【感想・ネタバレ】漢字 生い立ちとその背景のレビュー

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ネタバレ

漢字の著作が豊富な白川静の知見の一部を見ることができる新書の一つ。
漢字への興味を持ってもらうのに適した一冊。

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2013年01月21日

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昨年から外国人や日本・ヨーロッパミックスの子供たちに日本語を教え始めた。漢字が苦手という14歳の子に漢字を教えるための準備運動のつもりで購入した白川静先生の本だが、恥ずかしながら、日本語を教える機会がなければ手にとって読むことはなかったと思う。漢字はけっこう面白いんだなと思い始めたのが漢和辞典を引っ張り出して読むようになってから。漢字を学ぶのも教えるのも、反復よりほかに方法がないのでは・・・と思っていたが、なんと狭量で浅はかな考えだったのか。私が受けてきた国語教育、適当に参加して適当にやってきたのは間違いだった!と40代半ばをすぎで気がついた。というか、漢字を学ぶ楽しみがあったはずの小学生から中学生までの学習時間を惜しいと思った。

右と左が、祝詞を入れる箱と呪術に使う道具からきているとか、「白」が髑髏の白だったとか、目と耳は神を見て、聞くという大切な器官だったとか。私の名前は聡子だけど、素晴らしい字じゃないかと感動した。漢字が古代の人々の生き方、神との向き合い方を表しているなんて、中学生の私だったら絶対夢中になったと思う。もしかして国語便覧には書いていたんだろうか。見逃していたのか。
漢字が語りかけてくる。その声を聞くために、「彼らの正しい形を知らなければならない」。だから、甲骨文や金文を仔細に調べ、整理し、体系的に組織していく。そこに一定の法則を見つけ出すことで、そこから生まれてきた字をさらに知ることができる。また、当時の文化や風俗習慣がその文字一つ一つに現れ出ていくる。「文字は、その成立の当初においては、神とともにあり、神と交通するためのものであった」という言葉には感動した。文字は人間の理性を表現するためではなく、神の言葉を記すために生み出された。人間の王は神のことばの代弁者として、その権威を記述できる文字を通じて確立した。歴史の始まりがそこにある。漢字は当時の文化、歴史自体が文字に現れているため、文化財ともいえるのである。

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2023年04月13日

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ネタバレ

[ 内容 ]
日本語の表記にとって漢字は不可欠の文字である。
にもかかわらず、文字としての漢字がどのようにして生まれ、本来どのような意味を持つものであったかを知る人は少ない。
中国古代人の生活や文化を背景に、甲骨文や金文、および漢字が形づくられるまでの過程をたずね、文字の生い立ちとその意味を興味深く述べる。

[ 目次 ]
1 象形文字の論理
2 神話と呪術
3 神聖王朝の構造
4 秩序の原理
5 社会と生活
6 人の一生

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年04月24日

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記念すべき1冊目は私が最も尊敬している学者、白川静先生の著作から。白川先生は甲骨文字や金文の字形を丹念に整理・分類し、その形と古代中国人の思惟構造とを突き合わせ、いわゆる「白川漢字学」を大成されました。この本はその「白川漢字学」の入門書です。古代中国の人は神を畏れ、神に祈り、神の言葉を残すために漢字を創造しました。したがって当時作られた漢字一つ一つには神の言葉を伝える役割があり、そのために字形には彼らの考え方や行動が表れているのです。そんな字形と思惟構造との関連性を具体的に分かりやすく書いており、漢字をより深く知りたいと思っている方へ是非お勧めしたい本です。

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2009年10月04日

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あけましておめでとうございます。

新年最初の本は、以前から一度読みたいと思っていた白川静さんの『漢字』。

最初に言葉があり、次に文字があるという話から始まり、漢字を大切にしなければいけない気持ちにさせる本。

(1)文字は、その成立の当初においては、神とともにあり、神と交通するためのものであったからである。(p188)

(2)父は斧をもつ形である。母は、たらちねの母の姿に書かれている。(p176)

(3)戦争は呪力の戦いであり、さらに言えば、氏族の奉ずる神々の威霊の戦いであった。(p127)

白川さんは漢字が神とのやりとりを記載したものという畏れをもって分析しており、読者を敬虔なきもちにさせる。

正月にふさわしい読書をした。

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2012年01月01日

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 濃密である。神意、神事があって、字は固まってくるとの立場。

 漢字といえば形をもじった字からなるとの見方もあるが、抽象的な心象事項にも形をあてはめており、表意文字のすぐれた機能が説明される。

 他方で、意味を十分にとらえることなく継承し、意味を十分に検討することなく用いられている字が圧倒的に多い。力の弱体である。

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2011年10月30日

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白川さんの漢字論というか、漢字に対する熱情というか、力というか凄すぎる。漢字の見方がぐっと変わった。

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2009年10月04日

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「次に文字があった。文字は神とともにあり、文字は神であった。」がすべて。非常に濃い中身。読み物として面白いかどうかは別として、新たな視点を提供してくれた点で、「4」の評価にあたいする。

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2009年10月04日

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さまざまな漢字の成り立ちについて、著者自身の解釈が紹介されている本です。

白川漢字学の全体像は、『字統』『字通』『字訓』(いずれも平凡社)の三部作にまとめられていますが、本書では著者の研究成果の一端が語られており、白川漢字学とはどのようなものなのかということをうかがい知ることができる内容になっています。古代中国の神話や呪術と、それらに根ざした古代中国人の生活や思考をもとに、漢字の成り立ちについて大胆にも思われる解釈が示されており、おもしろく読みました。

本書が岩波新書として刊行されたことに対して、漢字学の権威である藤堂明保が不満を表明していたことが、高島俊男のエッセイで語られていたのを記憶していますが、著者の解釈はかならずしも研究者からの同意を得ているものではないのかもしれません。まったく素人のわたくしには、著者の解釈が漢字の成り立ちについて考えるうえで、興味深い視点を著者が提示しているように思えるのですが、「あとがき」で「文字は当時の思惟のしかたに従って、厳密に一定の原理によって構成されている」と書かれているように、体系化への強烈な志向が、ときに大胆にすぎると感じられる側面をもたらしているのではないかという気もしています。

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2022年08月27日

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フォント、カリグラフィという考えができるもっともっと昔。とめ、はね、はらいなどの書体ルールすら新しすぎた時代。亀の甲羅の裏に直に刻んだ文字の生い立ちの話。

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2011年11月09日

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