白川静のレビュー一覧
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昨年から外国人や日本・ヨーロッパミックスの子供たちに日本語を教え始めた。漢字が苦手という14歳の子に漢字を教えるための準備運動のつもりで購入した白川静先生の本だが、恥ずかしながら、日本語を教える機会がなければ手にとって読むことはなかったと思う。漢字はけっこう面白いんだなと思い始めたのが漢和辞典を引っ張り出して読むようになってから。漢字を学ぶのも教えるのも、反復よりほかに方法がないのでは・・・と思っていたが、なんと狭量で浅はかな考えだったのか。私が受けてきた国語教育、適当に参加して適当にやってきたのは間違いだった!と40代半ばをすぎで気がついた。というか、漢字を学ぶ楽しみがあったはずの小学生から
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ここ数年、「学習する組織」との関連性みたいなところから、「論語」関連の本をときどき読んでいるのだが、これは「孔子」像をかなり根源的なところから転倒してしまうすごい本。
「孟子」をよんだときの印象で、この人(孟子)は、なんだか、政治経済の政策コンサル会社のシニア・パートナーみたいだなというのがあった。
考えてみれば、この時代の中国は、たくさんの国があって、勢力均衡したり、戦争したり、クーデターがあったりしていたわけで、そういうなかでいろいろなコンサルが諸国を回って営業活動、政策提言活動をしていたというのもおかしなことではない。
そして、孔子もそういうコンサルの一人であった。
だが、コンサ -
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素晴らしい研究者がいらっしゃったんだな。
孔子がどのように生きたのか、彼の思想がどのように受け継がれていったのかについて述べられている。ソクラテスやイエスを比較の対象にしているところもあり、中国学者ながら西洋の思想にも詳しいよう。郭沫若という中国人もこの本を通して初めて知った。
巫祝集団から儒教が、百工集団から墨家が生まれたと考えられ、思想は社会的階層のイデオロギーとして生まれた。批判は自他を区別することで、批判と再批判を通じて諸子百家お呼ばれる多彩な思想家の活動が展開された。荘子は孔子の思想的系譜の正統な継承者であり、ノモス的な世界の否定を通じてイデアを回復した。儒教のノモス化は孟子が促進し -
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ネタバレとてもよかった。太古の昔を感じる、長い時の流れを感じる絵本。
ことば(漢字)の解説なのに、「こう生きるべし」と言われているような厳かな気持ちになる。廿=口 の部首や一部をもつ漢字を取り上げて、その成り立ちを紐解きながら、おもに、古代の人たちの考えを解説。
この本は、白川静の文章から解説を抜き出し、絵をそえて、再構成したという。白川静の漢字の世界に魅せられた、という作者の根底の想いだけあって、その世界観にぞくぞくしながら読める。始まりはシンプルで、どんどん複雑になっていく、その構成が見事。
「絵本」という媒体で再構成されていて、絵のイメージ(白と黒の、影画のようなコントラスト)が、その漢字に -
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白川静さんの絵本
「サイのものがたり」
おすすめです。漢字の理解、楽しさを知ってもらうなら、この本から入るのがいいかと。 「もし文字の背後に、文字以前の、はかり知れぬ悠遠なことばの時代の記憶が残されているとすれば、漢字の体系は、この文化圏における人類の歩みを貫いて、その歴史を如実に示す地層の断面であるといえよう。またその意味で漢字は、人類にとっての貴重な文化遺産であるということができる」
漢字の成り立ちや意味付けは、専門家によってかなり異なるのだが、白川静さんの「口」は、ものすごく納得がいく。暦を掲示したり、熟語を紹介したり、、白川さんの本を手にしたからといって、漢字の指導は成り立ちだ! -
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2018年、いちばん心に留まってます。
晴天の霹靂でした。
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わたしたちの遠い祖先の「祈り」のものがたり。
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この本は「文字がまだ無かった時代のはかり知れぬ悠遠なことばの時代の記憶」を漢字から体系的に解き明かしていった、白川静先生の学問に金子都美絵さんの絵が加えられたアンソロジーです。
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漢字のかたちの中には、それぞれとても多くの物語が籠っています。
できたのは3,000年以上も昔、中国の殷の時代。森羅万象に霊が宿り、自然が恵みでも、畏れでもあり、人間は自分たちの願いを文字に込めました。
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「口(くち)」という漢字は、祝詞を入れる器の形がもとになっていて、「サイ」と読みます。
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漢字の生い立ちに立ち返って論語を読むと、新しい世界が見えてきます。白川静先生のこの本は、論語だけでなく、論語とそれに連なる経書、曽子、孟子、荀子、荘子と儒家の成立過程もよくわかります。これまで、四書五経といえば、論語、大学、中庸、孟子と薄っぺらい知識でしたが、この本を読んで、それらの関係がよくわかりました。孔子の言葉と、論語とは別物であると。のちになって孔子学派の子弟たちによって、かなり恣意的に創作された部分があることもよくわかりました。それでも孔子は偉大な人格であったと白川静先生は述べておられます。大変におすすめです。ここで書ききれなかった話が、「文字遊心」に書かれているということなので、次
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ネタバレ『論語』の名を知らない人はまずいないと思いますが、きちんと全
文を読んだことがある人になると、それほど多くはないかもしれま
せんね。かくいう私もその一人です。どうにも堅苦しい印象があっ
て、どうしても読む気にならなかったのです。
しかし、そんな印象を一変させてくれる一冊が、今週おすすめする
白川静著『孔子伝』です。白川氏は2年前に96歳の生涯を閉じた、日
本が世界に誇る漢字・東洋学者です。
私がこの大学者の仕事の一端に触れたのは、娘の命名のために漢字
の起原を調べようと『常用字解』『人名字解』を買ったことがきっ
かけでした。この2冊の字典は、大袈裟なようですが、それまでの世
界観を覆すほど -
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ネタバレとてもおもしろい。碩学の著者の見解を批判するだけの見識は私にはないが、非常に説得力のある孔子像が展開される。儒が巫儒であり呪であることは、この本を元ネタにした諸星大二郎の「孔子暗黒伝」、酒見賢一の「陋巷に在り」で奔放に展開されたが、著者の分析と数々の根拠の提示には自然に納得させられる。単純な孔子伝ではなく、当時の時代背景の把握、墨家、荘子との比較も非常に興味深い。これだけの深い考察が、中国ではなく日本の学者によってなされたことには感動を覚える。手元に「論語」を置いて読まれることを薦める。白川さんの解説で、漢文の時間に習ったものと、まったく違った論語が見えてくるのが楽しい。
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ネタバレ[ 内容 ]
日本語の表記にとって漢字は不可欠の文字である。
にもかかわらず、文字としての漢字がどのようにして生まれ、本来どのような意味を持つものであったかを知る人は少ない。
中国古代人の生活や文化を背景に、甲骨文や金文、および漢字が形づくられるまでの過程をたずね、文字の生い立ちとその意味を興味深く述べる。
[ 目次 ]
1 象形文字の論理
2 神話と呪術
3 神聖王朝の構造
4 秩序の原理
5 社会と生活
6 人の一生
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険 -
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記念すべき1冊目は私が最も尊敬している学者、白川静先生の著作から。白川先生は甲骨文字や金文の字形を丹念に整理・分類し、その形と古代中国人の思惟構造とを突き合わせ、いわゆる「白川漢字学」を大成されました。この本はその「白川漢字学」の入門書です。古代中国の人は神を畏れ、神に祈り、神の言葉を残すために漢字を創造しました。したがって当時作られた漢字一つ一つには神の言葉を伝える役割があり、そのために字形には彼らの考え方や行動が表れているのです。そんな字形と思惟構造との関連性を具体的に分かりやすく書いており、漢字をより深く知りたいと思っている方へ是非お勧めしたい本です。
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白川静 「孔子伝」
聖人というより人間孔子という感じの評伝。史記を批判したり、孔子の巫女の子説を展開したり、始めは過激に感じたが、固定的な孔子像ではなく、時代によって 異なる孔子像を作ることで、孔子の生き方から普遍性を抽出しようとしている。
孔子像
*巫女の子〜孔子の人間性の原点
*挫折と亡命〜反体制としての孔子
*周の礼楽文化の伝統を理想とする孔子〜五十にして天明を知る(斯文への自覚)
*平穏で平凡な死〜いまだ生を知らず焉んぞ死を知らず
孔子像を明らかにする論語の言葉
*述べて作らず、信じて古を好む。ひそかに我が老彭(ろうほう)に比す
*詩に興り、礼に立ち、楽に成る
仁とは何 -
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ネタバレタイトルが内容をうまく表していません。
私は中国の「神話」の本だと思って読み始めたのですが、「中国の神」話が正しい。
結構世界各地の神話を読んでいるのですが、中国の神話って確かに聞いた覚えがない。
中国にいるのは神様ではなく仙人だから。
と思っていたのです。ずっと。
ところが中国の「神話」の本がある。
神話というからには多神教なのでしょう。
どんな物語があるんだろう。わくわく。
漢字漢字漢字漢宇漢字漢字勤字漢字漢字漢字……(中に二つ間違いがあります。気がついたかな?)
襲いかかる漢字の波を払いのけてようやく理解したところによると、この本の前半部分は中国の文献を読み解き先史時代を炙り出し