーズ第一作の新訳版
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-「北政府」の元傭兵・灰汁銀次郎とその相棒のカンパチは、「脂玉工場」の番頭からとある誘拐事件の解決を請け負った。一方、ゴミ穴「すりばちホール」の発電所で働く策三、ダラ、スケルトンのもとにも同じ事件の解決依頼が舞い込む。犯人は北政府が半島戦争時代に作った生体兵器ドロイド。目的を同じくした灰汁と策三たちは協力して経営者の孫娘を助けだすことに成功するが、3体のドロイドは遥か宇宙へと逃亡してしまう。犯人に懸賞がかかっていることを知った灰汁たちは、「いけどり」を目論み宇宙を目指す。追跡の果て、宇宙で彼らを待っていたものとは――。 ※本書は、2016年7月25日に配信を開始した単行本「ケレスの龍」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
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-演出家の柳田洋三が内縁の妻紫はこべや若手俳優の水壁辰樹を率いて「オイディプス王」をアヴィニョン演劇祭で上演すべく稽古をしている。柳田はやけに水壁に厳しく当たるようにみえるのは、紫が水壁に目をかけている反動なのだろうか。紫は仏文出身の柳田の語学力を信用せず、女子大で演劇部を指導しているフランス留学経験のある松沢倫太郎に同行を頼む。 紫は水壁とのキスシーンをマスコミに盗撮され、柳田との関係がさらに険悪になる。日本での公演を終えた一行はフランスに出発する。Kテレビのディレクターの山中辰雄は、紫も出演する『嫉妬の構図』というドラマの舞台をアヴィニョン演劇祭に設定して、公演に帯同することになった。アヴィニョン演劇祭では招待公演の『オイディプス王」は人気の演目となるが、松沢のフランス留学時代の恋人ヴィオレット・ウィロウが「NARIHIRA」という芝居で大注目の女優になっているのであった。 水壁の高校時代の友人である桐山敏也は名古屋で見た舞台に魅せられてフランスまで付いてきた。アヴィニョンでの公演中、ディレクターの思いつきでドラマの出演まで果たすことになった桐山は、千秋楽にオイディプス王の役を交代してくれるように水壁に泣きついた。フランスの演劇学校の学生イリスと一緒に代役の桐山の演技を見る水壁の目の前で突然オイディプス王役の桐山が心臓麻痺で死んだ。 出演者やテレビクルーは後ろ髪を引かれながら日程通り日本に帰国することになったが、自然死と思われた桐山の遺体の解剖の結果、ニオイスミレの種の毒による他殺が発覚した。
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-新宿区のテアトルふらんすで三橋里奈という新人脚本家が書いた『ジャンヌ・ダルク』の舞台稽古が坂戸真の演出で始まっている。坂戸はベテラン脚本家の高井麻巳子に相談を持ちかけた。脚本の内容に納得がいかないためだ。麻巳子は鎌倉大学教授の山浦に相談を持ちかけた。三橋の台本を見た山浦が演劇文化館で調べてみると第四幕と第五幕の後半部分は亡くなった劇作家都崎あきの初期の脚本の引き写しであった。そもそも三橋里奈に台本を書かせたのは演出家協会の理事佐々部春吉だったが、三橋里奈が佐々部春吉の愛人なのは公然の秘密であった。『ジャンヌ・ダルク』の公演は初日から一週間経った。新聞も各紙が取り上げ、テレビも連日取り上げている。しかし、収まらないのは三橋里奈であった。盗作の罪を悔いているどころか、まだ『ジャンヌ・ダルク』に執着しているのだ。この事実を知った佐々部も照山もそれぞれ里奈を許せない。照山は盗作と旅費の流用について、佐々部は芹山を愛人にしたことについてである。 『ジャンヌ・ダルク』千秋楽の日、主演の川田夕美が現れない。仕方なく、新人女優の新井夢子が代役を努めて無事第四幕が終わった。第五幕でジャンヌ・ダルクが張り付けられた処刑台が突然倒れてしまう。舞台は大混乱に陥る。ジャンヌ・ダルクで蘇りを狙った三橋里奈が荒井夢子を脅して役を入れ替わったのであった。
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-悪人は誰? 善人は誰? 世界の見え方が反転する、リーガル・エンタメミステリ! 中野奈々は、なんとなく法学部に通う大学生。 実家の抱えるトラブルのせいで鬱々とし、家に帰る気になれないでいた。 そんなとき、ふと見かけた子猫の後を追いかけ、ある店に辿り着く。 壁に「正義の女神」のプレートが掲げられたそこは、「BAR Lawful」――合法的なバー。 ――弁護士兼バーテンダーの相楽圭が、依頼人の相談を聞く、法律事務所の出張所だった。 相楽に依頼者と間違えられた奈々だが、じきに本物の依頼者が訪れる。 認知症の母の財産を叔父が奪い取ったため、取り返してほしい。 そんな切実な相談のあと、不意に現れた、BARのオーナーで敏腕弁護士の暮坂に問い詰められ、 奈々はなりゆきで相楽の助手として調査に参加することになり……。 流され系女子大生と善人貧乏弁護士、エリート(悪徳?)弁護士のトリオが送る、 いつか使える法律知識満載の、リーガル・エンタメミステリ! ※本書は、2016年6月1日に配信を開始した単行本「法廷外弁護士・相楽圭 はじまりはモヒートで」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
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5.0たまみは見る人がギョッとするほどの「巨デブ」女子。「邪魔ですみません」と身をすくめて生きてきた彼女が、デブ専男子から告白された! けれどたまみは彼を拒絶してしまう。だってずっと「デブは醜い、みっともない」とディスられ続けてきたの。「太ってるところが好き」なんて人が現れたって、救われないのよ!――自分を好きになりたい。そして、デブがイジられるこの世界を変えたい! 立ち上がったたまみは、6人のデブとともに世界への逆襲を開始して!? あなたに元気を注入する☆究極のエナジー小説です!! ※本書は、2015年8月29日に配信を開始した単行本「やせる石鹸」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
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-ワイドショーの表と裏を描いた話題作『グッドモーニングショー』を原案にしたオリジナル小説が緊急出版。映画では描かれなかったエピソードも余すところなく明らかに! 朝のワイドショー「グッドモーニングショー」でメインキャスターを務める澄田真吾は勝手に付き合っていると思い込むアシスタントから生放送中に自分たちが交際している事実を打ち明けようと言われる。 そのうえ、同期の番組プロデューサーから番組の打ち切りを宣告されるなど、散々な展開に落ちこむ。 さらに生放送中に発生した立てこもり事件の犯人からの要求で、現場で犯人と直接、交渉することとなり……。 前代未聞の生放送の結末とは? 2016年10月8日公開の話題作『グッドモーニングショー』から生まれたもうひとつのストーリー。 本書は映画『グッドモーニングショー』のシナリオをもとに小説化したものです。小説化にあたり、内容には変更と創作が加えられておりますことをご了承ください。なお、この物語はフィクションです。実際の人物・団体とは関係ありません。
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4.0特別養子縁組には、いまの日本が抱えるさまざまな社会問題が見え隠れする。救いようのない不幸の連鎖を断ち切るための、一縷の望み…それがなんなのか、多くの母子を見守ってきたNPO代表の貴子は知っていた。 中京テレビ制作ドラマ「マザーズ」「マザーズ2015 ~17歳の実母」完全ノベライズ版! 【目次】 第1章|マザーズ 第2章|マザーズ2015 ~17歳の実母」 ・人物相関図 ・あらすじダイジェスト 【著者紹介】 脚本/吉田紀子(よしだのりこ) 脚本家。大学卒業後、証券会社で2年間の勤務を経て、倉本聰が主催する富良野塾でシナリオを学ぶ。 代表作にドラマ「お見合い結婚」「恋を何年休んでますか」「Dr.コトー診療所」シリーズ、映画「涙そうそう」「ハナミズキ」など。 ノベライズ/青山美智子(あおやまみちこ) ライター。雑誌編集者を経てフリーに。2003年、「ママにハンド・クラップ!」でパレットノベル大賞(小学館)佳作受賞。 短編小説「街灯りの向こうに」が映画化されたほか、著書にノベライズ「ビューティフルレイン」(扶桑社)など。
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-代表作『知られぬ日本の面影』から、詩情あふれる新訳で合計21編を新編集。ハーンの描く、失われゆく美しい日本の姿を感じる、文庫オリジナルの新訳決定版。 はじめに 東洋の第一日目 盆踊り 神々の国の首都 杵築――日本最古の神社 子どもたちの死霊の岩屋で――加賀の潜戸 日本海に沿って 日本の庭にて 英語教師の日記から 日本人の微笑 さようなら 弘法大師の書 鎌倉・江ノ島詣で 盆市 美保関にて 日御碕にて 八重垣神社 狐 二つの珍しい祭日 伯耆から隠岐へ 幽霊とお化け 思い出の記 小泉節子 ラフカディオ・ハーン略年譜 ※本書は「新編 日本の面影」「新編 日本の面影 II」の2冊を合わせた合本版です。
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4.4※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 アメリカ人の女性が、10歳の息子を亡くし、その悲しみの思いを綴った詩です。 ところが、この詩が9.11同時多発テロの追悼集会で朗読され、とても大きな反響を呼び、瞬く間に世界中に拡散されました。 この詩の素晴らしさは日本にも伝わり、感動した佐川睦さんが著者の許可を得て和訳し、ご自分のサイトで掲載すると、日本でもたちまち話題になり、書籍化されました。 そこからさらに9年の時を経て、 装いを新たにイラスト版が登場。 この詩に心を動かされた500万人のひとりである、大阪に住む二十代の駆け出しイラストレータ・panakiさんが、詩に寄せてどこかなつかしくあたたかいイラストを、描きました。 イラストとの出会いで、詩にあたらしい味わいや感動が生まれています。 忙しい毎日のなかで忘れがちな、大事な人へのやさしい気持ちや、何気ない日常のかけがえのなさを、思い出させてくれる。 そんな1冊です。
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5.0「どうしたらよいか迷った時は、自分の損になる方を選ぶといい」小学校の担任坂部の信念と優しさに強い影響を受けた北森竜太は、朝鮮人労働者を匿う温かい家庭で成長し、昭和12年に教師になった。炭鉱町の小学校で「綴り方」の授業を推進するなど教育の理想を目指す竜太のもとに、言論統制の暗い影が忍びよる。そして昭和16年、竜太は治安維持法違反の容疑で7カ月間勾留、釈放されたものの退職させられ、軍隊に召集される――。純粋な心根の青年教師が戦争に翻弄されていく悲劇。軍旗はためく昭和を背景に戦争と人間の姿を描いた感動の名作! 本書は上下を1冊にまとめた合本版です。
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4.2二百年前の不気味な伝説が残る孤島コーシイ島。そこの贅を凝らした壮麗な舞台で演じられる古典劇に招かれ、いま、数人の客が島を訪れていた。主演女優クラリッサの義理の息子、従姉妹、元愛人……女探偵コーデリア・グレイもそのひとりだった。頻々ととどく死を暗示する脅迫状におびえるクラリッサの身辺警護のためである。狷介な女優とそれぞれ思惑を胸に秘めた七人の男女――不吉な雰囲気の漂うなか、開演を目前に、自室で顔を叩き潰されたクラリッサの惨殺体が発見された! ミステリの新女王が現代本格ミステリに新たな地平を拓いた大作。
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4.0新進のうら若き女性哲学教師が教職をなげうち、未熟練の女工として工場に飛び込んだのは、市井の人びとの疎外状況を身をもって知るため、というだけではなかった。「人間のありのままの姿を知り、ありのままを愛し、そのなかで生きたい」という純粋かつ本質的な欲求による、やむにやまれぬ選択であった。だが、現実には激しい労働と限りない疲労に苛まれ、心身は限界に達する。過酷な日々を克明に綴った日記は問いかける、人間性を壊敗させる必然性の機構のなかで、はたして人間本来の生は可能なのか――。これは極限の状況下でひとりの哲学者が自己犠牲と献身について考え抜いた、魂の記録である。
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5.0都内の進学校に通う高校3年生の妃望(ひの)は、父親とは生まれた時から引き離され、娘をかえりみない母親と二人で暮らしている。幼少の頃から自由を与えられなかった妃望は、学校では友達も作らず、家に帰っても一人、孤独な毎日を送っていた。 しかし母が留守になる週末には、隣の部屋の男と、締め切った部屋の中、ずっと二人で過ごしている。体の関係を重ねる二人は、恋人でもなければセフレでもない。安らぎを求めるように男の部屋に通う妃望は、何故かいつも記憶の一部を失くしている。男を「オッサン」と呼び、その名前を憶えることもない。 失くしてしまった妃望の記憶が戻った時――その中には、あまりにも残酷で悲しい真実が隠されていた。
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