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「おまえはおかあさんの恥でした」──両親の名も顔も知らず厳しい代母に育てられたエスターと,あまたの人を破滅させてなお継続する「ジャーンダイス訴訟」.この二つをつなぐ輪は何か? ミステリと社会小説を融合し,呪われた裁判に巻き込まれる人々を軸に,貴族から孤児まで,19世紀英国の全体を書ききったディケンズの代表作.(全四冊)
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Posted by ブクログ
やっと読んだ 3巻まで岩波文庫で読んだ。読みづらさを感じて4巻はちくま文庫で。 岩波文庫はわりあひ正確な訳で、挿絵も登場人物表も地図もあって至れり尽くせり。しかし、訳文が堅苦しくてこなれてゐない印象。 ちくま文庫の方は訳は古いが、文体が生き生きして、岩波文庫より読みやすい。 個人的にはちく...続きを読むま文庫の方がいいです。岩波で解らない箇所はちくま、ちくまで解らない箇所は岩波といふ風に交互に読むとより理解できた。 それにしても克明な描写とそれに紛れた数々の伏線には感嘆した。 小谷野敦と大江健三郎と筒井康隆がディケンズの最高傑作だとほめてゐた。恐しく長大な社会派エンターテイメントで、一瞬純文学とも思ったが、純文の書き方ではないのでやっぱりエンタメか。 ミステリ要素は思ひのほか少ない。ドラマティックなストーリーになって、後半から俄然おもしろくなる(特に4巻)。
4冊長編の第一巻。 慈善活動に熱心なあまり、家庭も育児も全く顧みない母親と、そんな母や慈善活動団体を恨む娘。 相続すれば大金持ちになれるから、と定職につかず彼女との結婚ばかりを夢見る浅はかな青年。 何度も借金を他人に肩代わりさせても全く反省しない陽気なおじさん。 こういう人たちは昔から存在し...続きを読むたし、時代が移り変わっても、普遍的だからこそ、ディケンズは面白いんだなと改めて納得。 地図や挿絵がついてるのも面白く、段々街の風景や人物が浮かんでくる。
村上春樹の短篇集『東京奇譚集』の中の『偶然の旅人』の中に、この作品が印象的に登場する。ディケンズは『二都物語』しか読んだことがなく、何となく心に引っ掛かっていたので手に取った。 ザ・長編を読み続けられるか否かの基準で言うと、『カラマーゾフの兄弟』と『失われた時を求めて』の間。(大概の作品はこの間に...続きを読む入ると思うけど) 舞台は19世紀半ばのロンドン周辺。いろんな階級、いろんな人格の人物が登場するが、1番いけすかないのは、リチャード・カーストン。中二病が拗れたヤツのイギリス版。こういう人物を見ると、革命は正しかったのかなと思ってしまう。 19世紀の古典を読むと、人類は、テクノロジーを別にすれば、精神性はほぼ一歩たりとも進歩してないんだなあ、と思うことが多い。『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』とはビスマルクは言ってないようだけど、大筋正しい意見だと思うので、こういうダイナミクスはじっくり堪能したい。 主人公エスターが一人称で語る章と、三人称の章が、不規則に並んでいて、小説技術としても面白い。
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