カテゴリは”ハードボイルト”と迷わず選べる、カチカチのハードボイルト。
最近は、サイコ的な味付けや派手なアクション場面がウリの作品が多くなってきて、それはそれでいいのだけどこういう硬派な作品が少なくなってきているので嬉しい一作。
10年ぶりに祖父の連絡で軍から帰省してきた主人公の目の前で祖父が襲わ
...続きを読むれる。重体になった祖父を襲った犯人は…。
プロットは一見単純なんだけど、実は良く練ってあってラストまで全く飽きない。しかし、メインプロットと同等、もしくはそれ以上に味わい深いのが主人公と祖父の関係。
現在の物語と交互に描かれるのが、主人公の幼少時代から祖父から逃げるように入隊するまでの日々で、孤独であった二人が反目しながらも関係を築いていく姿はあまりにも切なく厳しく、そして仄かに暖かい。
こういう背景がしっかり描かれているからこそ、どこまでも犯人を追う主人公の姿に共感できるし、ハードボイルトとして成り立っている。
脇の人間の描きこみも過不足なく、安易なシリーズ化は難しかもしれないが、この作者の次作は楽しみ。