白川静のレビュー一覧
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あけましておめでとうございます。
新年最初の本は、以前から一度読みたいと思っていた白川静さんの『漢字』。
最初に言葉があり、次に文字があるという話から始まり、漢字を大切にしなければいけない気持ちにさせる本。
(1)文字は、その成立の当初においては、神とともにあり、神と交通するためのものであったからである。(p188)
(2)父は斧をもつ形である。母は、たらちねの母の姿に書かれている。(p176)
(3)戦争は呪力の戦いであり、さらに言えば、氏族の奉ずる神々の威霊の戦いであった。(p127)
白川さんは漢字が神とのやりとりを記載したものという畏れをもって分析しており、読者を敬虔なきも -
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個人的な話。中学入学のとき、幼馴染で1年先輩のAさんがyuuちゃん、僕のクラブへおいでよ、というので入部した。何と校長先生の元、論語を読むクラブ。毎週1回だったけれど、論語って読みやすくて、記憶に残るんですよね。
白川先生の孔子論。期待に違わず。
儒教は坐祝を母体としている。孔子は学を好んだが、それは古典ではない。古典は未成熟だった。
陽虎は孔子の影のようだと云われるが、実際、占いをし、門下を持ち、孔子に良く似た存在だった。
仁は全人間的なありかたを表現する言葉。老荘思想は南方の楚、また滅んだ殷の人々の国、宋から生まれた。
へ〜、と思うこと多し。魯からの亡命が孔子の思索を深めたという指摘がこ -
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著者自身の立場から、さまざまな漢字の成り立ちについて解説するとともに、著者の漢字研究の基本的な考えかたを論じている本です。
本書はもともと中公新書の一冊として刊行された本で、著者の本のなかでは一般の読者にも比較的読みやすいものとなっています。ただし、おなじく新書で刊行されている『漢字―生い立ちとその背景』(1970年、岩波新書)が、漢字の成り立ちについて多くの具体例をあげてわかりやすく解説されているのにくらべると、本書ではもうすこし深い内容にまで立ち入って、著者の漢字研究の大きな枠組みを説明しているように感じられます。
また、著者とは異なる観点から、漢字の成り立ちについての研究をおこなって -
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さまざまな漢字の成り立ちについて、著者自身の解釈が紹介されている本です。
白川漢字学の全体像は、『字統』『字通』『字訓』(いずれも平凡社)の三部作にまとめられていますが、本書では著者の研究成果の一端が語られており、白川漢字学とはどのようなものなのかということをうかがい知ることができる内容になっています。古代中国の神話や呪術と、それらに根ざした古代中国人の生活や思考をもとに、漢字の成り立ちについて大胆にも思われる解釈が示されており、おもしろく読みました。
本書が岩波新書として刊行されたことに対して、漢字学の権威である藤堂明保が不満を表明していたことが、高島俊男のエッセイで語られていたのを記憶