白川静の一覧
「白川静」の新着作品・人気作品や、最新のユーザーレビューをお届けします!
-
作者をフォローする
- フォローするとこの作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
ユーザーレビュー
-
ここ数年、「学習する組織」との関連性みたいなところから、「論語」関連の本をときどき読んでいるのだが、これは「孔子」像をかなり根源的なところから転倒してしまうすごい本。
「孟子」をよんだときの印象で、この人(孟子)は、なんだか、政治経済の政策コンサル会社のシニア・パートナーみたいだなというのがあった
...続きを読む。
考えてみれば、この時代の中国は、たくさんの国があって、勢力均衡したり、戦争したり、クーデターがあったりしていたわけで、そういうなかでいろいろなコンサルが諸国を回って営業活動、政策提言活動をしていたというのもおかしなことではない。
そして、孔子もそういうコンサルの一人であった。
だが、コンサルといっても、政治にかかわる以上、命がけである。国の事情が変われば、亡命生活を余儀なくされる。また、政権側に採用されても政変で殺されたりする。(実際、孔子の弟子の子路は殺されて、塩漬けにされている)
とくに「孔子」は、当時の反体制の革命家的コンサルなので、危険がいっぱい。
そういう厳しい亡命生活のなかで、そして、結局のところ現実の政治にはたいした影響を与えることができないという厳しい状況のなかで深まっていく思想があって、それを一緒に学んでいく弟子たちがいる。
そして、孔子の死後は、その弟子たちは分裂して、実質的に孔子の思想は分からなくなってしまう。さらに、時代が変わって、中国の体制が安定したときに儒学を統治のための思想として政治利用することになって、ますます、なにがなんだか分からなってしまう。
白川静は、そこをテキストを選り分けていくことで、孔子の思想のコア部分を掘り当てていく。
孔子は、超越的なものに頼らない、人間的合理性を重視した人というイメージがあるのではないかと思うが、白川さんによると、孔子は巫女の庶生子で、呪術的な要素があるとのこと。と言われれば、孔子が礼儀とか、儀式とかにうるさいことが、すんなりと理解できてくる。
そして、亡命生活の末に孔子が到達した境地は、「荘子」に近いところにあるという。さすがにそこまではと思いつつ、そんなにおかしくもないような。。。。
もちろん、この孔子像を評価することはわたしにはできないし、この1972年にでた白川説がその後どういうふうな評価になっているかもわからない。そもそも、「論語」の内容を理解していることが前提になっている本なので、内容自体、ちゃんと理解できているかもあやしい。
でも、この孔子には、とてつもないリアリティを感じる。
そして、聖人ではない、血の通った人間として、悩みながら、失意のなかでも前に進み続ける人として、尊敬できる人だな〜。
Posted by ブクログ
-
素晴らしい研究者がいらっしゃったんだな。
孔子がどのように生きたのか、彼の思想がどのように受け継がれていったのかについて述べられている。ソクラテスやイエスを比較の対象にしているところもあり、中国学者ながら西洋の思想にも詳しいよう。郭沫若という中国人もこの本を通して初めて知った。
巫祝集団から儒教が、
...続きを読む百工集団から墨家が生まれたと考えられ、思想は社会的階層のイデオロギーとして生まれた。批判は自他を区別することで、批判と再批判を通じて諸子百家お呼ばれる多彩な思想家の活動が展開された。荘子は孔子の思想的系譜の正統な継承者であり、ノモス的な世界の否定を通じてイデアを回復した。儒教のノモス化は孟子が促進し、荀子に完全されてしまった。孔子の精神がちゃんと反映されている論語の形成について考察する。
Posted by ブクログ
-
とてもよかった。太古の昔を感じる、長い時の流れを感じる絵本。
ことば(漢字)の解説なのに、「こう生きるべし」と言われているような厳かな気持ちになる。廿=口 の部首や一部をもつ漢字を取り上げて、その成り立ちを紐解きながら、おもに、古代の人たちの考えを解説。
この本は、白川静の文章から解説を抜き出し、
...続きを読む絵をそえて、再構成したという。白川静の漢字の世界に魅せられた、という作者の根底の想いだけあって、その世界観にぞくぞくしながら読める。始まりはシンプルで、どんどん複雑になっていく、その構成が見事。
「絵本」という媒体で再構成されていて、絵のイメージ(白と黒の、影画のようなコントラスト)が、その漢字にこめられた人々の営みの理解の助けになる。文章は少ないが、行間をたっぷりとっている効果が十分に出ていて、じっくりと読みたい、考えさせられる本。
また、解説の文章では、その説明として出てくる漢字と、見た目的な表示としてでてくる漢字の、二種類があって、幾通りにも文章が読めるのがおもしろい。
そのこともあって、シンプルだけど時間をかけたい本。紙の中に、コトバの中に閉じ込められた時間に思いをはせたくなる。
古の祈りや祭りの精神、漢字の意味、中国の思想などに興味がある人におすすめ。
Posted by ブクログ
-
白川静さんの絵本
「サイのものがたり」
おすすめです。漢字の理解、楽しさを知ってもらうなら、この本から入るのがいいかと。 「もし文字の背後に、文字以前の、はかり知れぬ悠遠なことばの時代の記憶が残されているとすれば、漢字の体系は、この文化圏における人類の歩みを貫いて、その歴史を如実に示す地層の断面
...続きを読むであるといえよう。またその意味で漢字は、人類にとっての貴重な文化遺産であるということができる」
漢字の成り立ちや意味付けは、専門家によってかなり異なるのだが、白川静さんの「口」は、ものすごく納得がいく。暦を掲示したり、熟語を紹介したり、、白川さんの本を手にしたからといって、漢字の指導は成り立ちだ!と傾きがちですが、多様な切り口が必要で、そうでないと、こどもは、飽きてしまう。だって、漢字は、記号じゃなくて、文化だからさ。そんなとき、この絵本を少しでも紹介すれば、かなり効果はあると思う。
梅原猛さん、市原悦子さん、日本語の、大和言葉について、語れる人が旅立ってしまった。ことばは時空をこえる。白川さんの文には、まさにそう感じる刹那がある。ぼくも、紹介されたときは、気づかなかったけど、この本は、すごい。ぜひ、手にとって読んでほしい。金子さんの絵と合わさると、また格別なのだ。すてきな本を手にとることができたと、感謝しまくりだろう。ありがとう!!
Posted by ブクログ
-
・
2018年、いちばん心に留まってます。
晴天の霹靂でした。
・
わたしたちの遠い祖先の「祈り」のものがたり。
・
この本は「文字がまだ無かった時代のはかり知れぬ悠遠なことばの時代の記憶」を漢字から体系的に解き明かしていった、白川静先生の学問に金子都美絵さんの絵が加えられたアンソロジーです。
・
...続きを読む漢字のかたちの中には、それぞれとても多くの物語が籠っています。
できたのは3,000年以上も昔、中国の殷の時代。森羅万象に霊が宿り、自然が恵みでも、畏れでもあり、人間は自分たちの願いを文字に込めました。
・
「口(くち)」という漢字は、祝詞を入れる器の形がもとになっていて、「サイ」と読みます。
・
「告」「右」「問」「聖」など、どれもこれも「おおおおー!」と納得いく成り立ち。
むっちゃシビれる。
・
親子でお気に入り。
・
Posted by ブクログ
白川静のレビューをもっと見る