小説・文芸 - 講談社作品一覧

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  • R.I.P. 安らかに眠れ
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    優しかった兄が、三人もの自殺志願者を殺めた――。世間から極悪人と糾弾される村瀬真也。連続凶悪事件を犯した兄が語り始める不可解な動機を解き明かそうと、妹の薫子は奔走するが、一線を越えてしまった真也の「知らなかった一面」に衝撃を受ける。自殺志願者を次々殺めた男の告白から見えてきた真実とは――。行きすぎた正義と、無関心な親切は、どちらが正しいのだろうか。誰もが目を逸らしたくなる問題に、著者自身も懸命に向き合い書き下ろした長編小説。
  • パラソルでパラシュート
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    企業の受付に勤める29歳の美雨は、人生に惑い、未来にも漠然とした不安を抱えていた。そんな中で出会った、売れないお笑い芸人、亨。彼が気になり始める美雨だったが、ままならない恋愛事情は、亨の相方との「奇妙」な三角関係に発展し……。
  • スーパーエンジェル
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    全知全能のアルゴリズム=マザーに支配され、 生まれながらに階級で選別されて生きる人類。 異端の少年と中古アンドロイドが世界を変えるSF冒険物語 総合プロデュース・指揮:大野和士 台本:島田雅彦 作曲:渋谷慶一郎 子どもたちとアンドロイドが創造する、まったく新しいオペラを小説化! 何も知らない人はいう。パンドラの箱を開けるなと。でも蓋は開けるためにあるんだよ。 希望はここにしかないんだよ。 ある学園の卒業式。卒業生たちは15歳になると適性検査で選別され、全知全能AI「マザー」の管理下に置かれる。 アキラは判定により開拓地に送られることになり、教育係のヒューマノイド型AI「ゴーレム3」と出会う。 ゴーレム3はアキラとの深い心の交流を通じ、恋の切なさや夢見る力を感じとりながら、 世界の秩序を覆す、とてつもないものを創り出そうとしていた――。
  • 兵諫
    4.0
    著者代表作にして大ベストセラー『蒼穹の昴』シリーズ第6部。1936年、蒋介石を張学良が拉致した西安事件の胸熱くする真相とは。
  • 最後の挨拶 His Last Bow
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    いつか、ここに、遠くに、存在した誰か。 言葉によって、わたしたちは出会える。 ――柴崎友香さん推薦 シャーロック・ホームズの翻訳者だった父が倒れ、四姉妹の末っ子リブロは家族の歴史をたどりなおす。 時空を超えて紡がれる、風変りでいとしいファミリー・ストーリー。 「そこでは、もうとっくのむかしに死んでしまった人たちが、みんな生きていた。リブロの目の前、ここに、生きていた。」 百年前のロンドンから、戦争と震災をへて現在まで、家族の記憶とホームズの物語が鮮やかに交錯する――。 無数の喪失を超えて生き続ける言葉の奇跡を描く、注目作家・小林エリカの最新傑作小説。
  • 風致の島
    4.2
    1巻1,672円 (税込)
    東南アジアでの巨大リゾート開発推進のため日本のスーパーゼネコンから現地役員として「島」に乗り込んでいた青木は、資金として投入された莫大な裏金の一部を着服して会社を離れ、計画が頓挫した後も島で隠遁生活を送っていた。現地で飼い殺しにされている元同僚の西村から、カジノを中心とする新たな開発計画の存在を聞いた青木は、その利権に食い込むため動き出す。 一方で青木は、島の男の二番目の妻になっていた日本人の女ミチコを「飼って」いた……。 金、酒、官能、暴力、逆転に次ぐ逆転……すべてが“過剰”な物語。
  • 論語知らずの論語読み
    4.5
    論語をダシに奇人変人作家仲間を独特の文章でつづる名随筆――二千数百年前の中国の古典『論語』。余りにも有名であるけれど、きちんと読んだ人は、どのくらいいるだろう。ならば、孔子にならい、我流の読み方をしてみようと、阿川弘之が、悪友・遠藤周作、三浦朱門、吉行淳之介、北杜夫らとの珍談奇行の交友録をまじえて、世相風俗万般をにがりのきいた独特のユーモアでつづった快エッセイ。論語を知らない人も、ちょっと論語を楽しめる1冊。
  • 槐多の歌へる 村山槐多詩文集
    -
    夭折の天才画家の迸(ほとばし)る詩魂 個性主義芸術の時代あるいは生命主義芸術の時代と呼ばれた一九一〇年代に、彗星のごとく画壇にデビューし、二十二歳で早世した天才画家・村山槐多。彼は生得の詩的才能にも恵まれていた。人生と社会の矛盾に打ち拉(ひし)がれながらも、野生の生命力の回復を希求する詩魂は、鮮烈な色彩感覚と結びつき独自の世界を構築した。放浪、デカダンスのうちに肺患により短い生を駆け抜けた槐多の詩、散文詩、短歌、小説、日記を精選収録。 酒井忠康 時代の一隅を、嵐のなかで哮(たけ)り狂ったように、その野性的ともおぼしき詩魂の光を放って、彼は疾走した。そして燃え尽きたのである。――〈「解説」より〉
  • 雲雀の巣を捜した日
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    すさまじき小説家が作り事でない想いを綴り忌憚なく心の内を覗かせる! 私小説を断筆するとした「凡庸な私小説作家廃業宣言」、「私の思想」から「死のやすらぎ」、そして「言葉について」……。作家の覚悟と矜持を示したエッセイ集。 ――私は三十八歳でふたたび東京へ来てから二十一年、ほとんどこの市九郎のごとき懺悔の執念で、私の私(わたくし)小説を書いて来ました。懺悔と言うのは、人間としてこの世に生れて来たことが、すでにそれだけで重い罪であるからです。(「凡庸な私小説作家廃業宣言」より)
  • 償いの流儀
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    正義の鉄槌? なんて柄じゃないけど オレオレ詐欺に遭った「角のおばちゃん」の仇を取ろうと 証拠をつかんだ詐欺集団を匿名で警察に通報したつもりが、 逆に逮捕を逃れた残党に居場所を知られ、復讐の標的に。 背後の組織をつかみ切れない奈美が選んだ窮余の策とは? 企業のトラブル請負という仕事をめぐって最愛の恋人・雪江と師を続けて亡くした西澤奈美は心の整理がつかず空虚な日々を送っていた。そんな彼女が親しみを寄せるタバコ屋の上井久子がオレオレ詐欺に遭う。 久子を慰める術を持たない奈美だったが、自分が入居する雑居ビルのオーナーから隣のビルに入った怪しげな会社が詐欺集団ではないかという見立てを聞き、密かに証拠をつかみ匿名で警察に通報する。しかしその後、逮捕を逃れた残党の影がちらつき、たびたび襲撃を受けるように。 奈美は、彼女が育った児童養護施設の後輩で雪江を慕っていたという松井の協力を得て久子を騙した犯人を突き止め、ついには自ら拉致されて敵地に辿り着くという無謀な賭けに出る……。 満身創痍の西澤奈美、絶体絶命!
  • ぴりりと可楽!
    4.3
    お笑い興行が禁止されて100年。旦那衆の道楽となった「お笑い」を、庶民の娯楽へと飛躍させた江戸落とし噺の元祖・三笑亭可楽のまっしぐら人生! 三宅裕司さん、春風亭昇太さん、大絶賛! 櫛職人の又五郎は「お笑い」好きの粋な旦那衆が揃う〈噺の会〉の下っ端ながら、大坂からやって来たお笑い芸人を向こうに回し、ここでやらなきゃ江戸っ子の名折れとしゃしゃり出る。が、急ごしらえの寄席はたった五日で店仕舞い。自分のあまりの不甲斐なさに江戸の街を飛び出した又五郎、百戦錬磨の芸人たちが集う街道沿いの宿場町、越ヶ谷・松戸で揉まれて丸二年。修行の末にようやく掴んだ前代未聞の即席芸〈三題噺〉で一世一代の大勝負に打って出る! 又五郎「確かにおいら、頭の軽い江戸っ子よ。いつも思い付きでおっちょこちょいをやっちゃあ、周りに迷惑をかけてきた。難しいことを考えるのは苦手だし、もとが無学な職人だ。だがなあ、この三題噺ってやつは、ただの思い付きじゃァねえ。今度は違うんだ。――おいらだけの創意工夫だよ」 於奈津「あたしを嫁にしたいだろう? じゃァ、いくらでも待ってやるから、かならずイイ男になって迎えに来て!」 源兵衛親方「いいか、又五郎。生きるってえのは、そりゃァ苦しいもんだ。若え頃に、心の中にある『言い訳』ってえ阿片に毒された半端モンはな、いつか必ず、生きる苦しさに負けて、あれやこれやと言い訳をしては楽に逃げこむ。女房子供を育てるてえ、お天道様との当たり前の約束から、言い訳まみれで逃げ出そうとしやがる。そういう半端なクソ男のせいで不幸になった女子供を、この町でたくさん見て来たんだ。於奈津だけは、そんな男にゃァ触れさせねえ」 小鉄「アニキは顔がよくって背が高い。粋でイナセな江戸職人で、何をやらせてもうまくやる。おいらを見ろ、奉公先ではバカ扱い、〈噺の会〉では下手扱い。女にゃモテず、顔も悪けりゃ屁も臭い。そんなおいらがガキの頃から一緒のアニキのためになんかやろうと思って何が悪いんだ!」 左団次「貴殿は拙者にとって師匠でござる。下谷稲荷での勧進のおり、酔客の狼藉に動揺した拙者をかばって舞台に飛び出し、師匠はおっしゃった。『あるもん全部さらして生きるしかねえんだよ。汚かろうが下手だろうが、面白かろうがツマらなかろうが、これが左団次だ』と。恥ずかしながら拙者そのものでござる。拙者、このような言葉をいただいたのは、生まれてはじめてに候。この感激、命を賭すに値すべきもの」 大田南畝「新しきものはバカが創ってきた。手前のような小賢しい年寄りは、なにかとうじゃうじゃ文句を付けて、新しきものをつぶしてしまう。今日登壇する奴らはわずかに二十代。正真正銘のバカであるゆえ、安穏に新しい事ができるのでございます」
  • 森籠もりの日々
    4.0
    1~5巻1,672~1,925円 (税込)
    小説家・森博嗣は日々何を思い、考えているのか? 2017年7月からの毎日の仕事、遊び、思考の詳細。森博嗣堂浮遊書店ブログ「店主の雑駁」を書籍化。●ほとんどの問題は、相手の身になって考えることで、多少は穏やかな解決に至るものです。●「間に合うかな?」と心配すること自体が既に、悪い状況といえます。●待ち時間というものが、そもそ嫌いです。待たない工夫をします。●「頑張り」の価値は自身のものです。
  • これはミステリではない
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    「読者への挑戦状」――!! しかし、それは誰がためのものなのか? 「これまで僕が書いてきたなかでも最大級に歪(いびつ)」――竹本健治 ミステリ界の金字塔『匣の中の失楽』『涙香迷宮』の鬼才が放つ最新作! 香華大学ミステリクラブの夏合宿で悲劇は起きた! メンバーをモデルにした犯人当て小説「読んではいけない」の問題篇が披露された翌日、小説通りに湧き起こった濃霧のなかで、出題者は解決篇の原稿とともに消え去ってしまう。 偶然同じ施設に居あわせた「汎虚学研究会」の高校生たちも渦中に巻きこまれ、事件の謎に挑むことになるが、肝腎の探偵はやる気なく、誰彼なくおかしな夢を見るばかり――。 果たしてこの重構造の事件で問われているのは何か。そんな問いなどどこにもないのか。 ミステリ最大のタブーは快楽となり得るのか―― それともここにあるのは作家・竹本健治の終焉か!?
  • わたしは誰も看たくない
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    埼玉でサラリーマンの夫、大学生の一人息子と暮らしている神崎穂乃果は、群馬の温泉街が故郷であり、実家は両親と妹が切り盛りしている小さな温泉宿だった。ある日、大動脈弁狭窄症で倒れた父はそのまま人工呼吸器をつけて意識不明の寝たきりとなる。パートで働いている穂乃果は父の介護を母と妹に任せるが、入院の期限で父を自宅に引き取るか施設に入れるよう病院から迫られた妹は、経管栄養を止めて父を餓死させる決断をする。妹の暴挙を止めるため実家へ帰った穂乃果だったが、姉妹の間には過去のある出来事に起因する深い確執があった。さらに、穂乃果の夫の母の自宅がゴミだらけの汚部屋になっていることが分かり、それぞれの家族はどのような決断を下すのか。現役ナースが現代の家族の問題に鋭く切り込む、書き下ろし長篇小説。
  • 犯人選挙
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    SNSで話題沸騰!密室殺人の犯人を「7つの選択肢」からセレクト。前代未聞! 犯人を自分で決めるミステリー!!『最後のトリック』『ミステリー・アリーナ』の著者による新たな挑戦。築30年の「大泰荘」で8人の大学生が共同生活を送っていた。ある朝、マッチョな男性住人が鍵のかかった自室において遺体で発見される。深夜には建物の玄関にチェーン錠がかけられるため、たとえ鍵を持っていても中には入れない二重の「密室」で誰が彼を殺したのか? 住人の誰もが怪しく、誰にも動機が……。「7つの選択肢」から犯人を選んで下さい。先行読者投票の結果も収録!
  • 田園風景
    4.0
    貿易会社に勤める主人公の日常を東南アジアを舞台に描いた表題作「田園風景」、知り合いのアメリカ人夫婦の子供を預かる話「夏野」「向かいて聞く」、ほかに「コネティカットの女」「土手の秋」「寒桜」など9篇。明瞭な日常風景が、抽象世界へと転化し、人間の存在が、描かれる風景に同化し吸収されてゆく独得の世界を展く、傑作短篇小説集。野間文芸賞受賞作。
  • 虹の理論
    3.5
    自己と文化を解放するための〈科学の寓話〉。オーストラリア・レッドロックのアボリジニーに伝わる「虹の蛇」の神話、カトマンズ盆地・「虹の立つ村」のマヤ・クマリの千里眼、そしてラマ僧の語る虹を中心とした世界の成り立ち―意識と物質の発生をイメージさせる虹の体験は、両義性という終わりなき解釈のらせん階段から自己と文化を解き放つ「野性的な科学」へと我々を誘う。メタフィジカルな八つの物語が紡ぎだす新しい世界。
  • モナリザの微笑 ハクスレー傑作選
    5.0
    機械文明の発達により便利になった世界がかえって人間性の喪失につながるという、まさに21世紀の世界が直面する問題を描いたディストピア小説『すばらしい新世界』のハクスレーによる、傑作短篇集。モームやヘンリー・ジェイムスの名訳者として知られる行方昭夫氏が、作風の異なる5つの短篇を精選し、訳し下ろしました。科学、数学から美術、音楽、哲学にいたるまで、博学で知られるハクスレーの面目躍如たる作品集です。収録作:「モナリザの微笑」「天才児」「小さなメキシコ帽」「半休日」「チョードロン」
  • 壺中に天あり獣あり
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    無限の迷宮を彷徨い続ける青年・光は、有限のホテルが建っているのを発見する。光は支配人として従業員を雇い、客を呼び込むポスターを貼りに行く。迷宮の中でブリキの動物を磨き、修理しながら玩具屋で働く女性・言海は、ポスターを見て、ひとりホテルを目指すことを決意する――。人は生まれ落ちた迷宮から、外に出ることができるのか。小説の根源を問う、若き才能による大胆で緻密な野間文芸新人賞受賞後第一作。
  • 僕の母がルーズソックスを
    3.5
    1巻1,672円 (税込)
    朝、起きたら母親が17歳になっていたーー。外見はアラフォーの専業主婦なのに、16歳の息子の俺に向かって「ねぇ、君さ、ウチのピッチ知らない?」と言い放った。一人息子の俺が、昨日あんなことをしでかしたからなのか。原因はともかく、女子高生に「逆戻り」してしまった母・芽衣子の不安を除くため、息子・潤平は母の過去を探ると、母には母の心の奥底に埋めた謎が隠されていた。島清恋愛文学賞作家が贈る家族愛小説!
  • 贈答のうた
    -
    「うたはあのようにも詠まれてきた。/ひとはあのようにも心を用いて生きてきた。」ーー歴代の勅撰和歌集、私家集、さらに物語や日記文学の中で、華やかな独詠の陰に埋もれがちな贈答のうた。詠み交す事で深化増幅する人の心と精妙に響き合う贈答歌に光をあて、自在な口語訳を付しつつ読み解く。王朝人の豊饒な言葉の贈物への密やかな答歌とも評された名著。野間文芸賞受賞作。
  • うつくしい繭
    3.8
    空港も鉄道もない、ラオスの奥地の辺鄙な村。そこに佇む瀟洒なホテルのような施設に、世界中から選ばれた者たちが訪れる。コクーン・ルームで記憶の奥深くにアクセスし、その人に最も必要なものを見せてくれる<トリートメント>という施術を受けるために。心に深く傷を負った私は、レモネードという名前を与えられ、客室係の仕事をはじめるが……。表題作「うつくしい繭」をはじめ、愉悦に満ちた文章が、あなたを魂の旅に誘う。
  • 幸福の王子 エドマンド
    -
    1巻1,672円 (税込)
    彼には、仲間がいた。誰からも愛され可愛がられた。イングランドを護る。それが彼の望みだった。だが、父王は、ノルマンディー公国から嫁いだエマに骨抜きにされ、国政は言うがまま。デンマークからはクヌート軍に攻め込まれ、いまやイングランドは風前の灯だった。だが彼はあきらめなかった。運命に反旗を翻すのだ。誰をも幸福にした王子の戦いの物語。
  • 虚飾の王妃 エンマ
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    彼女は、孤独だった。親にも顧みられず、なにも与えられなかった。彼女を救い出してくれたのは、兄・リシャール。彼は、教えてくれた。人の心を読む術を、人を操る方法を。そして彼女に命じた。自分にとっての駒になれと。エンマは、兄のためイングランドに嫁ぐ。待ち受ける運命も知らず。
  • 新・旧銀座八丁 東と西
    3.0
    バーあり、カフェあり、味の名店あり。銀座の歴史を昔と今のこぼれ話で著す珠玉のエッセイ。銀座一丁目から八丁目までを東と西に分け、全16章で構成。本物の大人に愛されてきた銀座の魅力の源泉を、講談社エッセイ賞受賞作家・坪内祐三氏が縦横無尽に書きあらわします。
  • 決戦!設楽原 武田軍vs.織田・徳川軍
    3.5
    累計18万部を突破し、ますます進化を続ける「決戦!」シリーズ。今回の舞台は鉄砲が雌雄を決した「設楽原(長篠)の戦い」。武田軍と織田・徳川軍、両軍はいかに戦ったのか。徳川信康、武田頼勝、朝比奈泰勝、真田昌輝ら七人の武将の戦いに、七名の作家が挑む。
  • 唐山感情集
    -
    上田敏に『海潮音』あれば、日夏耿之介に『唐山感情集』あり。博識にして幽玄神秘な詞藻をもって他に類を見ない詩的世界を構築した日夏耿之介は漢詩の風韻、酒と多情多恨の思いを嫋々たる日本語に移し替え、さらに独自の境地に遊ぶ。唐から民国にいたる1200年にわたる名詩を選び出した稀有な訳詩集。

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  • 現代文士廿八人
    -
    中村武羅夫が文壇に名を売り出すきっかけになったのは雑誌『新潮』に明治41年(1908)からほぼ毎月発表した「作家訪問記」でした。今日風にいえば「直撃取材」し、そこで得た個人的印象、いわば「独断と偏見」を臆面もなく堂々と記したことで、読者の反響を呼び起こしたのです。 本書はその連載を書籍化したもので、版元を変えながら刊行されつづけた隠れたベストセラーであり、明治の文壇を知る好資料です。
  • わが文学生活
    -
    編集者によるインタビュー、また「群像」および「小説現代」で長く担当した編集者との対談を、作家自らが構成した貴重な文学的自伝。高い芸術性と人気を備える小説家、洒脱な随筆や座談の名手、ヘンリー・ミラーや井原西鶴の作品の現代日本語への翻訳者、豪腕アンソロジスト……多彩な相貌が臨場感を湛えて語られる本書は、吉行淳之介を知るための必読書となろう。
  • 随筆集 一私小説書きの弁
    4.0
    西村賢太が師と仰ぎ全集刊行に全力を傾ける作家・藤澤清造への思い。異端作家・倉田啓明。平成の破滅型私小説作家を形づくったもの、すべてが込められた随筆集。
  • 小林秀雄と中原中也
    -
    現実よりも自身の裸の心を守り抜こうとした詩人と、その世界に深く共感するがゆえに背反せざるをえない知性で武装された批評家――。「自分が人間であることのすべてを負っている」と言うほど絶対的な影響を受けた中原中也の特異な生の在り様を「内部の人間」と名付け、小林秀雄の戦後の歩みに「ヴァニティ」(中原中也)を超えた人間探究の軌跡を見出す、秋山駿の出発点。
  • 写生の物語
    -
    『万葉集』や『おもろさうし』に特徴的でその後は顧みられなくなった語法、子規や啄木など明治期歌人の試み、また塚本邦雄・岡井隆といった現代前衛歌人の新作、そして俵万智『チョコレート革命』に至るまでの短歌(謡)表現を貫くものは何か? 起源以前と死後を等価とし、表現を緻密に追いつづけることで見えてくる豊穣な世界。
  • 文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか 芥川vs.谷崎論争
    4.0
    昭和二年二月号『新潮』合評会での谷崎の小説に対する芥川発言に端を発し、舞台を『改造』に移して文学史上に残る〈筋のない小説〉を巡る論争が始まった。――芸術とはなにか。何が文学を文学たらしめているのか――本書では二人の文学観の披瀝と応酬を雑誌発表順に配列し、「新潮合評会」とその俎上に載った小説二篇、論争掲載中の昭和二年七月に自殺した芥川への谷崎の追悼七篇を収録する。
  • 散り行く花
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    止むに止まれぬ動機から女性たちが犯した犯罪。彼女たちの前に現れたのは、美人画で有名な人気絵師だった。「その美を僕の手で永遠に残してみたい」とモデルを頼む一方、幾重にも隠したはずの罪にも巧みに迫っていく。思いもよらない一点から論理的に真相が導き出される鮮やかさ。「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞受賞作家がついに書きえた新たな傑作!
  • フリーランスぶるーす
    -
    1巻1,672円 (税込)
    1990年。前年秋にベルリンの壁が崩壊し、愛犬のジョンが死んだ。平林健太、フリーター、30歳。逃げとごまかしが連続の人生だった。このままでいいのか? 健太は一念発起し、小さな編集プロダクションを皮切りに、憧れ続けた「ギョーカイ」の門を叩く。デビュー作『居酒屋ふじ』がテレビドラマ化、『国士舘物語』で話題。"熱くて、おもしろくて、ちょっと切ない"90年代の広告・雑誌業界を舞台にした半自伝的小説。
  • 幽 花腐し
    -
    中華街のバーで、二十年以上前に遇った女の幻影に翻弄される男の一夜を描く、事実上の初小説「シャンチーの宵」、芥川賞候補作「幽」、同受賞作「花腐し」ほか全6篇。知的かつ幻想的で、悲哀と官能を湛えた初期秀作群。社会から外れた男が生きる過去と現在を、類稀な魅力を放つ文体で生々しく再現し、小説の醍醐味が横溢する作品集。
  • ギキョウダイ
    -
    1巻1,672円 (税込)
    サッカーが好きな少年・六村終夜は、クラスメイトの相楽天晴がサッカーの真の天才であることに気づく。たちまち頭角を現し、日本サッカーを変革、さらにワールドカップで圧倒的な力を示す天晴。繊細な彼を支え続ける終夜。だが突然、破局は訪れた・・・! その裏側で蠢く、人を支配するためならば手段を選ばぬ怪物。ぬめりとした悪意、果てしなき絶望。これほど魂を踏みにじる物語は許されるのか? 戦慄の暗黒系ミステリー!
  • 自伝的女流文壇史
    3.0
    少女小説作家として一世を風靡し、若くして文壇にデビューした吉屋信子が描き上げた、「女流文壇」の草分けともいうべき十人の肖像。男性が中心だった近代日本の文壇史において「女流」と一括りにされながら個性豊かに輝いた女性作家たちの魅力を、折に触れての交流の中から余すところなくすくい上げた自伝的エッセイ。章ごとに一人の作家にフォーカスした構成になっていますので、どこからでも読むことができます。
  • 新撰 小倉百人一首
    -
    「沖の石の讃岐以外は悉皆非代表歌、式子と定家とあと二、三人を除けば、他は一切凡作――」。定家の百人一首が「凡作」揃いだとの批判は多い。だがあえて定家と同じ人選で、まったく別の「百人一首」を編んだ強者はいない。本書は前衛歌人・豪腕アンソロジストが放つ、定家への挑戦状である。どちらが秀歌か。読者ひとりひとりの判断を待つ。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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  • 平成釣客伝 夢枕獏の釣り紀行
    -
    1巻1,672円 (税込)
    夢枕獏版、平成の「オーパ!」ロシア、カナダ、アマゾン、そして日本津々浦々。釣り竿を抱えて夢枕獏は今日も行く!釣り人の夢とリアルがぎっしり詰まった、釣り紀行。釣り歴半世紀余の著者が明かす釣り作法、そして釣りとは、人生とは。楽園はどこにあるのか?
  • 湯川秀樹歌文集
    4.5
    日本人として初めてのノーベル賞(物理学賞)受賞者であり、反核平和運動にも積極的に関わった理論物理学者は、兄に東洋史家である貝塚茂樹、弟に中国文学者の小川環樹を持ち、自身も漢籍、古典、和歌に親しむ粋人でもあった。本書は、幼少青年期の記憶から、長年暮らした京都への愛惜、耽読した古典への思いを綴る随筆と、歌集「深山木」を収録。偉大な科学者とは別の、愛すべき横顔を伝える。
  • 東京の横丁
    -
    「俺は二、三日うちに死ぬ気がする。晩飯の支度なんか放っておけ。淋しいからお前もここに坐って一緒に話でもしよう」妻にそう語りかけた数日後、永井龍男は不帰の人となった。没後発見された手入れ稿に綴られた、生まれ育った神田、終の住処鎌倉、設立まもなく参加した文藝春秋社の日々。死を見据えた短篇「冬の梢」を併録した、最後の名品集。
  • 寺田寅彦セレクション1
    -
    「天災は忘れた頃にやってくる」など、後世に今も残る数々の言葉を生み、物理学者として世界的な業績をあげた寺田寅彦は夏目漱石の高弟として、透徹した観察眼で散文詩的美しさを湛えた文章を物し、科学と芸術の融合を果たした。本巻には『冬彦集』『藪柑子集』『万華鏡』『続冬彦集』から、内田百間に「昭和年代の随筆として後生に遺る第一のもの」と言わしめた、随筆家の真骨頂を示す名品を厳選収録する。
  • 「私小説」を読む
    -
    志賀直哉、藤枝静男、安岡章太郎を貫く「私小説」の系譜。だが、著者はここで日本文学の一分野を改めて顕揚したり、再定義を下したりはしない。本書は、我々が無意識・無前提に受け入れている「読みの不自由さ」から離れ、ひたすら、いまここにある言葉を読むこと、「作品」の表層にある言葉の群との戯れを通じ、一瞬ごとの現在を生きようとする試みなのである。「読むこと」の深見と凄みを示す、文芸批評の名著。
  • 夏目漱石論
    -
    「則天去私」「低回趣味」などの符牒から離れ、神話的肖像を脱し、「きわめて物質的な言葉の実践家」へと捉えなおしてまったく新しい漱石像を提示した、画期的文芸評論。
  • 白暗淵
    3.0
    「七十の坂にかかる道すがらの作品群になる。あれもなかなか越すに苦しい坂だった」(著者から読者へ)。爆風に曝された大空襲から高度成長を経て現代へ――個の記憶が、見も知らぬ他者たちをおのずと招き寄せ、白き「暗淵」より重層的な物語空間が立ちあがる。現代文学を最先端で牽引しつづける著者が、直面した作家的危機を越えて到達した連作短篇集。
  • 東京者がたり
    3.5
    「東京はいかに私小説作家を形作ったのか」。デビュー作『どうで死ぬ身の一踊り』から、芥川賞受賞作『苦役列車』など、さまざまな作品群の中に描かれてきた東京。東京江戸川区に生まれ、一五歳から東京を流浪したその生き様とともに、土地の思い出と出来事、そして現在への系譜を語る、創作の根源に迫る随筆集。巻末には、新宿生まれの新宿育ちの芸人・玉袋筋太郎氏との特別対談も収録。
  • 刑事群像
    3.9
    1巻1,672円 (税込)
    路上で発見された女性の全裸遺体。捜査一課七係強行班が動き始める。被害者は経営コンサルタントの坂上実咲。その名前は刑事たちに、二年前の痛恨の記憶を呼び起こす。被害者の身辺を洗う中、二年前の事件で辞職した元刑事・沢崎の名前が挙がった。やがて捜査一課は、中本班・強行班の二班合同体制をとる。被害者の周囲に蠢く人間と欲望、刑事たちの思惑と記憶。警察小説の名手が満を持して放つ、捜査一課シリーズ最高傑作!
  • のっぴき庵
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    伊豆にある老人ホーム「のっぴき庵」の入居者は、仕事がないベテラン役者のみ。大スターの入居、脇役俳優の失踪、女優の結婚宣言など、一癖も二癖もある面々が起こす騒動はオーナー・今村富夫の悩みの種だ。そんな気苦労の絶えない富夫は考え続ける――「『人生、半ばあきらめて、終着駅を待っている』と口にする"のっぴきならない"彼らに、僕は何ができるのだろうか」と。そして、思わぬトラブルをきっかけに大きな賭けに出た!
  • 喉の奥なら傷ついてもばれない
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    どこにでもいる、ごく普通の人妻たち。共通しているのは、禁忌を犯していること。罪悪感がまったくないのは、母の愛が欲しかった私の、必然だから。恋愛小説の妙手、宮木あや子が描く六つの愛欲小説。
  • 蛇の道行
    4.3
    1巻1,672円 (税込)
    なにがあっても、離れない。家族は失った。けれど、隣にはお前がいる。昭和24年、上野。戦争未亡人ばかりを集めたバー・山猫軒で、二人はひっそりと暮らしていた。バーを切り盛りする青柳きわと、住み込みで働く立平だ。生き抜くため、絡み合う蛇のように彼らは時代を駆け抜けた。戦後復興期を舞台に、親のない少年と若き未亡人の名付け得ぬ関係を描いた加藤元の新たなる傑作!
  • 謎は解ける方が魅力的 有栖川有栖エッセイ集
    4.1
    作家 有栖川有栖の「ミステリEye」を通してみた 映画・日常・そして……阪神タイガース!!本格ミステリと漫才の密接な関係から、熱い猛虎ファンとしての試合分析まで多岐にわたるテーマが満載のエッセイ集。
  • キッチン戦争
    2.9
    1巻1,672円 (税込)
    隠れ家という名のフレンチ・レストラン「Cachette カシェット」。この店のキッチンで働くことになった滝沢葉月は、ある日、オーナーに呼ばれ、料理コンクールへの出場を打診される。戸惑う葉月に、山岸は「女性のシェフが活躍する世界をつくりたい!」という思いを語る。コンクール出場の決意を固めた葉月だが……。自身のルーツ、オリジナルとは何か? 次々に起こる難問に向き合い、葉月の「美味しい闘い」が始まる!
  • 嵯峨野あやつり異聞 浄瑠璃グラン=ギニョル
    -
    1巻1,672円 (税込)
    嵯峨野の高級リゾート「嵯峨野倶楽部」に併設された浄瑠璃小屋・嵯峨大黒座のこけら落とし。古浄瑠璃「阿弥陀胸割」上演中に起きた事件。元外科医で「東雲流」五代目、人形遣いの東雲蔵一が見る事件の真相とは。内と外、虚と実が転回するデビュー後第一作!
  • 飛魂
    4.6
    虎使いとなるため、師とともに人里離れた森の中の寄宿舎で修行を続ける女性達の深遠なる精神の触れ合いを描いた作品。表題作ほか、「盗み読み」「胞子」「裸足の拝観者」「光とゼラチンのライプチッヒ」を収録。
  • 人形愛 秘儀 甦りの家
    4.3
    美しい少年の人形を夜ごと愛撫する女。夢によって浸透された存在になっていく現実の少年。奇妙な透明感と、夢と現実の交歓。高橋たか子の独特な神秘主義を端正な文体で感覚的に描く幻想美の世界。男女の恋愛の、より深く深くと求めた内部の実在を鮮やかに浮かび上がらせた、華麗なる三部作。
  • 幸せになりやがれ
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    緑と楯は恋人同士。ようやく思いを遂げられた! という気持ちのつよい緑は、どうしても楯を束縛しがちだ。いけないと思いつつもやめられない緑。そんなある日、楯が家に帰ってこず、緑は楯を探す旅に出る(「幸せになりやがれ」)/水灯利と縦は性格も家庭環境も全く違う二人の少女。そんな二人がひょんなことから心を通わせ、穏やかだが激しい愛をわかちあっていく(「水灯利と縦」)
  • 双頭の蜥蜴
    3.8
    ニューヨークで生まれ育ったシエラは、幼いころに兄を亡くし、母親との確執に苦しんでいる孤独な少女。唯一の友達だったアナベルも交通事故で失った彼女は、鬱々とした思いでマンハッタンの街を歩いていた。そこに不思議な老婆が現れ、トルコ石をシエラに渡す。シエラは石に導かれ、異世界・ヴェレに行き、そこで自分が世界を救いたる存在、<石の司>であることを知る。
  • ああ玉杯に花うけて 少年倶楽部名作選
    3.5
    昭和2年に『少年倶楽部』に連載され、大反響を呼んだ少年小説の金字塔。いじめや暴力、友情等、普遍的テーマに切り込む爽やかな傑作。
  • 恋人たち/降誕祭の夜 金井美恵子自選短篇集
    3.0
    言葉の町を歩き、言葉のシーツにくるまれ、言葉の包帯を巻いて、あるいは言葉の肉料理を食べ、そして言葉の性交を行う――言葉だけで出来た建物の中で、肉体、時間、空間、世界、あらゆるものを生成する無数の言葉と戯れる陶酔。衝突を繰りかえす豊穣なイメージを道しるべに、著者自らが選んだ短篇集、第二弾。
  • 茅原家の兄妹
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    交流が途絶えていた旧友の茅原恭仁から突然の招待を受け、私は資産家だった茅原家が山間の別荘地に所有している広大な屋敷を訪ねる。そこでは恭仁が妹の睦美と暮らしていたが、かつて快活で高慢ですらあった睦美は、屋敷に出るという幽霊に怯え、別人のように生気を失っていた。恭仁が私を呼んだ目的とは何か? そして恭仁が夜な夜な屋敷で行っているという「研究」とは何なのか? 物語の様相が一変するラストまで一気読み必至!
  • 浪華古本屋騒動記
    3.0
    1巻1,672円 (税込)
    古本屋と一口に言ってもタイプは色々。老舗、新興、ネット古書店。ある者は夢を追い、ある者は借金取りに追われる。商売が厳しくなる一方なのは皆同じ。目指すのは、面白くて金になること。面白くなければ大阪ではない。名物古書店の三代目が古地図を持ち出し、宝探しの号令をかけた。現状打開の一攫千金を狙って、若者、曲者、正直者の古本屋たちがそれぞれの特技を生かして、歴史に目を凝らし知恵を巡らせて動き出す。
  • 家康の遺言
    5.0
    家康が信じたものは何だったのか。石川数正、鳥居元忠、渡辺守綱らら忠臣たちや、千姫から見た家康の姿から浮き彫りになる人間・家康を描く短編集。家康の最期に迫った「家康の遺言」は、これまでの家康像を覆す、読み応えのある力作。信康を自害させたのは果たして信長だったのか、忠輝を遠ざけた本当の理由は? 家康にまつわる様々な謎がここで明らかに。
  • 新編 日本の旅あちこち
    -
    木山捷平は、昭和三十年代後半から四十年代前半の彼の晩年ともいえる日々を、日本中を旅する取材執筆に費やした。北海道から九州まで、日本の津々浦々を巡り「新しい紀行文」を書き続け、それは詩や小説にも昇華した。それぞれの土地に、死の陰を刻みながら・・・。初めての北海道旅行での詩「旅吟」から、病床で書かれた最後の詩「オホーツク海の烏」を収録、二九篇厳選。
  • サバーイ・サバーイ 小説 在チェンマイ日本国総領事館
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    タイ・チェンマイの日本国総領事館員・吉岡和喜。在留邦人5千人以上と言われ、観光客も多いこの街で邦人保護係の彼の元には相談がひっきりなし。「お金を貸して」「就職先を紹介しろ」と日本人に詰め寄られ、わがままロングステイヤーのトラブルで緊急出動し、上司からはパワハラも。さらに家庭では「あなたとはやっていけない」と妻が涙。公私ともに悪戦苦闘の毎日だ。それでも吉岡は奔走する、日本人に笑顔をもたらすために!
  • 砂の粒/孤独な場所で 金井美恵子自選短篇集
    2.0
    一筆ずつ塗り重ねられる精緻な絵画のように、あるいは一針ずつ施される絢爛たる詩集のように――一語一語選び抜かれた言葉は、思わぬつながりを持つ次の言葉を連れてきて、夢中でそれらを追ううちに思いもよらない地平に連れ去られていく。時空間も記憶も等質な粒子となって混じり合い、拡散し、迷宮のような読書体験をもたらす、著者初の自選短篇集。
  • ルンタ
    3.5
    1巻1,672円 (税込)
    人間という暮らしにうんざりしたというわたしは、それでも自殺はせずに「わたし」と呼ぶ装置をもう少し観察してみたいと望み、家を出て山へ向かうことに。ユという女性との記憶と死んだはずの友人の中西を道連れに山を目指し、吹雪の中で出会った黒い馬「ルンタ」に乗り、さらに深い雪の中を進んでいく。生と死、現在と過去を行き来する人々が、人間の意識や時間の虚構を疑わせながらもまた確かな生を感じさせる。保坂和志氏絶賛!
  • 新しい人よ眼ざめよ
    4.3
    神秘主義詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩(プロフェシー)に導かれ、障害を持って生まれた長男イーヨーとの共生の中で、真の幸福、家族の絆について深く思いを巡らす。無垢という魂の原質が問われ、やがて主人公である作家は、危機の時代の人間の<再生>を希求する。新しい人よ眼ざめよとは、来たるべき時代の若者たちへの作者による、心優しい魂の呼びかけである。大江文学の一到達点を示す、感動を呼ぶ連作短篇集。
  • 私の万葉集 三
    3.0
    大岡信の『私の万葉集』第三巻(全五巻)。 ひさかたの 天の香具山 この夕  霞たなびく 春立つらしも   人麻呂のゆったりとした万葉人の息吹を伝えたい。著者の思いは、愛情深く、平易な文体で現代につなげていく。「万葉集」巻八から十二までを、たとえば恋の歌、それは、日本人の永遠に通ずる心の古典として……。
  • 黒水熱
    3.5
    1巻1,672円 (税込)
    小説現代長編新人賞受賞第1作。これが女の復讐! マラリアの予防接種で一人息子を亡くしたエリカは、大物政治家の陰謀でマラリアが流行っていることをつきとめる。顔を変え、高級デートクラブ嬢となって男に接近。エリカの復讐劇がはじまった――。前作『ワーホリ任侠伝』からさらにスケールアップした、大型新人の書下ろし長編!
  • 公園 卒業式 小島信夫初期作品集
    -
    著者十六歳、岐阜中学校校友会誌に掲載された小品から、昭和二十年代までの初期作品を集成。第一高等学校時代の透明感溢れる心象風景を綴った伝説的佳品「裸木」や、同人誌「崖」に発表された「往還」「公園」などの戦前作品、また、著者固有のユーモアの深淵を示す「汽車の中」「卒業式」「ふぐりと原子ピストル」など、〈作家・小島信夫〉誕生の秘密に迫る十三篇を収録。
  • パリ症候群 愛と殺人のレシピ
    3.0
    1巻1,672円 (税込)
    パリで死んだ従妹の遺品を整理するため、彼女のアパルトマンを訪れた清美。そこで見た彼女の秘密……(「パリ症候群」)ほか、長くパリに暮らしていた鮎川賞作家が描く愛と憎悪に彩られた犯罪小説集。日本推理作家協会賞短編部門候補作「青い絹の人形」も収録。
  • 屋根屋
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    雨漏りのする屋根の修繕にやってきた工務店の男は永瀬といった。木訥な大男で、仕事ぶりは堅実。彼は妻の死から神経を病み、その治療として夢日記を付けている。永瀬屋根屋によれば、トレーニングによって、誰でも自在に夢を見ることができるという。「奥さんが上手に夢を見ることが出来るごとなったら、私がそのうち素晴らしか所に案内ばしましょう」。以来、二人は夢の中で、法隆寺やフランスの大聖堂へと出かけるのだった。
  • 悪党の戦
    3.5
    後醍醐帝に請われ正成は倒幕の兵を挙げた。悪党の戦を世に示し力を結集するために。真言の真理を社会に実現するには、「悪党の世」を築かねばならぬのだ。――希代の英雄を描く本格長編歴史小説。
  • 腹の蟲
    3.5
    1巻1,672円 (税込)
    「家族なんて、よっぽど注意をしておかないと、すぐに壊れてしまうんだぞ」。かつて「息子」だった男は、やがて「父」となり、いま人生の後半に差し掛かっている。人間の成長と連環、生きていくということの根源を、丹誠を尽くした文体で描きだす、純文学。書き下ろし作品。
  • 東京
    3.0
    1巻1,672円 (税込)
    人間と情念を精緻に濃密に描いた大人の文学。心に隙間風が吹くことは誰にだって何度かある。それでもまた気を取り直して生きていく。西新宿、矢口渡、葛西……東京の街々を舞台に描きだされる男と女の情念。
  • 未完成の友情
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    自分の人生はこれでいいのかと心に隙間風が吹くことは、誰にだってあるし何度かはある。それでもまた気を取り直して生きていくのが、わたしたちの人生だ。濃密な人間関係と情念を精緻に描いた甘口ではない、大人の文学。あなたには、親友がいますか。
  • 会話のつづき ロックンローラーへの弔辞
    4.5
    「腹減った、のど渇いた、死にそうだぁ」。「バン!」。男が口で言った銃声に、女はのけぞって言った。「こんな日に死ねて嬉しいぜ、感謝します!!」。列にいた若い男女の会話である。故人に似せた言い回しと原色で着飾ったふたりの悲しみとは程遠いやりとりの方が、ロックンローラーを送る言葉としてはふさわしく思えて、嗚咽混じりの弔辞から目を外し忘れないうちにと走り書きした。
  • 猫の水につかるカエル
    3.9
    1巻1,672円 (税込)
    静かなユーモア・優しいペーソス、淡々と沁みる小説集。「父母の、友の、猫の、己の死を深く見つめる作者の眼差しが、今ここにあるかけがえのない生に向けられる時、すべての事物が記憶を語りはじめる――。
  • 石を置き、花を添える
    4.5
    1巻1,672円 (税込)
    ウォーキング途中の道端に置かれた石と、添えられた花。埋められている「なにか」――問いは残されたまま「わたし」の記録は記憶を辿り、老いと死への思索に漂う。清冽なる本格小説集。
  • 王朝百首
    4.3
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 百人一首に秀歌はない――かるた遊びを通して日本人に最も親しまれる「小倉百人一首」(藤原定家・撰)にあえて挑戦、前衛歌人にして“現代の定家”とも称されたアンソロジスト塚本邦雄が選び抜き、自由奔放な散文詞と鋭い評釈を対置した秀歌百。『定家百首』『百句燦燦』と並び塚本美学の中核であると同時に、日本の言葉の「さはやかさ」「あてやかさ」を現代に蘇らせんとする至情があふれる魂魄の詞華集である。
  • 私のいない高校
    3.5
    1巻1,672円 (税込)
    鬼才が放つあまりにも前衛すぎる学園小説。カナダからの留学生を受け入れた、とある高校での数ヶ月の出来事――。普通すぎるのに普通じゃない、物語という概念を徹底的に排除した、「主人公のいない小説」 (講談社文庫)
  • 見知らぬ人へ、おめでとう
    3.0
    1巻1,672円 (税込)
    「……あの、むかし、日比谷で、いっしょにコンサート観ませんでしたか?」かつて1度だけ会ったことがあるふたりの女性の、十数年ぶりの再会……。過去をふりかえりたいわけではない。なつかしみたいわけでもない。いまのままでいいとも思っていない。だけど、あの頃となにが変わったの? 小さな願いをかかえて生きる、ふたりの女性の姿を追った表題作ほか、「野いちごを煮る」「天使」の2篇を収録。
  • 建礼門院徳子
    3.5
    平清盛の娘、許されぬ愛の遊戯。「あなたがいたから、死ねなかったのです」。清盛の娘・徳子が、平家でただ一人生き残ったのは偶然ではなかった。禁忌を恐れず、憎むべき相手を愛してしまった女の懊悩とは――。後白河法皇の強さに惹かれた女の生涯。長編歴史ロマンス。
  • 永遠の誓い
    3.3
    1巻1,672円 (税込)
    平穏なるときも、苦しきときも、永遠に変わらぬ愛を、誓います。中学校教員の夫と保育士の妻が営む幸福な結婚生活に、初めて訪れた試練が照らしだすものは……。野間文芸新人賞作家が「夫婦」を描く意欲作。
  • われらの再生の日
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    ほんの冷やかしのはずだった……。60代後半の物書き・矢部三郎は取材にと飛びこんだセクシー・キャバクラの女・ゆりあに入れ込み、店外につれだして心身ともに関係を深めていく。同時にパソコンの手ほどきを受けた矢部は、時代の流れに乗る楽しさを知り、ブログや電子書籍にも挑戦しはじめる。だが、やがて姿を消したゆりあを追って、矢部はさらなる行動を起こす──。生きる意味の転換を問いかける長編小説。
  • 半島へ
    3.9
    1巻1,672円 (税込)
    東京を離れ、志摩半島を望む町で暮らし始めた中年女性。孤独な暮らしのなか、彼女がそこで見つめたものは? 川端賞受賞作「海松」を超えた、究極の「半島物語」。谷崎潤一郎賞、中日文化賞、親鸞賞受賞作!
  • 旅愁(上)
    4.0
    1~2巻1,672~1,771円 (税込)
    近代日本人の生き方を根源から問いなおす恋愛思想小説。日本伝統主義者の矢代耕一郎と、対照的にヨーロッパの合理的精神に心酔する久慈、2人が心惹かれるカソリックの宇佐美千鶴子らが織りなす鮮烈微妙な恋愛心理の綾。東洋と西洋、信仰と科学、歴史と民族の根の感情等、横光利一が苦闘した生涯の思索の全てを人物に投影させつつパリ、東京を主舞台に展開させた畢生の大作。(全2冊)
  • 寂夜
    -
    1巻1,672円 (税込)
    無自覚には生きられぬ「人」を描いた傑作集。独自の筆致から絞り出される文学世界で読者を魅了する芥川賞作家の、原点から今日までを通覧。「繊光」「大蛇」「焦熱」「運河」に、書き下ろしを加えた作品集。
  • 紫苑物語
    4.3
    優美かつ艶やかな文体と、爽やかで強靱きわまる精神。昭和30年代初頭の日本現代文学に鮮烈な光芒を放つ真の意味での現代文学の巨匠・石川淳の中期代表作――華麗な"精神の運動"と想像力の飛翔。芸術選奨受賞作「紫苑物語」及び「八幡縁起」「修羅」を収録。
  • 裂

    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    群像編集部の若手編集者羽田御名子のもとに、小説家志望の安良川王爾から持ち込まれた原稿<裂>。登場人物には御名子の名が使われ、穢されていた――。「群像」連載時から注目を集めた作品がついに単行本化。
  • 恋愛の解体と北区の滅亡
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    ヤバい世界はもう終わった。宇宙人占領下東京の平穏で危険な日常、僕らのぎりぎりの「今」を描く青春長篇小説。傑作短篇「ウンコに代わる次世代排泄物ファナモ」収録!
  • マチウ書試論 転向論
    4.4
    『芸術的抵抗と挫折』『抒情の論理』の初期2著からユダヤ教に対する原始キリスト教の憎悪のパトスと反逆の倫理を追求した出世作「マチウ書試論」、非転向神話をつき崩し"転向"概念の根源的変換のきっかけとなった秀作「転向論」、最初期の詩論「エリアンの手記と詩」など敗戦後社会通念への深甚な違和を出発点に飛翔した吉本隆明初期代表的エッセイ13篇を収録。
  • ナイン・ストーリーズ
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    三島賞作家・佐藤友哉がサリンジャーの魂をよみがえらせる、全9編の短篇小説。鏡一家の型破りな7人兄弟が活躍する本作は、2004年~2005年にかけて「群像」「ファウスト」誌に掲載された8篇に最新作1篇を加え、ついに完結。永遠の魅力をもつサリンジャー作品を、佐藤友哉式に変奏した幻の名篇、待望の単行本化!
  • 1000年後に生き残るための青春小説講座
    4.3
    1巻1,672円 (税込)
    僕のことが大嫌いでも、とにかく僕のことを覚えていてほしい。そのためには、何かを成さなければならない。だけど僕はもう三十路で、家庭を持ち、3.11に衝撃を受けてしまった。どうすればいい。どこにでも転がっている普通人間が、どうすれば時の流れを乗りこえられるか――。千年に一度の大震災とネット時代を超えて生き残る言葉とは?「戦争」と「青春」をキーワードに時を超える方法を探る気鋭作家の青春小説講座!
  • 黄金幻魚
    3.2
    1巻1,672円 (税込)
    三陸海岸の港町の漁師・神林優作は船のメンテナンスで休漁中に、中学三年生の息子悠太が同級生を殴ったと学校から呼び出される。母親不在のうえ仕事柄あまり口を利かなくなった息子は、殴った理由を話そうともせず、毛鉤釣りをやりたいという。息子の釣りの師匠は、小山内未帆という妙齢の美女だった。息子との交流を求め優作も弟子入りするのだが、いつのまにやら“幻の大物”を釣り上げる「ひと夏の冒険」が始まっていた。
  • 風貌 私の美学 土門拳エッセイ選
    -
    写真の鬼による日本論を展開したエッセイ選! 「風貌」「筑豊の子どもたち」「古寺巡礼」等、日本を代表する写真家土門拳は達意の名文家でもある。時代と社会、芸術と文化、写真とは何かを問う土門美学の精髄。※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 風と光と二十の私と
    4.3
    余は偉大なる落伍者となって歴史のなかによみがえる雪の国新潟の教室の机に彫って上京し、あえて、孤独な自己鍛練の世界に彷徨する、"精神の巨人"坂口安吾の繊細にして豪放、聖にして俗の、ダイナミックな自伝世界。
  • 傷痕
    3.6
    1巻1,672円 (税込)
    この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターがとつぜん死んだ夜、報道が世界中を黒い光のように飛びまわった。彼は51歳で、娘らしき、11歳の子どもが一人残された。彼女がどうやって、誰から生を受けたのか、誰も知らなかった。凄腕のイエロー・ジャーナリズムさえも、決定的な真実を捕まえることができないままだった。娘の名前は、傷痕。偉大すぎるスターの真の姿とは? そして彼が世界に遺したものとは?
  • タルドンネ 月の町
    3.7
    1巻1,672円 (税込)
    史上最悪の殺人鬼を生んだ、貧しくて冷たい月の光。もう、人間には戻れない――。韓国全土を震撼させた、未曾有の連続殺人事件をモチーフに描く、あらゆる禁忌を犯した男の憎悪と狂気。岩井志麻子、渾身の新・代表作!

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