作品一覧
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-(一)神話から楚辞へ 中国文学の原点である『詩経』と『楚辞』の成立、発想、表現を、『記紀万葉』と対比し考察する。古代共同体的な生活が破壊され封建制が根付いたとき、人々はそれぞれの運命におそれを抱き、そこに古代歌謡が生まれた。斬新で美しい論の展開、すべてを網羅した知識、知的興奮が味わえる白川静の世界。 (二)史記から陶淵明へ 古い国家の羈絆から解き放たれ、自らの運命に生きはじめた孤独な生活者たち。彼ら「士人」は体制への埋没を拒否し、自然の情感に沿って天の道に合しようとした。「天道是なるか非なるか」と厳しく問うことによる文学精神の成立から、現実を避けて桃源郷を求める創作詩にまでいたる、文化の道筋を探る。 (全二巻)
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3.31巻984円 (税込)※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 太古の呪術や生活の姿を伝える、漢字の世界。だが、中国・日本両国がかつて行った文字改革により、意味体系を否定されるという事態に陥っている。本書では、厖大な資料考証によって、文字の原始の姿を確かめ、原義を鮮やかに浮かび上がらせる。三千年を超える歴史的景観を辿り、漢字の今日的課題を問うた、「白川静の世界」入門に絶好の刺激的な書。 325ページ
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4.01巻1,100円 (税込)無体系のまま放置されていた中国の神話を、豊富な史料から発掘し、その成立・消失過程を体系的に論ずる。これらの神話はアジアから、遠くギリシャ・ローマとモチーフを共有する。日本神話理解のためにも必読、碩学による傑出した神話論である。 353ページ
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-1巻2,095円 (税込)『初期万葉論』 万葉集の「見る」という語は、自然に対して交渉し、霊的な機能を呼び起こす語であった。人麻呂の解析を中心に、呪歌としての万葉歌、秘儀の方法としての歌の位置づけを明らかにする。 人麻呂の挽歌を中心に古代日本人のものの見方、神への祈りが鮮やかに描かれる、それまでの通説を一新した、碩学の独創的万葉論。 『後期万葉論』 中国の文学や思想の影響が強まった万葉後期、変容する古代国家が残した歌は、その時代の心のありようを伝える。旅人・憶良・家持の分析を中心に、七夕などこの時期からの風習や言葉についても明らかにする。 『初期万葉論』に続く、独創的万葉論。人麻呂以降の万葉歌の精神の軌跡を描き、文学の動的な展開を浮かび上がらせる。
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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
昨年から外国人や日本・ヨーロッパミックスの子供たちに日本語を教え始めた。漢字が苦手という14歳の子に漢字を教えるための準備運動のつもりで購入した白川静先生の本だが、恥ずかしながら、日本語を教える機会がなければ手にとって読むことはなかったと思う。漢字はけっこう面白いんだなと思い始めたのが漢和辞典を引っ張り出して読むようになってから。漢字を学ぶのも教えるのも、反復よりほかに方法がないのでは・・・と思っていたが、なんと狭量で浅はかな考えだったのか。私が受けてきた国語教育、適当に参加して適当にやってきたのは間違いだった!と40代半ばをすぎで気がついた。というか、漢字を学ぶ楽しみがあったはずの小学生から
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Posted by ブクログ
ここ数年、「学習する組織」との関連性みたいなところから、「論語」関連の本をときどき読んでいるのだが、これは「孔子」像をかなり根源的なところから転倒してしまうすごい本。
「孟子」をよんだときの印象で、この人(孟子)は、なんだか、政治経済の政策コンサル会社のシニア・パートナーみたいだなというのがあった。
考えてみれば、この時代の中国は、たくさんの国があって、勢力均衡したり、戦争したり、クーデターがあったりしていたわけで、そういうなかでいろいろなコンサルが諸国を回って営業活動、政策提言活動をしていたというのもおかしなことではない。
そして、孔子もそういうコンサルの一人であった。
だが、コンサ -
Posted by ブクログ
素晴らしい研究者がいらっしゃったんだな。
孔子がどのように生きたのか、彼の思想がどのように受け継がれていったのかについて述べられている。ソクラテスやイエスを比較の対象にしているところもあり、中国学者ながら西洋の思想にも詳しいよう。郭沫若という中国人もこの本を通して初めて知った。
巫祝集団から儒教が、百工集団から墨家が生まれたと考えられ、思想は社会的階層のイデオロギーとして生まれた。批判は自他を区別することで、批判と再批判を通じて諸子百家お呼ばれる多彩な思想家の活動が展開された。荘子は孔子の思想的系譜の正統な継承者であり、ノモス的な世界の否定を通じてイデアを回復した。儒教のノモス化は孟子が促進し -
Posted by ブクログ
ネタバレとてもよかった。太古の昔を感じる、長い時の流れを感じる絵本。
ことば(漢字)の解説なのに、「こう生きるべし」と言われているような厳かな気持ちになる。廿=口 の部首や一部をもつ漢字を取り上げて、その成り立ちを紐解きながら、おもに、古代の人たちの考えを解説。
この本は、白川静の文章から解説を抜き出し、絵をそえて、再構成したという。白川静の漢字の世界に魅せられた、という作者の根底の想いだけあって、その世界観にぞくぞくしながら読める。始まりはシンプルで、どんどん複雑になっていく、その構成が見事。
「絵本」という媒体で再構成されていて、絵のイメージ(白と黒の、影画のようなコントラスト)が、その漢字に -
Posted by ブクログ
白川静さんの絵本
「サイのものがたり」
おすすめです。漢字の理解、楽しさを知ってもらうなら、この本から入るのがいいかと。 「もし文字の背後に、文字以前の、はかり知れぬ悠遠なことばの時代の記憶が残されているとすれば、漢字の体系は、この文化圏における人類の歩みを貫いて、その歴史を如実に示す地層の断面であるといえよう。またその意味で漢字は、人類にとっての貴重な文化遺産であるということができる」
漢字の成り立ちや意味付けは、専門家によってかなり異なるのだが、白川静さんの「口」は、ものすごく納得がいく。暦を掲示したり、熟語を紹介したり、、白川さんの本を手にしたからといって、漢字の指導は成り立ちだ!