作品一覧

  • 道化むさぼる揚羽の夢の
    3.4
    1巻1,980円 (税込)
    広大な地下工場で蛹に拘束され、羽化=自由を夢見る男。異様な労働、模造の蝶、監督官による殴打、地中の街。理不尽な状況から逃れるため、命懸けで道化を演じるが――。不条理な世界で人間に本当に必要なものは何か。そこで人はどう生き延びるのか。注目の新人作家が圧倒的力量で放つ、コロナ禍の現実と響き合う傑作長篇。
  • 壺中に天あり獣あり
    4.0
    1巻1,672円 (税込)
    無限の迷宮を彷徨い続ける青年・光は、有限のホテルが建っているのを発見する。光は支配人として従業員を雇い、客を呼び込むポスターを貼りに行く。迷宮の中でブリキの動物を磨き、修理しながら玩具屋で働く女性・言海は、ポスターを見て、ひとりホテルを目指すことを決意する――。人は生まれ落ちた迷宮から、外に出ることができるのか。小説の根源を問う、若き才能による大胆で緻密な野間文芸新人賞受賞後第一作。
  • 双子は驢馬に跨がって
    3.9
    1巻1,540円 (税込)
    「アメトーーク!」読書芸人特集・光浦靖子氏紹介でブレイク! 監禁される親子、救出に向かう双子と驢馬――独自の世界観で注目を集める気鋭が描く、荒唐無稽な冒険譚。
  • 鳥打ちも夜更けには
    3.8
    1巻1,320円 (税込)
    不朽の古典『見聞録』で楽園と謳われた島の架空の港町。新町長の施政下、「鳥打ち」を職業とする三人の青年に、最大の転機が訪れる……文藝賞受賞作家の、自我と自由を巡る飛躍作!
  • アルタッドに捧ぐ
    3.5
    1巻1,210円 (税込)
    それは、予言されざる死だった??著者の意図せぬ主人公の死、その少年に託された「アルタッド」という名のトカゲとの生の日々。選考委員の保坂和志氏、大絶賛! 衝撃の第51回文藝賞受賞作。

ユーザーレビュー

  • 壺中に天あり獣あり

    Posted by ブクログ

    自由という名の牢獄。
    不自由な世界に自由を描く行為。
    輪郭がはっきりするほどに不自由さが牙を剥く。
    そうするしかないという帰結に物語は向かう。
    それを普遍的であると捉えるか陳腐と捉えるか。
    私は前者だ。

    0
    2022年05月08日
  • 双子は驢馬に跨がって

    Posted by ブクログ

    驢馬に跨ってメタ的なファンタジーの世界を旅する双子の姿に、『はてしない物語』の冒険者アトレーユとその愛馬アルタクスを彷彿した。異なるのは「少年と馬」でなく「双子と驢馬」であるということ、それから『はてしない物語』は「読み出す物語」であるのに対して、これは「書き出す物語」であるということだろう。

    この作家さんは、「書くこと」に対してとても意識的なのだと思う。
    自らが書いた物語の世界が、人物が、自分の知らないところで「この世界」に存在していて、そして自分に会いに来るという。
    一度でも物語を空想したことがある人にとって、これ以上の歓びはないだろう。
    デビュー作の『アルタッドに捧ぐ』に続いて、小説の

    0
    2017年12月07日
  • 鳥打ちも夜更けには

    Posted by ブクログ

    これは「境界」についての物語だと思う。
    現実と夢、覚醒と眠り、現在と過去、小説と戯曲…。その間に確かにあるはずの境目は、とてもあいまいだ。その境目にはグレーゾーンが存在し、緩やかに一方から一方へと変化してゆく。あるいは、自分が覚醒していると思っていても、別の視点から眺めてみると、それは眠りの中なのかもしれない。一体どこから変わってしまったのか? 架空の町だと思っていたら、そこは「架空の町」という現実の町で、でも、現実だと思っていたら、リュトリュクという夢の中のような地域があり、それでは私は現実にいるのか? それとも夢の中にいるのか? ここは誰かの書いた小説の中なのか?
    私が覚醒していることを証

    0
    2017年11月04日
  • 双子は驢馬に跨がって

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    彼の想像力が好きだ。
    驢馬は驢馬のことを言っているのか、飼育されているのは誰なのか、その寓意性とでも呼ぶべきものが、好きだ。
    この物語は、小説を書くことについて語っているのだと思う。
    双子が驢馬に跨って親子を助けに来るだろう、という想像。想像は創造され、まず驢馬がU夫妻の元へやって来る。やがて双子が誕生し、旅に出る。
    書き始めたのは良いけれど、時にどこへ向かっているのか分からなくなることもある。それでも目指すべき結末へ向かって進んでゆく。後戻りは出来ない。
    親子は外の世界へ出たいと望みながらも、監禁生活に甘んじているようにも見える。配下たちが食事を持って来る隙を狙って逃げ出すことは出来ないのか

    0
    2017年10月22日
  • 鳥打ちも夜更けには

    Posted by ブクログ

    圧倒的な世界観。奇妙な状況なのに、生々しい手応えのある3人の心理描写。

    私はこの本を読み終えて、時代が変わっていく、また、変えていくときの、人間の物語りだと思った。

    0
    2017年08月16日

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