とてもよかった。太古の昔を感じる、長い時の流れを感じる絵本。
ことば(漢字)の解説なのに、「こう生きるべし」と言われているような厳かな気持ちになる。廿=口 の部首や一部をもつ漢字を取り上げて、その成り立ちを紐解きながら、おもに、古代の人たちの考えを解説。
この本は、白川静の文章から解説を抜き出し、
...続きを読む絵をそえて、再構成したという。白川静の漢字の世界に魅せられた、という作者の根底の想いだけあって、その世界観にぞくぞくしながら読める。始まりはシンプルで、どんどん複雑になっていく、その構成が見事。
「絵本」という媒体で再構成されていて、絵のイメージ(白と黒の、影画のようなコントラスト)が、その漢字にこめられた人々の営みの理解の助けになる。文章は少ないが、行間をたっぷりとっている効果が十分に出ていて、じっくりと読みたい、考えさせられる本。
また、解説の文章では、その説明として出てくる漢字と、見た目的な表示としてでてくる漢字の、二種類があって、幾通りにも文章が読めるのがおもしろい。
そのこともあって、シンプルだけど時間をかけたい本。紙の中に、コトバの中に閉じ込められた時間に思いをはせたくなる。
古の祈りや祭りの精神、漢字の意味、中国の思想などに興味がある人におすすめ。